助けたい─。
唯、それだけを願った。
大事な彼女から命を貰い
生き延びた俺だから・・・。
目の前にいる
命の灯火を今にも消しそうな
小さな狐に
命を与えたかった・・・。
願い 〜第一話〜 中編 その六
「 一つに戻れたら・・・─かしらね?♪ 」
と微笑を浮かべながら答える姐妃に
「 銀孤・・・華陽が言った事と何が違うんだ? 」
横島は僅かに低い音のする言葉で尋ねた。
何時もの戯けた道化の・・・─人を欺くための仮面を外した
その声色に令子達は息を呑み
対峙している妖孤達と横島を静かに眺めている。
「 望んで一つになるか─
望まずに呑まれるか─・・・。 」
そんな姐妃の呟くような返答の真意を掴み損ねたのか
横島は暫く考えると僅かに沈んだ声色で尋ねた。
「 ──他に方法は無いのか? 」
白金の妖孤に自身の過去を重ねていた。
徐々に忘失されていく彼女の気配─『記憶』─に
怯える日々をタマモにまで強要させることは・・・
出来なかった。
過去、自身の命を大切な彼女の命と引き換えに
生き延びたからこそ─他の選択肢を選びたかったのだ。
そんな横島に対して姐妃は一度、怪訝に眉を細めたが
すぐに真剣な表情へと戻し
「 わらわ達は元々は一つだったのよ。
──それが戻らない限りは不完全なまま
──直に消滅してしまうわ 」
・ ・ ・ ・ ・ ・
むずがる子供にあやすかの様な声色で
静かに、優しく囁いた。
その声色と囁かれた内容に横島は
一瞬泣きそうな表情になると
『 ─そうか・・・ 』 と呟き拳を強く握った。
──沈黙
僅かな間をおいて、横島が
「 一つになったらどうなるんだ? 」
と、静かに尋ねた。
『 ─・・・どう? 』 と不思議そうに呟いた姐妃に対して
「 あぁ、俺から見ても性格違うじゃねぇか 」
と、姐妃と華陽を交互に指差しながら
『 しゃべり方も─ 』 と付け足した。
その問いに『 んー・・ 』と姐妃は
暫く顎に一指し指を添えて
「 呑まれた場合は─その人格は無くなると思うわ 」
「 望んだ方は? 」
「 二重人格みたいになるのかしら・・・? 」
その自信の無いような言い方に
横島は僅かに考えると
「 わからない、か─ 」
と姐妃に対して呟くように答えた。
そんな横島に対して
「 別れた事─事態が初めてだから・・・ 」
と呟き、最後に『 ──多分、ね・・・ 』と、付け足した。
「 戯言は終わったかえ?──姐妃 」
今まで静観していた銀孤『華陽』が問う。
「 ──もう少し、待ってくれないかしら? 」
と冷静に返した姐妃に
「 ─ふん。つまらぬ戯言はもう聞き飽きたわ。 」
その両手に狐火を浮かばせ言い捨てた。
「 とりあえず、アイツを一回倒すしかないか 」
「 できるかしら? 」
横島の呟きに妖艶な笑みを浮かべ姐妃は尋ねた。
「 ッ! 美神さんッ! 」
横島は姐妃に一度頷くと、一筋の迫り来る狐火を避けながら
令子に呼びかけた。
その声に今まで静観していた令子は
服に携えていた神通棍を手に握ると
「 ─ッ、アンタなんか私が極楽へ送って・・・あッ──痛ッ! 」
罅が入っているかもしれない肋骨の痛みを思い出し
「 横島君・・あとは頼んだわ・・・── 」
と、横島に向かって呟く。
その呟きに横島は
「 あんたさっきまで元気一杯
──俺をシバイとったやないかぁッ! 」
半泣きになりながら叫んだ。
轟ッ!
そんな横島に向かって華陽の作り出した狐火が
音を立てて迫り来る。
「 ──ッ!ちょっとは手加減してぇ─!! 」
次々に来る火球となった狐火を避けながら言う横島に対し
僅かに華陽は驚きを感じていた。
華陽は狐火とは別に、その位置をずらす幻術を施していた。
しかし、あろうことか横島は幻術の影響すら微塵とも見せずに
振るう狐火を危なげなく避けている。
──何故。 そんな言葉が浮かんでくる。
止める事なく振るう狐火を避ける横島を
視界に止め、僅かに華陽は思考する。
瞬間
姐妃の姿を視界の端に入れ
「 そうか──姐妃か・・・── 」
口の中でそっと呟き、狐火を振るうのを一旦止めた。
そんな華陽を見て、姐妃は僅かに口元に微笑を浮かべ
「 やっと気づいたようね 」
「 ふん。邪魔な事を── 」
華陽は話しかけると同時に
その右手の平に禍々しい程に燃える狐火を
一度浮かべると、握りつぶす様な仕草をして
その狐火を圧縮させる
「 ──するなッ! 」
吐き捨てる様に言うと同時に
圧縮した狐火に指向性を持たせ姐妃を薙ぎ払う。
斬ッ!
急に攻撃を止めた華陽に対して怪訝な思いを浮かべながらも
目を閉じ、森の気配へと自身を埋没させていた横島は
姐妃を薙ぎ払おうとしている華陽の背後から
「 ──ッ! させるかぁっ! 」
注意を引くため、そう叫びながら
狐火を放つその腕の肩口を支点に後ろからずらした。
横に薙ぎ払う筈の狐火を、僅かに上方へと反らされた華陽は
忌々しそうに背後にいる横島に
ずらされた腕の勢いを殺さずに振り向くと同時に
空いている左手に僅かな狐火を纏わせながら
横島の腎臓の辺りに叩き込んだ。
「 ──ッッッ! 」
腎臓を強く圧迫されながら、姐妃のいる方とは
真逆の位置にある大木へと吹き飛ばされた。
「 哀れな道化よ──貴様如きに何ができるという。 」
うめき声と同時に水のような胃液をほんの少しだけ
吐き出している横島に視線を向け尋ねた。
後書き
ブレーカーが三度も落ちた水稀です(挨拶
今回はちょっと短いです。
理由はバトルシーンを今回の話しに入れきれないかな
と思いまして(´ω`)
っていうか
バトルシーンって難しいですね。
動きを書いていこうと思っても
文字数的に略さないといけないとこもあるだろうし・・
っていうか
小説が難しいんですね^^;
何度も書いたり消したりを繰り返しながら
がんばってますw
『 拓坊様 』
今回でタマモの生き残る為の道の概要を
軽く書いたんですが・・・おかしくないですかね?w
満足まではいかなくても納得してくれたら幸いですorz
『 帝様 』
デムパ期間が終わり シリアスにいけそうな
気がするんですが・・・。
デムパがないとおキヌちゃんに出番がないという
悪循環・・・orz
OHッ! Shitッ!ヾ(`д´)ノ
それでも頑張っていくので・・・生温かい目で
見守ってくださいなw
今回はコレでおしまいです。
御二方 毎回レスありがとうございます!
励みになってますので、感謝をっ!
では、次回もがんばりますので
いつも見ていてくれる方も これから見てくれる方も
今後ともよろしくお願いしますっ!