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▽レス始

「GSルシオラ?恋闘編!!第19話(GS)」

クロト (2005-12-12 19:52/2005-12-12 20:05)
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 美神・横島・ルシオラの3人を乗せたボートが、美神が持つ見鬼クンの指示に従って海上を進んでいる。
 彼女達の立場は言わば単騎敵本陣に乗り込んで大将首を獲りにいくヒットマン。当然に大量の敵が襲ってくることになるが、美神はともかく横島とルシオラの両名は、のほほーんと美神の水着だの夜の海面だのを眺めていた。
 そのタネは横島が張った強力な攻性結界、手持ち最後の文珠4つでつくられた《見》《敵》《必》《殺》である。
 殺人事件捜査のときは使うのを控えたこれは、圏内に入った《敵》を問答無用で《殺》してしまうというもので、すでに死者であるはずの舟幽霊すら葬ってしまうほど徹底的な効力を持っていた。
「役に立ってるのは認めるけど、こんな凶悪な代物どこから引っ張ってきたのよ」
 見鬼クンの指示に沿ってなので、あまりスピードは出せない。だから普通の結界では近寄ってきた敵にそのまま纏わりつかれていずれ大変なことになってしまう。その点これは黙っていても攻撃してくれるのだから便利ではあるのだが、作用があまりにも物騒すぎる。
「「まあ、いろいろと」」
 横島とルシオラが視線をそらす。あまり褒められたソースではないらしい。
「ま、いいけどね。そろそろ近いから準備して」
「別に準備なんて要らないわよ。着いたらすぐにできるわ」
「そ、そう」
 毎度のことながら規格外な娘だ。
 やがて美神は大将の真上らしい位置を探り当てて、
「この下、深さ80mってところね。いける?」
「ええ。それじゃヨコシマ、こっち来て」
 立ち上がったルシオラは、左手で横島を抱き寄せ、右手を前に突き出した。
 水中で行動できるようにするための術を展開する。

  ア  ヴ  ァ  ロ  ン  ?
「全て遠き新婚旅行……!」

 その行き先が大量の水妖がさまよっている海中というのはいかがなものかと思われるが、そういう仕様なのだから仕方がない。文字通り水も漏らさぬ球形の防壁が2人を覆う。
「じゃ、行ってくるわね」
 水中に沈んでいくその球体は大きな泡のようにも見えた。そのままだと浮かんでしまうのだが、空を飛ぶための推力を下向きに使えば潜って行く事はできる。
 ちなみに結界はボートに残してあるので美神の安全は保証済みだ。
「どうやらあいつみたいね」
 大きな亀のような妖怪が集団の中央に陣取って指示らしき事を行っている。まだこちらの接近を気づかれてはいないようだが、
「でもどーやって攻撃するんだ? この壁に穴あけるわけにはいかんだろ」
「大丈夫よ、まあ見てて。水中のための……」
 ルシオラは横島の問いかけにそう微笑んで答えると、ふううっと呼吸を整え、右拳を大きく振り上げた。


   壊 れ ア シ ュ オ ー バ ー ド ラ イ ブ
「紫色の魔神疾走ーー!!」


 殴りつけた防壁の向こう側に角が生えたマッチョのヴィジョンが現れ、流麗なスプリンター走法で突進していく。
 敵本陣は踏み潰されました。
 ……嫌すぎる。

 こうして司令部を撃破された妖怪・幽霊連合軍は、第5波が全滅した頃には完全に統率を失い、例年通りのばらばらな動きになった。
 まだまだ戦いは続くが、これはもう残敵掃討にすぎない。
 夜明けには外の結界が再起動し、新手の侵入も阻止された。
 こうして、GS軍と霊たちによる歴史的戦いは見事GS軍の完勝に終わったのだった。

「み……みんな無事かーっ!?」
「人数確認しました……みんな無事です〜〜〜」
 疲れ果てた鬼道の呼びかけに、同じように疲れ切った声でおキヌが答えた。ケガをした生徒もいたが、冥子のショウトラが現在治療中である。
 ほとんどの生徒はグロッキーで浜辺に寝転んだり座ったりしていたが、そこから少し離れた茂みの辺りに多少体力を残した数名の男女がいた。
「……たった3人で大将を倒してくるなんてやっぱりすごいです。ほんとにありがとうございました」
 京香がぺこりと頭を下げる。彼女は美神達がボートで沖合いに行ったのに気づいていた。それが戻った頃に敵の動きが乱れ始めたのだから、言われずとも彼女達が指揮系統を破壊したのだと分かる。
「いやー、気がついたのは美神さんだからな。礼なら美神さんに言ってくれ。っていうか仕事なんだからそんなに気にしなくていいって」
 自分を褒め、認めてくれる相手には、横島もこのように謙虚になれるらしい。
「そうですか……」
 そう言われて京香は一連の流れを考えてみる。
 美神がいつの時点でこの作戦を考えついたのかは分からないが、実行に移したのは横島とルシオラを発見した直後だ。自分1人、あるいはエミや冥子と一緒では不足だと判断したのだろう。
 あの広い戦場で敵味方の状況をきちんと分析し、やれると思った時点で行動に出たのだ。そして実際に成功し、勝利への契機をつくった。
 それが実戦の場で鍛えた判断力というものなのだろう。自分達の対抗戦などとは格が違っていた。
(ほんとに、すごいですね)
 そう思ったとき、自然に口をついて出た言葉は、
「ところで美神さんの事務所ってアルバイトの募集とかってしてないですか?」
 朱に交われば赤くなる。優れた人たちの輪の中に入れればそれだけでも有意義なのだ。しかしそれを聞いた横島とルシオラは怖いものでも見たかのように後ずさって、

「やめろ、やめるんだジョー!」
「この命知らずのバカ弟子が!」

 言葉ではなく表情でそんなことを激しく語っていた。
「あ、あの……どうかしたんですか?」
 おそるおそる訊ねる京香に横島はしんみりした顔で、
「なあ京香ちゃん、ここの夜空って綺麗だよな」
 何気なく京香の肩に手を置き、もう片方の手で満天の星を指さす。
「……はあ」
 確かに東京のくすんだ夜空よりはずっと綺麗だ。星もいっぱい見える。でもそれが今の話とどうつながるんだろう……?
「でもあれは恒星だから、近づいたら燃えてしまう。美神さんも一見は華やかだけど、中身は超守銭奴の鬼「なに雇い主の陰口たたいとるかおのれはぁぁっ!!」」
「へぐぅっ!?」
 美神の48のシバキ技の1つ美神スパークが炸裂し、横島の体が宙に舞う。さっきまで本部にいた筈なのだが、横島スカウター級の高性能を誇る美神イヤーによって従業員の不埒な発言を聞きつけたのだ。
「あ、あの、美神さん……!?」
 一般人にはその光景はかなり刺激が強かったようで、京香が呆然と美神の顔をみつめる。美神はその視線を受けてはっと我に返り、ごほんと咳払いして、
「えーと、ウチでバイトしたいのかしら?」
「は……はい」
 道を誤ったかも、と微妙に疑念をいだきつつやむを得ず肯定の返事をかえす京香。美神はうんうんと頷いて、
「ウチももう大勢いるけど、あなたくらいできる子だったら大歓迎よ。ただし仕事はキツいから、ちゃんと覚悟を決めてから改めておいでなさい」
 京香のことはここでも見ているし、対抗戦のときも見た。知識面は分からないが戦闘力は中堅GS並みだ。特におキヌの護衛としてはうってつけだろう。
「はい!」
 しごく真っ当な美神の言葉に、さっき湧き上がった疑問が消えてしまった京香は嬉しげにそう答えたのだった。

 美神が居づらいのか足早にそこを去った後、京香はおずおずとルシオラに話しかけた。
「あの、ルシオラさん。最初に会ったときのお話なんですが」
「……」
 ルシオラもそう言われれば用件は想像がつく。しかし彼女が同僚になった今、あまり冷たくもあしらえない。それに横島の修行相手にもなるだろうし。でもその前に、
「言いたい事は分かるけど、あなたはもう忍者系の技をそれなりに習得してるでしょう。学校でもいろいろ勉強してるわけだし、そのうえ私達にまでくっついて大丈夫なのね?」
 引き出しの1つとしてソーサーを覚える程度なら構わないと思うが、あまりいろんな事に手を出して技術体系がちゃんぽんになったらまずいだろう。
 弟子は横島1人でいいといまだに思っているルシオラだが、教えるからにはいい加減なことはできないと考えているのだ。
「はい!」
 京香の顔がぱっと明るくなる。そんな注意を事前に与えてくれるのだから、やはり自分の選択は間違いじゃなかったと確信したのだ。
 ルシオラは頷いて、
「そう、でも私の修行は楽じゃないわよ。雑巾がけから始める覚悟はあるかしら?」
 なぜに雑巾がけ!?と深く突っ込みたかった横島だが、これは2人の問題なので口出しはできない。
 一応これも修行術式の1つらしいが、大リー○パンチならともかくサイキックソーサーぐらいで必要とも思われないが……。
「はい、がんばります!!」
 元気よく答える京香。何もしないで教えてもらう方が心苦しいくらいで、むしろ望むところなのだ。
 がっちりと握手をかわす3人。こうして美神事務所のメンバーがまた1人増えたのだった。

 後日、仕事の内容が当初の説明よりはるかに難度が高かったことと、おキヌ以外の従業員を総出動させたということで、美神は六道女史から2倍の報酬額を勝ち取った。
 それによって、シロにはステーキとドッグフード、タマモにはきつねうどんと稲荷寿司がそれぞれ3日分振舞われた。全て普段は支給されない高級品ばかりである。
 そして最高殊勲者の横島(ルシオラ込み)はと言えば、
「黙って来たのは腹立ったけど、助かったのは事実だからチャラってことにしといてあげる」
「何でですか!? せめて無駄になったホテル代くらい出して下さいよ」
「贅沢言わない! 女子高生と仲良くなれたんだからいいじゃない」
「それとこれとは関係ないじゃないですか!」
「えーいうるさい! シバかれないだけマシだと思いなさい」
 ……結局、ルシオラの取り成しでわりのいい仕事を1本回してもらうということで決着がついた。
 さらに後日。
 京香が美神事務所でバイトする事になったのを知った弓が、ならば自分もと押し掛けたが、
「バイトの募集はもう終わったから」
 とすげなく断られて血涙を流したのはまた別の話である。


 ――――つづく。

 ちょっと短めですが臨海学校編終了です。4話もかかるとは思いませんでした。
 美神が弓を蹴ったのは、まとわりつかれると鬱陶しい、もとい免許ないのがあまり増えても使いづらいのと、闘竜寺の跡継ぎをバイトで使って何かあったら面倒だからです。
 京香の背景は不明ですがそう大仰なものではないという設定です(ぉ
 ではレス返しを。

○無銘さん
>しかし、↓には激しく同意します(爆)
 美神のヤバさも見過ごしてしまった京香ちゃんの今後がちょっとだけ心配です(ぉぃ
>ところで、実に珍しく誤字発見: 触覚娘 → 触角娘
 ああっ、ついに無敗記録が○(_ _○)
 修正しておきました。
>「ガラスの仮面」
 ありがとうございます。有名な漫画ですね。作者様の名前は聞いたことあります。
 あれの関係で……。
>ゲイ・ボルク
 わざわざご説明いただきありがとうございましたm(_ _)m
 私が以前呼んだ本では「ガエ・ボルガ」となってました。

○ASさん
>ルシオラがいても横島君はナンパなしは無理なんですねf^_^;
 無理です(断言)。
 ナンパしない横島なんて(以下略)ですから。
 京香ちゃんは次回さらなる行動に出ます(謎)。

○ゆんさん
>俺は断固として京香のレギュラー化をキボン・・・<黙れ
 ご声援に応えて事務所メンバーにまでなってしまいました。
 しかし7人なんて大所帯つくって大丈夫か自分(ぉぃ
>オキヌちゃんが黒くならなければいいけどw
 そろそろ目立たせてやらないとヤバいような(^^;

○拓坊さん
>ルシオラ今更だけど反則的に強いな〜けどそのネタってどっから仕入れてるんだろ?
 転生して英霊化したときに習得しました(違)。

○黒川さん
>これが横っちの近くで見ればよく分かる良さなのでしょうかね〜(^^;
 銀ちゃん辺りが見たらまたぶーたれそうですw
>黒大将
 なるほど、SF系でしたか。
 確かに地球上で使えるモノじゃありませんものねぇ。

○遊鬼さん
>これはやっぱり京香フラグなんでしょうか!?
 急角度で進行中です。
 このまま行くとおキヌちゃん並みに(ぉ
>これは暗にOKサイン??
 それは深読みのし過ぎですよぅぅぅ〜〜〜。

○緑の騎士さん
 はじめまして、宜しくお願いします。
 ここの横島君は純シリアス系では使えないネタを平然と使えるのが最大の強みです(ぉ
 ちなみに「攻撃の吸収貯蓄(文殊に)」は別のところで使われちゃってます(^^;

○雪龍さん
>京香さんのレギュラー化になったら更に、サー○ァ○ント化しそうですね
 うーん、普通の人間がサーヴァ○ト化って出来るんかな<マテ

○良介さん
>この部分ですがですが、既にそのネタで掲載されている方が居りますので確認取らないとまずいかも
 あ、そう言えばこれ知ってました(^^;
 今後使うかどうかは未定ですが少なくとも同じ形では使えませんね。

○レム睡眠さん
>今回横島君は大人しかったですね〜
 突っ込み役が2人も居ましたから(ぇ
 ゲイボルクについては無銘さんが書いて下さった通りです。

○わーくんさん
 入院ですか、お大事に。
>いや、あなた絶対キレてたでしょ?(汗)
 だって美神さんですし(ぉ
>ギャグ(&ネタ)キャラが多い中で真面目タイプだからなのでは?
 少数派ゆえ引き立っているというわけですか……なるほど。
 まあ、書き手としては人気があるのは嬉しいのですが。

   ではまた。

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