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▽レス始

「GSルシオラ?恋闘編!!第17話(GS)」

クロト (2005-12-09 20:24)
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 京香が級友達と共に海岸に現れたとき、横島達の姿はなかった。
 一瞬最悪の想像が脳裏をよぎったが、それなら遺体があるはずで、彼らはその言葉通り逃げたのだろうと自分に言い聞かせる。
 4人のことが気になって除霊に集中できなかった、などという失態は見せられないから。
 ちなみに京香は横島達のことを鬼道には報告していたが、鬼道は情報を簡素にするため敵襲としか周囲には伝えていないので、美神を含めた大部分の者は彼らのことは知らない。
 海上に敵の姿が見えるが、まだ陸地に到着してはいなかった。
 エミの指示でまず霊体ボウガン班が両翼に展開して、その護衛のもと結界工作班が次々と結界杭を砂の中に打ち込んでいく。
 横1列に結界杭を並べ終われば防御ラインの完成である。
「これで後方への侵入は防げるわね」
 美神が安堵の息をついた。出遅れはしたが、最悪の事態は防げたのだ。
 近づいてくる舟幽霊たちを見据えて、
「来たわね。では各自応戦開始!」
 その号令のもと、いよいよ生徒達は本格的な戦闘に入った。

 その光景を横島達4人は少し離れた場所から鑑賞、もとい見学していた。彼が待ち望んだ『海岸を埋め尽くす水着の女子高生』である。
 文珠《狼》《王》さえ解除すれば残っていてもいいはずだが、ルシオラの「これはあの子たちの実習なんだから、元々留守番だった自分達が目立つのはためにならない」という意見で退散していたのだ。
 実習に参加するとなればその目的上自分達はあくまでフォローに徹するわけで、徹夜も有り得るだろう。そうなればせっかく取ったホテルの予約が無駄になってしまう。それは避けたかった。
 つまりルシオラは初めから横島を除霊実習にかかわらせるつもりはなく、それをダシにして自分がデート旅行を楽しもうという魂胆だったのだ。
 さっき足止めをしたのは人道的にやむを得ない事態だったからで、主役が来た以上撤退は当然の行動だった。
「諸葛ルシって呼んでね♪」
 現在横島はシロタマが左右から腕を取って拘束している。まだ薄いがやわらかい胸の感触が彼の機動力を奪っていた。
 いずれ暗くなって実習が見えにくくなれば横島も飽きるだろう。そうしたらホテルに戻って豪華なディナーを堪能した後、部屋で愛を確かめあ……ごほん。
「ヨコシマ、今日は楽しかったわ。ありがとう」
「礼を言うのは俺の方さ。お前と出会えたのは本当に幸運だった。神様に感謝してるよ」
「神様って小竜姫さん?」
「何を言うんだ、俺の目に映ってるのはお前だけさ。これからもずっと」
「ヨコシマ……」
「ルシオラ……」
 ……ちょ、ちょっとヨコシマには無理がある台詞かしらね。でも私がリードすれば何とか……きゃあ♪
 諸葛ルシ……恐ろしい子!

 GS軍は引率とインストラクターの6人を中央に、結界杭にそってA〜G組を順番に横1列に並べる線的防御を展開していた。
 対する妖怪・幽霊連合軍はその線に向かって第1波、第2波と次々に繰り出す形で攻撃を続けている。
 第1波は横島に7割方消滅させられ、残りはGS軍に退治されたので、現在は第2波が出て来たところだ。舟幽霊の群れを主力とし、メロウと平家ガニが撹乱要員として加わっている。
 ここにおキヌのネクロマンサーの笛があればこの舟幽霊達を一気に浄化できるのだが、今回は実習ということで皆そういう特殊な道具は持って来ていない。あるのは霊体ボウガンやお札、神通棍といった一般的なものばかりだ。
 ただ今いる敵は小さくてすばしこいタイプなのでボウガンを使っている者は少ない。近づいてきたところをお札で退治するのが主な手段であった。
 各クラスとも対抗戦に出た3人を中心として、周囲がそれをサポートするという形で戦いを進めている。このくらいの数のぶつかり合いでは、1人の勇者の活躍が戦局を左右するのだ。
 その中でも最強なのは12神将を操る冥子であった。中央に来る敵は彼女がほとんどしとめている。問題なのはプッツンだが、美神や鬼道がそばにいるので今のところその懸念はなかった。
 やがて第2波は全滅したが、間髪入れずに第3波の登場が確認された。
「やっぱキツい修行だったんだな」
 一文字が隣の弓に声をかける。なるほど一流GSを3人も呼んだわけだ。
「そうですわね。でもこのくらいで弱音を吐いていられませんわ」
 おねーさまが見てるんですもの!と拳を握る弓。
 B組主力はこの2人、前衛に出て神通棍を振り回していた。本来の得物は角材や薙刀だったが霊的な使い方は似たようなものだから、いちいちお札を投げるよりは効率が良い。
 笛のないおキヌは他の生徒にまじって2人のサポートをしている。彼女がお札やボウガンを使うことはめったに無かったから、いい経験になるであろう。
「いやーっ、私ったら何てひどい事を!?」
 飛んで来たメロウを霊体ボウガンで射落とした少女が絶叫した。
 G組の神野恵那、対抗戦では幻覚を使った娘である。見た目の可愛いメロウを殺してしまった事に罪悪感を覚えたらしい。
「見た目にだまされるんじゃないっ!」
 京香が思わず叱りつけた。全く、日頃から精神力に難があると思ってはいたが……。
「はあっ!」
 そこへさらに落ちてきたメロウ達を手刀と蹴りで撃破する。鬼道の説明通り数は多くても雑魚ばかりだから、彼女ぐらいになるとお札を使うよりこの方が楽だった。もう1人の峰・アイリスは雷獣になって暴れまわっている。このクラスはまだわりと余裕があるようだった。
「だめだわ、敵の数がこっちの限界を超え始めた……!!」
 しかし別のところでは自軍の不利を口にする者もいた。A組の村松幾乃である。
 後衛のサポート組はどのクラスも大差ないので、グループとしての力は前衛組が左右する。しかしA組の代表3人は扇や仮面といった固有の装備がないと他の生徒達と同レベルで、つまり弓や京香のような頼りになるカベがいないのだ。その分崩れるのは早かった。
「しまっ…」
 退治しそこねた舟幽霊に隙をつかれ、その手に持った柄杓から大量の水撃がそそがれる。
「ぶわっ!」
 顔にまともにくらって幾乃が後ろに倒れた。それで陣形に穴が開き、なだれ込んできた舟幽霊たちの一斉攻撃をうけて辺りが濁流に包まれる。
「A組が突破されました!」
「夜叉丸!」
 中央で戦況を監視していた栗山の報告を受けて、鬼道が自らの式神を出動させる。
 かって12神将を7匹まで倒した実力は圧倒的だ。A組を攻撃していた舟幽霊をあっという間に撃破して倒れた生徒を介抱したが、
「げほっ、ごほ……じょ、冗談じゃないわ! いくら除霊しても後から後から……こんなの勝てない!」
「……」
 確かに今年はおかしい。去年まではこんなに数は多くなく、統制された行動も取っていなかった。
 だからと言っていま鬼道にできる事といえば、
「泣き言いうとっても敵は減らへん。もちっと気合いれて頑張りや」
 と励ますことぐらいだったのだが……。
「C組の援護お願いします!」
 栗山の声でエミがそちらに走った。手にしたブーメランを振り回して、手当たり次第に妖怪を蹴散らす。
 しかし生徒達は徐々に疲労がたまり、戦況はジリ貧の様相を見せ始めた。
「このままじゃまずいわね。敵は統率が取れてる、せめてそれをどうにかしないと……」
 E組の応援に行った美神がぼそりと呟く。
 しかし敵の出現地点はずっと沖合い。おそらく大将は海中、それもかなり深くに陣取っているだろう。それを倒す方法となると……。
「あーもーこーいうときにアイツはいないんだからッ!」
 自分が留守番を命じたことを棚に上げて叫ぶ美神。海に叩き込むのはルシオラの報復が怖いのでしないとしても、文珠ならどうにか出来そうではないか。
 ……実は彼らがここにいる事を知ったら彼女はどう反応するだろうか?

「……2人とも大丈夫?」
 敵の第4波と懸命に戦いながら、京香は傍らの友人2人に声をかけた。彼女が属するG組は唯一まだ鬼道や美神の支援を受けていない。素手での格闘なら京香とアイリスが飛びぬけた実力を持っていたからだ。
「……かなりダメ」
「疲れた〜〜〜」
 しかしそれにも限度がありそうだった。後ろのお札組も疲れてきているようだ。
(私はまだ大丈夫だけど、私だけじゃね……そう言えば横島さん達ってどうしてるんだろ……って横島さん!?)
 頼りになりそうな知り合いの存在を思い出してはっと顔を上げる。
 彼らは今いったい何をしているんだろう。足止めの任は果たしたからホテルに帰ったのだろうか?
 気になって周囲を見渡す。もうだいぶ暗くなっていたが、彼女はそれなりに夜目が効いた。
「あー、いたーーーーーーっ!!!!」
 少し離れた茂みの辺りで、体操座りでこちらに顔を向けている4人の少年少女の姿を遠目にとらえる。意地の悪いことに彼らは自分達の苦境を見物していたのだ!
「ちょっと行ってくる! 後よろしくっ!!」
「え、何? ちょっと、アンタがいなくなったらヤバいじゃないーーー!」
 後ろで泣き叫ぶ恵那を無視して、京香は一目散に駆け出した。

 ずだだだだだっ!!
 京香は忍者走法を駆使して疾風の勢いで4人の前に到達する。80cm手前でびたっと止まると両手を膝についてぜーぜーと息を荒げながら、
「こ、こんな所で何をしてるんですかっ!!」
 しかしルシオラはそんな京香を不思議そうに眺めながら、
「何って、実習の見学よ。見えにくくなって来たからそろそろ帰ってディナーにしようと思ってたんだけど……」
 ぴし。
 京香は自分の理性にヒビが入る音を確かに聞いた。
「ディ、ディナーって……そりゃルシオラさん達は遊びに来たんでしょうけど、私達はあんなに苦戦してるのに……」
 そうつっかかる京香だったが、ルシオラの次の返事で言葉を失った。
「だってあなた達の実習でしょ? 私達が助けてたら意味ないじゃない。実際の仕事じゃいくらピンチになっても誰も助けてくれないのよ?」
「……」
 気まずい沈黙が場を支配する。京香はふと横島の顔を見たが、彼も自分に加勢する様子はなかった。
 ルシオラの言うことは正論だった。安易に助けを求めようとした自分が甘かったのか、と唇をかむ。
 ――もっとも横島が黙っていたのは、ルシオラの意見に賛同したからではないのだが。
 京香の水着姿を目の前にして、彼はその戦力を分析するべく横島スカウターを起動させていた。
 顔形はクールで落ち着いた感じでありながらけっこう可愛い。水着はシンプルなワンピースだが背中が大きく開いており、ハイレグの角度も高めの良いデザインである。鍛えられたしなやかな肢体は必要十分の肉付きをも備え、肌つやも健康的だ。3サイズも84D・56・85と高レベル。
「うむ、君をカテゴリーA以上の女体と認識する!」
「何考えてるんですかこの非常時にっ!!」

 京香の拳骨が横島の脳天に炸裂する。横島は頭を手で押さえながら、
「い、いや場を和ませようと思ってだな」
「そんな場合じゃありません!」
 と言いつつも、京香は褒められた事については満更でもなかった。喜んでもらえるなら少しくらい……なんて思ったのは内緒だ。
 そこに最も無関心と思われたタマモが口を挟んだ。
「どっちにしてもあんたに言われて助けに行くわけにはいかないわよ。余計な事するなとか言って怒られるのも嫌だし」
 苦境を乗り越えてこその実習である。それを勝手に解決されては学校側も困るだろう。もちろん生徒に死者が出たり敗勢が確定するような事態になれば別だが、それを判断するのは京香でもルシオラでもない。
 京香はその言外の意味を察した。
「じゃ、じゃあ、先生の依頼ってことになったら来てくれます?」
 その提言にルシオラは頷いて、
「そうね、そこまで危なくなったのならいいわよ。美神さんとおキヌちゃんもいることだし。ヨコシマもそれでいい?」
「ああ、俺はどっちでもいいよ」
 女の子の窮地を颯爽と助けるヒーロー、実に素晴らしいがルシオラとの優雅なディナーも捨てがたい。ここは流れに任せることにしたようだ。
「先生と大先生が行かれるのなら拙者に異存はござらん。みんなを助けるでござるよ」
「報酬忘れないでね。ディナーと引き換えなんだから」
「……」
 いまいち頼りない感じだけど実力はあるんだ。京香は自分にそう言い聞かせると再びダッシュで駆け戻った。
 さっそく鬼道に説明すると、鬼道も2つ返事で了解した。
 彼も事態の打開に苦慮していたのだ。シロとタマモの事は知らないが横島とルシオラの実力は対抗戦のときに見ている。願ってもない応援だった。
 本来なら美神の了承も得なければならないのだが、彼女は現在A組の辺りに張りついていて話ができない。戻ったときに説明しよう、と考えて独断で承知したのである。報酬については後で考えるとして。
 こうして、横島達が『G組に』応援に入ることが決定した。


 ――――つづく。

 京香ちゃんMVP!?
 おキヌちゃんは割り食って出番極小に○(_ _○)
 あと諸葛ルシは黒じゃないです。京香をたしなめた台詞も本心で、それが自分の利益でもあったと。ちなみに元ネタは言うまでもなく孔明じゃなくて凛です(ぉ
 ではレス返しを。

○夜雲さん
>なんかNG騎士ラムネ&40(VS騎士ラムネ&40炎)の勇者ダ・サイダーのダジャレ剣法に似ている気が
 うーん、それは見たことがないので分かりません。
>紅蓮たち”字伏せ”でも出せば海岸は阿鼻叫喚!!(^^)
 手伝いに来て阿鼻叫喚させてどうするんですか(突っ込み)。
>大十字○朗は鬼畜(ロリペド)だったかな?
 まずいっすそれは(^^;

○拓坊さん
>最後の文殊《狼》《王》はやっぱりアレな姿に変化しちゃってるのかな?
 神殺しの魔狼になってるやら単なる餓狼になってるやら(ぉぃ

○ジンさん
>巨○兵?
 書くときは意識してなかったですが、ビジュアル的にはそんな感じかと。

○ももさん
>ええ!答えを得たんですか??エピローグ一直線じゃないですか(ぉ
 このネタ分かってくれた人がいてくれて嬉しいです。
 まだ決戦編に入ってもいないというのに気が早すぎです横島君w
>んで、ルシの「なぎ払え!」の台詞がほしかったですぅ
 次の技では入れさせたいですねぇ。
>違う方向に暴走しそうな表現ですね。横島君だし(ぉ
 仕様ですw
>あれ?女生徒にフラグがちらちらと見えるんですけど(w
 六女の横島派副長候補です(ぇ

○無銘さん
>1行下を見て納得。こういうセンスは実に良いですね
 そう、そのためにここで狼王にしたんです(^^
>ただ、「少々ドギツイ」の意味が良く分からないのですが
 人間がいきなり魔狼に変身するのを見たらやっぱりショック大きいですから。もちろんそんな力を六女生徒には見せられません。
 特にシロは犬飼を思い起こしますからね。
 では何故2人を気絶させてまでしてやったかと言うと、あれが1番広範囲を持続的に攻撃できる方法だったんです。《爆》や《浄》は1発こっきりですし、《姫》《君》には飛び道具がありませんから。
>サイキックソーサー
 このSSでは難度低として扱われてます。
 要は体内のエネルギーを集めて固めるというだけで、ぶっちゃけ霊波砲撃ったり神通棍に霊力流したりするのと作業的には大差ないです。
 なので六女生徒ならちょっと練習すれば誰でも出来るようになりますが、威力や所要時間などはセンスと練習量で差がつく、という所でしょうか。

○ゆんさん
>タマモにはフラグ立ったのに!台無しにしてどうすんだ!横島!!
 むしろルシオラの策謀です(ぇ

○遊鬼さん
>しかし、ルシオラの水着姿かぁ…画が欲しい!!(爆)
 私も欲しいので誰か描いて下さい<マテ
>これじゃシロタマは出番ないっすね(笑)
 次回はちゃんと出ますのでお待ち下さい。

○てぃREXさん
>餓えた狼たちの王だと悪霊を倒した後、ものすごいコンプレックスが発生しそうだ
 そのコンプレックスをビーム化して放射したのです(嘘)。

○555さん
>一クラスおよそ14人って少ないだろその2倍はいないと
 六女には普通科もありますから。
 1クラスが40人とすると、霊能科が15人で普通科が25人くらいの混合クラスになると想定しました。英語や数学などは一緒に受けられますから。

○ジェミナスさん
>斬艦刀
 検索中……ってスパ○ボですか(^^;
 猿神でも耐えられないんじゃ(^^;;

○みっしぇるさん
>某水の魔○機神のフェ○リル○ラッシュの構図が頭をよぎったデスヨ
 いろいろ似たシーンがあるんですねぇ。

○ガバメントさん
>3×3ア○ズの獣魔術全部使えるんじゃ〜ないのかと!!
 使えるでしょうね〜〜。
 ただ2文字使って攻撃は単発じゃ効率が悪そうです。

○なまけものさん
 狼王使った理由は上記の通りですぅ。
 文珠の文字数は現在最高4文字です。第15話で触れましたが『見敵必殺』すら発動できます(ぉぃ
 実際に4文字を必要とする事態はあまり無いですが。
 京香ちゃんは奮戦中です。でもこの娘がソーサー覚えたら1人で対抗戦に勝ってしまいそうな(^^;
>いつものごとくネタ技を使えばいいのに
 あの場で聖剣や乖離剣だとギャグにならな……げふんげふん。

○ASさん
>あと龍玉から≪孫≫≪悟≫≪空≫とかは無理ですか?
 その技はすでに前例が……(^^;

   ではまた。

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