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▽レス始

「GSルシオラ?恋闘編!!第15話(GS)」

クロト (2005-12-06 20:15)
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「「狩りの開始よっ!」」
 シロとタマモが同時に飛び出す。地面に四つん這いになって、くんくんと手掛かりになる臭いを探した。
 2人が人間の姿で警官(Gメン?)の制服を着ていることと合わせるとかなりシュールな光景であったが……。
「どんな殺され方をしたかとかどんな凶器が使われたかぐらい教えなくていいの?」
「霊能力は主観が入り込む余地が大きいからね。下手に情報を与えると逆にそれに惑わされるかも知れないから仕方ない」
 美神と西条がそんな話をしているうちに、シロが先に手掛かりを得たのか自信ありげに立ち上がった。
「では拙者、これから犯人を追うでござる。先生、シロの活躍をとくと見ていてくだされ!」
「犯人の手掛かりを掴んだのか!? すごいぞ……!!」
 西条が嬉しそうに身を乗り出し、さっそくチームの3人はシロについて追跡に向かった。
 一方タマモはまだ難しい顔をして地面を嗅いでいる。
「連中行っちゃったわよ。あんたは何も掴めないの?」
「……そうでもないわ。多分シロと同じものを見つけてるはずよ」
「じゃ、何を……」
「しッ」
 タマモはそう言っておキヌを抑えると、再び地面に視線を落とした。
 彼女にはT字型に流れる『死臭』の筋が感じられていた。
 枝分かれした1本は道路で消えている。死人が出れば人間は必ず車で運ぶから残った2本が犯人だ。しかしどちらから来てどちらに行ったのかが分からない。
 タマモはしばらく考えていたが、やがて立ち上がるとシロとは逆方向に歩き出した。

 シロは現場に残った『死臭』のうち、被害者のそれが混じった方を追いかけていた。
 ただ、追っていれば臭いはだんだん強くなる筈なのに、それは逆に弱くなってきていた。
 そして橋の下の人通りのない道まで来たとき、それは完全に消えてしまった。
「霊波が……消えた!?」
「何だって……? こっちに間違いなかったんだろう!?」
「臭いは間違ってなかったはずでござるよ……! なんで殺された人の『死臭』が逆方向に続いてたんでござるか!? 拙者には何がなんだか……」
 シロと西条がその異変に慌て出す。横島とルシオラにも何故こういう事になったのかは分からなかったが、2人にとってこれが『敵』の細工によるものである事は明らかだった。
「ヨコシマ……」
「ああ」
 視線とひとことだけの合図だったが、心眼と宿主、師匠と弟子、そして戦いの記憶を共有する恋人同士だ。それだけで意味は通じた。
 そこへコートを着た若い女性が近づいてきた。
 シロの制服で分かったのか、
「あの……警察か何かの方ですか? 今そこで変なものを拾ったんですけど見てもらえますか?」
「西条下がれッ!」
 横島が警告を発するのと女性が袖から剃刀を出すのとは同時だった。
「何ッ!? く、お、お前……!?」
 にっこり笑っていた女性の顔が醜くゆがみ、西条を剃刀で切りつけた。西条は腕を僅かに切られたもののとっさに女性の腕を掴んで取り押さえたが、
「くっ……!?」
 剃刀を取り上げたところで、急に意識がかすんでくる。
 目がくらんで膝をついたが、いきなり立ち上がると横島に切りかかった。
「西条!?」
 しかし横島はサイキックソーサーを出してその一撃を防いだ。その隙にルシオラが霊波砲を撃って吹き飛ばす。
「西条どの……何で!?」
「ルシオラの後ろに下がれシロ!」
「は、はい!」
 シロには何が何だか分からなかったが、横島に怒鳴られてとりあえずその通りにした。やがてぎこちない動作で起き上がった西条が、
「……妙なことしてくれるじゃないか」
 と非人間的な表情で睨みつけてくる。
「「「西条(さん)(どの)じゃない……?」」」
 その態度と目の色の怪しさを見ればそうとしか思えない。
「何かに取り憑かれたか、乗っ取られたかしたわね。あの剃刀がタネかしら」
「警戒しておいて良かったな」
 横島が警告を発することができたのは、ルシオラの合図であらかじめ文珠《索》《敵》を上着のポケットの中で握っていたからだ。さっきまでは女性、そして今は西条『だけ』に反応している。
 他に《見》《敵》《必》《殺》という案もあったが、それはさすがにマズかろうということで封印中だ。
「乗っ取られた……? そうか、道理で霊波の追跡が混乱したわけでござる! 犠牲者が犯人にのっとられて、次の殺人を犯してたんでござるか……!!」
 シロのうめくような言葉に西条を乗っ取った何者かは嘲るような笑みを浮かべて、
「察しが早いな、さすがその道のプロだ。捕まらないはずだよな……俺には自分の肉体がないんだ!!」
 と手に持った剃刀を舐める。
「俺の本体はこいつさ……! いつからこうやってるかは自分でも分からねえが、血を吸うとそいつの体を使って動けるようになる。シャバに出たのは百年ぶりかな?」
 ……アヌ○ス神?
 1度使った技は2度通じないかも知れない、などとおバカなことを考えつつ西条の動きを見守る横島。
 そいつはいくぶんサディスティックな性向があったらしく、みずからの血塗られた経歴を問われもしないのに語り出した。
 百年前のロンドンで生まれた(?)彼だが当時かの街は空気が悪く、宿主の肉体が長く保たなかった。そこで次々人を殺して宿主を乗り換えたが、結局時間切れで動けなくなった。で、気がついてみたら日本の骨董屋の手に握られていたという事らしい。
「何故か宿主は女の方が相性がいいらしい。このオッサンはあんまり気に入らねえからな、代わりにお前の体をもらうぜ。さっきぶっ飛ばしてくれたしな」
 と西条がルシオラに剃刀を向ける。
「やれるつもり?」
 ルシオラも身構えて霊力の剣をつくりだした。横島はシロが不用意に飛び出さないよう、ルシオラの後ろで腕を握っている。何故かと言えば――西条は拳銃を持っていたから。
 バキュンッ……キンッ!
 西条が撃った銃弾をルシオラの七枚羽の盾がはじいた。

「ちっ、てめぇ……また妙なマネしやがって」
 西条がつまらなさそうに舌打ちする。
 ルシオラの盾は直径1m以上ある。透明に輝くそれは互いの視線を遮ることもなかったから、足元を撃っても防がれるだろう。もちろん剃刀ではどうしようもない。
「あきらめてその人解放しなさい。さもないとへし折るわよ」
「んー、確かにお前を切るのは難しそうだなあ」
 しかし西条は相変わらずの下卑た笑みを浮かべると剃刀を自分の喉に当てて、
「こいつを死なせたくなかったらその板捨てな」
「「……!」」
 3人が息を飲む。一種の人質戦術であるが、何といういやらしいやり方であろうか。
「……西条さん殺したら本体の剃刀も動けなくなるんじゃない?」
「ち、なかなか賢いじゃねえか。でもよ、人質ってのはこんな風にも使えるんだぜ?」
 西条はニヤリと笑うと喉元から剃刀を下ろし、左腕の真ん中辺りを軽く切った。
 動脈が切れたらしく、かなりの量の血が噴き出す。
「「な……!?」」
 ルシオラとシロが顔面蒼白になって立ちすくむ。ここまで邪悪な手段を用いるとは思ってもいなかった。
 しかしもちろん要求に応じるわけにはいかない。以前のような使い捨ての『身体』を提供するという策もあったが、今からバンダナの姿になるのは不自然すぎる。呻吟する2人だったが、


「――いいぞ、もっとやれ!!」


 逆に西条を煽る男が1人いた。
「できれば顔の辺りを、こう、ズバーッと! フラ○ケン○ュタ○ンばりに絶対女にモテないようにやっちゃってくれーーー!!」
「何考えてるのヨコシマ!」
「先生ーーーっ! 拙者は悲しいでござる!!」
「……バカか?」
 師匠と弟子のダブル突っ込みで地に伏した横島だったが、そのあまりの馬鹿らしさに西条の注意力も一瞬鈍った。
 それが横島の狙いだった――かどうかは分からないが、
(隙あり!)
 倒れた姿勢のまま栄光の手で文珠を持って、西条の足首めがけて最高速で伸ばす。こめた文字は《縛》。
「くっ、何だこれは? 体が動かん!」
 必死に呪縛を破ろうとする西条を見据えつつ横島は得意げに起き上がって、
「フッ、これぞ飛天横島流奥義、天翔ボケ突っ込み! 油断したお前の負けだ!」
 それこそどこからどう突っ込むべきか迷うような台詞だったがシロはすっかり感動して、
「さすがは先生でござる! では拙者がとどめを!」
「え? あ、ちょっと待って……」
「西条どのとこの女性の仇でござる。くらえーーー!!」
 ルシオラの制止も聞かず、シロは己の霊波刀を全力で剃刀にたたきつけた。
 剃刀の刃が折れ、その支配を脱した西条が意識を失う。
 横島は念のためその刃を粉々に破壊した後、まだ息があった女性を文珠で治してやった。
 一方ルシオラはシロがヒーリングで西条の傷口を癒しているのを眺めながら、
(うーん、これだとシロが一方的に勝ったことになっちゃうわね)
 何とか円満におさめる方法を考え始めていた。

 横島達が剃刀と戦っていた頃、美神達は最初の場所に戻って来ていた。
「な、なに? 現場に臭いが戻って来た?」
「現場に戻って私達のこと見てたんだわ。ヤジ馬の中にいたのかも……!」
 美神の言葉にタマモは緊張の色を濃くして、
「私達、狩りをしているつもりだったけど……ひょっとしたら、狩られているのは私達の方かもしれない……!!」
 どうやら犯人はただの通り魔などではないようだ。美神は慎重に行動するべきだと判断し、西条に携帯電話をかける。
 ちょっと長めの呼び出し音の後、返って来たのはルシオラの声。
 シロチームの勝利が知らされた。

 合流した後、シロはタマモに向かって思い切りふんぞり返った。対するタマモは口惜しそうに唇をかんでいる。
「やはり拙者の勝ちでござったな。約束通りお前は一生拙者の――」
 子分でござる、と言おうとしたシロの口を横島が手でふさいだ。
「ちょっと待てシロ。確かにタマモは遅れたが、お前の勝ちとは言えんぞ」
「え!?」
 師匠の意外な言葉に愕然と振り向くシロ。
「お前が先に奴と会えたのは、奴が俺達を先にやろうとしてたからだ。現にお前は霊波が消えた事に戸惑ってただろう? 奴をしとめたのはお前だが、それだって俺が金縛りにした後だったからな。お前の力じゃないだろ」
「……。そ、それはそうでござるが……先生は狐の味方をするでござるか?」
 シロはもう泣き出しそうになっていたが、横島はその肩にそっと手を置いて、
「そうじゃねえよ。ずっと子分なんて関係じゃこの先うまく行かねえって思うだけだ。代わりに今度メシ付きで散歩連れてってやるからさ。
 それとも俺の言うことなんて聞けねえか?」
「せ、せんせえ……」
 シロはぽわーっとして横島の顔に見入っている。
「そ、そんなことは決して。先生のためならたとえ火の中水の中でも行くでござる!」
「そこまでしなくていいよ。ほら、タマモに何か言ってやりな」
「は、はい。タ、タマモ……こ、今回は先生の顔に免じて勘弁してやるでござる。先生に感謝するでござるよ?」
 顔を真っ赤にしてどもりながらそう言うシロに、タマモはクスッと笑って、
「そうね、今回は素直に礼を言っとくわ。ありがとう、横島」
「お、おう」
 タマモの透明な笑顔に微妙に照れる横島。
 彼は事ある毎に自分はロリではないと主張しているが、シロタマは外見上は14歳ぐらい、17歳の彼にとってロリという程の年齢差はない。ましてタマモはいずれ絶世の美女に育つことが約束された娘である。パトスが動いたとしてもおかしくはなかった。
 ――まあ、彼の背後に控えるサーヴァ○ト2騎がそれを許せばの話だが。
「ヨコシマ?」
「横島さん?」
 恨みがましい声が2つ。横島はずざっと横に跳んで距離を取った。
「ま、待て。俺は2人の仲を取り持っただけだぞ。やましい事は何もない!」
「ええ、それは私もお願いしたことだから別にいいんだけど」
「シロちゃんとタマモちゃんに好かれて嬉しそうだなあって思ったら」
「「ちょっとだけ妬けちゃって」」
 全く突然に同盟を組んで攻めてきた2人の姿に、横島はかってド素人の身で雪之丞と相対したとき以上の恐怖を感じた。
「俺は無実やーーー!」
 なら逃げない方がいいはずだが?
 西条と美神はそんな年少・人外組の騒がしさに苦笑しながら、
「やれやれ、人外キラーもあそこまでいくと大変だね。ルシオラ君の苦労が偲ばれるよ」
 タマモに横島への恋愛感情があるようには見えなかったが、そこは西条、美神と横島を引き離せそうなチャンスは見逃さない。
 もっとも美神はすでに横ルシカップルを認めているので特段の反応は示さず、
「まあ、横島クンだから。それより西条さん、ケガの方はもういいの?」
「ああ、シロ君に治してもらったからね。それにこれで心霊捜査にもはずみがつく。2人のおかげだ」
「そう、良かったわ。報酬については改めて連絡するから」
「……」
 確かに今回の件ではシロタマだけでなく横ルシがいなければ西条は傀儡にされたまま死んでいた所なのでむしろ当然の話なのだが……。
 何となく納得しかねた西条輝彦(28)だった。


 ――――つづく。

 原作と違ってシロチームの勝ちになりましたが、これはチームに横ルシがいたからで、でもメンバーを選ぶのも勝負のうちとするならやっぱりシロの勝ち……なのかな?
 ではレス返しを。

○拓坊さん
>それを見るおキヌちゃんの寂しそうなのが心にきますね
 おキヌちゃんはそれを承知の上でですから……うーん、健気です。

○遊鬼さん
 タマモフラグは地道に進行中です。

○浜さん
>前の横島君の時は完全に徴用だったから
 そうですねぇ、しかしあれはまさに兵役でしたから徴用以上?

○ト小さん
>今回の問い詰めは今後の為の布石。と考えれば良いのですかね?
 ルシはそこまでは考えていないですねー。あれは単にちょっときつめの情報収集です。
 西条は横島を天敵だと思っててもああいう作戦はやらないと思われますから。
 ちなみにルシオラと西条の同盟はまだ生きてますw

○ももさん
>タマモの分析もなかなか的を射ててるし、ロックオン完了ですね(笑
 そう言っていただけると嬉しいです。
 誘惑じゃなくて本心でのアタックとなればルシも手荒に出来ないし、油揚げ程度なら横島でも賄えるし。
 ……あれ?

○夜雲さん
>『西条輝彦(28)少女誘拐して殺傷!?在りもしない国家権力を楯にして!?』
 剃刀を退治できなかったら本当にそうなってたかも知れませんねぇ(^^;
 でも原作で制服着せてたんだから仕方ないです<マテ
>『国際公務員、西条輝彦(28)嫉妬に狂って少年に切りかかる!!凶器は仕事道具か!?』
 これもルシが西条を同盟相手と見込んでなければそうなった可能性大……。
 しかし横島も色々やってますからお似合いの天敵かも知れません(^^;

○ゆんさん
>オキヌちゃん可哀想に・・・
 報われる日はあるんでしょうか……うぅ。
>横島ついに認めたな〜〜〜〜〜〜!!!!!!
 もうどこに行っても言い逃れできません。
 それでも諦めない人がいるというのは幸せ……なのかな??
>西条今こそ美神にアタックアタックw
 ところでよく考えてみるとこの2人って価値観正反対のような。
 特に金銭面で……。

○無銘さん
>今後はオリジナルの活躍をどんどん見せてもらいたいですね
 いろいろ関わらせる予定ですのでご期待下さい。
>「通常品で10万、美品なら30万」
 すごいですねぇ、さすが最初の貨幣。
 タマモももっと知識があれば自分で換金する手があったのに。
>道楽公務員のことなので、報酬自腹で個人的に雇ったのだと思いますが
 多分そうでしょうね。美神達も駆り出してるのでルシオラが言った通り事務所に依頼したという体裁になるのかな?
 制服はやっぱり彼の趣味でしょうか(ぉぃ

○ふぁんぐさん
 はじめまして、宜しくお願いします。
>今回も本当に面白いですねー
 ありがとうございます。
 大変励みになります。
>風邪等ひかぬよう気をつけて頑張ってください
 はい、お互い健康には気をつけましょう。

○雪龍さん
>そうなると思ってました。だって横島だし
 この一言で何でも有りになってしまいそうなのが横島君らしいですね(^^;

○tomoさん
>できれば「腹いせに車のシートに粗相してやるでござるッ!!」も変えてほしかったです
 むむ。
 しかし一言で美神を屈服させるとなるとあれ以上のものはなかなか(ぉぃ

○わーくんさん
>今回西条さん踏んだり蹴ったりですなぁ
 本来は優秀な霊能戦闘者にして指揮官のはずなんですが……どこで道を誤ったやら(ぉぃ
>私もこのパターン嫌いだったんで止めてくれて嬉しいです
 うーん、確かによくあるパターンでしたからねぇ。
>十中八九西条氏の趣味ですね!(断言)
 サイズが合うのがあった時点で怪しいですねw

○花翔さん
>実際、原作で隊長は拒否させません、見たいな事言ってますがおかしいですよね
 そうですね、使えそうな人材がいたら業務委託とか臨時雇用みたいな形で部下にするくらいの権限はあったでしょうけど、それを強制する権限まであったかどうかは疑問です。無かったとしたら世界のためということでハッタリかましたんでしょうね。
 世界じゃなくて娘のため、だったとしてもそれはそれで人の親としてある意味自然なことですし。
 まあ、このSSではさすがの隊長もアシュ関連ではルシにはかないませんがw
>もし此れを読んで不快を抱かれましたらすいません
 いえいえ、全く問題ありませんのでお気になさらず。

   ではまた。

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