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▽レス始

「願い〜第一話〜中編 その三 (GS)」

水稀 (2005-12-06 14:33/2005-12-28 22:13)
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『 ──これからの事を話すわ 』
「 まず、一つ目。令子には公園へ逃げる方法を操作してと
          ──伝えたんだけど・・・。きっと、無理ね 」

何か企みを含んでいるような表情でほっそりとした綺麗な指を
『 ピンッ 』と一本立てながら語りかけた隊長を

俺は表情を引き締め
次に口から出される言葉を一句も漏らさぬよう
集中し、言外に促す。


そんな俺を見て取ったのか──隊長は一度頷き


「 では、まず最初に私達は三隊に別れます。 」

と話を進めた。


「 三隊ですか・・・?先生、お言葉ですが一つに纏めた方が
            不足の事態に対応しやすのでは? 」

「 そうね・・・。でも今回に限っては三隊に
          別れる理由がちゃんとあるのよ── 」

西条の疑問に応えると隊長は一つ一つ理由を語り始める。


  一本『 ピンッ 』と立てながらアッサリと漏らし、続けた。


「 それは、いくら令子でも自衛隊に囲まれた状態じゃ
 公園の方へ逃がすだけで、公園までは操作できないでしょう。」

「 そこで私達の一隊が公園までの道を作ります─── 」

そんな隊長の発言に『 なるほど 』と頷く。


そんな俺達を見て隊長が

『 令子が上手くやってるってのが前提条件だけどね 』
と悪戯っぽく微笑んだ。


僅かな間を空け

「 で、此方に誘い込む為の陽動だけど・・・──
    横島クン、アナタにやってもらいたいのよ。」

「 へっ?俺ッスか? 」

続けられた会話に戸惑いを覚える。


「 ──そう、アナタ。 」

暫く逡巡している俺に向かって
隊長は語気を抑え呟くように語りかけた。


「 ─陽動なんてした事ないッスよ? 」

 そんな、俺の返事に幾分か考え


「 なら、アナタができる事は──他には無いわね。 」

「 ──なっ?! 」
と、続けた。


──救いたい、そう考えた俺の身勝手な想いが
隊長によって拒止させられる、と考えた俺の拳が
硬く握られ、必要以上に力の入ったソレが
     ──ふるふると震え、肩に伝わる。


僅かな時間の経過、俺の怒声が喉元から出掛かった瞬間に
今まで俺等のやり取りを見守っていた西条から横槍が入った。


「 ──先生。彼が他に何もできないとは─
               ・・・どういう事ですか? 」

「 ──そうね・・・。令子から聞いたのだけれども
      横島クン、私達に言うことは無いかしら? 」

「 ──えっ? 」

疑問の声を上げる西条を
俯向き何度か瞬き─そして尻目に見た後、隊長に視線を戻す。


隊長が次にいう事は予想できた。だが──


それを口にすることに躊躇い・・・意図して相手に聞き返した。

「 何の──事スか・・・・ 」


そんな俺を隊長は厳しい視線を向けたまま言外に促す。


僅かな時間の経過

そのサインを無視するように黙り込む俺を見た後
隊長は小さく溜息を吐いた。


瞬間、沈黙が周辺を支配し
そして──予想通りの言葉が返ってくる。


「 ・・・霊力のないアナタを遣うことは、できないわ・・・。 」


      願い 〜第一話〜 中編 その三


[ 森への入り口 ]


あれから、僅かな口論をした俺は
結局──隊長の意見を覆させる事ができず止む無く従った。


『 ハァ・・・。 』
口論を思い出した俺は胸に痞えた感情を
溜息に乗せ吐き出す。


ふと、視線を森の中へ移した。

俺の視線に映るその森は、木々が陽光を遮っているのか・・・
入り口より奥は薄暗くて視認が出来なかった。


そうして・・・森を眺めながら隊長に出された指示を
俺は──漠然と思い出していた。

             ・
             ・
             ・

『 ──いい?横島クンにやってもらう事は・・・
         陽動と言っても大した事じゃないわ。  』


そう語り始める隊長に

「 は・・・はぁ──。 」

と、曖昧に返したのは先程の口論が
未だ頭を引きずっていたからだろう・・・。 

呆けた顔をしている俺を見て隊長は僅かに溜息を零した。


『 目的は公園と隣接している森に居るとはいえ──
   僅かな距離の道が空いてるわ。

   そこでアナタには公園と森を繋ぐ道の片側──
   街へと向かう道から公園へと陽動してもらうわ・・・。    』


指示をテキパキと出してくる隊長へ向かって
──おずおず、と俺は右手を上げた。


「 あ・・・あの、その・・・ 」

『 ん?何かしら──? 』

「 陽動って──どうすれ、ば・・・? 」


戸惑い、尋ねる俺を一瞬面食らった様に見つめたが──
すぐに先程の言葉を思い出したのか、『 そうね・・ 』 と続けた。


『 ──アナタなら・・・逃げる方向に人が居ればどうするかしら?」

と、一指し指を顎に添えながら尋ねる隊長に


「 助けを求めるッス 」

と即答した。


暫くの間

顎に添えていた一指し指をこめかみに移動させ唸る隊長を
不思議そうに見ていた俺に西条が

「 ──何いってるんだい?君が妖怪だとして、だろ 」

呆れた顔をして告げてくる。

あ、そういうことか。と納得の言った俺は


「 その人が武器を持っていなかったら横を抜けるっスね── 」
俺は隊長へと顔を向ける。


『 それを踏まえて、どうしたら公園へ誘えるかしら── 』

「 俺が武器を持って待ち構えとけばいいんスねっ! 」

要領を得たといった表情をしている俺に
──くすりと隊長は小さく笑った。


『 西条クン、そういう訳で横島クンに何か装備渡してあげて─ 』

「 はい── 」 と崩していた表情を戻し、俺へと顔を向けて

「 精霊石弾の入った銃だ。
   ──庶民の君には勿体無いモノだが・・・   」

と、皮肉を込めながら自身の懐に収まっていた銃を渡した。


銃把を向け渡されたソレを俺が右手で握るのを確認した西条は
俺の右側へと回り込み、聞こえないくらいの小さな声で呟いた。

「 用心しなきゃ・・・君に撃たれてしまうね──    」

そして、ふざけたような薄笑いを浮かべた。


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                ・

回想を果たし、再び森へと視界を移した俺は
右手に西条から渡された銃の銃把に指を掛け
クルクル──と回し、遊んでいた。


突如


───パァーン・・・


と響いた銃声に『 うわっ!? 』っと飛び跳ねた。

僅かな時間固まっていた俺は、銃声の元が手持ちの銃では無く
──眼前にある森の中からだと判ると、持ち場を離れ

茂った樹木のせいで、昼でも夕暮れ時のように暗い森の
その影に誘われるように──中へと駆け込んだ・・・。


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               ・


[ 森の中 玄武を司る結界符の前 ]


「 ──ふぅ・・・。これで三つ目ですね。 」

と呟き、私は目前の符を剥がし──新しいソレへと変え
大きく地面に転がる岩石の上で一度腰掛けた。


『 はぁ・・・── 』 と森の密な空気を肺へと送り込み
ふと、視界に移った私のお気に入りの靴を──しげしげと眺める。

森の中を駆け巡ったその靴は
腐敗した枯葉や大地の土によって─その色へと染められていた。

そんな靴を見て──僅かに気分が滅入った後
『 がんばらなきゃ 』 と呼吸の整い始めた体に力を満たす。

「 ──よしっ 」
呟き、腰掛けた岩石の上から立ちあがった。

パンパン、
そんな音を立て履いているロングスカートを二三度叩き
視線を前へと向けた。


そして、歩き出そうとしたその瞬間。

「 ──・・・?誰か私を呼びました・・・? 」

と、きょろきょろ─辺りを見回しながら何も映らないその森へと
小さく尋ねた。


『 んー・・・ 』 と辺りを窺いながら考えるが
人影は見当たらない──が、気のせいだと思いながらも

先程から誰かに見つめられているような気がした。
それも・・・すぐ近くで──・・・。


僅かな思考の末
常人なら怖がるその雰囲気に


「 ──きっと、イタズラな妖精さんですね。 」

と、図太い感性で森へと言い放った。


瞬間 『 ガサガサっ 』 っと音を立て

「 誰がサッパリ妖精じゃいっ! 」 と脳内変換したその言葉に
おとぼけ三人組ならぬ、令子に騙された自衛隊三人組みが
心の内でツッコミ──おキヌの前へと姿を現した。


「 キヌさん──ですよね・・・? 」

と三人組の一人が眼前へと立ち、尋ねた。

「 ──・・・。そうですけど? 」

「 あぁ──。良かった 」と先程─
私に語り掛けた男性は残りの二人と共に胸を撫で下ろす。

そんな三人組みを首を傾げながら─私はきょとんっと眺めていた。


暫くして

軽く自己紹介を交わした三人組の一人、
私に語りかけてきた[ 田中 (仮) ] さんが

「 美神令子さんを知りませんか? 」

と尋ね、私を見つめた。

「 美神さんなら─殺生石の前に居ましたよ? 」

見事な天然ぶりを発揮し、素直に答えた私に


「 行き違いですかぁ──・・・ 」 と肩を落としながら
[ 田中 (仮) ] が身体を後ろに向け、トボトボ─と歩いて行く。

──が、ハっと何かに気づいたように私に顔を再び向け
申し訳なさそうに、たった一言呟いた。


「 どちらに行けば殺生石の場所に戻れますか・・・? 」


どうやら迷っていたようである。

そんな[ 田中 (採用) ] へ──私はそれならば、と

「 私も今から戻りますんで、一緒に行きませんか? 」
と、持ち前の人情のあつさを発揮し提案した。


瞬間

「「「 あ、ありがとうございますっ! 」」」

頭を下げ、感謝の言葉を紡ぎだした三人に微笑み

「  じゃぁ──皆さん。レッツ・ラ・GOですよ〜 」


おキヌ主催

[ 〜森からの帰還 無事にたどり着く事が出来るか〜 ] ツアー

が、開始され・・・。


数秒後


突如、森の中に鳴り響いた銃声によって

「 〜キヌは見た。樹海の森での殺人事件 〜 ] へと変貌した。


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[ 森 ]

森の中へと駆け込んだ俺は先程聞こえた銃声が響いた時から
急に在り方を変えた森の異変に気づいた。

先程まで森は木々の枝葉で数々の天井を作り
その隙間から零れ落ちる陽光によって薄暗く照らされる
自然の静穏な雰囲気を──印象を与えていた森は

静穏を失い、辺りに陰鬱な悪意を充満させた。


「 ─なんだ・・・これ──・・・ 」

と、俺は不愉快げに顔を歪ませながら森を見回した。
見た目は何も変わっていないはずの─ソレは──
空気や光に重圧を与えているようで・・・重苦しく感じられる。

サァ─・・・

木々の間を駆け抜けるように去っていく風が
汗ばむ程の緊張を促してきた。


「 急がないと──・・・  」

理由も無く、胸を締め付ける不安に押されるように
                 ──俺は走る速度を上げた。


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               ・

[ 殺生石前 ]


『 白銀の狐を狙いなさいっ! 』


そう、殺生石の周りを囲んでいた隊員達に命令を出す。
時間を置くことなく実行へと移されたが──その結果・・・

その行動は信じがたい現実を犯した。


「「 ぐぁ・・・・ 」」

周囲を震わせるような悲鳴が上がる。
銃が腐敗した枯葉で占め尽された大地に孔穴を無数に
作り出し、その結果──僅かに立ち篭った煙が立てられた。


サァー・・・・と木々の間を駆け抜けるように過ぎた風が
その煙を晴らしていく。


瞬間

「 ──なっ?! 」

私の視界に映りこんだその光景・・・。


それは、妖孤を四方から囲んでいた場所に横たわる
無数の穴が開いた二人の男の死体だった──。

決して予想をしていなかった光景に私は
僅かな時間硬直してしまっていた。


「 ──っ!? 」

突如、腹に与えられた衝撃に成す術も無く吹き飛ばされ
瞬刻の浮遊感を感じ、次に背中に激しい衝撃が与えられた。

背後に生えていた大木にぶつかり、その勢いを止めた私は
「 ──ごふっ・・・。 」と、肺から空気が押し出され咳き込む。

背中から落ちた私は口内を傷つけたのか、
僅かに口元から血を流し・・・──その血で彩られた
『模』も文字を描いている文珠が唾液と共に吐き出され

音も無く、辺りに溶け込むように消えていった。

歪んだ視界の中で

人間の血で濡れながらも白銀に輝く
妖孤の侮辱に歪んだ瞳が視え──視線と重なった瞬間

『 女だったか。人間よ── 』

私の頭の中で声が響く。

その声は聞き取り難い、低く擦れたような──
そして・・・人間の声では出せることのない音の揺らぎがあった。


「 ア─・・・アンタ何したの・・・? 」

呼吸をすると胸が痛む
──肋骨に罅くらいは入っているのかもしれないが

その痛みを抑え、未だ視線の重なり有っている妖孤に話しかける


『 妾は特に何もしておらんわ─・・・  」

返答は成された、が──そう答えた妖孤の口元が
『にぃ・・・ 』と釣り上がり嘲笑を形作る。

『 あの男共には─夢を魅せただけ─・・・ 』

──クイっと顔を私に向け、辺りを見るように促す様な仕草をした。


・・・。

妖孤と会話した時間、僅かに体力を回復できた私は
素早く立ちあがり次第に明確になっていく視界に映りだした
光景に驚愕した。

目が虚ろになり、同士討ちを行っている隊員達の狂宴が──


灌木の茂み、樹木の枝、そして殺生石の割れた破片等を
真紅の血液や肉片で彩り飾る。

時折、苦痛で呻いている声が銃声に紛れて響き
暫くして─人形の様に・・・違った生物が人間の皮を着て
歩いている様な印象を与えていた最後の男が
ドサっ と音を立て、崩れ落ちた。

──狂宴は終わった。

僅かな間

『 クックック・・・──ハッ─アハハハハハ・・・・  』

白銀の妖孤の乾いた──擦れたような声の哄笑が響く。


笑う、哂う、嗤う。


私はつられてその視線を声の主へと向けた。
妖孤はその視線に気づいたのか、暫く嗤った後に
再び口元を醜悪に歪め

『 人とは本当に愚かで弱いものだ── 』

と愉快そうに呟く続けようとする──その呟きに

「 その弱い人間に退治されたアンタが何いってんのよっ! 」

返した瞬間、妖孤の瞳が一度閉じられた。


急激に感情を失ったように押し黙った妖孤の表情を
怪訝に窺っていた私の目が再び、妖孤の開いた目と重なり

『 ひっ── 』と私は悲鳴を上げた。

妖孤の開けられたその瞳はただの黒く開いた穴へ変わり
その暗さに底のない深遠の闇が浮かび上がる。

その瞳に魅入られたのか、身体が緊縛されたように凍り
私は糸の切れた操り人形のように膝をついた。

『 女将よ・・・弱き人の身で──良くぞほざいた 』

その背に、更に高まるように殺気の重圧が増え
視界に入ったままの妖孤はその眼前に蒼白い狐火を作り出す。

肌寒い筈の季節に、陽炎を起こす程の高温を宿すその狐火は
徐々に大きさを減らし
傍目でも判るほどに高密度なソレへと変わる。


狐火を作りだした妖孤は未だ動けない私を見て
一度、口元を歪ませ

『 塵も残さず消えるがよい── 』


狐火を放った。


後書き


デコトラに轢かれたことがある水稀です(挨拶


今回で終わらせる筈だったのに・・・orz

既に、4つぐらいこの話を終わらせるSSを
書いたのですが、そのどれにも納得できずに
更に続けてしまったという暴挙を犯してしまいました(ノ∀`゜)


ですが! やっと時間軸がみんな重なり始め
次からは どんどん時間が移行することは少なくなるので

次回!かその次(保険)に終わらせれる感じがしますw


世界観を出すために風景描写など多くしたんですが
短く纏めることができずに文字数ばっかり増えていく
という悪循環にはまりまして・・

短い文字数で 世界観をだすコツというものがあれば
ぜひ 教えてくださいorz


>>帝様

楽しんでもらえて幸いです。

説明的な印象は私も受けるんですが・・
どうも改善できずにこのまま来てしまいました。

時間軸も そうですね。
一人の所で重ねて表現できずにorz

あと、横島クン 銃使っていたんですかっ!
知らなかったので助かりますw
情報ありがとうございました^^


>>拓坊様

いつもいつも感想ありがとうございます!

今まで感想書いたこと無かったので
その与える力にびっくりですw


では、また次回もがんばりますのでヨロシクお願いします!

P.S 皆さんは左にあるログ表示そのままで読んでいますか?
   

一応、開いたままで読めるような文字の長さにしてるんですが・・・
皆さんが別枠で読んでいるようならそれに見合った長さへ変更しようかと
思っております。

どうかアンケートにご協力くださいm(_ _)m

ちなみに、一人でもログ表示しながら読んでいる方がいらっしゃったら
そちらを優先させます。

理由はもちろん・・・皆さんに楽しんでもらいたいから!(ひっこめ

では、また次回に!

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