「第3回戦、1年A組対2年F組!始めっ!」
1回戦、花子が大活躍を見せた試合から数時間。
炎華たち、1年A組は順調に駒を進めていた。
「魔装術っ!はぁーーーーーーーーっ!」
雪比古の全身を霊力が覆っていく。
父雪乃丞の使う魔装術ほどではないものの、実体化した霊気が紅い装甲を形成する。
雪乃丞の初期型魔装術のような凹凸の多い甲殻類のようなデザインである。
「いくよっ!連続霊波砲っ!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドンッ!!
父親譲りの得意技が対戦相手を一気に結界の傍まで追い込む。
その出力、霊波砲のスピードともに以前ひのめと除霊に向かった時とは段違いだ。
彼は先日横島と雪乃丞の悪ふざけにより女装術に開眼してからなぜか、霊力の総合出力が格段に上昇していた。
父親雪乃丞に言わせれば、
「計算通りだ!」
という事になるのだが、当然誰もそれを信用してはいなかった。
とにかく、そのパワーアップした彼の霊気弾が雨霰と対戦相手に降り注ぎ、相手の体勢が大きく崩れる。
「ぐあぁっ!?」
「チャンスッ!」
相手が怯んだと見るや否や、一気に距離を詰める雪比古。その右手に霊力が宿り必殺の拳へと変化する。
だが、それは相手チームの作戦だった。
「バカめっ!」
「なっ……ぐあぁっ!」
対戦相手が吹き飛ばされた地点はちょうどチームメイトの間近。
彼が近付くのを確認した相手は素早く味方と入れ替わっていた。
その交替した選手が雪比古目掛け霊波砲を連続して撃ち出す。
霊波砲は雪比古に直撃、不意を喰らった彼の体が大きく吹き飛ばされた。
「ククク……霊力を格段に高めるファントムの仮面の力……思い知れっ!」
「くっ……それは僕の魔装術だって同じだ!絶対に負けられない!」
「「はぁーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」
ファントムの仮面が光を放ち相手生徒の霊力を増幅させる。
それに呼応するように踏みとどまった雪比古の全身を覆う魔装術も、彼の潜在能力を出来る限り引き出し形状がさらにスマートに、よりシンプルな物になっていく。
二人の霊気が相乗作用を起こしたかのように増大し、激しくプラズマを巻き起こした。
極限まで高まった霊気、勝負は一瞬。
「はぁーーーーーーーーーーっ!」
「だぁーーーーーーーーーーっ!」
同時にダッシュ。
見る物に残像を見せるほどの動きで両者はリング中央で激突した。
GSキッズ9
「空空寂寂!クラス対抗戦!はどこいった?」
「やったじゃねぇか、雪比古!」
全身黒焦げ状態になりながらリングを出た雪比古の背中を炎華がバシバシと叩いた。
試合の結果は雪比古の勝利。
対戦相手のファントムの仮面を叩き割った雪比古の拳がそのまま決定打となった。
嬉しそうな炎華の様子に花子も、
『やるじゃん、雪ちゃん♪コノコノー!』
と言いながら雪比古の足を蹴りまくる。
「ちょ、二人とも!?痛っ!痛いよっ!」
「うるせー!お前のせいでアタシの出番がなかったじゃねぇか!アタシより目立つんじゃないわよ、このバカっ!」
『そーだそーだ!ボクだってもっと活躍したいゾー!』
「そんなっ……がふっげふっうぎゃーーーーーーーーーーっ!?」
二人の八つ当たりに遭い、哀れにもボコボコにされる雪比古。
それでもその顔が嬉しそうに見えるのは見せ場がもらえたからであろうか。
「三人とも、やったな。これで準決勝進出か!」
「さすが私の娘よね。よくやったわ、炎華!」
「お、親父とママじゃん。二人とも審査しなくていいのかよ?」
ぼろきれのようになった雪比古を踏みつけて現れた横島と令子が炎華の肩を叩いた。
二人とも娘の快進撃に嬉しさを隠しきれない様子である。
「次の試合まで少し時間があるんだ。ちょっと飯でも食わないか?」
横島がそう言って学食の方を促した。
そう言えばもう昼もだいぶ過ぎたと言うのに昼食を摂っていなかった事に気付く。
花子の腹の虫がくー、と鳴いた。
「ははは、花子ちゃんもお腹空いたみたいだな。おじさんが奢るからなんか食べようじゃないか?」
『やったーー♪ボク学食のご飯食べてみたかったんだー♪』
「しょーがないわね、まあ学食で我慢しましょうか。その代わり横島クン、アンタの奢りだからね?」
「よっしゃ!A定にB定、スペシャルランチに日替わり定食ーーーーー!」
「太るぞ、炎華……」
やいのやいのと騒ぎながら学食へと歩いていく横島たち。
その後から雪比古が這いずるように付いていく姿が涙を誘った。
「って、横島と美神はんはどこ行ったんや!?」
その頃試合会場では行方を眩ませた横島を探し回り、政樹が一人ハァハァと息を切らせていた。
一日で全試合を消化しようという強行軍の為、もちろん空き時間などあるはずはなかった。
「に……逃げよったな!あのアホーーーーーっ!!」
試合会場の中心でアホと叫ぶ政樹。
「あの、教頭先生?時間もない事ですし……先生が審査員の代役を務めるという事で……」
そこへ冷や汗をかきながら他の教員が進言する。
他にどうしようもない訳で、仕方なく審査員席に座る政樹。
「ったく、横島のアホ!戻ってきたら夜叉丸けしかけたるっ!」
「さて、代わりの審判員は……と。あ!鬼怒川君、ちょうど良かった。君、審判やりなさい」
「え、えぇ!?私がですかぁ!?」
「しょうがないんだよ、審査員が二人ともどっか行っちまったんだから!はい!これが腕章ね?頼んだよ!」
「え、あ、ちょっとぉ~!!」
年嵩の教員から腕章を押し付けられた若い教員はしぶしぶながら、腕章を腕に嵌め結界リングへと向かうのだった。
「ふー、食った食った!ごっそうさーん」
『ボクももうおお腹いっぱいだヨー♪美味しかったー♪』
「僕ももうお腹いっぱいです。どうもご馳走様でした、横島さん」
腹を抱えて思いっきり椅子を後ろに倒す炎華、満足そうにテーブルに突っ伏し猫のように喉をゴロゴロ鳴らす花子、律儀に横島に頭を下げる雪比古と三者三様の食後の風景を眺めながら横島が口を開く。
ちなみに令子は横島の横でのんびりとコーヒーを啜っている。
「なぁ炎華。お前に一つ聞いておきたいことがあるんだが……」
「ん?どうした、親父?言っとくけど女子生徒の携番なら教えねぇぞ?」
「誰が聞くか、そんな事っ!そうじゃなくてだな、聞きたいのは……」
『判ったぁ!ボクの携帯番号でショー?やだなぁ、横っち~♪そういう事はあとで二人っきりになってかラぁ~……』
「違うっ!」
「ま、まさか僕の番号ですか……?あれ、でも横島おじさんもう知ってますよね……?」
炎華、花子に続いて雪比古までボケたので横島は思いっきりコケた。
その横でなにやってんだか、といった表情で令子が横目で彼を見る。
「お前ら俺を何だと思ってるんだ……?」
「スケベ親父」
『エッチマン横っち♪』
「えっと……えっと……」
「お~ま~え~らな~……!!」
ブルブルと肩を震わせテーブルに手をかける横島、その頭をすぱんっ、と令子がメニューで叩いた。
「ったく、ガキどもにおちょくられてるんじゃないわよ?アンタには任せておけないわ。三人とも聞いて頂戴。最近学校内で妙な噂とか聞いたことはない?」
「妙な……」
「噂ですか?」
『ボクの噂~?』
「違うわよ。突然ありえないくらいに霊力が上がった生徒とか、性格が豹変したとか。そういう類の話なら何でもいいわ」
令子と横島が真剣な顔で彼女たちから情報を聞きだそうとしているのにも理由がある。
それは先日オカルトGメンと横島の共同作戦によって、DI-Aの密売人の一人が逮捕された事から始まる。
「へぇ、ここがDI-Aの売人のヤサなのか?意外と儲けてないんだなー」
数日前、横島は夜闇の中で暗視ゴーグルを装着した姿で目の前の古いビルを見上げそう呟いた。
場所は東京の近郊、区内をわずかに外れた寂れた歓楽街の片隅である。
「馬鹿な事を言うもんじゃない。大々的に儲けてます、なんて看板売人が掲げてるとでも思ったのかい?」
「るせーな、西条。いちいち棘のある言い方すんなよ」
横に立つ西条の揶揄するような口調にやや三白眼気味になった目で反論する横島。
彼の口調はやや苛立ったような調子を含んではいるが、かつてのようなギスギスしたものではない。
横島、そして西条の間には長年ライバル関係を続けてきた事によって微妙な、友情というほどの物ではないにせよ、いい関係が成立していた。
その証拠に。
「フッ、すまないね。どうも今の君を見ていると20年前の君が思い出されてしまってね」
そう言いつつどこか遠い目をする西条……とは言っても彼も暗視ゴーグルを装着しているのでわずかに天を仰ぎ見るような素振りから横島が想像しただけであるが。
20年前、確かに今の横島の格好、青いジャケットにブルージーンズ姿、を見ると10代の頃の彼を思い出す者は多いだろう。
そうは言っても西条も既に40代半ばであるにも拘らず、その容色は全く衰えていずトレードマークである腰まで伸ばした長髪も若々しく黒々と風に靡いている。
「んな事言っても急な要請だっただろ?いちいち着替えてくる暇がなかったんだよ。人の服装の趣味は……ほっとけ」
拗ねたような口ぶりで唇を尖らせた横島の様子を見て西条が笑う。
全く、20年も経ったと言うのにこの男は変わらないな、と少しだけ昔を懐かしく思った。
「西条、そろそろ行こうぜ?俺も今晩はちょっと忙しいんだけどな」
「ん?あぁ、すまない。判った。どうやら売人は死霊使いの才能も多少持っているらしい。内部は彼の喚んだ悪霊どもでいっぱいだそうだ。準備はいいかい?」
西条の表情が昔話に興じる友人の顔から現場の指揮官の物へと変じる。
同時に横島の顔も戦士のそれへと変わる。
「あぁ、行こう」
「おっと!かなり数がいるじゃないか?」
「そう言っただろう!?よく話を聞かないのは君の悪い癖だな、横島クン!」
「抜かせ!」
ビル内へと突入した横島と西条。
その内部は外見とは違い近代的な造りであり、最上階まで大きく抜けた吹き抜けのような構造になっていた。
簡単に言えば巨大な缶詰のパインである。
ただし、その中央の吹き抜け部分には缶詰の汁の代わりに大量の悪霊が渦巻いていたが。
とりあえず他の隊員を外に待機させ、たった二人でその渦の中に飛び込んでいく横島と西条。
そして、一方的な殺戮が始まった。
前述のような軽口を叩き合いながら横島の右手の霊波刀が悪霊を寸刻みにし、西条の構えた銀の銃弾装填のフルオートが的確に霊の額を撃ち抜く。
その最中でも互いの位置を確認し合い、常にお互いの死角をカバーするように動き合う。
「でぇいっ!」
ざしゅざしゅざしゅざしゅっ!
長い爪を伸ばした鈎爪形態の栄光の手が巨大化し、西条の背後を狙った悪霊を横様に薙ぎ払う。
「西条!貸し1!」
さらに自分の目の前に迫った悪霊の群れをサイキックソーサーで吹き飛ばしながら、ぴっ、と指を突きつけ横島がニヤリと笑う。
と、西条が眉間に皺を寄せ横島の額にピタリとその銃口を向けた。
「ならこっちは……」
荒々しい音を立て、ブローバックを繰り返す45口径フルオート。
横島の頭上で気配を殺しつつ隙を窺っていた霊がまとめて数体掻き消える。
「貸し1、2、3、4、5っと。どうした横島クン、一気に4ゲーム差だぞ?」
勝ち誇って見せる西条。
その頃横島はそっぽを向いて悪霊と対峙していた。
「聞けよ……」
さらに数分が経過、吹き抜けのエントランスにいた悪霊はその数を既に半分近くに減らしていた。
それでも数百体近い数である。
そこらのGSならとっくの昔に回復不可能なほどのダメージを受けていてもおかしくはない、のだが横島と西条のコンビの勢いは全く衰える事を知らず悪霊たちの数は見る間に激減していく。
「ふっ!ジャスティス・クロス!」
西条が腰だめに構えた霊剣ジャスティスを素早く抜き払い何もない空間を十字に斬る。
その剣先から十字型の霊気が飛び、十数体の悪霊を一気に薙ぎ払う。
チン、と小気味の良い音を立て納刀する、や否やバク転の要領で後ろに跳び退る西条。
その彼の前方をサイキックソーサーが横切りこれまた十数体の悪霊が瞬時に消滅する。
「横島クン……僕を殺す気かい?」
「悪いな、西条。底意地の悪そうな霊気放ってるから悪霊かと思っちまった」
「グッ…………君と違って僕が死ぬと多くの女性が泣くんだよ?判ってるのかい?き・み・と・ち・がっ・て……ね!」
横島に向かって意地の悪い笑みを浮かべた西条の剣戟が四方の悪霊を一瞬で斬り飛ばす。
その台詞にカチンと来た横島。
目の前の悪霊を栄光の手で握り潰し、西条に向かって駆け出した。
「魔鈴さんに言うぞ!?」
「何度も言うがね?君と違って妻にも僕がモテる事はよぉ~く判ってるのさ。お宅みたいに年がら年中喧嘩ばかりしていないよ」
西条も横島に向かって走り出す。
フロアのちょうど隅と隅にいた二人が中央部に走り出すに従い、悪霊たちもそれぞれの標的を追って2方向から彼らを追った。
「スケコマシ!」
「女の敵に言われたくはないね!」
フロア中央部、瞬間的に悪霊のいない空白地帯となったそこで、険悪なムードのまま二人が互いの獲物を首に向かって突き付け合う。
しん、と一瞬世界が止まったかのような感覚。
その直後。
「「このド助平が!!」」
横島のサイキックソーサーが乱れ飛び、西条の霊剣から発せられた気が十字の衝撃波となって宙を舞う。
互いの背後の悪霊を吹き飛ばし、体を入れ替えた二人が背中合わせに悪霊のいなくなったフロアに立った。
「トドメだな」
「君に任せた」
「もう息が上がったのか?歳だな、西条」
「不摂生の塊のような君に言われたくないね」
軽口を叩き終わった瞬間、二人が同時に天を仰ぐ。
その視線の先、最上階の壁伝いに取り付けられた廊下から下の様子を覗き込み息を呑んだ男と目が合う。
死霊を操っていた魔薬の売人だ。
恐怖からか、小刻みに震えるその手に握られた怪しげな形状の笛が階下に落下する。
瞬間。
「Jack pot!」「Bull’s eye!」
二人の声と共にサイキックソーサーが、剣からの衝撃波が、男の立っていたフロアを吹き飛ばした。
落下する男を横島の文珠、『柔』で軟らかくさせた地面が包み込み、さらに瞬時に『縛』の文珠で縛り上げる。
が、二人はそれどころではなかった。
「合わせろよ、西条!決めの台詞がわややないかーーーっ!」
「何を言う!君こそ僕に合わせたまえっ!せっかく徹夜で考えたのにっ!」
最近の二人の間では決め台詞がブームらしい。
喧々諤々と言い争う二人の後ろで、売人の男はガクリと頭を垂れ気絶したのだった。
その後、オカGの取調べを受けた売人は目の当たりにした横島と西条の実力に完全に肝を潰し、自分の知っている事を洗いざらいぶちまけた。
その情報の中の一つに、六道学園の関係者と名乗る人物にネット経由で魔薬を売った、という情報がありその真偽を確かめるべく横島と令子は六道学園に協力を要請し審査員として来校するに至ったのであった。
「へぇ……でもアタシの知る限りじゃそういう事してる奴はいないと思うけどね」
『ボクも知らないヨぉ~。少なくともトイレじゃだけど』
「僕も知らないです……。ごめんなさい、役に立てなくて……」
「ま、そうだろうと思ってたけどね。ただ気をつけて欲しいんだ。理事長にも事情を話して今回の選手選考には霊力計で測った数値を基準にしてもらってる。だから今出場してる選手の中にDI-Aの服用者がいてもおかしくはない」
「げっ……そんなのありか!?もしもん時責任取るのが誰か判ってんのかよ、親父!?」
炎華が目を剥くのも無理はない。
DI-A常習者が手に入れる力の強大さは先日の高速道路での一件で両親から詳しく話を聞いている上に、今は学校行事の真っ最中である。
もしなにかが起こってしまったら、それも生徒たちに被害の出るような事態になってしまったら。
その時責任を取るのは他でもない、DI-A常習者の存在を感知していたにも拘らず大会を容認した横島と令子になるだろう。
それを心配するかのような口調の炎華の言葉に思わず口元が緩む横島、令子夫妻。
やはり普段つっぱらかっているように見えても本当は心の優しい子なのだと……。
「二人が落ちぶれたら苦労すんのはアタシなんだからな!?親ならしっかり責任とれよな!?」
思えるはずもなかった。
がっくり、と肩を落とす横島の肩を判ってただろうに、と言った表情で令子が叩く。
横島の脳裏に浮かぶ「仄かに光る蛍のように、それでいて炎のように逞しく育てよー!」と生まれたばかりの愛娘を抱き上げた時の光景は既にセピア色を通り越して灰色の思ひ出。
見事に後半部分だけ、彼の思い通りの娘に育った訳である。
「まぁ、それはともかく!いいわね、炎華?私たちが確認した中では今まで魔薬の常習者と思われるような生徒は見当たらなかったわ。つまり、今まで試合に参加しなかった生徒がいて、かつ勝ち残っているチームに目標がいる可能性が高いの。その事をしっかりと肝に銘じておきなさい、いいわね!?」
「へ~い。ま、どんな奴が相手だろうとアタシが負けるわけないけどな」
と自信たっぷりにない胸を張る炎華。
『すっごい自信だネ~♪』
「当然!なんたってアタシには雪比古がいるからな!」
「え!?ぼ、僕!?」
炎華の言葉にぱぁーっと表情が明るくなる雪比古。
周りの人間はオチが読めているのか白けきった顔をしているが、本人は至って無邪気に炎華の言葉の余韻に浸りきっている。
まさに背中に羽が生えて天にも昇らんばかり、と言ったところだろうか。
『あのサ、炎華。ちなみに聞いとくけど~……その心は?』
「そりゃあ、雪比古が盾になって死んでる間にアタシがとどめを刺すからよ!決まってるじゃない?」
「…………へ?」
雪比古の表情が凍りつく。
横島、令子、花子の三人はやっぱり、と言った表情だ。
さらに炎華の追い討ちは続く。
「まー、他にも雪比古には人間爆弾やら人間地雷やら人間ミサイルやら使い道はいろいろあるからなぁ」
「全部爆発系かい……」
「一瞬だけど閃光のように、ってやつかしらね……」
『ゲイジツはバクハツだネっ♪』
冷や汗を浮かべる横島と令子。
その横で『どかーん!』『どかーん!』と、能天気な声をあげ花子が両手を振り回しはしゃぎまわる。
「よかったな~、雪比古。こんなにお前の事を考えてくれる奴がいるなんてさ?お前は果報者だぞ?」
「僕の存在価値って……価値ってぇ~~……」
さめざめと泣く雪比古の肩を炎華がポンポンと叩いてこうのたまった。
「ま、その内いい事あるさ、な?」
「「「『お前が言うなぁっ!!』」」」
その頃、審査員不在のままとっくの昔に始まっていた試合会場では、タイガー虎次郎が父親同様ひっそりと勝ち名乗りを受けていたのであった。
「って、俺をオチに使うなぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
GSキッズ10に続く!
あとがき
どうも、海鮮男体盛り改め海(ryでありますm(_ _)m
なかなか親世代を出す余裕がないわけなんですが、とりあえず西条氏の登場です。
自分の脳内では西条氏はかなり実力者にランクインしてますので今回のような出番となったわけですが……え?出番が少ない?
あっ、石投げないでください!
豆腐の角に頭ぶつけただけで死ぬような蚤な心臓なもんで……(笑)
というわけで、次回GSキッズ(ひっそりと)10(!!)でお会いしましょうm(_ _)m