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「願い〜第一話〜プロローグ(GS)」

水稀 (2005-12-02 15:22/2005-12-05 18:12)
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人間は信用しちゃいけない。
──平気で騙すから・・・。


人間に見つかってはいけない。
──人は人外の者を嫌い除外し虐殺、虐使するから・・・。


[ 都市郊外の森 ]


森は木々の枝葉で数々の天井を作り

その隙間から零れ落ちる陽光によって
枯葉や木の根で埋め尽くされた地面に複雑な模様を描いている。

辺りには森の匂いが充満し、独特の匂いを発散させている。
現代では少なくなった自然の森 『環境』


そんな深い森の終わりで


ガサッ

音をたて子孤が駆け抜けていった。


「 おいっ!そっちに逃げたぞっ! 」


その狐を追いかけ森の中から出てくるなり
自衛隊の制服に身を包んだ男が叫んだ。


装備のトランシーバーから時間を掛けることなく
『 了解 』と返された返事を聞くと

男は森への入り口を手早く封鎖した。


暫くして森と隣接してある公園に向かった子狐の後ろ姿を一瞥し


「 手間かけさせやがって 」

と小さく呟かれたその声は何に対して言ったのだろうか・・・。
その呟きを向けた相手は男しか知らない。


『 おいっ!そっちに逃げたぞ 』

トランシーバーから聞こえた声に
「 了解 」と短く返すと同時に仲間へと視線を巡らし、命令した。


「 今から九尾の狐がこっちに来るそうだ。 」

その一言によって僅かに高まらせた緊張感が
仲間に染み渡るのを確認し力強く発言する。


「 我がチームが相手にするのは、転生した妖孤だ。
  幼い形を取って様ともヤツは各国を手玉に取った
  傾国の美女─九尾の狐だ。決して気を抜くなよっ!」

「「「「「 はっ! 」」」」」

「 では、装備を怠ることなく持ち場につけっ! 」

怒号と同時に散らばる六人一隊。


命令から僅かな時間も掛けることなく

二人一隊で左右の植え込みで身を伏せ
一人は公衆トイレの外壁を登り入り口へとスコープを調整した。


何時もは平凡な日常を描く公園の景色は
こうして──緊張感漂う戦場へと姿を変えた。


サァー・・・。

一度、やや肌寒くなった季節を感じさせる風が公園内を舞う。


その乾いた風に──これから起こる惨劇を想い

・・・『 ごくりっ 』 と何時の間にか溜まった唾液を飲み込んだ。

入り口からの死角に待機したチームのリーダである男の額から
緊張により出た汗がつぅと額からゆっくりと顎先へ伝わり

「 まだか・・・? 」

ソレを袖で拭い呟いた。


瞬刻


──────パァーンっ!!


軽く感じる火薬の破裂音『銃声』が公園内に響いた。


     願い 〜第一話〜プロローグ


───パァーンっ!!


遠くから小さい破裂音が耳に届くと同時に
私の後ろ足が鈍く熱い痛みを訴える。


( ちくしょうっ!畜生畜生っ!! )


何度毒づいたか分からない罵声を私は頭の中で叫ぶ。


何故、何もしてない私を追ってくるのか?
何故、殺生石の前で待ち伏せされてたのか?
何故、殺されないといけない?何故・・・何故・・・何故・・・


転生したばかりの私の心の中で様々な疑問が生まれると共に
それらに対する返答の言葉が私の内から溢れ出した。


人間は信用しちゃいけない。
平気で騙すから・・・。
人間に見つかってはいけない。
人は人外の者を嫌い除外し虐殺、虐使するから・・・。


( くそっ!!人間めっ!奴等は敵だっ!敵だっ!敵だっ! )


何故忘れていたのだろう。

奴等は前世でも敵だったはずだ。
転生したばかりとはいえ、忘れることではない
本能にさえ刷り込んだ教訓じゃなかったのか・・・。


胸の内に流れる意思を感じながら
傷ついた足をなるべく使用しないように三本の足で
跳躍するように公園内を駆ける。


ズキッ

頭の中に直接響くような足の痛みを誤魔化し
必死で駆けた逃走劇も終盤へと近づく。


───パァーンっ


遠くから公園内に響いた忌まわしい音をたてた狂気が
私の足を再び射抜いた。

瞬間、大地に肉と血液と共に『狂気』が大地に孔穴を作り出した。

肉を熱い『狂気』が抉っていく感覚をリアルに感じ
真っ白になる思考。


それと同時に傾く視界。


トサッ

まだ小さい私の体が地面に倒れこむ音を
意識の外で聞きながら──只管人間へ怨嗟の言葉を連ねた。


タッタッタ・・・。

時間を掛けずに地面についた耳から幾人かの人の足音が響き
遠くで喧騒の声が聞こえた。


ジャリ・・・

私の近くの砂礫が軋む音がすると同時に私の視界に影が覆う。


( 何故・・・? )


影を感じ、痛みを訴え続ける体と意識を闇へと誘う誘惑を振り切り
何時の間にか私の傍へと来ていた男を目に入れて出た言葉は
怨嗟では無く、最初の疑問だった・・・。


そんな私を目に入れた男は
下卑た笑いを浮かべ銃を向けると


───パァン


「 不運だったな・・・ 」 


暗闇に堕ちていく意識の中
──私はそんな言葉を聞いたような気がした・・・。


          ・
          ・
          ・
          ・
          ・


───ハッ!?


長い悪夢から私は再び目が覚めた。


( 生きてる・・・?私、まだ生きてるの? )

薄汚れた民家の天井がぼやけた私の視界に映る。


───ハァ、ハァ。

ゆっくりと意識が明確になっていく間に
──自身が荒い息をついていることに気づき


( 此処は何処だろう? )


と、未だに荒く吐く息を意識して抑えつつ辺りを見回す。


───ガサっ

束の間、ビニール袋が擦れる音が聞こえ
私は音源へと細心の注意を払いながら目を向けた。


( 人間?──っ人間っ!! )

無意識に強張る体を無理やりほぐすと
最初に此処から出る場所

次に自身の体の具合を確かめた。

思考─正常 肺─正常
視覚─正常 腕─正常
嗅覚─正常 体─正常
聴覚─正常

 足─・・・?


瞬間、駆け巡る違和感。
何度も動かし確かめるが・・・。

幾度となく同じ答えが出てくる。


足─正常


( 奴等に撃たれたはずの足が治っている? )

浮かぶ疑問に答えられる訳も無く、体に巡らしていた視線を
再び、近くにいる人間に向けた。


「 おっ。起きたみたいだな。 」

「 っ?! 」 ( 気づかれたっ!? )

「 体痛むところないか? 」


何の警戒も無く問いかける人間に狐疑逡巡した後

───こくんっ

と頷いた。


「 お腹空いてるだろ?─って、狐って何食べるんだ? 」

私に向けていた視線を途中で虚空に巡らし思考する人間を
興味と怨嗟の入り混じった瞳で観察した。


「 ・・・。 」 ( 妖狐と気づいてないのかしら? )

暫く、観察すると相手に敵意の無いことを
私の直感が伝える。

僅かの間、自身の内へと向けていた思考は
観察していた人間の声によって打ち切られた。


「 考えても仕方ないな。カップうどんしか家にはないし・・・ 」

不意に、『カップうどん』という物体へと目を向けた私は油揚げと
でっかくテカテカに輝く文字に心を奪われ空唾を飲み込んだ。


───んくっ。


その音に目ざとく気づいた人間は

「 ん? 」と投げかけ、私の視線とかっぷうどんを交互に見た後


「 油揚げが好物なんかっ! 」

と、どこか納得した感じに言葉を漏らし
私に無防備な笑顔を向けた。


その笑顔に呆然としながらも頷く私に


「 待ってろよー。今作ってやるからな 」

と、語りかけ嬉々とした表情でカップうどんにお湯を注いだ。


5分経過。


「 よし、出来たぞっ。ほれっ 」


そんな言葉と共に受け皿に油揚げを乗せ私へと進めた。

私はその油揚げを注視し、僅かに警戒。
そして躊躇った後でかぶりついたが


「 ギャンっ!? 」 ( 熱いっ!? )


私は転生して初めて食べる油揚げに
            ──浮かれてしまっていた・・・。


後書き


勢いのあるうちにどんどん書いてしまおうと
調子にのってる水稀です。

今回はフォクシー・ガール
での話しを私なりに書きつのったのですが
どうでしょうか?

楽しんでいただければ幸いですが・・・。


で、早速謝罪です。

前回 次話で横島がいった誤魔化せたか?という言葉の
   意味を今回書くことができませんでした orz

   次こそは書いてみせると意気込んでますので
   更に暖かい目で見守ってやってください。


>>拓坊様

あたたかい言葉ありがとう御座います。

これから、どんどん他の作者様と違った展開を書いて
いきます(いきたい) ので 今後とも見聞よろしくお願いします^^


では、 今回はこのくらいにして
    皆様 今後とも よろしくおねがいしますっ!!

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