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▽レス始

「願い(GS)」

水稀 (2005-12-02 11:42/2005-12-19 10:54)
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大切な人を失った。
──得たのは自身の命だった。


大切な想いを失った。
──得たのは道化の仮面だった。


大切な日常を失った。
──得たのは時を刻むことの無くなった心だった・・・。


世界が紅に染まる時間
それは失った彼女との約束の時・・・。


その夕陽に彼女の最後の笑顔を想い・・・──何度も涙した。


以前は
優しさを堪えた黒曜石のような瞳をしていた彼の瞳は

彼女を失い・・・悲哀と後悔で彩り
色を与えた─ガラス玉のような印象を与える─モノとなる。


それから数ヶ月。

ルシオラの願いそのままに
 ──彼自身が望み道化として過ごした日々。


初めは仲間から見られる視線は同情の念を込めたものばかりで
彼にとって居ずらい空間ではあったが、それでも──・・・。
彼女等は彼を確かに支えていた。

だが、それはすぐに終わることとなる。

彼の傷跡の深さに・・・──道化の仮面を被っている事に
彼女等は気づくことができなかったから・・・。


それ故に、彼は一人で歩を歩めた。


仲間を偽り、自分を偽りながら
道化の仮面で・・・以前の自分を描いていた──。

『 道化として歩む事 』

その事に対して、彼は辛い等とは思った事は無い。


ソレは自身にとっても気の休める仮面だったから──・・・。

他人に自身の心の醜さを見せるのが怖くなったから──・・・。


本音を見せずに──『 建前 』で生きていく
時を刻まない心に慣れてしまった彼の瞳は

時間の経過と共に・・・。

感情の動きを一切映すことが無くなり
唯、眼前に広がる夕日の陽光を──鈍く反射する


煤けたような石へと変化していった・・・。


[ 昼と夜の一瞬の隙間 ]


一瞬の時の中に続く彼の永劫の苦艱
日々薄れいく彼女の気配─『記憶』─に恐怖しながら彼女の名を
何度も自身の内の『彼女』へと呼び掛ける約束の時。

ソレは唯一、彼の本音が漏れ出でる──日々続く儀式の時間。


紅の陽光をその身に受け、彼は呟く。

『 ルシオラ・・・ 』─と・・・。
紅の陽光が世界を支配する間

壊れたレコードのように何度も繰り返し
己の内へと呟いていたその名は

今では彼の耳にすら意味を持って響くことは無く
僅かな時間の経過とともに辺りに溶け込むようにして消えていく。

既に慣れた、いや、慣れてしまった日々。


願うことを諦めてしまった青年の名は『 横島 忠夫 』

数ヶ月前に起きたアシュタロス戦役において
ジャックカードまたはキーパソンとしての役割を与えられた彼は

東京タワーの一室にある展望台より更に上の
関係者ですら立ち入ることの少ない鉄柱でできた場所で

膝を抱え蹲ったまま、唯、視線を夕陽へと向けていた──・・・。


      願い 〜プロローグ〜


───ぽつり ぽつり


天聳る空から微かな音をたて小雨が降り下り

柔らかく堕ちたソレは、灰色のアスファルトに覆われた大地を
ゆっくりと黒色へと彩り、音も無く消えていく。

空には夕陽が、紅の陽を淡く放ち
その色に染められた雲を薄く纏っている。

街行く人々は、陽の纏っている衣から漏れた陽光によって
淡く静かに──ゆっくりと染め上げられた。


『 狐の嫁入り 』

他にも、日向雨・天気雨と呼ばれる天候の中

何時もの場所で横島は唯、夕陽を目に入れ
数日前の出来事を思い返していた。


              ・
              ・
              ・
              ・
              ・

半ドンで終わった学校帰り、家に帰宅することなく
横島は美神事務所へと駆け込み──事務所のドアを開けた。


「 美神さんっ!今日休みもらってもいいス・・・ふべらっ!? 」


事務所に入るなり開始した雇い主への交渉は

ガンッ!
脳に響く鈍い破壊音を立てた書類が返事となった・・・。


あまりに咄嗟の事で防御も取れずに
眉間へとめり込んだソレは散乱し─パラパラ─と

独特の音を立ててカーペットへと個別に舞い落ちる。


呆けてドアの前に立ったままソレを見守ること数秒


「 っ!!一体何するん・・・スか──・・・? 」

現実へと帰還を果たした横島の勢いある発言は
雇い主『 美神令子 』の額に──

十字路の血管を浮かんだ素敵な笑顔によって尻込みした。


「 あんたねぇっ!億単位の仕事が入ってる当日に
              休もうなんて何考えてるのよっ?! 」


視線が重なるなり、飛び込んでくる怒声に


「 す、すみませんっ。勘弁して下さいっ!!? 」

既に条件反射となってDNAに書き込まれた
──その謝罪行為は某韋駄天の神様が居れば
     勝負を吹っかけられただろうの速さで行われる。

横島は─ササッ─っと令子の下へと駆け込み土下座した。


僅かな時間の経過


何故かボロボロの物体へと進化を果たした横島の傍らで
令子が額に手を当て汗を拭うような仕草を行い


一仕事をし終わった満足げな表情で立っていた。

・・・ごみへと進化した横島を一瞥した令子は


「 ・・・で? 」 と呟く。

僅かな時間の経過


「 ・・・? 」

令子に話しかけられた横島は──要領を得てないのか
きょとんっとした表情で首を傾げた。


ピクッ

そんな横島の反応に僅かに太くなりつつある額の血管を
令子は左手で優しく撫でながら──


右手に持っていた神通棍に霊力を巡らす。


・・・うわぁぁぁっ?! 何か知らんが怒ってらっしゃるぅぅぅ!?

と、目に見えるほどの狼狽ぶりを発揮する横島に

令子は毒気を抜かれたのか──徐々に霊力量を増やしていた
神通棍を手放し、促した。


「 ・・・で?来るなり休みを貰おうとするのは何故かしら? 」

穏やかながらにプレッシャーを掛ける令子の言葉に
横島は冷汗を拭うこともせずに、言葉早に理由を伝える。


「 ん、んと、実は今日ッスね。
    クラスの友人の従兄弟の奥さんの祖父の
      三回忌d『 ほとんど他人じゃないっ!!』もげらっ?!」


しどろもどろに言い訳『出任せ』を言う横島に
必殺のタメを加えたアッパーを

令子は躊躇することなく顎目掛けて振り抜いた。


数秒程天井に張り付きカーペットへとドサっと音を立て
落ちてきた横島の襟を持ち上げ

「 適当なこというと脳漿弾かせるわよ? 」

と、素敵な脅しを加える。


襟を持ち上げられた横島は数秒と経たずに復活し
残像を残しながら──首を縦に何度も振った。

未だ怖すぎる程に素敵な令子の表情を伺いながら


( ───って、言ってもなぁ・・・。
  唯の体調不良で役に立てなさそうって言っても 
  守銭奴の美神さんが許してくれる訳ないし。」

そこまで考えて締まる力を増した襟に──ハッ!と気づき、
令子に視線を合わせようとして・・・。


・・・・逸らした。


「 ど、どこから口にでてたスか? 」

「 言ってもなぁ・・・。って所かしら? 」

横島は脳内に凄まじい音を立てるアラームが響き
冷汗を滝のように流しながらも必死に目線を逸らす。

( 目を合わせちゃダメだ。目を合わせちゃダメだ。目を・・・ )

某三番目の子供の口癖を軽くパロって意識革命を果たすが


チラッ

怖いもの見たさの興味がソレに打ち勝ち視線が重なった。


束の間


がしっ──と音がするほど強く顔を捕まれ
逸らそうとした視線を無理やり合わせられた横島は

意識を手放そうとして・・・。


「 ハァー・・・。別にいいわよ。 」

という意外な令子の思い遣りの言葉を聞いたことによって


「 へっ? 」──・・・手放なかった。

「 いいわよって言ってんのよ。それとも休みいらないの? 」

「 ありがとうございますっ! 」


感涙の涙を流し──深々と平に伏せる横島に
軽い頭痛を感じつつ令子は


「 ただしっ! 文珠四個は置いていきなさいよ。 」

と、条件を出した。


───文珠。使い手の少ない横島を代表する霊能具。
   それはキーワードを込め使用することによって
   世界に事象を発現させることのできる神器と呼ばれる霊具
   その発現させれる内容は持ち主のイメージ次第では
   無限の可能性を持つという恐ろしくも万能な力を持っている。

   ちなみに横島は現在では一週間に
   計8個の文珠を作成できるようになっていた。


「 は、はいっ!四個っスねっ! 」


迅速に体内へとストックさせていた文珠を発現させ
令子へと手渡した。


「 よしっ。じゃぁ、今日は休んでいいけど
           明日までには体調直すの・・・よ?」

と、そこまで伝えてかけて怪訝な表情へと変えた。


「 な、何スか? 」

「 あんた・・・。もしかして霊力が減ってない? 」


と、問われ横島は思い当たる節の一端を事を伝える。


「 そんなんスよ。昨日から霊力の回復が遅くて
  文珠を作ってから回復しきってないんスよね。 」


応えた横島に──

「 ありえないわっ!──っ、もしかしてアンタ・・・
      ──やましい事とかしてないでしょうねっ!?」

問い詰める令子。


「 い、いや、何もしてないッスよっ!? 」

と、多少ドモリながら弁解する横島に


「 怪しいわね・・・。 」

令子はしっくりとこないのか呟いた。

そんな呟きをしっかり耳にいれてしまった横島は
ツツゥーと額からすべってくる汗を拭い令子へ尋ねた。

「 どうしたら治るッスか? 」

「 そうね。一応アンタの霊力回復するまで休みをあげるわ。
  ただし、三日たっても治らなかった場合は
  小竜姫様の所に行ってちゃんと調べてもらうのよ? 」

「 心配してくれてるんスねっ?!これはもう愛の告白としかっ!
                   ──美神すわぁぁぁぁんっ!! 」


本家より僅かに素早いル○ンダイブを繰り出した横島に
カウンター気味で蹴りを放った令子は
脱ぎ捨てられた衣服と共に横島を事務所の外へと放り出し


「 さっさと治してくんのよっ! 」


暖かい(?)言葉を吐いたと同時にドアを閉めた。

( 上手く誤魔化せたか・・・? )

令子が去るのを横目で見ていた横島は
事務所のドアが閉まるのを確認して─サッと着替え

足早に事務所を後にするのだった・・・。


 初めまして水稀『 みずき 』 と申します。

 GSの小説を読みふけっていたこの一週間。
 皆様の書いたSSに深く感銘を受けまして(言いすぎ?)
 筆を取らせていただきました。

 数あるSSを見ていく中で『 こういったものは無いか? 』
 と探しているうちに自身の中に溜まったネタを
 この場で書き下ろしたいのですが・・・

 小説を書くの初めてでして・・・。文章や表現 心理描写など
 至らない点が多々ありますが、どうか暖かい目で見てやって下さいorz

 ちなみに次回から本編ではフォクシー・ガールと呼ばれる場面から
 始まりますが、実はGSのマンガを六巻までしか見たことがないので

 ほとんどオリジナル展開になりますが・・・正直自信がないです^^;
 ( この場面で何が誤魔化せたか? ってのを書くつもりです。 )


 後、なるべく世界観をだしたかったため、説明文的なものを
 多く書き、見づらい作品になってしまったのと

 日常生活でのキャラ同士の係わりを上手く表現するコツ又はアドバイス
 がありましたら、どうかご教授くださるとありがたいですorz


 では、皆様。長くなりましたが 
 これからもヨロシクお願いします!!

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