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「霊光波動拳継承者『横島』(改訂版)4話(GS+幽遊白書)」

柿の種 (2005-12-01 17:11)
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幻海の住む屋敷へ向かう道中、そこへ続く階段を上りながら雪之丞がふと思い出したように聞いてきた。

「そういえば、お前最初にあいつらの魔力砲を跳ね返したのはどういう技なんだ?見た所お前の霊力はかなり強くなっているみたいだけど、だからってあいつらの攻撃を力押しだけで跳ね返せたりする程は強くはないだろう?文珠も効かなかったみたいだしよ」

「ん、ああ。あの跳ね返したのは霊光鏡反障つーてな。相手の霊力や魔力と波長を合わせる事で鏡みたいにして跳ね返す技なんだよ。跳ね返せるのは大体自分の霊力の10倍位が限度だな。文珠で補助すればもっと限界を挙げられるけど、文珠の発動と技の発動を戦闘中に連続でやるのってむちゃくちゃむじいから実戦では無理っぽい」

幻海から教えられた事をほとんどそのまま話す横島に対し、ほー、っと雪之丞は感心した様に聞いている。おキヌも興味深げだ。

「他にも色んな技を習ったけど、自分よりも強い奴を相手にするにはあれが一番かな。まあ、単純に肉体に霊力とかを守った攻撃には対処できんのが欠点だけど」

その他にも教えられた事を色々と話して聞かせる。そうこうしている内に階段を上りきり屋敷にたどり着いた。するとそこには一人の男がいた。その男は顔は2枚目の部類に入るが、何故か間抜け感漂っていた。

「あ、佐藤さん、おひさしぶりです。」

「久しぶりってお前昨日帰ったばかりだろう?」

横島が男、“佐藤”に話しかける。それに対し男も笑って返した。

「横島さんこの人は?」

おキヌが彼を示して横島に対し、尋ねる。それを聞くと、横島は微妙な表情を浮かべ、そして苦笑しながら答えた。

「この人は“蘇る超闘士佐藤”さん、通称佐藤さん。その前の名前が“美しき魔闘家鈴木”でその更に前が“強き妖戦士田中”だそうだ。本名は俺も知らん」

「はっ?なんだそりゃ?」

横島の答えた名前に雪之丞が呆れた顔をする。ちなみにおキヌも同じだ。横島が苦笑したまま、再度答える。

「ま、普通そう思うよな。まあ、リングネームみたいなものだと思って気にしないでやっといてくれよ。一応俺の兄弟子みたいなもんだし。何でも幻海さんに戦いを挑んでボロ負けしてそれから弟子入りを志願したらしいよ。あ、ちなみにこの人魔族らしいから」

「え、そうなんですか?見た目は人間にしか見えませんけど。」

横島の説明に佐藤が苦虫を潰したような顔になっている横でおキヌが不思議そうな顔をする。雪之丞も同じだ。

「まあ、そういう奴も結構いるらしいよ。で、佐藤さん、幻海さんいる?」

「ああ、中にいるぞ。それで、今日はどうした?早速、修業の続きでもしにきたか?」

「うっ、あの地獄はもう御免じゃ。今日はこの二人を鍛えてもらえないかどうか頼みに来たんだ。」

そういって横島はおキヌと雪之丞を指し示す。佐藤は二人を見回し言った。

「なるほど、そっちの男はなかなかの腕前だな。昔の桑原と同じ位の実力があるんじゃないか?もしかして、鍛えてもらえるかもな。じゃあ、ついて来い」

そう言って、佐藤さんが幻海の住む屋敷の中に入ろうとする。だが、それよりも早く一人の女性が家から出てきた。その女性は二十歳前後。かなり小柄で身長は150あるかないかというところだったが、誰が見ても目を引くほど美しかった。そしてその女性が口を開く。

「おや、横島、もう戻ってきたのかい?思ったより根性あるじゃないか?」

「うっ、それはもうしばらく勘弁してください。今日は後ろの二人を鍛えてもらいたいと思ってきたんですよ。」

そう言って横島が後ろを振り向く。するとおキヌと雪之丞は何故か腑抜けた呆然とした表情をしていた。そしておキヌの方がはっとなると横島に問い詰める。

「よ、横島さん!!あの綺麗な人誰なんですか!?」

「えっ、だから、あの人が幻海さんだけど・・・・・」

横島がその勢いに押されながら何とか答える。するとおキヌはショックを受けたような表情になった。

「お、お婆さんじゃなかったですか!?」

横島は最初婆さんと呼んでいたし、一世代前に活躍したGSと聞いていたのでてっきりそうだと思い込んでいた。ところが実際は美神をも上回りかねない程美しい女性。こんな女性と横島が二人っきり(この時、彼女の思考からは佐藤の事は排除)で修業、っという事を想像しておキヌの中では混乱した思考であふれていた。

「ちょ、ちょっと前までは婆さんだったんだけど、色々あって若返っちゃったんだよ。」

「ああ、あたしはこう見えても75だよ。」

横島の言葉に幻海が年齢を答える。そして、もう一人の呆然としていた男はと言うと。

「マ、ママに似てる・・・・・。」

いつも通りだった。


「それで、その子達を鍛えて欲しいって言う訳かい」

弟子入りの件において横島達の話しを聞いた後、幻海はお茶をのみがら興味なさげに答えた。横島は何とかやる気をださせようと説得を続けようとする。

「え、ええ、何とかお願いできないっすか?」

「悪いけど、あたしはもうこれ以上弟子を取る気はないねえ」

 が、横島の努力もむなしく、幻海はにべもなくそう告げる。その言葉に気の短い雪之丞が叫びたてる。

「何で、横島はよくて俺達は駄目なんだよ!!」

だが、そんな雪之丞を幻海が威圧し、それだけで雪之丞は気圧され動けなくなってしまった。そして、幻海は横島を指差して言う。

「こいつはあたしの最初の弟子と同じくらい馬鹿だったが、そいつよりは器用だったからね。最初の弟子の方に教えきれなかった事を教えてやったのさ。佐藤もまあ、最初の馬鹿弟子よりは出来が良かったがなんというか、器用貧乏みたいな所があっていまいち技を生かしきれなくてね。そんな時、こいつと出会って、あたしも老い先短かったから、妥協してこいつに技を仕込んだのさ」

 そこで、彼女は一旦言葉をきり、少し苦々しそうな表情を浮かべた後、話を続けた。

「まあ、今はこうして若返っちまったからね。横島が駄目そうなら、次の奴を選んでもいいが、それまでは当分弟子を取る気はないね」

そして、そう断言する。“若返った”っと言う所で不快気な表情を浮かべた幻海におキヌは気付き、不思議に思ったが、それを口にはださなかった。そして、そこで、硬直から脱した雪之丞がなおも食い下がろうとする。しかし、その前に幻海から意外な言葉が飛び出した。

「けど、まあ、弟子に取る気はないが、少し位は鍛えてやってもいい」

「えっ!? マジですか!?」

「ほ、本当ですか!?」

「本当か!?」

突然、態度を軟化させた彼女に3者は思わず驚きの声をあげた。それに対し、幻海はいたずらな笑みを浮かべて答えた。

「アシュタロスってのを放って置く訳にはいかないからねえ。とはいえ、今更あたしがでばるのも面倒でしょうが無い。だから、代りとしてあんた達を鍛えてやるよ」

「あ、ありがとうございます」

 幻海の言葉を聞き、嬉しそうな笑顔を浮かべるおキヌ。それに対し、雪之丞は喜びもあったが、ムスっとした表情を浮かべる。

「だったら、最初から承諾すりゃあいいじゃねえか」

「“弟子には取らない”って事をはっきりさせる為さ。鍛えちゃやるが霊光波動拳の極意とかそういうもんは教えるつもりはない。教えるとしても精々その一歩手前までだね。それから、あたしは見込みが無い奴を鍛える気は無いから、駄目そうな直ぐに追い出すよ。後、仮にも人に教わろうって言うんだもう少し人を敬いな」

「うっ」

 幻海に睨まれ再び身を竦ませる雪之丞。しかし、それは同時に彼を興奮させた。今の自分に情けなさを覚えないではないが、それ以上に目の前に圧倒的強者がいてる事に、それによって自分が強くなれるのではないかという予感に。

「それから横島、記憶が戻って仲間に会いに行くっていうんで修業を中断させてやったが、あんたにはまだ教える事が山ほどあるんだからね。あんたも修業をつけなおしてやるから覚悟しとき」

 雪之丞から視線を外した幻海は次に横島に視線をやってそう言った。その言葉に横島が地獄の特訓内容を思い出し、まともに顔色を変えると慌てて否定する。

「え、いや、ちょっと、俺はその、そう!!美神さん達をサポートしなきゃいけないですし!!」

「そっちには、代わりに佐藤をやっとく。あいつは今のあんたよりは強い。それに今のままのお前じゃどのみち力不足だ。力が足りなくて仲間を失ったりしたらあんただって嫌だろ?」

「そ、そんな大丈夫ですよ、きっと。」

 幻海は横島のいい訳を切り捨てる。だが、横島は笑って受け流そうとする。しかし、幻海の目がさらに冷たくなり、見下すような視線になる。

「きっと?何を根拠にそんな事が言い切れるんだい?」

「・・・・・・」

「後悔はしてからじゃ遅い。力の質すら無視してただそれを求めるのは救いようのない馬鹿だ。けど、力が無ければ事を為すこともできない。大丈夫と過信して力を得ようとしないものもそれと同じくらい馬鹿だ。お前は馬鹿だが、その点ではマシと思っていたがどうやらあたしの見込み違いだったみたいだね」

 今まで、横島は何度も危機にさらされながら、常に何とかなってきた。誰もかけることなく。だから、無意識の内に今度も大丈夫だと思い込んでいた。そんな彼に幻海の言葉が突き刺さる。そんな時、ふとおキヌが生き返った時の事を思い出した。あの時もほんの少し運が悪ければ取り返しのつかない事になっていた。自分の愚かしさを感じ恥じる。

「す、すいませんっす。俺、本気で馬鹿でした。お願いします、俺を鍛えてください」

 横島は頭を下げる。幻海はしばらく冷たい目で睨み続けた後、淡々とした声で言った。

「今回だけは許してやる。同じ過ち二度と繰り返すんじゃないよ。」

 こうして3人は幻海の下で修業を開始する事になったのである。


(後書き)
知ってる名前やそれっぽい人の話がちょこちょこ出てると思いますが、多分彼らの出番はほとんどありませんのであしからず。

現時点での霊力
幻海1500(→400+1100)マイト
佐藤700(解放時:2100)マイト+多数道具

*幽遊白書でも霊力値という値ができましたが。遊白での霊力値150=GSでの100マイトの換算でこの作品では考えています。ですので、黄泉とかですとGS換算では140万マイト位という事で。

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