インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「霊光波動拳継承者『横島』(改訂版)3話(GS+幽遊白書)」

柿の種 (2005-11-30 14:05/2005-12-14 19:32)
BACK< >NEXT

「はあ、はあ、まだ生き残ってるかい、何てしぶとい奴だ」

 爆発した病室、しかし本来なら病院ごと半壊してもおかしくない攻撃を受けたにも関わらず吹き飛んだのはその部屋だけだった。それは、攻撃を受ける瞬間、あらかじめ危険対策に“防”や”守”と入った文字が込めてあった文珠を5個一度に発動したからである。そのおかげで死者の一人も出さずにすむ被害に抑えることができた。

「今、止めをさしてやる」

 とはいえ、完全に防げた訳でもなく全員ボロボロの状態で気を失っていた。そして、ベスパ先ほどの怒りを返す為に留めを誘うと横島にゆっくりと近づいていく。しかし、そこで、彼女の中まである筈のルシオラがそれを引き止めた。

「待って、ベスパ!! 殺しちゃ駄目よ!!」

「はっ、何、言ってるんだいルシオラ」

「これだけ強い力の持ち主。もしかしたら、こいつがメフィストの生まれ変わりかもしれないわ」

 その言葉で自分達の目的を思い出す。けれど、怒りはおさまらないようだった。

「あー、そういえばそれが目的だったね。じゃあ、さっさとチェックを済ませちゃおうか」

 そして、結晶の有無を調べる為のリングを取り出す。っが、それは壊れていた。

「くそっ、さっき攻撃を跳ね返された時か!! 仕方ない、一度こいつを逆転号にまで連れてかえるしかないか」

 そう言って、壊れたリングを床に叩きつけると横島を抱え、飛び立とうとする。

「待ちやがれ。横島をはなし・・・やがれ」

 しかし、そこに声が響いた。意識を取り戻した雪之丞が立ち上がったのだ。しかし、その声は絶え絶えで、満身創痍といった感じである。

「あら、あなた、さっきあった奴ね。あなたにはもう用はないわ」

「お前等になくても・・俺にはあるんだー!!!!」

 しっしと犬でも追い払うかのように手を振るルシオラ。それに対し雪之丞は怒りと共に魔装術を纏い飛び込んだ。そんな彼に対し、ルシオラは仕方がないとでも言うように無造作に右腕をあげた。

「邪魔よ」

 そしてその右腕から放たれた魔力砲に吹き飛ばされる。手加減してというよりも、手を抜いて放たれた魔力砲は雪之丞の命を奪う事はなかったが今度こそ立ち上がる力を完全に奪う。

「・・・・旦那、おキヌ、すまねえ・・・・」

 横島が居なくなった時の落ち込みようを知るだけに、二人に詫びを入れ、そして雪之丞は気を失った。


「すまねえ!!」

「そんな、横島さんが・・・・・」

 女魔族達が去った時、目を覚ました皆の前で雪之丞が土下座する。そして、おキヌは横島が連れ去られえたという話を聞いて顔を真っ青にした。
 しかし、そこに気楽な声が響き渡る。

「心配しなくても横島君なら無事よ」

「美神さん!?」

ルシオラ達に霊力を吸い尽くされて倒れた筈の美神が平然と起き上がったのだ。しかし、その表情は少し怒った様子が見られた。

「それにしても、横島君が心配だったり、混乱してたってのはわかるけど、ちょっと位こっちの事も心配してくれてもいいんじゃないかしら?」

 実は美神はずっと放って置かれた状態だったのだ。幸い、魔力砲が放たれた時、彼女は被害の少ない位置で、“絶”“対”“防”“壁”の効果は彼女にも及んでいた為、身体的には無傷だったのだが。

「す、すいません。それで、横島さんが大丈夫だっていうのは?」

 顔を真っ赤にして謝罪しながらも、さきほどの美神の言葉に対し尋ねる。それに対し、美神は軽く息を吸った後、大声で叫んだ。

「こらああああああああ、よこしまーーー!!!!!!!そろそろでてきなさい!!!!」

「はいいいいいいいいいいい!!!!!!」

 そして、その次の瞬間、横島が大慌てで、病室のドアを開けて部屋に入ってきた。その展開に皆は目が点になっている。


「ど、どういうことだ!?横島は確かに、あいつらに・・・・・・」

 少し落ち着きを取り戻した雪之丞が驚きと疑問の声をあげる。そこで、横島と美神はそれぞれ種明かしをした。


 まず、美神はリングで力を吸い尽くされる前に幽体離脱をし、それを逃れた。そして、そのまま隠れて様子を伺っていたのである。
 そして、横島は攻撃を受けた瞬間“魔人形”という兄弟子に貰った身代わりアイテムを発動させ、病室の外に退避したのだ。この“魔人形”は単なる身代わりとしてではなく、外見は勿論、霊核までも擬態し相手を騙せるというすぐれものであった。女魔族達が連れ帰ったのはこの分身体の方だったのだ。
 美神は横島がルシオラ達に連れ去られようとした時、彼に憑依しようとしその横島が本物では無い事に気付いたのである。コピーは魔族ですら簡単には見破れない精巧なものであったが、肉体の内部に入り込んだ事によって、その魂が通常の人間のあり方でない事位に気付いたのである。


「奴等は前世の私が飲み込んだ魂の結晶を狙っているみたい。幽体離脱したおかげでさっきはそれはばれなかったけど、悟られないようにしないといけないわ」

 そして、美神が話を締めくくる。それから、一同を見回して言った。

「とりあえず、これからの事を考えましょう。そうね、まずは妙神山へ行きましょう。もっと詳しい状況がわかるかもしれないし、魔族が関わっているとなると協力も仰げるはずだから。それから・・・・・・・ねえ、横島君、何とか幻海さんの力を借りられないかしら?」

 横島の方を向いて尋ねる。伝説に名を残す幻海が力を貸してくれればこれほど心強いことはない。しかし、横島はそれに対し、難色を示す。

「うーん、幻海さんあまりそういうのに関わろうとしてくれないと思うすけど・・・・。」

 その歯切れの悪い答えを美神は平静に聞く。幻海がかなりの偏屈で頑固者だという事は彼女も聞いていたので、その答えはある意味予想道理の答えである。とはいえ、簡単に勧誘を諦めるつもりも無い。

「そう、けど、一応説得に当たってみて頂戴。私はその間に妙神山へ行くから。戦力を分散するのは危険だけど今は時間が惜しいしね」

「大丈夫なんですか、美神さん?」

 おキヌが心配する。美神は今、狙われてるのだ。一人で行動するなどあまりに危険すぎる行為だ。

「大丈夫よ。私を誰だと思ってるの?美神令子よ!!とっ、まあ、そうは言っても流石に単独行動は危険だから先生と西条さんにでも付き合ってもらうわ。」

「何!?西条やと!!いかん、そんな事したら別の意味で危険!!ここは俺が二人っきりで!!!」

「その方が危険よ!!」

 西条という名を聞いて美神に飛び掛りそうになった横島を美神がど突き倒す。と、いつもの漫才が繰り広げられたところで雪之丞が発言した。

「なあ、横島、さっきから話にでてる幻海ってあの幻海か?」

「んっ、ああ、お前も美神さんと同じような事言うんだな。やっぱ有名何だなあの人・・・。」

 雪之丞の質問にそういえば彼は今まで自分が何処にいたのか知らなかったのだと気付き、頷く横島。そして、雪之丞は横島の答えを聞いて少し考え込むような仕草を見せた後、真剣な表情になって言った。

「横島、お前強くなったよな。そいつはもしかして・・・・・・」

「ああ、幻海さんに鍛えてもらったからだけど?」

 それがどうかしたのかと言わんばかりの横島の答え。それを聞いて雪之丞は大声で叫んだ。

「だったら俺も一緒に連れて行ってくれ!!俺はついこないだまでお前のライバルだと思っていた。そしてお前に負けないよう、必死に修業した。だが、俺が全く適わなかった奴等にお前は一矢報いておまけに出し抜いちまった。今の俺じゃあ、お前のライバルだなんて言う事ができない。俺はもっと強くなって、そしてお前も超えたいんだ!!」

「お、おまえ相変わらず恥ずかしい事いう奴だなあ。ま、まあ、いいよ。つれてってやる。けど、幻海さんが承知してくれるかはわかんねえし、例え承知してくれても地獄だぞ、あの修業は。マジで」

「ああ、俺はどんな試練でも耐えてみせるぜ!!説得もなんとかしてやる!!」

 雪之丞の気迫に押され、承諾する横島。その時、以外な人物が手を上げた。

「あの、横島さん、私も連れて行ってくれませんか?」

「えっ?お、おキヌちゃん、ちょ、ちょっと待って!!あの人の修業はマジで地獄なんだぞ!!美神さんのお仕置きの10倍くらいきついんだぞ(当社比)おキヌちゃんにはきつすぎるって!!」

 おキヌの提案に対し、横島はそういってやめさせようとする。ちなみに美神のお仕置きの10倍と言う言葉に後ろで雪之丞が顔を少し青くしている。だが、おキヌは引かなかった。

「私、美神さんや横島さんのお荷物にはなりたくないんです。横島さんがいなくなって、私どれだけあなたに頼っていたのかわかりました。自分ひとりじゃどれだけ約立たずなのか・・・・。私はもっと強くなりたいんです。」

 まっすぐに真摯な目つきでそう言葉を発するおキヌに横島は言葉を失った。そこで、その決意の強さを感じた美神が助け舟をだす。

「わかったわ。行ってらっしゃい。」

「び、美神さん!?何行ってるんですか!!あの修業は本当にきついんですよ。死んだっておかしくないぐらいに!!」

 その言葉に横島は動揺し、叫ぶ。だが、美神は鋭い目つきで横島を見やり言った。

「GSの仕事はいつでもそうでしょ。」

「け、けど、仕事の時は俺達が助けたり・・・。」

 美神の正論になおも食い下がろうとする横島。だが、美神はさらに目つきを鋭くして言った。

「おキヌちゃんも自分で言ってたでしょ。彼女はもう、私達に守られているだけの存在じゃないのよ。」

 その言葉に横島は今度こそ完全に押し黙る。そんな横島に対し、美神は肩に手を置くと、優しい目つきになって語りかける。

「横島君、おキヌちゃんは私たちと一緒になってずっとがんばってきたでしょ?彼女の事信じてあげましょ。」

「・・・・・・はい」

 横島はその言葉に頷く。


「ところで、さっきの私のお仕置きより10倍きついってのは何かなあ?」

「えっ・・・・それはその・・・・。」

 先ほどまでの優しい笑みとは打って変わり、美神が悪魔の形相になり、横島の肩に置かれた手に恐ろしい力が加わる。

「そういえば私やおキヌちゃんを心配させた事や、抜け駆けして強くなった事や、私に対する失礼な発言、それらに対するお仕置き、まだしてなかったわよねえ?そりゃあ、まあ、記憶喪失とか色々訳はあるだろうけどそれで全部許しちゃうのってやっぱり甘いと思うのよ。」

「あ、あの、美神さん?」

「修業の10分の1しか辛くないんだから対した事ないわよね?」


・・・・・・・その後、壮絶なる美神の“お仕置き”が繰り広げられたが、掲載禁止になりかねないのでここは割愛する。

「やっぱ3倍・・・いや、2倍・・・・いや、とんとんくらいかも。」

 最後にそんな事をかすれる声で言って横島は気を失った。


(後書き)
現在の霊力
横島    212マイト
美神     95マイト
おキヌ    70マイト
雪之丞    84マイト
弓      62マイト
ルシオラ 7500マイト
べスパ  8000マイト
パピリオ 6400マイト


PS.このssにおける重要な設定として神魔は人界においてその力を完全に発揮できないというのがあります。実際神話でもGS中期の設定でもこれは魔族に適合されますし、これならば力の桁が7桁も違う筈(これはマイト数とは限りませんが)のアシュタロスがその割には強くない事にも説明がつくからです。このssではそれを神魔両方に適応し、さらに、元の力が強い程その枷が強くなることにします。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

e[NECir Yahoo yV LINEf[^[z500~`I
z[y[W NWbgJ[h COiq@COsI COze