〜横島視点〜
俺は今空港にやってきていた。本当ならキイ兄の除霊の仕事に助手として参加するはずだったんだが、昨日の夜…
『忠夫! 明日一時帰国するから空港まで迎えに来い!』
「親父か? 突然だなおい、しかも命令形かよ!」
『来なかったら、お前の学校の友達にあること無いことあらゆる手段で伝えるぞ!』
「待てやアホ親父! 誰も行かんとは言ってないだろが!!」
こんなやり取りがあって、俺は今空港に親父を迎えにきているのだ。
その時、ナルニアからの便が到着したことを伝える放送が流れた。
『なお、駈けこみ搭乗は危険ですのでおやめ下さい』
「いや、いねーだろそんな奴な……」
其処まで言いかけて俺の頭に蒼髪の何時もニコニコ笑っている現在居候先の兄貴分のことが頭に浮かんだ。
そういや前飛行機に置いてかれそうになったから飛び乗ったとか言ってたが、あれ冗談だと思ってたんだが、もしかしてマジだったのか?
いや、これ以上考えないでおこう。きっと無駄だろうから…
「それより親父と会うのも二年ぶりか。よー考えれば俺の親達って結構放任主義だよな」
定時的に連絡はあるものの、その時話すことといえば向こうの近況と俺へのからかいだけだ。もうちょっと息子を心配するような言葉はないのかよ。まあ、それはそれで怖いものがあるがな。
「忠夫! 忠夫じゃないか!」
その時背後から声をかけられた。昨日電話で聞いたが、生で聞くのは本当に久しぶりの声だ。
「おう、親父やっと来た…」
振り向いたら、親父はスチュワーデスを二人侍らしていた。俺はそれに思わずずっこけた。
どういうことなのか聞かなくても分かるのだが、とりあえず聞いてみた。
「おい親父…そちらの方々は?」
「わはははは! 途中で口説いたスチュワーデスさんだ」
駄目だ、この親父二年経っても全然変わってねぇ。スチュワーデス二人は親父に電話番号を手渡すと一度手を振って去っていった。
親父の方は笑いながら俺に荷物とって来いとか言ってるし。
「はっはっは、俺もまだまだ衰えちゃおらんだろ? まあ今夜くらいは親子二人での会話を優先してやろう」
「いや、別に良い。うちに帰ってキイ兄と一緒に飯食うから」
「何ぃ! 忠夫お前は何時からそんな親不孝者になった! 父さん悲しいぞ!!」
「親の責務果たさんで不倫している親父に言われとうないわ!! しまいにゃ母さんに言うぞ!」
その瞬間親父が素早く懐からナイフと取り出した。それに俺は逸早く反応して、振り下ろす親父の手を片手で受け止める。
親父は更にもう片方の手を抜き手にして、俺の喉を狙う。足を捌いて体の向きをずらして抜き手を回避し、首元を通り過ぎたその手を掴んだ。
一瞬二人の動きが止まった時、今度は親父は俺の股間を狙って足を跳ね上げる。
俺は掴んでいる両手を離して後ろに跳び退いた。
そして俺が飛び退き壁に背をつけた瞬間、すぐさま首を横にずらす。それから間髪おかず其処にナイフが突き刺さった。親父の方を見るとナイフを投げたポーズで固まっている。そしてにかっと笑うと、
「忠夫、なかなか腕を上げたじゃないか」
「アホか! こんな人の多いところで物騒なもん振り回して人怪我させたらどうするんや!!」
向こうの方から警備員らしき人が走ってきているのが見えた。俺はそう言いながら壁に刺さっているナイフを抜いて懐にしまった。
「厄介ごとは面倒だからな。さっさとずらかるぞ!」
「厄介なのは親父自身だろが!」
俺達は人ごみの中に紛れて警備員を撒き、とりあえず空港から出た。
これからどうするのかと尋ねたらまずやることがあるので親父の会社によることになった。しかし親父って結構デカイ会社に勤めてるんだな。
自動ドアをくぐって俺はラウンジで待っているように言われた。俺は大人しくラウンジに行くと。
「あれ? 横島さん何でこんなところに?」
「おキヌちゃん…そっちこそ何で?」
何故かおキヌちゃんがリビングの天井近くでふよふよと浮いていた。話を聞くと、どうやらキイ兄の除霊の仕事がこのビルであるらしい。
あれ? 何だか面白…いや恐ろしいことが起こる様な予感がするぞ?
「うおおぉぉ! 何だこれは!!」
突然後ろのほう、受付の辺りから悲鳴が聞こえてきた。間違いなく親父の声だ。
俺は急いで受付の元に向かうと…
親父が悪霊の群れに襲われていた。いや、というより…
「うおおおぉぉぉ! こんなもので俺が負けるかぁぁ!!」
親父が悪霊の群れと戦っていた、しかも素手で。無駄に戦闘スキル持ってたりしてたけど、まさか悪霊と素手で戦えるなんて…ちょっとだけ親父のことを見直しても良いかもしれない。
「おお、忠夫! お前もこいつ等ぶっ飛ばすの手伝え!」
「いや、別に手助けしなくても大丈夫そうだが…まあ手伝ってやるよ」
俺はサイキックソーサーを作ってその辺で飛び交っている悪霊たちを祓いまくった。親父の方も見事に素手で五分の一くらいの悪霊をのしていた。親父、本当にただの会社員なのかアンタは?
全ての悪霊を祓い終え、俺はサイキックソーサーを投げまくっていた肩を回し、親父は乱れた服装を整えていた。
そんなところに、まるでタイミングを計ったようにキイ兄がやってきた。
「あっ、忠っちじゃん。それに大樹さんまで」
「やあ、キイ君じゃないか。久しぶりだね元気だったかい?」
「ええ、大樹さんも変わりなく…こっちもお盛んみたいですし」
キイ兄が指す方向には、親父の方を見て驚いたようなそしてちょっと顔を赤らめた女性社員達が結構な数いた。
親父…あんた無節操すぎだぞ。母さんにばれたら絶対殺されるだろこれは。
「ハッハッハ、頼むキイ君。百合子には言わないでくれ」
うわっ、親父がマジで頼み込んでるよ。そういや親父の浮気がばれるのってその殆どがキイ兄からのリークだったな。ある程度は黙認してやってたみたいだが、どうやらこれ以上やるとと言うラインがあるらしい。その基準は…当時十二歳だった俺にはまだ早いと言われた。今なら教えてくれるか?
「まあ、今回は言いませんよ。それよりちょっと失礼」
キイ兄はそう言いながら親父を前方に突き飛ばした。親父はこけることはなかったが、それだけで三メートルほどキイ兄から離された。
その瞬間、突然キイ兄のいる真上の天井が爆発して、今さっき祓っていたのより大きい悪霊が飛び込んできた。
「GSは誰だろうと殺すーー!!」
そう言いながらキイ兄に飛び掛る悪霊。
俺は何をするわけでもなく、それをただ傍観していた。だって、キイ兄が妖しい笑い浮かべてるんだぞ。近寄ったら巻き添え食ってしまう。
キイ兄は、ジャケットの中から一本のナイフを取り出した。霊視してみるとなにやら呪術が施されているみたいだ。
「はい、さよならね」
そう言ってキイ兄は迫る悪霊にそのナイフを投げた。ナイフは悪霊に突き刺さり、行き成りその体を吸い込み始めた。
「ギャアアァァ! ギャフ!?」
スポンと良い音がして悪霊はナイフに吸い込まれていった。そっか、どっかで見たことがある呪印だとおもったら吸引札に似てたのか。けど何でまたナイフなんかに?
「よし、実験成功だな」
「キイ兄、何でまたそんなもの作ったんだ?」
「これ? グレンのご飯にするんだよ。勿論邪気は除いてからね」
そういや前に霊的な物とか上げたほうが喜んでたな。アレでも悪魔なんだし霊力とか摂取する方が美味しいよなやっぱり。
「あとシメサバ丸が現代のことについて教えてって言ってたからさ」
シメサバ丸もか。確か物とかの記憶を覗けて、触れれば強制で奪えるんだよな。
悪霊は自我失っていたりしても記憶はあるからな。ナイフの中に入ってるなら記憶とかも見れるんだろうな。
「いや、キイ君助かったよ。用事も済ませてあるしこれから食事でもどうだい?」
「いいですね〜。最近美味しいフレンチのお店見つけたんで其処に行きましょう」
キイ兄と親父が二人で飯を食いに行く話を進めていく。
「おい親父。今日は二人で飯を食いに行くんじゃなかったのか?」
「何を言う忠夫! キイ君だって立派なうちの家族だ!」
「嬉しい! ありがとうお父さん!!」
「うおぉ! 息子よー!!」
そしてガシッと抱き合う親父とキイ兄。俺は其れを呆れた表情で見ていた。
あーもうどうでもいいから、早く飯を食いに行こう。腹減ってしょうがない。
その後、俺達は飯を食って親父はホテルを取ってくるということで分かれた。
「それじゃあ自分ももう一つ仕事があるから、忠っちとおキヌちゃんは先に帰っておいてね。晩御飯はいらないよ」
「あいよ」
「気をつけて下さいね〜」
そう言って俺達は家に帰った。
〜ナレーター視点〜
深夜ホテルの最上階のバーで渋い中年、横島大樹が一人酒を飲んでいた。何時もなら妻がいないとあって不倫に走るのだが、今日だけは女性と合う約束はしていなかった。
そこで大樹の隣の席がすっと引かれた。
「すいません遅れちゃいました」
「いや、私が早すぎただけだ。時間通りだよ、キイ君」
大樹はバーテンにキイに酒を出すように指示する。バーテンはキイの子供のような容姿を見ても何も言うこともなくカクテルを出した。
「ふふっ、大樹さんとお酒を飲むのも丁度二年ぶりですね」
「そうだな…最後は、忠夫をのことを任せたときだったか」
大樹はくいっとグラスに入っているブラウンの液体を喉に通した。
一気に飲んでカアッと熱くなるが、大樹はそれでも更にもう一杯グラスに注いで喉に通す。
キイは其れを見て、くすっと笑うと自分もとシャンパンに口をつけた。
「忠っちは、心配しなくても強く育ってますよ。心も体もね」
「ふん、別に忠夫のことは聞いてはいないよ」
「独り言ですよ。まあ聞こえてしまうのは仕方ないと思ってください」
それじゃあ仕方ないかと大樹は笑う。
「忠っちは未だ不安定なところもありますけど、確実に前を進んで歩いています。大切なことは見失わずにね」
キイはそう言いながら大樹の前に一通の分厚い封筒を置いた。
「これ、今までの忠っち成長記録が入ってます」
「それがどうかしたのか?」
「いえ、言って見ただけです」
キイはシャンパンを飲み干してすっと席を立ち上がった。
「あ〜、何だか今日は物忘れが激しいから忘れ物していきそうだな。もし自分が何か忘れていったら持って帰ってくださいね。別に中身も見て良いですよ」
「ああ、忘れていたら持って帰るよ」
キイはお願いしますねと言いながらバーの出入り口へと歩いていった。
そして扉に手をかけたとき、
「あっ、キイ君。此れは独り言なんだがな…アイツが元気でいて良かったよ。これで百合子も喜ぶ、ありがとう」
キイは振り返らずににこっと笑うと、そのままバーから去っていった。
大樹はキイが去ってから数分後、会計を済ませて店を出た。大樹の席には半分近く残っているボトルとグラスとだけが残っていた。
せかいはまわるよどこまでも
〜〜現との別れ、心に出会う〜〜
「キイ君〜! 横島ク〜ン! 助けて〜〜!」
依頼もなくのんびりとしていた蒼河霊脳相談所の一同は、行き成りやってきた救急車から下りてきた冥子に、救急車の中に連れ込まれた。
そして今はサイレンを鳴らしながら国道を爆走している。
「め、冥子ちゃん! 早く泣き止んで! キイ兄が堕ちる!!」
「ぐ、ぐるじい…じびれる〜〜〜! いじぎがどおのぐ〜〜……」
「キイさんしっかりしてくださーい!」
そして泣いている冥子に反応して出てきたサンチラに、キイはぐるぐるに巻きつかれて電撃を放たれていた。泣いても暴走するのが一匹だけに抑えられているのは成長した証なのだろうが、一匹だけでも大変なことには変わりはなかった。
何とか冥子を宥めて、兎に角訳を聴くことにした。
「実は…令子ちゃんが、令子ちゃんが……ふぇっ…」
「だああぁぁ! 泣いちゃ駄目だって。美神さんに何があったの?」
「じ、実は〜〜……」
冥子が涙を拭いながら説明しだした。
病院で原因不明の昏睡している患者がいて、これは霊障じゃないかということで病院側はGSに依頼をだした。其れを受けたのが冥子が調べてみると、その正体は精神に寄生する悪魔『ナイトメア』だったのだ。
一人では心細かった冥子は、助っ人として美神を呼んだのだ。勿論嫌がった美神だが、事務所で泣かれそうになった美神はしょうがなく引き受けた。
そしてナイトメアを祓う除霊処置を開始した美神達。患者に害のない程度の霊波を流して燻りだした。そして駆け引きのすえナイトメアは姿を消した。その後患者が起き上がり、祓えたと近寄った瞬間、まだ祓えていなかったナイトメアの不意打ちを受けて美神は倒れてしまったのだと言う。
「あれ? 令子ちゃんは最近妙神山に言ってパワーアップしてきたって聞いたけど?」
「実は〜、令子ちゃん帰ってきてから〜、今までの稼ぎを取り戻すって言って働き詰めだったらしいのよ〜〜」
幾らパワーアップしたと言っても働きづめではそのうちボロがでるだろう。美神も其れくらい分かっているだろうから、今回は休暇にしようとしたところに冥子に頼まれたのだ。かなりコンディションが悪かったのだろう。
「冥子ちゃん…」
「ああ〜ん、ごめんなさ〜い」
横島にじと目で見られて冥子が謝っている。
「兎に角、まずは令子ちゃんの容態を見てみよう。話は其れからだね」
キイの言葉と同時に、救急車は病院へとたどり着いた。
オペ室に通された一同は、皆白衣に着替えていた。何でも病院で手術(除霊)をするなら白衣の着用は絶対らしい。
「うん、似合ってるよ」
「ああ、確かに似合ってるよ…怖いくらいにな……」
横島の視線の先には女性用白衣を着たキイが立っていた。しかもいつの間にやら軽い化粧までしていて、もともと童顔&やや女顔だったため完璧に女性医師に見える。しかも羽織っている白衣がぶかぶかで地面で引き摺っている辺りが萌えポイントだ。
横島に似合っていると言われにぱっと笑うキイは、完全に美少女だった。
「うがあああぁぁぁぁ!! 俺は変態じゃないんだぁぁぁぁ!!!」
行き成りオペ室の扉に頭を打ちつけ始める横島。どうやら不覚にもキイの姿にドキッとしてしまったらしい。
「この目が! この目が悪いんやーー!!」
「キャー! 横島さん其れは駄目ですーー!!」
行き成りメスを手にして自分の目を突き刺そうとする横島に、おキヌが慌てて止めに入った。キイの方は其れを見てアハハハと笑ってみているだけだった。
結局化粧は落とされ、男物の白衣に着替えさせられたキイはそれではと美神の様子を確認する。
「ふむ、こりゃ随分深くまで行かれてるな…外から祓うのは無理そうだね」
「外からは無理って…じゃあどうやるんだ?」
「ここで私の出番なのよ〜、ハイラちゃん〜」
冥子が影に呼びかけると、その影から角の映えた白い毛むくじゃらの式神、ハイラが飛び出してきた。因みに横島が近くにいる場合はほぼデフォルトでそちらに飛ぶ。
「べふぉっ!?」
冥子の影が丁度横島の足元に合ったためハイラはそのまま横島の顔目掛けて突撃した。咄嗟のことだったので横島は避けきれず其れをもろに喰らって後ろにひっくり返った。
「ハイラちゃんの力は〜、夢に入ることが出来るのよ〜」
「夢って…えっ、もしかして美神さんの精神に直接ダイブするのか?」
「忠っち鋭いね。それじゃあいってらっしゃ〜い」
キイがそう言った瞬間、ハイラは横島の頭にすっぽりとかぶさる。すると横島の視界に一面の野原と柵が一つ現れた。
そして右側からぴょこぴょこと羊が柵を越えていく。
羊が一匹、羊が二匹…
ぴょんぴょこぴょんぴょこ羊が飛ぶ。
羊が六匹、羊が七匹…
どんどん飛んでく羊の中に何故か紛れる黒い影。
羊が十三匹、キイ兄が一人…
さらに飛んでく羊とキイ。
キイ兄が七人、羊が三十一匹…
そして今度は羊に乗ったキイが大群で柵を飛んでいく。
キイ兄が三百六十七人、羊が四百…
「数えてられるかーーー!!?」
そこで横島はガバッと起き上がった。
辺りを見渡すと変に歪んだ何もない空間だった。
「ここは夢への入り口だよ」
「キイ兄! それに冥子ちゃんとおキヌちゃんも!」
「あれが令子ちゃんの夢の中よ〜」
冥子が指す先に一箇所だけ白い光を放っている穴があった。横島たちは其処に向かって進んで行った。
白い穴に入った瞬間、行き成り其処には地面が広がっていた。
「ぶぎゅる!」
まず最初に入った横島が顔から着地した。
「べふぅ!?」
次に冥子が横島の腹にヒッププレス。冥子の体重は軽いのだが腹に力を入れていなかった横島は息が逃げてしまう。
そして頭にハイラが着地、こちらは特に問題なかったのだが…
「スーパーウルトラC〜〜」
キイが空中で一回転して横島の下腹部に足から着地した。
「ぼふはぅ!?」
急所一歩手前で助かったが、それまでの累積ダメージで九死に一生を逃しそうだ。
暫く痛みと遠くなる意識と戦った横島は、何とか持ち直してキイを捕まえてうめぼしを喰らわす。
「痛い痛い! 何で自分だけ!」
「おんどれはワザとだっただろがぁ!」
「あっ、バレた?」
「バレバレじゃぁぁーー!!」
あんな掛け声で着地してたらそりゃバレるだろう。
数分間梅干でお仕置きした後、横島たちは目の前にある城を凝視した。
「これが美神さんの心象風景?」
「何か違う気がするけど…まあそうだね」
でかい門に強固な城壁、そして天辺が霞むほどに高いお城。美神の精神構造をしっかりとイメージ化していた。
「それで、どうやって入るんですか?」
「大丈夫よ〜令子ちゃんはお友達ですもの〜〜」
冥子が大きく息を吸い、大きな声で城に向かって言う。
「れ〜い〜こ〜ちゃ〜〜ん! 入〜れ〜て〜〜!」
横島とおキヌがこけた。
案の定城のほうは全く反応がなくハネ橋が降りてくる様子は微塵もない。
「ひどい〜、私達の友情はウソだったの〜〜!」
美神がそう簡単に他人に心を開いたりはしないだろう。それにただでさえ冥子には苦手意識があるのだから入れてくれるわけがない。
そこで今度はキイが前に出る。しかしキイには冥子と同じぐらいに苦手意識が芽生えているはずだ。
「令子ちゃんの隠し金庫の在り処は…」
ハネ橋が落ちるように降りてきた。横島とおキヌは爆発つきでこけた。
キイのほうは得意げに分かれば良いんだよと頷いていた。
その時、四人の背後から突然唸り声がする。四人が慌てて振り返ると、そこには斑模様の凛々しい豹がいた。
それに横島、冥子、おキヌは一歩下がりハイラが威嚇するように唸る。
「うっわ〜可っ愛い〜〜〜♪」
そしてキイは行き成りその豹に飛び掛った。だがそのダイブはひょいっと回避され、過ぎ去りざまに豹はキイの背中をザリッと引っかいた。悲鳴を上げながら原っぱをごろごろと転がっていくキイ。横島は其れを見て俺って何時もああなのかと客観的に見つめる機会が出来て冷や汗をかいていた。
「うぅっ、ひどいよ令子ちゃん。そんなに反抗的だったら勝負下着の在り処がつい口から滑っちゃうよ?」
「ガアアァァァ!!」
いきなり豹がキイの頭に噛み付いた。
「ああー、冗談だから噛まないでー!」
「ガウッ!」
「うわぁ、キイ兄が豹に謝ってる。珍しい光景だ」
珍しいどころか普通ない光景だろう。キイの頭を噛むのを止めた豹は冥子と横島の前に歩みより、そのまま座り込んだ。
「えっと、さっきキイ兄が言ってたけど…もしかして美神さん?」
「ガウッ」
豹は肯定だと言わんばかりに首を縦に振る。
「どうやら〜、心の一部を切り離して待っていたみたいね〜」
冥子がそう言うと、豹の美神、豹美神はハネ橋の中央まで駆け、横島たちに振り向く。
どうやらついて来いといっているらしい。横島たちは豹の後に続き門をくぐった。
其処は真っ暗な空間で、少し進むと突然回りにたくさんの扉が現れた。
「何だこりゃ?」
横島は一つの扉を開いた。すると扉からいきなり黒い刃が突き出てくる。
横島は其れに驚きながらも扉の中を覗き込む。
『ふんっ、攻撃力は高いみたいだけど…私をそう簡単に捉えられると思ってるの!』
『グギャアアァァァ!!』
中では方陣を踏んでいる美神とその美神にそっくりなシャドウ、そしてカトラスが戦闘しているところだった。どうやら妙神山での修行の風景らしい。
横島は何だこれはと思っていると、行き成り背後から豹美神に押し倒された。
「ガルルルゥゥゥ!」
「扉の中は〜、令子ちゃんの記憶や思考が入ってるから〜、勝手に開けちゃ駄目よ〜」
「そういうのはもう少し早く行って欲しかったです!!」
横島たちがそんなことをしている間に、キイは『中を見たら死刑、入ったら極刑に処す』と書かれた扉を何の躊躇もなく覗いていた。
其処は美神除霊事務所のオフィス。その所長席で美神が頭を押さえながらぶつぶつと呟いている。
カレンダーによると、パイパーを倒した直ぐ翌日のようだ。
『あぁ〜、私ってば何であそこで固まってるのよ…でも別にアレは私が抱きついたわけじゃなくて……
と言うかなんで子供の私はあんなに横島クンに懐いてるのよ。まあ、あの時の横島クンは確かに優しくして頼りになるお兄ちゃんだったけど…それで最後にお礼でキスを……
って違うでしょ私! アレは間違いで勘違いで過ちで気の迷いだったのよ!!
うぅっ、熱を入れて独り言喋ってる私って傍から見たら絶対おかしい人だわ…』
美神は席から立ち上がると頭を冷やそうと浴室へと向かった。
そこでキイはパタンと扉を閉じた。此れを見たら、勘が普通に働く人なら直ぐに気付くだろう。
勿論其れに気づいたキイは、その顔には悪戯悪魔のような笑みを張り付かせた。
キイがくるっと振り返ると、豹美神はまだ横島を押し倒して唸っている。横島のほうはもうしませんと泣いて謝っていた。
キイはそのまま豹美神の傍に近寄ると、その耳元で小さく呟いた。
「意地っ張りの強情だね〜。素直になれば良いのに…」
豹美神がばっとキイの方を見る。キイは笑いながらさっき見ていた部屋を指差した。それから口元に手をやって、プッと小さく笑う。
その瞬間豹美神の顔が毛皮に覆われているはずなのにポンッと赤くなって、キイを鋭く睨みつけて唸りを上げる。
横島と冥子とおキヌは何が起きてるのか分からないので三人揃って不思議顔だ。
「それじゃあ、先に進もうか〜」
そう言いながらもう一度豹美神を見て、くすっと笑う。流石に其れにキレた豹美神がキイに飛び掛った。だがキイは其れをひらりとかわすと、豹と追いかけっこ〜と言いながらそこらじゅうでバタバタと追いかけっこを始めた。
「令子ちゃん楽しそうね〜」
「そうか? どう見ても怒ってるみたいだけど」
その時、突然暗闇の廊下から一部裂け、そこから頭が馬の悪魔と美神のシャドウが現れた。
横島たちはすぐさまそちらに構える。
「お前がナイトメアか!」
「ブヒヒヒヒ! その通りさ。なかなか面白い能力を持ってるじゃない?」
少し感心したように言うナイトメアだが、その態度はどう見てもこちらを下に見て格下として見下げている。
「うっせぇウマズラ! さっさとお前ぶっ倒して美神さん返してもらうからな!」
「ブヒヒヒ! 威勢の良いこと。それじゃあまずはこいつを倒して見るんだね」
ナイトメアはそう言いながら姿を消した。その瞬間、美神のシャドウが光を纏い、横島たちに襲い掛かった。
手に持つダブルセイバーを振るう美神のシャドウに、横島たちは一旦距離を取る。
横島は両手にサイキックソーサーを作り出した。
「これでも喰ら…「忠っちストップ!」…何だよキイ兄?」
サイキックソーサーを投げようとした横島をキイが止めた。横島は投球フォームのまま固まってキイの方を見る。
「あのシャドウは令子ちゃんそのものだから傷つけたらそのまま返ってしまうんだよ」
「何ぃ! それじゃあどうしろって言うんだよ!」
「令子ちゃん本人が倒せばどうにかなる! それまで自分達は援護だよ、冥子ちゃんお願い!」
「分かったわ〜。ハイラちゃん!」
冥子の言葉にハイラから精神感応力が放たれ、横島とキイに当たると二人はその姿を変えた。
横島はあちこちがあべこべな輝く篭手と禍々しい爪を持つシャドウ、キイの方も鳥型のシャドウに変身した。
「クルオッククー!(いくよ忠っち!)」
「了解だー!」
横島とキイが美神のシャドウに肉薄する。
美神のシャドウのダブルセイバーはリーチが長くなかなか近寄れない。だが挟撃する様に回り込んだキイと横島が美神を攻める。美神のシャドウはまず空を飛んでいるキイを倒すのは困難と考え横島のほうに迫った。
振り下ろされる刃を、横島はその爪で受け止める。そこでキイが背後から迫り美神の両肩を足で掴んだ。
怯んだ美神のシャドウに横島は刃を跳ね除け、その両腕を押さえた。
「美神さん今だ!」
「ガルゥッルルーー!!」
豹美神が横島の背中をトンッと蹴って、美神のシャドウの首元に喰らいついた。
その瞬間シャドウは霧のように霧散した。
「た、倒したのか?」
「そうみたいだね」
シャドウから人間の姿に戻った横島とキイがシャドウのいた辺りを見渡してそう言った。
実際は倒したわけではなく豹美神が封印しただけなのだが、キイは其れを説明するのが面倒なので黙っておいた。
「ガウッ」
表美神が一鳴きして横島たちを呼ぶ。そこには下へと続く長い階段が現れていた。
此れが美神の深層意識へと続く道で、ナイトメアのいる場所でもある。
三人は慎重に、一人は階段を何段か飛ばしながら悠々と進んで行った。
そして着いたのは殺伐とした風景の中央にポツンとある小さな泉。此れが美神の深層心理の風景らしい。
「上の城はゴージャスなのに、何だか寂しい場所だな」
「人の心ってのは幾つもの仮面を被っている。得てしてそんな物だよ」
横島の疑問にキイがさらっと答えた。横島はそれじゃあキイ兄も仮面を被ってるのかと思ったが、どう考えても其れはなさそうなので考えるのは止めておいた。
横島は気を取り直して辺りを霊視してみる。だが特に変わったところはなくナイトメアは見つからなかった。
「き、きゃあっ!?」
その時、泉を覗き込んでいたおキヌが急に泉から現れたもう一人のおキヌに泉に引きずり込まれそうになっていた。そこに豹美神が飛び掛る。だが、豹美神が偽おキヌに喰らいついた瞬間、偽おキヌは霧のように消えて豹美神は泉へと落ちてしまった。
「心の一部を分離してボクの支配から逃れるとはなかなかだったけど、此れで美神令子の精神は完全にボクのものじゃない!」
そこに、泉からごぼごぼと音を立ててナイトメアが現れた。其れを見ていたキイは、行き成り足元に合った石をナイトメアに全力投球した。ナイトメアは更に続けて何かを言おうとしていて、其れに気付けずに馬面の鼻先に石が直撃した。
「泉から出てくるといったら女神様でしょ! 突っ込めなかったじゃないか!!」
「そうだそうだ! せめて女神姿の美神さんに化けてから出てこいこのヘボ! お笑い舐めんなよ!」
「な、何を言ってるんだ…!?」
行き成りの大ブーイングにナイトメアもちょっとたじろいだ。キイと横島は更に帰れコールをしながらナイトメアに石を投げまくる。
「ええい! 止めないか! お前達は直接夢を喰らってやる!!」
ナイトメアが横島に向かって突っ込んできた。
「気をつけて〜〜! 心理攻撃が来るわよ〜〜!!」
冥子が注意した瞬間、横島は徐に隣にいたキイを掴んで、前に引き寄せた。
「師弟愛バリアーー!!」
「ちょっと忠っち! これはただ人を盾にしているだけだよ!!」
「日ごろの恨みじゃーー!」
なかなか非道なことをする横島にキイの叫びも空しく、突っ込んできたナイトメアが中に入り込んだ。
「あれ?」
横島は一向に変化のないキイの様子に首をかしげた。おキヌ、冥子も何がおこっているのか分からず不思議顔になっている。
そしてキイが徐に腰の辺りをトントンと叩いた。すると数秒後、行き成り体からぺいっといった感じでナイトメアが吐き出された。
その額には『粗悪品につき返品』と書かれていた。
「あっ、これは失礼致しました〜」
キイが其れを見て自分のお腹の辺りを撫でながら軽く会釈した。
「いや、待て! キイ兄の中って何かが住んでるのか?」
「あ〜、よく分かんないからアレに聞けば?」
キイはボロボロになっているナイトメアを指した。
其れと同時にナイトメアも目を覚まし、彼方此方をキョロキョロと見ている。
「な、何が起こったの? ボクは何してたんだっけ?」
「…どうやら記憶ないみたいだね。残念」
「自分のことだろうに!」
実際は、こともあろうに仮にも『世界の欠片』であるキイに入り込んだナイトメアはちょっと広すぎるキイの心の中(人間界と同じくらいはある)で迷子になり、行き成り現れたキイのシャドウの群れに襲われてボロボロにされ、最後にあの紙を張られて外に放り出されたのだ。記憶の方はショックの方で飛んでしまったらしい。
別にそのまま始末しても良かったのだが、それだと色々と怪しまれるので止めておいた。
「ええい、兎に角弱ってるみたいだから今のうちに叩くぞ!」
横島が両腕に霊波を収束させる。
「おっと、こっちには人質がいるのをお忘れか?」
ナイトメアがそう言った瞬間、泉から四人の美神が現れた。幼児の美神に、それぞれ小中高の三人だ。四人は美神の過去を作る必要不可欠なパーツ。一つでも欠けたら美神はもう戻れなくなってしまう。
そのことを知っているナイトメアはそれでも関係ないと四人をけしかけた。
高美神、中美神はキイを襲う。
「うおー! 何で自分だけ二人! しかも年上の方なのーーー!!」
其れは多分得たいが知れないからだろう。戦力が集中されない方がおかしい。
「ああ〜ん、令子ちゃん止めて〜〜!」
冥子のほうはランドセルを背負った小美神にヨーヨーで攻撃されていた。けど当てようとはしないのは…どこかで冥子を泣かすと大変になると感じているからかもしれない。
そして最後に幼美神と横島なのだが…
「よこちまコレ読んれ」
「あ、あのね令子ちゃん。今それどころじゃ…」
絵本を片手に迫られていた。この幼美神だけは束縛が弱いらしい。
「読んれくえないの?」
「うっ、それじゃあ…昔々山の向こうの……」
涙目の幼美神に負けた横島はしょうがなく絵本を読んでやっていた。横島への心理攻撃としては成功しているのかもしれないが、そこだけ和やかのんびりムードになっていた。
「令子ちゃん危ないでしょ! 助かったとき全国ネットで『美神令子の100の秘密』流してやるーー!」
キイがそう言った瞬間、今まさに神通棍を振り下ろそうとしていた高美神の動きが止まった。
一瞬聞いたのかなと思ったが、高美神はちらっと泉の方に視線を向ける。
そこには泉から這い上がろうとしている豹美神がいた。
「チイッ! 悪あがきを!! 全員殺してしまえー!」
ナイトメアのその言葉に高美神はキイに神通棍を振り下ろした。キイは其れを前方に飛んで逃げ、高美神の下をくぐって反対側から逃げ出した。
「へっへ〜高校生令子ちゃんのパンツは…ぼぎゃっ!?」
何か言おうとしたところで小美神のヨーヨーが頬に突き刺さった。
「よこちまかたぐるま!」
「あ、あのね令子ちゃん。今遊んでる場合じゃ…」
「うぅ…遊んでくえないの?」
「わあっ! 遊ぶから泣かないでプリーズ」
こっちは完全に異界になっていた。むしろ微笑ましいといっても良いかもしれない。
そして、中美神がスクーターで冥子をひっかけこけさせる。コレが合図となった。
「もう、親友の令子ちゃんを使って…二人の美しい友情をよくも〜〜〜〜!!」
冥子が、泣いてでは無く、自分の意思で初めてプッツンした瞬間だった。
冥子の影から既に出ているハイラを除く十一匹の式神たちが躍り出た。
その後はもう地獄絵図。高美神は刃の耳を振りかざすアンチラに追いかけられ、中美神はインダラの体当たりでバイクごと吹っ飛び、小美神はシンダラに突付かれている。キイのほうはビカラにはむはむと味わうように食べられている。
因みに横島と幼美神のほうは、何故か式神たちは寄ってこずその周りだけ安全地帯になっていた。
「おのれ! それなら今度はあの男の夢に!!」
そう言ってナイトメアは今度は横島目掛けて突っ込んできた。横島は小美神を抱いているため咄嗟に回避することができなかった。
「キイ兄、頼んだ!」
横島は抱いている幼美神をキイに向かってできるだけ優しく投げる。
キイが幼美神を受け止めた瞬間、ナイトメアが横島の中に進入した。
其れと同時にナイトメアが美神の夢を放棄したので豹美神が元の姿へと戻った。どうやらナイトメアは一度に一人の夢しか支配できないらしい。
「美神さん! 横島さんが!」
「えぇ! でもまずは冥子を止めるわ!」
美神はそう言うと果敢にも暴れまわる式神たちを掻い潜って冥子の元にたどり着く。
冥子は美神の顔を確認すると、安心したのか気を失った。それで式神たちは冥子の影へと戻っていった。
ひと段落着いたところで美神は倒れている横島の元に向かう。
「どうなの? もしかして私と一緒で夢を支配されちゃった?」
もしそうなら、今度は横島の精神にダイブしなくてはならない。
「いや、どうやら支配はされてないみたいなんだけど……」
「ギャアアァァーーッ!!」
行き成り、気絶した横島の胸の辺りからナイトメアの悲鳴が聞こえてきた。何だと思ってちょっと驚く一同。
それから暫くすると、横島の胸元からポンッと軽い音と共にナイトメアが飛び出してきた。
此処まで聞けばキイのときと同じなのだが、今回は…
「キイ、これって…」
「うん、『馬刺し』だね」
ナイトメアはなんとも美味しそう可哀想な変わり果てた姿になったしまった。
「何で馬刺しなんかに?」
「さあ、分かんないな……それよりどうするこれ?」
「私の中には置いていって欲しくないわね…」
キイは仕方なく何処から取り出したのかタッパーにナイトメアの馬刺しを詰めていった。
こうして、訳も分からぬうちにナイトメアは退治されて、五人は現実世界へと帰るのだった。
「おお! 目覚めたかね!!」
目が覚めた一同が最初に聞いたのは医師のその言葉だった。
「あれ? 俺ナイトメアに入られて…どうなったんだ?」
「ああ、とっても美味しそうだったよ」
「はぁ? 美味しそう?」
キイも美神もそれ以上は語ろうとしなかったので横島はしぶしぶ引き下がった。
その後依頼料は三人で山分けにし、その大半は実は三日間眠り続けた所為で眠れなくなったため、連日連夜遊び倒すのに大盤振る舞いされた。
〜おまけ〜
「グレン〜、シメサバ丸〜、ファス〜ご飯だよ〜〜」
キイの声に、三人(?)が集まってきた。
別にグレン以外は食事を取る必要はないのだが、霊力の補給などもかねて普通に食べさしていた。
グレンの食事は、
「みみ〜♪」
「美味しそうですね〜」
グレンはナイフをそのままバリバリと噛み砕いて食べている。
シメサバ丸の場合は、
【斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬ざぁぁぁ−−−ん!!】
「もうちょっと静かに食べてね」
対象物を破壊することによってその力を吸収する。ついでに物の記憶・経験も頂いている。
ファスの食べ方は、
「いやもうなんと言うか壮観だな」
細かく砕いた霊木などの木屑を凄い勢いで吸い込んでいる。掃除機の中は異空間になっていてそこで消化しているそうだ。
因みにキイの食事は…
「あれ? 馬刺しなんて何時買ってきたんだ?」
「ちょっと前、ちゃんと冷凍保存してたからまだ食べれる」
キイはそう言いながらグレン、シメサバ丸、ファスにも馬刺しを分けてやる。
「何か強い力感じるけど、神馬か何かだったのか?」
「そこまで罰当たりじゃないよ。まあ似たようなものかな」
キイはそう言ってにっこりと笑って横島にも一切れ分けてあげた。其れを見ていたおキヌはひぃっと小さく悲鳴を上げてその日は帰ってこなかったそうだ。
それではレス返しからさせて頂きます。
>天浪様
自分のSSは本編に沿うようでいながらも斜め45度に進んでいきます。それが横島君に吉となるか凶となるかはまた別です(笑)
デート編はそのうちか期待と思っています。もしかしたら『壊』が付くかもしれませんけどね(爆)
>黒覆面(赤)様
マイナーな話は結構好きなので、物語に直接関係無くても書きまくりますよ!
>グレンやシメサバ丸も参加しているんですか?
キイ曰く、『グレンやシメサバ丸も家族の一員です!』なのでしっかりと会議には出席します。ただ、グレンはお茶とお菓子を食べているだけですがね(笑)
>ジェミナス様
親父編はこうなりました! キイ君がダイアリーを作ってた理由の一つはこのためです。ほかの理由はまだ秘密で…
小竜姫様は現代の常識が足りなくて、間違ったり極端な知識を吸収してしまう田舎っ子属性(でいいのか?)が付いています(笑)
>八尺瓊の鴉様
大魔人とマリアは壊れなかったけど、横島君はどえらいものを頂いてしまいました。それは、マリア嬢の初モノ!<マテ
PSのほう、すみませんはっちゃけすぎました。今後はちょっと控えて、やるとしても表現を抑えるようにします。
>HAPPYEND至上主義者様
暴走…そのうちやっちゃうかもしれません。
でもそこは宇宙意思(キイ君)の力によってきっと修羅場と化すでしょうね(笑)
ファスのほうはその内おまけに出てくると思います。そのときは温かい目で見守ってやって下さい。
ふぅ、今回は二つに分かれるようなことはありませんでした。よかったよかった。
親父編の方は、ちょっと趣向を変えてみました。如何だったでしょうか? やや大樹の性格が違うような気がしますが、少しキイの影響を受けているということで(汗)
夢馬編ではいろいろと遊んでみたり。
ナイトメアが入るのを最初はキイ君にしようとしたのですが、話がまとまらなくて断念しました。まだ力量不足のようです。
次回はついにあの殿下がやってくる! 女の子になったりはしないでしょう! 戯言でした聞き流してください(汗)
けど性格が多少変わるかもです。
きっと二つには分かれちゃうかな。頭に遊びつけるし…(大汗)
それではこの辺で失礼致します…