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▽レス始

「GSルシオラ?恋闘編!!第4話(GS)」

クロト (2005-11-19 10:09)
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「終わった……か!?」
「多分ね。道士さんの所に確認しに行きましょう」
 ということで再び地脈堰に下りると、道士の姿だけがあった。おキヌは装置の中に戻ったようだ。
「やったぞおっさん! これでおキヌちゃんをミサイルにせずに済むんだな?」
 道士は信じがたい、という顔つきで3人を見渡して、
「うむ……確かに死津喪の力が消えるのを感じた。だが……無くなってはおらんのだ! 奴はまだ生きている……!!」
「何ですって!? どういう事よそれ!?」
「私にも分からん……いや、死津喪の奴もしかして」
 ゴバァッ!
 道士が何かを言いかけた時、外で爆音が響いた。
「「な、何!?」」
 驚く3人に道士は、
「話は後だ、あれは死津喪かも知れん!」

「わ、分かったわ!!」
 急いで外に出る3人。音源ははるか遠くだったが探すのに難はなかった。
 なぜなら、月明かりに照らされたそいつは、木々の上に浮かぶ直径20mもの巨大な球根だったのだから。
「あれは……死津喪の本体!」
 一緒についてきた道士が叫ぶ。
「何で!? やっつけたはずなのに」
「おそらく『株分け』をしていたのだ……! あなた方が倒したのはその片方。ゆえに、同じ目に会うのを恐れて地上に出て来たのだろう」
 実は文珠はあと1つしかないからあと数日は使えないのだが、死津喪にそれは分からない。すぐにでももう1回来ると考えるのが自然だろう。『花』では倒せないのは分かっていたから、本体が直接乗り込んできたのだ。
「よくも……よくもわしから全てを奪いおったなーーー! 殺してやる、お前らも道連れだ!」
 宙に浮かぶ球根に眼が開いて、そこから稲妻のような霊波線が放射される。
 夜中であり距離も遠いため狙いは外れたが、もし当たれば人間など木っ端微塵になりそうな威力だった。
「あ、あれが本体……」
「しぶといわね、ホントに」
「そうね、でもこれは奴にも後がないって証明だわ。それに外に出てくるなんて所詮は江戸時代の妖怪、現代GSのやり方は知らないようね」
「美神さん、何か手があるんですか?」
 やけに落ち着いている美神に横島が訊ねた。
 死津喪がいるのはかなり遠く。お札や精霊石どころか銃でも届くかどうか。どうするというのだろう?
「ええ、私はまだあいつを殴ってないわ。おキヌちゃんのカタキに私が何もしないと思うの?」
「……」
 その意図が分からず沈黙する横島とルシオラ。
「まあ見てなさい。私には私の持ち味があるわけよ」
 そう言って悪戯っぽく笑った美神のはるか頭上から何かの飛来音が聞こえてきて――
 ドガアンッ!!
 死津喪の頭(?)に命中して大爆発した。車に積んであったミサイルを人工幽霊1号に発射させたのだ。
「たーまやー、ってね。思い知ったかクサレ妖怪!」
「さ、さすがだわ……」
「でもまだ生きてますよ、あれ」
 横島が言った通り、死津喪は大穴が開いて黒焦げになってもまだ生きていた。大した生命力であったが、それはもう苦痛の時間を伸ばすためにしか役立っていなかった。
「ま、私はこれで気が済んだから。後はあんたに任せるわ」
「ええ」
 と飛び上がりかけたルシオラの手を横島が掴む。
「ヨコシマ?」
「ルシオラ、とどめはこれで頼む」
 と横島が渡したのは文珠の最後の1つだった。
 しかしルシオラはそれを押しとどめて、
「ううん、それはヨコシマが持ってて。《盾》をつくれば美神さんも守れるわ」
「……ああ。お前も気をつけろよ」
「うん。ありがとう」
 とルシオラが横島の頬にキスをする。
「……あ、る、るしおらサン!?」
「ああもう、仕事中はいちゃいちゃ禁止ー! さっさと行きなさい!!」
「ふふっ、はいはい」
 真っ赤になった2人の叫び声に微笑みで返しながら、ルシオラは今度こそ戦場に向かって飛び立っていった。

「それにしてもでかいわねー、しぶといし。フェンリル並みだわ」
 死津喪比女の上空をふわふわと漂いながらのんびり論評するルシオラ。地脈堰が再稼動した後に『花』を数百輪つぶされ、株分けした球根までやられたのだ。そして今ミサイルをくらって、まだ霊波線を撃って来れるのだから素直に驚いてしまった。
「ま、また貴様かー! こ、今度こそ殺してやるぞえ!!」
 ルシオラの接近に気づいた死津喪が喚きたてる。
「と言われてもねー、元はおまえが地震起こしたのが原因でしょ。何か訳でもあったの?」
 彼女の旧主アシュタロスの行為には、誰かを踏みにじる事を止めるために自分が滅びたい、という哀しい理由があったのだが、さて目の前の妖怪にはどのような事情があったのか。一応は聞いてみるルシオラであった。
「……。数多の妖怪の中でわし程の力を持つ者はそうはおらぬ。人を造ったのも天なら妖怪を造ったのもまた天。わしが生まれたのは天が人を滅ぼそうと思うておるということじゃ!
 そしてさらに地震を起こし、種をまいて、ゆくゆくは他の魔族をも圧倒したかったのじゃ。それを、それを……!」
 意外に執着のあったことらしく、多弁に語り出す死津喪比女。
 そのことには感心したが、中味はルシオラにとってため息しか出ないレベルのものだった。というか魔族を圧倒するって何? 言い間違いでないなら正気を疑うんだけど。
「ま、その程度だと思ってはいたんだけどね。いいわ、このGSルシオラがジュデッカに逝かせてあげる。


 ……養分の貯蔵は十分かしら?」
「キサマが奪ってくれたんじゃろうがー!」


 とことんコケにされたと感じたらしく絶叫する死津喪であったが、哀れルシオラにはもう相手にされていなかった。
 原作ではかなりの大敵だったのに……。
「殺す!!」
 渾身の力で霊波線を撃ってくる死津喪。ルシオラはそれを七枚羽の盾で防いで、


   ゲート・オブ・アシュタロス
「魔神の財宝」


 夫婦剣だの蛍の槍だの射殺す浮気だの、その他なにやら見ない方が幸せそうなナニモノカまでを総動員してぶっ放す。これに耐えられるのはよほど上位の神魔くらいのものだろう。
「こんなの有りかえーーーーッ!!?」
 こうして、数百年を生きた大妖は世にも悲惨な最期を遂げたのだった。

 翌朝、美神達はおキヌの遺体がある祠に来ていた。むろんおキヌと道士も一緒にいる。
「これで、おキヌちゃんは生き返れるんですね」
「ええ……本当によかった……」
 美神と横島が万感をこめて呟く。長いつきあいだったが、これからは生きた彼女と一緒にいられるのだ。
「うむ、まずは遺体を掘り出さねばな。しかし呪術がかかっておるから、霊波刀か何か高出力の霊波を挿入せねばならんが……」
「ああ、それなら俺が持ってるぞ」
 と横島が栄光の手を出す。そこへおキヌが待ったをかけた。
「ま、待って下さい横島さん!」
「え?」
「今すぐ生き返らなくても……しばらく幽霊のままでいちゃダメですか?」
「な、何言ってるんだよおキヌちゃん? 幽霊のままより生き返る方がいいに決まって……」
「記憶ね」
 狼狽する横島の言葉をさえぎって美神が言った。
 300年も氷漬けで死んでいたのだ、生前のことすら覚えているかどうか。まして幽霊だったときの記憶など夢のように消えてしまうだろう。
 だがそこに道士がゴーサインを出した。
「おキヌよ、お前は本当に幸運だったな。友人達に感謝しなさい」
「え?」
「確かに、普通ならこうした場合霊だった頃の記憶は失われる。しかし今のお前は地脈エネルギーによってきわめて増幅された状態だ。これなら生き返ってもしばらくは記憶を持っていられるだろう。エネルギーが消える頃には記憶は体の方に定着しておるはずだ」
「――!!」
 満場、一斉に喜びに包まれた。
 これで、失うものは何一つない。封印の役目を負った少女は、その思い出を残したまま、新しい人生を歩き出すことができるのだ。
「それじゃおキヌちゃん、行くよ……!」
 横島が栄光の手を氷に突き刺す。
 氷が砕け、おキヌの体と霊がひとつに戻る。
 妖魔と少女と道士をめぐる1つの戦いの物語は、300年の時を越えてようやく終わりを告げたのだった。
 ………………。
 …………。
 ……。
 その後早苗たちとの話し合いで、おキヌも生身の人間として生き返った以上戸籍その他が必要であり、いったん氷室家の養女として引き取られることになった。手続きは簡単ではないのだが、そこは美神の裏技で諸事滞りなく進んでいる。
 それについてはこれ以上ないほどのハッピーエンドだったのだが、
「みごとに散らかってますね……」
「おキヌちゃんの偉大さが身にしみるわ……」
「片付けられない女ってやつね」
 おキヌが数日あけただけで、美神事務所は幼児がおもちゃで遊んだ跡のように散らかっていた。
「そういうあんた達の部屋はどうなのよ!?」
「私は片付けてるわよ、ちゃんと」
「あ、そうなんスよ美神さん、こいつ俺の大事な秘蔵アイテムまでまとめて燃えるゴミに……」
「やかましい、女にそんな話題振るな!」
 美神の鉄拳がうなって横島を壁にはりつける。
 ちなみにこういう場合はルシオラも彼をかばわない。
「ま、それは後にして仕事行くわよ、準備して」
「え、今からっスか? 何も聞いてないですけど」
「ああ、急に入ったのよ。車の中で話すから」
「「はい」」
 ……。
「今回の仕事はマンションに居座る悪霊の群れの除霊なんだけどね。建物の形状自体が霊を呼び込むものになってるらしくて、いくら祓ってもキリがないっていう難物なのよ」
「それじゃどうやって片付けるんスか?」
「私が結界札貼って回るから、あんた達はその間私を護衛してちょうだい。全部貼り終わったら建物に残った分を始末しておしまいよ」
「そうね、そういうのは私もヨコシマも苦手だもの」
「ま、あんた達ばかりに活躍されてちゃ所長として恥ずかしいからね」
「そんな、美神さんは十分女王様としてはぶしっ!?」
 美神の容赦ない左ストレートが横島の顔面に炸裂した。
 GS業界随一の回避能力もツッコミに対しては働かないらしい。
「ちょっと美神さん運転中でしょ?」
「こいつが変なこと言うからよ!」
「そうね。ヨコシマも後ろに座れば良かったのに」
「あんた達並ばせたら無限にいちゃいちゃするじゃない!」
 美神は以前2人乗りのコブラに乗っていたが、ルシオラが完全実体化したのを機に4人乗りの車に買い換えていた。ルシオラはバンダナの姿になれるから必須というわけではなかったが、GS界随一の守銭奴とされる美神も使うときは使うのである。
「美神さんも西条さんとくっつけばいいのに……」
「そんな、西条の野郎とくっつくぐらいなら俺のものに!」
「やかましい!」
 2度目の制裁で横島が沈黙した。
「……ま、それはともかく。今日の仕事は別のGSと共同作業だって聞いてるけどそんなのアテにしないわよ。死津喪やフェンリルならともかく、マンションの悪霊ごときに私達は助っ人なんか必要ない、ってクライアントに思い知らせてやりなさい」
「「はい!」」
 プライドの高さと仲間への信頼を隠そうともしない言葉に、横島とルシオラは嬉しげに頷くのだった。

「………………。作戦は変更よ。分かってるわね2人とも」
「……イエッサー」
 美神はそのプライドをあっさりと捨てた。
 従業員ズもそれを当然と受け入れている。
「令子ちゃん〜〜〜、それに横島クンとルシオラちゃんも〜〜〜。みんなと一緒で冥子うれしい〜〜〜」
 何故なら共同作業の相手がこれもGS界随一の破壊魔、六道冥子であったからだ。シカトなんぞかましたら悪霊以上の災厄をばらまくことは確実である。
「ち、またやってくれたわねおばさま!」
 空に浮かんだ六道女史の顔に心の中で親指を下に向ける美神。ルシオラの指導で冥子のプッツンはだいぶ減ったのだが、まだまだ問題児であることは変わりないのだ。
「……じゃあ冥子。私が結界札貼って回るから、あんたは先行して邪魔してくる悪霊始末して。ルシオラは冥子のサポート頼むわ。横島クンは私の背後をカバーして」
 この場合のサポートというのは、いざとなったらスタンさせろという言外の意味を含んでいる。
「は〜〜〜い」「分かったわ」「ういっす」
 3者3様の返事をかえしてマンションに乗り込む。悪霊の数は多いがいずれも雑魚で統率も取れてないため、冥子の式神で簡単に退治されていった。ルシオラの指図で不要な式神は引っ込めているし、彼女の存在自体が冥子に安心感を与えているため、暴走の危険もなく普段の3倍くらいの有能ぶりを発揮している。
「冥子もいつもこうだったらいいんだけどね」
「ところで冥子ちゃんとルシオラって似てますよね。並んでると姉妹みたいに見えません?」
 おおらかな姉としっかり者の妹って感じでー、と前衛が優秀すぎてやる事のない横島がノーテンキにのたまう。
「……傷つくから黙ってるのよ」
 むしろ狂化するかも知れない。
 片方は喜びそうであるが。
 順調に最上階まで上がって最後の札を貼り終える。それが済んだころには悪霊もわずかしか残っていなかった。
 やがてそれらが一掃された後、
「令子ちゃん〜〜〜これで終わり〜〜〜?」
「そうね、今日はずいぶん助かったわ」
 自分達だけでも出来たのだが、冥子のおかげで楽だったのは事実だ。
「ううん〜〜〜冥子の方こそ〜〜〜楽しかった〜〜〜。また一緒に〜〜〜仕事してね〜〜〜」
 童女のごとき純粋な瞳で美神をみつめる冥子。
(わ、悪い娘じゃないのよね、決して。ていうか子犬みたいよあんた)
「そ、そうね。プッツンさえしなければね」
 微妙に冷や汗を流しつつやっとのことで答える。
「うん〜〜〜冥子がんばる〜〜〜。それじゃあね〜〜〜令子ちゃん〜〜〜横島クン〜〜〜ルシオラちゃん〜〜〜」
 相変わらずの間延びしきった口調で無駄に時間をつぶしつつ、冥子は式神に乗って帰っていった。
 その後には、爆弾が不発ですんだことに心から安堵する女王様&煩悩少年と、要らないフラグが進行しなかったことを喜ぶ蛍っ娘の姿が少しの間残されていた。

 その後、もう日暮れ時だからということで3人での外食もなごやかに終わった帰り道。美神たちの車は信号待ちで後ろから追突された。
 速度が遅かったため誰もケガはしなかったが、大事な車を傷つけられて怒り心頭の美神は当然車を出て加害者を怒鳴りつける。
 握り拳に中指をビッと立てて凄むさまはむしろ彼女が当たり屋で因縁をつけているようにも見えた。しかも車のキーはきっちり抜いている辺り逆上しての行動ではない。
 後ろの車からはきりっとした感じの美女が出て来て、
「す、すみません。おけがはありませんか!?」
 と丁重に謝る。
 外見は普通のOL風の若い女性であった。が、彼女の顔を見たルシオラはすぐにその正体を見破っていた。
(魔族ね。確かワルキューレとかいったかしら。魔力は上手く隠してるけど)
 直接の面識はないが、『前』に横島の中にいたときに何度か見かけたことがあったから固有名詞もすぐに出た。だてに『心眼』をやっているわけではない。
(悪意はなさそうね。ちょっと様子を見ましょう)
「わ、私、春桐魔奈美といいます……。えっと、どうしましょう……今、保険切らしてて……失業中だし……」
「どーしようってあんたねえ……!」
 おろおろする春桐と額に井桁を貼り付けた美神の論争(?)を聞いて、横島にも思うところがあった。そっとルシオラに近づいて、
「なあ、今あのねーちゃん春桐っていったけど、もしかして本当の名前はワルキューレって言うんじゃないか?」
「え、ヨコシマ、分かったの!?」
「いや、名前がな」
「……そうね」
 あれほどの魔力隠蔽を横島が見抜いたのか、と感動しかけたルシオラだったが、やはりそれは無理なようで。ただでさえメジャーな名前なんだからもう少し気を使いなさいよ、と心で毒づくルシオラだった。
「で、どうする?」
「敵じゃないはずよ。様子を見ましょう」
「ああ」
 という2人の秘密会議の間にも美神と春桐の話は進んでいた。
「そ、それでは働いて返すということでいかがでしょうか。事務や雑用の経験はありますから……」
「え? あ、そうね、おキヌちゃんはもうしばらく来れないし……」
 彼女の狙いは美神事務所への潜入らしい。敵ならばもっとストレートに攻撃してくるだろうから、護衛でもしに来たのだろうか。しかしこの時点でエネルギー結晶の所在は誰も知らない筈なのだが……。
 その辺りの事情は春桐当人だけが知るところであって。掃除人を渇望していた美神は結局彼女の申し出を受けることにしたのだった。


 ――――つづく。

 死津喪編に続いてワルQお目見え編になりました。
 おキヌちゃんはこれが終わりしだい再登場ですー。
 ではレス返しを。

○ゆんさん
>いづれは一人で使いこなせるようにならんとな横島よw
 目下ルシオラがしごいてますw

○黒夜さん
 はじめまして、よろしくお願いします。
>ルシオラ、仮にも魔王の技を使って「多少苦労したけど」ですか…
 主人公だからというか宝具だからというか<マテ
>太陽神ルーの武具
 おお、アンサラーを忘れてました。
 ご指摘ありがとうございます。修正しました。

○貝柱さん
>死津喪!いっぱしの敵としてもうちょっとあがいてくれるよな?
 あがきましたが……潔く散ってた方が良かったような○(_ _○)

○遊鬼さん
>「光槍(ブリューナク)」じゃなくて「突穿死翔槍(ゲイボルク)」が良かったなぁと思ってしまった
 死津喪にゃ心臓ありませんがな(つっこみ)。

○アクセル・ウェイカーさん
 おキヌちゃんは今しばらくお待ち下さいー。
 タマモも出す予定になりました。
 隊長いなくても西条がいれば何とかなるっしょ(ぇ

   ではまた。

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