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▽レス始

「GSルシオラ?恋闘編!!第3話(GS)」

クロト (2005-11-17 20:18/2005-11-20 17:52)
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 死津喪比女の気配が消えたのを確認した後、ルシオラは美神と早苗を介抱して風呂場の外に出した。吹っ飛ばしはしたものの、湯の抵抗で勢いが削がれたため、さいわいケガなどはしていなかった。
 2人の体を拭いているうちに美神がまず目を覚まして、
「あ、ルシオラ……そっか、私が気絶してる間に逃げてくれたのね。死津喪比女はどうなったの?」
「何言ってるの。ちゃんと倒したわよ」
「あ……あれを?」
 開いた口がふさがらないとはこの事だ。
「ま、まあ……多少苦労したけどね」
 本当は怒りの一撃で全滅させたのだが、そこまで言うのもどうかと思って適当に言葉を濁す。
「そ、そう……ありがとね、助かったわ」
「どういたしまして」
 そして早苗の方は呼吸は確かだったが意識が戻らないので、とりあえず両親に事情を話して引き取ってもらった。
「そういうわけなので、今から社の方も見せてもらっていいですか?」
「ええ、ぜひお願いします。我々は早苗についていますので……もし何かあったらそちらに伺います」
「ええ、それでは」
 と美神たちは懐中電灯を手に社に入る。
「…………」
 社の中は、何もないただの板敷きの部屋だった。しかし何かあるとすればここに間違いないのだ。美神とルシオラが霊視し、横島は物的な仕掛けを探す。
「……地下ね」
 やがてルシオラは顔を上げてそう言った。
「地下に何か強い霊力の塊があるわ。それにこの建物の下は空洞になってるし……」
「よく分かるわねあんた……」
「一応心眼だから。で、どうするの?」
「そうね、時間がもったいないわ。床壊すわよ」
 と美神が神通棍を振り上げたとき、
「ま、待て。そんなことをせずとも話はする!」
 と、神主に似た容貌をした上半身だけの霊のようなものが現れた。

「あんたは!? 見たとこ幽霊とかじゃない、ただの立体映像か何かのようだけど」
 美神がそう言うと男は、
「さよう。私はこの家の者の祖先、つまり死津喪比女をここに封じた道士がつくった影です。
 死津喪比女を滅ぼすには長い時間がかかるため、不測の事態が起こることも道士は予想していました。その時それに対応するため、あらかじめ自分の人格を記録しておいたのです」
「それがあんたっていうわけね」
「はい。ここに残されている記憶の一部をお見せしましょう――」
 道士の言葉と共に部屋の様子が一変し、江戸時代風の山村が現れた。
「これは……!?」
「幻ね。記憶を映像として映し出してるのよ」
「へえ……昔の道士ってすごかったんスね」
「そうね。あ、あれおキヌちゃんじゃない!?」
「あ、ホントだ……」

 それは今を去る300年の昔――
 ここ御呂地村の地下に潜む妖怪を退治するためには、どうしても1人の少女の命が必要だった。
 人身御供。みずからの魂をカギとして、妖怪が地脈の養分を奪うのをせき止めるのがその使命だという。
 藩主の命令によって、今年15歳になる未婚の娘がすべて集められた。
 重く沈んだ雰囲気の中、おキヌは自分からそれに志願した。
 誰かが家族を失って悲しむのを終わりにするために。
 そのためには、孤児である自分がいちばんいいと――
 最初に当たりクジを引いた姫にそう言って、泣き崩れる彼女に子守唄をうたうのだった。

「おキヌちゃん……」
 横島がぼろぼろと涙をこぼしている。
「うう、なんであんなええコが死ななあかんのや……」
「…………」
 美神とルシオラは黙って映像を見つづけていた。彼女を再生させるために一片のヒントも見逃すまい、という風に。

 やがて儀式の日。おキヌは道士に連れられてこの神社の地下にある地脈の堰にやってきた。
 ここで道士は最後の説明をする。
「よいかおキヌ、今から話すことを心して聞くのだ。お前は死ぬが反魂の術を使って……」

((反魂の術!?))
 美神とルシオラが無言の叫びを上げた。
 それが可能ならおキヌは生き返ることができるのだ。

 だがその場に死津喪の花が1輪現れる。
 そして警戒に当たっていた姫が死津喪に殺される直前、おキヌは水中に身を投げたのだった。

 映像はそこで途切れた。
「どーりでおキヌちゃん、何も知らなかったわけだ……」
「ただでさえ幽霊の記憶はぼけやすいのにこれじゃあね」
「でもこれで希望が出てきたじゃない」
 反魂の術。生死の理に背くそれは、普通では成功率は極めて低い。
 しかし。邪霊を近づけない結界、保存のいい遺体、生命力に溢れた若い女性、地脈の巨大なエネルギーとそれに括られた霊。これだけの好条件が揃えば十分に成功の見込みはあった。
「ま、確かに奴が暴れ出したのは私がおキヌちゃんを地脈から切り離したせいでしょうね。でも代わりに別の幽霊を括っといたんだけど――?」
「知らんな。私が起動した時にはいなかったが?」
「――そう。しょうがないわね、今回は私が責任とって奴を退治してあげるわ。だからおキヌちゃんを返してくれない?」
「そうしたいのは山々だが、奴は復活する時に根を他の地脈にまで伸ばしおった。こうなってはもう……」
 道士はうなだれたが美神は構わず、
「そういう話は後で聞くから! とにかくおキヌちゃんに会わせて!」
「…………良かろう、会うだけなら……!」

 やはり社の地下は空洞で、床板が開いた下は滑り台のようになっていた。それを降りた3人と1映像(?)の目の前には、映像に出て来た地脈堰が鎮座していた。
「これは、さっき見た地脈堰……」
 それは石で造られた巨大な球体を何本かの柱がささえている霊具だった。
 道士が球に向かって呼びかけると、中からおキヌの上半身が現れる。
「美神さん……横島さんとルシオラさんも……お別れはすませたつもりだったのに……」
「いや、あれはちょっと半端だったでしょ」
「……」
 ルシオラの霊圧解放で美神とおキヌが失神したせいで話は中断されていたのだ。
 微妙に重苦しい雰囲気が漂う。
「……と、とにかく。私達はあんたを放っとくつもりはないのよ」
 しかし道士がそれを遮って、
「待て、奴のエネルギー源はもはやここの地脈だけではない。すでに数ヶ所の地脈にまで根を伸ばしているのだ。もはや一刻の猶予もない、これ以上力をつける前に直接本体を攻撃しなければ――」
「……ッ、それっておキヌちゃんをミサイルにするってこと!?」
「はい。もう忘れかけてたことをやっと思い出したんです。みんなを守りたくて、それでここに来たんだってこと……」
「奴は地底深くに潜んでいるんだぞ。位置を突き止めるのも困難だ。他に方法があるとでもいうのか?」
 美神の説得にもおキヌと道士は譲らなかった。
 2人を納得させるには、他に死津喪本体を攻撃する方法を考えるしかない。横島とルシオラは唇を噛んだが、美神はやっぱり美神だった。


「そうね。例えばさー、核兵器って知ってる? あんた達」


「ちょっと美神さん、人類を滅ぼす気ですか!? 美神さんだけ生き残るなんてナシっスよ!?」
「……。世界のためにはここで禍根を絶っておいた方がいいかもね」
「ちょ、い、今のは物の例えよ。だからそのヤバげな剣しまいなさいルシオラ」
 原作ではここで細菌兵器を思いついたのだが、ルシオラに脅されてひるんだせいでナシになってしまった。ルシオラはとりあえず剣を納めて、
「ところで道士さん。あなたさっき一刻の猶予もないって言ったわね。でも『花』を数百輪も潰されたら、いくら何でも弱るんじゃないかしら?」
「……そうだが、放っておけばいずれ復活するぞ。それに次はもっと狡猾な方法を使ってくるに違いない」
「じゃあその『いずれ』までの間に方法を考えるわ。しばらく時間くれない?」
「……わかった」
 頷いた道士に改めて釘を刺すと、ルシオラは2人を促して出て行った。

 3人が去った後の地脈堰で。
「良い友人を持ったな、おキヌ」
「はい……」
 道士にそう頷きながら、おキヌは今までのことを思い返していた。

「美神さん――」
 私を地脈から切り離して、今の暮らしに連れて来てくれたひと。
 意地っ張りでお金お金っていつも言ってるけど、でも本当は寂しがりやで、やさしくて、照れ屋さんで……。
 幽霊の私のことも大事にしてくれて。
 私、美神さんのこと大好きです。

「ルシオラさん――」
 横島さんのごーすとすいーぱー試験のときに初めて会ったふしぎな人。
 横島さんの自称恋人で先生で、何だかいろいろ大変そうでしたけど、最近はほんとの恋人になっちゃったんでしょうか?
 横島さんのご飯の支度とかお部屋の掃除とか半分くらい取られちゃったけど、いいお友達だったな……。

「横島さん――」
 最初に会ったときはびっくりしましたよ。幽霊の私にいきなり迫ってくるんですもの。
 そう言えば私が不良さんにとり憑いた時は、一目で私だってわかってくれましたね。くりすますの時は山奥まで服をもらいに行ってくれて。とってもうれしかったです。
 それに最近はすごく強くなっちゃって、何だか頼もしくて。
 それがルシオラさんのおかげだって思うと、ちょっとくやしかったですけど。
 あなたといると、本当に楽しいです。
 横島さん――――!

「…………」
 黙り込んだおキヌの頬が流れた涙で濡れていた。
「やはりつらいか、おキヌ」
「はい……私、やっぱりみんなといたいです。こんなこと考えちゃいけないって分かってるんですけど……」
「いや、それは人として自然な情だ。どのみち地脈エネルギー充填にはまだ少しかかる。彼女達を信じてみようではないか」
「はい……」

「出てきちゃったけど、何かアイデアでもあるの? ルシオラ。いくらあんたでも力ずくじゃ無理でしょ」
 手を引っ張られて外に出て来た美神が不満そうに言いつのる。
「そうね、どこにあるかも分からないんじゃお手上げだわ」
 この山崩してもいいなら別だけど、と声には出さずに呟いた。アシュタロス戦に備えた秘策の1つ、文珠《逆》《天》《号》なら問答無用で滅殺できるのだが、それでは美神案(?)と大差ない。
「でもあのままあそこにいても堂々巡りでしょ。頭冷やして何か考えましょ」
「……そうね」
「じゃあ俺温泉行ってきていいっスか? 体冷えちゃったもんで」
「いいわよ。行ってらっしゃい」
「気をつけてね」

「…………どこに埋まってるのか分かんないヤツを探す方法、か……。文珠で何とかなればいいんだけど……」
 湯につかりながら横島はぶつぶつと独り言を呟いていた。彼とておキヌに戻って来て欲しい気持ちは美神達に劣るものではないのだ。
「《探》とか《捜》とかでダメかな……うーん、範囲が広すぎるか」
 下手するとキロ単位の距離で、方角も対象の外見もわからない。それを文珠1つでどうにかするのは無理である。
「んー……っと、何だありゃ?」
 横島の視線の先には、死津喪たちが襲撃してきた時にあけた穴と土の残骸があった。
「あそこから出てきたのか……あそこから……ん!?」
 横島ははっと顔を上げると、体を拭くのもそこそこに美神達のところに駆け出していった。

「美神さん! ルシオラ! 奴の居場所の手がかりがありました!」
 中庭で空を見上げていた2人に大声で叫ぶ。
「「え!?」」
 振り向いた2人に、
「さっきの温泉です! 奴が開けた穴をたどっていけば本体だか球根だかがあるはずです!!」
 美神は瞬時にさとって、
「そっか、あの穴は本体から伸びた茎やら花が通って来た道なんだから、逆に辿れば本体に行き着くってわけね。でかしたわ横島クン!」
 と顔を綻ばせかけたが、
「でもあの穴に入るのは危険すぎるわよ。距離も分からないし、もしバレて迎え撃たれたら逃げようもないわ」
「あ……そうっスね……」
 急な閃きでそこまで思い至らなかった横島が肩をすくめる。しかしルシオラはそれを明快に否定して、
「いいえ、やっぱり私とヨコシマは最高のコンビだわ。『私達』なら奴の本体を潰せる!」
 自信たっぷりに断言したのだった。

「それで、どうやって本体を攻撃するの? ここにもぐっていくワケじゃないんでしょ?」
 死津喪の群れが開けた無数の穴を見つめながら、美神がルシオラに声をかける。
「ええ、私もそこまで無謀じゃないわ。さっき大技使ったからちょっと疲れてるし。今度の主役はヨコシマよ」
「横島クン……ってことはやっぱり文珠?」
「ええ」
 ルシオラは頷いて横島をかえりみた。
「ヨコシマ、いま文珠いくつある?」
「文珠か? んーと、5つだけど」
 その答えにルシオラは「良かった、足りるわ」と微笑んで、
「ヨコシマ、いい? 文珠というのは同時に複数の文字を使うと応用範囲が劇的に広がるのよ。その分コントロールに超人的な霊力が必要になるから、今のおまえにはまだ無理だけど……」
 そう言ってルシオラはバンダナの姿になった。複数文字制御はその文珠の生成者だけが行える絶技である。それはルシオラも例外ではなく、心眼として横島の霊力を操るという間接的な形でしか行えないのだった。
『だから今回は私が手本を見せてあげる。2個ずつ2組使うからよく見ておいてね』
 と、横島の右手の上の2つに文字をこめる。

 《光》《槍》

 輝き出したそれは、横島の手の中で、切っ先が5つある銛のような形をした光の塊に変化した。
「な、何だこれは!?」
『これはね……』

 それはケルトの太陽神が所持したとされる3つの武器の中の1つ。
 その主が望むままに敵を追いかけ貫いた光の槍。

「そっか、これをこの穴に投げ込めば勝手に奴の本体を探してブチ抜いてくれるんだな!?」
『ええ、でもこれだけじゃたぶん足りないわ。本命はこっち』
 横島の左手に残った2つに現れた文字は、《根》《絶》
「根、絶……? 分かったわ、奴の本体の『根』を『絶』とう、っていうことね!?」
 今度は美神がその意味を解いて手を打った。
『ええ、これだけピンポイントな文字ならいけるでしょ。弱ってるんだし』
「そうね。やっちゃってちょうだい」
 美神の言葉を受けて横島が槍を構える。
「美神さん……俺達がおキヌちゃんに会えたのは奴がいたからですけど、でもやっぱり、奴はおキヌちゃんの仇ですよね……!」
「もちろんよ。おキヌちゃんをあんな奴にくれてやるわけにはいかないんだから――!」
「はい。……くらえっ、死津喪!!」
 ギャンッ!
 横島が穴の中に投げた『根絶の光槍』は地中の空洞を正確に死津喪本体めがけて突き進み――

『ギャアアアアッ!!』

 ここまで届くはずのない断末魔が聞こえたような気がした。


 ――――つづく。

 む、やはり全部シリアスとはいきませなんだ。
 この辺りが作者のクオリティってとこですねー<マテ
 ちなみに「光槍」は光神ルーの武器ブリューナクというものです。
 ではレス返しを。

○ヒロヒロさん
>オカンでも嫌過ぎですが・・・・・・・(T○T)
 その辺りはもう単なる口喧嘩のレベルですね(^^;

○アチャ〜(泣)さん
>球根の貯蔵は十分かね?とか言ってほしかったですねorz
 やー、その台詞はむしろラストバトル用で(^^;

○貝柱さん
>いろんな意味でいろんなところがそれこそヨコシマン級に突き抜けてぶっ飛んでる存在だってことを
 老師の修行でさらにパワーアップしましたから(ぉぃ

○ジェミナスさん
>君には美神さんすら上回る黒化と言う必殺技が有るじゃないか!!
 それはやはり「この世全ての黒」ですか!? ガクガクブルブル

○ハイエロファントさん
>HELLSINGのアーカードしか思い浮かばなかったけど、元ネタ何?
 それで正解ですぅ。
 2巻です。

○ゆんさん
>ライバル増えちゃったよ?ルシオラ♪
 しかも自分から増やすような発言を……○(_ _○)
>まさか、オキヌちゃんサーヴ○ント化ですか?
 なるかも……。

○315さん
>ガンマレイって「BASTARD!!」の封神八十七式烈光流星乱舞ですか?
 それですー。
 でもサッちゃんとはきっと別人です。

○KSさん
>最後の技の元ネタってバスタードで主天使を秒殺したあれっすか
 それです。
 ルシにとっても最大級の大技です(ぇ

○・・・さん
>0号開放すると魔界出現ですかー
 むしろ横島君のアレが出現するかも<マテ

○遊鬼さん
>ってか、横島君まったくセクハラできてませんね(w
 いつもやってますから仕方ありませんw
>こちらではなんか少し尊敬されてるみたいですな(w
 周囲全員がかりで牽制されてはいますがw

○アクセル・ウェイカーさん
>文中に九尾の狐が出ていましたがタマモは出ないんですか?
 おキヌちゃん復活後に出る……かも知れません。

○zendamanさん
>でも、横島の煩悩を充填し解かないと、エネルギー切れするんじゃ?
 文中で語られてない場所でしてるんですよ、きっと<マテ

○無貌の仮面さん
 はじめまして、よろしくお願いします。
>ついでにラストの元ネタがワカラナイ〜〜(爆)
 んー、レスの7と8を見て下さいな。

   ではまた。

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