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「妙神山のただおくん30(GS)」

のりまさ (2005-11-13 00:57/2005-11-13 01:19)
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<忠夫>
「栄光の手!」


 俺が栄光の手を霊波刀モードで発現させると、相手も本気を、奥の手を出し始めた。


「へへ、お互いにフルパワーでやるのは久しぶりだな。ママー、俺に力を!」


 俺の相手、伊達雪之丞は自分の魂と半分癒着したおばさんの霊力を身に纏い、それを鎧と化させる。雪之丞の代名詞、「ママ装術」だ。俺が栄光の手を使えるようになったあの日、おばさんの霊体の一部を借りて雪之丞も同様にママ装術を使えるようになった。本来ならその霊体はおばさんの下に戻るはずだったのだが、奴の持つマザコン気質のせいか、雪之丞はおばさんの霊体を放さずにそのまま同じ魂に同居するような形になったそうだ。普段は意識は眠っているが、ママ装術を展開する時のみおばさんの意識も出るらしい。ちなみに漢字で書くと一応「真魔装術」が本当の名前なんだが、そう書くと知っている人は少ないだろう。だって雪之丞がああだもんなあ。


「ママー、見ててくれよー! ママの力できっと勝ってみせるから!」


『いいから集中しなさい! まったくもう……』


 おばさんが呆れながら軽く嗜める。戦いの間でも一緒にいられる二人を少し羨ましく思いながら俺は距離を詰めた。


妙神山のただおくん〜対決 忠夫VS雪之丞!〜


<雪之丞>
 今日は初めての霊能科クラス内トーナメントの日だ。大体二ヶ月に一回ぐらいのペースで開催されるそうだ。戦いは基本的に一対一で、霊力を使用した攻撃以外は通用しない結界の中で行われる。
 はっきり言って練習用式神を相手にするのに飽き飽きしていた俺は、この日をとても楽しみにしていた。生身の相手とやれるというのもあるが、一番は横島の奴と戦えるからだ。今回は一応男子と女子でグループを別れたため、四人しかいない男子ではトーナメントといっても二回戦までしかない。

一回戦で俺と勘九朗、横島と陰念が戦った。俺と勘九朗の戦いは俺がなんとか勝利を収めた。勘九朗の霊波砲と近接格闘を主体にした戦いは俺と似ていたが、俺よりも洗練されてかなり強かった。やぶれかぶれの突撃が功を奏し、なんとかママ装術を使わずに勝てたが、奴も俺と同じでまだ力を全て出していなかったと思う。

 横島と陰念の戦いは当然横島が勝った。陰念の奴は決して弱くはない、むしろ力は弱いとはいえ全身から霊波刀を出す技術は中々のものだと思ったが、相手が悪かった。陰念の全身から出す霊波刀で横島の服が切り裂かれると見学していた女子たちから歓声(ブーイング一割、喜び九割)が起こり、なぜか陰念が鼻から血を吹いた。まだ鼻にダメージは与えていなかったと思ったんだが……。そして出血多量で失神寸前の陰念を横島が殴ることで決着は着いた。


次に女子たちのトーナメントが始まり、その間俺たちは体を休め、


そして今、決勝戦――――


「おらぁ!」


「ちっ!」


 俺の霊波砲を横島は小竜姫直伝の足裁きで避け、あるいはサイキック・ソーサーでいなし、直撃しそうなものは栄光の手で弾き飛ばした。
 ぞくぞくする。実力で言えばまだ横島よりもママの方が高いが、ママに訓練させてもらう時には感じられないスリル、それを横島と戦う時が一番多く感じる。ママとの戦いは訓練でしかなく、練習用式神との戦いもその名が示す通り。勘九朗との戦いもスリルを感じなかったことはなかったが、いざとなれば、のママ装術という切り札があったためどこかしら心に余裕があった。
 だがこの戦いは違う。実力が近しい者同士の、全力の戦い! 故にスリルは最高潮に!


「逃げ回ってんじゃねえぞ、横島ぁ! 今日という日を俺は楽しみにしてたんだからな!」


「俺はお前ほどバトルマニアじゃないの!」


『雪之丞、あんまりお友達にそんな言葉遣いしちゃ駄目よ』


『奥方、そう気にしないて欲しい。これも二人の一種のコミュニケーションゆえに』


 俺と横島が戦っている中で、俺の鎧と化したママと横島の額に巻かれているバンダナがのどかに話をしている。


「ああ、もう! 接近するんじゃなかった!」


 俺の攻撃が一瞬止んだ隙に横島は一度を距離を取ると、構えていたサイキック・ソーサーを投げた。今更そんな攻撃が効くと思ってるのか? 威力は高いが攻撃はまっすぐで単調だぜ! 当然、俺に向かって飛来したサイキック・ソーサーを軽々と避ける。そして霊力を消費した今がチャンスとばかりに俺は横島に接近する。零距離での殴り合いならママ装術を使う俺の方がやや上。ここで一気に決め手やる。

 だが。


「帰って来い!」


「なに!」


『それにしても横島くんは最近大人っぽくなったわねえ。家の雪之丞はいつまで経っても親離れできなくて……』


『ふむ、ですが親離れされたらそれはそれで寂しいのでは? 我も主にまだ頼ってもらいたいですしな』


 通り過ぎたサイキック・ソーサーは俺の後ろでその軌道を変えると、こちらへ向かってきた。


「遠隔操作できるのかよ!?」


「霊能力はイメージングしだいなんだぜ! そらもういっちょ、無限パーンチ!」


 戸惑っていると横島は右手を突き出し、栄光の手を伸ばしてきた。サイキック・ソーサーも栄光の手も連携して俺を追ってきて、いくら避けてもきりがない。


「んなくそぉぉぉ!」


「げっ!?」


『まあそうなんですけどね。中学生になったら子供はどうしても親離れしてしまうと言いますし』


『うむ、主も最近昔ほど小竜姫様を頼らなりましてな。やはりこれが反抗期というものなんでしょう。代わりに我に相談することが多くなったのは我としては嬉しいのですが、そのせいか小竜姫様が最近寂しくて発狂しかけてまして。思わず我も突っ込みそうになりましたよ。「あなたはどこのウサギですか?」と』


 俺もサイキック・ソーサーを作り出すと、横島のそれにぶつけて相殺。そして伸びてきた栄光の手を間一髪で交わすと、ママ装術を完全に防御に回して突撃した。


「おらあ!」


 距離を零に詰めて、力の限り殴る! だが横島は左手にもう一つサイキック・ソーサーを作り出すとそれを使って防御しその反動で後ろに跳んだ。上手い、だが跳んだ先は結界の隅っこ。ここからなら霊波砲を避けることはできないぜ!


「おら、食らいやがれ!」


「く、無駄だ!」


 放った霊波砲は元に戻した栄光の手に切り伏せられる。だがさっきより優位なことに変わりはない。ここで決めてやるぜ!


『まあ、相変わらず小竜姫様はブラコンさんですねえ。雪之丞の親離れと小竜姫様の弟離れ、どっちが先かしら?』


『雪之丞殿のマザコンぶりも凄いが、小竜姫様のブラコンぶりはそれ以上ですからなあ。多分、あの方は永遠に弟離れできないのではないかと』


『あら、そのまま姉と弟の禁じられた関係へと……』


『うーむ、だが主は優柔不断であるりまするので、中々そうはならないでしょうな。まあ小竜姫様やルシオラ殿、他にも妹君やおキヌ殿なども居りますが、主は迫られてもその分引いて、修羅場になってもおろおろするだけで決断はしませんし、そんなおろおろ主も萌えますが、そのおかげで他の女性が決めるということも当分ないでしょうな。それ以上に鈍いですし。』


「おらあ、おらおらおら!」


「無駄だって、さ!」


 俺が霊波砲を息もつかせぬほどのスピードで連射しそれを完璧に、だがぎりぎり弾いていく横島。お互いもはや意地になっている。


『あら、それは狙った女の子にとってはやっかいな子ねえ。横島くんももう少し意識すればプレイボーイを気取ったりできるのに』


『それはいけませんな奥方。プレイボーイな主など萌えませんではないか』


「オラ、オラオラオラオラオラオラオラ……!」


「無駄だって無駄無駄無駄無駄……」


『それもそうですよねえ。横島くんにはもう少しこのままでいてくれないと。でもそろそろベッドの下にえっちな本を隠し始めるんじゃないの?』


『それは安心を。小竜姫様が主の部屋を布団の下から机の裏側まで毎日必要以上に掃除している故に。仮に見つからないようにそんなもの隠すことができたとしても、見つかった時のお説教を考えれば主が隠す確率は少ないでしょうな』


「オラオラオラオラオラオラオラオラオオラオラオラオラオラオラ!」


「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」


『まあ、過保護に育てられたらプライバシーがなくて大変ねえ』


『はっはっは、あそこもそれなりに広いとはいえどんどん同居人が増えてますから、さらに無くなってますぞ。夜這い朝這いは当たり前、修羅場になれば斉天大聖老子がお止めにならない限り、妙神山の形が変わるまで終わりませんからなあ』


『まあ、最近の女の子はパワフルねえ』


 ……さっきから気が抜けることばかり言わないでくれ、ママたち。


<忠夫>
「今だ!」


 一瞬霊波砲の嵐が止んだところを見計らって、俺は結界の隅から脱出した。そして霊波刀で勝負をつけようとする。雪之丞もすぐに体勢を整えて拳で迎え撃とうとする。お互いもう霊力が残り少ない。これで決まるだろう。


「横島ぁぁぁぁぁぁぁ!」


「これで決める!」


 お互いの攻撃がほぼ同時に交差し、そして……


「そこまで〜!」


 止められた。よく見ると俺たちの間に入ったのは理事長だ。珍しく額に十字を作っている。どうしたんだろ?


「何で止めんだよ! 今いいとこだったのに」


 食って掛かる雪之丞。まあバトルマニアとしては当然なのかな。でも理事長は雪之丞よりもももっと怒ってる。


「周りをよく見なさい〜!」


 言われて周りを見てみると、そこには……荒野があった。確か体育館の中で戦っていたはずなのに、周りは瓦礫だらけだ。
 ……これってもしかして俺たちのせい?

「元々中学生用の結界だったのに〜、あなたたちが無茶苦茶な出力で戦うから結界に穴が開いて〜、さらに伊達君が放った霊波砲を横島君が跳ね返してさらに大惨事よ〜」


 り、理事長、怖いよ……。あ、後ろに十二神将が……。おい雪之丞、腰が引けてるぞ。俺もだけど。


「あなたたちが強いのは分かったけど〜、周りをもっとよく見なければ一流のGSにはなれませんよ〜!」


「「ご、ごめんなさいぃぃぃぃぃ!」」


 翌日から俺と雪之丞は全力で戦うことを禁止された。


 偶にある、こんな馬鹿な一日。


 続く


あとがき
 話が進まねえぇぇぇぇぇぇぇ! ごめんなさい。今回かなり中身がないです。雪之丞が栄光の手の回から一度も戦っていないので偶には戦わせようと思って書いたのですが、最後の締め方で悩んで上手くいきませんでした。バトルものは難しいなあ。

 今回もまともにレス返しできません。皆さんこんなに多くのレスをくれるというのに……orz
 というわけで申し訳ございませんがまたまとめてレス返しさせてもらいます。
 ジェネ様、拓坊様、弧枝様、神曲様、シヴァやん様、whiteangel様、矢沢様、黒覆面(赤)様、なまけもの様、D,様、鳴臣様、masa様、にゃ♪様、たくまろ様、ゆん様、tomo様、柳野雫様、わーくん様、アキ様、義王様
 いつも多くのレスありがとうございます。次こそはちゃんとしたレス返ししたいと思いますので。

 今回も難産だった……。次はタマモ編をしようかなと思っています。でも小竜姫様も最近出番がまた減ってきてますし……上手く絡ませられたらいいなと思います。

 ではこの辺で。

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