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▽レス始

「世界はそこにあるか  第28話 (GS)」

仁成 (2005-11-09 16:35/2005-11-09 20:58)
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特別な一日というのは、えてして普通に始まる。


フェンリルとの戦いの後、血塗れで、さらに体も満足に動かせなかった横島は、最近までおなじみの白井総合病院に入院させられていたのだった。


ついでに、傷そのものはすでに治癒していたものの、体がなかなか動かせるようにならなかったことから、幾つかの検査も受けている。


退院してからは美神に「しばらく療養してなさい」と言われたので、特に逆らう理由も無いので言われた通りに休んでいたのである。

ちなみにシロは横島の退院とともに、里に戻っている。


そして今日、久しぶりに事務所にやってきたのだ。


ついでに言うと、タマモも一緒である。

たまにやって来ることもあったので、特におかしいことでもない。


「どーもー。お久しぶりでーす」

横島ののんきな声が事務所に響き渡る。


二人が事務所に入ると、そこに美神の姿は無く、代わりにいすに座ったまま動かないマリアの姿がそこにはあった。

おそらく充電中なのだろう。


それを見て、今日が中世に行く日であろうと推察した。

タマモも同じのようだ。


「とりあえず私は美神を捜してくるわ」

そう言ってタマモが出て行くと、横島もとりあえず今日の仕事を確認する。

机の上にある書類を見ると、今日の仕事は一件。

それを見ていろいろ考えることもあったが、どうなるにせよと思い、いつもリュックに除霊道具の準備を始める。


準備していると、事務所の電話がけたたましく鳴り響く。

取ってみると、案の定今日の仕事の依頼人からであった。


「……あ、はい。分かりました。一週間後ですね?
……いえ、そういうことは美神と相談してください。……はい。では」

急用が入ったので、依頼を延期して欲しいとの電話。

依頼の当日にこういうことになると、契約上いろいろと金銭が関わってくるが、その辺りは分からないので美神に任せた。


やはりどうやっても今日は事務所から出さない気らしい。


「あら、来てたの?」

美神が事務所に入ってくる。

「今日の依頼は一件だけだから、二人で行くわよ」

「それなら、さっきに延期してくれって連絡あったっすよ」

「そう。それなら今日は今のところ仕事無いわね。
わざわざ新しい神通棍おろしに行ってたんだけど……」

いつかはやらなければいけないことではあったが、今やるほどでもなかったと分かり、本当に軽くため息を吐いた。


「とりあえず、書類の整理でもしましょうか」


そう独り言のように言って、机に向かって歩き出すと、突然履いている靴のヒールが折れる。

体勢を崩した美神は充電中のマリアに向かって突っ込んでいった。

「わ゛っ!!?」

全身に電流が流れる。

そして、ワラをも掴むと言うか、突然の事態に美神は横島に向かって手を伸ばした。

「の゛わ゛ッ!! まさかこんなベタなやり方とはっ!!!」

次の瞬間には、時空に割れ目ができ、マリアを含めた三人は吸い込まれていく。


「どうしたのだ!?」

「横島!!」

いまだズボンも穿いていないパンツ丸出しのカオスと焦った顔のタマモが、異変に気付き部屋に入ってくる。

タマモは急いで横島に向かって手を伸ばすが、どうしても間に合わず、三人が遠ざかっていくのをただ見ていることしかできない。

そして三人は空間の中に消え、ついに見えなくなった。


人工幽霊壱号がカオスに時空震の発生と、それに伴う時間移動の可能性を示唆している。


その隣でタマモはどうしようもなさを噛み締めながらも、静かに三人が無事に帰ってくるのを信じて待つのだった。


世界はそこにあるか  第28話

――幼年期の終わり  供宗


事務所には美神、横島、タマモの三人がいる。

無事に中世から帰ってきていたのだ。

文珠と、全盛時のカオスの頭脳を駆使すれば、マリアを充電することも、気付かれずに城に忍び込むことも、ヌルを倒すことも容易かった。

もうすでにそこにはマリアとカオスの姿は無く、ギャラ代わりにガメてきたカオス謹製のアイテムがいつもとは異彩を放って置かれている。

「まったく……! とんだ災難だったわね」

いすにふんぞり返りながら愚痴をもらす。

「まあなんにせよ無事帰って来れたんだからいいじゃない」

「そうっすよ」

見返りはもちろんあったものの、面倒ごとを押し付けられた形となりいまだ不機嫌な彼女を、横島とタマモの二人もなだめる。

「確かに、私にもあんな能力があるって分かったのは収穫だわ。
とりあえずいつか妙神山に行かないと駄目ね……。
よし! 善は急げと言うし、今日は依頼も無いことだから今から妙神山に行きましょうか!」

気合を入れるようにして立ち上がる。

横島もそれを聞いて、文珠を出そうとするが、次に聞こえてきた人工幽霊壱号の声によって妨げられることとなった。

『オーナー。お客様です』

「タイミング悪いわねえ……。で、誰?」

『シロさんと、……それからおキヌさんです』

それを聞いて、三人とも驚愕の表情となる。

「ちょっと、それホント!!?」

美神の声が部屋に響く中、ドアが開き、おキヌのシロが顔を見せる。

「ただいま。美神さん、横島さん!」

おキヌが見えた瞬間、美神と横島が彼女に駆け寄り、再会を心の底から喜ぶ。

彼女の顔とこうやって再会した光景を見て、タマモも懐かしさとともに喜びを感じるが、一人、その場でシロだけがワケが分からないといった表情である。

「おキヌちゃん! 記憶は戻ったの!!?」

「はい。ばっちりです♪」

美神とおキヌは笑顔で手を取り合っている。

以前のように肉体と幽体が完全に重なり合う前に霊団に追われる、なんてことにならず、おキヌの記憶が戻った背景には、横島とタマモの努力が当然ある。

二人――特にタマモ――はマメに氷室神社に行き様子を見るとともに、寝ているときなどに、いろいろ細工をしていたのだ。

その結果、彼女はある日ごく自然に記憶を思い出し、今日に至るのである。


ひとしきり美神との再会を喜んだ彼女は、今度は横島のほうを向き直った。

その瞬間にお互いの視線が交差する。

そして聞こえてくる横島の彼女に対する言葉。

次の瞬間には、おキヌは我慢できなくなったように横島の胸に飛び込んでいた。

「ちょっ!! どうしたの、おキヌちゃん!!?
これは確かに嬉しいけど、少し情熱的過ぎるんじゃないかなー、と……」

横島がその突然の行動に少し動揺しながらも、説明を求める。

おキヌが彼の背中に手を回し、ぎゅっと抱きついている中、彼の手はどうしていいのか分からず情けなくも中空を彷徨っていた。

「へへへ……。私生き返るときに、記憶を取り戻したら、真っ先に横島に抱きしめてもらおうって、抱きしめようって決めてたんですよ?」

横島の反応を楽しむかのような口調で、本当に嬉しそうに上目遣いで言う。

そして愛おしいげに、彼の首筋に顔を押し付けた。

そこで感じる彼の体温と感触に心の底から温かくなり、思わず夢見心地になる。

横島もそこまで言われては、男として何もしないわけにはいかず、所在なさげだった両手を彼女の肩に乗せる。

さすがに抱きしめることはできなかったが、彼女もこれで満足そうだ。

おキヌの気持ちや生き返る経緯を知っている二人は、何も言わず微笑ましげに、それでいて少し悔しいそうにその様子を見守っていた。

だが、黙って見ていることができない者も一人いるようだ。

「あーーーッ!!! これは一体どういうことでござるか、おキヌ殿!?」

シロが驚きとともに、大声で叫んだ。

「そういえば、おキヌちゃんとシロってどこで知り合ったの?」

「確かにそうっすねえ」

美神のもっともな疑問に、横島も首を傾げる。

「それはですねえ。かくかくしかじかの……」

『かくかくうまうまというわけだな』

「そうです。さすが心眼さんっ」


もしかすると分からない人もいるかもしれないので、説明すると、おキヌが来るときに駅前で迷っていたシロを見つけて声をかけたら、偶然行き先が一緒だった、というただそれだけのことらしい。

シロにしても、まさか自分に声をかけてくれた女性が、事務所の関係者だとは思わなかったようだ。

これも“縁”というものだろう。

「まさかおキヌ殿が先生たちのお仲間であったとは……。
ではそこにいる子どもは誰でござるか? 見たところ狐のようでござるが」

シロがタマモのほうを見て言う。

残りの三人はタマモが妖狐であることを、あっさり見抜いているシロに少し驚いている。

彼女にしても本気で化けているわけではないが、人間にすれば到底ばれないような、相当の水準のものであるからだ。

一方でタマモはシロに子ども扱いされ、むっと顔をしかめる。

するとタマモは先ほどのおキヌとは反対に、横島の背中に飛びついた。
艶かしく首に手を回し、抱きついている。

「私は横島の恋人よ」

挑戦的に宣言する。

「おいおい! 何言ってんだよ」

横島にロリ属性は無いので、先ほどのおキヌと違い動揺する気配はかけらも無いが、それでもこうやって抱きついているのは気持ちいいし、なんだか優越感も感じるしで、これはこれでいいかな、とか思ってしまう。

美神やおキヌにしても、彼女の性格はなんとなく分かっているので、呆れ顔で見ていた。

「それは本当でござるか!!? 先生!」

シロが焦ったように吠える。

「そんなわけねえだろ。どんな目で俺を見とんのや……」

愛があればLove is OK! なのかもしれないが、さすがの横島もロリっ娘大好きと思われるのは少々辛いものがある。

タマモはシロよりさらに見た目幼いのである。

「先生もこう言っているでござるから、さっさと下りるでござるっ!!」

霊波刀を出し、威嚇し始めた。

「あんたには関係ないでしょ」

そう言って、さらにぎゅっと抱きつく。
ますます挑戦的だ。

その後もシロがいろいろと喚きたてるが、タマモに口で勝てるはず無く、軽々とそしてことごとくかわされていく。

悔しさを顔いっぱいに滲ませるシロとは対照的に、タマモは久しぶりにシロと言い合いができてなかなかに楽しそうである。

「くぅ〜〜〜ッ! ならこっちにも考えがあるでござる!!」

シロはそう言うと、先ほどまでおキヌがいた位置に飛び込んだ。

「これで同じでござるよ」

背中にタマモ。
正面にシロ。

まさにサンドイッチ状態である。

「どこの小学校の先生だ、俺は……」

もしくはどこぞの特務機関の主任、といった感じだ。
横島はポツリと疲れたように呟いた。

側で見ている二人も呆れと言うより、なんだか見ていて微笑ましくなってくるぐらいである。

『まあ、頭の中では「ロリっ娘ハーレム、ひゃほうぅ!!」とか思ってるわけだが』

「あほかっ!!」

心眼の発言から一刹那後に、横島の顔に制裁という名の鉄拳がぶち込まれる。

弁解の機会すらなくお約束に晒された彼は、気持ちよ〜く事務所の中を吹っ飛んでいくのだった。


横島は夜遅くになって一人で自分のアパートに帰ってきた。

あれから歓迎会ということになって、遅くまでどんちゃん騒いでいたのだ。
横島も今は少しアルコールが入っている。

タマモは終盤になると寝ていたので、向こうに置いてきている。

「それにしても、なんかおキヌちゃん性格変わったような……。
連絡せずに来た理由が、驚かせたかったからだもんな」

いつものせんべい布団の上に腰を下ろす。

おキヌちゃんと言えば、どうやらGSになりたいらしく、美神のところにこれから住むようだ。
両親はもう説得してあるらしい。

美神自身も嬉しいから反対はしていないし、後は美神がおキヌの両親となんらかの話をすれば、それで決定だろう。


今日は疲れたし、もうこのまま寝ようかと考えていると、不意に心眼の声が聞こえた。

『横島、話がある。バンダナを机の上に置け』

そう言われて、横島はバンダナを机の上に置いた。
ちょうどお互いに向かい合うような形である。

『……ふむ。突然ではあるが、ワレはもうすぐ逝く』

「なんだってぇーッ! AA略」

まだ少し酔っているのか、自分の言葉にけらけらと笑う。

まるで――これからの事が起きないように、必死になっているかのように。

『まじめに聞け。ワレはもうすぐいなくなるのだ』

声は荒げない。
それは平常であるかのように。

だが、力強く。
彼を諭すような、そんな声だった。

「はあ!? 何でだよ、お前は……」

『寿命だ。永遠でも手に入れない限り、万物に等しく訪れるもの。
お前もいつか愛しい者たちの前で、こんなことを言うときが来る』

淡々と、淡々と。

『元々からイレギュラーだったのだ。竜気を与えられただけのバンダナが、人格を伴ったこと。霊力コントロールを教えるだけの存在が、いつの間にか多能になっていること』

『ワレはGS試験が終わったときから怖かった。
お主は補助など全く必要としておらんのに、ワレはそれだけの存在だったのだから。
あの時のワレはまるでシンデレラだったよ。
魔法が切れるのが怖い――ただの少女だ』

横島の力を引き出すためだけの存在。

だが切れるはずだった魔法は、12時を過ぎても切れることはなかった。

そう――これからもずっと魔法は切れないと錯覚してしまうほどに。
ずっと横島と一緒にいれると錯覚してしまうほどに。

だけど、幻想はあっけなく壊れる。

なぜならそれは、幻想だから。
壊れるからこその――幻想。

『依然として怯えはあったが、存在することを許されたワレは嬉しかった。
だが、気付いてしまったら呆気なかったな。
はっきり気付いたのは、美衣の事件のとき。
全く知らぬGSの介入があったとき、ワレは言いようのない焦りに襲われた。
そのときだ。ワレに残された時間が少ないことを悟ったのは』

息を整えるかのように、間をおく。

夜の静寂の中、対面の横島はなんとか、なんとか口を開く。

「なんでもっと早く言わなかったんだ?
文珠を使えばなんとかなったかもしれないんだぞ」

まだ完全に事態を理解していない。

脳が理解することを拒絶しているのだ。

『なんとかなる? 文珠といえ、生き死にを自由にできると思っているのか?
確かにどんな傷でも治すことができよう。どんなものでも直せよう。
だが、それ以上のことはできない』

キッパリと言い切り、断定する。

いや、文珠の特性を考えれば、もしかしたらできたのかもしれない。

だが横島の頭には、ルシオラのことが残っている。

どうにもならない。
文珠を使おうとどうにもならないことが、この世には絶対的に存在することを知っている、いや、知ってしまっているのだ。

心眼の言葉もこのことを言外に含んでいた。

「じゃあ、お前は満足なのか!? このまま、悟ったように逝っちまって!
それで満足なのかよッ!!」

横島が声を荒げる。

それは苛立ち。
どうにもできない――自分の無力さへの怒りだ。

『満足しているかだと!? しているはずないだろう。
未練だらけだ。本当に……未練しかない。
お主がいずれ誰かと結婚し、子どもを作り、幸せになっていくのを見守りたかった。
こんな話はお主と一緒にしたかった。一緒に笑って逝きたかった……』

心眼が言う。
その声が震えて聞こえてきた。

『時間の無さを知ってからも、せめてこの戦いだけは最後まで見届けたかった。
だけど現実は――こんなところでリタイアだ。
だからせめて、何事もなかったかのように消えたいのだ。お主のために……』

横島の目の前がどんどん霞んでいく。

泣いているのだ。

自分の存在の危うさを黙って内に秘めたまま、ずっと、本当についさっきまで自分の馬鹿に付き合ってくれた。

どれだけ辛かったか。
どれだけしんどいことだったか。

だが自分はそれに、気付いてやることすらできなかった。

『ワレは欲しかったものなんて何もなかった。望んだことも、願ったことも何もなかった。
ただ……。祈っていただけ。
お主のことを、お主のことだけをひたすら―――祈っていたよ』

それは、後ろ向きで、些細な……だけど――確かな幸せ。


心眼は愛してしまっているのだ、彼を。
心の底から。

もちろん、バンダナに男女の性別はないから、それは恋愛感情ではないし、情愛の感情でもない。

だけど、彼の危機には自分の全てを投げ出してもいいほどに。
そして、もし仮に彼が世界を滅ぼすと言えば、『そうか』という一言で彼に付いていけるほどに。

彼を―――愛している。


バンダナに宿った人格に過ぎない自分を、心から信頼してくれる。
毎日声をかけてくれる。

それだけで嬉しかった。

一緒にいることができて、本当に楽しかった。


――なあ、心眼。

――ナイス、心眼!

――よっしゃ! いくぞ、心眼!

――あぁ……心眼。もうお前から離れられない……。


今までが早送りのように、通り過ぎていく。

そして、最後には――自分のことで泣いている横島が、目の前にいる。

「……お前がいなくなったら、俺は……どうすりゃいいんだよ。
お前がいなくなったら……。俺は……」

搾り出すような声。
たとえ自分のことを引き合いに出しても、心眼にはいなくなって欲しくない。

彼自身あまり意識していないが、自分が未来の知識を持っていることは隠す、言いかえれば、自分と親しい周りの者を騙す、という行為に耐えられたのも、タマモや小竜姫、そしていつも一緒にいてくれる心眼のおかげだ。

その心眼がいなくなる。

なにより彼は、親しい者がいなくなることに多大な恐怖を感じているのだ。

「……お願いだから。
お願いだから、俺の前からいなくならないでくれ……」

最後のほうの声は、ほとんどかすれてしまっていた。

『……大丈夫。お主は絶対大丈夫だ』

今迄で一番優しい声。

何かに縋るような彼に、柔らかく響いていく。

『真実は、いや、“世界”は常にお主の隣にある。
そのことを忘れなければ、お主は何ものにも負けることはない……』

辺りに流れる、沈黙。

横島も何か言いたいが、声にならない。
言葉として出てこない。

ただ涙が溢れるばかりなのだ。

『困ったな……。
最期の言葉はいろいろ考えていたはずなのに、何も……何も浮かんでこない』

その言葉とともに、バンダナに光が溢れるが、すぐにその光は小さくなっていく。

「行くな! 逝かないでくれッ!!」

バンダナをぎゅっと抱きしめる。

心眼が行ってしまわないように。
離れてしまわないように。

『横島…………』

彼の中に響く心眼の声。

そしてこれが最期の声。


――死ぬほど、愛おしい――


次の瞬間、腕の中の淡い光は無くなり、心眼の気配が完全に消え去る。

そして、静寂。

だが、横島はいきなり笑い出した。

「ハハッ! なんだよ、またなんかのネタの前フリだな。
おーい、心眼! バンダナはいいところだぞ、早く戻ってこーい!」

その声はむなしく静寂に吸い込まれていく。

「ハハッ……」

笑いすら虚空に消え、ただ布団の上でバンダナを握り締めながら、突っ伏している。

そして頭の中で流れる、何者かの声。


――心眼はもういない。消えてしまったから。


「分かってる。分かってるんだ……。
だから……もう、何も言わないでくれ……」

今までよりさらに強く、バンダナを握りしめる。

「何も……」


あとは静かに――涙を流し続けた。


特別な一日。

始まりの終わり、終わりの始まり。


あとがき
心眼退場。BGMは「想い出がいっぱい」で。
いや、シンデレラ繋がりでふと思いついただけなんですけどね。

中世はタマモも巻き込んで、やるはずだったんですけど、思い切ってばっさり切りました。彼女が行けなかったのは単に運が悪かったから。

心眼に関しては特に何も言わないでおきます。
これは前々から予定してたのに、書きたいことの6割ほどしか書けませんでした。こういうのはやっぱりすごく難しい。
次回。第29話「今にも落ちてきそうな空の下で」は明日出します。

嘘です。全然書けてませんw
とりあえずサブタイの元ネタはジョジョ59巻のあの話。(これで次回を予想できる人もいるかもw)

あと最後に言いたいのは、仁成は事務所のメンツが大好きだとw

今回も読んでいただきありがとうございます。


レス返しは、今かなり忙しい上、体調を崩してるんで、省略させていただきます。
多くのレスありがとうございました。
Xはマイナーだと思ってたんですが、皆さんマイナーのほうが話したいんですねw(私もです)

ですが一人だけ。
>なまけものさん
旅に関しては、原作に名前すら出てこないロキを引っ張り出して、アルテミス抜きで事態を終息させるのに必要だったからです。
ただ、方法に関しては悪ふざけが過ぎたことを深くお詫びします。
不愉快だったでしょうが、もうこれは出てこないのでご容赦ください。


では。

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