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▽レス始

「GSルシオラ?復活大作戦!!第19話(GS)」

クロト (2005-11-03 10:09)
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 マリア姫の後を追って村の外周を囲む石壁の前まで来た私達の視線の先では、馬に乗って鎧兜をつけた兵士が20人ほどとその後ろに巨大なドラゴンが1頭、この村めざして進軍中だった。
「プロフェッサー・ヌルの人造モンスター!」
 姫は前にも見たことがあるみたいね。
 確かにあのドラゴン、さっきのガーゴイルと同類だわ。それに先頭にいるリーダーらしき騎士は魔物で後の兵士は「動く甲冑(リビングアーマー)」だし、馬も普通の動物じゃない。
 つまりあの軍団は全員人造怪物ということね。『心眼』になった魔族のエンジニアの目はごまかせないわよ。あれ位ならキャメラン1匹でお釣りが来るけど、今の身分じゃ兵鬼はつくれないのが残念だわ。
 それはともかく、これならヨコシマも遠慮せずにやれるわね。後で教えてあげないと。
 ――おまえは優しすぎるから。
 でも敵があのドラゴンを連れて来たのはむしろラッキーだったわね。確かに強いかも知れないけど、大きすぎて鈍重だから全体の進軍速度が遅くなってる。しかも目立つぶん遠くから発見されたしね。あれがいなければ今ごろ村を奇襲できてたのに。
 それとも、あれが必要なほどの戦力がこの村にあると考えてるのかしら?
 マリア姫が後ろのバロンを顧みて、
「みんな落ち着け! 私と魔女のミカミ殿で皆を守る! ひとまず村はずれの墓地に集まれ!」
 するとバロンはインコのようにその言葉を復唱しはじめた。そして姫の号令で戦闘に向かう。
「さ、参られよ!」
「え?」
 姫が当然のように私達を差し招くけど、美神さんは困った様子で、
「ちょ、ちょい待ち。行くって……何で私が?」
 お金にならない厄介事に近づきたがらないのは彼女の性分として当然ね。
「カオス様は騎士のように高潔なお方だ。その友人なら当然手を貸して下さると思うが……。
 そういえば先ほどは『神の御業』を使われたそうだな。ならば魔女ではなく聖者ということか? それなら尚更ではないか!?」
「ぐっ!」
 墓穴を掘ったわね美神さん。あの状況じゃ仕方なかったけど、でもこれで断ったら「悪しき魔女」だと思われるわよ?
「……そーじゃなくて。私は武装した兵士とチャンバラなんて出来ないのよ。私は悪霊退治が専門なんだから」
 あ、苦し紛れだけどウソじゃないわね。でもここには好戦度指数100%の猛者がいて、それも意外にまっとうに、
「確かにありゃ旦那向けの仕事じゃねえな。ここは俺と横島が行くから、旦那は村の連中の保護に当たればいいんじゃねえか?」
「あ、それいいわね。任せたわよ横島クン」
 脂汗を流していたのがコロッと笑顔になる美神さん。あなたねぇ……確かに案としては正しいんだけど。
「そうか、ではそのように頼むぞ」
「おっ、俺がか!?」
 当人にとって非情な方針にヨコシマは喚き出したけど、なにぶん発言力に大差があって、そのままずるずると伊達さんに引き摺られていった。
「くっくっくっ、戦える! お前らと一緒にいるとマジで退屈しねえな」
「待てや雪之丞、俺はあんなのと戦った事ねえぞ」
「心配すんな。ああいう何かに乗って戦う連中ってのはそこから落とされると弱いものなんだよ。俺が霊波砲で打ち落とすから、お前はそこへ斬り込みな」
「……すると馬まで問答無用でやっちまうのか?」
 思った通りねヨコシマ。でも心配しないで。
『気にしなくていいわヨコシマ、あいつらは人も馬も人造怪物だから。見た目は普通でも中身は和解不能の化物なのよ。倒す以外に方法はないわ』
「……そっか。つまりあれはただの妖怪ってことなんだな」
「ほほぉ、それならますます全力でやれるってもんだぜ。横島、もう村人の姿もねえ。魔装術全開で行くぜ!」
 ヨコシマが愁眉を開き、伊達さんがさらに闘志を増す。
 ビュンッ!
 敵の兵士達が射程に入ったところで2人が魔装術を展開した。例の騎士がいないし人数も少ないような気がするけど、とにかく今はこいつらを倒さないとね。
「……っと待て。あれバロンじゃねえか!?」
『えっ!? あいつらあれを壊せるほど強いの?』
「だがあそこにドラゴンの死体もある。相打ちになったんじゃねえか? それなら後は俺達でやれるぜ」
 兵士達から少し離れた所でバロンとドラゴンが倒れて動かなくなっていた。たぶん伊達さんの言った通りね。
「む、何だ貴様達は!? その妙な風体、カオスの機械兵か!?」
 敵にも発見されたようね。でもヨコシマを機械兵呼ばわりなんて許せない!
『やっちゃうわよヨコシマ!』
「ど、どうしたんだルシオラ急に?」
「やるぜ横島。先手必勝だ、くらえ連続霊波砲!」
「あーもーどーにでもなれー!」
 ドドドドドッ!
 伊達さんが霊波砲を撃つのに合わせてヨコシマが突進する。
『兵士は鎧だけで中身は空っぽの筈よ。頭部を破壊するか、鎧の継ぎ目を狙って斬って!』
「おうっ!」
 落馬した兵士に近づき、栄光の手(杭)を伸ばして兜の目の開いた部分を突き通した。
 ドズッ!
「何だこりゃ!?」
 ヨコシマが疑問の声をあげる。私が言った通り兜の中は空洞で、普通ならある筈の肉体の感触が無かったのだ。命令系統を破壊されたリビングアーマーはがらんと転がってただの鎧に戻った。
「あー、ほんとにこれ鎧だけのオモチャだったのか。ちくしょー騙しやがって!」
 何に騙されてたのかよく分からないけど、とにかくヨコシマはやる気になって他の兵士達にも攻撃し始めた。
 伊達さんの攻撃を免れた兵士の槍から超スピードで逃げ去りつつ、落馬した敵だけを狙って突きかかる。
「杭串刺しの刑だッ!」
「ぐあっ!」
 攻撃される方はヨコシマの動きが速すぎて全く予想できてないから、無防備なまま兜を貫かれて動かなくなっていく。乗り手を失った馬がどこかに逃げていくけど、まあ勝手に本拠地に帰っていくでしょう。
「やはり俺が見込んだだけの事はあるな。俺も負けちゃいられねえぜ!」
 ヨコシマの活躍に刺激を受けた伊達さんが、敵1体に向けて霊波砲の集中射撃を加える。
 ボコボコボコッ!
 全身をべこべこにされた兵士が落馬した。別の兵士が剣で斬りつけて来るのをかわして飛び上がり、例の全力パンチで兜を吹き飛ばす。
 これで7割がた倒された兵士達が、
「くっ、こいつら強すぎる。こうなったら後は隊長の本隊にお任せして退却するのだ!」
「そ、そうだな。退却だ!」
 あまり知能は高くないらしく、重大な情報をこちらにも聞こえるように叫んでから踵を返して逃走を始めた。
「チッ、逃げる気か。どうする横島!?」
『今こいつら本隊って言ったわ。急いで美神さん達の所に戻りましょう!』
「そ、そうか。じゃあ先に行ってるぞ雪之丞」
「ああ、頼むぜ!」
 人数が少ないのは別働隊だったからなのね。ドラゴンに惑わされたわ。

 私達が「村はずれの墓地」に駆けつけてみると、精霊石の結界に立て篭もっている村人達を兵士達が取り囲んでいた。中に美神さんもいるのかしら?
 そのとき、さらに向こうの高台から声が聞こえた。
「何の騒ぎだ? バロンの緊急コールサインで慌てて帰って来てみれば……。
 私が少し留守にしただけで随分と賑やかにやってるじゃないか! 遊ぶなら私も混ぜてもらおうか!」
「カオス様……来てくれたのか!?」
 黒いコートを羽織った長身の男性が崖の上に立っていた。その上にはセスナ機のようなものが旋回している。
「奴がカオスか!? 捕らえろ!」
 マリア姫の言葉で男性の正体に気づいた騎士が部下に命令を下した。
 しかし男性――現代とは違って25歳くらいに見えるカオスさんは自信たっぷりに、
「『捕らえろ』!? この私をお前ら雑兵が? 面白い、やれるもんならやってみたまえ!!」
 と携帯電話のような機械を取り出してボタンを押す。
 ガガガガガッ!
 飛行機が兵士達めがけて機関銃を乱射し始めた。兵鬼じゃなくて、機械を遠隔操縦してるみたいね。この時代にこんなものを作れるなんて、やっぱりヨーロッパの魔王と呼ばれただけのことはあるわ。
「うわぁっ!」
「た、助けてくれ!」
 たちまち数体の兵士が粉砕され、騎士もあっさり退却を決意して逃げていく。
「一時退避だ! ヌル様に知らせろ!」
「もう逃げるのか、張り合いのない。ではとどめと行こう、ポチッとな」
 カオスさんが高笑いしつつ、手に持ったコントローラーのボタンを押す――と、何故か飛行機がいきなりその場で爆発した。
 ドムッ!
 爆風でカオスさんが崖から落ちる。
「「な、何だ!?」」
 近寄るわけにもいかず(魔装術は解いて)離れて経過を見ていたヨコシマと伊達さんが揃ってぽかんと口を開けて、
「自爆……したのか?」
「……そうみたいだな」
 まあ(マッド)科学者のロマンかも知れないけど……この辺がカオスさんが現代まで貧乏だった理由かも知れないわね。あ、私はアシュ様から預かった逆天号に自爆装置なんてつけてないわよ? でも今度は機会があったらつけちゃおうかしら。
 ちなみにカオスさんは不老不死だけに命には別状ないようで、心配して駆けつけたマリア姫の介抱で意識を取り戻したみたいだった。

 その後村人達は戦いの後始末に向かったけど、私達はマリア姫と一緒にカオスさんの秘密研究所に身を寄せていた。
 ちなみにマリアは充電中でバロンは修理中。
「それにしても驚く事ばかりだ! 私以上の天才が城を乗っ取ってモンスターを造っているだと!? で、お前達は未来から時空を超えてきたとな……しかもお前達が連れて来たあれは私がつくっている人造人間試作M−666ではないか。700年も先まで稼動していたとは嬉しいぞ!」
 矢継ぎ早に話される異常事態をカオスさんはわくわくした顔つきで聞いている。そうでなくてはマッドサイエンティストはつとまらんよ、って感じだわ。私も兵鬼技術者として語り合ってみたい事が多々あるけど、マリア姫の前でバンダナが喋るわけにはいかないのよね。
「……で、元の時代に戻るために力を貸して欲しいのよ!」
「ヌルは父上を操って領地を乗っ取ろうとしている! 村人はモンスター造りの資金を搾り取られ、私の身も危うい。かと言って王にこのような不始末を話すわけにはいかぬ。どうかヌルを倒すのに協力してはくれまいか!」
 まあ、生身の女性2人に激しく迫られてる彼にそんな余裕はなさそうだというのが現実だけど。
「私の話を先にしてもらえませんかな?」
「……プロフェッサー・ヌル!?」
 突然現れた映像と声に、唯一その素性を知っていたマリア姫が驚きの声をあげる。
「ちっ、立体映像投射機か。バロンに仕掛けたな」
「やはりあなたは噂通り切れる方のようですね。話が早い方は手間が省けて助かります」
 カオスさんがすぐ仕掛けを見抜いたことにむしろ満足げな笑みを浮かべて、ヌルはさっそく用件を切り出した。
 つまりは兵器産業の共同経営ということだったけど、美神さんが彼のやり方からヌルが魔族であることを見抜いて指摘すると急に態度を変えて、
「クックックッ、よく見抜きました。どうやら殺すしかないようですね……!」
 殺気がこもったその言葉と共にカオスさんが持っていた投射機が小さく爆発して壊れる。同時にヌルの映像が消えた。
 ――そう言えばヌルのテクノロジーって私の技術と似た所があったわね。
「まさかホントに魔族だったなんてね。半分ハッタリだったんだけど」
「こういうときの美神さんのカンってやたら当たりますもんねー。もう作者の都合じゃないかっていうくらい」
「ああ、それは俺も同感だ」
 妙なことを言いながらうんうんと頷くヨコシマとそれに同意する伊達さん。
「――で、私達が帰る方法なんだけど」
 と、その辺りの全てをスルーして自分の用件を蒸し返す美神さん。相変わらずさすがだわ。
「ちょ、ちょっと待て。私の話が先じゃ!」
 振り出しに戻る。
『前』にヨコシマは両手に花が好みだって言ってたけど、こういうのがいいのかしら?
 で、結局。
 カオスさんが言うにはマリアと一緒なら現代に帰れるとのこと。ただその代わりにヌルを倒すのを手伝ってほしいそうで。
 美神さんは渋ったけど例の「神の御業」発言がまたもたたって、やっぱりただ働きをすることになってしまった。ちなみにどうせ分け前のないヨコシマは黙ったままで、伊達さんに至っては積極的に参加したがってたという対照ぶりが見てて面白かったわね。
 それじゃヨコシマ、次回は敵城突入よ。気をつけてね!


 ――――つづく。

 あとがき

 うーん、魔装コンビのバトル以外は原作と変わらない展開……。
 かと言ってカオスの出番を削るわけにもいかず。
 あとバロンがやられてたのは、原作で敵の隊長が使った技(?)を一般兵が使ったからです(ぉ
 ではレス返しを。

○なまけものさん
 元ネタは全部正解ですー。
「アシュ様奔烈!」はもう出ちゃいましたね。

○七点さん
 お褒めいただきありがとうございますー。
 元ネタは正解です。

○貝柱さん
>西条
 うーん、西条の参加は考えてなかったですねー。
 美神と役目がかぶる、というかチームワークが最悪そうw
>氷の矢
 まあ、今の横ルシコンビはそう簡単にやられません。
 というかそんなことになったらルシオラが城ごと(以下略)。

○黒覆面(赤)さん
>原作ではいなかった雪之丞がどう動くか?
 あうー、彼にバトル以外の何をさせろと(ぉぃ

○ももさん
>あ・・・地獄炉・・・またルシオラの好きそうな物が・・・w
 むしろカオス追い出して居座ったりして<マテ

○ジェミナスさん
>技術屋のルシオラが最盛期のカオスと会ったら狂喜乱舞しそうですねぇ
 邪魔者さえいなければ1週間くらい技術交換会やりかねません(ぉ

○遊鬼さん
>冒頭からユッキー炸裂ですね(w
 出してみると結構使いやすいキャラだったりしてます。
 嫌がる横島君をむりやりバトルに引き込むとか(ぉ

○…さん
>マリアとそんなにつきあいあったっけ?
 Gメン編で2週間いっしょに仕事してましたから。

○ゆんさん
>横島はいつ美神の時空移動能力をしったんですか?
 原作でも美神がタイムスリップしたと言ってますが、美智恵の時間移動は見てるのでそこから推測したのではないかと。

   ではまた。

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