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▽レス始

「妙神山のただおくん25(GS)」

のりまさ (2005-10-31 23:50/2005-11-01 00:19)
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<???>
 ふう、これでいいわね。それにしても入学早々こんなチャンスが来るとは思わなかったわ。メドゥーサ様に言われたとおりにしたけど、さてさてどうなることかしら? でももったいないわね、私としてもあの子は結構好みだったんだけど。

 でもどうしてメドゥーサ様はあの子にあんなに執着しているのかしら? それにただ殺すだけなら本人自ら赴けば確実なのに、どうしてそれをしないでわざわざこんな方法を取るのかしら? まさかあの子が気に入ったとか? ……それこそまさかね。


「おーい、何やってんだ勘九朗? 在校生代表の美神令子がついに式神を見つけ出したぞ。横島はまだ来てねえし、このままじゃやべえぞ」


 あら、伊達雪乃丞ね。私は母性本能をくすぐるあの子も好みだけど、この子も嫌いじゃないのよねえ。


「な、なんだよ? 変な目で見るなよ」


 ……いつの時代も私のような愛は理解されないのね。

 さて、横島忠夫。メドゥーサ様が気に入るその力、見せて御覧なさい? でないと、先に美神令子の死体を見ることになるわよ?


妙神山のただおくん〜バトル・オブ・鬼ごっこ! 中編〜


<ブルー>
「ふ、戦いとは常にむなしいものです」


 しょ、じゃなくてれっどが寂しそうに言いました。後ろには悪いことを企んでいた人たちの屍の山が。いや、もちろん生きてますけど。


「でも小竜……いた!」


「今の私の名前はミョージンレッドです! 小竜姫などという神族ではありません!」


「わかったわよ、レッド。で、どうしてこんなアホな服装で出なきゃいけないの?」


 いえろーがまったくもうといった顔でれっどに問います。


「いいですか? ここはオカルトの造詣が深い六道です。あまり大っぴらに神魔族が出るとやっかいになります。特に私はGSを目指す人にとっては有名ですし、ブラックに至っては魔族。魔力を隠しているとはいえ戦いになれば何かの拍子で魔力が零れ落ちないとも限りません。それにあなた、イエローはもともとお尋ねものの妖怪ですし、ブルーは高等部に入学が決まっているのですから、これからの学校生活に支障が出てしまうでしょう?」


「それは分かるけど、だからといってこんな格好……」


「あら、そんなこと言って結構ノリノリだったじゃない?」


「う」


 ぶらっくの言葉に、いえろーが詰まりました。確かにいえろーは結構ノリノリでしたね。


「それより、早くヨコシマのところへ助けに行きいかないと! 待っててヨコシマ! 今私がお前を助けに行くからね! そして危機状況に陥った男女はやがて絆が恋へと……」


「それはなりません、ブラック」


 暴走しだした走り出したぶらっくの襟を、れっどがむんずと掴んで止めました。


「ぐへっ! ど、どうしてよレッド!? はっ、まさか自分たちはあんなにフラグを立てているっていうのに、私には作らせない気ね!? さては私がヨコシマと同じクラスになって、その上妙神山でも一緒だから丸一日中隣に居られることに嫉妬しているのね! そ、それともこのままヨコシマを負けさせて、六女に入れないようにさせる気!? ……ミョージンレッド、恐ろしい子!


「だ、黙りなさい!」


 ぺし


「あうちっ!」


 あ、れっどが少し顔を赤くしています。……まったく考えていなかったわけではないんですね?


「いいですか、今回私たちはあくまで忠夫くんと美神令子さんの一騎打ちを邪魔する者たちの排除だけという理由で理事長の許可を貰っているのです。邪魔者たちを排除した以上、後は忠夫くんと美神さんの真剣勝負。私たちの手出しは無用です」


「そ、そんな〜。私だってヨコシマのピンチに現れて、そのまま仲良くなってらぶらぶしたいのに〜」


「いいじゃないですか〜。ぶらっくはこれから同じくらすなんでしょう? 私なんて三年上の高等部ですから、横島さんが高等部に上がる頃には私は卒業ですよ〜。騙されました」


 私がじろりとれっどを見ると、れっどは目を逸らして口笛を吹き始めました。……確信犯ですね?


「そ、それより忠夫くんはどうなったんです? ヒャクメ、見ているんでしょ?」


「それが、美神さんが先に式神を見つけたようなのね〜」


<令子>
 思ったとおり、式神は保健室にいた。そこに横島クンはいなく、どうやら私が先に見つけたようだ。当然だけどね。


「さあ、GSの卵、美神令子が、極楽に……って式神を倒すんだから違うかな? まあいいわ、極楽に逝かせてあげる!」


 私は破魔札を投げつけると、神通棍を構えた。強敵ではあるが、一度は倒したことのある相手。遅れを取るわけにはいかない。


「ぐおおお!」


 式神は人型のオードソックスなタイプ。冥子の十二神将ほどの力はないけど、それでも練習用ではレベルマックスなだけあって舐めるのは危険な相手。破魔札が命中するのを確認して、私は神通棍を持って走り出した。


「このおおお!」


 私は霊力をフルに伝わらせた神通棍を振り下ろした……が、


「止めた!? そんな」


 左手で軽がると受け止められる。瞬間、左から感じるスリル! 私は相手を思いっきり蹴り、その反動で飛び退いて距離を取った。私が居た場所に式神の右手が通り過ぎ、近くにあったベッドを切り裂いた。

 おかしい。よく見れば破魔札も大したダメージを与えていない。相手の式神はいくら強いとはいえ、所詮は練習用。一般生徒の持てる中では最高に近い威力を持つ破魔札をまともに食らって、ほとんど無傷なんてありえない。それに冥子を覗けば攻撃力では学校一を誇る私の神通棍を簡単に受け止めるなんて……。


「理事長がなにかしたってことかしら? それともイレギュラー? まあ、いいわ。どっちにしろ、勝つのはこの美神令子よ!」


<雪乃丞>
 美神令子が映像の中で式神と戦っている。基本的に横島と美神令子は理事長の式神によってその様子がしっかりと生徒全員を映し出している。それにしても、美神令子は強い。六道トップ2は伊達ではないということか。ママ装術を使っても今の俺じゃ勝てそうにない。


「それにしても、あの式神強すぎじゃねえか?」


 隣の陰念がぼそりと呟く。確かにあの式神はかなり強い。少なくともパワーだけならあの魔装術もどきを使っていた悪霊よりもかなり上だ。練習用で最強とはいえ、少し強すぎないか? 美神令子もかなり善戦しているが、あいつには式神を倒すほどの決め手がない。俺としては横島に負けてもらっては困るから、美神令子が勝てないほうが良いのだが、横島でも勝てるかどうか正直怪しい。


だが。


「確かにな。だが横島ならなんとかしそうだぜ?」


 その言葉に何人かの女生徒が振り向き、驚きの顔をする。美神令子が勝てそうにない式神を相手に勝てるというのだから彼女たちにとっては信じられないことなのだろう。
確かに今の実力では横島は勝てないだろう。だが、今ではない横島なら? あいつは戦いながら成長する。普通の人間が訓練することで成長するところを、奴は危機に陥ることで成長する。だから横島ならきっと勝てるのではないだろうか?


「それに、理事長が笑みを崩していないんだ。あの人は俺たちに入学してもらいたいんだから、横島が絶対勝てないような式神を選んだりしないだろう」


 入学が掛かっているんだ、頼むぜ、横島!


<令子>
「な、なかなかやるわね……」


 強い。戦闘技術そのものは前に戦った式神と同じだけど、パワーが圧倒的に違う。そのおかげでいくら攻撃してもその圧倒的な霊力差に跳ね返されてしまう。
 ならば。

「こうなったらもう、これを使うしかないわね……


戦術的後退!


 私は後ろを向いて保健室を出た。生徒たちが見ている前で敵に背中を向けるのはちょっと悔しいけど、私だって命が惜しい。


「ぐおおおお!」


 式神が私を追ってくる。……なんかもう、鬼の役が反対になっているわね。


 角を曲がり、全力で走る私をしっかりと追いかけてくる式神を見て、私は目的の場所に上手に誘き寄せたことを確信する。万が一の時に仕掛けておいたものが役に立ったわね。


「かかった!」


 予め仕掛けておいた結界を発動させ、霊力の光が式神の動きを封じる。


「600マイトの捕縛結界よ! これでもう動けないわ!」


 動けないならもう相手ではない。神通棍をまっすぐ急所に突き立てれば、いくら強くても止めはさせる。


「ぐ、ぐおおおお!」


「ふふん、無駄よ」


「ぐおおおお、おおおお!」


「だから無駄だって……」


「ぐ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


「言ってるで……しょ……?」


 ぱりーん。軽い音を立てて、結界が崩れた。


ちょっと待って。この結界は600マイト。つまりこの式神は600マイト以上の力があるってこと!?


「う、嘘でしょー!?」


 呆然とした私に、伸びてきた式神の手が私に絡みついた。


<忠夫>
「な、なにこれ……?」


「れ、令子ちゃ〜ん!」


 遠回りをしたためずいぶんと遅くなって式神のいる場所へ辿り着いた僕の目の前には、深くはないが多くの傷を負った美神さんとそれを捕らえた式神の姿だった。ありえない。確か練習用の式神は相手を重傷にまで追いやるようなことはしないはずだ。いや、これはもはや式神じゃない。神気をいつも浴びて鋭敏になった僕の勘が、こいつから魔の匂いがすることを告げる。


「れ、令子ちゃんを放して〜!」


「だ、駄目だ! 冥子ちゃん!」


 予想外のことにパニクった冥子ちゃんが、式神を突撃させる。パニックになっても式神を暴走させないところは成長したんだろうけど、この場合は暴走してくれたほうがまだよかった。あせった冥子ちゃんは式神を特に作戦も立てず動かしている。元々十二神将はその様々な能力を駆使した汎用性の高い式神。だからきちんとした作戦を立てれば力以上のものを発揮するが、逆に無策で挑めば力を十二分に出し切れない。


「ぐ、ぐおおおお!」


「きゃあ〜!」


 数匹の式神が体当たりを仕掛けるが、相手の圧倒的なパワーに跳ね返され、攻撃を食らって逆に術者にダメージがフィードバックする。その衝撃で冥子ちゃんは気絶してしまった。


「め、冥子……。よ、横島クン、あなたは逃げなさい! こいつはどこかおかしいわ!」


 意識を取り戻した美神さんが冥子ちゃんと僕を見て叫ぶ。確かに僕一人では勝てそうにないけど、雪乃丞やみんなが呼んでくれば絶対に勝てる。だけどその間に冥子ちゃんと美神さんは……。


「私のことはいいから! 早くここから……くっ」


 式神が美神さんを捕らえている腕を強め、美神さんが苦悶の声を上げる。


 なんだ? どうして身体が熱いんだ?


 逃げたくない? こんなに怖いのに?


 刹那、見たこともない映像が僕の脳裏によぎる。


 そして僕の魂が、独りでに口を紡ぐ。


「やめろぉぉぉぉ! メフィストを放せぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 続く


あとがき
 凄い壊れの後は、シリアスに。こういうのが結構好きなんです。美神さんはいくら頑張っても、さすがにまだ高校生なので色々と甘いです。とはいえ今の忠夫くんでもあれにはまだ勝てません。さて、どうなることやら。

今回はあんまり時間がないので疑問点だけレス返し。

 レッドの言葉の元ネタはそんなに意識してなかったんですが、確かに野生な四人組のリーダーからです。なんとなく語呂が合っただけなんですがね。
 ミョージンジャーのポーズはT-1000様のおっしゃるとおりあの伝説の漫画の乳製品な特戦隊のポーズです。牛乳のポーズはもちろんレッドです。
 神魔人妖戦隊の人ですが、まあ一応おキヌちゃんが人だということで。本当は人間も入れる予定だったので。

 さて前世の記憶がフラッシュバックした忠夫くん。どうなりますやら?

 ではこの辺で。

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