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「GS美神if9〜12話(GS)」

テルヨシ (2005-10-30 22:28)
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「やっと着きましたね」
「結構遠いんジャノー」
「ああお前らは初めて来るんだったな」
「パピリオは元気にやってるかしら?」
「アイツのことだから元気にしてるだろ」

そんなことを話しながら横島一行は妙神山についたのだった。


GS美神if9 皆で修行大作戦?


とりあえずなんとか無事に高校を卒業できた横島は、そのままルシオラと共に妙神山にパピリオを迎えに行こうと思っていた。
が、それを聞いたピートとタイガーが自分たちも一緒に行くといってきたのだ。

二人とも4月からオカルトGメン、エミの事務所とそれぞれ就職が決まっているのだが、それを前に修行をしたいと思っていたそうだ。
その為、横島たちが妙神山にいくと聞いたので一緒に行くことになった。

雪之丞? 彼が修行と聞いて来ないわけがない。
そんなわけで横島たち5人は卒業式が終わったらすぐに妙神山に向けて出発した。


「「久しぶりじゃの皆のもの」」
左右の鬼門がそう言って出迎える。

「久しぶりだな」
横島はそう答えた。

「今回の何しに来たのだ?」
左のがそう聞いてきたので
「パピリオの迎と修行だな」
そう横島が答えると
「横島、雪之丞、ルシオラは先に入るがよい。ピートとタイガーはわれらに勝てたら入るが良い」
右のがそう言ってきた。


その結果、ピートはダンピールフラッシュで、タイガーは精神感応力を利用してさっさと鬼門を倒した。


そうして中に入った横島たちを斉天大聖師匠、小竜姫様、パピリオが出迎えてくれた。
それぞれがそれぞれに挨拶を済まし、修行の話となる。
横島は前回と同様、雪之丞もそれと同じメニュー。
ピートとタイガーは斉天師匠の修行を受けた後、横島たちに合流となった。


横島たちと同様にまずゴーレムとカトラスと戦うこととなったピートとタイガー。
無論あのときの横島たちより強い二人が負けるはずもなく、鬼門のときと同様にあっさり勝った。
その結果を受け、斉天師匠との修行となった。
あっという間に斉天師匠が作った仮想空間から帰ってきた二人はそのまま師匠と戦う二人。

詳しい話は省くが、二人とも横島たちのときと同様、血まみれになりながらも潜在能力を引き出すことに成功した。
ピートはよりヴァンパイアの能力に目覚め、ヴァンパイアの能力と同時に聖なる力もより使えるようになった。
タイガーはエミに頼ることなく100%精神感応力を発揮できるようになり、また己の肉体に霊力を上乗せ攻撃・防御する能力がより強化された。
その日は消耗した二人の為、早めに修行を終えた。


その為時間が空いたので横島はルシオラと一緒にパピリオと話し込んだ。
ここでの修行の成果か、パピリオはもう語尾に「でちゅ」と付けなくなっていた。
背も中学生に見えるくらいには成長している。

「4月から中学校にいけるんですね。楽しみです」
「渡してあった問題集はすべてやったの?」
「簡単でしたよ」
そう姉妹で会話していたのだが、横島には気になることがあったのでパピリオに聞くことにした。

「そういやパピリオ聞きたいことがあるんだが」
「なんですか、お義兄ちゃん?」

その言葉を聞いて横島は絶句した。

「…パピリオサン、ソノヨビカタハナンデスカ?」
「ヒャクメに聞いたんです。ルシオラちゃんと婚約したのだからヨコシマは私のお義兄ちゃんになるんだって。
だからそう呼べばヨコシマも喜ぶって。何か間違ってましたか」
「いや間違ってはないけど(汗)。けどな…」

その後パピリオにヨコシマと呼んでくれるよう頼んだ横島であったが、
「私がそう呼ぶのいやですか?」
と上目遣いに言われてしまい、横島とルシオラ以外の人物がいるときはヨコシマと呼ぶことで妥協した(上目遣いもヒャクメに教わったそうだ。後でヒャクメはお仕置きだなと横島は心に誓った)。


そんなやり取りの後、横島はさきほど聞きたかったことを聞いた。
「パピリオは最近天竜童子と仲がいいみたいだな」
「ナンデソノコトヲシッテルンデチュカ?」
今度はパピリオは驚き、その拍子に語尾も元に戻ってしまったようだ。

「何でって、ヒャクメ様にパピリオの近況を聞いたときに教えてもらったのよ」
ルシオラがそう説明した。
その説明にパピリオもヒャクメに復讐を誓ったそうな。


それはさておき、横島とルシオラは天竜童子との仲がどうなっているか聞いた。
その問いにパピリオはすべて正直に白状させられた後、顔を真っ赤にし
「二人ともイジワルでちゅ」
と言った。

そんな微笑ましい?やり取りをした後三人は明日の修行の為、眠りについた。


次の日からは午前中は皆で基本的な霊力の修行、午後は体術や武器の扱い方などの霊力以外の修行をした。
夕食後は各自がそれぞれの修行をする。
横島は文珠と新しい技の修行。
雪之丞は魔装術の新しい使い方や技の修行。
ピートとタイガーは新しく覚えた能力の反復練習をした。


それなりに充実した修行の日々を送り、横島たちが帰る日になる。
彼らは斉天大聖師匠と小竜姫に礼を言い、それぞれの居場所に帰っていった。


ヒャクメへのお仕置きはどうしたかといえば、パピリオにヒャクメを取り押さえてもらい、『笑』と文字を入れた文珠を横島が飲ませた。
数十分にわたり笑い続けたヒャクメは腹筋が痛くなり、2,3日苦しんだそうだ。
横島とパピリオの溜飲もかなり下がったが、これくらいではヒャクメは懲りないだろうなとも横島たちは考えている。

4月から皆新しい生活が待っている。当分皆で集まるのは無理だろうな。そんなことを横島は思った。


あとがきです

ピートとタイガーの斉天大聖との修行シーンはカットさせていただきました。
うまく書ける自信がなかったもので。
パピリオのしゃべり方は「です・ます」調にしました。


私の勝手な人物設定です

パピリオ・・・ルシオラの妹。蝶の化身。成長したため語尾に「でちゅ」を付け無くなったが興奮したりすると付けてしまう。
天竜童子とはいい関係のようです。また、横島の他の事務所のメンバーとは何回かあっているので仲がいい。


この話はギャグみたいな話&完璧に私の趣味丸出しになるので、そのつもりで読んでくれるとありがたいです。

また、読まなくても今後の話にはさほど影響はないと思います。


では始めます。


GS美神if9 皆で修行大作戦? 趣味全開ネタ 〜『漢』達の戦い〜


妙神山での修行も最終日。横島達はお互いに修行の成果を見せ合うことにした。
それはよかったんだろうが……。

「何で俺がみんなの技を受けなくっちゃならんのだ?」
そう、何故か横島がみんなの技の実験台になってしまったのだ。

「何で俺なんだ?」
そう横島が聞くと
「「「何かあっても文珠があるだろう(でしょう)(ですしノー)」」」
と言われてしまった。

そういう訳で横島が実験台となったのだ。


「はじめはワシじゃけんノー」
そう言ってタイガーが前に出た。

見るとタイガーの手にはなにやら武器が握られている。
「その武器は何だ?」
「神通ハンマーですケン」
タイガーはそう答えた。
タイガーはその「神通ハンマー」を巧みに使い横島に攻撃してきたが、サイキックソーサーでことごとく防がれる。
威力だけなら神通棍よりありそうだ。


「ウォーミングアップは終わったけんノー、ワシの必殺技いくじゃけー」
そう言ってタイガーは精神を集中し始めた。
するとタイガーの体が金色になった。

そしてタイガーは
「炸裂!ガイアクラッシャー!」
と言いながら地面を殴りつけた。
するとタイガーが殴りつけた地面が次々と隆起しながら横島に迫まる。

横島は『結』『界』の文珠を作り出してその攻撃をなんとか防いだ。(隆起した地面にも霊的攻撃力があった)
「ダイナミッグな必殺技だな。文珠1つの結界じゃ防げそうにないぜ」
そう感想を述べる。


「次は僕の番ですね」
今度はピートが前に出た。
「ヴァンパイヤの能力だろ? 血を操る能力か?」
「ええ。僕なりにアレンジしましたけどね」
と答えてきた。

まずピートは自分の血を流し、それを操りだした。
「ブラッディソード」
と叫んで血を剣の形にし俺に切り掛かってきた。
横島は栄光の手を霊波刀にし、それを迎え撃つ。
何十合と打ち合ったが何とか横島は霊波刀で「ブラッディソード」を弾き飛ばした。


「では僕もそろそろ必殺技を出しますね」
そう言って弾き飛ばされた「ブラッディーソード」を回収し、血に戻した。

そしてタイガー同様に精神を集中し始め、ピートの体が金色に輝き始めた。

「いきますよ! ブラッディーハリケーン!!」

ピートがそう叫ぶとピートの血がいくつにも分かれて俺の周りを回転しながら攻撃してきた。
横島は両手に栄光の手を出しピートの血を攻撃するが数多くあるため焼け石に無駄っぽかった。

そこで横島も金色になりながら栄光の手の出力を上げ、
「必殺! ゴッドスラッシュタイフーン!」
と叫びながら回転し始めた。
何とかすべてのピートの血を破壊?することに成功した。


「最後は俺だな」
そうして雪之丞が前に出てきた。
「お前は拳銃か?」

横島のネタふりに
「それは流石に無理だったから、こういうのはどうだ」
雪之丞がそういって右腕のみ魔装術を使った。背中には3枚の羽?みたいな物がついている。

「まさかお前…」
横島がそうつぶやくと
「そうさ、これが自慢の俺のこぶしだ〜!」
と言い放つ。


「横島行くぜ! 衝撃のファーストブリット!」
そう言うと背中の一番下の羽?が無くなり雪之丞が加速し始めた。

横島は栄光の手を伸ばし雪之丞を迎撃する。
雪之丞は横島の栄光の手を魔装術で迎え撃ち、何とか雪之丞を栄光の手で止められた。


「次いくぜ! 撃滅のセカンドブリット!」
今度は真ん中の羽?が無くなり雪之丞が加速し始めた。
先ほどより威力があり、横島の栄光の手はすべて雪之丞の攻撃によって破壊され、吹き飛ばされた。

「まだまだいくぜ! 抹殺のラストブリッド!」
最後に残った羽?で追撃する雪之丞。

その攻撃に横島は『伏』『竜』と言う文字をこめた文珠を発動させた。
「剛なる右剣! 伏竜!」
言うと当時に文珠から雪之丞めがけて攻撃がなされる。
雪之丞は先ほどと同様に迎え撃つが、横島の攻撃が勝り雪之丞を弾き飛ばした。


「次はどうするんだ?」
『伏』『竜』を俺の周りを飛ばせながらそう聞いた。
雪之丞は
「言うまでも無いだろう?」
と言ってまた魔装術を行う。
今度は右腕だけでなく右目の周りも覆われている。
背中にはプロペラのような物がついている。 

「シェルブリットォバースト!!」
そう言うと背中のプロペラ?が回転し始め、先ほどとは段違いの加速で迫ってくる。
『伏』『竜』だけでは防げないと思ったか、横島は『我』『竜』の文字を込めた文珠を発動させる。

「剛なる右剣! 伏竜! 剛なる左剣! 我竜!」
そう言って二つを前後に並べて攻撃する。

その結果、伏竜は雪之丞によって破壊されたが、我竜は雪之丞の右腕の魔装術を剥ぎ取ることに成功した。
が、雪之丞はまた魔装術を右腕に装着する。
「再構成か!」
とお約束を入れるのを忘れない横島。


「ここらで俺の必殺技に行くぜ」
今までのも十分必殺技だと思うのだが、雪之丞はそう言って全身を魔装術で覆った。
そして二人と同様に金色になる。

「いくぜ! ゴーネスマシンガンパンチ!!」
そう言いながら雪之丞は拳をくりだされ、その拳からは幾つもの霊波砲が放たれた。

横島は雪之丞と同様に、金色になりながら『分』『身』と文字を込めた文珠を作り出し、
「分身殺法! ゴッドシャドー!」
と言いながら文珠を発動させる。

横島は雪之丞が放った霊波砲と同じだけ分身し、その全てを防いだ。


タイガー、ピート、雪之丞の技のお披露目が終わったあと、今度は横島の番となる。


「で、横島さんはどんな技を身に着けたんジャー?」
そうタイガーが聞いてきた。

「いくつか有るけど、とりあえずはこれだな。バンダナ、アレやるぞ」
『承知した』
そうして彼等は技の準備にかかる。

横島の技を受けるのはゴーレムだ。

横島は左手に栄光の手を展開させ、叫んだ。

「いけ! ヒダリー!」
そう横島が叫んだ途端、彼の意思とは無関係に栄光の手が動き出し、何本にもわかれ、その先端は鎌状になる。
そしてゴーレムを切り刻む。

「横島さんそれは一体なんですか?」
「栄光の手のコントロールをバンダナに一任してあるんだよ。俺とバンダナの合体技だな」
「ちなみにサイキックソーサーでも同じことができるぞ。サイキックソーサー自動追尾バージョンだな」

そうやって説明していると雪之丞が
「そろそろアレ見せてくれよ」
と待ちくれぬ様子で話しかける。

横島はとぼけて
「アレって何だ?」
と聞き返したが、
「もったいつけるなよ」
と言われてしまう。

「そんなに見たいのか?」
と横島が皆に問えば
「「「もちろん!」」」
と声をそろえて返答が帰ってきた。


「分かったよ」
そう言いながら横島はその「技」の準備を始めた。
まず『治』の文珠でゴーレムを治癒する。


体の前で忍者が術でも使うかのごとく手を組み、精神を集中し始めた。
そして横島の体は金色になり、どこからか
『我が心明鏡止水〜されどこの手はは烈火の如く〜』
が流れてきた。
そうして彼は『破』『驚』と文字を入れた文珠を栄光の手に組み込んだ。


そして
「東方不敗最終奥義! 石破天驚拳!」
といって栄光の手をゴーレムに向け伸ばす。

最初はじゃんけんのグーの形だったそれはゴーレムに当たる直前にじゃんけんのパーの形になり、そのままゴーレムを吹っ飛ばした。
その栄光の手の平には「驚」の文字が浮かんでいた。芸の細かい事である。
それを見ていた男3人は涙を流さんばかりに喜んでいた。

こうして彼らの妙神山での修行は終わりを告げたのだった。


あとがきです

何かえらく雰囲気が違うと思いますが気にしないでください。
これはあの「かめはめ波」のネタを考えていたら次々に浮かんでしまったんで。
まだいくつか考えているので小ネタとして書いていきたいです。
元ネタはGガンダム、スクライド、寄生獣です。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ジリジリジリジリジリジリジリジリジリッ」

目覚まし時計が鳴り、横島は目を覚ました。
時間を見ると午前7時をさしている。

目覚まし時計を止め、身支度を整えていると、チャイムと同時に
「お義兄ちゃん〜起きてますか〜? 朝ごはんですよ〜」
とパピリオがドアの外から声をかけてきた。

横島はその声に
「分かった〜」
と答え、パピリオと一緒にルシオラの部屋に向かった。


GS美神if10 横島事務所の一日


「おはようヨコシマ。さあ朝ごはんにしましょ」
ルシオラは朝ごはんを並べながらそう横島を迎えた。(事務所で生活するようになってから、横島は食事をルシオラの部屋でとっているのだ)

三人で楽しく食事を終えると、パピリオが学校の準備を終えた後に事務所に向かう。


美衣&ケイの親子もほぼ同時に事務所に来て、パピリオとケイが学校に向かう時間まで皆で事務所でお茶を飲みながらニュースを見る。
朝の星占いを見終えた年少組みは元気よく
「「行ってきま〜す」」
といって学校に向かった。


少しだけパピリオとケイが通う学校について説明すると、六道学園の中等部だ。
六道女学院は六道学園に名前を改め、共学の学校に変わった。
それに伴い中等部も作られたのだ。
そこにパピリオとケイは通っている(ついでに言うとタマモとシロも)。
その際のちょっと六道理事長に横島は頼みごとをしたのだが(みんなを同じクラスにしてほしいと頼んだ)、そのおかげで臨時講師の話が断れなくなってしまったのは余談である。


閑話休題


その後、カオスとマリア、雪之丞とグーラーが事務所に来る。
今日のスケジュールを確認した後、一旦洗濯・掃除などを各自済ませる為に皆部屋に戻る。 


それが終わったあと各自の仕事に移る。
美衣は昨日の除霊の報告書に取り掛かり、カオスは魔鈴に頼まれている失われた魔法に関する古文書の解読を始める。
マリアは今日は美神のところに荷物持ち&除霊助手をする為出かけていった。
横島、ルシオラ、雪之丞、グーラーは依頼の中でも除霊対象が弱いものや助っ人に個別に向かう。

各自の除霊が終わり、事務所に戻ってくると昼飯の時間となり、美衣が作ってくれた昼食を皆で食べる。
昼食を食べながら仕事の報告と午後の仕事の打ち合わせをする。

午後は横島、ルシオラ、雪之丞は一緒に除霊に行き、グーラーはガルーダたちの世話を美衣と一緒にする。
ガルーダたちも成長し、30センチくらいになった。人語も理解し始め、事務所に来るお客にもかわいがられていて、ちょっとした事務所のマスコットになっている。


午後の除霊も問題なく終わり、事務所に帰ってくるとケイとパピリオが一緒に学校の宿題をしていた。
横島達は除霊の報告を美衣にし、横島はルシオラとともにマンションの屋上に向かう。
天気が良く時間がある日は、二人で夕日を見るのが日課になっている。


その後、美衣とルシオラ、グーラーは夕食の準備にかかる。
横島と雪之丞は夕食が出来るまで軽く組み手をしたりゲームをしたりしている。

ケイとパピリオが宿題を終えると、パピリオはガルーダたちの世話をし、ケイは横島と雪之丞が修行をつける。
意外かもしれないが雪之丞は面倒見がいいのである(ケイ、パピリオ、ガルーダ)。
横島と同じく一人っ子だったため、弟や妹が出来たみたいで嬉しいそうだ。
雪之丞が格闘や霊波砲のコツなどを教え、横島はサイキックソーサーや栄光の手について教える。
知識面はカオスが教えている。


「まったくこの事務所は妙神山をのぞけば格好の修行場じゃな」
そうカオスが冗談っぽくいった事があるが、納得できる話である。
接近戦だろうが遠距離攻撃だろうがどちらでも教えることが出来るものがいて、カオスがいるため知識の修行も出来る。
「じゃあ、俺達の事務所を修行場として売り出すか?」
冗談交じりに横島はそう応じたものだ。


そんなことをしていると夕飯の準備が終わり、皆で一緒に夕飯を食べる。
できる限り皆で夕食をとる。それはこの事務所において不文律になっている行為である。
これは横島以外の面々は家族に恵まれていたとは言えず、皆で一緒にいられる時間を何よりも大切に思うからであり、何より皆だ楽しき食べたほうがおいしいからだ。
今日一日あった事などを話しながらにぎやかに時間が過ぎる。


その後はドラマを見たりゲームをしたりするなどして寝るまでの時間をつぶし、就寝する。

明日はオフなので各自色々好きに過ごす(雪之丞は弓とデートするみたいだが)。
横島もルシオラとどこか出かけようかな? などと考えているようだ。
こうして横島達の一日は終わった。


あとがき

大変短くてすみませんが、「横島事務所の一日」いかがだったでしょうか?


オマケ

横島が自分の部屋に戻り、テレビを見ていると、ベランダのドアをたたく音がする。
もちろんこんなことをするのは一人しかいない。

「開いてるよ、ルシオラ」

横島がそう言うとルシオラが入ってくる。

えっ、それからどうしたかは横島とルシオラだけの秘密。

ただ、次の日の朝食のときのパピリオに「ルシオラちゃん、また私が眠った後お義兄ちゃんの所に行っていたですね。どうせなら二人で同じ部屋に住めばいいのに」

と言われてしまい、二人して顔を赤くしたことをここに記す。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


それは何気ない、一本の電話から始まった再会だった。


GS美神if11 思いがけない友との再会


午前中の仕事を終え、皆で事務所で食事をしていると
「プルルルルッ、プルルルルッ」
と事務所の電話がなった。
美衣が電話を取り、
「はい、横島除霊&お助け事務所です」
と応対した。

「美神さんですか? いつもお世話になってます。えっ、横島さんですか? はい、いますけど。替わりましょうか?」
「横島さん、美神さんから電話です」
といって横島に電話を渡した。

ありがとう、と美衣に応じてから横島は美神と話し始める。
「美神さんですか? 横島です」
「横島クン? 急で悪いけど仕事を頼みたいんたいの。今夜開いてる?』

そう問われた横島は
「今調べますからちょっと待ってください」
そう言って電話の保留ボタンを押し、今後の予定を美衣に確認する。

「美衣さん、これからの俺の予定なんかあります?」
横島がそう美衣に聞くと、すばやく予定を調べ、
「ちょっと待ってください。…この後横島さんの予定は入っていません」
と答える。

それを聞いた横島は、保留ボタンを解除し、
「お待たせしました。今夜は開いてるんで大丈夫です」
と美神に答えた。

すると美神は
『じゃあ、今から事務所に来てくれる?あっ、出来たら横島クンのほかにもう一人頼みたいんだけど。じゃあ事務所で待ってるわね』
そう言って美神は電話を切った。


「美神のダンナ、何だって?」
雪之丞がそう聞いてきたので、横島は美神さんの話の内容を皆に伝える。

そして
「俺以外に今夜予定が開いてる人って誰かいる?」
と事務所の皆に今夜の予定を聞いた。
結果は聞くまでも無かった。


「横島とコンビを組むならルシオラだろ?」
そう雪之丞がいい、他の皆もそれに賛成したのだった。


「で、今日の仕事は何ですか?」
横島はルシオラと美神さんの事務所についた後、美神にそう質問した。

「仕事自体は普通の除霊よ。ただ私の除霊を見学したいという依頼でね。横島クンには依頼人の護衛、ルシオラには私のサポートをお願いするわ」
「それはいいんですが、美神さん。おキヌちゃんたちはどうしかしたんですか?」

ルシオラがそう聞くと美神さんは
「この仕事は遅くなりそうだから、おキヌちゃんは明日も学校があるから外したの。シロとタマモはオカルトGメンの手伝いに出てるの」
と答えた。


「それで除霊の見学をしたいなんていう物好きな依頼人は誰ですか?」
「俳優の近畿剛一よ」
美神は横島の問にそう答えた。


近畿剛一とは今話題のアイドル俳優で『踊るゴーストスイーパー』というドラマで一躍人気俳優の仲間入りをした人物だ。
この『踊るゴーストスイーパー』というドラマは人気があり、横島の事務所の面子も皆見ている。
また、近畿剛一は二枚目でかっこよく、若い女の子を中心に人気がある。
パピリオやケイに言わせると
「「お義兄ちゃん(兄ちゃん)のほうがかっこいい」」
とのことだ。
ん? ルシオラの感想は? そんな野暮なことは書かずとも分かるだろう。


閑話休題

そんなことを横島達が話していると当の本人とマネージャーがやってきた。
「近畿剛一です…・・・! お世話になります!」
そう挨拶をした。

美神は実物を見るなり、
「ナマで見るとやっぱり美形ね〜」
と本人を前に少々ぶしつけに感想を述べる。

それに対し近畿は慣れた様子で
「ありがとうございます」
と微笑と共にそれに応じた。

そんな二人のやり取りを聞きながら、横島は気になっていたことをマネージャーに聞いた。
「何でわざわざ除霊の見学なんかを? 危険は承知しているでしょうに」

そう横島が聞くとマネージャーは
「今度『踊るゴーストスイーパー』の劇場版の製作が決まりまして。
それに伴いまして近畿が役づくりをし直したいと言いまして」
と説明した。


「TVドラマの映画化ね〜。アイドルなのに真面目なんだ」
「俺、ちゃんとした役者になりたいんです。今回の仕事はチャンスだと思っています」


二人のやり取りをを聞いていた横島は
「俺と同じ歳なのにしっかりしてるな〜」
と感心しているようだ。
「ヨコシマもその歳で事務所を構えてるじゃない。同じくらい立派よ」


と、そこでいきなり近畿が横島とルシオラの方を向き、
「ヨコシマ…!?」
と驚いたように聞き返してきた。

横島は
「そうですがそれが何か?」
と答える。

「さっきからひょっとしたらと思っていたけど…、おまえ、横っちか!?」
「横っち!? な…何で俺の小学校の頃のあだ名をあんたが知っているんだ…!?」

すると近畿は何かを確信したように
「俺や!! 5年のときに引越しした銀一や!!」
と言った。
「えっ・・・・!! ぎっ、銀ちゃん…!?」

こうして久しぶりに銀ちゃんと再会した横島だったが、美神の
「そろそろ除霊に行くわよ。横島クン、ルシオラ準備して」
との声に、思い出話もそこそこに除霊に向かった。


今日の美神の除霊依頼は、とある地方都市にある世界文化遺産に指定されている城に現れた悪霊の除霊である。
また、銀一の除霊見学の為、『竜の牙』『ニーベルンゲンの盾』を使わず、神通棍や御札を使った通常の除霊方法で行う。
美神に頼まれたように、横島は銀一とマネージャーの護衛、ルシオラは美神のサポートをすることになった。


除霊はルシオラが悪霊を誘い出し、美神が止めを刺したのだが、それをビデオカメラで撮影しながら見ていた銀一は一言
「キレイだ・・・」
と言ったきり黙ってしまった。
二人の除霊に見入っているようだった。
夜の城で舞う様に除霊する二人は、見慣れているはずの横島でさえ見入ってしまいそうになるほど綺麗だった。


除霊が終わったあと、朝イチでドラマの撮影がある銀一、美神、横島達も明日も仕事があるので一緒に東京に戻ることになった。


「…にしてもまだ信じられんな。銀ちゃんがあの近畿剛一だったとは…!!
 なんとなく似てるとはTV見て思っていたけど」
帰りの飛行機の中、横島と銀一は事務所で話せなかった話の続きをしていた。

「音信無くてすまなかったな。せやけど俺のあと、お前も引越したりしてたから…。
しかしま、今はお互い東京でがんばっとんねんや! これからもまた仲良うやろうや!」
「ああ、そうやな!」
横島はそう応じ、お互いの近況なんかを話し合った。

「横っちがGSとして独立して婚約までしてるとわな〜。後で婚約祝いを贈ったるわ」
「それはサンキュー。ところで何くれるんだ?」

横島がそう聞くと銀一はなにやらニヤニヤしながら
「ええもんや。届くまでの秘密や」
といって教えなかった。

そうして横島は銀一と話しこんでいると、話を聞いていたルシオラが銀一に
「ヨコシマと仲が良かったんですね」
と聞いてきた。
銀一は
「ああ、親友やったな。色々なことがあったな〜」
と言い、小学校の頃の思い出を話し始めた。


「昔はよう一緒にスカートまくりとかしたなあ…」
「昔からヨコシマってエッチだったのね…」
「うるさいな〜」
横島は過去の事とはいえちょっと恥ずかしかったので、
「そういえば、何故か俺だけが『終わりの会』でつるし上げられたな〜」
とごまかすかのように言った。

銀一は続けて
「お前いつもミニ四駆の大会で優勝しとったなあ。俺はどうしても勝たれへんかった…!」
「へ〜、ヨコシマすごいじゃない」
「ははっ、まあな。だけどその後いつも女子に責められて大変だってんだぜ。
小学校のときから俺は女子にモテ無かったな〜。銀ちゃんは今と変わらずモテてたけど」
とその時の事を思い出しながら言った。

それを聞いた銀一は
「ん? お前何言ってんだ。お前もしっかりモテとったやないか」
と不思議そうに言った。

「別にそんなこと言ってくれなくてもいいぜ。過去のことだし」
横島がそう言うと銀一は
「…覚えてないのか!?」
と驚いた顔をしながらそう言った。

「覚えていないのかも何も事実だろ? 毎年バレンタインデーには銀ちゃんの机や下駄箱にはチョコがあふれていて俺のところはゼロ。
銀ちゃんは運動会じゃ黄色い声援の嵐で、フォークダンスではパートナーを女子が取り合い。
それに比べて俺には何があったってんだ? あ〜、自分で言ってて悲しくなってきたな」
ホント言ってても聞いていても悲しくなってくる話である。
今はルシオラがいるから横島に何も不満はないのだとしても。

横島がそんな過去の不幸と現在の幸福を考えていると、銀一が
「お前な〜、よう知らん女に山ほどモテたからってどうやっちゅうねん。
ホンマにモテるってちゅうんはなー、お前みたいに…」
とそこまで銀一が言いかけたところで機体が強くゆれた。


銀一は
「乱気流か?」
と言ったが横島は強い霊気を感じた。
今まで寝ていた美神もそれに気づき跳ね起きて
「横島クン、ルシオラ今の霊気感じた?」
と聞いてきた。

ルシオラと横島は
「はい」
と答え、念のため機長に話をしておく為に操縦席に向かった。


途中客室乗務員が席に戻るように注意してきたが、美神が
「私はGSよ。機長に話があるの」
とGS免許を見せながら話たので、機長室まで案内してくれた。


「機長!? 今の揺れは…」
美神がそう言いながら横島達は機長室に入った。

するとそこには傷つき血を流している機長達と、機長達に止めを刺そうとしている悪霊がいた。
横島がとっさに栄光の手で牽制したため死んではいないが、あんまりいい状態ではない。

機長達の状態を確認した後、横島達が悪霊の方を見ると、悪霊は
『うふふふふふふ…!! カレがいけないのよ…!! うふふふふふ…! GSなんかを雇って私を遠ざけようとするから…殺すの!!』
といきなり壊れた感じで笑いながら言い出した。

美神が
「カレって誰のことよ?」
と聞き返すと、悪霊は
『近畿クンに決まってんでしょ、このブス!!』
とかなり危ない発言をした後、
『カレ、私の夫なのよ…! TVでいつも私を見て笑ってくれたわ…! だから殺す!!
飛行機だから落とせばいいんだもん…! 簡単よね近畿クン…!!』
と続けた。

「あ…悪霊のストーカー…!?」
流石の美神もこれには驚き、ブス呼ばわりされたことに対して何のリアクションをしなかった。

銀一は
「こんなのにモテたない!」
と叫んでいる。
ただでさえストーカーは厄介なのに、それが悪霊となれば当然の話であろう。


その後、悪霊はどこかへと姿をけしたので、横島は『治』『癒』の文珠を作り出し機長達の治療をした。
命には別状はないが、貧血のためか気を失っている。

横島が文珠で機長達の治療をしている間に飛行機は自動操縦に切り替わり、徐々に高度を下げていったのだが、そこにいきなり
『ハネダ・エアポートよりGAG202便へ!』
と無線が入った。

『そちらの自動操縦コンピューターからエラーメッセージを受信! 何かが自動操縦を妨害してる模様! このままでは着陸できないぞ! 状況を説明せよ!』
それを聞いた美神は「
ど…どういうこと!?」
と不思議がっていた。
もちろん横島達や客室乗務員もだ。


その時、ふと窓の外を見た銀一が
「横っち、翼の上にさっきの悪霊が!」
と告げる。


横島達も窓に駆け寄り確認すると、確かに先ほどの悪霊が翼の上にいた。
いや、いただけでなく、何やら破壊しているようだ。
それが自動操縦を妨害している原因のようだ。

さらに悪いことは重なり、他の乗客達もそれに気づいてしまったようだ。

美神とルシオラが悪霊の対策を考えている間、横島は乗客達がパニックにならないように状況を説明することになった。
本来は客室乗務員の仕事なのだが、横島もGSなので横島から説明してくれと頼まれたのだ。

そこで横島は
「皆さん落ち着いて! 何も心配いりません! 幸いこの機には我々GSが同乗しています! すぐに退治しますのでどうか冷静に・・・」
していてください。
そう続けようとしてのだが、横島の声は乗客達の悲鳴にかき消された。

「何なんだーお前はーっ!」
「ひっこめブサイク!」
「GSだとおおっ! ぜんぜん頼りないわー」
と言ってパニックに陥ってしまった。
それだけではなく、横島に対して物を投げ始めた。
横島はまだ若く、この反応はパニック寸前の乗客としては仕方のないものかもしれない。


当たって痛い思いはしたくないので、横島は投げられたものはすべて栄光の手で切り捨てた。
そして
「これでも頼りないですか?」
とハードボイルドっぽく横島が言うと、だいぶ乗客達は落ち着いてくれた。

また、そこで銀一が
「こいつは本物のGSですから落ち着いてください」
と言うと、女性客のほとんどは落ち着いた。

そして落ち着いた為か、
「あなたはたしか・・・TVの『踊るGS』の」
「本当だ」
「『横山GS』!! そうでしょう!?」
と銀一に気づく乗客も現れた。

一瞬困った顔をした銀一だったが、
「大阪府知事と同じ名前の横山です! 我々GSのお任せをっ!」
と『踊るGS』のキメ台詞を言い放った。

効果は絶大で、ほとんどの乗客が落ち着き、銀一に声援を送る者まで現れた。


乗客達が落ち着いたので美神とルシオラのところに戻ると、二人は作戦は立て終わっていた。

横島とルシオラで実行することになり、二人で打ち合わせをする。
あまり強くなかったとはいえ先ほど除霊をしているため、美神は何かあったときのバックアップだ。

打ち合わせを済ませた後、ルシオラと横島は搭乗口に迎い、そしてルシオラがドアを開ける。


ルシオラがドアを開けると同時に
『バーカ! お前が来ることなんか分かってたわよ、ブス』
と悪霊が叫びながら手を伸ばして攻撃してきた。

だが横島達はドアを開けた途端攻撃されることを予測していた。
だからルシオラに悪霊の攻撃が届く前に、横島が栄光の手を霊波刀にして切り払う。

それにひるみ、隙を見せる悪霊。
そのスキを逃さず、ルシオラが霊波砲を放ち、悪霊はそれをギリギリかわすが、その行動の為に翼から離れる。

その悪霊に向けて横島はサイキックソーサーを放ち、悪霊に直撃する。

「ルシオラをブス呼ばわりするなんて、成仏して償え」
冗談交じりに横島はそうつぶやく。
それがこの除霊を締めくくる台詞となった。


その後、飛行機の自動操縦は無事もとに戻り、無事空港に着陸した。

こうして銀一との思いがけない再会の日は終わったのだった。


おまけその1

数日後、銀一から横島とルシオラの婚約祝いが事務所に届いた。
それは大きなダンボールだった。

パピリオが
「開けてみていいですか?」
と聞いてきたので横島は
「ああ、いいぞ」
と答え、パピリオはそのダンボールを開けてみた。

中には砂糖、蜂蜜、メープルシロップなど甘いものがコレでもかとは入っていた。

銀一が何を意図してこれらのものを送ってきたのかわかったので少々赤面しまった横島は事務所のメンバーに理由をごまかすのに苦労した。


おまけその2

除霊についてこれなかったおキヌだったが、おキヌは銀一のファンだったのか会えなくてがっかりしていた。

まあ、サインだけはそのことを知っていた美神により貰っていたみたいだが。


おまけその3


飛行機に取り付いた悪霊の除霊も終わり、無事に飛行機は空港に到着した。

その後美神と横島は事件の報告を空港に到着していたオカルトGメンに報告しに行った。

その間、時間をもてあましたルシオラは気になっていたことがあったので、銀一に聞いてみた。

「近畿さん、先ほど何か言いかけたみたいですけど何を言いかけたんですか?」

「? ああ、横島が小学生の頃、女子にもててたって言おうとしたんだよ」

「でもヨコシマにはそんな記憶はないみたいですけど?」

「隠れファンが多くてね。皆告白する勇気はなかったみたいだから」

「そうだったんですか。横島には悪いけど、私は皆が告白する勇気がなくってよかったわ」

「ははは、ホントルシオラさんは横っちの事が好きなんだな〜」

そんな会話があったのはこの二人しか知らない。


あとがきです

私なりに「GS美神36巻 ザ・ショウ・ゴーズ・オン!!」を基に書いてみました。
銀ちゃんが横島に甘いものを送ったのは『アルスラーン戦記』にあったハネムーンネタが元ネタです。


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「こんにちわ。雪之丞いますか?」
そう言いながら弓が横島達の事務所に入ってきた。

それを出迎えたのは、横島の弟慶之を抱き抱えた雪之丞だった。


GS美神if12 こちら横島託児所です?


事の起こりはこうだ。
午前中に今日の仕事を終えた横島達は、昼食後事務所でのんびりくつろいでいた。
そこに横島の母百合子が慶之を連れてやってきたのだ。

なんでも午後出かける用事があり、慶之を預かってほしいとの事だった。
横島は特に用事もやることもなかったため、引き受けた。

その30分後、今度はひのめを連れた隊長が事務所を訪れた。
隊長も百合子と同様にひのめを預かってほしいとの事。

「美神のダンナはどうしたんだ? 居なかったのか?」
雪之丞が美神さんに預けなかった理由を聞くと、隊長は
「仕事が入っていてね。預けられなかったの」
と説明した。

もちろん横島達はひのめを預かった。

そうして皆で二人の面倒を見ることになった。
二人とも何度か預かったことがあるため、横島達に良くなついてくれている。

で、雪之丞が慶之を抱きかかえているときに弓が来てそのまま雪之丞が出迎えたのだった。


「ところで弓さん何のようでこちらに?」
弓にお茶を出しながら、そうルシオラは質問した。

「ええ、雪之丞だけでなく、横島さんたちにも用があったんで丁度良かったのですが」
そう言って弓は一口お茶を口に含んだ。

「で、結局何のようなんだ?」
慶之を抱きながら、雪之丞は弓にそう聞いた。


「次の日曜日、うちの学校で文化祭がありますの。それに皆さんを誘いましょうと思ったんです」
弓はそう言った後、雪之丞を見ながら、
「結構似合ってますわね。慶之君を抱く姿」
と、雪之丞をからかうように笑いながらそう言った。

言われた雪之丞は照れたのか、それともからかわれたためか顔を真っ赤にしながら
「…言うな」
とぶっきらぼうに言った。

そのやり取りを聞いていた美衣がひのめちゃんを抱きながら、
「まあまあ、お二人とも。将来の練習と思えばいい経験ですよ」
と取り成すように二人に言った。

「そうだな。将来役に立つだらうからいいことだぞ。まあ、その前に嫁さんをみつけないとだけど。ねえ、弓さん」
横島がそう弓に聞くと、
「なっ、何で私に聞くのですか!」
と顔を真っ赤にして抗議してきた。

「理由、言った方がいい?」
横島がそう聞くと
「…言わなくていいです」
と弓は降参するかのように応じた。


その後、弓も特に用事はないとのことで、事務所の女性陣に進められひのめと慶之の面倒を見ることになった。
最初は慣れなく、ひのめも慶之もむずがっていたが、雪之丞のアドバイスもあり、程なくうまくあやせるようになった。

「カシャ」
「カシャ」

「ん? 何か聞こえなかったか?」
雪之丞がそう聞いてきたが、横島は
「何も聞こえなかったぞ」
とごまかした。


「ねえ、ヨコシマ。あの二人、なんか新婚さんみたいね」
二人で慶之をあやしている様子を見ながら、ルシオラがそう横島に言ってきた。

「ああ、雪之丞が弓さんに育児のアドバイスするのが何か面白いけどな」
横島はひのめと遊びながらそう応じた。


「…おい、聞こえてるぞ」
雪之丞が泣く子がさらに泣きそうなドスの効いた声で横島達に言ってきたが、
「聞こえるように言ったんだから当然だろ?」
と横島が言い返す。

雪之丞はそう言い返されると思っていなかったのか
「なっ…」
と絶句した。
弓は終始うつむいたままだった。
顔を赤くしているのは、ばればれだったが。

そんな会話をしていると、
「横島さんもルシオラさんも、あんまり二人をからかったらかわいそうですよ」
美衣がそう雪之丞と弓さんに助け舟を出した。

横島とルシオラは
「「は〜い」」
と笑いながら美衣さんに応じた。


その後は皆で二人の赤ちゃんの世話をした。

最初に隊長が、その後百合子がひのめ、慶之を迎えに来た。

二人とも雪之丞と弓に
「今日は面倒みてくれてありがとうね。でもいい予行練習になったでしょ?」
と言って二人をからかった。

「何で俺と弓だけがからかわれるんだ!?」
もっともな疑問に横島は
「俺とルシオラも通った道だ。あきらめてからかわれな」
そう答えてやった。
その答えに、雪之丞は燃え尽きた。
弓は真っ赤になって固まった。

こうして今日も一日平和に終わった。


オマケ

それから数日後、弓がまた横島達の事務所を訪れた。

皆でお茶を飲みながらくつろいでいるとき、横島は数枚の写真を取り出した。
その写真を見た途端、雪之丞と弓さんは絶句する。

なぜなら雪之丞と弓がひのめちゃんと慶之を世話している様子が映っており、中でも極めつけの一枚は弓と雪之丞がひのめと慶之を抱いて正面を向き、
その下には「雪之丞家一同」と横島が一言付け加えておいた写真だ。

それらの写真は皆で見て二人の反応を楽しんだあと、ネガごと二人に渡した。

けして二人の渡さないと分かってるよな的な表情が怖かったからではなく、ネガで二人をからかうほど横島が悪人ではないからだ。

そういうことにしておいこう。

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