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「GS美神if5〜8話(GS)」

テルヨシ (2005-10-30 22:25/2005-10-31 23:34)
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「横島クン、六道女学院に行ってくれない?」

ルシオラを迎えに(デートの誘いに)事務所に来た横島への第一声がこれだった。


GS美神if5 初めての授業?


「どういうことですか? 昨日六道女学院に行って臨時講師をするから今日はオフって言ってませんでしたか?」

そう疑問の声を上げる横島に美神は
「そのつもりだったんだけどおばさま、六道理事長があんたも是非に、って言ってきたのよ」
と答えた。

昔なら血の涙を浮かべてよろこんだだろうが、ルシオラというはもったいないくらいの彼女がいる今ではさほど興味もない。

それよりもルシオラとデートしたい横島は、
「俺は講師って柄じゃないですから」
と言って断った。


だが
「いいじゃないヨコシマ、引き受ければ。私もおキヌちゃんが通っている学校見てみたいし」
とルシオラが横島に言ってきたのだ。
そうして横島達は六道女学院に行くこととなったのである。


「今日の臨時講師の美神令子さんと助手の横島忠夫さん、ルシオラさんです」
理事長はそういって集まった生徒たちに横島たちを紹介したが、生徒の反応はきれいに分かれた。

美神には前回同様、いやそれ以上の黄色い悲鳴のような歓声が上がる。
まあ、人類を救った英雄の一人なんだからこれぐらいの反応は当然だろう。

横島とルシオラには無反応(おキヌだけは二人に手を振っていた)。
まあ、これも仕方のない反応だろう。
それに人気があってもいまさらだし。そんなことを他人事のように考える横島。


そんなことを横島が考えていると理事長が今日の日程を説明する。
「今日は〜、美神令子さんによる講演、その後実技講習です」


そうして美神の講演が始まった。
何回もやっている為、なれたもので美神自身の体験を交えつつ、実戦でしか分からないことを教えていった。


美神の講演をルシオラと一緒に聞きながら、横島は近くにいる理事長に
「何で美神さんだけでなく俺も呼んだんスか?」
と疑問に思っていたことを聞いた。

理事長は
「横島クンにはサイキックソーサーを皆に教えてほしくって」
と言った。

「それはいいんですが、俺教えた事なんかないですからうまく教えられるか分からないッスよ」
「それは承知しているわ。見せるだけでも勉強になるからあんまり気負わなくていいわよ」
だから気楽にやってね。そう付け加える理事長だった。


そうこうしている内に美神の講演は終わり、職員によって次の実技講習の準備が始まった。

それを何気なく見ていると
「皆はん、お久しぶりです」
「みんな〜、元気だった〜」
と鬼道と冥子が横島とルシオラに話しかけてきた。
それぞれに挨拶を返した後、美神とルシオラは冥子と話し込んだので、横島は鬼道と話をした。


「鬼道も元気そうで何よりだ」
「横島はんもお元気そうで。キレイな恋人までできて羨ましいわ」

そういった言葉にはもう慣れた横島は
「ありがとよ。自分だって冥子ちゃんと仲良くやってるらしいじゃないか」
とすまして返した。

「なんでそのことを…」
若干うろたえながら聞き返してきた鬼道に
「前に冥子ちゃんが事務所に遊びに来たとき本人が嬉しそうにそう言ってた」
と横島はネタばらしをした。


度重なるプッツン(式神暴走)による除霊の失敗に理事長は、鬼道に冥子の指導を頼んだのだ。
最初のうちはなかなかうまくいかなかったが、ゆっくりと進歩して行ったそうだ(鬼道の尊い犠牲による)。
そんなことをしている内に仲良くなって行ったとのこと。


「あっ、そうだ。もういらないかもしれないがこれやるよ」
横島はそういって『治』の文字をこめた文珠を数個鬼道に手渡した。
「これが文珠でっか。初めて見ました。でもこんな貴重なもの貰ってもよろしんですか?」
貰った文珠をまじまじ見ながらそう聞いてくる鬼道。

「気にしなくてもいいぞ。二人の交際へのプレゼントと思ってもらえればいいから」
横島がそうさらりと言うと鬼道は顔を赤くした。
(「からかわれてばかりだから、たまには俺がからかっても罰は当たらないだろ」)
そんな事を思う横島であった。


そんなことをやっていると実技講習の準備が終わったようだ。

「まず初めに横島忠夫さんにやっていただきます」
理事長がそう説明すると生徒からは不満の声が上がる。
しかし、その後の鬼道や理事長、冥子の説得(冥子のプッツンを恐れたのかもしれない)が効いたのかその声はおさまった。


「え〜、皆さんに教えることになった横島です」
そう切り出した横島に助け舟を出すように
「何を教えてくれるんですか?」
おキヌが質問する。

「コレだよ」
と言って横島はサイキックソーサーを作り出した。
「何だいそれ?」
横島と面識がある一文字さんが興味津々といった様子で聞いてきた。

「俺はサイキックソーサーって呼んでるけど。ようは霊力の盾だな」
横島は説明になっているような、なっていないような説明をする。

「口ではうまく説明できないから実際にやって見せるよ。ルシオラちょっと協力してくれないか?」
「ええ、いいわよ」
そうして横島とルシオラは十メートルくらいお互いに距離をとる。


「ヨコシマ準備はいい?」
「ああ。いつでもいいぞ」
ルシオラは俺に向かって霊波砲を放つ。

「あぶない!」
生徒のだれかがそう叫ぶくらい威力があった。
しかし横島は平然とそれを待ち構え、右手を前に掲げサイキックソーサーを展開させる。
そして霊波砲を上空に跳ね返す。

「まあ、こんな感じに敵の攻撃を防ぐのに使えます。また、そのまま投げて攻撃にも使えます」
横島はそう言ってあらかじめ出してもらっていた式神ケント紙にサイクックソーサーを投げつける。
式神ケント紙は跡形もなく吹き飛んだ。

それを見ていた生徒達は唖然とした。
高威力の霊波砲をはじく防御力。
そして式神ケント紙を跡形もなく吹き飛ばす攻撃力。
横島が吹き飛ばした式神ケント紙のレベルは弓のようなトップクラスの生徒でもそれなりに苦戦するレベルのものだったのだ。


生徒達が冷静になるのを見た後、横島は生徒達にもやってみる様に言い、横島の実力の一端を見た生徒達は素直にそれに従った。
その後は生徒たちが各自でやっているのを見回り、うまくできない生徒には自分なりのコツを教えて回った。


その後の美神も無難に実技講習を終え、横島は特に失敗することなく終わりを告げたと思いほっとしていた。

がいきなり理事長が
「では最後に希望者と横島さんによる模擬戦闘を行います」
と言い出した。


「理事長こんなの聞いてませんよ。どういうことです!?」
突然の事に驚いている横島。

「横島クンが実戦でサイキックソーサーをどう使うか見せてほしいのよ」
「・・・分かりました」
これも経験かな? と思う横島は理事長の申し出を素直に了解する。
こうして模擬戦闘までやることになった。


生徒の代表者として弓が出て来た。

「フフフ、私横島さんとは一度戦ってみたかったんですの。あの雪之丞が『我が永遠のライバル』という横島さんの強さ、試させて頂きます」
そう楽しそうに言う弓に対して横島は
「ゆ、弓さん。雪之丞がうつったのか(汗)?」
と若干引き気味だ。


二人の会話が終わったところで鬼道が
「これより横島忠夫VS弓かおりの模擬戦闘を行う。始め!」
と開始を告げる。

こうして模擬戦闘が始まった。

「行きますわよ」
弓は接近戦を挑みサイキックソーサーを使わせない作戦なのかというのか、横島めがけて突っ込んできた。

『悪くない考えだな。相手がおぬしでなかったら』
「まあな」
そうバンダナに返事をしながら瞬時にサイキックソーサーを展開する。
その展開の速さは弓の想像以上だった。

「そんなに早く展開できますの!?」
自分の連続攻撃を体術とサイキックソーサーを使い分け、難なくさばく横島に驚く弓。

「ならっ!」
そう言って今度は霊波砲を多数打ち出す。

「甘い!」
両手に展開したサイキックソーサーでお手本のように霊波砲を弓に跳ね返す。
「器用なことを!」
そう言いながらも跳ね返った霊波砲をかわす弓さん。


「今度はこっちから行くかな」
そういってサイキックソーサーを投げつける横島。
それを易々とかわす弓。だがそれでこの攻撃は終わったわけではなかった。

「まだだよ弓さん」
そういってサイキックソーサーをコントロールし弓に向かわせる。
「こんな事もできるんですか!?」
そう言いながらも弓はかわす。

横島はまた弓にサイキックソーサーを向かわせながら
「雪之丞は俺より早くにこれができたよ」
と答え、内心ではそのときの実力差はすごかったけどな、と思っていた。


「それならっ」
横島のサイキックソーサーを自分で作り出したサイキックソーサーで防ぐ弓さん。
二つのサイキックソーサーがぶつかり合い、相殺された。
「っ!? 横島さんは?」
サイキックソーサーが相殺された際の爆風で横島を見失う弓。
横島はそれを利用し弓の死角に回り込んだ。

「ここだよ。チェックメイトだよ弓さん」
横島はそう言いながらポンと背後から頭を叩いた。

「そこまで! 勝者横島忠夫!」
鬼道がそう宣言し、模擬戦闘は終わりを告げた。


「これで今日の臨時講習は終わりです。美神事務所の皆さんありがとうございました」
理事長がそう言って俺の初めての講師は終わった。

その後、皆でおキヌ達のいる一年B組に行った。

「横島さん、ルシオラさん今日はお疲れ様でした」
「ありがとうおキヌちゃん。上手く説明できなくて困ったよ」
「初めてなんだから仕方ないわヨコシマ」
「ルシオラさんの言う通りですよ横島さん」

三人で少し話していると一文字と弓がやってきた。
「横島さんって本当に強かったんだな〜」
「一文字さん、タイガーさんに聞いてなかったんですか?」

おキヌがそう問うと、
「いや聞いてたけどさ。どうしても今までの横島さんと強いって言葉が結びつかなくて」
と正直に答えた。

「ところで一文字さん、弓さん。俺のことはタイガーと雪之丞なんていってたの?」
気になったのか横島がそう聞くと二人は
「煩悩全開男」
「俺のライバル」
「女の敵」
「セクハラ大王」
などと色々出てきた。
ほとんどが悪口のようなものだった。


「ふ〜ん。今はほとんどやってないものばかり二人に教えたのか」
横島は努めて冷静に言った。

「横島さん怒ってませんか?」
「ハッハッハッ、ゼンゼンオコッテナイヨオキヌチャン。
ただタイガーと雪之丞で『爆』と『爆』『発』どっちが強いか試そうかなと思っただけだよ?」
『『爆』『発』ではないか?』
素敵な笑みを浮かべながら物騒な事を言う横島と、それに対して何事もなく答える心眼。

「ヨコシマ何物騒な事言ってるの! 心眼さんも真面目に答えない!!」
ルシオラの説得もあり、二人で文珠の威力を試す事はあきらめた(でもなんかしちゃると固く心に誓う横島)。


「さっきから言ってる『爆』とか『爆』『発』って何の話だい?」
一文字がそう聞いてきた。

「ああ、文珠といってこれのことだよ」
そう言って横島は文珠を一文字に見せた。

「キレイなビー玉みたいだな」
一文字はそう感想を言ったが弓は、
「!? 横島さん文珠が使えるのですか?」
と驚いた表情で聞いてきた。

「あれ? 雪之丞から聞いてなかったの?」
そう聞き返す横島に
「ええ、聞いてませんでしたわ」
と答える弓。

どうやら雪之丞はいい忘れていたらしい。
あいつらしいなと横島は思った。

その後横島が文珠使い&霊波刀(栄光の手)使いであることが生徒皆に知れ渡り、また臨時講師として呼ばれるようになってしまった。
「柄じゃないんだけどな〜」
とつぶやく横島であった。


あとがきです

初めて戦闘シーンを書いたのでまだまだなれないのですが、本当に難しいですね戦闘シーン。
かっこいい戦闘シーンが書ける人が羨ましいです。
すみません。冥子ちゃんと理事長の書き分けが実力不足の為できないので理事長には普通に話してもらいました。
また、鬼道な話し方にも違和感があるかもしれません。


私の勝手な設定です

六道冥子・・・式神12神将の使い手。本編の通り今ではほとんどプッツン(式神暴走)はしなくなった。
政樹のことは異性として好き。

鬼道政樹・・・六道女学院霊能科除霊実習担当教諭。冥子ほどではないが式神使いとしての応力は高い(原作でも夜叉丸プラス12神将を5体までは完璧にコントロールできますしね)。
教師として、また式神使いの教育者としての資質は高い。給与項目に「対冥子費(プッツン治療費)」がある。
冥子とは真剣に付き合ってる。六道政樹になる日も近い?


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「どうしたらいいんだろうな」
横島は悩んでいた。

それを横で見ていたルシオラが
「何を悩んでいるの、ヨコシマ?」
と聞いてきた。

横島は
「これさ」
といって一枚の紙をルシオラに手渡す。
その紙には
『進路希望調査』
と書いてあった。


GS美神if6 進路はどこに?


横島は進路に悩んでいたが別に進路先がないわけではない。
美神からは
「正社員になりたければ正社員として雇うし、独立したければ協力するわよ」
と言われている。

もともと大学には行く気がないから
「美神除霊事務所」「独立」
この2つが横島の進路先ということになる。


それをルシオラに説明する。
「ヨコシマは何がしたいの?」
と聞かれると、
「俺は何がしたいんだろうな?」
と聞き返してしまう横島。


今の事務所の仕事には不満はない。時給は文珠を覚えたあたりからだんだん良くなっていて、今はかなりいい。
だから美神除霊事務所の正社員でもいいのだろうが、独立してみたい気もする。


そうルシオラに伝えると
「そうね。今も十分も楽しいしね」
と答え、続けて
「私はヨコシマがどんな選択をしても付き合うからヨコシマが好きなように決めてね」
と笑った。

横島は
「それじゃあ責任重大だな」
と冗談めかして返事を返したが、ルシオラの信頼が正直嬉しかった。


「タイガーはエミさんの事務所の正社員になれるみたいだし、ピートはオカルトGメンに決まっているみたいだな。雪之丞は…どうするのかな?」
知り合いの進路を思い出しながら横島は自分の進路についてまた考えた。

「美神さんのところで働きながら独立する。そんなことができたらいいのにね」
ルシオラが何気なくそんなことを言う。

「それができたら苦労…」
そこまで言って横島の中にある考えが浮かんだ。
その考えがうまくいけば俺の希望はかなり叶う事ができるだろう。


横島はその考えに穴がないかルシオラに聞いてみることにした。
「ルシオラ、こんなこと考えついたんだけどどうかな?」
そうして横島は考えたことをルシオラに伝える。
「…すごいこと考えるわね、ヨコシマ。それならヨコシマの希望が叶うわね」

この考えを美神をはじめとする周りの人たちに打ち明けたら
「面白いことを考えたわね」
と賛成してもらえた。


横島はある意味我侭な選択をした。
それは独立しながらも美神除霊事務所や他のGS(唐巣神父やエミなど)と繋がっている道を選んだ。
それは『横島除霊&お助け事務所』とでも言うべき事務所を創立することだった。

基本的には自分たちで依頼を受け除霊を行うが、美神のところをはじめとして人手がほしい・手の足りない知り合いの助っ人をする事務所。
そんな事務所を作ってみようと考えたのだ


こうして横島は独立に向けて準備を始めた。


「独立するには色々必要になってくるな〜」
「まず住宅兼事務所でしょ。それに私たち以外の職員が必要ね。4月からはパピリオも一緒に住めるけど学校があるからそんなには手伝えないだろうし…」
そう、4月からはパピリオも一緒に住むことになっているのだ。
そして中学校に行くことも決まっている。
その為あまり仕事を手伝わせるわけにもいかないから戦力としては惜しいが仕方がないだろう。


「とりあえずは住宅兼事務所探しからだな」
横島とルシオラはこうして住宅兼事務所探しを始めた。
住宅兼事務所になりそうな物件を探していたがなかなかいい物件がなかった。
条件が三階建て以上の自宅としても利用可能、しかも他の利用者がいない(何かあった時の安全の為、誰かが利用している物件は避けたい)というのはなかなかなかった。


そうして事務所探しを初めて数日後、横島は美神事務所でルシオラと相談していた。
「なかなか条件に合う物件ってないわね」
「事務所がないと始まらないからな。何か良い情報でもないかな?」

そんなことを話していると依頼リストを見ていた美神が顔をあげ、声をかけた。
「事務所は見つかった?」
「いえまったく。この事務所みたいな好条件の物件はないですね」
「まあね。人工幽霊壱号の存在がないとしてもこの事務所はかなりいいからね」
「地道な探すしかないですね。今日も探しにいこうかルシオラ」
「ええ、そうね」
そう言って二人は出かけようとしたのだが、美神に呼び止められた。

「あなたたちこの仕事してみない? 報酬は全部あげるから」
イタズラっぽく笑いながらそう言って一枚の依頼書を横島たちに見せる。

「どんな仕事ですか? えっと、3階建てマンションの除霊ですね。報酬はと・・・」
横島たちは報酬の欄に目を見張った。

報酬は
『除霊後のマンション(土地含む)』
と書いてあったからだ。


「美神さん…。ありがとうございます」
ルシオラがそうお礼を言うと
「あなたたちのおかげで十分儲けさせて貰ったからね。退職金代わりだと思って頂戴」
と美神は照れ臭そうに笑いながら答えた。
「それは美神さんやおキヌちゃんも同様でしょ。でもそう言ってくれて嬉しいっス」


話はそれるが、現在の美神除霊事務所に所属している美神、横島、おキヌ、ルシオラの4人だが美神以外は除霊にほとんど金のかかる道具を使わない。
美神にしてもアシュタロスの事件で手に入れた『竜の牙』『ニーベルンゲンの指輪』がある為、現在ではその二つ以外は以前に比べさほど使わなくなった。
その為以前より除霊料金を下げたにもかかわらず利益は増えたのだ。


閑話休題


美神に改めて御礼を言うと、横島とルシオラは早速そのマンションの除霊に出かけた。


そして除霊対象のマンションについた。
1階部分が商店ができるようになっており、2階と3階が住居になっているありふれたものだった。


依頼書によると、数ヶ月前から悪霊が出てきて住民に危害を加えるようになったそうだ。
そういうわけで住民はすべて出ていってしまったとのこと。
今はマンションにしか悪霊は出ていないが、周りに被害が出ては困るので除霊してほしい。
また、悪霊が出るマンションといううわさが広まってしまい、もう賃貸マンションとしては利用できないので報酬としてこのマンションを渡すことにしたそうだ。


横島とルシオラはさっさと除霊を終わらせ(横島たちにとってはザコそのものだった)、マンションを見せてもらっていた。
「住居部分はそんなに問題はなさそうね」
「ああ。ちょっと修繕すれば十分だな。1階を事務所にするためには手を加える必要があるけどな」
そんな会話をした後、横島たちは事務所に戻り、正式にこのマンションの所有者を横島にする手続きをし、美神に相談しながら事務所の内装などの話をした。


それが終わり、いつものように俺は事務所で夕飯を食べながら(今日の当番はおキヌだった)横島とルシオラは相談を始める。

「事務所のほうは見つかったから、今度は職員探しだな」
「そっちのほうは当てがあるの? ヨコシマ」
「ああ、何人かな。とりあえず事務員として愛子に頼もうと思っているんだけど」

そんな二人のやり取りを聞いていた美神が
「あら、愛子ちゃんはダメよ」
と言って来た。

「どうしてです?」
「だって、4月からうちの事務員をやるんだもの」
何でも愛子のほうから美神さんに事務員として雇ってくれないか話したそうな。

そうだったんスか。当てがはずれたな。まあ他にも心当たりはあるからいいスど」


次の日、早速横島は心当たりの人物の元を尋ねた。
その人物たちがいる家のチャイムを鳴らす。

「どちら・様ですか?」
「俺だよ。横島だよ。カオスのじーさんはいるかなマリア?」
「こんにちは・横島さん。イエス・ドクターカオスいます・中にどうぞ」
そうして横島はカオスのじーさんのアパートの中に入った。


「何の用だ小僧?」
「じーさんとマリア、俺の事務所で働かないか?」
単刀直入に横島は言い、自分の事務所について説明する。


「面白いことを考えたものじゃな。しかしマリアはともかくわしは役立てそうもないぞ」
「じーさんに戦闘をしてもらう気はないぜ。じーさんには頭脳労働をしてもらいたいんだ」
「どういうことじゃ?」
「俺もルシオラも妖怪や悪霊なんかに対する知識をあんまり持ってないからそっちのサポートをしてもらいたいんだ。
バンダナがいるけどバンダナも妖怪や悪霊にそんなに詳しいわけではないからな」

横島がそう説明するとカオスは了承した。
「なるほど。確かに知識面なら力になれそうだの。で、雇用条件は?」
「住居完備。賃金はじーさんとマリアとで・・・」

横島の提示した条件に
「わしはそれでいいぞ。マリアはどうじゃ?」
「マリア・皆さんと働きたいです」
と二人は答えた。
こうしてカオスとマリアが横島たちの事務所で働くことになった。


住居部分と1階の事務所の修繕・改装が終わり、横島とルシオラ、カオスとマリアの引越しの日が来た。
201号室が横島。202号室がルシオラ(4月からはパピリオも同室)。301号室がカオスとマリア。
4人とも荷物が少なく引越しはすぐに終わった。(荷物は横島が借りた一トントラックで運んだ。免許は誕生中古車だが車も買っている)
後何人か集まれば横島除霊&お助け事務所として活動開始できるだろう。


あとがき

とりあえず続きます。次回の「GS美神if7 職員募集中(仮題)」に続きます。


ドクターカオス・・・希代の錬金術師。1051歳。
ここでは頭脳明晰(アシュタロスの事件のときの状態が続いてます)。
横島除霊&お助け事務所の頭脳班。今後その知識をバンダナに教えていく。
(高齢のため現場仕事はきついので)。
今後どう活躍してもらうか未定ですが斉天大聖同様好々爺なのは決定済み。

マリア・・・ドクターカオスが作った最高傑作アンドロイド。
無類のパワーを秘めている。防御力に関して言えばGS世界最強。
対人攻撃能力もかなりある。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「キレイなところね、ヨコシマ」
「だろ。ゴルフ場にしなくて正解だったろうな」
そんなやり取りを紙ながら二人は森の中に進んでいった。


GS美神if7 職員募集中?


今日はたまたま美神のところで仕事がなく、どこかに横島の運転の練習がてらドライブに行こうという話になった二人。
そこで以前仕事で行った山に向かったのだ。


「ここで美衣さんとケイにあったんだよな」
そのときあった化け猫の親子の話をしながら森の中を歩き始める二人。

「横島もたまには良いことするのね」
「たまにはは余計だよ」
「拗ねない拗ねない」
そんなことを話しながら森の中へと入っていく。


ちなみにゴルフ場開発誘致に失敗した村では自然を生かした村おこしをし、それに成功したらしい。


そんな今まであった仕事の話なんかをしながら森を歩いていると
「に、兄ちゃん!?」
と驚きを含んだ声をかけられた。


声のかけられたほうを見ると一人の少年がいた。
以前より成長しており、160センチくらいありそうだった。
「ケイか? 大きくなったな」
「兄ちゃん久しぶりだね。元気だった?」
「ああ。お前も元気そうだな。美衣さんも元気か?」


そう二人が再会を喜んでいると
「ウン、元気だよ。ところで兄ちゃんの隣にいる女の人は誰?」
とケイが横島に聞いてきた。


「ルシオラだ。俺の彼女だよ」
と簡単に紹介する横島。


「ケイ君ね、よろしくね。ルシオラといいます」
ルシオラがそう言って挨拶するとケイは顔を真っ赤にして
「ケイです」
とだけ言った。


それを見ていた横島は
「何照れてるんだケイ?」
と小声で聞く。

ケイも小声で
「母ちゃんと同じくらいキレイな女の人って始めて見たから緊張しちゃって…」
と答える。

「キレイだろ。俺の自慢の彼女だよ」
嬉しそうに、ちょっとだけテレながらそう返す横島。


「ところで兄ちゃんたちは何しにここに来たの?」
「ハイキングみたいなもんだな」

そうして少し話しているとケイが
「兄ちゃんたち家に来ない? 母ちゃんのほかにも兄ちゃんのこと知っている人がいるから会いたいだろうし」
と提案した。

「誰がいるんだ?」
「来たからのお楽しみだよ」
そうして二人はケイの家にいくこととなった。


「母ちゃん帰ったよ。お客さん連れてきたよ」
そう言って家に入っていくケイ。

「誰を連れて来たのケイ?」
そう言いながら横島たちのほうを見る美衣。
ケイが言っていた人物もこちらを見る。
「久しぶり美衣さん。グーラーか? 久しぶりだな。ケイが言っていたのはグーラーだったのか」
そう、ケイの家にいる横島を知っているという人物はグーラーだったのだ。


なんでもあの後グーラーはガルーダのひよこを連れ各地を転々としていたそうな。
そしてこの地にたどり着き、美衣とケイに出会ったとの事。
しばらく美衣たちに厄介になっていて横島のことがふと話題になり、お互いが横島のことを知っていると知ったそうだ。
ケイもガルーダたちと友達になった。
ちなみに今ガルーダたちは外で遊んでいる。


お互いの自己紹介を済ませた後、横島はケイに
「そういえば何でケイはガルーダたちと一緒に遊んでなかったんだ?」
と聞いた。
「オイラさっきは修行してたから」
「修行? 何の?」
「これのだよ」
そういってケイは右手を横島に見せた。
その手にはまだ綺麗にまとまってはいないが、確かに横島の同種と分かる栄光の手が作られていた。

「栄光の手じゃないか。よく使えたな」
横島がそう言うと、誇らしげな顔をしながら
「兄ちゃんと別れた後、兄ちゃんが使っていたのを思い出しながら練習したんだ」
と言い、栄光の手を短いながらも霊波刀にしたりコントロールして見せた。


「自己流にしたらたいしたモノね」
ルシオラがそう言って感心する。


そんな会話をした後、グーラーが
「アンタ達は今はどうしているんだい?」
と聞いてきた。

そこで横島は独立して事務所を開いたこと、従業員を探していることなどを話した。

それを聞いていた美衣とグーラーは異口同音ぎみに
「「その事務所で働かせてくれませんか(くれないか)」」
と言ってきた。

「それはかまいませんが。美衣さんはこの土地を離れてもかまわないのですか?」
とルシオラが質問すると美衣さんは
「ええ。もともとケイと二人で静かで幸せに暮らせたらと思いここで暮らしてきましたが、最近は人間達と共存するためにケイを学校に行かせたいと思ってましたから」
と答え、グーラーは
「どこでもガルーラたちは育てられるし、そこの環境のほうがガルーダのためにもいいだろう」
と言った。


善は急げということで早速引越しの準備に取り掛かる。
三人ともさほど荷物はなかったが車には乗りきらないので、まとめて『転』『移』の文珠で先に事務所に送る。
その後外で遊んでいたガルーダ達を回収し、横島の車で事務所に向かった(ケイ、美衣、グーラーとも初めて車に乗ったそうで少々興奮していた)。


次の日、皆で(といっても流石にガルーダ達は留守番だが)これから必要な様々なもの(服や電気製品など)を買いに出かけた。
横島やルシオラもまだそろえていなかったので渡りに船だった。


これらの買い物の費用は無論横島が出したわけだが美衣やグーラーは
「マンションだけでなくこんなにもお金を出してもらって申し訳ないです」
と言い、給料から後で引いてくれといってきた。

今の横島にはたいした額ではないので気にしないように言ったが、それでも遠慮していたのでルシオラが
「私たちの事務所で働いてもらう契約金代わりと思ってください」
と提案し、それで二人は納得した。


そうやって二人は事務所と住居を整えていたのだが、ある日どこからか横島が独立するのを聞いたのか雪之丞が事務所にやってきた。


「久しぶりだな。独立するそうじゃないか」
「ああ。独立といっても美神さんとも仕事はするから実質半分くらいだけどな。ところで今日はどうしたんだ?」
「人手不足だろう? しょうがないが友達のよしみで俺も手伝ってやるぜ」
と偉そうに提案した。

そんな雪之丞に横島は
「いらん」
とあっさりと笑顔で断った。

断られるとは思っていなかった雪之丞。
「そんな事いうなよ。人手不足なんだろ?
「いらん」
「つれないな〜。ダチの頼みくらい聞いてくれよ」
「いらん」
「…スマン、俺が悪かった。頼むから俺を雇ってくれ」
下手にでる雪之丞。

「ったく、最初ッからそういえば言いものを」
「で雇ってくれるのか?」
「ヤ・ダ」
すがすがしい笑顔を共にそう告げる横島。
「横島、てめえっ!」
「ハッハッハァ」


「給料はこんなもんでいいか?」
何故か若干より先ほどより汚れた格好の横島と雪之丞は条件面の確認に入る。

「ああ、それでいい。それと上の部屋はまだ空いているか? 空いているなら入りたいんだが・・・」
「ああ、空いているからいいけど。お前今どこに住んでんだ?」
「…聞くな」

そんな雪之丞に俺は黙って肩をたたいた。
貧乏はつらいよな〜、そう顔に書いてある横島であった。

そんなこんなで雪之丞が新たに事務所のメンバーになった。


その数日後魔鈴の店で横島たちの事務所の開業祝いパーティーが開かれた。
色々な人から色々な祝いの言葉と祝いの品を貰ったが、中でも小竜姫とワルキューレは
『竜の牙』『ニーベルンゲンの指輪』を横島に渡した。

「貰ってもいいのですか?」
横島がそう聞くと、
「それほどたいしたものではないので気にしないでください。美神さんにもあげてますし」
と小竜姫は答える。


二つとも神魔族にとってはさして強力という武器ではないとのこと。
そこで『竜の牙』は横島が、『ニーベルンゲンの指輪』はルシオラが貰い使うことにした。
また、ここで初めてひのめと慶之が会った。


こうして彼らの事務所はスタートした。

横島は学校があるので昼間はなかなか仕事ができなかったが(元々昼間の仕事は少なかったが)、美神のところの仕事の補助中心として何の問題もなく除霊に次々と成功していった。
メンバーもそろったことで、これで4月から本格的に事務所がスタートできそうな横島達であった。


あとがきです

雪之丞は事務所のメンバーにするかどうか迷ったのですが、前線に立って働く人材がほしかったのでメンバーになって貰いました。


美衣・・・化猫。未亡人。横島の事務所での仕事は事務全般とカオスの相手? 
横島達の年少組のよき母。

ケイ・・・化猫。美衣の息子。誰がなんと言おうと息子です(笑)。
横島のことは尊敬・崇拝に近い感情を持ってます。その為見よう見まねで栄光の手を覚えた。
カオス教師の下基礎的学力勉強中&ガルーダの世話をしている。
4月からパピリオと同じ中学校に行く予定。

グーラー・・・食人鬼女。未婚にしてガルーダたちの母。
上半身裸な女性。戦闘要員としても頑張って貰いますが、基本的にはガルーダたちの世話&美衣さんの補助がメインです。

ガルーダ・・・茂流田と須狩がいた組織がメドーサから入手した霊体片よって生みだされた人造魔族。グーラー曰く中級魔族。
成長後、横島除霊&お助け事務所の主力職員になる予定。未だオスかメスか分かっていない(ひよこの性別判定は難しいと聞いたもので)

伊達雪之丞・・・GS界で接近戦ならトップクラスに入る。生粋のバトルマニア(某戦闘種族とタメ張れる位)。
横島のことを「永遠のライバル」と思っている。
登場当時はナルシスト気味でマザコンだった。
弓かおりとはけんかをしながらも仲良くやっている。
「喧嘩するほど仲がいい」を地で行くカップル。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


突然だが、横島達は那須高原に行くこととなった。
たまには仕事を休んでリフレッシュしようということになったのだ。

メンバーは美神、おキヌと隊長、ひのめ、西条。
横島の事務所からは横島、ルシオラ、雪之丞が参加し、雪之丞の恋人でもある弓も参加した。
横島達の事務所のほかのメンバーは思い思いに過ごしている。


GS美神if8 『彼女たち』の出会い


那須高原に着くと、まずはじめにステンドグラス博物館に立ち寄った。
教会にキレイなステンドガラスがたくさん展示されていたが、横島たちが立ち寄ったときはちょうど結婚式を執り行っていた。(注1)


女性陣は流石に『純白のウェディングドレス』にあこがれるようで、真剣なまなざしで式を見ていた。
男性陣は女性陣に何か言われる前にとっとと立ち去った。

女性陣が男性陣の前に再び姿を表したのは、男性陣が外の喫茶スペースで二杯コーヒーを飲み干し、三杯目を頼むかどうか迷っていたときであった。


次にりんどう湖ファミリー牧場に行ったのだが、ここにあるバギーカーで雪之丞と弓が勝負を始めてしまったのだ。
何回も繰り返す二人に皆あきれてしまい、ほっとくことにした。(注2)


そして今は女性陣が作った(もちろんひのめ以外)昼飯を食べている。(あの二人は今もレース中)


「しかし、よく西条は来れたな」
ルシオラの作ったおにぎりを食べながら、横島はちょっと疑問だったことを聞いてみた。

「どうゆう事だい横島君?」
西条がおキヌちゃんが作った卵焼きを取りながら聞き返えす。

「いやオカルトGメンって忙しいんだろ? よく休みが取れたと思ってな」
「ああそういうことか。オカルトGメンはハードな仕事が多いから有給休暇が多いんだよ。それに今は大きな事件がないしね」
そう西条は説明した。


昼食をとり終えた横島達ははまだとっていなかった雪之丞を弓とは後で合流することにして次の目的地に向かった。


『殺生石』を見に行ったのだ。
立て看板に金毛白面九尾の妖弧の説明が書いてあったが(詳しくはGS美神三十六巻『フォクシー・ガール!!(その1,2)』参照)隊長は
「でもこの伝説は迷信っぽいんだけどね」
と言っていた。


ここは昔は湯の花が取れていたらしく、硫黄の匂いが少々きついぐらいだった。
昔はもっとにおいが強かったことを考えると昔の人が毒と思うのも無理は無いと思う一行。


殺生石を見た後、しばらくそのあたりを散策した横島達は駐車場に戻ったのだが、そこに一匹の子狐がいた。


「先生、あれは…」
「ええ、多分西条君の想像通りだと思うわ」
そんなやり取りを西条と隊長がする。

「あの子狐に何かあるんですか?」
そんな二人のやり取りにおキヌがそんな疑問の声を上げ、
「狐とは思えない霊力は感じるけど」
ルシオラもそう言った。

「あの子狐は多分、さっき書いてあった九尾の狐だと思うわ」
美神はそれに対してそう答える。

「で、どうします?」
横島が聞くと、
「まだ子供だし、何かしたわけじゃないからほうっておいていいんじゃない?」
「そうしたいのは山々だが、他のGSや政府関係者に見つかると面倒だ。このままほうっておくのも…」
「でも下手に刺激したくもないのよね」
美神、西条、隊長がそんなことを相談しているのだが、その間にも九尾の狐は逃げるでもなくなぜか横島一行をちらちら見ていた。


「? 何を見てるんだ」
その視線に気づいた横島がそうルシオラに問いかける。

「もしかしてこれじゃない?」
ルシオラは隊長が作った稲荷鮨が入っているバックを指差す。
「食べる?」
おキヌが小皿に取り分けて九尾の狐の前においてみた。

九尾の狐は多少警戒していたが、大好物の誘惑に負けたのかむさぼるように食べ始めた。
よほど腹が減っていたのか、すぐに稲荷鮨はあっという間になくなった。

「…もっとないの?」
そう言うなり九尾の狐はいきなり人間形態・中学生ぐらいの少女に変身した。

「…しゃべれたのか?」
誰に問うでもなく横島がつぶやくと
「ええ、さっきまでは妖力がなくて無理だったけど」
と本人?が答えた。


残っていた稲荷鮨を食べながら
「あんたたち何者? 皆とても強い霊力を持ってるみたいだけど」
と九尾の狐聞いてきた。
隊長が
「私達はGSよ」
と言い、簡単に説明&自己紹介をする。


「私の名はタマモ」
稲荷鮨を食べ終え、満足した顔でそう名乗った。

「で、あなたはどうしてこんな所にいるの?」
隊長がそう聞くとタマモは
「殺生石のカケラが霊力をためて最近生き返ったばかりなの。それでなんか良い匂いがすると思って…」
と答える。


「それで結局どうします」
「このままほって置いてやりたいが、さっきも言った通り他のGSや政府関係者に見つかると面倒だ」
「う〜ん、そうねー。タマモちゃん、良ければ私たちのところに来ない?」
「なんで?」
タマモが疑問の声を上げる。

「さっき言った理由から私たちが保護したほうがいいかもね。それに一般常識も覚えたほうがいいだろうしね」

そう美神親子が理由を説明すると
「分かった。」
タマモは了承した。

美神と隊長と横島、誰が預かるか少しもめたが、美神に決まった。(美神の事務所なら人工幽霊の結界もあり、美神のほうがいいと判断した)
美神除霊事務所に新たな同居人が増えた。


その後、特に問題もなく一ヶ月が過ぎた。
美神さん、隊長、おキヌから一般常識を教わり、ひのめの世話をしたり除霊に付き合ったりし、それなりに皆とも打ち解けていった。
ルシオラとも同じ幻術使い同士通じるとこるがあるのか仲がいいみたいだ。


そんなある日、人狼族の長老から美神宛に手紙が来た。

その手紙を読ませてもらった後横島は
「またあの季節なんですね」
と苦笑しながら感想を述べた。

「まあ今回は承知して来るんだから前回みたいな騒ぎにはならないでしょう」
「何の話?」
タマモが美神に聞いてきた。

「ああ、タマモとルシオラは知らないわよね。シロといって人狼族の子のことよ。ある事件が元で知り合ってね。それがまた此処に来るのよ」
「何をする為に来るのですか?」
とルシオラが質問する。

それに美神は
「…狂犬病の予防注射よ。前回は注射が嫌で逃げてね。あっ、そういえばタマモも受けといたほうがいいかもね」
「痛いのそれ?」
「痛いけど一瞬のことよ」
そう美神さんが説明するとタマモは
「…考えとく」
と答えた。


そしてシロが上京してくる日になった。


「お久しぶりでござる。横嶋先生。美神どの。おキヌどの」
シロは事務所に挨拶をしながら入ってきた。

「久しぶりだな。元気にしてたか?」
「元気そうね」
「シロちゃん久しぶり」
横島達はそう返事をした。

そうしてお互いに近況(おキヌちゃんが生き返ったことなんか)なんかを話していると
「「ただいま〜」」
と厄珍堂へ出かけていたルシオラとタマモが帰ってきた。

「先生このお二人は? 狐族と蛍の匂いがするでござるが」

そんなシロの問いに横島は、
「ああ、こっちはお前が気づいたように九尾の狐の生まれ変わりのタマモだ。色々あって美神さんがここで保護してる。でもう一人はルシオラ。蛍の化身で魔族だ。ちなみに俺の婚約者だ」
と紹介し、二人は
「タマモよ。よろしく」
「シロちゃんね。ルシオラですよろしく」
と挨拶した。

するとシロは驚いた表情で
「こ、こ、こ、こ、こ、婚約者!?」
と言った。
「婚約者というのは結婚の約束をした人のことだぞ。許婚(いいなずけ)ともいうな」
「そうではなくてっ! 先生その女性とこっ、婚約したのでござるか!?」
「ああ、結婚はまだできないからな。俺なりのケジメってやつだ」


そう、横島とルシオラは婚約したのだ。どうして婚約したかというと…。

ある日、
「費用がないなら出してあげるから結婚しない?」
と百合子が二人に言って来たのだ。
両親、特に百合子はルシオラの事が気に入った為の提案なのだろう。

横島達は正直嬉しかったが断った。
まだ横島が学生ということもあったが、これから独立し事務所を経営していかなくてはならない。
事務所の経営が安定したら結婚したい。
間にも急ぐ事はないし、今はまだ形式にとらわれる事もない。

そう告げると
「お前の気持ちは分かった。じゃあ婚約だけでもしない?」
と百合子たちは提案してきた。
そしてその提案を二人は受け入れた。
そして魔鈴のところで知り合いを招き、横島たちの婚約パーティーをした。
パピリオやベスパ、小竜姫様たちも招いて楽しい婚約パーティーになった。
こういう経緯があったのだ。


閑話休題、話を元に戻そう。


「ま、魔族の方でござるか?」
「色々あったんだよ。そのうち話してやるよ。とりあえずお前も挨拶しろよ」
「あっ、そうでござるね。先生の一番弟子のシロでござる」
横島に言われてそう挨拶するシロ。
しかし、ルシオラのほうを見るとき一瞬複雑な顔をした。


「ところでもう予防注射は済ませたの?」
それに気づいた美神が話題を変えるかのようにシロにたずねた。
「いや…まだでござる」

ということでシロの予防注射を受けに出かけることとなった。


前回のであきらめたのか、おとなしく注射を受けるシロ。
そんなシロを見て安心したのか、タマモも受け無ごともなく予防注射は終わった。


そうして事務所に戻り、シロの歓迎のためご馳走が振舞われた。

そこで皆で食事をしているときに横島の独立が話の話題に出た。
それを聞いたシロが
「拙者も先生の事務所で雇ってほしいでござる」
と当然のごとく横島に頼んできた。

それにたいして横島は……。


美神の事務所から帰る途中、ルシオラが
「シロちゃんの事、アレでよかったの?」
と横島に聞く。
そう横島はシロに断ったのだ。


「悪いがうちの事務所では雇えないな」
そう言って横島は断った。

「何ででござるか!?」
シロは断れるとは思っていなかったのか興奮して横島に詰め寄った。

「何でと言われてもこれ以上はうちの事務所じゃ雇えないんだよ。新規の事務所でこれ以上はちょっとな。給料が払えん」

横島がそう説明すると、シロは
「給料なんか要らないでござる。ですから雇ってくだされ!」
と言ってきた。

横島は
「そういうわけにもいかねーよ。悪いがあきらめろ」
と彼にしては冷酷にも思えるほどキッパリと告げた。

それでも諦め切れず、横島に雇ってくれるように頼んできたが横島は断り続けた。
その後シロは美神に当てられた部屋に逃げ込むように行ってしまう。
横島はシロのことを美神たちに頼んでルシオラと一緒に帰ったのだ。


「ヨコシマも気づいているんでしょ? シロちゃんがあんなにも私たちの事務所で働きたがったのは・・・」
ルシオラが濁すように横島に聞くと
「ああ、俺のことが好きだからだろうな。異性としてなのか俺に親父さんの影を見てなのか微妙だけどな。だからこそ雇えなった。俺なりの誠意だよ」
そうルシオラに答える。


シロが自分のことを好きなのを横島は分かっていた。
でも横島にはその想いに答えることはできない。
だからここでシロを雇って妙な期待を与えるわけには横島はいかなかった。
だからこそあの時シロの後を横島は追わず、美神たちに任せたのだ。


次の日、美神のところで仕事があったため、美神の事務所に少々気まずい気分で行ったのだが、シロは空元気と分かるが元気そうな声で出迎えてくれた。
美神たちが何かしてくれたのかな、と思い横島が聞いてみたところ
「女だけの秘密よ」
と言われ教えてもらえなかった。
何にせよ、シロが元気になってくれたのは良かった事だろう。


それから数日後、シロから
「ルシオラ殿と幸せにならなくてだめでござるよ、先生」
と横島は言われた。
「サンキュー、シロ。幸せになるよ」
そう答える横島であった。


あとがき

書いて少々つらかったのですがシロには失恋してもらいました。
シロを出す以上、触れないわけにはいかないと思ったので。
シロがこの様に思えるようになった経緯は外伝で書きます。


注1:本当に結婚式が挙げられます。私が見学したときも実際に結婚式を挙げてました。結婚式を見ていた時、突然男が現れて花嫁と逃げたら面白いだろーナ〜と思ったのは秘密です。

注2:実際は追い越し禁止です。ルールを守り、楽しくのりましょう。

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