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「GS美神if1〜4話(GS)」

テルヨシ (2005-10-30 22:17)
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このSSは旧夜華、華の残照に投稿したものの再投稿となります。


この物語はGS美神35巻ジャッジメント・デイ!!(その20)からのifな話です。


色々あったがやっとすべてが終わった、皆がそう思ったとしても不思議はないだろう。
しかし、横島だけは違っていた。


「美神さん、ちょっと俺の我侭に付き合ってください」
といつになく真剣な表情で言う。

「横島クン、何をするつもり?」
「あいつを……、助けたいんです」

それだけで横島が何をしたいのかを大体のところで感じ取ったのだろう、
「分かったわ。付き合ってあげる」
美神はそうあっさりそれに応じた。


「ありが……」
横島が礼を言おうとすると美神はそれを遮り、
「礼はすべてが終わってからでいいわよ。それとルシオラと二人でバンバン働いて稼いでもらうからね」
と彼女らしく答えた。

それが美神なりの励ましと分かる横島は
「分かりました」
と短く答える。


そしてベスパたちのほうを向き、
「ベスパ、パピリオ。ルシオラのいるところを教えくれ!」
「「何をする気だ(でちゅか)、ポチ(ヨコシマ)!?」」
「時間が無い。後で説明するから早く!」

横島の迫力に圧倒される二人。
しかし横島の真剣な表情にベスパは
「ああ……、私と姉さんが戦ったところだ」
と説明する。

それを聞いた横島は
「分かった。今からそこに行ってルシオラを復活させる!!」
と言いながら双文珠を作り出し、『転』『移』の文字を文珠に浮かび上がらせる。

「そんなことが出来るのか!?」
「やってみないと分からない。早く行くぞ!」

そして双文珠を発動させ、その場の三人は東京タワーへと転移した。


そうして妖バチの作った繭の前に着いた横島たち。

「美神さん、行きますよ!」
「ええ。さっさと終わらすわよ!」

そう言い合うと二人は霊力を上げていった。
そして究極の魔体に攻撃したときと同じくらい、いやそれ以上の霊力で双文珠を作り出す。
浮かび上がった文字は『再』『生』の二文字。


「蘇ってくれルシオラ〜!!」
と叫びながら双文珠を発動させる。
双文珠が無事発動した後、同期合体している時間の限界が来たのだろう。
分離する横島と美神。


期待と不安が入り混じる四つの視線が妖バチの作った繭に向けられる。


一瞬とも永遠とも思えるような時間が過ぎ、ついに妖バチの繭に反応が起きる。
ベスパと違い、元と同じ大きさの体のルシオラが妖バチの繭から出てくる。

「あれ? ここは・・・」
状況が分かっていないルシオラ。

「姉さん…」
「ルシオラちゃん…」
ベスパとパピリオの二人が目に涙を浮かべながら抱きつく。

「ふ〜。無事成功したみたいね」
そう言いながら安堵の声を出す美神。
「……」
感極まったのか声も出ない横島。

「あの美神さん。私は消滅したはずでは? 何が起きたんですか」
四人の内一番落ち着いている美神に説明を求めるルシオラ。
「分かったわ。あのね…」

横島から聞いたことも含め、ルシオラが横島から別れてからルシオラ復活までの経緯を説明する。
「そんなことがあったんですか。私のために色々ありがとうございます」
「たいしたことはしてないわよ。礼は横島クンに言ってあげて」


そこでようやく横島が我に帰り、ルシオラに向かって歩き出す。
それが分かったベスパとパピリオはルシオラから離れる。

「ルシオラ…」
そういうと横島はいきなりルシオラを強く抱きしめた。
「え…、ヨコシマ? 痛いよ」
そう言った後、横島に力を緩めるように頼もうとしたルシオラだったが、何も言えなかった。
何故なら横島が泣いていたから。
その涙は歓喜のものか、それとも安堵のものか。
おそらくその両方なのだろう。

「ルシオラ……。助かって良かった……。本当に良かった……」
大声を出すでもなく、静かに何度もそう呟きながら泣く横島。


ルシオラは
「ありがとう」
と言い、横島が泣き止むまで背中をなで続ける。

そんな二人を温かい目で見守る美神、ベスパ、パピリオの三人。(「「「良かったわね、横島クン(ポチ)(ヨコシマ)、ルシオラ(姉さん)(ルシオラちゃん)」」」)


しばらくし、ようやく泣き止んだ横島。
そこに美神が声をかける。

「感動の再会もすんだことだし、そろそろ皆のところに帰りましょうか」
そんな美神のからかい混じりの発言に、横島は顔を真っ赤にしながらも
「そうっスね」
と答える。


タクシーでも拾うべく、移動を始める四人。しかし横島だけは立ち止まっている。

「どうしたの横島クン?」
「いえ、何か忘れている気がして」
「皆のところに帰れば思い出すんじゃない? 行きましょう、ヨコシマ」
そう言って横島の手を引っ張るルシオラ。
「そうだな」
と答え、みんなのとこに行く横島。

こうして横島とルシオラの新たな物語が始まる。


一方変わって東京湾のどこか。

「美神さ〜ん。横島さ〜ん。早く迎いに来て〜ほしいのね〜(泣)!!」
霊力を使い切り、移動できずに海にポカポカ浮いているヒャクメ、小竜姫、ワルキューレの三人。
横島らが彼女たちのことを思い出すのはこれから一時間後のことだった。


あとがき


こんな感じでおおくりしましたがいかがだったでしょうか?


私の勝手な設定です

横島忠夫・・・煩悩ではなく、煩悩による集中力が霊力の源。
また、此処の横島は煩悩全開でない。(例 美人を見て飛び掛らない。綺麗だなとは勿論思うが。)
ルシオラにべた惚れ。

美神令子・・・横島との関係は「姉・弟」に近いかな?横島とルシオラのカップルをからかいながら温かく見守る。
原作ほどはお金に執着していない。

西条輝彦・・・横島との関係は「頼りになる兄貴的存在・少々手のかかる弟」でも当分出せそうに無い(笑)。

美神美智恵・・・横島が頭が上がらない人。ルシオラとのことで色々世話になったのが理由(それについては後で書ければいいな〜)。

氷室キヌ・・・横島のことは男とよりも兄として、家族のような感覚で好き。

ルシオラ・・・ヨコシマの彼女(当たり前ですが)。美神さんやおキヌちゃんとも仲良くしている。当分事務所にて生活。


とりあえずこんなところかな。原作と多々異なっているかと思いますが、大目に見ていただければ幸いです。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


アシュタロスとの戦いが終わり、その後のごたごたが片付いた後、横島はルシオラとパピリオに会いに行くついでに修行するため妙神山に向かった。

なぜ二人が妙神山にいるかといえば、妙神山の再建を手伝っていたのもあるが、ルシオラは文珠で復活できたが一応検査のため、
また何かあったとき対応ができる妙神山で様子を見ていた。
そしてヒャクメの診察の結果は特に問題なしとでていた。


「やっと妙神山についたか」
そんなことをつぶやきながら鬼門のほうへと歩いていく横島。

「横島か? 久しぶりだのう」
「修行に着たのか? それとも彼女たちに会いに来たのか?」
左右の鬼門がそんなことを言っている。

横島は
「ああ、久しぶりだな」
「両方だ」
と律儀に両方に答えていたが、内心では
(「よく逆天号のあの攻撃くらって無事だったな?」)
と考えていた。


GS美神if2 新たな生活の前に…


そんなやり取りしていると門が内側から開けられ、何かがすごいスピードで横島に向かって飛んできた。

「何だ!?」
と言いつつとっさに『壁』の文珠を発現・発動させる。

と同時に
「きゃ!」
というかわいい悲鳴が聞こえる。


「ひどいでちゅ、ヨコシマ」
『壁』に当たり、心なしか少し赤くなったおでこをさすりながらそう言ってくるパピリオ。

横島はそんなパピリオの頭をなでてやりながら
「悪い悪い。でもあんなスピードで飛び掛ってくれば防ぎたくなるだろう?」
と答える。

「飛び掛ったんじゃないでちゅよ、抱きついたんでちゅ!」
「にしたって威力アリすぎだろ。もうちょっと普通にできないか?」
「分かったでちゅ。今度からそうしまちゅ」
横島に頭をなでられ、気分が良くなったパオリオはそう約束した。


「そういやルシオラと小竜姫様はどうしたんだ?」
そう聞きながら妙神山の中に入っていく横島。
「猿のおじいちゃんと一緒に待ってまちゅよ」
「猿のおじいちゃんって(汗)。パピリオのかかったら師匠も猿扱いか。」
苦笑と共に三人が待つ部屋まで行く横島とパピリオ。


「久しぶりじゃな、小僧」
そう声をかけてくる斉天大聖師匠。
「御久しぶりです、師匠。御元気そうで何よりです」
「…無理して敬語を使わずとも良いぞ」
「久しぶりっス、師匠。元気そうっスね」


そんなやり取りをしていると
「何をしてるんですか? 老師、横島さん」
と小竜姫が声をかけてきた。

「いや〜、師匠に会うのあのときの修行振りだったもので」
「分かりました。ところで今回は何の用で此処に」
「修行と…」
そこでなぜか言いよどむ横島。見れば顔も若干赤いようだ。
それが分かった小竜姫はクスクス笑いながらルシオラのいる場所を教える。
さっき以上に顔を赤くしながら小竜姫に礼を言い、ルシオラのところに向かう横島。


鬼門には普通に対応していたにもかかわらず、何故横島はこんなにも照れているのだろうか?
その原因は美神にある。
ルシオラが無事復活し、皆と合流した後簡単なパーティーが魔鈴の店にて開かれた。
パーティー自体は何事も無く終わったのだが、解散のときにそれは起きた。


〜回想中〜


「じゃあね、ヨコシマ」
「ああ、またな」
そんな名残惜しそうに会話している恋人達にいきなり美神が爆弾を落とした。

「ああ、ルシオラ。悪いけど今日は横島クンの所に泊まってね」
「「はっ!?」」
いきなりの美神の発言にわけが分からない二人。
それもそうだろう。

そんな二人に美神は説明する。
「私も事務所に泊まるし部屋が足りないのよ」
「どっかのホテルにでも泊まればいいじゃないですか?」

そう横島が聞き返すが、
「流石にこの状況ではホテルもやってないでしょ? あ、朝ごはんは二人で事務所に来てみんなと食べましょうね」
そう言って美神はパピリオ、ベスパ、小竜姫、ヒャクメ、ワルキューレと共に立ち去ってしまった。


残された横島とルシオラがこの後どうしたかは本人たちしか知らない。
しかし翌朝事務所に顔を出したら、何処から用意したのであろうか赤飯が炊かれていた。
その意味したところが分かったのか、横島とルシオラは顔を真っ赤にした。(無論皆からからかわれた)
そんなことがあった為、そのときいたメンバーに会うと照れくさいのである(パピリオはいまいち理解していないため例外だが)。


〜回想終了〜


それ以来はじめて会う横島とルシオラ。
なんともいえない雰囲気が二人を包む。
「ところでよく此処で来られたわね。事務所のほうはいいの?」
多少顔を赤らめながらそんなことを聞いてくるルシオラ。


「あ、ああ。台風一過みたいにザコは当分おとなしいらしい。事務所も開店休業状態だったから」
同じく顔を赤くしながら答える横島。

「それに…」
「それに?」
「ルシオラに早く会いたかったから…」
「…バカ」

そんな付き合いだして間もない恋人達の甘い雰囲気・ラブなカップルをしている二人。

そこに小竜姫達がやってきた。
「おっほん。ところで横島さん。今回は何の修行に来られたんですか?」
二人だけの空間を作り出していた横島は、いきなり声をかけられたことに対して驚きながらも、
「!? は、はい。サイキックソーサーや栄光の手、文珠なんかの技の修行と体術なんかを」
と答えた。

「分かりました。文珠以外はこちらで教えられますね」
そう答えつつも小竜姫は横島に気になっていたことを聞いた。

「横島さん。何のために修行をするんですか? 今のままでも十分強いでしょう?」

その問いに横島は
「好きな女の背中ぐらい自分で守りたいじゃないですか。
もうあんな思いはしたくないですから…」
と答えた。

こうして修行が始まった。


朝は基本的な霊力とサイキックソーサーや栄光の手の技の修行。
昼食後は体術と文珠の修行。
夕食後は斉天大聖・パピリオとTVゲーム(たまにルシオラ、小竜姫も混じる)。
このTVゲームもちゃんと修行になっているのである。
電源など無く、動力はプレイヤーの霊力であるためだ。
ルシオラはパピリオと一緒に修行。
また、小竜姫の手が空いたときは料理を教えてもらった(たまに横島も一緒に)。


そんな修行の日々は四週間続いた。
その結果、横島は基本的な霊力は安定した強さを出せるようになった。
サイキックソーサーは様々に使い分けられるようになり、栄光の手は以前から左右どちらでも展開だけならできていたが、左右同時に展開できるようになっていた。
文珠に関しては独学ゆえなかなか進歩しなかったが二個同時使用ができるようになった。
体術に関しては霊力ほどには進歩しなかったが、それなりの動けるようになった。
また、簡単な料理もできるようになった。


そうして横島はルシオラと一緒に帰ることとなった。
パピリオは当分ここで修行を続けることとなった。
横島とルシオラはパピリオも一緒に帰るかと思っていたが、思いのほか此処が気に入ったようだ。

「じゃあね、パピリオ」
「お世話になりました。小竜姫様、師匠」
そういいながら妙神山を去る横島とルシオラ。

こうして今回の横島の修行は終わった。


妙神山から帰る道中横島はルシオラに
「ルシオラ、事務所まで送っていくよ」
と言った。

「…横島の部屋に泊まっていったらダメ?」
顔を赤らめながらそうルシオラは答えた。
ここで「ダメ」と答えられる男というものはなかなかいないだろう。
横島は答えもちろん……。


この後の二人について此処で語るのは野暮だろう。
ただ言える事は翌日事務所に顔を出したらまた赤飯が出されたらしい。
「「美神さんのいじわる」」(真っ赤)
「もっと直接的な表現が良かった?」(にこにこ)
「「美神さんは優しいな〜」」(うるうる)
こんなやり取りがあったとか、無かったとか。


後書きです

本当は横島クンにはもっと後で修行してもらおうと思ったのですが、今よりちょっとだけ強くなってもらいたかったので修行させました。
そのうちまた妙神山で修行してもらいます。
霊力面でかなり成長し、体術がさほど進歩しなかったのは霊力面のほうはそれなりに基礎ができていたのに対し、体術のほうはほとんど素人だったとした為です。
ルシオラの修行はパピリオの相手をするためと言う意味合いが多いですが、これから横島と除霊するために必要な手加減を学んでもらいました。
次回は「彼女」が出ます。誰かを楽しみにしていただければ幸いです。


また私の勝手な設定です

サイキックソーサー・・・最初の頃ははサイキックソーサーを使うと体全体の霊的防御力が極端に落ちたが、今は体の霊的防御力を落とさずに使える。
今の横島ならあの時のベスパの攻撃をはじき返せないまでも死なない程度には防げる。

説明です
栄光の手・・・英訳するとハンズ・オブ・グローリー。横島の意思によりその形態・長さを変えられる。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ただいま。留守番ご苦労様、ヨコシマ」
「お帰り、ルシオラ」
「ひのめちゃん預かったの?」
「ああ」
横島はひのめちゃんを抱きながらそう答えた。


GS美神if3 横島とルシオラの育児日記?


それは横島が一人(といってもバンダナも一緒だが)で事務所で留守番していた時だった。

「こんにちわ、令子はいないの?」
そう言って隊長が事務所を訪れて来た。

「こんにちわ隊長。美神さんは今出かけています。おキヌちゃんは学校のようで遅くなるみたいです。どうかしたんですか?」
そう横島が説明しつつ隊長に尋ねる。

「ちょっと用事があってね、ひのめを令子に預けにきたのよ。どうしようかしら?」
そう言って考え込む隊長に対し、横島が
「俺でよければ預かりましょうか? ルシオラならそろそろ帰ってくるだろうし」
と提案する。

そこで隊長は少し考えた後、いたずらっぽい笑顔を浮かべ
「…そうね。お願いできるかしら。横島クンたちにも良い練習になるだろうし」
とからかい混じりに答えた。

「ゴメンナサイ、キュウニヨウジオオモイダシマシタ」
「冗談よ、じゃあお願いね」
横島の様子をクスクス笑いながら隊長は頼む。

「了解っス。これくらいお安い御用ですよ。あの時大変お世話になりましたから」
「気にしなくてもいいのよ。たいした事はしてないわ」


隊長に世話になったのは横島自身の事ももそうだがルシオラとのことだ。
敵の幹部との恋愛、その結果味方陣営に引き抜き。
身を挺してお互いを守るなど、ワイドショーの話題に事欠かない二人のことを伏せてくれたのだ。

ゆえにアシュタロス事件での世間の横島の認識は
「敵地に潜入し、敵の極秘情報を手に入れた人物」
という事になっている。

また、未成年ゆえに名前は公表されなかった。(これは雪之丞、おキヌ、タイガーらも同様であるが)
アシュタロスは美神親子を中心に多くのGSが力を合わせて倒した、と言うのがオカルトGメンの公式発表である。


そんなわけで横島は隊長に(情報操作は西条も手伝った為、厳密に言えば西条もだが)頭が上がらないのである。
西条のほうはオカルトGメンの仕事を手伝っている為貸し借りなし、と言っていたが。
隊長も同様なのだが、何故か頭があがらない思いがする横島なのである。


やっぱり、年の功かな? そんなことを横島が考えていると
「横島クン、今失礼なこと考えていなかった?」
と微笑みながら聞いてきた(でも目は笑っていない)。

「イエ、ソンノコトナイデスヨ」
そう横島がごまかすと
「ならいいんだけど。じゃあ、ひのめをよろしくね」
と言って隊長は出かけていった。
やっぱり隊長に頭が上がらないな、そう再確認する横島だった。


そんなやりとりを思い出しながら横島はひのめちゃん遊んでいた。
ひのめは横島達にもなついており、かんしゃくを起こすことなく世話は問題なくできた。


「あの時は少し大変だったわね」
お茶とお茶菓子を持ってきながらルシオラがそんなことを言ってきた。
ひのめはスヤスヤと寝ている。
「ああ、修行しておいて良かったよ」
サンキューと答え、お茶を受け取りながら横島はあの時の事を思い出していた。


あれはひのめちゃんが生まれ一ヶ月ぐらいが過ぎ、初めて丸一日ひのめちゃんを美神さんが預かった日だった。

「うぐっ、ふぎゃ…ほああっ!!」
今までおとなしかったひのめがいきなりぐずり始めた。

美神とおキヌ、ルシオラがそれでも何とかあやそうとするがひのめは
「ほああ!! ほああ!! ほああああ!!」
とまったく泣き止まない。


そうしているうちに美神さんがひのめのおでこが熱くなっているのに気づき、
「おキヌちゃん体温計を。ルシオラは氷嚢を用意して」
と自分は『家庭の医学』を探しながら指示を出した。


横島はそんな三人の代わりにひのめを抱いていたが、いきなりひのめから強力な攻撃を受けた。
「大丈夫!? ひのめ、横島クン。何が起こったの!?」
美神が横島からひのめを受け取りながらそう聞いてきた。

「ええ、何とか。修行の成果ですね」
横島はぎりぎり展開できたサイキックソーサーを解除しながら答えた。


妙神山での修行のおかげで自分の体の周りならどこでもサイキックソーサーを展開できるようになっていた。
まあ急だった為、防御が完璧とは行かず、前髪が少し焦げてしまったのは仕方が無いだろう。


「しかし何だったんですか、今のは?」
横島は美神さんに問いかけた。ひのめはなおも様々なものを燃やしている。
ひのめを調べていた美神は
「た、大変…!!このコは…念力発火能力者(パイロキネシスト)だわッ……!!」
と言った。

「なんですってっ!」
ルシオラが驚きの声を上げる。
「「何(何ですって)〜!? ところでパイロキネシストって何ですか?」」
横島とおキヌちゃんが疑問の声を上げる。


そんな疑問の声に心眼(バンダナ)が答えた。
『念力発火能力者。文字どうり精神の力で火を起こす能力だ』(作:これ以上の細かい説明はGS美神35巻169ページを参照してください)


そこで美神が
「心眼の言う通りよ! 今すぐ封印しなきゃ…!!」
と対応策を言う。

「でもどうやって!?」
横島がそう聞くと
「念力封じの札を使うの! あれは確か、机の引き出しに」
美神はそう言いつつ机のほうを向くが、机はすでにひのめが燃やした後で炭になっていた。

「「「「あっ!?」」」」
事務所の時間が止まったかのようだった。


しかしそれを打ち消したのは心眼だった。
『取り敢えず横島の文珠で封印すればいいだろう』

「「「「あっ、そうか」」」」
皆納得した。
そして横島は『封』『印』の文珠を発現、発動させた。
こうして後に
『ひのめちゃん能力開眼事件』
と呼ばれた事件は幕を閉じたのである。


お茶、お茶菓子ともに無くなり、起きたひのめの相手をしているとルシオラが時計を見て、
「あっ、そろそろ夕飯の買い物に行かなくちゃ。ヨコシマも食べていくんでしょ?」
と言った。


ちょっと説明すると事務所の食事はおキヌちゃんとルシオラが交代に作っている(横島も少しは手伝う)。
美神もたまに作るが、事務所の仕事(スケジュール管理や書類仕事など)があるためそれほど多くない。


閑話休題


「ああ、食べてくよ。俺は…」
留守番してるから。そう横島が言おうとしたら
「ヨコシマも買い物付き合ってね」
と言ってきた。

「留守番してるよ」
何事も無かったかのように横島がそういうと
「買い物に付き合ってくれなきゃヨコシマの夕飯は紅しょうが」
とルシオラは答える。

「キャラが違うだろ(汗)。ひのめちゃんはどうするんだよ?」
と横島が聞き返すとルシオラは
「連れて行っても大丈夫でしょ。何か起きたとしてもヨコシマの文珠もあるし」
と言った。

「それでもな〜」
それでも渋る横島。

(「俺とひのめちゃん、ルシオラとひのめちゃん、俺とルシオラ、この組み合わせなら問題なんて無い。
でも、俺とルシオラとひのめちゃん、この組み合わせはまずい。ルシオラはそれに気づいてないのだろうか?」)

そう横島が考えていると
「私と行くのが嫌なの?」
と冗談と分かる口調、しかし上目遣いでルシオラが聞いてきた。
心なしか触覚もたれていた。

「そうじゃないけど…」
そう答えるがルシオラは上目遣いを続けている。
触角もたれたままだ。

そして横島はその視線&しぐさに負けた。
「そこまで言うなら行くけど後悔するなよ」
横島はそう言って出かける用意をし始める。

「? 変なヨコシマ」
そう言いながらルシオラはひのめを抱き上げた。


横島の予言(予想)は当たる事になる。

「ヨコシマの言う通りだったわね」
事務所に帰ってきてルシオラは照れながら、少し疲れた様子でそう言った。

買い物に行く途中、スーパーマルヤス(GS美神七巻で出たスーパー。おキヌちゃんならツケOK)での買い物の最中。
そして買い物から帰る時。
色々な人から
「かわいい奥さん(赤ちゃん)ですね」
と言われ続けた二人であった。

横島俺が預かった赤ちゃんであること、ルシオラとは結婚してないことを説明すればしたで
「いい練習になるわね」
と言われるのである。
そんなことを言われ続けおかげで、外にいる間ほとんど顔を真っ赤だった為、暖かくて良かったかもしれない(笑)。


「でも、ちょっと嬉かったかな」
「…まあな」
そう言って二人だけの空間を作る二人である。
そんな二人の雰囲気にひのめはご機嫌よさそうに笑っていた


その後は用事が終わった美神、隊長。そして学校の用事も終わり帰って来たおキヌ達と夕飯を食べた。
その時、美神や隊長、おキヌまでも
「いい練習になったでしょ?」
等と言ってからかおうとするが、二人は平然と
「そうですね」
と答えられた。
あれだけ言われれば流石になれたようだ。


まあ、こんな日もたまにはいいかな。そう思える一日だった。


あとがきです

横島が隊長に頭が上がらない理由をこのようにしてみました。
横島とルシオラにあったことはネタとしてはかなりのものだと思うのです。
よって横島とルシオラが幸せに暮らすためのはその辺の情報の隠蔽が必要なんじゃ、と考えこのようにしました。
ある程度の情報を公開したのは横島が人類の敵、裏切り者といった中傷から守る為です。
少し理屈っぽいかもしれませんが。
次回はここにおいても珍しい設定だと思う話になると思います。それにともないオリキャラが出ます。


またまた私の勝手な設定です

横島の世間の認識は「美神の助手。アシュタロス事件ではスパイとして活動」よって、情報の大切さが分かる人からのみ評価が高い。
しかし、顔はクワガタ投手を襲ったとき、南極での件が終わったときの取材(ピートが写真を取られた件です。GS美神33巻12ページ参照)である程度有名。

美神ひのめ・・・念力発火能力者(パイロキネシスト)。
みんなのかわいい妹的存在。特に他の設定は考えていません。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


某所。そこに一組の男女がいる。
そこにあるファックスから数枚の紙が出てくる。


『今お送りしたのが調査報告です』
電話の向こうの主が答えた。

「ああ、ありがとう。こんな事頼んですまなかったねクロサキ君」
そこにいる男がそう電話の向こうにいる人物に話しかけた。

『いえ、たいしたことではありません。ではこちらに帰られる日を楽しみにしております』
そういって電話は切れた。


そしてその男女は送られてきた紙に目を通す。

「あの子にもようやくね…」
「しかしあいつはなんでこの事を俺達に言わないのかな?」
「照れ臭いんでしょ?」
そう話し合う男女。
手にした紙には
『横島忠夫とルシオラについて 調査報告書』
と書かれてあった。


GS美神if4  お兄ちゃん?兄さん?兄様?


とある日。
特に予定のない横島とルシオラがアパートでくつろいでいると
「プルルルルッ、プルルルルッ」
電話がなった。

「私が出ようか?」
ルシオラがそう言って来たが、横島は
「いいよ、俺のほうが電話に近いし」
と答えながら電話に出た。


「もしもし、横島ですが?」
『ああ、忠夫? 母さんだけど元気にしてた?』
電話をかけて来たのは横島の母、百合子だった。

「ああ特に問題もなくやってるよ。それよりなんか用?」
いきなりの電話に不思議がりながらそう質問する横島。

『日本に帰国する日が決まったから教えとこうと思って』
「何でまた? 親父がまた浮気でもしたのか?」
さらりとそんなひどいことを言う横島に対し
『違う違う。一時帰国でなく本当の帰国。父さんが日本本社勤務に戻るんだよ』
と百合子は特に気にした様子もなく答える。

その後横島は百合子から帰国日時を聞き、
「じゃあ迎えに行くよ。そのとき紹介したいやつもいるし」
『そうかい? 楽しみにしてるよ。母さんたちもお前がビックリするようなニュースがあるし』
「ん? 何か言った?」
『いや何も。じゃあまたね』
「ああ」
そうして電話は切れた。

「横島のお母さんから?」
ルシオラがそう聞いた。

「ああ、今度日本に戻ってくるんだと」


そして横島の両親の帰国当日になった。

「まだかしら横島の御両親」
幾分緊張しながらにそう聞いてくるルシオラ。
それに対して横島は
「そんな大層なもんでもないけどな。もうそろそろだと思うけど。あっ来た来た。親父、おふくろ」
そう言いながら二人の方に行くが、いきなり大樹がルシオラめがけて駆け寄ってきた。

「いや〜かわいいお嬢さん。お暇ですかな。良かったら…」
お茶でもしませんか、そう続けようとしたのだろうが大樹はそこで言葉を詰まらせる。
なぜなら首元には百合子のカッターナイフが突きつけられ、後頭部は横島の栄光の手・シャイニングフィンガーモードで掴まれていたからだ。

「あなた何をしているのかしら?」
笑いながらそう百合子が聞いていた(いわゆるコロス笑みというやつである)。

「親父何息子の恋人口説いてやがる」
俺はそういいながらちょっと力を込めた。


「何ほんの冗談だよ。母さん、だから突きつけてるモノをどかして欲しいな。忠夫も頭蓋骨がミシミシいってるから力を抜いてくれ(汗)」
大樹は顔一杯に汗をかきながらそう答えた。

「まったくちょっと目を離すとコレだから」
「親父二度はないぞ」
そう言いながら百合子と横島は各々獲物を引っ込めた。


「それはそうと忠夫、彼女って?」
何とはなしにとぼけた表情でそう息子に対して聞く百合子。

横島はそんな母親の表情に気づくことなく、
「ああ、親父のせいで紹介が遅れたな。俺の彼女のルシオラだ」
そう言って若干照れながらルシオラを紹介した。


「ルシオラと申します。初めまして、横島のお母様お父様」
そういって横島の両親に挨拶をするルシオラ。

「こちらこそはじめまして。私が横島の母百合子です。でこっちのが父親の大樹ね」
こうして四人の初顔合わせは行われたのであった。


その後場所を移して四人は会話をしていた。
お互いの近況なんかを話していたのだが、ふと百合子はまじめな表情をして
「ルシオラさん、忠夫なんかでいいの? あなたならもっといい人がいくらでも見つかるでしょうに」
と聞いてきた。

「私にとってヨコシマ以上の男の人はいません」
まっすぐに百合子を見ながらそう答えるルシオラ。

百合子は
「ルシオラさん忠夫のことを本当に愛してくれているんだね。頼りなくてスケベで甲斐性なしのどうしようもない息子だけどよろしく頼みます」
と母親の顔で言った。

「はい! こちらこそよろしくお願いします」
百合子に認められ、嬉しそうな顔でそう答えるルシオラだった


それを聞いていた横島はルシオラの台詞を嬉しく思いながらも口に出しては
「おふくろもそこまで言うことないだろう」
と少しだけ不貞腐れながら言った。

「まあそれはともかく忠夫。ルシオラさんを悲しませるようなことをしたら母さん許さないからね。お前には勿体無い位いい娘だよ、ホント」
とまじめな顔をして言う百合子。

「ああ、俺にはホント勿体無いくらいだよ。分かってる、ルシオラを悲しませるようなことはしないよ」
横島はそう宣言するように百合子に言った。

とそこで横島は今まで気にしないようにしていた事を聞いた。
「ところでお袋が抱いているものは何だい?」
「何って見て分からないのかい。赤ん坊に決まっているだろう」


頭が真っ白になるというのはこういうことなのかと横島は思った。


横島は頭が混乱し、
「どこのキャベツ畑で拾ってきたんだ?」
と聞いた。
それに対して大樹は
「お、何だお前も読んだのか? それはロイエンタールと言うキャベツ畑から、じゃなくて正真正銘俺と母さんの子供だ」
と返した。

「だってお袋はもう四十過ぎのおばさん…な〜んてことはないか。お袋はまだ若いよな。だからそのカッターナイフをどかして下さいお願いします」

そんなやり取りをしてやっと落ち着いてきた横島は
「弟? 妹? 名前はなんていうんだ?」
と質問した。

「名前は慶之(けいし)。お前の弟だよ」
「可愛いですね〜。ヨコシマも子供のころはこんな感じだったんですか?」

ルシオラがそう聞くと百合子は
「ああ、忠夫も子供の頃は可愛くてね。どこでこんなスケベになったのやら」
と苦笑しながら答えた。


「今はそうでもないですよ」
とルシオラが笑いながら答えると
「ヨコシマの助平な面を抑えるなんて。本当に二人は愛し合っているんだね」
と二人を見ながらに言う。

「そこがポイントかよ!」
と赤くなった顔をごまかすように横島は叫んだ。ルシオラも顔が赤い。


そんな感じでルシオラの両親への紹介との顔合わせは終わった。
が、大切なことを忘れていた。
『ヨコシマ。私のことは紹介してくれないのか?』
「あ、バンダナのこと忘れてた」
あわててバンダナのことを説明する横島であった。


そのあと百合子たちは新しい家に向かう為、横島達は空港で別れた。

「かわいかったな〜。慶之ちゃん」
「そうだな」
「これからもがんばってね。お・に・い・ち・ゃ・ん」
「そうだな。それにしても何かルシオラにお兄ちゃんて呼ばれると不思議な感じがするな」
「一応私もお姉ちゃんだからかな?」
「かもな」


とそこで横島
「でもいつかは…」
とぽつりとつぶやいた。


「何か言った?」
そう聞き返してきたルシオラに対し、
「いや何でも」
そう横島はごまかした。


いつかはベスパやパピリオから
「お義兄ちゃん」って呼ばれたいな、何て恥ずかしくていえないよな。
そう今はまだ。
そんなことを考えた横島だった。


百合子達の新居


「ルシオラさん、報告書どおりのいい娘だったな」
そう言ってきた夫に対し百合子は
「そうね」
と答えた。


オマケです

「ヨコシマみたいなお兄ちゃんがいたら嬉しかったかも」
「そうかな? でも俺はルシオラが妹でなくて良かったな」
「何で?」
「だって、妹だったらいつもやっていることができないじゃないか」
「!? ヨコシマのエッチ」
「何を考えたのかなルシオラ? 俺は何も具体的なこと言ってないぞ。むしろエッチなのはルシオラじゃないのか?」

俺がそういうとルシオラは顔を真っ赤にして
「ヨコシマのイジワル…」
「ごめん。でもすねた顔もかわいいなルシオラは」
「!? そんな事言っても誤魔化されないんだからね」

この後、男女二人による微笑ましい痴話げんかが多くの人に目撃されたそうだ。

ただ、翌日いつも以上に機嫌のいいルシオラがいたそうな。
何があったのかは二人しか知らない。


あとがきです


ちょっと高齢出産かもしれませんが横島に弟がいたらどうかなと思い登場させました。
また、百合子の話し方に違和感があるかもしれませんが気にしないでくれるとありがたいです。


横島大樹・・・横島忠夫の父親。仕事はできるが浮気癖がすごい。

横島百合子・・・横島忠夫の母親。専業主婦だがOLてしては超優秀。ここではけしてツバメ君キラーではありません。

また両親とも霊能力があるかも(GS6巻『父帰る!!(その3)』GS29巻『グレート・マザー襲来!!(その4)』を各参照して下さい)

横島慶之・・・横島家男子では唯一スケベではない(笑)。ひのめちゃんとは幼馴染になる。後にGSになる。
これは成長した後の設定ですが、この世代のGSはかっこいい横島しか知らない(特別隠したわけではないが)が横島慶之は周りの人たちからかっこ悪い(&スケベ)な横島や弱かった頃を聞いている。
その為、かえって周りのものより尊敬している(弱かったのに急成長、ルシオラでの件、等々がその理由)
名前は陳慶之からとりました。中国南北朝時代の知将です。

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