インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「約束は今も−2:日常(GS)」

夜影 (2005-10-20 17:43/2005-10-20 21:04)
BACK< >NEXT

赤い夕日−

まさか、そんなことが起こるなんて思ってもいなかった。

『すんません…。』

それが沈んでいくのと同時に−

ずっと、一緒に居られる。そう信じて疑っていなかった。

『また逢えて、嬉しかったっすよ?ホント…。』

消えていく−

なのに…

『ちょ、ま、待って!行かないで!!!』

どうして!!?

『…さよなら。美神さん。』




「いやああああああああああああああああ!!!」

ガバッ

美神は自分の叫び声で跳ね起きた。

「はあ…はあ…。」

嫌な汗がどんどん噴出してくる。心臓も壊れそうなほどドキドキしている。それ程−。

バタン!ドタドタ…ガチャ!

美神が落ち着く暇も無いうちに、彼女の叫び声に驚いたのか、隣の部屋で寝ていたおキヌと、リビングで寝て(漂って?)いた横島が同時に美神の部屋に飛び込んできた。

『「どうしたんですか!?美神さん!」』
「おキヌちゃん…?え?横島クン…?」

美神がそれを認識するには横島の姿を確認してから暫くの時を要する。−それ程彼女にとってはリアルな夢だった

「何かあったんですか!?美神さん!凄い汗ですよ!?顔色も悪いし…。」
「ちょっとね、嫌な夢を見たのよ。」

美神はようやく汗をぬぐって一息ついた。大丈夫だ。ここにいるではないか。『彼』はココに居る。そう思って美神は微かな笑みをこぼしかけた−が、しかし

『まさか、胸がしぼんでしまった夢でも見たんですか?』

バキッドゴッガスッ。

そんなシリアスな雰囲気は横島の一言でブチ破られた。

「誰がそんな夢をみるかー!!!!」

美神はさっきの悪夢への腹いせも上乗せのつもりなのか、フルパワーで神通棍やらパンチやら蹴りやら…ありとあらゆるコンボで横島をボロボロに仕上げてしまった。

『ぐは…す、すみませ…ガクッ』
「あああ!横島さん!確りしてください!!!死んでますけど死んじゃ駄目ですーーー!!!」
『あはは〜…お花畑が〜…。』

おキヌはそんな横島に支離滅裂な言葉をかけながら彼をガクガクユサユサと揺さぶる。彼は幽体ながら瀕死の重傷の生き人の如く血を流してうわ言をいい続けていた。

「はあはあ…ったく。…それにしても何だったのかしら…あの夢…。」

横島が目の前で消えてしまう…そんな夢。縁起でもないと美神はふとおキヌの腕の中の横島をみやった。

−彼が居なくなる?

彼と出逢ったのはつい最近。なのに彼がもし居なくなったら…。そう思うと怖くてたまらなかった。理由は解らない。けれど足が震えるほどには怖かった。これは、美神と横島が東京タワーで出逢ってから1週間後のとある早朝の出来事−。



チュンチュン…。

「美神さん、ホントに大丈夫なんですか?私もうすぐ学校に行きますし、今日はお仕事お休みしたほうが…。」

制服に着替えながらおキヌはずっと心配していた。悪夢を見たとはいえ、あの美神の様子は尋常でなかった。風邪などをひいて高熱を出している時などは意外と悪夢を見たりすることも多い。だから美神は何処か体調が悪いとかではないか、そうおキヌは思ったのだ

「心配ありがと。おキヌちゃん。もう平気だから。それに−。」

そんなおキヌに対し、美神は手をひらひらさせながらあくまで普通に装った。今朝の悪夢が吹っ切れたわけではない。けれど、おキヌに心配をかけたくないし、何より普通に過ごすことで早く悪夢を忘れたい。そう思ったから。

「今日は、断りたくても断れない仕事なのよ。ママからの依頼だから。」
『ママ?』

と、その時、

ピンポーンドンドン。

玄関のチャイムが鳴り、ドアが少々乱暴に叩かれ、

「おーい、おキヌちゃーん!学校いこーぜー!」
「氷室さん、用意はよろしくて?」

おキヌにとっては聞きなれた声が聞こえた。彼女のクラスメイトの2人−。いつも一緒に学校に登校したりする仲の良い友人でもあるヤンキー少女の一文字魔理と有名な寺のお嬢さまな弓かおりの声である。

「あ!一文字さんに弓さん!今いきまー…」

おキヌはかばんとお弁当を手に持ち、玄関の方へ行こうとした。すると、

ビュ!

彼女の横を凄まじいスピードである物体が玄関の方へ向けて通り過ぎていく。

『弓さーーーーーん!!!!!!』

横島である。彼は弓に目掛けてダイブをかますが、

「はー!!!」

『ぎゃーーーーー!!!』

ドゴーン!

彼は鬼のような顔をした彼女の霊波砲であっけなくリビングまで吹っ飛ばされ、

「何やってんのよあんたはーーーーーーーーーー!!!」

ズガーーン!!!

その上美神に簡易対霊バズーカなるもので吹っ飛ばされて玄関で焦げクズになるのだった。


「ったく進歩の無い…。」

そんな焦げクズの横島の元へまだ煙噴いている簡易対霊バズーカを片手に美神はリビングから玄関へ出てきた。そんな美神を目にするや、先ほどまで目を鬼のようにしていた弓はコロっと態度を変え、

「ああっ、おねーサマッ!おはようございます!」
「おはよ。ごめんね。相変わらずこのバカが…」

美神に挨拶をした。それに対して美神はウインクと苦笑をしながら弓に挨拶をし、その傍では、

「おキヌちゃん、あれ…大丈夫なのか?」
「た、多分…(もー…)」

焦げクズの横島を一文字とおキヌが見つめながら彼の心配をちょっぴりしたりして。

実はこれ、1週間前、美神と横島が出会った翌日から毎日繰り広げられている毎朝恒例の近所迷惑であったりする。おキヌのクラスメイトの弓は美人である。だから美人には目の無い横島は当然飛びつくわけで−。

ぎゅうぎゅう

『いだいッ、いだい!!す、すんません!すんませんって!ギャッ!』

毎朝おキヌを迎えに来た一文字と弓を交えて先刻のようなやり取りの後、美神は横島を呪縛ロープで縛って足蹴にしたうえ神通棍を突き刺してぐりぐりとこづきまわすのである。

「もー…横島さんは…。じゃあ、学校行ってきますね。美神さん。ホント、無理はしないで下さいね。」

そしておキヌは呆れ半分、心配半分でほんの少し横島にヒーリングをかけて、

「ありがと。心配しないで行ってらっしゃい。おキヌちゃん。」
「はい!」

一文字・弓の2人と一緒に学校へ出かけていく。彼女達にとっては何のことは無い。日常の光景であった。


おキヌが学校へでかけていって暫く後のこと。横島と美神はその日の仕事の準備をしている時、

『てて…。そういえば、さっきの話なんすけどママって、美神さんのお母さんですか?』
横島ははたと先ほど美神がいっていた<ママの依頼>という言葉が気になって彼女に尋ねる。横島は美神と出会って1週間−。仕事以外のことは美神に聞いたことが実はまだなかったりするのだった。

「そ。ママはオカルトGメンに務めているんだけど、今産休中なの。で、ママほどの腕のスイーパーなんて少なくとも今のGメン−日本支部にはいないのね。ママがGメンで扱うちょっと大きな事件なんかは普通のスイーパーじゃ手に余るってことでわたしのところへたまに来てるのよ。」
『へ〜。…そういやオカルトGメンってなんすか?』
「へ?あんたオカルトGメンも知らないの?ていうか、さっき知っていた風な顔だったじゃない?」
『いや、なんか、聞いたことがあるような、むかつくような気がする言葉なんすけど…わかんないっす。』

美神はちょっとフクザツな顔をしながら思った。横島は自分やおキヌのことは知っているようだったし、Gメンのことも本人は知らないというが、記憶を失う前は多分知っていたのだろう。となると、彼は本当に何者なのか−。不思議な子だ−。

「んー、ま、いっか、オカルトGメンっていうのはICPO超常犯罪課、ま、ぶっちゃけていえばオカルト専門の国際警察…のことよ。」
『なるほどー。』
「ま、ママの頼みじゃなきゃ、Gメンの依頼なんて基本的に受けないんだけどね。」

横島はまた美神の発言が気になって聞き返す。

『何でですか?』

そして返ってきた答えに−

「だって、報酬が安いもの!」

ずでーーーー!

彼はずっこけた。

『なんですかそりゃ!まー美神さんらしいけど。』

<美神らしい>…その通りに美神はかなりがめつかった。その上

「それにママには裏帳簿見られたし(ボソ)」

『…』

横島はもはや返す言葉も無かった。事務所はしばらく沈黙に包まれた。そんな沈黙を破ったのは、

ピンポーン

ひとつのベルの音だった。

「あ、来たわね。ママからの依頼を伝えてくれる人が。」
『じゃ、俺行って来ましょうか?』
「ええ、お願い。」

そう言って横島は玄関の方へ飛んでいった。が、美神は横島を行かせたことをこの後ほんのちょっぴり後悔することになる。

ぴゅー…ガチャ…

玄関の先−。そこにいたのは見目麗しい金髪スーツ姿の男だった。まあぶっちゃけ美形である…。

「あ、こんにちは。オカルトGメンの…。ぐあ!」

横島は美形の男というものが嫌いだった。美形がいるから自分のような凡人は女にはもてないのだ、という短絡的な思考の元−。

『美形なんて!美形なんて!!みんな敵やーーー!』

ガンガン!

横島は急にどこからか呪いのわら人形を取り出してそれに釘で壁に打ちつけはじめた。が、それはすぐに止まった。何故なら、


「何やってんのよあんたはーーーーーー!」

ドガバキャガス!

美神によってフルパワー神通棍でシバかれ、呪い人形からひっぺがされたからだ。

『く…び、美形なん…て…ふべッ。』

美神にシバかれた横島は撃沈。そして美神に踏まれた。美神が息を荒くしながら横島を睨みつけたあと、

「ごめんね。ピート。最近雇ったばっかりのウチの丁稚が失礼なことして。」

本日何度目かの苦笑いをしながらピートに目を移した。

(え?)

美神は驚いた。彼女がピートと呼んだ男、彼は何処か懐かしそうなものを見るような、そんな目をして横島を見つめていたのである。

「ピート?」

どうしたのか、彼を知っているのだろうか?そう思いながら美神はピートに話しかける。すると、

「あ、いえ。すみません。ちょっとびっくりしただけです。」
「そ、そお?」

ピートはちょっと挙動不審で返事を返してきた。変といえば変といえる態度ではあるが、美神はまああんなことをいきなりされれば普通はびっくりするかと余り気に止めないことにし、



「『彼』と彼と出逢いましたね。」
「あいつも健気やな−。あの『約束』を守り続けとるさかい。」



ピートをリビングへ誘った。

「あ、そう。じゃあ中で今回の依頼について聞かせてもらえる?」
「はい。」
「あんたもホラ!さっさと来る!」
『ふぁ、ふぁい…』

そして美神はやっと復活した横島の襟首を掴んで彼を引きずりながら移動し、



「そうですね。でも彼の協力無しではここまで来ることすら無理だったでしょう。」
「まあな〜。」



リビングのソファに腰を下ろしてピートの話を聞いた。横島は美神の斜め上にふよふよ浮いている。

「えっとですね、今回の依頼は−」

そうしてピート、彼から手渡された依頼書を見るや、美神はわなわなとしはじめる。

「なっ…なっ…」
『えっ、み、美神…さん?』

横島がぎょっとするほど、美神の顔は生汗が吹き出て明らかに動揺していた。




「−果たされて欲しいものですね。あの『約束』は…。」
「心配してもどーしよーもあらへんけどな。」




それはとてもよく晴れた日のことだった。


「冥子と合同ですってーーーーーーーーーー!!!?」


++++++

稚拙な文章で会話内容が不自然かなあとか自信が無いのですけれどイッパイイッパイ自分なりの愛を込めてかいたつもりの2話です。中途ハンパですみません。話はこのあとも出来ているんですが長いと感じたので切りましたOrz。とりあえず今回は3人の日常紹介ということでお願いします。次回からは事件が沢山のつもりです。
前回読んでくださった皆様、有難う御座いました。

えっと、本文中何処に入れたら良いやらわからず結局入れられなかったことが前回今回共にちょくちょくあるんですがまず今回−おキヌちゃんは霊能科に通うためにこっちの町に出てきていて美神の家に下宿しながらバイトしながら学校…な生活です。横島は当然いくアテなんかありませんからバイト時間以外は美神の家−リビングで暮らしています。当然美神に夜這いをかけようとして何度もボコられ済み設定です(苦笑)あと簡易対霊バズーカなんてもん勝手に捏造しました。まあ彼女ならこんなもん持っててもいいかなと思いまして(苦笑)SSって楽しいけど難しいですねOrz何回挫折しているのでしょう、私…。とりあえず、続けられるだけ続けます。出来れば完結まで…頑張ります。


以下、コメントレスです−。

>tomoさま
こちらこそはじめましてー。突っ込みは遠慮なしでかまいませんですよ。少しでも向上しながら楽しんでいきたいですんで(苦笑)まとまってるといっていただけて恐縮です。視点が定まってなくて読みにくいと反省してたのですが全く読めないわけではないのですね^^きっと。オリジとif…混ざるかもしれません。あちこち。なにはともあれ頑張ります!

>天浪さま
>">昔ここがまだ砂漠でなく
>あぁ貴方の傍で〜暮らせるならば〜辛くはないわ〜この東京砂漠〜という訳ですかね?
えっと、実はユー●ンの「砂の●星」という曲イメージです。でもそちらの音楽でもいいかもしれませんね(笑)


>黒覆面(赤)さま
はい。ご察しの通りというか、解り易すぎます、来世物です。前世来世ネタ大好きなものでつい(汗)お褒めの言葉も有難う御座います。チマチマと遅い更新ですが頑張ります!
>光と闇の仮面さま
お褒めの言葉も有難う御座います。珍しいですか?(汗)実は誰か同じネタ書いてたらどうしようとビクビクしながら書いてました(苦笑)小竜姫さまたちも今後出てきますよ^^SSは気に入っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね!

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

PCpylg}Wz O~yz Yahoo yV NTT-X Store

z[y[W NWbgJ[h COiq [ COsI COze