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▽レス始

「約束は今も−3:夢現−前編(GS)」

夜影 (2005-10-22 03:36/2005-10-22 10:45)
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『美神さん、冥子ちゃんって誰っすか?』
「六道冥子…わたしと同じGSで、式神使いのコよ。」


「今があるのはあのボーズらが自分らとの『約束』を守ってくれとるお陰…か。」
「ええ。そのお陰でまだなんとかこの世界は存在するのですし、感謝せねばなりませんね。」


『式神?』
「まあ…説明するより会うほうが早いと思うわ。ところで…」


「今のところは予定通りか…でもヤツらだまっとらんやろなあ…。」
「ええ。きっとまた同じことをしようと企んでいると思いますよ。」


「なんで冥子「ちゃん」なのよ?」
『いや、なんとなく、「ちゃん」が似合いそうな気がして。』
「…一応聞くけど、冥子と会ったことあるの?横島クン」


「早いうちにわいらでどうにかできればええんやけど…。」
「あの者たちを探すのは、あの時もそうでしたが難しいですからね…。」


『…多分会ったことない…っすね。記憶にないし。』
「…。あ、そう…。」
「美神さん、横島さん、そろそろ行かないと冥子さんが…。」
「はっ、ごめんね。ピート。じゃあ行きましょうか。横島クン、準備はいい?」
『OKっす!』


「では、行きましょう。『白井総合病院・特殊診療専門科』へ。」


約300年ぶり…久しぶりに『彼』と会って、僕はちょっと胸が痛みました。でも、同時に神に感謝もしました。再び、『彼』に会わせてくださったことを。それが例え、必然であったとしても。『彼』がいなくなって、それから沢山の人と別れて、出逢って、そしてまた『彼』と出逢った。短いようで長かった。ずっと何かぽっかり空いた様な、そんな気持ちだったこの300年。その長い時間の分だけ、僕は誓いました。必ず『約束』を果たすと。『彼』にはそれを手にする権利があるはずですから、必ず、手にさせる…。それが僕と『彼』の約束ですから−。


−『約束』はひとつじゃないわ。けれど『約束』はひとつでもあるのよ?−


『白井総合病院・特殊診療専門科』−。
そこは元は『白井総合病院』というごく普通の病院の分館みたいなものである。なぜ分館みたいなものがあるかというと…『白井総合病院』を訪れる患者に、近年、普通の病気だけでなく霊障等による病気や怪我や、妖怪や魔族といったもの達の来院−つまりオカルト関連が何故か結構な数増えてきたからである。普通の病気や怪我とオカルト関連とでは治療方法も必要設備も違うことが多いため、分けたほうが合理的だったのだ。


「令子ちゃ〜ん、ごめんね〜。」

そんな病院の駐車場にピートに案内されてきた美神たちに一番に聞こえたのは間延びした女性の声だった。そんな彼女の周りには、犬やへびやうさぎなど、そんな動物を連想させるいきもののようなものが12匹(?)走り回っていた。

「は、はは…。横島クン、紹介するわね。このコが冥子で、周りをウロウロしてるのが彼女の式神、十二神将よ。で、…横島クン?」

やや引きつった顔で美神は横島に冥子のことを紹介した。が、横島の方から何も返答が無く、変だと思い美神は隣に居る横島の方に目を向けた。すると、

「きゃー!」

横島はすでにそこには居なくて−。

『ずっと前から愛してまし…!』

しっかりと冥子に向かって突進していた。美神はすぐさま神通棍を手に取り、あと僅かで冥子に抱きつける、そんな距離にいる横島をシバき、

ドガッバキッグシャ!!

「冥子に飛び掛って驚かせるんじゃない!!ホラ!怯えてるじゃないの!わたしたちを殺す気!?」

…と叫ぶ。美神の言葉どおり冥子はうるうる泣いていた。

『はひ…。しゅみません…。』

−って殺すってなんすか…。−そう言葉を続けようとしながらも横島は力尽きた。ちなみに何時もフルパワーでシバかれるのには慣れている横島だが、このときは何故かフルパワー以上のものがあったと彼は後に語ったりするほどの強さだったらしい。合掌。

「冥子、大丈夫??ごめんね。驚かせて。「あれ」は最近雇ったバイトなの。」
「うん〜、なんとか〜大丈夫よ〜。令子ちゃんが〜、助けてくれたから〜。」

(ほ…。なんとか泣き止んでくれたわね…。)

美神に声を掛けられてやっと冥子は泣き止み、

「ありがと〜。令子ちゃん大好き〜〜。」

彼女は美神に抱きついたんだ。

「横島さん…大丈夫ですか…?」
『ピート…これが大丈夫に見えるか?』
「…ははは…。」

(相変わらず…ですね。)


そして数分後−。横島が復活してから、美神は病院内へ移動しながら冥子から事情を聞き始めた。

「…で、今日は一体どうしたの?」
「えっと〜、最初〜、Gメンのほうから〜、冥子に手伝って欲しいって依頼がきたの〜。」
「冥子に?何でまた…。」
「それは僕のほうから説明しますね。まず、Gメンの方に病院から原因不明の昏睡患者がいるから調査して欲しいという依頼があったんです。それで、能力的に冥子さんが適任かと判断されたので僕が頼んだんですよ。」
「で〜、クビラちゃんで霊視したら〜…」
「したら?どうだったの?」

と、そこまで話すと、先刻までは普通のだった冥子は顔を青くし、足も震わせて、静かに次の言葉を言った。

「な…ナイトメアがいたの〜…。」
「ナイトメアですって!?」
「そうなの〜…。」

冥子の言葉を聞いて美神の方も顔を青くした。横島はそんな美神の顔の変わりようを見て、
(あの美神さんの顔の変わりよう…まさかかなりヤバイ相手なんじゃなかろーか?)

などと考え、震えながら無意識のうちに車のあるほうへ移動しつつあった。しかし、

『ぎゃ。』

何時の間にか右足に呪縛ロープがかけられており、それで引っ張られた。しかもそれは美神の右手へと繋がっていて−

『…。』

横島が逃げることは不可能だった。

−暫くして、横島は「もーどーにでもなれ!」と半ばヤケクソな形で腹をくくり、ふと疑問に思ったことをピートに尋ねてみた。

『なあなあ、ナイトメアってなんだ???』
「ナイトメアとは、ヒトの精神に寄生する悪魔とかのことですよ。横島さん。」
『へ〜。寄生虫みたいなもんか。』

そんな横島とピートの横で美神と冥子の問答はまだ続いていた。

「敵がナイトメアなのはわかったわ。それで何でわたしを呼ぶの?冥子。あんたの方が能力的にも確かに適任でしょうに…ピートもいるのに…。」

ピートがいる。ひとりじゃない。ならば大丈夫だと普通は思わないだろうか?そう思ってふっとでた美神の言葉だったが、それは…、

「だって〜…なんだか怖くて〜…怖くて〜…ふぇぇ〜…。」

冥子にとっては泣きそうなくらい辛い言葉だったらしい。美神はしまった、と思い、慌てて、

「あああ!解った、解ったわ!一緒にやるわ!だからお願い泣かないで!!!!」

といいながら冥子の肩に手を乗せて精一杯の笑顔を彼女に見せた。傍から見れば口元が引きつっている笑みではあるが。

「ありがと〜!!!冥子〜嬉しい〜〜〜!!!!」

すると、冥子は今度は逆に凄く嬉しかったのか、パッと見れば可愛い笑顔全開になり、そして…

「え?」

どごーん!!!

その冥子の嬉しさの興奮につられるかのように彼女の周りについていた式神たちも縦横無尽に能力全開で走り回った。

『み、美神さん…何すか…これ…は…』
「冥子のプッツン…暴走よ…このコ、精神が不安定になると式神のコントロールができなくなるのよ…」
『ああ…なるほど…ガクッ』

冥子は「美神と」でないとイヤというか、彼女に依存しているようである。だから彼女をずっとなだめるようにしてたのか。そう思いつつ本日二度目の流血(?)ぶっ倒れの横島がそこにいた。

「びょ、病院の外でよかったですね…」
『いや…そういう問題じゃあ…ないと思うぞピート…。』

ちなみに美神とピートはちょっとこげた状態で、駐車場は半壊状態、美神が横島に持たせていた装備一式の入った袋も半分千切れてなくなっていた。

「戦う前から重症の上散財だわ…なんてこと〜〜!!!」
「ごめんなさい〜、嬉しくて〜つい〜…。」

美神は、後でママに交渉して報酬あげてもらおうかな…これは労災も同然よ。などと考えていた。



「そういえばここは確か−」
「あれのいる場所ですよ。」
「あれの…フクザツやなあ…。」
「特に、『彼』にとっては…。でも、これも『約束』のひとつですよ?」



プッツンが落ち着いて、やっと美神たちは病院に入った。

『へ〜…結構広いんだな。この病院。』

病院に入って数分後−

「患者の居る部屋はこの右の通路の奥ですよ。って…」

ピートが曲がり角の右の方を指差した、その時、


−・・・ま…。―


「?」

横島はビクッとなって止まった。

「どうしたの?」

横島は通路の曲がり角、左側の方をみつめていた。

「いや、今、あっちの方から誰かに呼ばれたような気がしたんだけど。」

そういう横島の言葉に、ピートは通路の左側を見に行った。

「誰もいませんよ??気のせいじゃないですか?」

そういわれた横島は、幾分、腑に落ちなさそうな顔をし、頭を手で掻いていたが、

「横島!何ボーっとしてんのよ!早くこっち行くッ!」
『は、はひ!!!』

中々前に進もうとしない横島に痺れを切らせた美神に睨まれて、慌てて美神と共に通路の右側へと進んでいった。ピートはそんな美神と横島の背を見た後、左側奥のとある病室の扉を見つめてほう、っと溜息をついた。

「彼に、あの病室の存在は…今はまだ、教えられませんからね…。今は、まだ…。」

彼らが去った後、その病室の扉はほんの一瞬、淡く光っていた。何かを呼ぶようにか、何かに答えるようにか、そんな風に。


−『彼』と『約束』したのは、一人だけじゃないのよ?−



「一応、予定通りですね。」
「まあな…ん?」



―それは、想定外のことだった。


「な!?」
「どうしたの!?ピート!」


―患者の病室につき、確認のために冥子の式神・クビラによる霊視を再びして見えたそれ



「な!?こ、これは!!?」
「まさか、あの者が手を回していたというのですか!?」



「こいつ…さっき冥子さんが霊視した時と姿も感じる力もが違う!?」
「『え!?なんです(だ)って!?』」


―それはウマヅラのピエロとでもいうべきか



「やられた!!」
「彼がいますからこの程度では平気だとは思いますが…。」



にや…


「え…?きゃあああ!」
「『美神さん(令子ちゃん)!!!』」


『約束』のための運命はまだこれから…。


++++++++
伏線沢山で考えてフローチャート作って…メモと照らし合わせながら四苦八苦し始めながらなんとか書いた3話目です(おい。)今回ちょっと短くて済みません。戦闘など、最後まで書くと長すぎな気がして区切りのいいトコで分けたら短くなりました(汗)しかし、フローチャート作りながら伏線の収拾のつけ方とか大体決めましたが長くなりそうでOrz。お付き合いいただける方なんて居るのだろうかと不安になった今日この頃です。なお、前回も今回も、読んでくださった皆様、有難う御座います!次回もとにもかくにも頑張りますので、もしよければ宜しくお願いいたします。

というわけでレス返しです。

●ジェミナスさま
楽しみにしてくださって有難う御座います^^はい。ピート登場です。ちょっと色々ありまして、彼は重要人物になってしまいました(まだ他にも重要人物が…2名ほどいる予定です。)

●光と闇の仮面さま
はい。怒涛の如くの出会いの嵐です。前回に引き続いて楽しみにしてくださってるようで、毎度有難う御座います^^次回もお楽しみにw

●masaさま
>幽霊な横島。覗きし放題じゃないですか・・・。
ある意味そうかもしれませんけれど、彼、女の子にはある意味弱いので凄い剣幕で怒られたりしたら壁抜けとか出来ることを忘れてそうな気がします。
>Gメンって言ってたからきっと西条の生まれ変わり?が出るんだろーなーと思ってたらピートでしたか。
あ、意外でしたでしょうか?GS原作最終話で彼、出ていたのでこうなりました。
それから、続き、楽しみにしてくださっているようで有難う御座います^^頑張りますね。

●黒覆面(赤)さま
>西条と思ったらピートか、しかもなにかしら知ってるし。
うーん、やっぱり意外ですか?(汗)私は西条さんはGメンとは別のことで印象深いです。
>三百年ぶりに出会えた、しかし向こうはこっちのことを全然覚えていない親友との再会って、どんなもんなんでしょうねぇ。
やっぱりある意味辛いものがあるでしょうね−。でも同時に…。
続き、楽しみにしてくださっているようで有難う御座います^^頑張りまっす!

●tomoさま
>ピートが出た瞬間、藁人形ネタ来るかと思いましたが
あはは。ピートと横島といえば必須でしょうと思ってやりました。
>今後の展開がすごく期待できるのですが、設定がイマイチわからないせいか、
>やっぱり読んでて多少の違和感があります。
>できれば少しずつで良いのでその辺をうまく盛り込んでいただけると助かります。
これについては解りづらくって済みません。あえて少しずつ明かそうという意図があるのですが…ちょっと工夫してみますね。

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