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「妙神山のただおくん17(GS)」

のりまさ (2005-10-17 20:46/2005-10-17 21:51)
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<忠夫>
「では忠夫さん、栄光の手を発現させてください」


 神剣を構えた小竜姉ちゃんが真摯な瞳で僕を捕らえる。言われた通り、僕は最近覚えたばかりの栄光の手を右手に出す。最初は出すのに苦労したが、今ではかなりスムーズに発現できるようになった。
 今日は小竜姉ちゃんと修行。修行の時のお姉ちゃんは普段と違って凛々しいから好きだ。


「では、次は形を変えてみてください。栄光の手は元々サイキック・ソーサーがあなたの意志に反応して変形、強化されたものです。その栄光の手が変形できないはずがありません」


「うん、分かった」


 僕は取りあえず一番イメージしやすい剣の形を思い浮かべる。小竜姉ちゃんがいつも剣で戦っているから。


 ヒュン!


「お見事です。やはり忠夫さんは想像力に長けますね。他にもできますか?」


 言われたとおり、次に基本バージョンから爪を伸ばしたり、拳状の栄光の手を伸ばしたりしてみる。


「さすがですね。忠夫さん、いつも言っていますが単純な霊力では人間は神魔族には適いません。人間はそこを人数や作戦で補うわけです。が、それだけでは一対一の場合では勝てませんし、作戦を練る暇もなく戦いになった場合はそれで終わりです。だから人間が神魔族に正面から勝つには、数少ない勝っているところを伸ばすしかありません。忠夫さん、人間が神魔族に勝っている部分はどこですか?」


 これは確認だ。いつも訓練の前に言い聞かされていること。


「想像力と創造力」


「そうです。神魔族は誕生した瞬間、その存在のあり方が決まっています。故に大抵の神魔族は考え方が固定化されています。ですが人間の想像力と創造力はそれと比べて異常に高い。それは応用力があるということです」


 小竜姉ちゃんの想像力も時々異常に高いと思うけど、今は黙っておく。


「あなたの霊力は一般人や、プロのGSと比べてもかなり高い方ですが、神魔族と比べればどうしても見劣りせざるを得ません。ですから、考えなさい。戦いの最中も常に新しい手を考えるのです。もちろん戦いの最中に集中しなければ死にますから、戦いに集中しながらも無意識の内に考えなさい。常に想像し、それを霊能力として創造するのです。分かりましたか?」


 頷く。栄光の手などはその人間の想像力と創造力の産物らしい。


「ではいきますよ。ハアッ!」


 凄まじい速さで迫ってくる小竜姉ちゃんの神剣を、僕は霊波刀に姿を変えた栄光の手で迎え撃った。


妙神山のただおくん〜小竜姫様、テンパる〜


<小竜姫>
 本気を出していないとはいえ、私の剣を次々と捌いていく忠夫くんを見ていると自然と笑みが零れそうになります。今まで剣技は基本しか教えていませんでしたが、今私の剣筋を見て、すぐにそれを真似し、さらには改良させて攻撃してくるのだから大したものです。もちろん改良した攻撃は大抵失敗している場合が多いですが(私の数百年間積み重ねてきた剣技はそこまで甘くはありません)、それでも失敗したらしたで新たな使い道やさらなる全く違った改良を思いついてきます。
 教えたことをここまで吸収して私に返してくれる。師匠冥利に尽きますね。


「さあ、忠夫さん考えるんです。私の剣に集中しながらも何か新たな手を、常に考えるのです!」


「くうっ!」


 修行の時は私と忠夫くんは姉と弟ではなく師匠と弟子になります。ですから私も私情はできるだけ抑えてます。まあ、時々抑えきれない時もありますが
 正直師匠と弟子になっている間が寂しくないかといえば嘘になりますが、これも全て忠夫くんのためです。最近忠夫くんの周りがどうも騒がしいです。ここ数ヶ月で人界でも珍しいほど強力な悪霊に二度も出会っていますし、時々忠夫くんの周りでシャッター音が聞こえます。私が守れればそれが一番ですが、二十四時間常に側にいるわけにもいきません。いえ、私はそれでも全くおっけー、むしろバッチこーい!って感じなのですが、忠夫くんにもぷらいばしーというものがあります。
 残念です。


「よし、こうなったら!」


 私が少し大振りしたのを逃さず、忠夫くんは距離を取りました。栄光の手は接近専用の能力。忠夫くんには他に遠距離攻撃のできるサイキック・ソーサーがありますが、それが通用しないのは分かっているはずです。


「いくぞ、小竜姉ちゃんに隠れて深夜に見ていたテレビから思いついた新技!」


 ……後でお説教です。

 忠夫くんは右手を引いて、咆哮と共にそれを突き出しました。


「くらえ!


無限パーンチ!


 ガシンガシンと音を立てながら拳状の栄光の手が伸びてきます。

 面白いですが、技としてはまだまだです。直線状の攻撃など横に避けるだけであっさりと……


「!?」


「言ったはずだよ、これは無限のパンチだって!」


 避けたはずの栄光の手は蛇のようにうなって私を追いかけてきます。また避けますが、それでも追尾してきます。しかもきりがありません。忠夫くんにこれほどの霊力があったのでしょうか?


「小竜姉ちゃんが言ったとおり、霊能力は想像力と創造力! 僕の見た、僕が想像する無限パンチは相手を捕らえるまでどこまでも追い続けた! その無限パンチを想像したんだからこうも伸び続けるんだよ!」


 なるほど、ただ見ただけで実際に存在しないことをここまでいめーじできますか。お見事です。
 ですが……。


「あ、あれ? なんか疲れが……」


「確かにその想像力は見事ですが、無限に伸び続ける分、霊力の消費も激しいです。その上その間に接近されたら打つ手はありませんよ」


 私は言葉通り腕を避わしながら接近します。よく頑張りましたが、これで終わりです!
 気合と共に私は神剣を振り下ろしました。


 が。


「サイキック・ソーサー!? 右手の栄光の手と同時に展開したというのですか!?」


「僕だって、まだ立ち止まってはいらえないんだ!」


 左手で出したサイキック・ソーサーで防いだ忠夫くんは、最近見せるようになった男の顔をしています。


 ドキン。


 あれ?


「隙有り!」


 私が一瞬惚けたのを見逃さず、忠夫くんは私の剣を奪いに来ました。すぐに我に返った私も取られまいとしますが、体勢を崩した私は忠夫くんと共にもつれてそのまま転がってしまいます。


「いてて……」


 目を開けると、忠夫くんの顔が目の前にあります。可愛いだけでなく、凛々しさも見せ始めた忠夫くんの顔が……。


 ドキン。


 な、なんですか今の胸の高鳴りは! ちょ、ちょっと待ってください。確かに私は忠夫くんの事が大好きですし、愛してもいます。この世のなによりも、誰よりも愛している自信もあります。
 ですが、それはあくまで可愛い大事な弟としてだったはずです。こんな胸の高鳴りを感じるなど……これではまるで恋しているみたいじゃないですか!


「お、お姉ちゃん? どうしたの?」


 固まったきりの私に忠夫くんが不思議そうに聞いてきます。はっ、こんなことしている場合じゃありません。


「ていっ」


「ぐえっ」


 つい私は忠夫くんの首元にちょっぷを叩き込んでしまいました。


「た、忠夫さん! いついかなる時も油断してはいけないといったはずですよ!」


 私は顔が火照っているのを自覚しながら、それを見られないように後ろを向きました。


「うう、酷い……」


 確かにちょっと卑怯でした。ですがあのままではこっちが危なかったのです。ごめんなさい。


「きょ、今日の修行は終わりです。汗を流してきて結構です!」


「そ、そう? じゃあ分かったよ」


 忠夫さんは不思議そうにしていましたが、すぐにまあいいかという風に風呂場へと向かいました。いつもならこの後超加速を利用して風呂場に先回りするのですが……。


「おかしいです。こんなこと、あるはずがありません」


 そうです。ありえません。年下の人間に、しかも未だ十代前半で昔から弟のように思ってきた忠夫くんに恋心を抱くなんてありえません!
 いえ、よく考えれば私は恋などしたことありません。ずっと修行の日々でしたからそれは当たり前なんですが……そういえば私ってあまり修行者以外の男の人とあまり話したことありませんね。神界の人とはあまり話す機会もありませんし……。というか修行以外で手を繋いだことがあるのって忠夫くんが初めてなんじゃないですか!? うう、私の青春って……。


 って話がずれました。そうです。私は恋などしたことがないのですからこれが恋心かどうかなんて分かるはずがありません。そうです、きっと勘違いに決まっています。そうに決まっています。確かに最近の忠夫くんはとても男らしい顔を垣間見せるようになりましたし、その顔を見せるようになった原因が私ではないことは少し悔しいですが……ってまた話がずれました。
 ですから、私が言いたいのは、私のこれは勘違いだということです。いや、だっておかしいじゃないですか! 十代前半の忠夫くんに何百歳の私が恋するなんて、それじゃまるで、


「それじゃまるで私が変態さんみたいじゃないですか!?」


「事実その通り、疑いようもなく変態さんなのねー」


「いえ、だから違うんです! これはそう、私の勘違……い……?」


 ヒャクメ? いつからいたのですか?


「それはありえないのねー。私が今小竜姫の心を覗いたところ、小竜姫が忠夫くんに感じている想いはまさしく……」


 ゴスッ


「はっ! 私は今までどうしていたのねー?」


「いえ、急に倒れていたから急いで介抱したんですよ。少し働きすぎじゃないですか? 別の所で


「そうでもないはずだけどー。うーん不思議なこともあるものなのねー」


 ヒャクメはとても不思議そうにしていました。


 竜神族秘宝の薬を使わずに済んでよかったです。これは使ったら記憶どころか言語能力その他諸共失うという物騒なものですからね。まあ、覚えていたら使っていたかもしれませんが。


 ですが結局私の心は解決していません。私は一体どうしたというのでしょうか? こんなこと生を受けて数百年、一度も感じたことがなかったというのに……。


 その日、結局忠夫くんの顔はまっすぐ見れませんでした。老師もおキヌちゃんもとても不思議そうにしていましたが、タマモちゃんだけは私に視線を鋭くしていました。


 続く


あとがき
 ラブコメ編です。最近小竜姫様がオチキャラになったという声を聞きますので、今回はヒロインです。小竜姫様はやっとのことで忠夫を弟としてではなく男として意識しはじめました。今は姉的愛と恋的愛が半分半分くらいです。偶にはラブリます。
 さて、両親編が見たいという声がちらほら出てきましたが、実は何も考えていません。いや、だって一本丸々両親のストーリーって難しいんですよ。何かネタが思いついたら書こうかと思いますが、当分出てくることはないと思います。いや、ネタはあることはあるのですが、書くとしたらもっと先ではないといけない話なんです。
 ちなみに今回出た無限パンチはある最近まで放映していたあるロボットアニメのパロディです。ガンダムと違って知っている人はあまりいないかもしれませんが、私は大好きなので入れました。本当は原作と同じように三角の枠を作って中に技名を入れたかったんですが、難しいので止めました。へたれでごめんなさい。

 さて次はどうしようか、いくつか案はあるのですが、決め切れません。そろそろ中学編に行こうかとも思っているのですが、小学生編で遣り残したこともある気がしますし……。まあ、次のお楽しみにしておいてください。

 ではこの辺で。

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