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「妙神山のただおくん12(GS)」

のりまさ (2005-10-10 00:46/2005-10-10 09:20)
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<小竜姫>
「忠夫さん! これはなんですか!」


 お風呂に入ろうとして浴室で着替えてた僕の所へ、小竜姉ちゃんが大声で戸を開けて入ってきた。


「……まあ、立派に成長しちゃって……ぽっ」


 ちょうどズボンとパンツを一緒に足首までずり下ろしていた僕は一瞬固まり、すぐに再起動してある一点に目を集中させている小竜姉ちゃんに怒鳴った。


「しょ、小竜姉ちゃん! 開ける前に声ぐらい掛けてよ!」


 少し前まで一緒に入っていたとはいえ、さすがに着替えを覗かれるのは恥ずかしい。
 僕は後ろを向いてズボンを上げると、目がギラギラしてる小竜姉ちゃんに向き直った。


「ん。それで、どうしたの? 何か用があったんでしょ?」


「(じ〜)……はっ、そうでした。これは何ですか忠夫さん! 私は今までこのような紙を見たことありませんでしたよ!?」


「あっ……それは……」


 小竜姉ちゃんがふんっと鼻息をつきながら目の前に突き出した紙には……


『父兄参観のお知らせ』と書いてあった。


妙神山のただおくん〜小学生のただおくん さんかんび〜


<小竜姫>
「だって……言ってもこれないと思ったんだもん。小竜姉ちゃんは管理人さんのお仕事があるし、ヒャクメ姉ちゃんはいつ来るか分かんないし、キヌ姉ちゃんは幽霊さんだし、おじいちゃんに至ってはサルじゃん


 お風呂から上がった忠夫くんは私の前で正座しながら今回の件について釈明しています。
正直、授業参観なるものがあるとは知りませんでした。家では見れない、れあな忠夫くんが見られるちゃんすだというのに……。


「どうせ来れないなら、皆に言ったって余計な気遣いさせるだけだと思ってさ」


「のお、忠夫よ。お前の考えも分かるが、わしらは家族じゃ。血は繋がってなくともな。わしが小竜姫を本当の娘のようにおもっとるように、わしはお前を本当の孫にようにおもっとる。それは小竜姫やヒャクメ、おキヌも変わりはないぞ?」


「そうですよ忠夫さん。あなたはもっと私たちに甘えていいんですよ?」


 むしろ思いっきり甘えて欲しいんですが……。


「そうなのね〜。忠夫くんは私にとっても大事な弟なのね〜。多少の無理は利くのね〜」


「私は横島さんに助けてもらったんですよ。少しぐらい恩を返さしてくれってバチは当たりませんよ」


 忠夫くんは少し戸惑った後、とても嬉しそうな笑顔を見せます。


「おじいちゃん、小竜姉ちゃん、ヒャクメ姉ちゃん、キヌ姉ちゃん……ありがとう」


 そこで一度はこの話はお開きになりました。さてどうしましょうか? ここはやはりヒャクメに頼むとしますかね。


<忠夫>
 今日は参観日。いつもは周りがお父さんやお母さんと楽しそうにしているのを寂しく見ていることしかできない辛い日だったけど、今年はそんなことない。やっぱり皆は来れないらしいけど、そんなことなくても皆との家族の絆を感じることができたから。


「あれよこっち、どしたんや今日は? いつも参観日はつまらん顔しよったのに、今日はえらい嬉しそうやな」


 銀ちゃんがランドセルを下ろしながら話しかけてきた。銀ちゃんの席は僕のお隣さん。ちなみに僕の後ろにはなっちゃんがいる。最初はなっちゃんは僕とは離れた席だったんだけど、席が決まった後なっちゃんが先生と二人だけで違う教室で話し合った後、僕の後ろに変更になった。何をしたかは聞かないでおく。


「まさか、小竜姫が来るんか?」


 後ろのなっちゃんが嫌そうに尋ねる。小竜姉ちゃんとなっちゃんは、一時はなんだか分かり合えたようだったけど、少ししたらまたいつもの二人に戻っていた。


「ううん。やっぱり来れないって」


「そか。でもそれならなんで嬉しそうにしとん?」


「へへへ、秘密だよ」


 キーンコーンカーンコーン。


 先生が入ってきて、朝のホームルームが始まる。授業参観は昼からだけど、みんな少し緊張しているみたい。僕はそんな心配する必要がないからリラックスしながら先生の話を聞いている。
 そうだよ。あの日から僕は、もう寂しくなんかないんだ。


<小竜姫>
 ふふふ、そろそろ時間ですね。こっそり参観に出ることを、忠夫くんには知らせてません。その方が驚きと喜びは大きいですもんね。


「ではヒャクメ、留守番頼みますよ」


「いいの小竜姫? 武神でもない私に道場の留守番を任せるなんて、上が知ったら大目玉よ?」


 ふん、そんなの私の忠夫くんへの愛の前には道端の小石程度の存在でしかありません。それにどうせ今日一日だけですしね。
 ま、ばれなきゃいいんですよ、ばれなきゃ


「では行ってまいりますね、おやつは棚の上にありますから」


「うう〜私も忠夫くんの授業参観に行きたかったのね〜」


 ごめんなさいねヒャクメ。ですがどうしても私が行ってやらなければならないのです。


「そういえば老師とおキヌさんが見えませんが……」


「ああ、老師は神界に用事が、おキヌちゃんは地域での幽霊の集まりがあるって言ってたのね〜」


 そういえばそんなことを言っていた気がします。えらく早くに妙神山を出たことが気になりますが……。
 まあいいでしょう。早く出なければ授業参観に遅れてしまいます!
 私異空間ゲートを通り、学校へ急ぎました。


<忠夫>
 授業参観の時間になって、皆のお父さんやお母さんが後ろに少しずつ集まってきている。みんな後ろが気になってあまり授業に集中できてないみたいだ。
銀ちゃんもなっちゃんもそれは例外ではなく、少し後ろをちらちらしてる。


「は〜いみんな〜。これが分かる人〜」


 先生がみんなに質問を聞くけど、みんな恥ずかしくって手をあげようとしない。少し時間が経って、ようやく上がった手が質問に答えて、授業は進む。
 それで緊張が少しは解けたのか、みんな次々に質問に手を挙げて発表していく。


「あ、銀ちゃんのお母さん来たよ。銀ちゃんのお母さん若くて綺麗だよね〜」


「そうか? 俺は小竜姫さんの方がすごいと思うけどな〜。……いろんな意味で」


「ははは……」


 声が乾いているのは、水分が足りないからだと思いたい。


<小竜姫>
 忠夫くんはどうやら気付いてないようですね。ふふふ、成功です。私が居ると気付いたらどんな顔をするのでしょうか? 驚いた顔をするのでしょうか、それとも喜ぶ顔をするのでしょうか? ふふ、どっちにしても萌えるでしょうね。


「じゃあこれが分かる人〜?」


「「「「は〜い」」」」


 先生の質問に生徒の皆さんが一斉に手を挙げます。ですが忠夫くんはあげてません。忠夫くんはあまりこういうことに積極的ではないですからね。私がここに居ることに気付いたらどうするのでしょうか。もしかしたら私の前で頑張って発表しようと思うかもしれません。そしたら嬉しいですね。


 ……ちょっと霊波を出して気付かせちゃいましょうか。普通の人には分からない程度に弱めた霊波を放出して、忠夫くんに気付かせます。


 ばっ! 


 忠夫くんが振り向きました! 私が手を小さく振ると、少し驚いて、やがて喜色満面といった表情をします。久しぶりに見る素の喜びの表情です! 


ああ、生きててよかった……。


我が人生、一片の悔い無し!


 ってまだ白くなるわけにはいきません。
 忠夫くんは少しの間こちらを見ていましたが、すぐに前に向き直りました。少し寂しいですが、それで先生に怒られるのもいけませんしね。


「じゃあ、この問題は分かる人〜?」


「「「「は〜い」」」」


 すっ……。


 あっ、忠夫くんが手を挙げようとしています。 もう少し、後も少し高く上げて……ああっ、下げてしまいました。少しおずおずとしながら手を挙げようとしている様子はそれはそれで萌えるのですが、やはりここは発表してもらいたいです。
 次に機会を楽しみにしましょう。


「じゃあ、これ〜」


「「「「は〜い」」」」


 あっ、今度はしっかりと手を挙げました。ほらほら先生、忠夫くんが挙げてますよ!


……ああ、先生は忠夫くんの前にいる背の低い釣り目の子を当ててしまいました。正解を言って嬉しそうにしています。くっ、本来はその表情は忠夫くんがしていたはずなのに……。


「ふふふ、カッコいい。なんてカッコいいんだ俺は! 見てたかい、ママー!」


当てられた子はいきなり後ろを向いて手を挙げながら叫び始めました。その人のお母さんらしき人は少し、というかかなり恥ずかしそうにしています。変わった子ですね。


「じゃあ次はこれ〜」


「「「「……」」」」


 今度は少し難しいようですね。自信がないのか皆あまり手を挙げようとはしません。
 あっ、忠夫くんが少しずつ手を挙げてます。頑張って! 間違ってもいいですから!


 はっ、先に先ほどの子が手を挙げようとしています。許しません! 私は超加速を発動させてそれを止めようとし……


 ごすん!


た瞬間その子は机に突っ伏しました。皆にはその子が手を挙げるのを止めただけに見えるでしょうが、武神たる私には違う光景が見えました。

 常人には見えない速度で伸びた棒がその子の頭を突いて気絶させていました。あんなことのできる人は私の知る限り一人しかいません。私は恐る恐る棒の出先を追いました。そこには……。


ろ、老師!


 そこにはさんぐらすをかけて目深に帽子を被ってちっこいおじいさんに変身した斉天大聖老師がいました。老師が得意の如意棒で彼の発表を阻止したのです。


 いつの間に!? っていうか今日の神魔族会議は!? 
 目線で老師に聞くと、老師はにこやかに親指をグッ!


いや、事はデタントに関わりますよ!?


 いや、忠夫くん欲しさにデタント崩壊の危険を冒した私の言うことじゃありませんが。


 まったく、こっそり来たのは私だけかと思ったら……。あっ、忠夫くんが当たりましたね。ですが考えが半ばで手を挙げたのでしょう、立ってから考えてます。
 ああ、頑張ってください!


 心配しながら、ふと窓を見ました。


 ぶっ! 


 そこにはなにやら書いてあるぷらかーどを持ったおキヌさんが浮いていました。幸いなことに教室の中は誰も気付いてません。


 おキヌさんは一生懸命ぷらかーどを振って忠夫くんに見えるようにしています。どうやらそれには質問の答えが書いてあるようですが……。


 ってそれ上下逆ですよ!? ってよく見たらそもそも答えも違いますし!


 あっ、忠夫くんが外のおキヌさんに気付きました。だ、駄目です。それは間違いです。


 こうなったら仕方ありません!


 超加速!


 キュキュキュキュキュ!


 私は超加速で窓の外に出ると、そのままぷらかーどの字を消して正しい答えを書きました。ふう、これで一安心です。
 安心したせいか、超加速が解けました。


 さてここで問題です。超加速はとても霊力を消費します。私は空を飛べますが、それには霊力を使います。そして私は今教室の窓の外で飛んでいますが超加速を使った直後、それも気の抜けた後に空は飛べません。私はこの後どうなるのでしょうか?


1・気立てのよい小竜姫は助かる方法を思いつく。
2・ピンチに気付いた老師かおキヌさんが助けてくれる。
3・落ちる。現実は非情である。


ヒューーーーン……


「た、ただおさ〜ん!」


 ぼすっ!


答え・3、 答え・3、 答え・3


<忠夫>
 あれ、今小竜姉ちゃんの声が聞こえたような……。気のせいかな?


 キーンコーンカーンコーン


「はいっ、今日の授業はここまで。皆はお父さんやお母さんと一緒に帰りましょうね」


「「「「は〜い」」」」


「あれっ、おじいちゃんにおキヌちゃん。二人も来てたの?」


「うむ、よう頑張ったの」


「えへへ、かっこよかったですよ〜」


「そ、そうかな。ところで小竜姉ちゃんもいなかった?」


 確かに見たんだけどなあ。


「そういえばおらんの。ま、留守番しとるヒャクメが心配で先帰ったんかもしれん。ま、偶にはじじいと帰ろうかの?」


「私も一緒ですよ〜」


 お姉ちゃんが居ないのは気になったけど、二人と帰るのは新鮮だったから、今は気にしないことにした。


 家に帰ったらヒャクメ姉ちゃんに腰にシップを貼ってもらっていた小竜姉ちゃんが、恨めしそうにおじいちゃんとキヌ姉ちゃんを見て、二人は顔を逸らしていた。


続く


あとがき
 今回は後半小竜姫に突っ込み役が回りました。みんな暴走してますから。にしても最近小竜姫がへっぽこ属性がついてますなあ。もう少し甘くしたいんですけど、なぜかこうなります。

 さて、次は魔族サイドに話を書こうと思います。時期的には『幼稚園のただおくんのいちにち』辺りになります。

 ちなみに最近の小竜姫の愛情割合は

 母的愛=40% 姉的愛=45% 恋的愛=15%

といった感じです。小竜姫、小学生に恋愛感情持っちゃいました。ま、これが私のほのぼのということで。

 ではこの辺で。

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