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!警告!壊れキャラ有り

「妙神山のただおくん11(GS)」

のりまさ (2005-10-09 00:35/2005-10-09 02:35)
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<小竜姫>
 私は最強の敵である夏子さんの目を見据えます。なんと強いプレッシャーでしょう。これほどのプレッシャーはかつて一度だけ見せてもらった我が師斉天大聖老師の本気以来、いやそれをも上回るかもしれません。

 しかし私の気合もそれに負けているとは思えません。なぜならこれは単なるおいしい役目を勝ち取るための戦いではありません。そう、これはお互いの誇りを賭けた戦いなのです。


 私たちの間に開始の合図はなく、それはただお互いが暗黙の了解の内で始まります。
 夏子さんは私の目を見て、手の内を読み取ろうとします。私も夏子さん目、そして腕の筋肉の動きを見て夏子さんの手を推察します。……しかしそれは罠です。やや分かりやすくした目線や筋肉の動きを餌に、きっと直前でそのモーションを変えて私の裏をかくつもりでしょう。

故に私はそれに引っかからないように無難な手に変更……しません。確かにこのままでは夏子さんの餌に引っかかる可能性が高いですが、その分引っかからなかった時のカウンターパンチの精神的ダメージはかなりのものになるでしょう。早い段階で精神的に優位に立てば、すぐには効果はなくても後々にボディーブローの様に効いてくるはずです。

私は元々戦いにおいては正攻法を好みます。本来なら罠や策略は私の本道から外れる行いでしょう。

しかし、この戦いだけは別です。これは女の、そう女の戦い!。逃げられない、そして必ず勝たなければならないのです!


「「決着をつけよう」」


 夏子さんの覚悟と手も決まったようです。それでは逝きますじゃなくて、行きます!


「「さいしょはグー! じゃんけんほぅい! あっち向いてほい! じゃんけんほぅい! あいこでしょ! あいこでしょ! あっち向いてほい! じゃんけほぅい! あっち向いてほい! じゃんけんほぅい! あいこでしょ! あっち向いて……」」


妙神山のただおくん〜小学生のただおくん けっちゃく〜


<忠夫>
 ? なんかあっちが騒がしいな?


「横島く〜ん、どうしたの〜?」


 いけない、今は冥子ちゃんの特訓中だったんだ。まあ、なんか山を砕いた時のおじいちゃんの数倍の霊圧を感じたけど、気のせいにしておこう。その霊圧が竜のお姉さんと気の強い幼馴染に似てたけど、それもきっと気のせいさ! うん。


「横島く〜ん?」


「ああ、ごめん。そうだね、じゃあ次は式神たちを自由に扱える訓練をしようか。じゃあ冥子ちゃん。まずはどれでもいいから一匹式神を出してくれる?」


「分かったわ〜。マコラちゃんおいで〜」


 うん。一匹だけなら全然問題ないみたいだ。


「じゃあもう一匹出してくれる?」


「う〜ん。ピカラちゃんおいで〜」


 二匹も問題ないみたいだ。そのまま三匹、四匹と出させる。五匹目で少し冥子ちゃんの霊力が不安定になった。


「うん、安全に式神を動かせるのは四匹、使いこなすとなったら三匹ってとこかな。まずはこの三匹を完全に扱えるようにしてみようか」


「分かったわ〜」


 うん、やっぱり冥子ちゃんの霊力はかなり高い。素質もいいみたいだし、こうして少しずつ慣らしていけばいずれ式神たちも暴走せずにすむかもしれないな。


 ……さっきからあっちでプレッシャーが弱まるどころかさらに高まっているのはやっぱり気にしないことにする。


<小竜姫>
「じゃんけんほぅい! あっち向いてほい!」


 くっ! 押されてます! なぜこうも私の考えが読まれるのでしょうか!?


「怖かろう? 悔しかろう? 例え竜神の装備を纏おうと! 心の弱さは守れんのや!」


 このままでは負けてしまいます。そして忠夫くんは夏子さんに……。


 脳裏に忠夫くんとのまぶしいばかり日々が浮かびます。

 不安定ながらも初めて走れるようになって、抱きしめたら満面の笑みを浮かべた忠夫くん。


 一緒にお風呂に入った時の背中の流しっこで、届かない私の背中を頑張って流そうとした忠夫くん。


 寝る時にいくら戻してもいつのまにかかけ布団を蹴っ飛ばしている忠夫くん。


 初めてお姉ちゃんと呼んだ時、少し恥ずかしそうに、たどたどしくもはっきりと言った忠夫くん。


 イモリと玉ねぎは意地でも食べない忠夫くん。


「これで終わりや! あっち向いてー!」


 私は……私は!


「ほい!」


「くっ!」


私は勝つのです!


「なっ!? それは『秘奥義・顔を動かさない』!


 虚を突かれた夏子さん。今の内にペースを取り戻します!


<忠夫>
 ん? なんだこの霊圧は? 冥子ちゃんでもないし、あっちでもはや別次元のプレッシャーを放っている人たちの霊圧でもない。それにこれはどこか禍々しい。


「横島く〜ん。これって〜」


 冥子ちゃんも気付いたようだ。これは悪霊だ。それも下級魔族並みにまで膨れ上がった! それは確実にこっちへ向かっているようだ。
 うかつ! 冥子ちゃんの強力かつ純粋な霊力に引かれてきたのだろう。あっちで起こってるすごく不純な霊圧がその純粋さを引き立ててもいるのだろう。


「冥子ちゃん、下がって!」


 僕は小竜姉ちゃん直伝のサイキック・ソーサー(命名は僕)を手の平に出すと、姿を現した悪霊に投げつけた。
 でかい! ソーサーは悪霊に命中し爆発したが、でかすぎるため全体で見ると大したダメージにはなっていない。


「くそっ!」


 サイキック・ソーサーは長期戦には向かない使い捨ての技。しかもかなりの霊力を使う上に今日は冥子ちゃんの特訓に結構霊力を使ったから後せいぜい2,3個がいいところだろう。


 なんとかして、せめて冥子ちゃんだけでも逃がさないと……。


<夏子>
 正直、ここまで苦戦するとは思わなかった。『あっち向いてほい』にはつい最近まで知らなかった小竜姫より私の方が一日の長があるし、実戦の勘も学校で毎日鍛えている私には及ばないはずだ。
そして切り札としてヒャクメから脅して奪った借りた心眼をポケットに忍ばせておいたというのに……。


「神の執念、見せてもらったわ」


「……勝負です」


 下手な小細工は無しだ。私は完全な勘でその手を構える。しかし小竜姫は右手を左手で隠した。これは……。


「抜き打ちか。笑止!」


<忠夫>
「くっ!」


 そろそろ避けるのにも体力がきつくなってきた。冥子ちゃんはなんとか無傷だが、僕は数箇所に擦り傷を負ってしまっている。


「ソーサーは後二発。何とかして……、そうだ!」


 僕はこの前見た『五体変形合体する電磁なアニメ』を思い出した。


 ソーサー出し、それに霊糸をくっ付けて回転させる。名付けて……


「サイキック・ヨ〜ヨ〜!」


 僕はヨーヨーで思いっきり悪霊に切りつけた。思ったとおりダメージはやや低いものの、本体のソーサーは爆発せず霊糸に従って戻ってきた。これは使える。


 何度か斬りつけると、悪霊は弱ってきたようだ。霊圧が少しずつ消えていく。
僕はその時少し油断してしまっていた。その一瞬の隙を突いて、悪霊が突進してくる。


「しまっ……」


 避けられない。僕が目を覚悟して瞑った瞬間……。


「冥子のお友達を、横島くんを苛めちゃだめー!」


冥子ちゃんの式神、力のビカラが体当たりをかまし、その隙にメキラが僕を転移させた。そしてバサラが悪霊の視界を封じる。
 僕はそのチャンスを逃さず、特大のソーサーを作ると思い切り悪霊にぶつけた。


<おキヌ>
「ごふっ! 見事や……」


 小竜姫さんと夏子さんの勝負は、小竜姫さんが右手を出す瞬間に左手にスイッチし、驚いて動けない夏子さんに『超絶技・真ん中を突く』で勝利を得ました。


「はあ、はあ、はあ」


 夏子さんはなぜか血を吐いて倒れ小竜姫さんはすごい荒い息遣いになっています。何がそんなに疲れたのでしょうか?


「さすがやな、小竜姫……。私がライバルと見込んだだけはあるわ」


「夏子さん……」


「さあ、行きいな。勝者は敗者の屍を乗り越えて栄光を掴むんやで」


「夏子さん、あなたのことは忘れません……」


「ふっ、私もや。……あの世で私は“あの”小竜姫と互角に戦ったて自慢してくるわ」


 ……なんというか、この人たちもはや最初の戦いの理由、忘れているんじゃないでしょうか?


<冥子>
「すごいじゃない、式神三体をあれほど完璧に操るなんて!」


「ううん、ごめんね〜、横島くん〜」


「えっ、どうして冥子ちゃんが謝るの? 僕が助けてもらったのに」


 横島くんは〜、本当に不思議そうに聞いてくるわ〜。可愛いけど〜、今はその顔が辛いわ〜。


「私が〜、もう少し早く一緒に戦ってれば〜、横島くんはそんなに傷つかなかったかもしれわ〜。なのに私〜、怖くて〜、戦えなかったの〜。お友達失格だわ〜」


 情けないわ〜。今までどんなに失敗しても、ここまで情けなかったことはなかったけど〜、今日ほど自分が情けないと思った日は無いわ〜。せっかくできたお友達を守れなかったんですもの〜。
 横島くんは少し考えて、口を開いたわ〜。


「ねえ冥子ちゃん。僕はこの通り無事だよ。誰がなんと言おうと、冥子ちゃんがどう思おうと僕は冥子ちゃんに感謝してるし、冥子ちゃんが友達でよかったと思ってるよ。それじゃ駄目かな?」


 そう言って横島くんはにっこりと笑ったわ〜。


嬉しいわ〜。「お友達でよかった」なんて初めて言われたもの〜。


冥子こそ〜、横島くんがお友達でよかったわ〜。


<小竜姫>
「さあ、準備は万全や!」


 さんぐらすに口にはすかーふ、そして深くまで帽子を被った夏子さんが言います。変装は完璧ですね。


「では行きますよ! あ〜れ〜! 誰か助けて〜!


「わははは、姉ちゃん金出さんか〜! 金が出せんなら体を出しな〜!」


し〜ん


誰か〜! というか忠夫さ〜ん!


 カア、カア、カア。


 ……。


「あの〜横島さんならもうさっき帰りましたよ? 冥子さんと仲よさそうに」


 おキヌさんが非常に気まずそうに言いました。


「「はいっ!?」」


 その後真っ白に燃え尽きた私と夏子さんは、忠夫くんが向かえに来るまでそのままでした。


 ちなみに忠夫くんには嘘をついた罰として一週間一緒にお風呂に入って身体を洗い合う刑に処したので、まあよしとしましょう。


<???>
 くっ、まさかあの歳であのレベルの悪霊を、助けがあったとはいえ退治してしまうなんてね。あいつの言うことがますます正しく思えるようになった。
 しかし、最近ずいぶんと上の様子がおかしい。あの方は全然こちらに顔を出さないし、指揮を執っているのは全て奴だ。どうもうさんくさいねえ。ちょっと調べてみようかい。


 それにしても……小竜姫は何をやってんだい?


続く


あとがき
 うう、ついに日刊をしくじっちゃいました。いやあ最近きついんですよ。講義を大体一日中取って、バイトも始めて、SSも書き始めて。とまあ言い訳はこれぐらいにして。
 なんか今回は小竜姫が暴走したというより私が暴走しました。おかしいなあ、どうしてこうなったんだろ。ちなみに小竜姫と夏子の戦いは劇ナデを見るとよく分かります。

 日刊の約束は破っちゃいましたが、これからもそれに近いペースで頑張っていくてので、これからも応援してください。最近レスが付くのを見るのが楽しみで楽しみで……。
 ちょっとした一言でもずいぶんとやる気が出るので、もし少しでも面白いと思ってくださればレスを付けてくださると嬉しいです。逆に不満があったら遠慮なく申し上げてください。全ての不満を解決することはできませんでしょうが、できるだけの努力はしますので。

 ではこの辺で。

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