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▽レス始

「GSルシオラ?復活大作戦!!第1話(GS)」

クロト (2005-10-08 20:56)
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「えっと……勝ったのか?」
 自分でもまだ信じられないらしく、ヨコシマが呆然とした顔つきで呟いている。
『ええ、そうよ。GS資格取得おめでとう』
 私はそんなヨコシマににっこり微笑んで(身体ないけど)心から祝福の言葉を贈った。
「あ、ああ……お前のおかげだよ、ありがとな。でもあの娘大丈夫かな?」
 その視線の先にいるのは担架で運ばれていく九能市さん。試合とはいえついさっきまで刃物で斬りつけてきていた相手を本気で心配してるあたり(美人だからかも知れないけど)やっぱりヨコシマはやさしい。ヨコシマ――おまえを、愛している。なんてね。
『大丈夫よ。そんな大怪我じゃないし、医務室で霊的ヒーリングもしてもらえるから傷は残らないと思うわ』
「そっか。そういえばさっき冥子ちゃんいたしな」
『じゃ、控え室に戻って休憩しましょ』
「ああ」
 ようやく納得してコートから出るヨコシマ。そこへ美神さん、いやミカ・レイさんが声をかけてきた。
「やったじゃない横島クン!」
 そう言ってヨコシマの背中をぽんと叩く。
「合格したのよ! もうちょっと喜んだら!?」
「え、ええ。ちょ、ちょっと控え室で……き、気分を落ち着けてきます」
 ようやく実感が沸いてきたらしく、落ち着かない足取りでヨコシマが試合場から出て行こうとする。と、その肩をミカ・レイさんが掴んで自分の方に振り向かせた。
「……っと。ちょっとバンダナ!?」
『え、私!?』
 かなり怒っている様子の声色に私はびっくりして閉じていた眼を開いた。
「あんた何て技使わせてんのよ! 霊力を1箇所に集中すれば確かにそこは硬くなるけど、他の所は全部無防備になってしまうわ。危険過ぎるでしょ!? 防御には使わなかったようだけど」
「え!?」
 その言葉と迫力にヨコシマは動揺の色を浮かべたけど、私は平気だった。
 彼女とは色々やり合った『強敵』と書いて『とも』と読む仲だったから(?)。
『どの道あの霊刀で斬られたら同じことじゃない。それにヨコシマならあの程度の攻撃受けたりしないもの』
 うそぶく私に美神さんはますますヒートアップして、
「あ、あんた布切れの分際で私に反論する気?」
『私も一応小竜姫……様の竜気を受けてるから神器のはしくれよ。ヨコシマが死ぬようなことさせる気はないから、もう少し任せてくれないかしら?』
 前半は真っ赤な嘘、むしろ魔族である私が宿ってるんだから魔具と呼ぶべきでしょうね。でも後半は120%本気だから、睨み合っても気後れしたりしないわ。
 やがて美神さんは根負けしたようにふっと眼をそらすと、
「……勝手にしなさい。でも無様な負け方したら許さないからね!」
 意地っ張りな彼女なりの励ましの台詞を残して、試合場の中に戻って行った。

 一方ヨコシマは無人の控え室に入り扉を閉めた途端、
「ぃいやったぁ! GS横島! なんて甘美な響きじゃあっ!」
 などと騒ぎ出した。私の存在とかさっきの話とかは失念してるみたいだけど今はちょうどいい。時間もできたし、今後のことを考えることにした。
 課題はもちろんアシュ様たちの事と私の身体を何とかする方法だけど、今すぐどうこうなるわけじゃなし、なら私の正体もとりあえず隠しておいた方が良さそうね。さしあたってはこの試験を乗り切るのが先決だわ。
 ……次の相手は陰念という人だったかしら。メドーサの配下で魔装術を使うという話だったけど、今後かかわる事もないみたいだし、いきなり盾をぶつけて済ませちゃいましょう(酷)。
 その次は私とも知り合いになった伊達雪之丞さん。この人は強いけどヨコシマの友達になって色々な事件にも関わっていく人だから、『元の通りに』引き分けか惜敗くらいには持ち込みたいところね。
 ――――って、ちょっと待って。
 確か心眼って、この試合でヨコシマの身代わりになって消滅したんじゃなかったかしら。
 元の通りにいくなら、


 私もここで消滅……ってこと!?


 私は凍りついた。それはもう、ピシャーン、なんて擬音がリアルに聞こえるくらいに。
 こ、これはシャレにならないわ。今度こそ2人で生き残ってバージンロードを歩こうって誓ったのよ(いつ?)。転生早々こんな所で散るわけにはいかないわ。
 落ち着いて、落ち着いて考えるのよルシオラ。それが教訓だったはず。何とか2人とも無事ですむ方法を見つけないと。
 一番手っ取り早いのは美神さんが言ってくれる通り棄権することね。GS資格は無くなるけど、どうせ独立はしないんだから大した事じゃないわ。
 でもこれだと伊達さんのことがフイになるし、美神さんが鎌田勘九郎に殺されてしまうかも知れない。そうなったらアシュ様の計画を……って、彼女がいなくなったらエネルギー結晶もこの世界からは無くなるわけだから計画は当分先送りになるわね。少なくともヨコシマが生きている間は実行されないでしょう。


 ――え? もしかして見捨てた方がいいってこと!?


 ライバルはいなくなるし、ヨコシマも普通のバイト探せば貧乏も脱出できるし危険な目にも合わずに済むし、良いことずくめじゃない。
 う、うーん。でもさすがにそれは気が咎めるわね。ヨコシマは悲しむでしょうし私の身体をつくるのも無理になりそう。メドーサのこともあるしさっきもタンカ切っちゃったし、やっぱり戦った上で生き残る方向でいくべきね。
 で、どうすればいいかしら。勝敗はともかく伊達さんを医務室送りにするだけのダメージを与える必要があるけど、今のヨコシマの実力では難しいわ。前の心眼は覗きをさせて煩悩を溜めてたけど、それは当然却下だしね。となると今からでも特訓させるしかないかしら。ヨコシマはそういうこと好きじゃないけど、今後のことも考えれば無駄にはならないし。
 方針を決定すると、私は騒ぎ飽きたのか椅子に座ってぼーっと休憩しているヨコシマに声をかけた。
『ヨコシマ』
「ん?」
 ヨコシマの視線が動いて私のほうに向いた。
『次の試合まで少し時間があるから練習しましょう』
「練習? 何を?」
『さっきの盾よ。さっきは私がおまえの霊気を操作して出したけど、おまえ自身の実力でもあるわ。だからおまえが出そうと思えば、おまえ1人の力で出せるようになるはずよ』
「そ、そうなのか……? でも面倒だなー。てゆーかお前がいれば必要ないんじゃないか?」
 予想通りの返答。だから次の台詞も用意してある。
『そんなに楽な相手じゃないわ。第一仮にもGS横島を名乗るつもりなら、霊能の1つも使えないとカッコつかないじゃない』
「……そ、それはそうだが」
『それに、おまえが成長すれば美神さんだって』
 とどめの一言。その後は言わなかったが反応は分かっているわ。


「よっしゃー、やったるぜ!!!」


 本当は私のために(以下略)なんだけどね。
 とにかくヨコシマがやる気になってくれたんだから、外に出て練習しましょう。

『――じゃ、ここでやりましょうか』
 私達は今日は使われていない部屋をみつけて中に入った。掌から盾を出す練習だけだから、別に広い場所でなくていいのよ。
『じゃあまず私がやって見せるから、力を抜いて体内の霊気の動きを感じてみて』
「おう!」
 ヨコシマが頷いて目を閉じる。私はわざとゆっくりヨコシマの霊気を彼の右手に集め、その先に例の盾を発生させた。
『どう?』
「ん〜、体の中の何かが右手に流れてくような感じかな?」
『そうよ。じゃあ1度戻すから今度は自分でつくってみて』
「ん? なんで戻すんだ?」
『まだ試合があるでしょ。エネルギーを無駄にしたくないの』
 煩悩を高めて、という方式を採らない以上、今ある資源は大事にしなければならない。投げて爆発させる練習をしないのもそのためだ。
『戻すのはちょっと難しいから今日は私がやるわ。じゃあやってみて』
「おう」
『さっきの感覚を思い出して。霊気が集まって……それが手の先から出て盾になる様子をイメージするの。そう、もっと強く、はっきりと』
「…………」
 ビュウンッ!
 思ったよりあっさりと、ヨコシマの右手の先に盾が出てきた。それも私がつくったのに比べてそう遜色ない代物が。技術的に難しい技ではないんだけど、やっぱり素質があるのね。
「おっ、できた!」
 ヨコシマも喜んでいる。でもこれではまだ実戦には使えない。
『さすがね。後はこれをすぐに出せるようになることと、手の動きに合わせて動くようにすることよ』
「おう!」
 上手くできた事に気を良くしたのか、ヨコシマが元気な声で答えてくれた。
 ――――楽しい。
 体は無くても、こうしてヨコシマともう1度話をしていると心があたたかいもので満ちていくのを感じる。普段はバカやってるけど、あけすけでやさしくて、いざってときは簡単に状況をひっくり返してくれるひと。
 もう失いたくない。
 今度こそ、2人で。
 私はヨコシマが盾を振り回すのを眺めながら、あらためて心に誓った。

『――じゃ、そろそろ戻りましょ』
 しばらくの練習の後、ヨコシマは霊気の盾をほぼ一瞬でつくれるようになっていた。手の動きにもしっかりついて来ている。とりあえずはこれで十分だわ。やり過ぎて疲れさせてもいけないしね。
「おう」
 そして試合場に戻ると、ちょうど伊達さんが対戦相手をボコボコにのしているところだった。
「あそこまでやらなくても実力差ははっきりしてたわ。何てやつ……」
「うわわ……」
 ミカ・レイさんの言う通り、伊達さんは強かった。この人と引き分けるにはよほど上手くやらないとダメね。ヨコシマはさっそく腰が引けてるし。
「あ、そうそう。この先はギブアップは認められないわ。資格が惜しかったら勝っても負けても最後までやらなきゃならないから、あんたも今のうちに覚悟決めときなさいよ」
「へ!?」
 それを聞いたヨコシマの腰がさらに引けて逃走態勢に入る。するとミカ・レイさんが『予測済みです』と言わんばかりのタイミングでその肩を掴んだ。
「あんたはすでに注目されてんのよ! 敵前逃亡なんてマネしたら恥かくのは私なんだからねっ!」
「恥ぐらい何やっ! こっちは命がかかっとんのやーーー!!」
 2人ともある意味真剣なんだけど、なんとなく夫婦漫才みたいに聞こえるのは私が意識しすぎなのかしらね。
「あんたにはそのバンダナがあるでしょ? 私にまで逆らってくれたやつが!」
「あ……そ、そーか」
「ったく、ちょっとくらい男らしいとこ見せたらどーなの……」
「へ?」
 その言葉はヨコシマにはよく聞こえなかったようだ。ちょっとラッキー。
 ――――そしてその少しあと。ヨコシマの次の試合、陰念さんとの対戦が始まった。

「横島さんがんばれーーーっ!」
 観客席でおキヌちゃんがヨコシマを応援してくれている。ヨコシマのことがかなり好きそうだったけど素直ないい娘だったわね。ここでも仲良くできるかしら。
「くっくっく、美神令子の弟子か。じゃあ手加減はいらねえな」
「あぅぅ、あたしゃただの雑用係っスよ。勘弁して〜〜〜」
 陰念さんのタンカに情けない答えを返すヨコシマ。
 この人は小柄だけど実に分かりやすいチンピラチックな見た目をしていた。素人『同然』のヨコシマが怖がるのも無理はないわね。霊力も伊達さんにはだいぶ劣ると思うけどそれなりには強いわ。『前』みたいにエネルギーを貯めこんでない分怪光線を連発できないから、
『いいヨコシマ、作戦通りいきなり盾を投げつけて勝負決めるわよ。準備はいいわね!?』
(お、おう!)
「試合開始!」
 審判の声と同時にヨコシマが霊気を集めて盾をつくりだす。しかし彼がそれを投げるよりも早く、陰念さんが掌から蛇のような形の霊波弾を数本同時に撃ち出してきた。
「!!」
 驚いたヨコシマが盾を投げる構えのまま一瞬固まったけど、私にはこの攻撃は予想できていた。彼は霊波砲を得意とする伊達さんの同門なのだから。
 さっきの練習中に何とか少しだけ貯めておいたエネルギーを眼に集めて放射する。
 バシィィン!
 お互いの霊波がぶつかり合って霧散した。チャンス!
『今よヨコシマ!』
「お、おう!」
 硬直から戻ったヨコシマがもう1歩踏み込んで盾を投げつける。陰念さんは攻撃の直後だし、この距離ではかわしようもない。
 どがーん!
 今回は顔面にもろに命中し、陰念さんは目を回して床に倒れ伏した。
 これでヨコシマの勝ちね。審判が近づいてきてヨコシマの勝利を宣告した。
 上手くいって良かったわ。
 でも次が正念場、がんばらないと。

   ――――つづく。


 あとがき

 さて、陰念戦ですが……思い切りザコ扱いに(汗)。まあ実質2対1だったわけですし。
 でも雪之丞戦はそう簡単じゃないです。内容にはアレな所もありますが……。
 感想くれた皆様ありがとうございます。結構好評みたいでうれしいです。というわけでレス返しを。

○菅根さん
 当人曰く、早く人間になりた(以下略)らしいです。
 いつ叶うのかは作者にも分かってませんが(ぉぃ

○ジェネさん
>そんな恥ずかしい記憶をさらけ出すとは思えんが
 洗いざらい吐かされたそうです。
 横島君は思ってることがすぐ口に出るタイプですから、うまく乗せられて自分から喋ってしまった事もあるみたいで。

○遊鬼さん
>ルシオラがバンダナにいるのに違う女性で煩悩全開の横島とか
 それが今のところ恋愛対象どころか無生物という認識ですから(哀)。

○masaさん
>敵側の情報がほぼGS側にもたらされるってことっすね
 正体を明かす前はあまり妙なこと喋れませんけどアシュ戦まで来ればそうなりそうです。
>ルシオラ同士の応酬
 はるか先の話ですががんばっていきたいと思います。

○柳野雫さん
>これからの女性陣との絡みも楽しい事になりそうで
 横島君も結構もてますからねぇ。ルシオラも大変です(ぉぃ

   ではまた。

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