インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「妙神山のただおくん5(GS)」

のりまさ (2005-10-02 09:25/2005-10-02 12:50)
BACK< >NEXT

<小竜姫>
 朝御飯を食べ終えると、忠夫くんを幼稚園へ送らなければいけません。魔族が狙っている以上あまり外には出したくないのですが、妙神山に閉じこもってばかりもいけません。あまり幼い時期に色々な人と触れ合うことが少ないと人見知りになってしまいます。そもそもここには人間がいないですしね。
 ですが対策はばっちりです。魔族には近寄りがたい属性を持つ神道系の幼稚園に通わせていますし、GSを何人か雇って危険が無いようにしています。江戸…今は東京でしたか、の幼稚園に通わせていますが異空間ゲートを幼稚園の近くアパートの部屋に繋げていますので何かあってもすぐに駆けつけられます。さらに忠夫くんには竜神族の装備であるバンダナを渡していますから、余程のことがない限り大丈夫でしょう。


 えっ、子供一人に日本駐屯用の費用神族の機密である異空間ゲート現存の少ない竜神の装備を勝手に使っちゃっていいのか?


 いいのです。昔から言うでしょう? 神族のモノは私のモノ、私のモノは忠夫くんのモノと。


妙神山のただおくん〜園児のただおくんのいちにち 昼〜


「小竜姉ちゃん、行ってくるね〜」


 幼稚園に着くと忠夫くんは嬉しそうに駆けて行きます。その先にいるのは、確か銀一くんと夏子ちゃんでしたか。忠夫くんととても仲がいいです。…私がつい嫉妬してしまうぐらい。
 忠夫くんが家(妙神山)に呼びたがっていましたが、可哀想ですがさすがにそれは出来ません。異空間ゲートの存在をばらすわけにもいきませんし、数年経ってもう少し物事の分別がついたら教えてあげてもいいかもしれません。彼等ならそれが忠夫くんのためだと言えば決して口外はしませんでしょうし。

 誰にも見つからないように借りたアパートの部屋に戻り、異空間ゲートを通って妙神山に帰ります。今日は老師は神族の呼び出し、ヒャクメは別の仕事で神界に帰っていますから忠夫くんが帰ってくる夕方まで暇です。

 ふむ、どうせ暇なら晩御飯に少し手の込んだものでも作りましょうか。


<忠夫>
 お姉ちゃんたちやおじいちゃんがいる家も大好きだけど、銀ちゃんやなっちゃんがいる幼稚園も好き。二人は大阪ってところから引っ越してきたばかりであまり幼稚園に馴染めていなかったので、僕が最初にお友達になった。今では幼稚園で一番のお友達。


「あ、よこっちや〜」


「お、よこっち。今日は遅かったなぁ」


 銀ちゃんとなっちゃんが僕を見つけて話しかけてくる。僕はそれに手を振って答えながら二人に駆け寄る。
 銀ちゃんはとっても格好良く、女の子皆から好かれてる。遊ぶ時もノリがいいから男の子とも仲良し。もちろん僕も。
 なっちゃんはちょっと男勝りだけど、かわいい女の子。弱い者いじめを許さない、優しい子。そのせいか皆から頼られてる。なっちゃんを好きな子はいっぱいいるらしく、銀ちゃんもそうみたい。


「いつも思うけど、よこっちのお姉さん綺麗やな〜」


 銀ちゃんが笑顔で僕に言って、僕も頷く。銀ちゃんは小竜お姉ちゃんのことを必ずお姉さんという。以前銀ちゃんが小竜姉ちゃんのことを「よこっちのおばちゃん」と言った時、小竜姉ちゃんは言葉では言い表せない顔をして銀ちゃんは泣きかけた。


僕は漏らしかけた


 銀ちゃん曰く小竜姉ちゃんを僕のお母さんだと思ったらしく、お友達のお母さんなら普通はおばちゃんと呼ぶと言ってたが、それ以降他のお友達のお母さんにもおばちゃんとは言わず、必ずお姉さんと呼ぶことにしている。
 ちなみに、それから他のお母さんたちに銀ちゃんは可愛がられるようになった。


「ふん、所詮は年増やないか」


 なっちゃんは少し顔をしかめながら僕に言う。なっちゃんはなぜか小竜姉ちゃんを敵視してる。そんなに会ったことないはずなのになんでだろ? もしかして銀ちゃんが小竜姉ちゃんのことを「美人、美人」言うから嫉妬してるんだろうか? この前そう銀ちゃんに言ったら、「よこっちは鈍いなあ」と呆れた顔をされた。そうかなあ?


「それじゃ、何して遊ぼうか?」


 話を切り出すのはいつも僕。


「鬼ごっこはどうや?」


 提案するのはいつも銀ちゃん。


「それやとよこっちが100%勝つやん。そやなあ、滑り台で遊ぼか」


 決めるのはいつもなっちゃん。


 僕らはいつも一緒。


<小竜姫>
 ふう、暇ですね。晩御飯の仕込みも終わりましたし、今日の忠夫くんアルバムの整理も終わりました。昨日の編みかけの手袋ももう完成しましたし…そうです、忠夫くんの布団の残り香を堪能しましょう。早速忠夫くんの部屋に行って、布団に飛び込みます。

 ああ、忠夫くんのほのかな甘い匂いが…。


はっ、いつの間にやら寝てしまったようです。おや、もうすぐ忠夫くんを向かえにいく時間ですね。そろそろ用意を…。


「ぐあー!」
「まいった!」


 と思ったら門の方で叫び声が聞こえました。鬼門の声でしたし、近くの気配は人間ですから修行者でしょうか。それにしてもタイミングが悪いですね。忠夫くんを向かえに行かなければならないのに…。とはいえこれも仕事、仕方ありません。
 短期の修行を望むならさっさと終わらして、長期の修行を望むなら今日は帰ってもらいましょう

 私は一つため息をついて、早歩きで門に向かいました。


<忠夫>
 もう帰る時間だ。いつもはお姉ちゃんが終わりの時間に時計の秒針が重なった瞬間に迎えに来るんだけど、今日は来ない。昨日はヒャクメ姉ちゃんが迎えに来たけど、今日は何かあったのかな?


「あれ、よこっちはお姉さんまだ来んの?」


銀ちゃんが驚いて聞いてくる。秒針きっかりお姉ちゃんは幼稚園で知らない者はいない。ちょっと恥ずかしい。


「ほんまやね。いつもは来んでいいのにはよ来るのに」


 なっちゃんも不思議がってる。僕も不思議。


「よこっち、俺も待っとこか?」


「ん〜ん、銀ちゃんはお母さん来てるし帰った方がいいよ。きっとすぐ来ると思うし」


「そやな、じゃあよこっち、夏子、また明日な」


 お母さんの手に引かれて、銀ちゃんは帰って行った。


…お母さん、か。


<小竜姫>
「はあはあ、ちくしょうこのカマキリの化け物め!」


 …こっちがちくしょうです。修行者が久しぶりに来たと思ったら、「一瞬で強くなれるような修行をしろ」と言ってきました。尊大な物言いに少しカチンと来ましたが、とにかく早く終わらせて忠夫くんを向かえに行きたかったのですぐ修行場に向かわせました。そして影法師を使ったもっとも短期で終わらせる修行をやらせたのですが…。


「く、強い!」


 計算違いです。彼は二体目の試練の禍刀羅守に一進一退の攻防をしていて、決着が全く着きません。最初の一体と戦い始めてからかれこれ二時間は経っています。
 ああ、早くしないと時間が…。老師はいないから修行を任せることもできませんし、ヒャクメも神界にいるので向かえに行かせることもできません。行かなくていい時にはいくくせに、行って欲しい時にはいないとは…。あの役立たずめ。


「くそ、避けるんじゃねえ!」


 彼の放った渾身の霊波砲はあっさり禍刀羅守に避けられます。一目見て分かりましたが、彼は自分の霊力と筋力で、というかだけで戦うパワー馬鹿です。そのくせタフなので攻撃を食らってもなかなか倒れません。なんせ影法師がボブ・サップ顔負けの上半身裸のむきむきまっちょという時点でパワー馬鹿は決まりです。同じパワータイプの鬼門や剛練武には勝てましたが、高速で動き回る禍刀羅守には通用しません。

 さっさと勝つか負けるか死ねばいいのに一向に勝敗が着く気配がしません。おそらくもうお迎え時間は過ぎたでしょう。早く忠夫くんの笑顔を見て今日一日の疲れを癒し、一緒にお風呂に入って心と体を癒し、御飯を美味しそうに頬張る忠夫君を見て…


 …結構長い間トリップしていたというのにまだあの男は戦ってます。


 ああ、もう! 時間が!


<忠夫>
 お姉ちゃんはまだ来ない。どうしたんだろう…。


「よこっちまだお姉さん来んの? どしたんやろね」


 なっちゃんがさすがに少し心配そうに話しかけてくる。なっちゃんの両親は共働きでいつもお母さんが来るのは最後の方らしいんだけど、そのお母さんが来てもお姉ちゃんは来ない。


「夏子、横島君には悪いけど、もう帰りましょ? お父さんももう帰ってくるし」


「でも…」


 なっちゃんは優しいから、僕一人を置いていくのに躊躇ってる。でも僕のせいでなっちゃんのお父さんを待たせたくない。


「夏子ちゃん。先生たちが一緒に横島君と待ってるから、先にお母さんと帰りなさい」


 先生がそう言うと、なっちゃんはしぶしぶ頷いてお母さんに手を引かれて行く。二人にさよならを言って僕は先生と教室で待つことにした。


 お姉ちゃんはこない。


 僕はお母さんとお父さんがいない。理由は知らないけど、僕をお姉ちゃんのところに預けて遠い外国に行ってしまったらしい。

 どうして僕を置いていっちゃたんだろう。


 僕が足手まといだから? 僕が必要ないから?


 お姉ちゃんが来ないのも僕がもういらないからかな。足手まといにならないように、一人で寝るように寂しいのを我慢したり、おねしょしたりしないように頑張ってたけど、やっぱり足手まといだったのかな。


 …そんなのは嫌だ! お姉ちゃんたちやおじいちゃんたちに捨てられたくない!


 僕は足手まといじゃない。お姉ちゃんがいなくても独りで家に帰れるさ!


「あら、横島くーん。どこ行ったの? …横島く〜ん?」


 続く

 あとがき
 ふふ、気になるところで終わらせました、今回はほのぼのシリアスです。
 原作の横島の煩悩が寂しさの裏返しだと思うのは私だけでしょうか? 美神令子が寂しさをお金で埋めたように、横島は煩悩で寂しさを埋めていたと思えます。まあ脳内設定ですが。
 なにしろあの親ですから一人前の男になるよう、愛情はあっても結構突き放した教育をしていたんだと思うんですよ。それに加えて自分を置いてのナルニア行き。寂しくないわけはないと。美神に引かれたのもその体に母性を感じたからではないでしょうか。今回の忠夫くんは自分が置いていかれたのは足手まといだからと思っているのでそれはさらに深刻です。捨てられたり置いていかれるのをとても怖がってます。

 さあ、寂しさを恐れるあまりに、自分を追い詰めてしまった忠夫くん。そんな忠夫くんの状況を露知らず修行者に八つ当たり気味にいらだつ小竜姫様。あ、ちなみに修行者は別にゆっきーとかじゃありませんから。言動とか似てますが、全くの脇役です。

 レス返しはしたいんですが、そろそろっつーか明日から学校が始まるので更新を最優先します。レスしてくれた方には申し訳ございませんが、レスはちゃんと全て目に通していますので、これからもレスしてくれると嬉しいです。
 その分日刊を目指しますのでご容赦下さい。

 さあ、忠夫くんは無事家に帰れるのでしょうか? 次は園児の一日 夜編です。ではこの辺で。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

G|Cg|C@Amazon Yahoo yV

z[y[W yVoC[UNLIMIT1~] COiq COsI