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!警告!壊れキャラ有り

「陰界第十四話 (GS+??)」

ルナ (2005-09-26 20:12)
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 闇に紛れ、蠢く影が二つ。
 一つは多数の人間を連れ。
 一つは影に隠れて。

 一人の人間を求めて突き進む。

 その影達の名は……


「へぇ〜横島さんのお父さん、外国に行ってるんですか?」
「うん、ずっと前に写真見せて貰ったんだけど緑しか無いの」
 空港にて、椅子に腰を下ろして楽しそうにしている横島。
 その隣には仕事が終わって偶然出会ったピートが座っていた。
 和やかな二人の雰囲気に、乗客達は知らず知らずの内に笑顔を浮かべている。

 本日、空港へは横島の父親が一時帰国すると聞いて迎えに来たのだ。
 というよりも……横島が迷子にならない様に。

「横島さんのお父さん、どんな人なんですか?」
 何気なくピートは問いかけた、横島がそれに答える前に。
「きゃー!!!」
 遠くから女性の悲鳴が聞こえてきた。
 反射的に右手に力を込め、声の聞こえた方へ視線を向ける。
 隣の横島の方はのほほんとして、座ったまま。

「大樹さん……今度はいつこちらにいらっしゃるの?」
「今夜は……あの、私の部屋に泊まりませんか?」
「料理を作って……待ってて良いですか?」

 多数の女性を連れ、一人の男が微笑んでいた。

「すまない……麻美君、泉水君、卯月君……
 今夜はもう予定が決まっているんだよ」

 申し訳なさそうに答え、男は持っていた荷物を床に置いた。
 男の言葉に女性達は落胆の色を見せ。
「その人……一体どんな人なんですか?」
「今夜は……一人息子と一緒に過ごすんだ」
 グッと拳を握り締め、男は顔を上げる。
 そこには……修羅が居た。
「へ?」

「貴様!!忠夫に何をしている!!!」

 睨み付けられたピートは呆気に取られ、反応出来ずに居た。
 男は握り締めた拳を思いっきりピートの顔面目掛け、振り翳した。
「さては純粋無垢な忠夫を連れ去り、ご主人様と呼ばせようって魂胆だろう!?
 貴様の様な奴の考える事は全てお見通しだ!!!」
 顔面を殴られるも、バンパイアハーフのピートにダメージは無い。
 最も、肉体的にではなく……精神的にはかなり来たが。
「!!??」
 頭上に巨大なクエッションマークを出現させ、ピートは男と横島の方を見比べる。


「お父さん。こんな人だよ」

 横島は殴られたピートの顔を撫でながら、そう答えた。


 横島大樹、それが彼の名だった。
 どうにか横島によって自分が友人である事を理解して貰い、殴った事は謝罪して貰えた。
「いや〜!悪い悪い、こいつ妙に変な奴に好かれる事が多くてさー」
 謝罪はしてくれたのだが、その表情は全く悪びれていなかった。
「変な……奴、ですか?」
「あぁ……道を歩けば変質者に。
 電車に乗れば痴漢に。
 ちょっと目を離せば誘拐犯に……
 かなり目を離せば悪霊野郎に……」

 よく無事でしたね。

 ピートには横島の持っている鈴や人格がそいつらをどうにかしたんだろうなぁ……と予想が容易に出来た。
 大樹は自分の言葉に拳を震わせ、懐に入れておいたナイフと拳銃を取り出す。
 空港で引っ掛からなかったのだろうか?
「一応、赤髪になればそーいう奴も来なくなるからな。
 こっちで一人暮らしを許したんだが……お前が密かに狙ってたら、撃ち殺しちゃうぞ?」
 笑顔でのたまう大樹にピートは青ざめる事しか出来なかった。
 しかも、大樹の握り締めているナイフからは……独特な念が感じられる。
「とりあえず、こいつは護身用にやる。変な奴が近づいてきたらこいつで殺れ。
 希少金属の採掘現場を襲って来たゲリラから巻き上げた奴だぞ」


 リリリリリリンン!!!!

 横島の手にナイフが渡される寸前、ポケットの中の鈴が邪気に反応して高く鳴り響く。
 それに合わせてナイフからどす黒い闇が放出され、空中で引き裂かれた。
「……流石です」
 良い仕事をした鈴へピートは小さく拍手をした。
 闇が抜けたナイフはまるで清めたかのような光を発している。
 身に宿した邪気を鈴で祓われ、ピートは眩しさで目を細めた。
「有難う、大切にするよ」
 渡されたナイフを持ち、横島は満面の笑みを浮かべた。
 浮かべる笑顔を見、大樹は満足げに頷いて歩き出す。
「とりあえず先に会社の用事を終わってから飯にするぞ、友達も来るか?」
「いえ、僕は戻ります」
 小さく頭を下げ、去ろうとしたピートだったが……


 ぞわっ


 背筋に何かが走り、回れ右をして大樹の方へと戻る。
「すみません、やっぱりご一緒させて貰っても良いでしょうか……」
「わぁ!ピート兄ちゃんも一緒?」
 嬉しそうに腕に抱きついてくる横島に引きつった笑みを返しつつ、ピートも歩きした。

「……本当に忠夫狙いじゃないよな?」
「しつこいですよ」

 ピートに懐く横島を見、大樹は小さく笑う。
「そういや、お前に預かった物があったな……」
「預け物?」
 歩きつつ、手持ち鞄の中に入れてあった巾着を横島へ手渡す。
 巾着は小さく、手の平に収まる程度。
 ピートの腕から手を離し、巾着を開けてみると……中には赤いビー球が入っていた。
「??」
 横島にはそんな物を預けた記憶は無いのだが、なんだか懐かしい感じがする。
 こうして持っていると、妙に心が落ち着く。
 軽く球を握り締め、大事に預かっていた大樹へ礼を言う。
「有難う……けど、これいつから預かってるの??」
「それか?俺達がナルニアへ行く時、銀髪状態で渡してきたんだ。
 『次逢う時まで……預かって欲しい』ってな?」
 だから一時帰国して来た今回、荷物の中に入れて来たのだ。
 話を聞けば、母もこのビー球を色違いで預かっているらしい。
「ふーん?」
 手の中でビー球を転がしつつ、横島は首を傾げた。


 一体このビー球は何なのだろう?と疑問に思いつつ。


 会社に着くと、社員の女性に囲まれ……身動きが取れなくなってしまった。
「横島部長!」
「今夜一緒に過ごしませんか?」
「お願いします!」

「すまないね……美奈子君、麻里子君、綾君……君達との仲は終わったんだ。
 私の事は忘れたまえ」
 巧みに女達の壁を歩きつつ、大樹は前へと進む。
 横島とピートはラウンジで待つように言われていたので、無理に動こうとはしていない。
「凄い人ですね……横島さんのお父さん……」
「そうだねぇ〜」

 ぞくっ!!!

 ノンビリ横島と会話をしていたピートだが、またも背筋に冷たいものが走る。
「っ?!」
 反射的に振り向くが、そこに怪しい存在は無い。
 横島の鈴も反応していないので、気のせいか?と思ったのだが……それは間違いだった。


「余の物にな〜れ〜!」
「「っ!!!?」」
 リリリリリリン!!!!

 ワンテンポ遅く、鈴の音が鳴り響く。
 一体何事!?と思って横島に目を戻せば、そこには見覚えがありすぎる顔があった。
 全身はボロボロ、立っている事すら困難な程疲労しているブラドーが立っていた。

 何故こんな所に?
 っていうか、今昼だぞ!?

 疑問が大量に出、ピートも横島も動く事が出来ずに居た。
「ふっ……流石の余も、太陽の光は苦しい……」
 そう言い残し、ブラドーは横島に身体を預けた。
「しかし、苦しくとも……お前を手に入れる為ならば……
 これも愛の試練として受け止めようぞ!!
 さぁ!!余と共に来るのだ!」

 次の瞬間、様々な事が起きた。

 横島の髪の色が変色し、ブラドーへ右ストレート。
 ピートの左ストレートが見事に入り。
 二人の攻撃によって舞うブラドーへと……大樹のムーンサルトキックが決まった。


「会社での用事も終わった!!
 さぁ!飯に行くぞ!」
「おう!上手くて高いもん食わせろよ!」
 息がピッタリな二人はサッサと会社を出て行く、ピートは気絶した父を日の当たる場所に放置して二人の後を追いかけた。
「ぅ……余は……絶対に……諦めないぞ……(がくっ)」
 身体から煙を出しつつ、父は掠れた声で呟いた。

 その後、部屋に住むマリアや幸をナンパし……見事に撃沈する大樹の姿や。
 部屋に夜這いに来たブラドーがカオスの発明で無に消えそうになったり……
 色々あったが、特に何事も無い平和な一日だった。


第十四話 終


きっと忘れ去られていた事でしょう、とりあえず生きています。

待っていてくださった方。
この話がどうでも良いやと思った方。
一人でも待っていて下さった方が多ければ幸いです。

闇に紛れ『親父』達が襲来です。
ちゃんと壊せたかドキドキですね。

柳野雫様>なんせ普通でしたら不安で生活なんて出来ませんからね。
ですが、この力によって問題は先へ伸ばされてますね。
黒髪横島は柳野様の可愛らしい横島君でぽわ〜んとしつつ書かせて頂いております。
本家萌えさせれば幸いです。(拳振り上げ)

紫苑様>仲良しになりました。
これから小竜姫様には色々とやって貰わないといけない事が多いので。
・・・道のりは長いですが。

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