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▽レス始

「陰界第十三話 (GS+??)」

ルナ (2005-05-30 20:20)
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「あら?」
 小竜姫は大勢の人間達の中で、見知った顔を見つけた。
 少し前に自分が壊してしまった修行場、それを直す為に集ってくれた者達。
 様々な人間が居るので、それなりに多色に染められた髪が目に入る。
 その中でも目立つ赤い髪。
「貴方は帰らなかったんですか?」
「はい、ちょっと生活苦しいんで……ここでバイトして行きます」


 そこに居たのは、赤髪の横島だった。


 実際は人数が多いだけで、それなりの生活を送っている。
 だが……赤髪時の給料は雀の涙。
 自分が出ている間は本を買う事も、ジュースを買うのも苦しい。


 ツルハシ片手に赤髪は工事現場の仲間の指示に返事を返していた。
 下手すると他のベテランの者達よりもその動きは良い。
「……」
 その姿を見、小竜姫は複雑そうな表情を見せる。
 ジッと見つめる小竜姫の視線に気付き、横島は手を止めた。
「あ……あの?」
 あまり女性にジッと見られる事が無いので、横島はいつもの様に飛びつくタイミングを失ってしまった。
 その表情があまりにも真剣なせいか、目を逸らす事すら出来ない。
「おーい、横島!そろそろ弁当食うぞー」
「ちょっとなら分けてやるよ、こっちこーい」
 聞こえてきた声に反応し、真紅の髪は漆黒の色へと変化して行った。
 まるで小竜姫から逃げる為に。
「え?本当?」
 声を発した仲間の方へ小走りで向かう横島を見、小竜姫は小さく微笑んだ。
 だが、その笑みも……すぐに鋭い眼差しに変わってしまったが。
「あっ……いけない」
 自分の表情の変化に気付き、小竜姫は軽く自分の頬を叩いた。
 軽く頬に紅葉が残ってしまったが、表情から険しさは消えた。


「……邪気に満ちた……神聖な人間……か」


 横島は、仲間から弁当を分けて貰いつつ……考えていた。
 何故、自分が崩壊した修行場でバイトをしているのか……を。
 普段ならば途切れっぱなしの記憶が、今回は一部ではあるが繋がっている。
 けれどおかしい。
 記憶の中の自分は『工事のバイトをしなければ、生活苦しくてやってけねぇ!』と思っている。
 だが、他のバイトをしなくても良い位の貯えはちゃんとあるのだ。


 矛盾している記憶と思い。
 ウインナーを口に銜え、横島は悩んでいた。
「ん〜……分かんないなぁ」
「どうしたんだ?」
 弁当を分けてくれた仲間が声をかけてくれる。
 その言葉に返事を返すのも忘れ、横島は考え続けた。
 考えつつも、自分に配給された弁当はしっかりと食べていた。


 分からないといえば、小竜姫の事もだ。


 何故自分を見る時だけ、あんなに険しい表情をするのだろうか?
 自分が何かしたのか?
 それとも……自分じゃない存在が何かしたのか?


『聞けば良い』


 背後で、小さく声が聞こえる。
「え?」
 反射的に振り向くも、そこには誰の姿も無い。
 あるのは……瓦礫の山のみ。
「……よぉし!!」
 疑問で頭がパンクしそうになっていた横島だったが、一つ解決させる事にした。
 自分の記憶の喪失と矛盾は、今に始まった事では無い。
 不安なのだが、ずっと考えていると……どうしても『考えてはいけない』とブレーキがかかってしまう。
 なので、今回は小竜姫の問題をどうにかしよう。


「ごちそうさまでした!!」
 そう言うと、横島はゴミ袋の中に弁当を突っ込み。
「小竜姫ぁー!!!」
 力いっぱい走り出した。
 その姿を見た仲間達はにこやかに。
「いや〜……やっぱり子供が一人居ると雰囲気が和むなぁ」
「本当本当」
 ……横島が高校生なのは、ちょっと頭から消えている様子。


「小竜姫様!!」
「っ!!」
 目の前に出現した横島に、小竜姫は目を丸くさせる。
 気配が近寄って来ているのは分かったのだが、まさか横島とは思って無かったのだ。
 反射的に手は腰の剣に伸ばされていた。
 もう少しでも近くに寄っていれば抜刀していたかもしれない。
 その身に宿す邪気に反応して。
「な、何ですか……?横島さん」
 剣から手を離し、出来るだけ普通に話し掛ける小竜姫。
 最も……その表情は歪んでいたが。
「…………小竜姫様……もしかして、オレの事……嫌ってます?」
 先程の勢いは何処へ行ったのか。
 悲しげな表情を浮かべて小竜姫へと問いかけた。
「へ?嫌ってる……?」
 突然の事に、小竜姫は首を傾げた。
 横島は両手の人差し指を絡ませあい、視線を漂わせる。
「あの……いつも、オレを見る時だけ……怖い顔してるから……」
「こわい……かお」
 小竜姫は自分の頬に手を当て、軽く撫でてみた。
 鏡が無いので分からないが、今もそんな顔をしているのだろうか?


「あの……もしもオレや、オレじゃない人が気に触る事しちゃったんなら……謝ります。
 だから……だから」


 漂わせていた視線を上げ、横島は小竜姫の顔を見つめた。


 『ココロ』が違うだけで、これ程までに……表情は変わるのか。


 上げた顔は、小学生程度の子供にしか見えなかった。
 涙を必死に堪え、訴える姿は見ている者の心に衝撃を与える。
 この子に、こんな悲しげな表情を自分がさせてしまったのか?
 強く抱き締め、この悲しみを癒してやりたい。


 その表情は、見た者にそう感じさせた。


「嫌わないで……」


 その言葉と共に、小竜姫は自らの腰よりも頭を下げた。
「申し訳ありません、横島さん!!」
「ふえ?」
 まさかこんな反応が来るとは思ってなかったので、横島は驚いてしまう。
 それでも構わず、小竜姫は続けた。
「私は神族です、どうしても禍々しい邪気の気配に敏感で……知らず知らずの内に敵意を向けてしまうんです」
 小竜姫の言葉に、横島は小さく首を傾げ。
「……えぇ!!?オレって変ですか!?」
 『禍々しい邪気』が一体どんなモノなのかは分からない。
 だが想像の中では『黒くて〜もやっとしてて〜くらーい感じ!』と想像した。
 ショックを受ける横島に小竜姫は訂正を加える。
「いえ……魔族と同じ位の邪気と……神族と同じ位の聖気を貴方からは感じるんです。
 相反する筈の二つを……同時に……」
 違いすぎる二つの要素。
 最も、それはカードの裏表の様な関係にも近い関係。

 違いすぎるから、近い。
 近すぎるから、遠い。

 光あれば、闇が出来。
 闇があるから、光が存在出来る。


「えっと……」
 頭を抱え、横島は悩む。
 軽く脳内は混乱状態になっていた。
 それでも、とりあえず小竜姫は謝罪して頭を下げてくれた。
「小竜姫様は……『オレ』の事、嫌ってる訳じゃないんですよね?」
「はい」
 しっかりとした返事を聞き、横島の肩からは力が抜けた。
「良かったぁ……別に嫌われてる訳じゃないんだ……」
 その笑顔は、邪気を消し去る程の力を持っていた。
 神である小竜姫ですらも、一瞬ふら付いてしまう程の……


「それじゃあ、オレ!仕事に戻りますね」
 知りたい事は聞けたので、満足げに横島は現場へと戻って行った。
 残されたのは……小竜姫のみ。


「……まるで、赤ん坊の様に純粋な人ね……」
 あれだけ光に満ちていれば、悪霊等が惹かれて寄ってきてしまう。
 だが、同時に感じる禍々しい邪気によって抑制されている。
 なので人よりもちょっと物の怪に好かれる程度になっていた。


「……あれは……一種の結界?」


 ならば、それを作り出したのは……一体誰?


「今度……ヒャクメでも呼んで、見て貰おうかな……?」


 小竜姫は走って行った横島の背を見、軽く微笑んだ。
 もうその表情に険しさは無い。


第十三話 終


 小竜姫様とちょっと仲良くなれました。
 今後の展開にヒャクメが絡めるのか……ちょっと不安と期待で胸一杯です。
 ……って言うか、あのキャラ動かせるのかなぁ……??


 ここ最近は全然小説を書いたり読んだりして無いので、久しぶりの小説にちょっと脳内で混乱が起きました。
 ……というより、ビデオデッキにビデオが詰まって出てくれなくて。
 精神的余裕が無かったって方が大きいんですけどね。

 給料もちゃんと貰える様になったし……ビデオデッキをDVDのに変えようと思案中です。


nao様>横島1/2……(水を被ってタダヨになるシーンが過ぎる)
見てぇ……いやいや、レスに関係無いや。
これからは小出しながらも横島の事を明らかにしたいと思います。
少しでも楽しみにして貰えるように頑張ります。

紫苑様>お久しぶりです、忘れて無くて光栄です。
FFはセブン位しかちゃんとやった事が無いので分かんないですが、あーいう言葉なんですか?
これからも挫けず頑張らせて頂きます。

jgf様>そのまさかです。

右示様>懐かしいです、ついこの間開催されたオンリーイベントに自分は行きましたよ。
けれどまだまだGS世界のままで絡みません。
タイトルの???に明記されるまでは……そこはあまり触れないで下さい。
それと同時に、触れて貰えると物凄く嬉しい天邪鬼な自分が居ます。
あの常軌を逸した人が上手く表現出来るかは……分かりませんが。

柳野雫様>ここの横島君はあいも変わらず、こんな感じです。
色々と裏はあります、作ります。
脳内では既にGS試験のシーンを書きたくてウズウズしてるんですが、まだまだ書けません。
その楽しみを良い意味で裏切れるよう、頑張らせて頂きます!

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