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!警告!ダーク、バイオレンス有り

「仮面ライダー K 3(改訂版)(GS+仮面ライダーシリーズ)」

あんでぃ (2005-08-07 12:34/2005-08-07 12:39)
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お詫び
 先日投稿した第3話ですが、後日読み返して自分でもひどい話だと思いましたので勝手で申し訳ありませんが削除させていただきました。恥ずかしさのあまりもう投稿するのはやめようかと思いましたが、もう一度チャンスをいただきたいと思い投稿しました。読んでいただけるなら幸いです。


 第3話改訂版 影との戦い


 やめろお、やめてくれえ。
「驚いたな、普通ならもう死んでいるぞ」
「まったく、化け物だ。こいつは」
 いたい、いたい、いたいいい。
「な、なあ、ほんとに大丈夫なのか、こんなことして」
「心配要らないって、こいつは天文学的な予算のかかった国家的プロジェクトだ。黄色猿の一匹、たいしたことないって」
「まったく、一時間3ドルも稼げない能無しのくせによ!」
 ぎゃあああああ!
「い、いや、そうじゃなくて、僕たちを恨んでるだろ」
「なんだ仕返しの心配か、大丈夫だ、半分悪魔とはいえやっぱり家族は気になるらしい。手出ししたらどうなるかわかっているって」
「大体、ここまで切り刻んであるんだ。生きてるだけで何にもできないって」
「いやいや、なにもできないってことはないぞ。医学や科学を進歩させるのに役に立ってくれる」
「ついでに俺たちの給料もな。3ドルどころか3倍になったりしてな」
 ふざけるな、ころしてやる。ころしてやる。ころしてやる。
「おい。検体13号がおかしいぞ」
「なんだって」

「Evilさま?」
 紗鬼の声で目を覚ます。
「おつかれのようですが」
 死屍累々という表現が似合いそうな女たちを横目に主を気遣う紗鬼。
「大丈夫だ。昔を思い出していただけだ」
 温かみのかけらもない声。
「むかし、ですか」
「ああ」
 全身に鬼火が燃えているようだ。
「御園のほうはどうした」
「オカルトGメンが突入するようです。Kの情報はありません」
「そうか」
 無言で考える。
「御園はもったいないが、あいつはこの手で殺す。この世にー」

 かちり。
 撃鉄の起きる音に飛び起きる。
「グッドモーニング。ミスター赤木」
 おきぬけの興奮で顔が赤くなり、悪夢の名残の白い傷跡が薄く浮かび上がる。
「おはよう、じゃねえ。永眠させる気か」
「それでも私はかまわないわよ」
「あのな、リンダ」
「なれなれしくファーストネームで呼ばないで。この人殺し」
 赤木と呼ばれた男の目がすっと細くなる。
「それはおれじゃない。万一そうだったとしても、先に俺を殺そうとしたのも、俺の家族を人質に取ったのもお前の親父たちだぞ。ミズ・グリンリバー」
「そんなたわごとは裁判所でいいなさい」
「裁判ね、受けさせてくれるとは思えんな」
 しばらくにらみ合う二人。リンダのほうから目をそらす。
「ほんとうに、あなたじゃないのね」
「ああ」
「なら、Evilを殺して」
「倒すさ、この世にー」

「この世に俺は一人でいい。俺の存在を否定する影は生かしておけない」

 果たしてどちらが影なのか。二人の女にはわからなかったし、どうでもいいことだった。

「ところで、オカルトGメンが突入したわよ」
「はやっ」
 あわてて駆け出す赤木。
 右手から無数の光る珠が現れ、衛星のように赤木の周りを回りだす。
 珠が閃光とともにはじけ、空中に無数の「影」の文字が乱舞し、無数の昆虫人間の姿が浮かぶ。
「魔装」
 その一声で、昆虫人間の幻影が全て赤木に重なった。

(ここまで苦戦するとは)
 美知恵は歯噛みした。相手のいわばホームグラウンドで戦うのだから、ある程度の苦戦は覚悟していた。
 ずざざざざざ
 天井に張り付いた蜘蛛からの怪光線が襲う。
 こちらは基本的に平面しか自由に動けないのに、相手は壁も天井も自由に動ける。そのうえ「鏡」を使って場所を移動する。まさに二次元と四次元の戦いだ。
(みんな無事かしら、それにしても近所にこんな高度な結界が張られていたのに気づかないなんて)
 敵の攻撃に右往左往しているうちに一人また一人とはぐれ気がついたときには孤立していた。おそらく敵は全員の居場所を知っている。味方を分断して「迷宮」を使って翻弄し消耗させてから各個撃破する気なのだろう。その証拠にいかにも集中攻撃といった攻撃は来ないで、こちらを翻弄し、疲れさせる意図が見える攻撃しかこない。
 真綿で首を絞められる思いだ。経験値なら一番の自分がこうまで翻弄されているのだ、若い娘たちはどうしているか。
(やきがまわったかしらね、わたしも)
 当てにするべきではない、ここにいない男を考える美知恵。だが、おキヌと令子の見た怪人が令子の言うように彼だとしたらきっとたすけに来てくれる、そう信じてもよかろう。

 娘のほうは意見が違った。
 どかどかどかああん
「うふふ。なんだ簡単に壊れるじゃないの。相手だけ壁や天井使って不利なら壊せばいいのよねえ」
 警察に協力ということで免罪符を得たかと思ったか、盛大に爆弾を使いまくる美神。元々鏡に映った鏡像とはいえ公共物を破壊してまったく気にしていない。いやそうでなくとも気にしないに違いない。
「やっぱり待ってるだけの女なんてあたしのキャラじゃないわねえ」
 横島が生きている。そう確信したとたん今までの鬱憤が暴走しているらしい。目つきが少しおかしい。弓と一文字が見ていないのは幸いである。
「!」
 殺気を感じ飛び退る。
「おのれ、よくもわたしの学校を。神聖な職場を〜」
 違和感を感じる美神。その理由を一瞬考えたのが命取りだ。
「く!」
 糸が足に絡まる。蜘蛛女の目前で逆さ釣りにされる。
「お前のような女は、若いだけで全て許されるような女は、生かしておかないいいいいいい」
 先ほどの違和感が氷解した。この怪物は人間くさいのだ。
(まさかもとは人間!)
 上半分だけ人間で、下半分は虫そのままという顔が頭を丸ごとかじろうと迫ってくる。その口の中に精霊石を投げ込む。
「!!!」
 なんともいえない金切声を上げ飛び上がる蜘蛛。その拍子に逃れる。
「ぐ」
 いきなり背後から太ももを貫かれた。割れた窓ガラスから蜘蛛の足の一本が生えている。
(そうか、別に全身で空間移動する必要はなかったんだ。脚の一本だけでも)
 初歩的なミスである。自分は浮かれていたのだろうか。
(やきがまわったわね、私も)
 爪に毒が仕込んであるのか、体が冷たくなってくる。
(やっと、やっと、あんたに会えたのに。まだ、謝ってもいないのに)
 心が絶望で冷たくなっていく。

 そのとき空間が爆発した。

 赤い光が、蜘蛛の足を切断し、自分を抱え込む。
(栄光の手)
 横島の栄光の手に似たその手の中に<療><癒>という文字が浮かぶ珠が現れはじける。
(文珠)
 いまだ痺れが残る体を押して呼びかける。
「よ、横島君」
「その名は捨てた」
 切り捨てるような答え。
「Kと呼べ。それが今の名だ」
 真っ赤に燃える昆虫人間が言い放った。

 蜘蛛の姿が鏡の中に消える。
 背後の窓ガラスに浮かぶ蜘蛛に霊波刀をつきこむ。ガラスが割れただけだ。
「うえ!」
 二階の窓ガラスから現れる蜘蛛。六本の腕で獲物を押さえ込む。
「食ってやるうう。頭からバリバリとおお」
 かじりつこうとする蜘蛛。だがKのほうが早い。昆虫の大あご状の口が開き、首にがぶりつく。われわれ日本人にとって蛍とは水しか飲まないおとなしい虫というイメージがあるが、それは成虫のときだけで、すでに栄養を必要としないからである。蛍の幼虫はカワニナを食らう。外国産の蛍の成虫は共食いもする。つまり蛍とは本来獰猛な肉食昆虫なのだ。
「ぎゃあああああ」
 思わず手を放す蜘蛛。口の中の肉片をはき捨て、蜘蛛の腹を強くけり、間合いを取るK。
「お、おのれええ」
 その一声に割れたガラスの破片が中に舞いだす。とりかこまれるK。
「しゃああああ」
 ガラス片がレーザーを乱反射し、Kを襲う。
「くっ」
「横島君!」
 精霊石を投げようとする美神。そこにレーザーが飛んでくる。
「手を出すんじゃねえ!」
 昔より重さを増してはいるが、まさに聞きなれた横島の声。その声が自分を拒絶している。そのことは美神を打ちのめすどころか怒りに火をつけた。
「なんですってええ!」
 どこから出したかマシンガンをうちまくる美神。
「ははは、裏切られたねえ」
 その声で凍りつく美神。
「裏切られたもくそもねえ、その女はもう俺には関係ないんだ」
 全身に火がつき出したK。
「じゃあ、死にな!」
 呆然とする美神の前で真っ赤に燃え上がるK。
「令子!」
 結界の管理が甘くなったため娘に合流できた、美知恵。腑抜けたような娘に喝を入れる。
「ママ、横島君が、横島君が」
 火達磨になっている人影を見て厳しい顔になる美知恵。さらに喝を入れようとしたとき異変に気づいた。
「これは」
 横島と思しき者の魔力が増大している。まるで敵の攻撃の魔力を吸収し増幅しているような。
「!」
 脳裏に電光が走る。他者の波長と同期して霊力を増大させる。元々自分のアイデアだ。
 爆発寸前の火の玉となったKが空中に舞う。
「落陽!烈火!」
 あわてて防御しようと魔力でバリアーを張る蜘蛛。しかしいまのKは蜘蛛の魔力と同期している。すなわち防御のための魔力もまた吸収されてしまい防御は絶対不可能であった。
 太陽が落ちてくる。

 大爆発が起こった。その爆発は結界すらも弾き飛ばし、現実の校舎の一部すらも吹き飛ばした。

 黒煙の向こうに美神は立ち去る横島の後姿を見た。記憶のそれより一回りたくましい背中だった。その背中が自分を拒絶していることも見えてしまった。

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