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▽レス始

「指輪ものがたり 第二話(GS)」

六条一馬+豪 (2005-07-01 03:04)
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部屋の中に罵声が飛び交っている。
片や少しばかり低い、男の声。
片や少しばかり高い、女の声。
互いに互いを罵り合う、聞くに堪えない言葉の刃。


「っざっけんじゃないわよ! 
 あんたみたいなの雇ってやってるのは誰だと思ってんの!!!」

「ああ、そりゃぁどーも有難う御座います!!!
 どーもすみませんねぇ、いつまでたっても役立たずで!!!」


どちらも目元は釣り上がり、眼光には殺気すら混じる勢いで。
いつもは男の方がやられるだけで終了だが、今回は趣が全く違う。
一方通行なのは折檻と呼ぶ。今回は喧嘩なのだ。
二人分の罵声が飛ぶ。怒声が飛ぶ。互いの感情が乱れ飛ぶ。
どちらも手を出さなかった。手を出してしまえば、そこで喧嘩は終っていたろう。
だが、そうはならなかった。ならなかったのだ。
そのために、口だけの喧嘩は続く。少しずつ荒々しさを増しながら。



繰り広げられる大喧嘩

止める者無き大喧嘩

それはそれは珍しい


―――――――――――美神と横島の大喧嘩


全ての発端となる会話は、酷く単純なものだった。
美神がとある思いつきに至った、その日の午後。
おキヌは買い物、シロとタマモはちょっとした散歩。
そして、折り良く横島がやって来て
事務所で二人きりとなった、その時間。
人工幽霊が居るにはいるが気にしない。鈴女はもっと気にしない。

午前中のうちに考えた計画を伝えようと、美神は口を開いた。
心持ち目を伏せ気味に、そっと指を絡ませたりしつつ。
何処か彼女らしくない、おずおずとしたその姿に
静かに、僅かに、けれど確かに高鳴る横島の胸。


「・・・・・・・・えっと、横島君?」

「あ、改まって何スか、美神さん?」



「あんた、改造するから」

「・・・・・・・・・・・・・・は?」


頬をほんのりと赤らめた美神と、アホな子のよーに口を半開きにした横島。
嗚呼、言葉は何て不自由なものなのだろう。
照れと緊張に埋め尽くされれば、一人の女性の気持ちすら表せぬ。
当然ながら、余りにも予想外、想定外の台詞に
横島が美神の口にした言葉を理解するには数秒を必要とした。
その意味だけが解っても、それが何を指しているのか解らなかったが。
だから、横島の単純な思考は直接に疑問を表す事にする。
そして、彼は口にした。在る意味で引き金となった、その発言を。


その改造計画を、美神は一生懸命考えた。
彼女に似合わず、何処までも彼のために考えた。
横島を一人前にするために、一人前以上のGSにするために。
勿論、自分のためでもあったのだけれど。
勿論、将来を夢見る乙女心もあったのだけれど。

でも、だからこそ――――――――――――――


「えっと、Dr.カオスにでも影響されたんスか?」


――――――――――純な心をカオスと一緒くたにされては、まぁ、普通キれるだろう。

美神の言葉が少な過ぎたことは、この際だからとさておいて。


こんな阿呆な理由から、始まってしまった言い争い。
あれよあれよと火は盛り、何時の間にやら大火災。
言葉が怒りの火を煽り、怒りは言葉の嵐を起こし。
折り良く、部屋には二人きり。止めてくれる相手は何処にも居らず。
いや、人工幽霊壱号は見ていたのだが、二人の勢いに口を挟めず
結局は傍観者でしか居られなかった。だから、他の誰かが居ても同じだったかもしれない。
口喧嘩を続けながら、美神は優しくない神様という奴を心底呪っていた。

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