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▽レス始

「月に吼える 第七話(GS)」

maisen (2005-06-30 01:03)
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―――――――ドカンッ!!


「くぉらぁぁぁぁぁ!ポチさーん!出てこーい!・・・・・ヒック」

「ずるいぞー!犬飼家ばっかり良い目見やがって〜・・・うぃっ」

「くぉのエロエロむっつりー!・・・・ケタケタケタケタ」

「ひっく!というわけでぇ〜殴りこみなのだ〜・・・・うぉぇー」


バンっ!


「こーの、馬鹿たれどもがぁぁぁぁぁぁっ!」

「ああああああっ!沙耶のぽすたー(等身大・輝く笑顔ばーじょん)がぁぁぁぁっ!」

「――――あ、いいな、それ。拙者にもシロで三枚」

―――と、いうわけで。突如として酔っ払った嫉妬狼侍どもの襲撃を受けた犬飼宅では、相変わらずの混乱が起きていた。

・・・・・・・・・一部を除いて。


「あー。ポチさんが増えたー。ヒック」

「むぅ・・・分身の術かっ!流石だなっ!・・・・うぃっ」

「エロさも掛け算だー。・・・・・・ケタケタケタケタ」

「ちいさいポチとおっきいポチが12人もいるではないか!ええい、全部斬れー!・・・うおぇー」


――――チャキッ!


「――――全員其処になおれーーーー!沙耶(のポスター)のかたきぃぃぃぃぃっ!!!!」

「うぉっ!落ち着けポチッ!!真剣はまずいぞぉぉぉぉ!」

「いいなーいいなー。拙者も欲しいなー。ポチも黙ってこんなの作るなんてずるいよなー。長老もそう思いません?」

「犬塚ぁぁぁぁぁっ!!!お前もポチをとめんかぁぁぁぁぁ!!!」


――――――――里は今日も平和である。長老を除いて。


 ―――横島の朝は早い。

「いてててて・・・・梃子摺らせやがって」

 都会のコンクリートで囲まれた安アパートを日の出より早く抜け出した青年は、今、東京より遠く離れた山中にいた。

「今日の戦果は猪が一匹かー。良し良し、絶好調だなっ!」

 そう呟く彼の手には、狼としての本能をフルに使った「狩り」で手に入れた、ロープでぐるぐるに巻かれた猪の姿があった。事務所での給料では賄いきれない栄養を、自給自足で確保しにここまで―――

散歩がてらに―――来ていたのである。

「あ、そろそろねぐらに戻らんと、遅刻しちまうな」

 そう言って鼻歌交じりに山中を自動車並みの速度で――獲物を引きずりながら――駆け出す横島。

―――無駄にサバイバル技能の高い、都会の半人狼であった。


―――東京・GS美神除霊事務所―――

「ドクター・カオス?!・・・ってあの、錬金術師の?!まだ生きてたの?!」

 ここは東京一等地にあるGS美神の事務所。その所長室では、所長である美神と、

「そうなの〜〜〜」

 その友人、GS六道冥子がケーキをつまみつつ、雑談に興じていた。


「古代の秘術を使って、不死になったのは良いけどここ百年ほど姿を晦ましていたじゃない〜〜? それが今、日本に来ているのよ〜〜」

「へー。どうして知ってるのよ、冥子?」

 大して興味を引かれた様子もなく、食べ終えたイチゴショートを片付ける令子に

「この前〜空港であってサインもらっちゃった〜〜」

「・・・・・・・・有名なら誰でもいいのね」

 と軽く答える冥子であった、が―――ある一言で、事態は急転する。

「ううん、聞いた話だけだと〜、なんとなく怖い人かもしれないじゃない〜〜」

「へ?」

 ―――どうやってサインもらったのかしら?その疑問が表情に出たのか、冥子はその理由を告げる。


「たまたま一緒にいたお友達に頼んだら〜、快くサインしてくれたわ〜〜」

「・・・・・・・・・・オトモダチ?」

 その「お友達」に心当たりがあるのか、イヤーな雰囲気を撒き散らし始める美神。


「うん、エミちゃんよ〜」


「―――小笠原 エミっ!!」


――都内・某所――

「―――と、いうワケで、このGS小笠原エミが、あんた達と協力することにしたってワケ」

「なるほどのう。その、美神令子とやら、たしかに求め得る素材としては申し分ない。我が秘術の栄えある被験者としては、文句なし、じゃな」

「イエス。ドクター・カオス」

 ある喫茶店では、今日突然訪れた不幸を店長が店の裏で嘆いていた。

「・・・くっくっく。これで、私はあんのにっくき令子を消すことができるし―――」

「わしは今回の目的を果たすことができる。まさに、この国の言葉でいう一石二鳥というやつじゃな」

「くっくっく―――。笑いが止まらないワケ!おーっほっほっほ!」

「わーっはっはっは!!」

「そこでよ、まず―――――」

「なるほど、しかしそれならこうした方が―――」

ぴっ

「レコード・開始します。演算・開始。ドクター・カオス・情報出力媒体の・使用許可を・求めます」


「店長ー。もうこの店閉めましょうよー」

「・・・いや!負けはせん!いままで幾多の地上げにも負けず続いてきたこの私が、この程度の嫌がらせで屈するわけには・・・!」

「でも、あいつらコーヒー2杯でもう4時間も粘ってるんすよー?」

「・・・・・あれでも客。あれでも客。あれでも客。あれでも客。あれでも客。あれでも客―――」

「あー。もう、しょーがねー人だこと」


 そんなことがあったとは露知らず。今日も今日とて事務所に元気良く出勤する横島であったが―――

「しまったなー。里じゃねーんだから刀も包丁もないのすっかり忘れてた―――ん?」

 その前方に立ちふさがる2人の女性を発見し


―――忠夫レーダー、感ありっ!!

―――総員、対衝撃よーいっ!

―――はっっしんっ!!


 ヒュバッ!

 残像さえ残さず接近すると、


「おねーさんがたっ!―――嫁に来ないか?」


「対象・接近を・確認。捕獲モード・作動。捕縛用スタン・ガン―――発射」


バジンッ!


 真っ黒いコートを纏った女性が、その手首から飛ばしてきた先端に端子のついたワイヤーにあっさりと絡めとられ、黒焦げになりながらも昏倒した。

「・・・ちょっと、マリア。これ流石にやりすぎなんじゃない?」

「ノー。ミス小笠原。収集したデータによれば・これ以下の電圧では・作戦開始前に逃亡する可能性・70%オーバー」

「それでも70%オーバーって・・・流石人狼なワケ」

 黒焦げ、というか炭になった横島に、その2人の女性は近寄っていった。


(小笠原さんとマリアちゃんかー。しっかりと美女の名前を覚えたぞぅ!・・・がく)

・・・・・・・横島、結構余裕である。


 その夜、GS美神除霊事務所は、ここ最近の三人組でなく、美神とおキヌのみという2人で今回の依頼人、いわゆるヤーさんの大手、地獄組・組長宅にいた。依頼人、しかも高額報酬を約束してくれた組長を前に、美神はイラついた雰囲気を隠そうとしてもいなかった。

―――横島君が来ていない。前日までの情報を踏まえるとこの仕事にエミが関っていることは間違いない。と、いうことは―――


「ふ、ふふふふふっ!」

ビクゥ!

「ゆ、幽霊の嬢ちゃん、美神さんはいったいどうしたってんだ?」

「さ、さあ。昨日からあんな調子で――」

「ふふふふふふふふふふふふっ!!」


ズザザザザッ!


―――昨日までの不可思議な呪いよりも、とりあえず目の前の夜叉の方が危険だと感じたヤクザの組長は、護衛人からの距離を大きく、おお〜きく開けたのであった。


「と、いうわけで、だ!」

 組長宅より少し離れた公園で、人払いの結界を引いたエミとカオス、マリア――

「今日の材料はこの半人狼の子と、イモリの干物、鼈、マンドラゴラ、玉葱、その他諸々の呪術材料ってワケ」

「ひー!イモリと玉葱はだめっスーーーー!!!」

 そして、なんというか、禍々しさを十二分に放つたくさんの怪しい物体(と、玉葱)に囲まれた、鎖でぐるぐる巻きの忠夫の姿があった。

「ふっふっふっ!安心するが良い小僧!今回のお前の役割はいわばブースターと対美神令子用の霊波コーティング!」

「私が送り出す呪いの力をあんたの血の力で増幅して、それをあのじいさんがマリア用に調整―――」

「その力に更におまえさんから取り出したアンチ美神フィールドに転用しつつ、目標を撃破!」

「ついでに護衛がいなくなった依頼対象をじっくりと「説得」するってワケ」


「「完璧なワケ!(じゃっ!)」」


「マリアちゃん、って言うんだよね。可愛いねー。ねね、歳いくつ?結婚の予定とかある?―――嫁に来ないか?」

「ノー。その質問に対し・回答権は・与えられていません――――お褒めの言葉に対し・アリガトウと・のみ返答させて・いただきます」

「「聞けよそこっ!」」


 上機嫌で今回の作戦を説明していたエミとカオスをよそに、マリアと共になんだかいい雰囲気の下地を作り始めていた横島は、2人の突込みに対し「やれやれ」といった表情を浮かべると、答えた。


「あんたらさー。わかってないと思うよ?」

「なにをよっ!?」

「そうじゃ!メタ・ソウルを持つこの『ヨーロッパの魔王』ドクター・カオスの最高傑作、マリアの演算

装置まで用いてはじき出したこの作戦に穴があるとでも言うのかっ?!」

「・・・・・・・横島・さん?マリア・信用・できませんか?」

「「・・・・へっ?」」


 出会ったばかりの協力者どころか、数百年一緒に存在していた製作者でさえ全く予想外の疑問符を放つ人造少女に対し、横島は慌てて言葉を続ける。

「いやいやいや!そーゆうことじゃないんだってっ!マリアはすごいと思うよ、実際!!」

「――――アリガトウ・と返答させて・いただきます」

「あのー、マリア?」

 自分の知らない姿を見せられて、なんとなく戸惑う製作者を余所に、なんとなくさっきの続きをはじめそうな二人であったが、イラついた様子で、今度は褐色の肌を持つ女性が激しく問い掛ける。

「それじゃーどー言うことなワケっ?!」

「相手があの美神さんだってことっすよ」

「ワケわかんないわよっ!」


「つまりですね―――


「やっぱり横島君を拉致ってたわねっ!見つけたわよ、エミッ!!」


―――あの人は、守るよりも「性格的に」攻める方が得意なんですよ」


 突如エミの背後にあった繁みを掻き分け現れたのは、亜麻色の長髪を持ち、神通棍を構え、戦闘態勢万全の美神令子とおキヌ。横島と話していた為に完全に不意を撃たれ、しかもその霊力特性から接近戦の苦手な小笠原エミは―――――

ごすぅ!


―――――その奇襲の一撃で落ちた。


 実は忠夫、東京に来てすぐに、そのあまりの人の多さと交通の複雑さに大混乱を起こし、迷子になって「えぐえぐ」と泣いて歩いていたところをおキヌに保護された、という過去があった。

 それならば、迷子になったときの為に、とバンダナに発信機を付けていた美神であったが、六道冥子襲来時にサンチラの電撃によってあっさり故障。こういった仕事で、迷子で助手が使えませんでしたー、では話にならないと、耐電、耐水、耐熱、耐衝撃の高価な発信機に付け替えたのである。

 「いちいちぶっ壊れるような奴を使ってたんじゃ、経費も馬鹿にならないからねー」とは美神の弁。今回は、その発信機が思わぬ効果を表した結果となったのである。


「―――――ふ、む。あっさりとこちらの計画が潰されてしもーたか。」

「ドクター・カオス。ミス・エミの脱落により・勝率・ダウン。撤退を・推奨・します」

 先ほどまでの戸惑った雰囲気はすでになく、味方の脱落さえも冷徹に受け入れるドクター・カオス。

そしてその娘、マリア。


「―――あんたが『ヨーロッパの魔王』ドクター・カオスね」

「いかにも――――して、美神とやら、小僧の方に気を引かせての奇襲とは、なかなかやるのぅ」

「・・・・・・・なんのことよ?あんた達が勝手に気を逸らしたんでしょーが」

「なるほど、一流の呪術師が結界を抜けられて気付かない程興奮しているとは、妙に挑発めいた戯言だとは思っていたが―――お前の策略か、小僧」

 そういって、横島を眺める目線には先ほどまでは確かに欠片も感じさせなかった、―――超一流を超えた錬金術師としての、深い―――正に深海のような―――知性と、底知れなさがあった。

 しかし、その人類の超越者に対し


「え、なんのことっすか?」

 と返す、悪戯の成功した子供のような顔を、隠そうとして隠し切れていない横島。

「――――ふ、は、ははははははっ!!」


ばさっ! 

 そして、堪え切れなくなったように大声で笑い出すと、そのままロングコートを翻して夜の闇へと消えていくカオス。

「―――行くぞ、マリア!今回はわし等の負けでいいわい!」

「イエス。ドクター・カオス」

 ―――彼は、自らの最高傑作である人造少女を供に、そのまま公園の外へと歩き出していった。


「ほーっほっほっほ!!これで20勝18敗1引き分け!私の勝ち越しねっ!」

「ううう・・・次こそ見てなさいよ令子ぉぉぉぉ・・・・」

「美神さーん。そんな死人に鞭打つようなことしなくても」

「甘いわよ、おキヌちゃん!!この前は私が黒星だったんだから、これぐらいはぜんっぜんOKよ!おーっほっほっほ!!!」

 その後ろでは、臍をかむエミと、それを足蹴にしている美神、それを宥める幽霊少女の姿が会った。


「―――くっくっく。面白い小僧じゃ。なぁマリア?」

「―――その問いに・答える・機能・持ちません・ドクター・カオス」

「―――ならば、こう問うとしよう。あの小僧に、また会いたいか?我が娘よ」

「―――――イエス。ドクター・カオス」

「――――――わーっはっはっは!!!」


「どこでこざるかぁぁっ!!狐ぇぇぇぇっ!」

 意味深な笑いを浮かべて走り去ったタマを追いかけてシロが見たものは―――

「・・・・狐が9匹ぃっ?!」

 強烈な妖気を漂わせる岩を囲み、タマが9匹・・・綺麗な円を画いて遠吠えを繰り返す様であった。

『くぉぉぉぉぉぉぉん―――』

 鳴き声が共鳴しあい、その響きがあたりを満たすと共に、その中心から沸き出でる妖気はその密度と

量を増し―――


ぴきっ

『くぉぉぉぉぉぉぉん―――』


バキッ!ビシっ!!

『くぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん――――!』

 一際長いその鳴き声の元―――

バガンッ!!

 ―――――――――砕け散った


ぼふぅ!

 舞い起こる粉塵に視界をふさがれ、あたりに満ちたあまりにも強烈な妖気は人狼の鼻を狂わせ―――

 シロに見えたのは、その衝撃に巻き込まれる9匹の九尾の狐と―――


「狐ぇぇぇぇっ!」


 その姿が、9本の光り輝く金色のナニカとなって、混ざり合う光景だけであった。


 「やぁ」 また会えたね。今回は残念ながらこの後用事があってね。あまり相手をしてあげられないんだよ。

 だから、手短にお話をするとしよう。君は、磁石というものを知っているかい?そう、あの、子供の頃に君達ならば一度は触れたことのあるあの磁石だよ。

 アレを砂場に落としたことはあるかい?するとだねぇ、真っ黒い小さな者達がたっくさんくっついてくるわけだ。

 何が言いたいのかって?本当は分かっているんじゃないかい?私が、今まで、君に伝えたくて話したことは、全て無関係なことではないよ?もっとも、戯言の中に含まれるソレを見つけるのは君だ。私は観察者。只見つめるもの、傍観者、そう――――


「シュレーディンガー」なのだから。


―――おやおや、せっかちなことだ。それでは、今日はこの辺で。

――――良い夢を。


---アトガキッポイナニカ---


はいすいませんmaisenでございます^^

というわけでもはや原作の欠片ぐらいは残っているといいなぁ・・・という形になってしまった第七話、こ

こにお届けいたします。

すいませんすいませんすいません

まぁ、それなりに楽しんでいただけると幸いですが、それでもやっぱり量が少ないなぁ。

そんな私に感想をくださる皆様、ほんとーにありがとうございます^^

いつか、もっと余裕を持ってレス返しができるようになりますので、もうちょっとお待ちください。

―なにせ、一気に書くもんですから書き終わった後大抵指がぴくぴくと反乱起こすものでw


今回少しおくれてしまいましたが、それでは皆様、また明日(だせるといいなぁ)^

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