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▽レス始

!警告!壊れキャラ有り

「横島三世5(GS)」

おやぢ (2005-06-17 00:31)
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モニターに写る人物。
監視カメラによるものであろう。
人物を真上から見ている図がないのでそれが確認できた。
モニターに映し出された男は、伊達雪之丞。
モニターを見る男たちは、彼の名前では呼ばず“目標”と言っている。
モニターの映像は、ずっと目標を追っている。
人通りの多い市場へと目標が移動をしたときに、彼らは行動を開始した。

雪之丞を、尾行している者がいた。
人ごみから頭一つ飛び出した大きな身体では、尾行には向かないのだが彼らはそれを気にする様子もなかった。
雪之丞は急に座り込み、靴紐を締めなおした。
男の視界から、雪之丞が消える。
男は雪之丞がしゃがんだ場所に、急ぐと辺りを窺った。
しゃがんだ場所の真横に、狭い路地があった。
男は路地が怪しいと判断すると、路地に近づく。
注意していたはずであった。
それなのに襟首を捕まれ、その巨体を路地に引きずり込まれた。

「勘九郎の手先か?」

雪之丞と男はかなり身長差があった。
男の顎に、コンバットマグナムの黒い銃口が突きつけられ撃鉄が起こされている。
冷たい機械音が、男の脳髄を支配した。

「ち・・・違う。わっしはタイガー・・・伊達雪之丞君ジャのー」

「気安く名を呼ぶな!!さっきからなんの用でこそこそと・・・」

銃を持つ手に力が入るが、嫌な音を耳にすると後ろを振り返った。
軍服に身を包んだ人間に、囲まれている。
その中にはすでに捕まっているのであろう、シロもいた。

「シロ・・・」

タイガーが、コンバットマグナムを掴むとそれは簡単に雪之丞の手から離れた。

「大人しく来てくれるかノー。」


大西洋上に空母が浮かんでいる。
離着陸訓練を繰り返し行い、戦闘準備はいつでも整っているかのようであった。
艦橋の1室から、雪之丞は離着陸訓練を眺めている。

「れっきとしたアメリカ海軍さんか・・・」

イスに座って憮然とした顔でシロが呟く。

「許せん!!あまりにも否現実的でござる。」

「否・現実的なのは、俺達の世界の方かもな・・・」

ニヤリと笑って雪之丞はシロの方に向かった。
ドアが開き、。タイガーが部屋に入ってくる。
タイガーの後ろにもう一人誰かついてきていた。

「立て!!!唐巣大統領特別補佐官ジャー!」

スゴむタイガーだが、雪之丞とシロは顔を見合わせ素知らぬ顔をしている。

「なんと言ったでござるか?」

「ようするにだ、世界で一番偉い男を影で操っているツルッパゲだと・・・・・」

雪之丞はイスに座り、長くない足を組んだ。


「ハゲ言うなーーーーっ!!!!」

クールに決めていた唐巣は急に血の涙を流しだすと、雪之丞の首を絞めながら左右に揺さぶった。
アメリカを影で操り策謀に長けた人物・・・これは美智恵の方が適役のようだったが、ハゲという理由だけで、唐巣になってしまった。
果たして彼にこの役ができるかどうかは定かではない・・・・

部屋の隅で斜線を背負ってしまっている唐巣。

「ボクが悪いんじゃないんだ・・・心労だ・・・心労をかける親子が・・・」

しばらく独り言を壁に向かって呟き続ける。
かなり怖い。
どう見ても、ただのイっちゃってる人だ。
眼鏡を外して、涙を拭いた後に鼻水をすする。
どうやら、落ち着いたようだ。

「会話している2人について、説明の必要はあるまい。我々が知りたいのは、ホットラインに割り込んできた謎の脅迫者についてだ。」


「いや・・・・何も聞いてねーし・・・・」

セリフ飛ばしまくりです・・・神父。
その横で、録音テープのスイッチに手をかけたままのタイガーが、苦笑して汗を流していた。

「早くスイッチを入れんかっ!!!!!」

どこから出したのか不明の全長1mの自由の女神を振り回し、タイガーの顔面にジャストミートさせた。
ちなみにその女神には“made in TAI〇AN”と書いてあった。
血だらけになりながら、スイッチを押すタイガー。

“Mrボッシュ、国民の統制はとれているのですか?私は脅迫されたのですぞ。”

“私も同じ事を言われました・・・しかしあなたの国は民間GSを宇宙に飛ばした
という事でも脅迫されてま・・・・”


「飛ばしたまえ・・・・」

唐巣の頭部から数十本抜くていった。

“生化学・遺伝子工学・生物学のあらゆるデータを提出せよと。それができない場合は、核ミサイル攻撃を行うと。”

“それが、単なる脅しでない証拠に通信衛星をいくつか破壊されました。”

“ではやはりあの男が・・・”

“そうだ、私だよ。両指導者。いや代表たちの方がよろしいか?”

一度テープが止められ、少し巻き戻される。

「会話している2人について、説明の必要はあるまい。我々が知りたいのは、ホットラインに割り込んできた謎の脅迫者についてだ。」

何事もなかったかのように、唐巣はテーブルに肘をついたまま言った。
ここではツッコまないのは大人の世界の事情ってヤツだ。

“そうだ、私だよ。両指導者。いや代表たちの方がよろしいか?史上最高の英知、預言者、神といってもいい。”

“神!?気は確かかね?”

テープは声を再生している。
雪之丞はタバコを銜えると、蝋マッチをとりだし皮底のブーツで吸って火をつけた。
今回は咽ない。どうやら大分慣れてきたらしい。
話が段々きな臭くなってきている。
確信をつくようなセリフに差し掛かると、タイガーがテープを止めた。

「続けろよ・・・・」

雪之丞は唐巣の方を向かないまま、言葉を吐く。

「この先はあまりにも重要でね・・・この脅迫者のやる事は単なる脅しで無い事は理解して頂けただろう。」

「ま、俺たちには何の関係も無い話だな。」

「無い事はあるまい!彼の指定した品はすべて横島によって奪われているのだから。」

唐巣の言葉が怒気を含む。
それも素知らぬ顔の、雪之丞とシロ。

「本題に入ろう・・・・彼の本拠地はどこかね?」

「全然知らね〜なぁ・・・」

先程とまったく変わらぬままに、雪之丞は即答した。
その素知らぬ態度に、タイガーが雪之丞の詰め寄る。

「隠し立てすると、ためにならんけノーーー!!!」

面倒くさいというアリアリな態度で、雪之丞は背広の内ポケットから紙切れを取り出しタイガーの目の前に突き出した。
セスナから落ちてきた紙切れである。

「なんですかいノー?」

「横島の手がかりさ。横島を誑かしていた女の字なんだが、水って書いてあるだろ?」

誑かしている女が容易く想像できた唐巣は、再び髪の毛が抜けていった。

「なんの事ジャー?」

「それが判れば、お互いに苦労は無ぇさ・・・」

雪之丞の言葉にタイガーは激怒し、テーブルをひっくり返した。
その勢いで、雪之丞と唐巣はイスからコケてしまう。
コケている雪之丞の襟首を掴み起こすと、トラに変化し今にも喰い付きそうな勢いで怒鳴った。

「ふざけるな!拷問の手はいくらでもあるんジャーー!」

「ほぉ・・・・俺に対して拷問だぁ?」

三白眼を輝かせ、雪之丞は不吉な微笑みをみせる。

「な・・・なんですかノー」

ここで引いてしまうのは、所詮小物の宿命である。

「俺にも考えがあるぞ。長い事ハ〇ク・ホーガンとスティーブン・〇ガールのファンだったが・・・・今日限りだっ!!!」

そういってタバコを床に叩きつけた。
暴れだすと思われた雪之丞だったが、大人(?)の対処をしている。
唐巣の頭髪が、あまりにも不憫に思えたのだろう。

「やめたまえタイガー、彼らは本当に知らないらしい。」

その気遣いに気がついたのか、唐巣は立ち上がるとタイガーを止めた。
そしてそのままタイガーを呼ぶと部屋の隅へ行き、なにやらコソコソと話をすると雪之丞の方を向いた。

「我々は、違った角度からアプローチしてみることにする。。君たちはすぐに釈放しよう。」

唐巣がそういって部屋を出て行こうとする。

「ありがとよ、神父。あんまり神経質になりすぎると進行するから気をつけなよ。」

雪之丞はあいかわらず余計な一言をいうようだ。


“自由の女神が、ダンスを踊るのを始めて見た。”


後に雪之丞はそう語った。
それは、別の世界に行きかけたからそう見えたのか、それとも違うものを見たからなのか定かではない。
原子力空母を1/4ほど破壊して、唐巣と自由の女神のダンスは終わった。

「口は災いの元でござるよ・・・・」

きゅ〜〜〜〜んと泣きながらシロが言った。

「オメーも普段は人の事言えないだろーが!!」

ズタボロにされた雪之丞が叫ぶ。
艦内火災も発生し、スプリンクラーも作動している。

「ん?雪之丞殿!!水だ!!」

「いや・・・言わなくても判るし・・・冷てーし。」

「違うでござる!!!見るでござる!!!」

先程の紙切れが、スプリンクラーの水で変色していく。

「なるほど・・・水ってのはこういう事だったのか・・・」

「読めるでござるか?」

「カリブ・・・・カリブの海賊?・・・デジャブーランドか?」

「拙者もデジャブーランドは好きでござるが、世界を脅す人間がそんなとこにいるワケないでござるよ。」

「まぁそうだろうな・・・・カリブ海だろうな。」

かなり先行き不安な二人組みであった。


横島の眼前には、奇妙な世界が広がっていた。
世界遺産ともいえる遺跡のレプリカと、建造物、それに絵画の世界がリアルに再現され融合している。
現実なのか?それとも夢なのか?
錯覚を起こしそうなくらい、現実離れをした風景である。
とりあえず、ここがどこなのかを把握しようと横島は歩いた。
しばらく歩くと、人影が見えた。
思わず反射的に隠れる。
雇われたのだろうか。
蛮玄人である。
物陰に潜んでいた横島であったが、たてかけてあったスコップを倒してしまう。
静かな空間に音が響き、あっさりと見つかってしまった。

「ゴキブリのように逃げるっ!!!!」

ものスゴい勢いで走り出す。
それを、追う蛮。
芸術の中を、逃げ回る横島。
かなり違和感のある世界だ。
以前、暮井のドッペリゲンガーに絵画の中に閉じ込められた経験のある彼だが、それにかなり似ている。
しかし今回は、2次元の中に閉じ込められているワケではない。
絵画を模した建造物なのだ。
蛮から逃げ去り、後ろを警戒しながら歩くと誰か人とぶつかった。

「ハイル・ヒットラー!!」

人物に向かい右手を上げて言った。
横島にそう言われたちょび髭の小さな男は、何事もなかったかのように立ち去っていった。

「こりゃ〜・・・事によるって〜と・・・・」

冷汗を流しながら、横島は深い考えに陥った。
なんせ令子に告白した上に、了承まで貰っている。
そんな上手い話が、この世にあっていいのか??
という事は、今この瞬間も夢???
今頃本当の自分は、いつものオンボロアパートで湿った煎餅布団に包まって寝ているのか???それとも令子にシバかれて事務所で転がっているのか??
彼の思考は、逃避という方向に向かおうとしている。
その時、彼の耳に何か音楽が聞こえる。
音の方をふり向くと、建物は見えず階段だけがそこにはあった。
横島はその階段をゆっくりと登っていく。
階段の先には、テラスがあった。
テラスには男が一人で座っており、ハープを弾いていた。
音の正体は、ハープであったのだ。

「なにかお探しかね?」

横島の気配に気付いたのか、男はハープにかかった手を止めるとそういった。

「院長先生か?このパーティの主催者に会いたいんだが。」

「フフ・・・ここは精神病院でも、仮装パーティの会場でもない。彼らは君の見た通りの人たちだよ・・・・横島君。」

男が振り返ると、恍けていた横島の顔が急に変わった。
緊張が滲みでて、怒りとも驚きともとれる表情であり、その色は蒼白としている。


「ア・・・・・アシュタロス!!」

霊波刀を右手に構え、左手に複数の文珠を取り出した。

「フ・・・君もその名で呼ぶのか。美神令子も最初その名で呼んだが、その人物とボクはそんなに似てるかい?」

男にそういわれても横島は警戒を怠らずに、男をまじまじと眺めた。
確かによく似ている。
しかし、魔族の波長を感じる事はできない。
どう見ても人間にしか見えないし、人間としか感じることもできない。
横島は迷った。
見た目そのままを信用するのか?
それともGSとしての勘を信用するのか??
この場合、信用するのは後者である。
見た目に捕われては、本質を見失う事になる。
横島は、霊波刀を消した。
霊波刀が消えるのを確認した男は、微笑した。

「私の名は・・・そうだな、君らが知る男からちなんで“アシュ”とでも名乗ろうか。」

アシュは、イスから立ち上がりハープの側から離れた。

「令子の依頼人か?」

「直接私が手を下さなかったのは、君を試したかったからだ。間違いなく、君は史上最高の泥棒さ。」

「関係無ぇな、俺はオメーのために仕事してんじゃねーんだよ。」

「報酬も忘れてないよ、君に与えるつもりさ永遠の命をね。」

「長生きしたってロクなこたぁねーんだよナルシーマッチョ!早く石を返しやが・・・・・」

歩いていたアシュを捕まえようと飛び掛ろうとしたが、アシュはテラスを出て空中に浮かんでいる。

「遠慮することは無い、捕まえてみたまえ。」

空中に浮いたままアシュは、横島の方を振り返っている。
足を伸ばし爪先で空中を突くと、硬質な感触があった。

「フフフ・・・・硬質ガラスなんて手には飽き飽きしてるんだよ。」

アシュと同じように、空中に浮く横島。
硬質ガラスを歩いているだけである。

「早く石を返しやがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

ガラスを踏み外したのか、最初から存在しなかったのかは定かでないが横島はセリフを言い終わらないうちに落下した。

「ううううう・・・・覗きのときはこれくらい平気やのに、さすがに痛ぇなぁ。」

尻をさすりながら立ち上がる。
下が草原なのが幸いしたようだ。
アシュは笑い声を残しながら、そのまま上空へと消えていった。

「テメー!アシュ!!覚えてやがれ!!!」

捨てゼリフを吐いたものの、横島の頭にはまだ疑問が残っていた。
本物なのか?それとも他人の空似なのか??
とりあえず行動してみるしかない・・・
横島は歩き出した。


波が高い海を1隻のヨットが、島へ向かっている。

「あれだ・・・このカリブ海で個人所有では一番でかい“芦優太郎”の島だ。」

「謎の大富豪・・・それにしても先生も情けない・・・苦も無く女に騙されるとは・・・」

苦虫を押しつぶしたような顔をしたシロを見て、雪之丞は笑った。

「なにがおかしいでござる?」

むっとして雪之丞を睨んだ。

「なんだかんだいって、横島が心配か?腐れ縁は当分切れそうにないな。」

「腐れ縁などではござらん!拙者と先生は赤い糸の縁でござる!!!」

ぷいっと恥じらいつつ島の方へ視線を向けた。
そのころヨットの船底では、西条がへばりついていた。

「例えカキの如く身を窶しても、必ず横島君の息の根を止めてやる。」

逮捕でしょ・・・アンタは・・・・


島の中央にそびえ立つ塔。
その塔の周りを数万匹の蝶が飛んで行く。
塔の中でその姿を見た令子は、驚きの声をあげた。

「綺麗・・・・・・・」

「6千年前に滅んだ蝶だ。君へのプレゼントさ。」

(コレクターに売れば、かなりの額になる。)
アシュに背を向けていた令子は、邪な顔で微笑んでいた。

「美しさゆえに滅んだ蝶たち・・・私に復活を約束されたものたちだ。」

(美しいよりも・・・金よ!金っ!!!!)


「令子・・・声にでてるよ・・・・」

横島菌繁殖中。
素知らぬ顔をして令子は、ワインをグラスに注いだ。

「君らしいね・・・・まぁ肝心なのは、君のその美しさが永遠を約束されたということだ。」

「フフフ・・・横島君もさぞかし喜ぶでしょうね♪」

令子はワインを口に運びながら機嫌良さ気に言う。
対照的にアシュは、横島の名が出ると機嫌を損ねたようだ。

「令子。」

「ん?」

「横島は、永遠の命など欲しく無いそうだ。」

「アイツならそういうでしょうね。だから内緒にしておいたの。」

「彼の事は私に任せてくれないか・・・私は彼が永遠の命に相応しい人物だとは思えない。」

「約束は約束でしょ。ちゃんと守ってくれないと困るわ。」

令子が、クライアントと接触するときの鋭い視線に戻った。
アシュが言った一言は、令子にとっては素に戻らざろうえない一言だったようだ。
ふいにブザーが鳴った。
広い部屋に、天井からモニターが降りてきた。
モニターが、白衣の男たちを映し出している。

「報告します、賢者の石の分析結果が終了しました。」

アシュは先程とはうって変わった態度で、モニターに歩み寄る。

「おお!それで結果は?」

「実にすばらしい結果です。放射線による細胞活性化現象が特にすばらしく・・・」

モニターの隅に横島が写ったかと思うと、横島はハリセンで報告していた男の頭を殴り飛ばし賢者の石を分捕った。

「やいアシュ!賢者の石は貰ったぜ。どこかオメーの知らないところに捨てっちまうからな♪」

そういうと、カメラを破壊したのであろう。
アシュや令子が見ているモニターの映像は途切れた。

「見たか令子!あれが横島の本性だ!!!」

「あ・・・あのバカ・・・恥かかせて・・・」

令子は頭を抱えたかと思うと、憤怒の表情で駆け出していった。
その表情は、とても永遠を約束してよい“美”かどうかは不明である。


研究室を抜け出した横島は、蛮玄人に追われていた。
またしても“ゴキブリのように逃げる”を駆使して、逃げ切ったがさすがに辺りの様子を伺いながら慎重な態度は崩していなかった。
慎重というより、『おっかなびっくり』とか『オバケ屋敷の中の幼稚園児』といった方がいいのかもしれない。
かなりみっともない・・・というより、目に痛い。
地下の施設から、地上へと出てくる横島。
辺りを警戒しながら、日の当たる場所へと出る。


「よ〜〜こ〜〜〜し〜〜〜ま〜〜〜〜〜」

あれだけ注意したにもかかわらず、簡単に背中を取られている。
背後からの、怨念が篭った声に横島は飛び上がって驚き、声の方向を向いたまま壁にへばりついた。

「ここまで来て、恥かかせるな!!!!」

その声を聞き、相手が令子だと確認すると少しだけ緊張が解れた。

「美神さん・・・・ほんとーーーに、美神さん?」

「人の話を事聞いとんのか!!!」

いきなり右ストレートを喰らい、壁とお友達になる横島。

「あ〜〜〜〜本物じゃ〜〜〜〜本物の美神さんじゃ〜〜〜〜」

復活すること0.5秒。
何事もなかったかのように復活し、令子を抱きしめ頭を優しく撫でる。

「こ、こらっ!!!」

いつものセクハラで“抱きつく”ではなく“抱きしめ”ているせいなのか、言葉では嫌といいつつも顔を赤くするだけで抵抗らしい抵抗をみせない。

「あ〜〜〜無事で良かったぁ〜〜〜。」

身体を放すと、令子の肩をポンポンと叩いた。
その顔は喜びで溢れている。
その顔を見た令子は、毒気を抜かれてしまったのか怒るのを忘れてしまったようである。

「“アシュ”に会ったから、そう思ったの?」

令子の口から“アシュ”の名前がでると、横島は令子の肩を掴んだ。

「何者なんっスか?アイツ?」

横島の顔が急に真剣になる。
さすがに“アシュタロス”の名がでてくる限り、真剣にならざるをえないのだろう。

「さぁ??」

「ふざけないで下さい!」

「痛っ!」

肩を掴む手に力が入ったのか、令子が顔を歪めた。

「あ・・・すんません・・・」

あわてて手を放す横島。
令子は横島の顔をチラリと覗き見ると、地下へ向かう手すりに腰をのせた。

「南極の時のこと、覚えてるでしょ。あの時私は、前世の記憶が反応したわ。でも、今回は全然無し・・・宇宙のタマゴも、全部破壊されちゃったから“今いるこの場所”が宇宙のタマゴの中とは考えられない・・・幻術かも?って思って幻術破りの陣を引いてみたけどこれも反応無し・・・」

空を見ていた令子は、そういって横島の顔を見る。

「姿がよく似た他人ってとこね。さすがのアタシも“アレ”相手に無策ではいないわよ。」

照れたように笑う令子。

「人間・・・・ですかね??」

「たぶんね・・・アタシはそう思ったわ。」

「たぶんって・・・アンタね・・・・」

横島は苦笑し、頭に汗マークが浮かんでいる。

「それはいいけど・・・アンタわざと捕まって調べにきたの?」

「そんな器用なマネ俺にできるワケ・・・・・」

言葉を続けようとした横島だが、正面に座っていた令子を抱きかかえるとそのまま走りだした。
蛮玄人の団体が追いかけてきたのだ。

「なに?なんスか?あれ????」

「なにって、雑魚のオっさんじゃない。逃げる必要ないわよ。」

「いや!そーいうんじゃなくて!!!!」

令子を抱いているという嬉しさは、さすがに今はないようだ。
とりあえず必死になって逃げている。
植込みの死角を利用して、低い姿勢で蛮の団体をやり過ごした。

「ふぅ〜〜〜〜・・・・行ったか?」

令子の上にかぶさったまま、上半身を起こして蛮の群れが去ったのを確認する。
その横島の首に下から、令子の手が絡む。

「ねぇ・・・永遠の若さが手に入ったのよ。少しは嬉しそうな顔をしたら?」

「寝言いってるんっスか?・・・・嬉しそうって、確かにこの体勢は嬉しいっスね♪じ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っくり」

そういって横島は令子と倒れこもうとするが、逆に令子を抱え上げてしまう。
令子の寝ていた位置には、ハンマーが打ち込まれた。

「あら?外れちゃったわね♪」

勘九郎であった。

「てめー勘九郎。」

「あら〜坊や、起きたの?雪之丞は元気してる?」

「さぁ?別れてから、どーしたか知らん。」

「別れるって・・・・付き合ってたの?

「「そんなワケあるかーーーー!!!」」

勘九郎にダブルのドロップキックで突っ込むと、横島は令子の手を握って走り出した。
走り出した途端に、またしても蛮の群れに発見され元来た道を引き返す。
建物の中に逃げ込んで一時は巻くが、今度は勘九郎に発見されてしまう。

「雪之丞の携帯教えなさ〜〜〜〜〜〜い!!!あんたでもいいわよ〜〜〜〜!!!」

この際、雪之丞を売るか??と邪な考えが浮かぶ。

「ねぇ、これボタンじゃない?」

令子が指差した場所には、なにかのスイッチがあった。
横島は迷いも無くそれを押すと、エレベーターのように床がせりあがり勘九郎の姿は消えた。


良かったね、ユッキー!売られないで!!!


後書き

今回は“壊れ”と“真面目”がかなり交差してます。
マモーの正体は“アシュ”でした。
あくまで“アシュ”であり、“アシュタロス”とは別だと思ってください。
容姿的には「芦優太郎」を想像していただければ幸いです。

そういえば、空母の中でマモーの名前でてきてたんだ・・・忘れてて、フォローするの苦労しました(苦笑)


レス返し

クラン様>
今回でてきました、壊れまくってますけど(爆)>唐巣

>>横島にスマートな女の扱いを望むなんて無理ですよね・・・

その通りです(笑)
ゆえにルパンとの会話の違いもでてきて難しいです。
甘え下手な不二子と女慣れしてないルパン・・・・う〜〜〜んムズい・・・・


Yu-san様>
伝説のすっぽんぽんルパンダイブ!今回でました(笑)
VSマモーでは、あまりルパンダイブはしませんでしたから、最大の見せ場だったかもしれません(違)
う”!!!レンタルしちゃいましたか!!!!
アラをバラさないで下さいね・・・たまに思いっきりすっ飛ばしてますから(ヲイ)

足岡様>
勘九郎マゾ族・・・かなり想像しやすいですが、ムチ打つ役は誰でしょうか?
想像はしやすいですが、想像してしまうと眠れなくなるのでヤめときます(爆)
マモー=アシュ でした。
アシュタロスではなく、アシュという理由は後々判ってきます。
これ以上はネタバレになりますからやめときますね。
それまで、楽しみにお待ちくださいませ♪
いつもありがとうございます。

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