人狼との出会い
それは少年の中にある
剣を携えた巨人を
呼び起こす。
エピソード二十三 人と狐と人狼侍
「さぁ~、今日も一日しっかり稼ぐわよ~~~!!」
事務所内にメンツが全員揃ったところで美神が気合を入れる。
「ところで美神さん。今日はどんな仕事が入ってるんスか?」
「ちょっと待って、えっと・・・今日は二件入ってるわね。今回は私と横島君はバラバラでの作業になるわね。私がいないからって気を抜くんじゃないわよ」
「分かってるッスよ。ところで、誰かサポートは付けてくれるんスか?」
横島の問いに美神は辺りを見渡す。そこには、目をウルウルさせているおキヌ、クールを装っているが「組ませないと・・・殺るわよ」という視線を送るタマモ。結果、美神が選んだのは・・・。
「タマモ・・・アンタが行きなさい」
「・・・・・了解♪」
強烈な(横島LOVE)視線を放つタマモだった。殺意や悪意の篭った視線には慣れている美神だが、こういう新しいタイプには慣れていなかった。ご指名を受けたタマモはクールから一変、ニコニコ顔になる。
「じゃあ、この地図に書いてある場所に行って頂戴」
「了解ッス!!」
「・・・了解」
美神にそう言われると、横島はタマモを連れて事務所を出て行った。
「さて、私たちも行くわよ。おキヌちゃん、きたろう」
「・・・ふぁ~い(涙目)」
「おうよ」
≪ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオン≫
森の多い田舎道をGCαで走り抜ける横島とタマモ。
「ねえヨコシマ。この辺りなんじゃない?」
後ろで横島に抱きつきながら尋ねるタマモ。それを聞いた横島は頷きながらGCαを停めた。停めた先には、一軒の神社らしきモノが存在した。
「あれ・・・ぽいな」
「みたいね。さ、パッパと終わらしてきつねうどん食べにいこ♪」
「だな」
そう言うと横島は右手に救世の手を発動させ、タマモは指先に狐火をスタンバイさせた。そしてそのまま中に入っていく。
「随分と薄暗いな」
「狐火もっと強くする?」
「あかんちゅーねん。そんなんしたら一発で火の海やろが!!」
「それもそうね」
そう言いながらも警戒を緩めない二人。そんな時・・・。
「ヒト・・・・シネーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
一匹の悪霊が二人に襲い掛かってきた。
「危ねえ!!」
横島は咄嗟にタマモを抱きかかえると、横に飛退いた。そしてついさっきまで二人は居た場所には陥没した地面があった。
「ありがとヨコシマ♪」
「どいたしまして。さぁ、一気にケリつけるぞ!!」
そう言うと、救世の手を伸ばし悪霊を掴み、そのまま大きく振り回した。そして悪霊が弱ったところで手を離す。
「今だタマモ!!」
「OK!!」
タマモは飛んできた悪霊に向けて狐火を放った。それは瞬く間に悪霊を燃やし尽くし、消滅した。
「ふう」
「お疲れヨコシマ」
「おう、じゃぁ帰るか?」
「うん」
そう言って帰ろうとしたその時、タマモの鼻に何かの匂いが流れてきた。それを嗅いだ瞬間、タマモの表情が曇る。
「ヨコシマ、この辺りで何かが戦っている」
「何かって?」
「匂いからすると・・・人狼みたい。しかも片方は結構血を流しているみたい」
「・・・厄介事っぽいな」
「どうするの?」
「首を突っ込むしかねえな」
「言うと思った♪」
横島はそう言ってGCαに跨る。そしてタマモが後ろに乗り抱きついたのを確認すると、匂いのする方向に向けて走り出した。
≪ガキン・キン・キン・カシャン≫
森の中、二つの影が刀をぶつけあっていた。一方は邪気に満ちており、もう一方はその者を止めようと必死だった。
「犬飼!!フェンリルへの先祖返りをして何になる!?正気に戻れ!!」
「黙れ犬塚!!我々人狼の一族をこんな状況にした人間たちが憎くないのか!?」
「だからといって人間を皆殺しにするというのは間違っている!!」
「黙れ!!拙者は間違ってはおらん!!」
そう言って邪気に満ちた男の刀がもう一方の肩を切り裂く。それにより傷口からは大量の血が流れていた。
「ぐっ!!しょ、正気に戻ってくれ!!私はお前を斬りたくない!!」
「ならば、拙者に斬られて死ぬがいい!!」
そう言って男の刀が振り下ろされようとした。その時・・・。
「だりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
≪ブォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン≫
突如横からGCαに乗った横島が振り下ろされようとした刀を弾き飛ばした。
「な、何者だ!?」
「通りすがりのGS見習いだ!!」
そう言って横島はGCαをウィリーさせながら回転させ、もう一度男にぶつける。それにより男は間合いを取り直した。それを確認した横島はGCαから降りると、怪我をしている男のもとに駆け寄った。
「大丈夫スか!?」
「き、君は!?」
「話は後ッス!!タマモ、頼む!!」
「任せて!!」
そう言ってタマモは横島の前に立つ。タマモの姿を見た男がその表情を変える。
「貴様!!金毛白面の妖狐!!何故こんな所にいる!?何故同族のお主が人間の味方をしている!?」
「お生憎様。私は人間の味方じゃないわ。私は・・・“ヨコシマ”の味方よ!!」
そう言って狐火を放つタマモ。しかし・・・。
≪ボヒュゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・ズシャン≫
男は放たれた狐火を刀で一掃した。
「そんな!?」
「遅い!!」
驚くタマモに男が刀を振るう。
「させるかーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
刀がタマモに当たる前に、横島が霊波刀を展開させそれを防いだ。
「タマモに・・・手を出すなーーーーーーーーーーーーーー!!」
横島は霊波刀の出力を上げ、男に斬りかかる。男はそれをかわすと、いきなり刀を鞘に納めた。
「?何やってんだ?」
「いかん!!離れろ!!」
もう一人の忠告よりも早く、男は恐ろしい速度で刀を鞘から引き抜き横島に八つの斬撃を放つ。
「うわわわわわわわわわわわわわわ!!」
横島はそれを精一杯受けるが、残り二発を軽く斬りつけられてしまった。
「痛っつぅ~!!」
「大丈夫ヨコシマ!?こんの~!!よくもヨコシマを~~~!!」
そう言ってタマモは自分の周りに九つの火球を作り出した。そしてそれを空中に浮かべると
「九・連・爆・炎・砲!!」
炎の雨を男に向けて振り下ろした。
≪ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド≫
恐ろしい爆発が男の周りで起きる。そして煙が晴れると、そこには男の姿は無かった。
「・・・逃げたわね」
そう言いながらタマモはヨコシマに駆け寄った。
「大丈夫?」
「ああ、ちょっと斬りつけられたけど、心配ねえよ」
「良かった・・・あ、そうだ!どうせだしヒーリングしてあげる♪」
そう言うとタマモは横島の傷口を舐め始めた。
「お、おいタマモ!?」
「いいから、ジッとしてて」
そう言うとタマモは愛おしそうに横島の傷口から流れる血を舐めた。すると、タマモの表情が色っぽいを超えたモノに変わっていった。それを見た横島は心臓がバクバクといった状況に陥っていた。
「ヨ~コ~シ~マ~♪」
タマモはそのまま横島を地面に押し倒した。横島は慌てながらもタマモを止めようとする。
「や、止めいタマモ!!好きじゃない男とこんな事したってダメなんだぞ!!」
「好きなのは~~~ヨコシマだもん♥」
「・・・・・・・・(汗)」
しかし一瞬にして無駄に終わった。タマモが横島に唇を近づけようとしたその時・・・。
「あの~、そろそろよろしいでしょうか?」
突如もう一人いた男が二人に話しかけてきた。それを聞いた横島は一瞬の隙を突いてタマモから放れた。
「・・・・・・・・(怒怒怒怒怒怒怒怒怒)」
凄まじい怒りの波動を男に向けるタマモ。
「怒るなってタマモ。ほら」
そう言って横島はタマモの頭を撫でた。すると一瞬にして甘え顔に変わる。
「あ、申し訳ないッス」
「いえいえ!!先ほどは助けていただき誠にありがとうございます」
「お役に立てたなら良かったッス。ところで、貴方は・・・?」
横島の問いに、男は刀の鞘を腰に抱え名を名乗った。
「拙者!!人狼族の戦士、犬塚ロウガでござります!!」
あとがき
ははは(壊れ気味)結構いっぱいいっぱいだ~~~~~~!!・・・のっけからスンマセン。深夜のせいか妙なテンションでございますです。え~今回遂にフェンリル編に突入しました。遅くなった訳は、最近購入した某○雄×魔○というゲームにハマってしまったため更新が遅れてしまったです。楽しみにしてる方々本当にスイマセン!!
さて、実は今回のSSの中に、横島がフェンリルを倒す鍵となる言葉が入っております。どなたか分かった方はいらっしゃったでしょうか?多分凄く分かりにくいと思うのでヒントをひとつ・・・・タマモのセリフのどこかに含まれています。あ、ちなみに漢字一文字です。
<柳野雫さん
タイガーもといTGをかっこよかったと言って下さってありがとうございます。正直駄作になったかなと心配しておりました。オチはクラスメイトのボコリで決まりです。これはお約束なので(笑)
<しーぽんさん
そこはまたいずれ話で書くと思うので今しばらくお待ちください。
<古槍頭巾さん
マーロウと戦ったネズミと同種ですね。結構GS世界なら同じような奴がざらにいてもおかしくないと思い書いてみました。あとピートですが、大丈夫です!!決して彼はヘタレでは終わりません。ちゃんと見せ場をご用意しておりますので・・・。
<法師陰陽師さん
<あの話ってソーラーシステムやらバルカンやらが出てくるんですよね(笑
それは言っちゃダメなお約束ッスよ(汗)Jも考えたんですが、何せ巨大化というスキルを持っているためちょっと厳しくなったため、ZOを使用しました。
琉朱菜はちゃんとエミさんに雇われました。(というよりタイガーと一緒に居たいために来たため半ば押しかけです)
<葱ンガーさん
どうも初めまして。おお!!まさか分かっている御方がいらっしゃるとは・・・。そうです。実はタイガーをライダーにする際、中々アイディアが浮かばず悩んでいたとき、友人から貰い受けたゴーダンナーのDVDを見た瞬間・・・ウェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイと電気が走りました。それで急遽タイガーは一人ではなく二人でこそ強くなれるライダーとしてこういう形となりました。
<ATK51さん
<某ネギまの「まほらのG13」
・・・・スンマセン。ネ○ま!は愛読しておりますがこれの意味は分からなかったです。ピートとのコラボ(というか相棒)ですが、ちょっと意外な人物が来る予定です。あとZOですが、スンマセン(土下座)実は私も正直ラストにもうちょっと絡ませるべきだと考えたのですが、苦悩の末こうなりました。
でも、今後ちょくちょく話にでる可能性はあるので期待しててください。
<ななしさん
そういう事だったのですか。ご忠告ありがとうございますです。ご期待に沿えるよう精進します。
では次回まで・・・煌鬼でした・・・トォ!!(ジャンプ)
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