「翼よ!あれがパリの灯だ~~~!!」
「いや翼は無ぇだろ・・・」
ボロボロになった横島に、雪之丞がつっこみをいれた。
そう、ここはエジプトを遠く離れたパリ!!
リヤカーをシロに引かせて、3人はパリに到着したのだ。
その間、国境付近で国境警備隊に撃たれる事2回。
スピード違反でパトカーに追われる事27回。
スペインでは牛にも追われた。
追われたついでに食ったけど・・・・
そんなこんなで3人はパリに到着したのである。
----横島三世VS(まだ秘密)----
シロの“飽きるまで散歩”耐久地獄を横島が味わいつつ
傷だらけの青春を堪能している時、まったくの別世界に
いる女がいた。
シーツの海といえるような大きなベッドに、その美しい裸体を横たわらせている。
地中海風の部屋はかなりの広さで、置物・絵画からちょっとした小物に至るまで
芸術品ともいえる物で固められていた。
しかしその芸術品の粋は、横たわっている女であろう。
寝乱れた亜麻色の髪でさえ、計算された芸術のようである。
「起きなさい令子。」
なんの気配も感じさせず、部屋に男の声が響いた。
令子と呼ばれた亜麻色の髪の女は、ゆっくりと目を開けた。
「・・・時間なの?・・・・」
「そうだ。仕事の時間だよ・・・・」
ガラス張りのシャワールームで令子は、目を覚まさせるかのように
シャワーを浴びた。
「美しい・・・君はまさに名前の如く美の女神だ。」
令子しかいないシャワールームに、先程の男の声が聞こえる。
「ふふ・・・でも私でも年をとるわ。」
“覗きか!!!!割増料金でふんだくってやるわ!!”
顔とセリフにまったく合わない事を令子は考えていた。
「そんな事は無い。そんな事はさせない・・・・」
「あなたはいったい誰なの?私にこんな屋敷まで用意させて・・・」
シャワーを浴びながら令子は、周りに気を配った。
そして感じるままにシャワーをガラスに投げつけた。
「そこかーーー!!横島ーーーーっ!!!!」
覗き=横島という発想が彼女にはあるらしい。
ガラスが割れ、その奥には監視カメラが設置されていた。
令子はカメラを取り外すと、浴槽に投げ込んだ。
「ふはははははははははは!!!そのうち分かるよ。仕事が終わったらね。
・・・・ところで、今の“横島”ってなんだね?」
「ただの掛け声よ・・・・」
令子の顔が少しだけ赤くなった。
令子は革製のライダースーツに、その美しい体を包んだ。
「割増料金上乗せ決定ね!お互いビジネスライクね・・・誰かさん♪」
彼女の頭の中には、すでに料金の計算が終了しているようであった。
ガレージに向かい、ピンク色のハーレーダビッドソンクラッシックに跨る。
「ピンクのハーレー・・・エミじゃあるまいし、悪趣味ね・・・・」
小笠原エミがピンクを好み、ハーレーに乗るという記述はどこにもない。
令子の思考では、自分が気に入らないこと=エミという方程式が成り
立っているのであろう。
セーヌ川をパリ方向へ目掛け、令子の操る趣味の悪いピンクハーレーは
夕暮れの風を受けて走り出した。
横島御一行はパリ市内セーヌ川畔のアジトにいた。
自分の周りを骨付き肉で囲んで、シロは数十個目の肉にかぶりく。
遠くで、ハーレー独特の2気筒の重低音が聞こえた。
「ひはは(来たな)」
「食ってからいえよ・・・・・そうらしい。」
シロの女性とは思えない食いっぷりに呆れつつ、雪之丞は窓に目をやった。
エンジンを止めると、令子は亜麻色の髪の乱れを直した。
ハーレーから降り、川岸に向かって歩を進める。
すでに目の前には、街灯に照らされたセーヌ川が見える。
無粋にも令子の右側には古いビルが建っており、川面をすべてみることは
できない。
この古いビルを左に折れると、横島との待ち合わせの場所だ。
令子が曲がる寸前まで行くと、目の前に赤い薔薇が1本差し出された。
「横島くん・・・・横島くんなの?」
令子が声をかけると、タキシードに身を包んだ横島が目の前に現れる。
「綺麗だぜ・・・令子。」
本人はカッコつけているつもりだが、タキシードに赤いバンダナは不似合いだ。
「なにそれ・・・・」
令子の目から見ても不似合いだったのだろう。
顔に縦線が入っている。
「パリの甘い夜風に吹かれて、俺今宵華麗に変身した
つもりなんだっけっどもなぁ~」
「そのようね・・・華麗かどうかは分からないけど・・・・
それよりまさか・・・・またトランペットでも持ってきているんじゃないでしょうね・・・」
令子がそういうと、横島は左手を背中に隠した。
どうやら図星だったらしい。
誤魔化そうと片膝をついて口説きに入る・・・ワケはなく・・・
「クソと呼んでください。」
「ちゃんと口説かんかーーーーーっ!!!!」
ミルコ・ク〇コップに匹敵する左ハイが炸裂した。
口説いてもドツく。口説かなくてもドツく・・・理不尽女王は健在であった。
気をとりなおして、再び令子の前で片膝をつく横島。
「嗚呼麗しき令子、そなたは薔薇なり」
「お古いコト・・・・」
といいつつ満更でもない様子である。
「そのトゲの痛みもまた幸せなり、愛すればこそ・・・」
胸に手を当てオーバーアクションで表現する。
令子の動きが急に止まった。
“ヤベ・・・トゲを強調しすぎたか・・・”
彼の本音がでたのだろう。
「横島くん。」
「は・・・はい!」
片膝をついた体勢から立ち上がり、直立不動になる。
「それ・・・本気?」
「いや!トゲ無いっス!トゲなんて美神さんには無いっス!!」
「違う!!!その後!!!!」
「その後って・・・」
令子は横島の側に行き、耳元で囁いた。
「愛すればこそって。」
令子の女の香りが横島の鼻を擽り、心臓がうるさいほどに響く。
いつも元気に迫って来る横島だが、役とはいえ令子をちゃんと口説いたのは
初めてだ。
令子もガラにもなく“恋する乙女”と化しちゃったりなんかしちゃったりする。
しかし!!!!!!
これは“横島三世”
そんなもんは許されるワケはない。
二人の様子をじっとみる影。
殺気にも似たオーラを放ち恨めしい呻きを上げている。
「う~~~~~~~~~~~~~」
口に骨付き肉を銜えたシロが、窓から見ているのだ。
((ヤ・・・ヤバっ!!))
令子は横島を突き飛ばすと、そのまま背中を向けた。
「お芝居はそれまでよ、早く取引きを済ませましょ。」
そういいつつも、なぜか右手に握り拳をつくっている。
(臨時ボーナスゲットに、横島君から“言質”取ったっ!!!この役かなりおいしいっ!)
セリフと考えが真逆なとこが、まさに令子そのものである。
「お~お~、実際お前トゲ・・・いや毒が多すぎるんだよな。」
さっきのはいったいなんだったんだ??
確かめるのは“死”を恐れぬ行為と判断して、横島は平静を装う事を決め込む。
令子の前に周ると、ベンチに座って手にしていた薔薇を放った。
「横島君・・・あなたまさか・・・」
拗ねたような態度をとる横島に向かい令子は、冷静に言い放つ。
「焦んなよ・・・ほぉ~れ♪」
横島はポケットから宝石箱を取り出した。
令子の顔が真っ赤になる。
横島はケースの蓋を開け、今回の獲物の“賢者の石”を見せた。
令子の顔が急に落胆していくのが見て取れる。
まるでカメレオンのようであった。
「妙な期待させんなよ・・・・」
全身がプルプル震えている。
「あ・・・あれ??美神さん??」
異変を感じた横島は慌てたが、彼の声を聞いた令子はハっとなり
我に返った。
「や・・・やったのね!横島くん!!!」
なんか今更だが、かなりわざとらしく喜ぶ令子。
横島は令子が触れる寸前で、宝石箱の蓋を閉じた。
「う~~~~~~んこの後、“熱の入れ方がまるで違うんだから”って
言うとこなんっスけど、これだとセリフがまったく逆ですよ。」
宝石箱を右手で転がしながら横島は、令子の方を向いた。
「嫌がる雪之丞を口説き落として、苦心惨憺かっぱらってきたんですから
もうちょっと喜んでくれたっていいじゃないっスか?」
横島はそういうが、令子は口が裂けてもいうワケにはいかなかった。
“横島から指輪が貰えたと思って喜んだら、違ってて凹んだ”なんて
彼女のプライドが許さないのだ。
とりあえず頭の切り替えを・・・・・・・・・
賢者の石を持って帰って報酬+割増料金、横島から言質とったから戻ってきて
買い物つきあわせて買わせる・・・・この手がいこう!!!
ち~~~~~ん♪
彼女の脳内で整理がついたようである。
「そんな事はないわよ~、それで一儲けできるんだから♪」
原作の脚本はどこにいってしまったのであろうか?
賢者の石はタダの道具と化してしまっている・・・・
「金儲けのワリにはなんか珍しくテンション低かったような気がするッスけど・・・
まぁワケは聞かない約束だからいいっスよ・・・・だったらデートの約束守ってください。」
かなり安い男だ・・・伊達に時給255円で働いてきたのではない。
「そうだったわね。ちょっと待って仕度するから。」
令子はそういって横島に背を向けると、コンパクトを取り出し化粧を始めた。
「いいですよ!化粧なんて後回しで♪美神さんはそのままで綺麗なんですから。」
化粧をしながら令子はニヤケまくっている。
“あんたこの役になるとかなりいいじゃない!!普段からそれ言ってね♪”
「あんまり待たせると、俺“狼”に変身しちゃうぞ・・・がぉ~~~!!」
「呼んだでござるか?」
「「呼んでねーって!!!」」
覗いていたシロに息の合ったツッコみをする二人。
「ちぇ・・・先生が人狼になったのかと思ったでござるよ。」
シロはそういって窓の中に入っていった。
ちなみにまだ骨付き肉は食っている。
「まったくアイツは邪魔ばかりしやがって・・・」
横島はシロが引っ込んだ窓を睨みながらブツブツと呟いている。
「横島くん。」
「なんすか?」
令子の方を見た瞬間、横島の身体が固まった。
「あ・・・あれ??これって」
「そうよ“縛”の文珠よ。あんたのヘソくっていたの拝借しちゃった♪」
「そりゃないっスよ・・・・」
目の幅の涙を流し途方にくれる。
「取引き終わったら戻ってくるからね。それまでに身辺整理しときなさいよ。
“言質”とってあるんだから、逃げられないからね♪」
令子はニっと笑って自分の指に口づけすると、その指を横島の唇に軽くつけた。
「手付けよ、とっときなさい♪・・・・それじゃ~ね~~~~。」
ご機嫌な令子はハーレーの音を高らかに残し去っていった。
「“言質”ってなんの事よ??・・・わ・・・・わからん・・・」
固まったままの横島はバランスを崩して、そのままの体勢で転がった。
「確かさ・・・・硬直とるために頭からお湯ひっかけられるはずなんだけど・・・」
横島はアジトのソファに座りそういった。
彼の頭には、お湯ならぬ血が滴り落ちている。
「えんえーー、ひおおおおうあおおーいうあえいうえおあう。」
「シロよ・・・・」
「あい。」
「なんて言ってるかわかんねーから、いいかげん放れてくれねーか?」
シロは現在横島の頭にずっと噛み付いて、その牙を頭蓋に食い込ませていた。
「いっちょ前に嫉妬かよ・・・嫉妬深いのは嫌われるぜ。」
からかうように雪之丞が言う。
この男に女を語る資格はあるのだろうか?
シロはそういわれてようやく牙を頭蓋から抜いた。
「先生、仕事と女の両立はできんぞござる。
両立したいなら拙者を相手にしてくだされ。」
「おまえなーーールパ〇と五右〇門の野菜なんて誰が見たがるかよ。
とりあえず、俺の頭蓋骨のかわりにこれでもしゃぶってろ。」
横島はシロの口に、骨っ〇を入れた。
「ちゃ~んとこれも計算のうちなんだから・・・」
そういいながら、置いてある無線機の周波数を合わせた。
「たいしたオツムだぜ・・・・」
郊外の墓地に令子のハーレーは停まっていた。
他の場所と少し違い、明るい場所へと移動する。
「石は手に入ったかね?」
「横島君は私のかわいい丁稚よ。たいしたことなかったわ。」
今回たいしたことなかったのはアンタだろ・・・・
盗聴器からの声を聞きながら、雪之丞はつっこみを入れた。
ちなみにシロは“かわいいのは自分だ!”と断言している。
「いつものように勘九郎に渡しなさい。」
令子の後ろから勘九郎が現れ、令子の手から宝石箱をとりあげる。
「ちっ・・・・」
手荒な扱いを受け、令子のコメカミに井桁が浮き立ていた。
「あらヤだ・・・怖い顔しちゃって♪」
「アンタほんとはセリフないでしょ!勝手にしゃべんないでよ!!」
ほとんどいいがかりである。
令子のいいがかりを鼻で笑って流すと、勘九郎は宝石箱から石を取りだし
そのまま上に掲げる。
「おお!これこそ憧れ求め続けた人類の夢、永遠の証!!」
上空から強い光が差し込み、光の中に人影が写る。
「あなたなの?早く姿を見せてちょうだい!!!そして・・・・・・・・
ギャラよ!!ギャラ!!!!!!!!
覗き料追加よ!!!!」
聞いていた全員がコケていた。
「なにーーーーーーー!!!!!見られたんかーーーーー!!!
あの乳!尻!ふとももは俺んじゃーーー!!」
そう思うんなら、さっさとモノにしろよ・・・と雪之丞は心の中で
ツッコみを入れ、シロは再び横島の頭蓋に牙を立てた。
「私の名は・・・・・・・」
光の中の人影がコケから立ち直って、語りかける。
「ボリューム上げろ!」
盗聴している横島がそういうと、雪之丞は無線機のボリュームを捻った。
影から雷光が走り、勘九郎が持っていた石に落雷する。
石が弾け飛び、中の盗聴器が露にされた。
盗聴していた横島は無線機を破壊され、ヘッドホンごと爆発し雪之丞と
二人でアフロなソウルブラザーズになっている。
「私の名は△※×〇▲☆」
後書き。。。。。。
まだ敵の名前は公表しません。
横島君と対峙するまであえて伏せる事にします。
今回よーやく、GSっぽくなってきましたが、敵の親玉と対峙するまで
GSの世界観はおそらくでてこないでしょう・・・・
かなり長~~~~~~い前振りになりそうです(苦笑)
書き方を元に戻して見ました、自分でUPされたの読んでみて
かなり見辛かったもので・・・
レス返しです。
tete様>
VSクローンです。自分の中のルパンはこっちなもので(笑)
カリ城だとどうもルパンというより宮崎作品として見ちゃうんですよね・・・
原作本の読みすぎかもしれません(苦笑)
刀は、シロには悪いですが折る予定です。
折ってもらわないとラストが繋がりませんから(苦笑)
インビシブル様>
映画館上映時に生まれている人は、果たしてここにいるのでしょうか?
ちなみにワタクシめは生まれてました(自爆)
生まれてたどころか・・・・・・どの映画館でやってたか記憶まであったりします。
マモーに対しては横島君は結構マジに対処する事が増えます。
なるべく原作(映画)に近い形にもっていきたいので、さすがにタマモはマズい
ですね・・・・でも、それかなりおいしいですね(爆)>タ・マモー
良介様>
マモーで声は2代目黄門様の故西村晃さんでした。
漫画家の赤塚不二夫氏や劇画原作者の故梶原一騎氏がゲスト出演していました。
↑マメ知識。
さぁ!!今からレンタルビデオ屋に走りましょう!!!
Yu-san様>
確かに不二子ちゃんはいい脱ぎっぷりでしたね(爆)
やはりルパンはこうでないといかんです(違)
足岡様>
実をいうと、自分も映画版では最初のコレが一番好きです。
ガチガチではなく肩の力を抜いて見られるハードボイルド・・・これぞルパン三世!
エロ有り・ハード有り・ギャグ有り・・・そしてヒロインはやはり不二子がいいですね。
登場人物は確かに困りました。
女性が少ないですからね・・・反対にGSは女性が多いし・・・
クライマックスの“アレ”ですか?確かにアレの処理は難しいっすね(笑)
“アレ”はおそらく形を変えて登場するものと思われます。
マモーが登場するまでもうしばらくかかると思いますが、気長にお待ちくださいませ。