「準備は出来たのかな?」
魔体の前には、たった一つの影。
最強の三人が同期した横島がいる。
「そんな親切な気配りが出来るんなら、今すぐ消えろよな。」
そして、横島の後ろには、横島達に全てを託した仲間達が見守っている。
怖い。
顔には出さないが、気を緩めると恐怖で震えそうになるほど、アレは格が違う。
この《三》《位》《一》《体》だろうが、アレの前では何の意味もないだろう。
しかし――
「全く、唯の丁稚だった俺が、何時の間に、な?」
しかし、引くわけにいかない。
後ろには仲間がいる。
理由なんてそれだけで十分だ。
カッコつけたいわけじゃない。
横島というのは、生きるためなら、何だってする男だ。
「当初は、君の存在はすぐにでも消すべきだと考えていたのだがね……」
では、生きるとはなんだ?
自分の心臓が動いているから、生きているといえるか?
休日に、ナンパをしていれば、生きているのか?
「だが、君を消せば私の計画がうまく行く保障など、何処にもない。いや、下手すれば君以上の存在が現れる可能性だって考えられる。」
違う。
昔は、それでよかったかもしれない。
ただ、普通に朝起きて、ご飯を食べて、学校に行く日々の繰り返し。
そんなごく普通の生活をしていれば、生きていると思えたはずだ。
「ならば、私はこう考えたわけだ。君を使う事によって世界の選択すら、私の手の内に、とね。」
美神と出会い。
それが、横島の運命を変えた。
GSというものを知り、おキヌや、多くのGS達と触れ合っていく。
「そう、よくここまで来てくれた。私は――」
「もういいよ。しゃべんじゃねえ。俺はお前を倒して、さっさと帰りたいんだよ。そんなに語りたかったら、地獄で好きなだけしてくれ。」
悠闇との出会い。
それが、横島に道を示した。
もう、昔には戻れない。
事務所の皆や、GSとしての自分。
今の横島にとって、美神達は掛け替えのないものだ。
水がなければ生きられない魚のように、美神達が居なければ、今の横島は生きては居ない。
「それは失礼した。ならば――創めるとしよう!!」
だから、戦う。
己の居場所を、己の帰るべき場所を守るために。
「……懐かしいよな……あの生活が。」
そう、横島はただ、自分が生きるために戦うだけだ。
――心眼は眠らない その71――
「お前ら、気合入れていけよ!!」
『わかってんよ!!』
『任したで、横島はん!!』
手持ちの半分以上の文珠を使用して発動させた《三》《位》《一》《体》。
ベースとなった横島は、アシュタロスを睨みつけながら、いや、すでに霊視を始め弱点を見つけようと努力している。
(ち! 全く見え――)
「其方がこないというのなら、此方から行かして貰おう!!」
霊視をしても成果は上がらない。
そのような中、横島を襲う魔力波のマシンガン。
その一撃一撃が、気を抜けば死を招く。
防御に集中すれば、防げないわけではないが、それでは霊力の少ない此方の分が悪い。
「回避するしか――!?」
ここで横島は己のミスに気付く。
『横島!! 早く回避を――』
雪之丞の言葉を聞いている暇はない。
「よく分かっている……だが、それでは唯、敗北するだけだが?」
無数の魔力の波動が、横島を喰らわんと迫ってくる。
だが、横島はその場から動かない。動けない。
己に喝を入れるため、大声で吼え全ての魔力波を相殺し始めようとする。
「そうだ、あそこは既に私の射程距離だ。」
横島の背には、帰るべき場所がある。
横島がこの場から、逃げようとすればアシュタロスは躊躇わずその場に向かって攻撃を仕掛けるだろう。
いや、既にこの攻撃自体、横島が回避すれば直撃する。
もちろん美智恵も、それに備えて既に結界を張っている。
だが、その程度の結界、一発、二発を凌げる程度のものだ。
「さぁ、踊れ。でなければ、大切な、君が大切にしている宝物が壊れてしまうぞ?」
横島は、必死に魔力波の軌道を逸らすためにサイキックソーサーを投げ続けている。
減り続ける霊力。
その度に、気をしっかり持ち霊力を即座に回復しようとするが、追いつかない。
「くっくっく……どうした、横島?」
本来なら追いつくわけがない。
だが、現に今、横島はアシュタロスが放つ魔力波をうまく本部に当たらないように逸らしている。
そう、アシュタロスは遊んでいる。
『あかん!! なんとか反撃にでえへんとこのまま終わるで!?』
出来るものならとっくにしている。
アシュタロスは、横島の能力を完全に把握しているのか、横島が反撃に出れない程度に攻め続けている。
唯、遊んでいるだけだ。
伝えたいのかもしれない。
私と同格であるお前に、仲間など邪魔なだけだ。
「……横島よ。お前も本当は既に分かっているのではないか?」
同期をして、霊視をしてアシュタロスの弱点は見えなかった。
その時点で勝負はついている。
勝てるわけがない。
「そのままでは、私を倒すことはできないのだが? 何を躊躇っている? さぁ、もういいだろう。お互い、時間も残されていないのだ。覚悟を決めたまえ!!」
『時間が残されていない……? 横島、お前やっぱり!?』
「騙されんな!! 第一今は、あの野郎を倒すことが先だろう!?」
雪之丞が、今の一言に反応する。
だが、横島の正論にこれ以上話を続けられない。
「――!? 思った以上に早いな……」
「アシュタロス!? やらせるか!!」
アシュタロスは何かを感じ取り、魔体の背中から、強大な大砲が現れ此方に銃口を見せる。
そして、最悪なほどの魔力が収束され、究極の魔体、最大の一撃が放たれようとする。
横島はその一撃を防ぐ事は不可能と悟ったのか、ならば、発射前に倒そうと兎に角、霊波砲を放ち続ける。
だが、その全てはバリアの前に消え去ってしまう。
「くそ!! 早く止めないと!!」
雪之丞も鬼道も、力を振り絞り横島に霊力を託すが、魔神の凶行は阻止できない。
「――邪魔をするな、失せろ。」
「やめろぉぉぉぉぉおおおお!!!」
主砲は発射される――美神達の方へ。
それを止めれる術など、人間には不可能。
美智恵、西条が指揮を執って、結界出力を最大限にしているが、意味などない。
あの黒き光の前に、人間の存在など小石にすらならない。
横島は、何とか軌道を逸らそうと魔弾の前に立とうとした時、二つの存在がそれを防ぐ形になって現れる。
「いや〜一本取られたな〜」
「私達が現れるポイントを狙ってくるとは……これは厳しいですね。」
それは、神と魔の最高指導者。
チャンネルが回復した事によって、魔体を倒すためにその他の神魔達より先に人間界に到着する事に成功したが、アシュタロスは空間の歪みを感知し、主砲をぶつける事に成功した。
その威力、例え最高指導者といえど唯ではすまない。
「アシュタロス……あなたに未来<さき>はないはず……なのに、何故まだ戦うというのです?」
「魔神としての誇りを捨て去りおって、ほんま何を考えているんや!」
アシュタロスの当初の目的は、自己の消滅。
すでにコスモ・プロセッサが消えた今、アシュタロスに勝利はないはずだ。
「……? あの少年は……?」
神の最高指導者が、横島の存在に気付く。
横島忠夫、この人間界のピンチを仲間と共に幾度も救い、死後は神格化も考えられている人材。
だが、チャンネルが閉じられていた時に、横島が犯してしまった事を知れば、どうなるかはわからない。
「くっ! なんちゅー出力や!?」
じりじりと押されていく最高指導者達。
そんな中、神の最高指導者はある事に気付く。
「――抑止力。まさか、あなたは!?」
「どうしたんや!?」
チャンネルを閉じられていた事が、ここに来て対処が遅れてしまっている事を悟る。
情報が足りない。だが、神の最高指導者には唯一、横島が抑止力、世界に選ばれた存在だという事を理解する。
「アシュタロス!? あなたの狙い、それは――」
「あかん!? これ以上は無理や!! 撤退するで!!」
結局、最高指導者達は、魔体の主砲を一発凌ぐ事に成功はしたが、その代償は大きく、神界、魔界に帰還させられてしまう。
「……さぁて、無粋な邪魔が入ったものだ。で、今の砲撃を見ればわかるが、君達に防げる事が出来るかな?」
余裕の笑みを浮かべるアシュタロス。
レベルが違う。
先ほど現れた最高指導者達を簡単に、退散させるその理不尽な攻撃力。
霊視によって、相手に致命傷を浴びせる事が出来る横島の攻撃を無力化するバリア。
「――だからって、ここまで来て負けられっかよ!!」
見えない。
GS試験から、己の最も便りとする霊視が全く意味をなさない。
本当は、弱点などないのかもしれない。
本当にこの魔体は、『究極』なのかもしれない。
「そんな事あるか!! 絶対見つけてやる!!」
「その状態では無理だな。いい加減――正体を見せろ。」
横島の攻撃は無効。
アシュタロスの攻撃は、かわせば美神達のもとへ向かう。
劣勢、劣勢、霊力の底も見えてきた。
「私が何を言いたいか、分かっているのだろう? それとも、もう一度追い込まれなければ出来ないのか?」
「もう既に追い込まれとるわーーー!!!」
泣き言を言いながら、眼は死んでいない。
アシュタロスが攻撃した瞬間に生じる隙を常に狙っている。
「ふ〜〜……ならば、そろそろもう少し、本気を出そう。」
「――!? な! くっ!? くそ!!」
アシュタロスの砲撃の速度が上がり、数も増えている。
その全てを凌ぐなど出来やしない。
横島の横を幾つのも魔弾が通り過ぎていく。
ドゴォォォォン!
建物の倒壊の音が聞こえる。
どうやら、結界も既に破壊されたらしい。
(ちきしょう!! これだけ頑張っても駄目だっていうんか!?)
続々と、押され続けていく。
これが絶対的な力の差。
「どうした? もしかしたら既に仲間の何人かは死んでいるかもしれないのだぞ?」
アシュタロスの戯言が横島の動揺を誘う。
向こうには、小竜姫やワルキューレ、メドーサといった連中もいる。
避難するだけなら、何とかなっているはずだと信じたいが、この極限状態では僅かな気の緩みも許さない。
「――やべ。」
「これが最後通告だ……本当に、その状態でいいんだな?」
枷を外せ。
お前に相応しい力は、そんな合体技ではない。
「お前の弱さが、お前の未熟さが、仲間の死を招く。」
先ほどと同じように、主砲がこちらを狙っている。
今度は、最高指導者は居ない。
防がなければ、皆が消える。
帰るべき場所を失う。
「させねえ……そんな事……」
忘れたのか?
”蘭丸!!しっかりするのだ、蘭丸!!”
もう一度繰り返すのか?
”も…うし…わけあ……りませ…んで…し……た”
お前は既に、目の前で友の仲間を亡くしているのだ。
”てん……かを…たの…みま……す”
あの無力感をもう一度?
”……ああ、だから蘭丸よ……安らかにな。”
――否。
「――消えろ。」
咆哮。
「やらせるかぁぁぁぁあああああ!!!」
『な、そんな馬鹿な!?』
『伊達はん、これは本気でいかな僕らがやばいで!!』
三位一体のメリットの一つ。
合体の際に起こる吸収事故の防止。
これは、例え横島一人の霊力が、雪之丞や鬼道より上でもその場合は、雪之丞と鬼道が協力する事によって吸収を防ぐ事を可能とする。
しかし、今、横島の無限に溢れる霊力に力を会わせている二人ですら、吸収されそうになっている。
「本性を現してきたな!! 人の限界を超えるのではない!! 人間と言う存在そのものを超えてみろ!!」
主砲が発射される。
それは最高指導者が二柱がかりで、凌げる代物。
それの前に立ちふさがる横島。
「――見えてんだよ。」
相手の弱点を見つけるだけが霊視じゃない。
その魔弾の何処を狙えば、最も効率よく軌道を逸らす事が出来るかを見極める。
「そこ!!」
サイキックソーサーでは追いつかない。
ここでの選択肢は一つ。
唯、殴りつける。
『あかん!?』
『しっかりしやがれ!! 二人掛りなのに、横島に負けられっかよ!!』
だが、その意志も徐々に薄れていく。
横島の霊圧が、二人を喰らい尽くそうと押し寄せる。
「ぜってーもうあんな事は繰りかえさねえ!!」
横島の拳は、魔弾を下から突き上げるかのように振り上げられる。
その破壊力、軌道を逸らすには十分なはずだ。
ゴォォォォォオン!!
横島の拳は、魔弾にぶち当たり、その瞬間途轍もない魔力波が横島を襲う。
「我が怨念、貴様に耐えられるかな?」
そう、これは唯の魔力の塊ではない。
アシュタロスという魔神の怨念の塊だ。
その怨念、人の身で耐える事など出来はしない。
『うぉぉぉぉおおお!?』
『ぐぅぅぅううう!?』
そう、人では……
「負けねえ…負けねえ……てめえに勝てるんなら――覚悟決めたる!!」
ここに来て、さらに出力を上げる横島。
もうブレーキはない。
このまま突っ走るだけだ。
「うぁぁぁぁあぁああああああ!!!」
雄叫びを上げながらも、横島の拳は、魔弾を上空へ逸らす事に成功する。
だが、三人は霊力の限界がきたのか同期状態が解けてしまい、各自散らばってに海へ落ちていってしまう。
「ほう、私の最大の一撃をとうとう凌いだか……だが、既に同期は解けている……これで、ようやく終幕といけるか……」
アシュタロスは、横島が墜落した場所の方を眺めている。
死んでいない事は分かっている。
「分かるぞ、横島……次、貴様が私の目の前に現れた時――お前は私を殺す事すら可能になっているはずだ。だからこそ、貴様は――抑止なのだから。」
海中で、流れに身を任せている横島。
(……体が、全然動かんぞ……)
あの魔体の主砲を弾いたのだ。
体が動かないだけですむなど御の字だろう。
(体はボロボロ、結局、弱点は見つけていない……大体あんなバリアの前にどうせーっちゅうねん?)
活路を見出せない。
それが、横島の体力と気力を奪っていく。
このまま出て行った所で、残す文珠は後三つ。
《三》《位》《一》《体》も出来やしない。
(あぁ、ねむてえ……このまま眠ったらどうなるんかな? やっぱ今までのは夢で起きたら、美神さんやおキヌちゃん、そして心眼、皆で事務所に居るんだろうな……)
唯の高校生だった自分が、世界を滅ぼそうとしている魔神と戦っている。
どう考えたって現実的ではない。
だからこれは夢なんだ。
起きたら、事務所に居て日常が始まるんだ。
(……なんだよ……仕方ねえじゃん。精一杯だったじゃねえか……いっつも皆の後ろで応援しか出来なかった俺が、先頭に立って戦ってるんだぜ?)
拳を握り締める。同時にそこから赤い液が流れては、海水を濁す。
(怖いのを我慢してさ……やっぱ美人は人類の宝だから守らなければいけないけどさ……でも、何で俺なんだよ?)
張り詰めていたものが、緩み、一気に感情が溢れ出す。
何故、自分が戦わなければならない?
唯、自分に便利な能力があっただけだ。
唯、自分が一番魔神に対抗できるからだ。
(俺の将来は美人の嫁さんと結婚できたらいいだけなんやど!? 誰が、魔神と戦わせてくれっていった!!)
もう、疲れた。
諦めない。
最後まで足掻く。
確かにそう誓った。
だけど、もう疲れたんだ。
(どうせ、俺は優柔不断だよ……まともに初志貫徹もできやしないし、よく逃げるし、今までが奇跡だったんだよ。たった今から、俺は元の横島忠夫に戻るんや!!)
しかし……
(ここで逃げて、俺に何が残るんだ……?)
ここで、逃げて、また危なくなったら逃げて……気付けば何もない。
帰るべき場所は、彼女達の下。
今、逃げるという事は、それを捨てるという事だ。
(明日から美神さんのシャワーも、おキヌちゃんの料理も、心眼の説教もなくなるんか……?)
それは現実か?
それは生きているというのか?
(……あ!……思い出した。)
何のために、ここまで来たのかを。
何のために、自分が戦っているのかを。
(俺の日常を守るためだろ!!)
歯をかみ締め、空を見上げようとする。
この海の上、奴がいる。
横島忠夫の日常を奪おうとする魔神がいる。
(残り三つ……何かあるはず!!)
残された文珠を見つめ、最後の策を考えようとしたその時、
(横島!! 横島、聞こえるか!?)
(――!? 心眼? 心眼、皆は!? 皆は大丈夫なのか!?)
悠闇からテレパシーが送られてくる。
(あぁ、安心しろ。負傷者こそ居るが、全員生きている。お主こそ大丈夫なのか?)
(俺か? 俺なら平気平気、なんてったって横島忠夫様だからな!)
先ほどまでの気分を全く感じさせない横島。
そして、気合が入った時にちょうど聞きたかった師の声。
彼女の存在が横島に光を見出す。
(……なぁ、心眼。)
(どうした?)
活路は見えた。
光はある。この世に闇だけなんてないんだ。
(……ありがとうな。お前は、やっぱ最高の相棒だ。)
(なっ!? な、なにをいきなり!?)
動転する悠闇。
そんなセリフを面と向かって言われたら、顔が真っ赤になる。
(俺、行くわ。多分、これならあの野郎も倒せるはずだしな……)
(……横島。無茶をするなとは言わん。だがな、これだけは覚えておけ。)
横島は二つの文珠に念を籠める。
(――お主は多くの者に支えられてきた。そして、これからも、お主の背中を支えてくれる者が居るという事を……おぬしは一人ではない。)
その言葉に頷き、文珠を発動させる。
「アシュタロス――俺達の心眼を舐めんなよ。」
《竜》《神》
初めての妙神山の訪問、小竜姫の一撃をかわせるほどの眼。
GS試験、ピートと雪之丞が戦った時に、勘九朗が結界に穴を開いたことに気付いたのも横島だった。
「俺と心眼の霊視。この二つを同時に展開すれば!!」
横島がエネルギー結晶を破壊した時、あの時の横島の超加速はアシュタロスに反応すらさせなかった。
アシュタロスが疲労の極致だったという事もあるが、あの時の超加速は明らかに猿神すら超えていた。
「来たか、横島忠夫!!」
それは何故か?
考えられる理由は一つ。
横島が《韋》《駄》《天》で猿神よりも速かったのは、横島の超加速と韋駄天の超加速が同時に使われていたという事だ。
つまり二重の超加速。
ならば分かるだろう。
霊視に特化した横島。
霊視を極めた悠闇。
この二つが交わったものが如何ほどか。
「――!? 見えた!!」
腰の後ろにある僅かな、本当に僅かな歪み。
「ぐっ!? 集中!!」
だが、同時に横島の右眼に異常が発生する。
「――!? くっ!?」
「どうしたのよ、心眼!?」
半壊した本部にて横島と魔体の決戦を見守る一行。
そんな中、悠闇は己の右目を抑える。
「い、いや……大したことはない。それよりも、横島の方を……」
その言葉と共に、皆の視線は悠闇から再び、横島の方へと戻る。
(……愚か者……右目を……)
横島との繋がりが深いからこそ分かる。
横島の右目は――光を失う。
「これで、終わりだーーー!!!」
それは既に霊視という枠を超えている。
では、『心の眼』、心眼と言うべきか?
否、これは――神をも殺す眼。『神眼』という名こそ相応しい。
「弱点さえ分かれば、お前なんか!!」
横島は魔体の後ろを取り、霊波砲を放とうとする。
「――究極というのは伊達ではないのだよ。」
ゴォンッ!!
この戦い初めて直接攻撃、拳で横殴りにされる。
そのまま、海に叩き落される横島。
「ぐはっ!?……超加速だ…って?」
究極の魔体、それは神を超越し存在……
――心眼は眠らない その71・完――
あとがき
はい、遅れて申し訳ありませんでした。
最近は、教習所にも通い始めたため、書く時間が減る一方なんです。
原作と違い、意識を持ったアシュタロス。
まぁ、魔神であるアシュタロスが究極というぐらいだから、超加速対策も出来ているんだろうなと思いました。
という事で。第一ラウンドはアシュタロスの勝利という事で。
次回も、なんとか暇を見つけて頑張りますので、よろしくお願いします。
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