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「あなたと共に(GS) 第三話 」

悠稀 (2005-05-17 03:57)
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「ふ〜ん、それじゃそんななりはしてるけどあんたはあのときのバンダナってことね?」
「そういうことだ。」

あの半ば八つ当たりにちかいしばきの後、ボロボロになった横島を無視し、
妙にすっきりした感の美神は心眼にソファを薦めて説明を求めた。
心眼は横島のことが気になったものの、薦められたソファに座り今までの経緯を話していた。

「横島さん、大丈夫ですか・・・?」
「う〜ん・・・」

話をしている横で、おキヌが横島に心配そうに声をかけるが反応が鈍い。
その様子を見ていた心眼が横島に近づいて横島の額に自身の額をつける。
それを見た美神とおキヌがなにか言いたげに眉と口元をヒクつかせるが次の瞬間

「喝っ!」
「ぅわたっ!!」

心眼の気合と共に横島の目が覚める。
気がついた横島が何事かと周りを見回して心眼が目の前にいることに気づく。
そしてさっきのは心眼の仕業だということに気づいて文句を言う

「ひっで〜な〜。もうちょっと優しく起こしてくれてもいいだろ?」
「いつまでも寝ているおぬしが悪い。」
「寝てたんじゃなくて気絶してたんですけど・・・」
「何かいったか?」
「なんでもありません!」

背筋を伸ばして横島が答える。
どうあっても横島は心眼に頭が上がらないらしい。
多少の引け目があるのもいなめないだろうが・・・。

そんなやり取りをしている二人を美神は面白くなさそうに見つめる。
いつもなら横島を有無を言わさず黙らせるのは自分なのだ。
それをとられて、さっきはれた気分がまた悪くなる。

「それで?今日はどうしたの?今日は特に仕事もはいってないはずよね?」
「い、いえ。最近顔出してなかったんでたまには顔出したほうがいいかな〜、なんて・・・。心眼のこともありましたし。」
「それは殊勝な心がけね。でもバイト代はでないわよ。」
「う・・・。わ、わかってますって。」

美神の少々険のはいった声に横島はどもりながら答えるが、続いて出る言葉につい口をつまらせてしまう。
それがいけなかったのか、さらに美神が機嫌を悪くする。

「なによ、なにか文句あるの?」
「まあまあ、美神さん・・・。それよりも横島さんはお昼ごはんはどうするんです?
もし決まってないなら食べていきませんか?丁度用意しようとおもってたんですよ。」
「ホント?助かるよおキヌちゃん。お言葉に甘えるよ。」
「はいっ!それじゃすぐ用意しますね。」

険悪になりそうなのを察してか、先ほどまで横で見ていたおキヌが話をそらす。
横島もこれ以上続けるとまた折檻をうけそうだったので、これ幸いと話に乗る。
横島はその答えに嬉しそうに台所へかけていくおキヌを見て、改めて、ええコやな〜と心の中で思った。


「ふぅ〜、食った食った!相変わらずおキヌちゃんの料理はおいしいな。ついつい食べ過ぎちゃったよ。」
「うむ、たしかに美味かった。さすがおキヌどのだな。」
「そんなに褒めないでください。これぐらい誰でもできますよ。」
「そんなことないって!これだけのもの作れるひとはそうはいないよ。」
「えへへ、ありがとうございます。横島さん。」

あのあと、すでに下ごしらえはしてあったのか三十分もしないうちに料理が用意され、皆で昼食を食べることになった。
そして食べ終わった後、片付けも済んで先ほどとは違いほのぼのと食後の会話を楽しんでいた。

「そういえばつい忘れてましたけど、自己紹介がまだでしたね。改めまして、氷室キヌです。
よろしくお願いしますね。」
「うむ、そういえばそうであったな。私は心眼だ。こちらこそよろしくたのむ。」
「なんかおまえ、すっごい偉そうだな。」
「横島に聞いたが本当に生き返ることができてよかったな、おキヌ殿。」
「無視かよ、おい。」
「はい!これも美神さんや横島さん達のおかげです!」
「お、おキヌちゃんまで・・・」

おキヌと心眼がさっきし忘れていた自己紹介をしているときに心眼に対して横島がつっこむが、心眼はそれを無視して話を進めていく。
そのうえさらにおキヌにまで無視されてしまったためによけいにへこんでしまう。
心眼がわざと無視しているのに対し、おキヌにはまったく悪意がないため余計に始末が悪い。

「い〜んだい〜んだ。ど〜せ俺なんて・・・」
「はいはい、そんなことでいちいちいじけてんじゃないの!まったく。」

部屋の隅でのの字を書き出した横島を見てさすがの美神もあきれてしまう。

「それよりもあんた、この後どうするの?まさか一日ここにいるつもり?」
「いえ、一辺妙神山に行こうと思いまして。」
「妙神山に?」
「はい。心眼のこともありますし、久しぶりに小竜姫様やパピリオに会ってこようと思ってるんスよ。」
「なるほどね。すぐにでも行くの?」
「できればそうしたいんスけど・・・お、心眼、話はおわったのか?」
「うむ。」

横島と美神がこの後の予定を話していると、心眼とおキヌの話もおわったようで心眼が二人のそばまできていた。

「丁度よかった。今から妙神山に行こうと思うんだけど大丈夫か?」
「妙神山に?・・・・・!そうか!小竜姫様に会いに行くんだな?話しも終わったし大丈夫だ。」
「そういうこと。それじゃ早速いくか!美神さん、突然お邪魔してすいませんでした。おキヌちゃん、昼飯ありがとう。」
「小竜姫様によろしくね。」
「またいつでも来てくださいね。」

そう言って事務所をあとにしようとするが、心眼からちょっとまってくれと声をかけられる。

「どうした?」
「美神殿達に言わなければいけない事があったのを忘れておってな。すぐに終わるから先にいっててくれぬか?」
「ん〜、わかった。はやくしろよ。」

そういう横島が出て行くのを確認して心眼は美神達に向き直る。

「それで?言わなきゃいけないことって何よ?」
「そのまえに聞きたいことがある。おぬしらはあやつが、横島のことを強いとおもうか?」
「え?」

心眼の突然の質問にわけがわからないという風に返す二人に心眼は続けて言う

「もしそう思っているのならそれは勘違いでしかない。体はともかく、心はな。」
「どういう意味よ?」

まるで、横島のことは何でも知っているかのような言い方にだんだんとイライラしてくる

「わからぬか?ならば単刀直入に言おう。ルシオラ殿のことだ。」
「「!!」」

ルシオラ
それは魔族でありながら人間である横島を愛し、文字どうり命を賭けて横島を救った女性

「おぬし達は横島がルシオラ殿のことをもう乗り越えたと思っているようだが、それは大きな間違いだ。」
「・・・・・」
「横島は今でも自分を責め続けている。大事な人を救うことのできなかった自分をな。」
「でも横島さんは・・・」
「前と変わっていなかった、とでもいうのか?それこそ横島が無理をしていたにすぎない。皆に心配をかけまいとな。」

少し考えればわかっていたはずなのだ。あの優しすぎるぐらいに優しい少年が、深く、深く傷ついていたのを。
そしてその傷がそう簡単に癒されるものではなかったことに。
ましてや二人は横島の慟哭を間近で見ていたのだ。それでもなおわからなかったのは・・・

「結局おぬしらは横島の表面しか見ていなかったのだな。すべてが終わり、変わらぬ態度をとりつづけた横島を見て
すべてに安心しきって・・・」
「そんなことは!」
「ないと言い切れるか?」
「・・・・・」

ない、と言いたかった。しかし、変わらない横島を見て少しでもそう思った自分がいたのも事実だった。

「なぜ一番近くにいたはずのおぬしたちがそれに気づかなかった!?私にはそれが許せぬ!
だが、それ以上に許せぬのは、おぬし達、ルシオラ殿のことを避けていただろう?まるで初めからいなかったかのように・・・」
「そ、それは・・・」

たしかにルシオラの話題を避けていたのはたしかだ。しかしそれは・・・・・

「おぬし達にとってはそれが思いやりだったのかもしれぬ。しかしそれがどれほど横島を傷つけていたかわかるか!?
自分にとって大切な存在がまるでいなかったかのようにされることが!!確かに存在してたはずのものが幻のように扱われる
その辛さが!!」

その言葉に美神とおキヌは自分たちがしていたことの意味を理解し、愕然とする。
美神にしてみれば、中学生のころ、今でこそ同じときを過ごしている母、美智恵が亡くなったと聞かされ、やさぐれた時期もあった。
それでも、それを受け止め、乗り越えることができたのは周りの皆が母の死を悼み、墓という共に生きた証があったからだ。
もしそのとき、誰もがそれをなかったかのようにされていたら自分は生きていなかったかもしれない。
おキヌにしても同じようなことが言えた。現代に身寄りのない自分を養子にしてくれた氷室家の人々。もし彼らが亡くなり、
あたかも彼らが初めからまったく存在していなかったかのように言われたら気が狂ってしまうだろう。

「私は横島を傷つけるものを許さぬ!それがたとえおぬし達であってもだ。言いたいことはそれだけだ。邪魔したな。」

そういい残し、心眼が去ってからも二人はしばらくの間言葉を発することができなかった。


「待たせたな。」
「何を話してたんだ?」
「なに、大したことではない。」
「そうか、じゃ行くか!」

そう言った横島の手に『転移』と書かれた二つの文殊があらわれる。

「しっかり捕まっててくれよ。俺だけ転移してもしょうがないからな(なんせ二文字同時なんて『同期』以外使ったことないからな。実際のところ本当に転移できるかどうかすらわからん。まぁ、できなかったらできなかったで後々考えよう)

出た言葉とは裏腹に無責任なことを考えてるとはつゆしらず、心眼は言われたとおりに掴まろうとするが、何やら怪しげな笑いを浮かべて横島の背中に抱きつく。

「し、心眼!?」
「どうした?はやくいくぞ。」

抱きつかれたことに動揺する横島とは対照的に、すました風に答える心眼だが、やはり恥ずかしいのか頬が少しばかり赤くなっていた。背中に抱きついていたために横島にはばれなかったが。

「ほら、はやくせぬと日が暮れてしまうぞ。」
「わ、わかったよ。それじゃいくぞ!」

そういった横島が文殊を発動させ、二人が光に包まれる。
その光に包まれながら心眼は心に誓う

(横島、私はおぬしを傷つけようとするものから必ずおぬしを護ってやる。たとえどんな敵が現れようと、必ず護ってみせる。
これ以上、おぬしの心が傷つかぬように)


そして次に光がはれたとき、二人は鬼門の前にいた。


あとがき
どうも、悠稀ですお久しぶりです。二週間近くかかっての投稿となりました。
はてさてこの度心眼さんの心のうちを大暴露であります。
しかし初めの友好的な状態から急転直下であります。
私ってば何を書きたいんでしょうか・・・(汗)
今度はもっと早く投稿できるよう頑張ります!
それではこのへんで。


1>白さま
  心眼の反応はこんな感じですね。少々気にかけながらもスルー
  これもこれで・・・


2>夜叉姫さま
  心眼からの宣戦布告です!最初はこんなつもりはなかったんですけどね〜


3>之さま
  なんだか攻撃的な心眼になってしまった・・・これもある意味対立でしょうか?

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