インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「あなたと共に(GS) 第四話 」

悠稀 (2005-05-23 00:08)
BACK<

妙神山
世界でも有数の霊峰といわれ、神と人との接点とも言われている山。
そしてその修行場の扉、鬼門の前に横島と心眼はいた。

「ふぃ〜、無事到着っと。相変わらずやな〜ここも。」
「こ、小僧か!?」

無事到着したことに、おもわず安堵した声をもらす横島。
そこに扉のほうから突然声をかけられるが、少しの驚きも見せずに声を返す。

「よう!久しぶりだな、鬼門!」
「突然目の前が光ったから何事かと思ったぞ!」
「まったくだ!」

横島が声を返したところ、修行場の門には大きな鬼の顔があった。
そして門の横には首のない大きな体。これらが門を守る番人、鬼門である。
ちなみにこの鬼門、左右の扉に一人(一匹?)づついるのだが、それぞれ右の鬼門、左の鬼門というらしい。
その鬼門であるが、さすがに何の前触れもなく現れた横島達には驚いたようであった。
だがそこは鬼のはしくれ、すぐに調子を戻す。

「それで、どうした小僧?小竜姫様に何か用か?」
「そんなとこだ。まぁ、用事抜きにしても小竜姫様やパピリオにも会いたかったし・・・・・猿はどうでもいいけど。」

いまの会話に出てきた、小竜姫、パピリオ、そして猿はここの修行場に住まう神族、そして魔族である。
小竜姫は、神剣の達人であり、ここの修行場の管理人を務める竜神の女性。
パピリオは、前の大戦で敵であったアシュタロスが生み出した三姉妹の魔族の三女。
そして猿であるが、なんとこれは小竜姫の上司であり、斉天大聖、闘神ともいわれる猿神、ハヌマンである。
そんなものに対してさらっと暴言を吐く横島。
そんな横島を見て、相変わらず変なやつだ、と思う鬼門’s。
たしかに、横島にとっては小竜姫とは親しい間柄であるし、パピリオも妹の様なものであるが、だからといってこうも簡単にほいほいとここまで足を運んでくるのは横島ぐらいであろう。
本来、修行場は滅多に人が訪れるところではない。そして仮に一度訪れても、その者が二度三度とくることは更に稀だ。
そんなものはここ数百年でも美神達ぐらいのものである。
横島はそこのところがいまいち理解できていないようであるが、だからこそ、その非常識さがうかがえるというものだ。

「そんなわけだからさっさと通してくれるか?それともあんたらを倒さにゃ中に入れんのか?」
「小僧ならその必要もなかろう。通るがいい・・・・・と、言いたいところだが小僧、その背中にひっついとるものはなんだ?」
「背中?っておい!?おまえいつまで抱きついてんだよ!?」

そういって振り返った背中にはまだ心眼が抱きついていた。
先ほどまでは鬼門との会話ですっかり忘れていたので大して気にならなかったが、一度意識しだすとこの体勢は非常にまずい。
何がまずいかというと、抱きつかれているというのもまずいが、それ以上に背中に当たるやわらかい二つの物体やら、そこから伝わってくる体温やら・・・とにかくまずいのである。

「おい心眼!いい加減離れろって!」
「!はっ・・・・・!すまん、つい居心地がよくてな。少々ほうけてしまった。」
「おいおい・・・・・」

横島のおかげで我に帰り横島の背中から離れる心眼であったようだが、頬をそめていたり怪しげな言葉をいうあたり、まだ完全ではないのだろう。その言葉を聞いた横島は少々顔を赤くしながらもあきれていた。
そんな様子を見ていた鬼門だったが、横島から離れた心眼の格好を見て驚きの声を上げる

「そやつ、もしや神族のものか!?しかしそうならばなぜ小僧と一緒におる?下界に神族の者がおりたという報告もきいておらぬが。」
「いや、こいつは神族っていうかなんというか・・・・・」
「?」

言いよどむ横島に不思議そうな顔をする鬼門だったが、何か言いにくいことでもあるのだろうと察っする。

「まあ、よいわ。通るがいい。しかしくれぐれも小竜姫様に無礼のないようにな。」
「わかってるって。サンキューな、鬼門。」

そういって扉を開こうとした瞬間、内側からものすごい勢いで扉が開かれる。そして開かれた扉から何者かが飛び出し、勢いを殺さぬまま横島に体当たりをして5メートルほど吹き飛ぶ。
それを見ていた心眼は、一瞬で完全に我に帰り横島を助けようとするが、それは杞憂に終わる。

「ヨコシマ〜!!会いたかったでちゅよ〜!!」

横島に体当たりしたのはパピリオであった。嬉しそうに横島の胸に抱きつき、頬ずりしているさまはいかにも幸せそうであるが、体当たりされた側の横島にしてみればたまったものではない。

「よ、ようパピリオ。元気だったか?」
「もちろんでちゅよ!ヨコシマも元気そうでなによりでちゅ!」
「そ、そうか、そりゃよかった。それとパピリオ、抱きついてくれるのは嬉しいけど体当たりは勘弁してくれ・・・(さすがの俺もこんなん毎回くらってたら体がもたんわい!)」
「何ででちゅか?」
「とにかく頼む!(俺はまだ死にとうない!)」
「?わかったでちゅ。」

しかしのところ、元来彼は子供好きであり、それに加えてパピリオは妹のように思っている存在であるため、面と向かって叱ることはできなかった。それでも次からの被害を軽減(あくまでも軽減である)しようとするのは仕方ないだろう。だがパピリオもパピリオでわかってるんだかわかってないんだかわからない返事をしているので、横島の思う効果が期待できるかは疑問の残るところであるが。

そんな二人を心眼は少し離れたところで見ていた。・・・・・何故かふてくされたような顔をして。

さっき横島に体当たりしてきたのは横島の知り合いなのだと、横島が吹っ飛んだ後の会話でわかった。それが横島から聞いていたパピリオという者だということも。二人は兄妹のようなものなのだから、別に抱きついていようが頬ずりしていようが問題ないのだ。
なんだかイライラして眉が自分の意思とは無関係につりあがっていたり、口端がひくついていたりしている気がしないでもないが、私はどうも思っていないぞ。怒っているなどもってのほかだ。私は怒ってなどいない!

そんな心情とは裏腹に横島にむけてプレッシャーを放つ心眼。そんな心眼に気づき、顔を青ざめながらもなんとかパピリオを離そうとする横島だが、パピリオは一向に離そうとしない。そのせいでさらにプレッシャーが強くなるという悪循環の中、横島にとってまさに天の助けが舞い降りた。

「パピリオ!修行中に抜け出すとは何事ですか!!って横島さん!?」

そういいながら扉から顔を出したのは小竜姫だった。どうやらパピリオは修行中に抜け出し、それを小竜姫が追ってきたようだが、横島にはどうでもよかった。その顔が怒っていようが、驚いていようが横島にとっては救いの女神(実際に神様だが)に見えた。
そしてこれ幸いと、一瞬でパピリオの抱擁を解き、小竜姫の手をとる。

「小竜姫様!お久しぶりです!!いやぁ、相変わらずお美しい!」
「あ、ありがとうございます。」

小竜姫は一瞬の出来事に戸惑うが、褒められて悪い気がするはずもなく、にこやかに答える。
そういった行動がさらにプレッシャーを強める結果になるとは露知らず、横島は話を続ける。

「それで横島さん、今日はどうしたんですか?その様子では修行に来たわけではなさそうですけど。」
「あのですね、ちょっとこいつのことを見てほしくて・・・・・」

そういって横島は心眼に手招きをして呼び寄せる。心眼もしぶしぶといった感じで応じる。

「横島さん、この方は・・・・・!?これは・・・竜気?!あなたは一体・・・・・!?」
「驚かないで聞いてくださいね。こいつ、実は心眼なんです。」
「心眼・・・?まさか!?・・・・・わかりました。立ち話もなんですからあがってください。お茶ぐらいなら出しますよ。」
「すんません。」

そんなやりとりをしながら三人は奥へとはいってく。

「・・・・・わたちを置いていかないでくだちゃい!!」


「・・・・・なるほど、そういうことだったんですか。にわかには信じがたいですけど、信じるほかないようですね。」

やはりというか、小竜姫も驚きを隠せないようだった。まさか、ずいぶん前に死んでしまったものが復活していれば、しかもその姿を大きく変えていたりすれば無理もないだろう。

「しかし心眼も随分と可愛らしくなりましたね。」
「しょ、小竜姫さま・・・・・」

自分の生みの親とも言える小竜姫に可愛いといわれて顔を赤くする心眼。そんな仕草もまた可愛らしく、横島は暴走しそうになる自分を抑えるのに必死だった。

「そうだ、横島さん、このコに名前をあげたらどうですか?」
「え?名前・・・ですか?」
「そうです。このコはもう心眼という道具ではなく、一個の個人なんです。だから心眼とは別の、きちんとした名前をあげてください。」
「そうですね。わかりました。しっかし名前か〜、う〜ん・・・・・」

頭をひねる横島。まさか自分が名前を考えることになるとは思っていなかったので、なかなか頭がまわらない。
しばらく考えたあと、横島が恐る恐るといった感じで口をひらく

「そうだな・・・、凰華(おうか)、なんてどうですか?」
「おうか?どんな字を書くんです?」
「鳳凰の凰に、華やかに華です。凰はほら、鳳凰ってなんとなく不死鳥に似てませんか?そこから、一度死んでしまったけどまた復活したって言う意味で凰です。そんでもって華は、花みたいに可愛いっていみで。・・・どうですか?」
「鳳凰と不死鳥はまったくの別物ですけど・・・・・でもいい名前だと思いますよ!凰華。いい名前じゃないですか。心眼はどうですか?」
「はい、いい名前だと思います。もとより横島がつけてくれた名前ですから断る理由もありません。」
「あらあら♪それでは今からあなたは凰華です。よろしくね、凰華。」
「よろしくでちゅ!」
「よろしくな!」

心眼は泣きそうなほどうれしかった。自分を一人の個人としてみてもらえたこと。なによりも、こんな自分に名前をくれるということがなによりも嬉しかったのだ。

「ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします!」

そういった心眼、凰華の顔はとても綺麗な笑顔だった。


あとがき
心眼名前の決定〜〜〜!!
ども、悠稀です。
四苦八苦しましたがようやく心眼の名前がきまりました!
ヒトみたいな可愛らしい名前だとイメージが合わず、かといってなんにも関係ない名前も許せず・・・・・名前を考えるだけで小一時間。自分にネーミングセンスがないとわかりました。意味付けもかなり強引になりました。皆さんの反応が恐いな〜
さて次回は横島君の霊能の正体があきらかに!?
それでまた〜


1>夜叉姫さま
  そうなんですよね。だけどその心眼が乙女チックになっていくこのごろ・・・何故!?


2>hiroさま
  そんな感じの心眼が増えていくかもです

BACK<

△記事頭

▲記事頭

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル