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「除霊部員と幽霊列車 第11話 前編 (GS+オリキャラ)」

犬雀 (2005-05-10 22:31)
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第11話   「鉄の騎兵」(前編)


その日の午後、早速、フィリピンへ出発しようと河川敷に集まることになり、それぞれが準備のために事務所に戻ったり、カッパの国へ戻ったりと大忙しである。
愛子と唯は電話で赤城と連絡をとった後に学校へと向かった。
ロボの愛子に搭載をするつもりなのだろう。
学校はGメンと警察が立入規制をしているらしいが、唯が居れば問題は無いはずだ。
逃げ出したタイガーにも連絡がつき、集合場所を伝えることが出来た。
ピートも来れたら頼むとの横島の台詞にタイガーは怯えた声で「無理だと思うがノー」とだけ答えた。

やがて集合時間がとなり河川敷で待つ横島とタイガーの前に唯と愛子そしてピートが連れ立って現れる。
服の下は傷だらけのなのか湿布臭いがピートの顔はどことなく清々しい。

「あ、横島さん。昨日は大変でしたね。」

「ああ…もう大丈夫なのか?」

「ええ。まだちょっと痛みますけど、僕は吸血鬼ですからね。蛇に殴られたくらいで弱音を言ってられませんよ。」

「へ?」と首を傾げる横島。

「えーと…お前のその怪我って唯ちゃんとかにフクロにされたんじゃ…」

「あはは。嫌だなぁ横島さん。なんで僕が唯さんたちに袋叩きにされなきゃないんですか?この傷は…蛇…と…戦って出来た…あれ?どうして体が震えるんだろう…」

「だってお前、蛇と戦ってないし」と言いかけた横島の腕がぐっと引かれる。
振り返ると瞳を潤ませたタイガーが横島の腕を引っ張っていた。
導かれるままにピートから離れた横島にタイガーは沈痛な表情で告げた。

「ピートさんは恐怖のあまり記憶が書き換わっているんですジャー…」

「なんとっ!」

「まれに起こるんですがノー…よほど怖かったんじゃろうなぁ…ですから話を合わせてやってつかあさい…」

「そ…そっか…わかった…」

なんだか悲しくなってピートを見れば、彼はにこやかに笑っている。

「嫌だなぁ。大した怪我じゃないんですからそんな心配そうな顔しないで下さいよ。」

「「ああ…」」と頷くしかない横島とタイガーだった。
ちなみにピートの記憶からは吊り橋効果の結果もキレイサッパリ消えていたのだが、それはきっとお互いにとって幸運なことだったのだろう。
もっとも横島も今のピートも知らないことではある。

やがて荷物を抱えた魔鈴とカトちゃん、見送りに来た小鳩も現れ、シロタマやおキヌなどの事務所のメンバーもそれぞれ簡単な荷物とともに集合場所に揃った。

それからさほど待つこともなく川面の上にゲートが現れると中からアリエスが現れた。

それだけなら特に不思議はないのだが…彼女の格好がいつもにましてぶっ飛んでいる。
なんか出発前から疲れを感じつつ聞くのは最近めっきり突っ込み役が定着しつつある横島。

「なあアリエスちゃん…その格好は何?」

「変装ですわ!」

「イカの着ぐるみ着るのは変装とは言わん!」

普通は仮装と呼ばれるだろう。

「ですが、わたくし一応まだ牢に居ることになってますので…」

「いくら人望が無いからって女王を牢屋に閉じ込めるとはなぁ…」

何気ない横島の一言にガビーンと硬直するアリエス。
「忠夫様…人望無いとはあまりのお言葉…」とヨロリラとよろけるとパタリと川の中に倒れこんだ。

「あ、ごめん…」と謝る横島の前でバッシャバッシャとうつ伏せでもがく大イカ…もといアリエス。
何をしとるん?と見守っていると、ややしばらくバッシャバッシャともがいていたが、だんだんと動きが弱々しくなり、やがてスーッと流れに乗って下流へと流れていく。

呆気にとられる一同の中でカトちゃんがポツリと呟いた。

「多分、溺れたんだと思うな。」

「「「「カッパなのにっ?!!」」」」

驚く一同にカトちゃんは「ふーっ」と疲れた息を吐く。

「でも今はイカでしょ…きっと着ぐるみが水吸って重くて動けないんじゃないかしら…」

「「「「おおっ!なるほど!!」」」」

ポンと手を打つ一同の前でイカの着ぐるみはブクブクと沈み始めていた。

「「「「わーっ!アリエスちゃん!!!」」」」

まさに「河童の川流れ」を実体験し一つ賢くなる一同である。

今や足だけが水面に出ているイカの着ぐるみを慌てて引き上げてみれば、着ぐるみの真ん中に血の気を失ったアリエスの顔があった。
呼吸も止まっているようだが、何しろ着ぐるみがあるのでよくわからない。
横島が霊波刀で着ぐるみを切断してアリエスを引っ張り出してもピクリとも動かなかった。

「本当に溺れたの?」

「そうみたいじゃノー。」

驚く愛子にタイガーが頷くものの彼も半信半疑のようだ。

「とにかく人工呼吸すっか!」

何だか最近自分の身の回りの人が救急車の世話になることが多くて慌てる横島が横たえられたアリエスの側に
とりあえず保健の授業で覚えた口対口人工呼吸法を試そうと、気絶したままのアリエスに顔を近づけ気道を確保しようと鼻を摘まんで気がついた。

「アリエスちゃん…」

「………」

「口がタコみたいになっているんだけど…」

「な?!忠夫様!キッスですわよ!チッス!ベーゼ!接吻!!タコの口ではありません!」

ガバッと身を起こすアリエスだったが周囲から放たれる氷の視線に「ひっ!」と小さく叫んで固まった。

「やはり擬死でござったか…」

「みたいね…」

シロタマの冷たい視線と口調にダラダラと汗を流していたアリエスだったが、シパッと右手で天を指すと高らかに宣言する。

「さあ!出発しましょう!!」

兎にも角にもこの連中、移動するだけでも一悶着起こさないと気がすまないらしい。
除霊部員初の海外遠征は早くも前途多難である。


それでも何とか無事にカッパの国へと到着した一同であったがアリエスが案内したのは「風雲!カッパ城」ではなかった。

彼らの前にあるのは全長200メートルほどの潜水艦のようなフォルムの艦である。
通常の潜水艦よりはるかに大きいし小ぶりとはいえ戦艦のような艦橋もついていてその前後には連装砲が装備されている。
横には対空銃座だろうか、機関砲が生えているドーム状の構造物が一列に並んでいた。

だがなんと言ってもこの艦の最大の特徴は艦首に装備されている超大型のドリルだろう。

「ささ、他の者に見つかると厄介ですわ。早く乗ってくださいませ。」

せかすアリエスに思わず聞いてみたくなるのは当然の心理だろう。

「アリエスちゃんこれは?」

「これですか?わたくしが子供の頃に建造した水中軍艦。その名も『轟沈』ですわ!」

その艦名に一同の顔色が目に見えて悪くなる。
一瞬、キョトンとしたアリエスだがすぐにポンと手を打った。

「ああ、ご心配なく。型は古いですけどちゃんと動きますし、カッパ城より少々時間はかかりますが跳躍も出来るように改造してありますわ。ただ…」

「ただ?」

「ええ…なぜか兵隊の皆さんこの艦に配属されるのを嫌がるものですから今まで使ったことが無いのです…。」

(((そりゃ当然だろ…)))

陸水両用戦闘スーツ『圧壊』といい『轟沈』といい、命を預けるもののネーミングとしては不吉すぎる。カッパのセンスはよく解らんと思っていたが、きっとアリエスのセンスなんだろうなぁと理解した。
思わず胡乱げな視線を向ける横島に何を慌てたのかパタパタと手を振るアリエス。

「…で、でも大丈夫ですわよ。今回はちゃんと乗員も集めてありますし…。ささ、とにかく中へ。」

彼女に促されて渋々ながらも乗艦する横島たちである。
これしか行く方法がないのだから贅沢は言えない。

乗ってみれば古臭いデザインの外観とは裏腹に中は以外と新しかった。
「到着までくつろぎましょう。」とアリエスに連れられてきたのは食堂だろうか?だが内装とかは軍艦の士官食堂と言うより喫茶店と言う感じがする。

促されるままにそれぞれが席に着いたところで艦内放送が流れ『轟沈』はエンジン音も勇ましくその艦体を揺らしながら発進した。

「えう〜。相変わらず凄いですねぇ…」

「そうですね。私もこんな軍艦なんて初めて乗りますからドキドキです。」

なんだが妙に仲良くなった唯と魔鈴が丸窓にへばりつき流れる異空間の景色を見ながら談笑する。

「む」…とその様子に警戒心を表すのはその他の女性陣。なにやら差をつけられた気がして面白くないのかも知れない。

何となく気まずい空気に過敏に反応したピートがアリエスに話しかけた。

「あ、あの、この艦はどのくらいで目的地に着きますか?」

「そうですわね…あの地図の近くの川まででしたら二時間といったところでしょうか。そこから目的地まではちょっと…」

小首を傾げるアリエスの言葉をタイガーが引き継いだ。

「素人さんが多いから5時間は見た方が良いと思うんですがノー」

「素人って?」

「密林の行軍はなかなか大変なんですジャー」

「そっか…だったら念のために野営の装備とかも持っていった方がいいな。」

「ですノー」

頷きあう横島とタイガー。両者ともにサバイバル経験は豊富である。
もっとも今回は地の利に詳しいタイガーの指示に従うべきだと横島は考えていた。

「それでアリエスさん。頼んでいたものは用意できましたかノー?」

「え?ああ、装備一式はすでに用意してありますわ。あと衣類も…」

ペコリと頭を下げて感謝の意を伝えるタイガーのかわりにピートが口を開いた。

「衣類ですか?」

「そうですジャー。あのあたりの密林で怖いのは猛獣とかより昆虫じゃからノー。それなりの服装が必要なんですジャー」

「なるほど…」と頷くピートを見て横島はタイガーに向き直った。

「今回はお前がリーダーな。」

「ワ、ワッシですかいノー?!!」

「一番詳しい奴がリーダーやるの当然だろ?」

「横島さん!ワッシは〜!!」

「ぬおっ!」

抱きつかれて目を白黒させる横島。彼にはタイガーがなぜ感激したかなんてわからない。この小心者の大男が素直な「信頼」をどれほど嬉しく思ったのか…おそらく普通にタイガーを頼っただけの横島には理解できないだろう。
そんな大男の胸の中でもがく少年をアリエスがウットリとした表情で見つめていた。

「ご主人様。ご注文はお決まりですか?」

不意にかけられた声に振り向く一同。
そこにはメイド服を着た少女が水とコップを乗せた銀色のワゴンを押して立っていた。
その少女の顔を見たおキヌが驚きの声を上げる。

「ああ〜っ!神宮寺さん!!」

「え?あ、氷室さん!!」

メイド服の少女は六道女学院との対抗戦でアリエスに敗北した神宮寺である。
それが今や喫茶店のウェートレスみたいな格好でおキヌの前に立っているのだ。
街中ならいざ知らず軍艦内で彼女に会えば驚くというものだろう。

「何してるんですか?」

「何ってバイト」

「「「バイト?!」」」

「ええ。普段はあっちの大きい城でお魚の世話なんだけどね。今日はこっちに出てくれって言われて。」

「魚の世話?!」

思わず聞き返す横島に答えたのはアリエスだった。

「バスさんやギルさんを故郷に送り返す時の「魚のお世話係」ですわ。」

「え?でもなんで…」

今ひとつ理解できないおキヌに神宮寺はばつの悪そうな笑顔を向ける。

「あ〜。あのときの契約書ね。実は雇用契約書だったのよ…。」

「はあ?」

ろくに読まずにサインした契約書はそういう性質のものだったらしい。

「あ、でも騙されたとか思ってないわよ。西海岸とかで魚を放流した後は自由時間だからショッピングとかも出来るし、ちゃんとバイト料も出るし。」

すでに数回の渡米を済ませている神宮寺である。
次の対抗戦では完璧な西海岸の幻覚を使いこなせるようになるだろう。
実は何気にレベルアップしていたりするのだ。
そして最近は世話しているうちに愛着の沸いたお魚さんや外来カメと心が通じ合ってきた気もする。
もしかしたら「お魚使い」か「タートルマスター」へとクラスチェンジするかも知れない。
除霊に役立つかどうかは疑問であるが…。

「そ、そうなんだ…あれ?でも今日は学校じゃ…」

「だって〜。フイリッピンは初めてなんだもん!学校なんか自主休校よ!!」

「あ、あははは…」

苦笑するしかないおキヌに神宮寺はスッと手に持っていたメニューを差し出した。

「それはそれとして注文してくれる?」

注文が決まるまで一悶着あったのは当然である。


そんなこんなでそれなりに時間が過ぎ、艦内放送が目的地近くの川への到着間近と告げる。神宮寺に案内されて少年少女たちは装備が置いてあるという部屋にそれぞれ案内された。

装備といっても野営用の道具一式。これは横島たち男性陣が分担して背負うことになった。
そして服装はタイガーが普段着ているような迷彩服であるが、ベルトのところには大振りの歯のついたナイフが下がっている。ポケットも多く、その中には様々なエマージェンシーキットが入っているようだ。


彼らが着替え終わった時、『轟沈』が大きく揺れ艦内放送が到着を告げた。

横島たちが部屋の外に出てみると先に着替え終わったのか女性陣が待ち構えていた。
見慣れない彼女たちの姿ではあるがそれなりに似合っている。
だが…

「魔鈴さん…」

固い横島の声に魔鈴はビクッと背を伸ばした。もしかして年甲斐もなく…とか言っちゃう?言われちゃう?とビクビクしている彼女に苦笑いする横島。

「あの…言いにくいんすけど…」

「はひっ!」

緊張のあまり声が裏返る。なんかすでに涙目だったりもする。
普段の横島なら「可愛い」とか思うんだけど…。

「ペインティングまでせんでいいと思いますよ…」

そう顔一面に塗られた緑とか黒の塗料のせいで横島君は彼女の表情の変化に気づかなかったのである。
魔鈴さんすっかり女コマンドーと化していた。

「まあペッテ…「黙れ!」…くえっ!」

マヌケな聞き間違いをかましたアリエスは愛子のケリを受けて壁に激突して沈黙した。
降りるときまで悶着起こすカッパの女王に先行きの不安を感じる一同であった。


見送りに出て手を振る乗員や神宮寺に手を振り返し、除霊部員と美神令子除霊事務所の混成チームは『轟沈』から出発する。

ジャングルは不気味な口を開けて彼らを待ち受けている。


密林の行程はやはり少女たちにはきついものだったのだろう。
シロや最近散歩に付き合うようになったタマモはともかく、アリエスにおキヌや愛子、それに元々体力、おっぱいともに乏しい唯にとってはかなりの苦行である。
意外だったのは魔鈴とカトちゃんだった。
その華奢な外見に似合わぬ逞しさで横島たちについてきているのには皆驚く。
魔法というのは存外に体力を使うものなのかも知れない。
カトちゃんは魂のためなら妙神山まで現れたりするのだから体力とかあるのかも知れない。死神とはいえ神様なんだから不思議はないのだが、この時点で皆は彼女が神様であると言うことは忘れていた。

息も絶え絶えになっているのはおキヌも一緒だ。
慣れない服装もそうだが、ぬかるんだ地面も予想外に体力を消耗する。
それでも何とか横島と共にありたいと弱音を吐かずに足を動かすが、そろそろ彼女の足は鉛のように重くなっていた。

「横島さん…」

「ああ…」

タイガーに目配せされて横島も同意の意を視線で返す。
頷いたタイガーは振り返ると皆に休憩するとの指示を出した。
すでに日は沈み始めている。夜間の密林の行軍は素人には危険が大きすぎるとの彼の判断は適切だろう。

湿地から少し離れた所に乾いた場所があるのを確認したタイガーは一同をそこへ誘った。
ピートやシロタマが念のためにと周囲を警戒し、横島と魔鈴が手早く下草を刈り取ると焚き火の準備を始める。

へばりきっていた少女たちが手伝おうとするのを優しく休んでいるように言って横島は魔鈴と共に晩飯の準備を始めた。

「今晩はここで一泊だな。」

「ですノー…じゃが心配があるんじゃ」

「なんですか?」

「マラリア蚊とか毒蛇ですノー。ワッシは大丈夫なんじゃが…。」

「なるほど…」と頷くピート。彼も蚊の心配はない。
ていうか吸血鬼が蚊に血を吸われたら吸血鬼の沽券に関わるというものだろう。

心配そうな一同にアリエスが頼もしげに胸を張った。

「ああ、蚊とかでしたら心配ありませんわ。」

「そうなんか?」

「はい。皆様の身に着けている服には「カッパ防虫液」が沁み込ませてありますから。」

(((なんでもありかいカッパ液…)))

「副作用とかは無いんですか?」

「はあ…多分…」

「なんで目を逸らす…」

「だってだって〜。人間様で試したこと無いんですもの〜。」

「人体実験かっ?!」

「まあまあアリエスさんも私たちのことを考えてくれているんですから…」

おキヌの言葉に横島も突っ込みを止めた。
言われて見れば確かに行軍の間、鬱陶しい蛭だの蚊だのは寄ってきていない。
それに特に体中が性感帯になったという自覚もない。

「そだね」と軽く笑いかけて夕食の支度を始めるために火を熾そうとする横島に愛子が話しかけてきた。

「あのね横島君。今日はここに野宿なのかな?」

「ああ、そうなるな。イヤなんか?」

「ううん。私はいいけど他の子たちが…」

愛子の言うとおりおキヌや唯、それにお姫様のアリエスには無理そうな気もする。

「拙者はかまわんでござるよ。」、「私もね」

シロタマは特に気にしないようだ。

「私も慣れてますから…ふふふ…昔を思い出しますね。」

なんだか妙にはまっている魔鈴さんの過去がすっげー気になる。

「わたくしもこれさえあれば!」

元気良くどこからか取り出したダンボールを組み立て始めるアリエス。
確かに彼女ならダンボールさえあれば南極でも越冬できそうな気がする。

皆、足手まといになるのはイヤなのだろう。それぞれがそれぞれの言葉で「野宿OK」と告げてきたが、そこで場をややこしくするのが「火の無いところに水煙、歩くバルサ〇娘」天野唯の真骨頂。
シパッと手を上げ、さっきまでの疲労ぶりはどこ吹く風と元気良く宣言した。

「私はタダオくんに抱っこしてもらってネンネするから大丈夫ですっ!」

「「「「させるかぁっ!!」」」」

「えうっ!」

少女たちに取り囲まれる唯とガクガクと震え始めるピートを投げやりに見やりながら愛子は横島に提案した。

「こんなこともあるから…みんな私の中で寝てもらったらどうかしら?」

「それは良いけど愛子はどうする?」

「私は机に戻っているから誰かが見張ってくれればいいわ。」

「はいっ!」

いつの間にか包囲の輪から抜け出した唯が愛子にまたまたシパッと手を上げる。

「何?」

「トイレはどうしましょうか?愛子ちゃんの中にトイレはありますか?」

「中でしたら…末代まで祟るわよ…」

「えうぅぅぅぅぅ。外でしますぅぅぅぅ。」

愛子から湧き上がる迫力に驚いたのか、少し離れたところにいた猿が木から落ちた。


後書き
ども。犬雀です。
えー。今回は長すぎたので中途で切ったら山場無し。しょんぼり…ってことで前後編にしましたです。
次回は戦闘メインのつもりですが…唯の新兵器も出したいし。

では…

追記 レス返しは後編の方でやらせていただきますです。
本当に申し訳ないでありますorz

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