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▽レス始

「あなたと共に(GS) 第一話」

悠稀 (2005-05-03 02:48)
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夢を見ている
いつものように見る、最悪の夢を


「――――!」

目の前に横たわる女性(ひと)
少年はその女性の名を呼ぶ

「――――!――――!」

いままさに消えようとしている命の光
それを繋ぎ止めようと、少年は叫ぶ

「今、助けてやるから!逝くな!――――!」

そういった少年の手に複数の珠が生まれる
その珠には文字が刻まれていた

『治』『癒』、『再』『生』、『蘇』『生』

しかし、それ以上の変化は一向に現れない

「くそ!くそ!なんで!逝くな!逝かないでくれ、――――!

いくら力をこめても変化のない珠
その間にも薄れゆく命の光
その無力感に少年の目に雫が流れる

「―――― ……」

その女性が少年の名を呼ぶ

「ゴメンね……」

なぜお前が謝る?悪いのは全部、全部俺なのに!
そう叫びたいのに、出ることのなく終わる声

「―――― …」

そして彼女は

「大好き……」

光の粒子となって、消えた


「ルシオラァ!!」

ガバァ!

日も上がらない真夜中
「幸福荘」、そう呼ばれるアパートの一室
そこに少年、横島忠夫はいた

「ここは……?」

跳ね起きた横島は辺りを見回し、自分の部屋だと理解すると
ドサッ、と布団に倒れこんだ

「また…、あの夢か…」

ボソリと呟く

あの事件、後に『核ジャック事件』『アシュタロス大戦』と呼ばれる、
大事件から一ヶ月がたとうとしていた
あの事件から、横島は毎日のように夢を見つづけている
最愛の女性を亡くすという悪夢を……

それは、彼女を助けられなかったという罪の意識か
又は、恋人を、世界を救うために犠牲にした後悔かはわからない
しかし、それは容赦なく横島の精神をすり減らしていた

それでも横島は、表面上変わらぬように振舞っていた
毎日のようにバカをやり、変わらぬ自分を演じつづけた
沈む自分を見たみんなが心配するのが目に見えていたから…
なによりも、変わらぬ自分を望んだだろう彼女ために…

「ルシオラ…」

無意識のうちにつむがれる声

今でも鮮明に思い出せる、彼女との日々

「ルシオラ……」

皆は思っただろう。変わらぬ横島を見て
「強い」、と

しかし、皆は忘れていた
いくら霊能力が強くとも、
どれほどタフな体をしていても、
彼は17歳の少年なのだ
彼の心は純粋で、ゆえに強く、ゆえに弱い
彼の心は限界に達していた

「ルシオラぁ……」

彼女の名を紡ぐたび、流れ落ちる雫
泣いちゃだめだ!と自分に言い聞かせるも流れつづけるそれ
それを覆い隠すように顔に手をやったとき
いつのまにか握られていた二つの珠がこぼれ落ちた

緑色に輝くそれ、それぞれの珠には
『蘇』、『生』、の二文字が刻まれていた
コロコロと転がる二つの珠
転がる二つの珠が動きを止める
そこには布があった
どのように使えばこのようになるのか、と尋ねたくなる程にボロボロになった布
よくよく見てみれば、バンダナのようにも見えなくもなかった

動きを止めた二つの珠は輝きを増し、
光の渦に部屋は包まれた


光がおさまったあと、横島が光りのあったほうを見ると
一人の少女がいた
突然の出来事に呆然とする横島
少女は不思議そうに自分を見ると、何かに納得したかのように一人うなづき、
横島に近ずいてくる
横島は今起きている出来事に頭が追いつかないのか、まったく動かない
少女が横島の目の前に来たとき、突然視界が遮られた
横島の頭は少女の胸に抱かれていた

「え…?」

さらに混乱に拍車のかかる横島

「無理はせずともよい…」

少女の口から紡がれる、優しい音色

「全て、全て聞こえていた。おぬしの悲しみ、悔しさ、後悔、
 魂の叫び…。」

どこまでも優しく穏やかな音

「私が散ってから、おぬしがどのような道を歩み、
 どのような選択をしてきたのかは、私にはわからぬし、聞かぬ。」

弱った心を包み込むような音色に、
先ほどの混乱でとまったはずの雫が再び流れる

「だが、いまは、今だけは素直になっていいのだぞ…?」

横島はこの少女は誰だろうと思ったが、もう、どうでもよかった

「悲しいのならば、泣いてもいいのだ…」

「うっ……、っく……」

あのとき、もう流さないと誓った雫が次々と流れていく

「もし、世界がそれを許さぬと言うのならば…」

全てを許すような、ずっと求めていた音色の中で

「私がそのすべてを許そう…」

「うぅ……、あぁ……」

横島は

「よく、いままで頑張ってきたな…」

「!う、うわあああぁぁ!あああぁぁ…!」

はじめて『泣いた』

少女は横島が泣いている間、背中をなでつづけていた


あとがき
どうも、悠稀です。
今回は感想の恐い作品となりました(汗)
こんな弱い横島は横島じゃない!とお思いも方もいると思いますが
17歳やそこらではそれほど達観した考えは無理だろうと思い、
このような横島君となりました。
最後に出てきた少女は…ばればれですね(汗)
と、いうわけで、次回も頑張っていくのでよろしくお願いします!


1>皇 翠輝さま

 そのような展開も考えましたが、最終的にこのような
 展開となりました。どうでしょう?


2>ユウさま

 ご期待に添えるかわわかりませんが、頑張っていきたいとおもいます!


3>Dさま

 楽しんでいただけるよう頑張りたいです

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