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「妖物のお医者さんR 第14話(GS&動物のお医者さん)」

闇色の騎士 (2005-05-01 07:01)
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〜第14話〜


横島達はある公園に花見に行く事にした。

この場合、花とは桜ではない…

つーか別に桜の季節でもいいのだが、何しろ混んでいる。

まあライラックでもアカシアでもラフレシアでも…ってそれは花では無かったか。

要は何でも良いから花を見て鍋を喰う、それが今回の花見プロジェクトである。

「一文字さん…肉ばかり食べないで下さいよ」
「なんせ育ち盛りだからさぁ…あはははは」
ピートのツッコミをモノともしない魔理。

がぱがぱ食う姿はとても年頃の娘とは思えなかったり。

「私たちもでちゅ!!」
「少しは遠慮して欲しいです…ああお腹空いた…(涙)」
叫ぶ揚羽と涙する小鳩。

「あああああああああ…」
ピートはあまりの騒がしさに耳を塞ぐ。


「ちょっと味が薄いんじゃない?醤油入れましょうよ!」
嬉しそうに美神教授は醤油の瓶を持つ。

「せ…殺生な…(泣)」
涙ぐみながら止める鬼道。

「令子ちゃん〜もうすぐ〜煮詰まるから大丈夫なのよ〜」
冥子が鍋の様子を見ながら言った。

つーかこの女に鍋の番をやらせたの誰だ?

「じゃ、胡椒で我慢してあげるわ」
「頼むから自分のだけにしてや…」

まだやるか?


この和気藹々(?)とした会食を、遠くから冷静に見つめる一群があった。


この公園を根城にするヤタガラス軍団である。

……あーそこそこ、勘違いしないよーに。

ここでいうヤタガラスとは、あの伝説の霊鳥ではない。

何処ぞのペット会社がヤタガラスのコピーとして創り上げた…


いわば「人造妖物」の一つであった。

これまでもガルーダを筆頭として様々な妖物が創られたが、それらは無責任な飼い主に捨てられて野生化し…

当然ながら容赦なく社会問題にもなっている。

本家ほどの戦闘能力は全く無いが、何をトチ狂ったか開発者が生殖能力なんぞ与えたからさあ大変!

そのお蔭でもう増えて増えて…

あちらこちらに群れを形成し、それを専門に狩るGSも存在するくらいなのだ。


「ほら…シロ、熱いから気を付けな」
横島はハシで肉を摘むと、紙皿の上に置いてやる。

「おっと…野菜も忘れずにっと」

「わう…(拙者野菜は苦手でござるよ…)」
悲しげに鳴くシロ。

狼だしな。

その時!


旋風のごとく黒い影が飛来し、瞬時にして肉だけを奪い去った!

「わう!?(に…肉が無いでござる!?)」
シロは呆然と野菜だけ残った皿を見つめる。

「や…ヤタガラス!?」
ピートも唖然としながら呟く。

「へえ…大したモンだな、あのスピードで肉だけを一発必中で取りやがるとは」
何故か感心している魔理。

「くぅ〜ん…(とほほ〜カラスなんかに負けたでござる…)」
シロはプライドを傷付けられ、思わず落ち込む。

「シロ、まだ肉あるし」
ぱたぱたと手を降りながら横島が言った。

もう一度挑戦!

肉を置く。

すかっ!(掠め取る音)

取られる!

ヤタガラスWIN!

「くうう〜ん…(また…拙者が負けた…)」

「………(ジャキッ)」
更に落ち込むシロを見た横島が、無言で両腕に霊気のガトリングガンを出現させた!

「あ〜〜〜〜落ち着いて横島さん〜〜!?」
慌ててピートが止める。

「離せピート!コイツら殲滅してやるぅぅ〜〜ッ!!」
「それやったら公園がヤタガラスの死体だらけになっちゃうじゃないですか〜〜!?」
微妙にズレた事を口走るピート。


大丈夫か?

「ほらほらたっくんも変身しない!」
ファイズフォンにコードを入力しかけた巧を、やはりこちらは慣れた感じで啓太郎が制止する。

……どうやら人間にまで被害が及び始めたらしい。

ドスドスドスドス!!!

「ぐはっ…痛たたたた…何故俺だけ突付かれるんだ〜!?」
相変わらず集中攻撃を喰らっている草加。

カイザギア?

サイドバッシャーに忘れて来たに決まっているであろう。


「シロ!良く見ろ!」
気を取り直した横島が、肉をもう一つつまんだ。

それをシロの鼻先で色々動かして熱を冷まし…

「それ!」
タイミング良く開けたシロの口目掛けて放る!

バクッ!

ゴックン……

「わう〜(一個食べれたでござるよ〜)」
嬉しそうに叫ぶシロ。

「よ〜し…タマモちゃん〜〜」
今度は冥子が(よせばいいのに)鍋に入っていた油揚げをタマモにやろうとした。

「ケェン?(くれるの?)」
大好物にタマモの目の色が変わる。

ふ〜らふ〜ら……

冷ますためとはいえ、大極拳の動きの様な感じで箸を動かす冥子。

まあ当然……

バクッ!

肉でもないのに、ヤタガラスは何故か高速キャッチして逃げ去って行く。

全く持って悪食なカラスだ。

「ケェェン…?(嘘…何て速さなの?)」
流石の妖狐もびっくりである。

「ひ……酷い〜…私の事〜…トロいって〜言ってるみたいなの〜(泣)」
泣き出す寸前の冥子。

「言ってるんじゃないですか?キッパリと」
よせばいいのにトドメを刺す二階堂…じゃない氷川誠。

「こ…この馬鹿!(あせあせ)」

ガスッ!!!

「ひでぶっ!?」

葦原涼が生身ヒールクロウで氷川を撃沈する!

「あ〜気にしないで気にしないで、氷川さん冗談好きだから…あははははははは…(乾いた笑い)」
更に津上翔一が氷川を何処かへ引っ張っていく。

ずるずるずるずる………(引きずる音)


「大人が泣いちゃ駄目でちゅ!」
「うん…冥子泣かない〜」
そして何故か揚羽に慰められてしまう冥子なのでした。

わんこか?

「おい草加…何寝てるんだ?」
「………(ノックアウト中)」
ボロッボロの草加をつつく巧。

その上にハゲタカのよーな鳥がばっさばっさと舞い降りて来た!

「あ…あれは…」
横島が思わず声を上げる。

「知ってるんですか?横島さん」
ちゃっかり横島の隣に付いたおキヌ(いたらしい)が聞く。


「…ああ、あれは伝説の鳥…その名も真・マケタカ…!!
「真…マ…マケタカ!?」
真剣に語る横島に、おキヌも糞真面目に聞き返す。

「そう、普段降りてくる普通のマケタカとは違い、奴らは真の敗残者の上にだけ降臨するという謎の霊鳥だと…師匠から聞いた事がある」
「はぁ…」
イマイチ理解出来ないでいるおキヌだが、相槌だけは打つ。

「マケタカ自体がすでにレアだと思いますけど、今の所草加さん専用ですし」
ピートがさらりと言う。

「ふーん、で、真にパワーアップしたのか?でも全然嬉しくないパワーアップだなー」
ノンキにのたまう魔理。

本気で何処から来るんだろう?

というか普通にいるんだ…マケタカって…

「あああああ…草加さんの上に巣まで作ってる!?」
「………やれやれだ、つかいつもの事だろ?」
その様子に、肩をすくめる巧と大騒ぎの啓太郎。


それはさておき。


「さっきの…タマモから油揚げかっさらっていったトンビ…じゃないヤタガラス、別の奴だな」
横島が唸る。

そう…この公園のヤタガラスどもは食料略奪のプロであった。

……吉兆のシンボルと言われたオリジナルが血涙流しそうな事態ではあるが。

春やら秋やら、色々宴会したがる日本人のお相伴をしてきた連中だからして…

事実上全員がかっぱらい可能な訳である。

実際にアタックしてくるのは、中でも特に勇気のあるヤタガラスな訳だが……

しかし、その成功率の高さから…横島達はちょろい相手としてマークされてしまったらしい。


それが運の尽きであるとも知らずに。


しゅぱっ!!

「だ…大胆過ぎですよぅ…(泣)」
鍋から直接奪い取るという壮絶な戦法に切り替え、ヤタガラスどもは次々とやってくる。

しかも全員の箸が離れた一瞬の隙を突いて、アタックをかけるというある意味高等テクニックをも会得しているのだ。

「私のお肉〜〜〜」
冥子がまた泣き出しそうである。

花見会場ピンチか?

「マ〜くん〜あの鳥私のお肉を〜取ったの〜(泣)」

「ああ…そう…」
なんだか疲れたよーな返事が返ってきた。

散乱するヤタガラスの羽、ひっくり返った紙皿…

うちひしがれる鬼道教授…ナニがあったかは一目瞭然だろう。

「真・夜叉丸」を出す暇も無くやられたらしい…

「き…教授!腹ごしらえしないとあの魔物どもには勝てませんよ!俺達が援護しますから食べて下さい!!」
横島とピートが慌てて駆けつける。

ピートは皿を差し出し、横島はサイキックフィールドでヤタガラスを防いでいた。

ガツン!ガツン!

次々に奴らはやってきて、フィールドに阻まれ空へと帰っていく…

だがこの障壁を維持するには結構霊力を喰う。

とても食べながらなんて気分になれないのが欠点である。

「いや…も〜なんだかやる気が失せたわ…」
すっかり戦意喪失の鬼道教授。

ここで冥子に対して点数を稼がないところが、まだまだ詰めの甘い男だ。

「美神教授〜霊体ボーガンでやっつけてくださいよ〜」
思わず泣きを入れるピート。

「馬鹿ね、取られる前に食べちゃえばいいのよ!自分の肉くらい自分で守りなさい!ほ〜っほほほっ(はぁと)」
神通鞭でヤタガラスをハネ返しながら食うという、器用な事をしている美神教授。

しかも余裕しゃくしゃくである。


「令子ちゃん〜自分が食べられるウチは〜助けてくれないわ〜」
冥子が意外と愉しそうにのたもーた。

「どうして食べられるんだろう?この状況で…」
障壁でヤタガラスを牽制しながら横島がぼやく。

「貧ちゃんお願い!」

ドシュ!ズシャァッ!!バシュッ!!!

「あうっ!?こ…小鳩…殺生やで!?はぶっ!?へべっ!?」
しれっと貧乏神を盾にしている小鳩。

しかも必死なので自覚無し。

何時まで保つのか?貧乏神バリアー。

「………本気で行くか」
今度こそ、ファイズフォンを開きコードを打ち込もうとする巧。

隣では啓太郎が泣き崩れている。

「酷いよ俺の全部食べちゃうなんて…たっくんもヤタガラスも嫌いだ〜〜!(さめざめ)」

って巧、お前もかい!

「待ってくれ乾さん」
「またか…って何だ横島か」
そう、それを止めたのは横島だった。

後ろにはシロタマに加えて、ピートに揚羽に涼…そして翔一が控えていたりする。


「……ナニを企んでる?」


鰯水作れないっスか?」

シーン……………

辺りにみょーな静寂が漂う。


「……………なんだそりゃ?岩清水じゃないのか?」
「いや、何でもない(汗)気にしないで…それよりまあちょっと楽をしようと思ってね」
横島は人の悪い笑みを浮かべた。

「…五代さんがいたらなぁ…例えば「カラスを楽に撃退出来る特技」なんて絶対ありそうだし」
翔一が残念そうに言う。

五代は今回欠席である。

バイト先の喫茶店が忙しくて抜けられなかったらしい。

ちなみに、その頃の五代。

「五代さん!あっちのテーブルに水2つです!」
「了解!」
「こっちはカレー二つ!」
「ケーキまだ〜?」
「コーヒーおかわり!」

「目が回るような忙しさだよ…」
と言いつつ何だか愉しそうにウエイターやってる五代クン。

真っ当に激闘中の様だ。


戻って公園。

「ひ〜ん…弱い人の所から取っていくなんて酷いです〜」
ヤタガラス軍団の猛攻の前に成す術なしのおキヌ。

「このままじゃヤタガラスと一文字さんと美神教授に、全部お肉食べられちゃう…」
ボロゾーキンと化した貧を、抱き締めながら小鳩が呟く。

小鳩よ…貧乏神だって(一応)不死身じゃないんだぞ。


「みんな〜見て〜ヤタガラスの〜数が増えたみたいなの〜」
冥子の台詞に横島達は辺りを見回した。

「本当だ」

そう、次々とヤタガラスが集結しつつあった。

「クチコミで集まって来たんですかね…」
ノンキな事を言うピート。

「クチコミだかどうかは知らんが…増えたな」
ボソッと涼が言った。

大空を覆う様に我が物顔で飛び回るヤタガラス。

殆どホラー映画である。

「よし、美神教授の破壊力…見せて貰いますよ!みんな!一時的にでいいから自分の鍋を守るんだ!」
悪戯っ子の笑みを浮かべた横島の号令とともに、作戦は始まった!

「ケェン?(守ればいいのね?)」
タマモは九つの火の玉を出し、周囲に浮遊させた。

「わぉんッ!(今度こそ負けないでござるよ!)」
シロは横島譲りのサイキックフィールド(範囲限定バージョン)を張り巡らせた!

「しゃあないな…出てこい真・夜叉丸ッ!!」
鬼道教授の影から、黄金鎧姿の青年式神が出現する!

「よーし…守るでちゅ!!」
揚羽が蒔いた紙から次々と蝶型の式神が飛び立つ!


「……頑張ります」
ピートは皿で地味〜に蓋をする。

「ピート、それで大丈夫か?」
おキヌと小鳩、ついでに鍋を守りながら横島が聞く。

「まあ見てて下さい」
意外に自信ありげなピート。

シュンシュン!!

二匹のヤタガラスがピート目掛けて突っ込んで来た!

「甘い!バンパイアミストッ!!」
瞬間!ピートは体を霧状に変え、攻撃をスルーさせてしまう!

「……なるほどな」
横島はニヤリと笑った。

他のみんなも懸命に鍋を守っている。

そう、これでオープンなのは美神教授の鍋だけになった。

「何よ…みんな蓋なんかして守りに入っちゃって、ほほほっその隙にどんどん食べちゃうわよ!」
調子こいて食おうとする美神教授。

それを不気味に見守るヤタガラス達………

ひゅん!!

すかっ!(神通鞭が外れた音)

ぱくっ!(肉ゲット)

しゅううん!(逃亡)

「……取ったわね……」
自分の攻撃を初めてスルーされ、美神教授のこめかみに青筋が浮かび上がる。

ひゅん!

「させるかぁ!」
ヤタガラスと美神教授、ほぼ同時に肉を掴んだ!

ガシッ!

「む〜〜!」
一人と一羽の攻防が続く!

そして唐突に終わりが到来した。

ビチッ!

そう、肉がちぎれたのである!

しかも美神教授のハシはブチ折れ、カケラ程しか肉も残らなかった……!

その衝撃で汁が飛び、美神教授の顔を直撃!

「く…!?」
とっさにハンカチで汚れを落とし、鍋を見た後……


「ああああああ!!!」

肉は綺麗に消えていた。

「おのれ〜〜…やったわね畜生の分際で〜〜〜〜!!」
遂に美神教授がブチ切れた!


本当に良かったのか?横島よ?


「運動会は俺一人だけみょ〜に厳しかったからなぁ…今回は美神教授に頑張って貰わないと」
横島は呑気にサイキックフィールドを張っている。

とはいえ攻撃の殆どが美神教授に向いている今…

ちょっとばかし暇になりつつあった。

「でもあの数…大丈夫でしょうか?」
おキヌが不安そうに言う。

「仮にも教授なんだ、数が頼りの人造妖物なんぞ敵じゃないだろ多分」
横島が肩をすくめながら答えた。


だが…横島にも誤算はあった。


それは……


「大人しくしてりゃいい気になって…このGS美神令子が!極楽に!逝かせてあげるわッ!!!」
怒りの雄叫びをあげる美神教授、その手には霊体ボーガン!

「喰らえ!怒涛の乱れ撃ち!!」

シュンシュンシュンシュン!!!

雨の様に矢が放たれ、上空のヤタガラスども目掛けて我先にと襲いかかる!


しかし……

ヤタガラスが突然規律正しい動きをかまして、全ての矢を回避した!

「嘘…全部外れ…!?」
これには流石の美神教授もガク然である。


これが誤算その1。


「……そうか!地上からの攻撃は、空の敵に対して当てにくい…某ロボットシミュレーションでは常識だった…!」
なんだか冷静に観察している横島。

「……という事は、横島さんのガトリング砲も…」
ピートが渋い顔で呟く。

「メチャクチャ命中率が下がるって事だな…当たらない訳じゃないが、効率も悪い…」
横島は真面目に考え込んでしまう。

ってあの〜そんな場合ではナイんですが?


「!?」
美神教授に最早攻撃手段が無いと思ったヤタガラス達は、一斉攻撃の体勢に入った。

だが。

「ふふふふふ、甘いわね!!」
彼女は何処からともなくミサイルランチャーらしきものを取り出す!

表面に「G4」と書いているのは何故だろう?

「纏めて叩き落してあげるわ!!」

どうやって収納していた?

「うげげ!?」
横島の顔が引き攣る。

「あわわ…あれって!?」
ピートも青ざめた顔で叫ぶ。


「極楽なんて生温い!地獄へ逝かせてあげるわ!!」

美神の叫びと共に、ミサイルが発射された!

採算度外視か?


「カァァァ!?」
白煙を引きながらすっ飛んでくる四基のミサイルに、仰天するヤタガラス達!

とか言ってる間に着弾。

スドドドドドドドドォォォォォン!!!

空のあちこちで起こる大爆発!

舞い散る黒い羽!


「うわ〜…」
茫然と空を見上げる横島達。


「まだまだ!私を怒らせた罪…そんなのじゃ償えないわよ!」
今度はバズーカ砲のよーなモノを取り出す美神。


「歩く武器庫か?あの人は…」
横島は開いた口が塞がらない模様。

「一体何処にしまってるんだ!?」
ピートも目を白黒させていたり。

バズーカには何故か「GP−03D」と書かれている。


「一匹残らず焼き鳥になりなさい!!」

ずどぅん!

放たれたのは弾丸ではなく、ブースターが付いた断面が三角形の筒状の物体。


「なんだありゃ?」
「筒?」
横島とおキヌが首を捻る。


その筒は、難を逃れたカラス達の真ん中まで飛んでくると…

シュドドドドドドドドド!

何と!

全ての面から一斉に小型ミサイルを放出し始めた!!

無差別に目標をロックオンして飛んでゆくミサイル群。


無論、下に居る(美神以外の)人間も。


「うっわ〜〜〜!?」


横島達が顔を引き攣らせて叫んだ。

「へへへ変身!!!」
慌てて翔一がアギト・バーニングフォームになり、手から火球を放ち向かってくるミサイルを落とす!

「冗談じゃない!変身!」
涼もギルスになり…

「ウォォォォォォォォォオ!!」
更にエクシードギルスへと二段変身し、ギルススティンガーで同じく向かって来るミサイルを叩き落とし始めた!


「ムチャクチャやりやがる!変身!!」
巧もファイズドライバーにファイズフォンを叩き込み変身、フォンブラスターで狙い撃つ!


「くぁぁ!サイキックフィールド全開!!!」
横島はドーム状の防御フィールドを必死で展開、小鳩達を護る。

「なんて迷惑なんだ!?」
「美神だから仕方ないでちゅ!」
ピートと揚羽がその前に立ち、霊波砲でミサイルを迎撃していく。

「どどどどないすんのや横島くん!!」
真・夜叉丸のどでかい両刃の斧でミサイルを切り払いながら、鬼道教授が叫ぶ。

「どないするって言われても…つかあの人何処にあんな非常識な武器を隠してるんだ!?」
悲鳴に近い声を上げる横島。

「…美神教授ですから」
「ですね」
おキヌと小鳩が顔を見合わせる。

「木刀でミサイル撃墜できるかな?」
「無理ですって!」
豪快な事をのたまう魔理におキヌが慌てて突っ込んだ。


(やばいな…破壊力ありすぎだ…)

これが横島の誤算その2。


美神の攻撃力を、まだ甘く見ていたらしい。

「このままじゃ、ここが火の海になるのも時間の問題ですよ!」
ピートが泣き声を上げた。


(美神さんは相手が完全に沈黙するまでやるだろーな…)
横島が考えているウチに…


「増援を呼んだわね、なら…うふふふふふふ…」
まだ残っているヤタガラスどもに美神は、怖い笑みを浮かべながら何処からともなくノートパソコンを取り出した。

「え?」
何だか行動の意味が良く解らず目を点にする横島。


「うっふっふっふっ…」
美神はその間にもかちゃかちゃと手馴れた手つきでキィを叩く。

目は完全にイッちゃってたりして。


「こーなったら核攻撃しかないわ!ハッキングで米軍のミサイルの出前を…」


「うげげ!?」
まともに横島の顔が引き攣る!


”ターゲット トーキョー ジャパン カウントダウン よろしいですか?”


モニターから不吉な声が聞こえてきた。


「だぁぁあ!!待って待って待って待ってぇぇぇぇ!!!!」
横島は弾かれた様に走り出した!

その速度は超加速にも匹敵したといふ。

発射のワンクリックを行なおうとした彼女の目の前に広がる、意外と大きな背中……!

「……横島くん?」

「すみません美神さん、俺の誤算でした…まあいろいろと」
「?」
なんだか意味が解らない美神教授。

何故か据わった目が元に戻っている。

「冷静に冷静に…俺が取って置きであいつらをなんとかしますから」
そう言うと横島は、両手の指を軽く開き…胸の前で向かい合わせにかざした。

「取って置き…?」
きょとんとしている美神。

しゅぅぅぅぅぅぅぅ………

凄まじい霊気がそこに集まってくる!

「よ…横島さんの手の中に小宇宙!?」
「んなわけあるかい」
小鳩の天然ボケに素早くツッコむ鬼道。

「…横島さん…」
おキヌも心配顔で事態のなりゆきを見守っていた。

「初めて見る技だ…なんだろう?」
ピートもじっとその光景を眺めている。

手の平の間に「黒い球形の物」が形成され、それがどんどん増大して行く。

「カァ……?」
ヤタガラスどもも、ただならぬ気配に警戒している。


「行くぜ!”幻影虚穴”ファントムクラスタァァッ!!」


横島の叫びと共に解き放たれたそれは、一直線にヤタガラスの群れのど真ん中まで飛んでいき……

くぁぁっ!

黒く巨大な虚空の”穴”と化した!

そして…猛然とヤタガラスどもを吸い込み始めたのだ!

ゴォォォォォォォォォォォォ…………

「か……カァァ〜」
なんとなくマヌケに聞こえる声をあげながら、どんどん吸引されていくヤタガラスたち

「えええええっ!?まさか…ブラックホール!?」
美神教授はその光景に、限りなく正解に近い答を出した。

「近い」というのは、これは疑似ブラックホールだからである。

今の所、吸い込んで他の場所にポイ!という位の性能しかないためそう呼んでも差し支えあるまい。

横島の霊力を更にレベルアップさせれば、重力で圧殺!という某スーパーロボットの様な事も出来るのだが。

しゅぅぅぅぅ………

あれだけ空を覆い尽くしていたヤタガラスどもが、全部消え去るまで僅か数分。

まさに驚異の速さだ。

「ケ〜ン…(凄い…)」
「わぉん!(拙者のせんせーでござるよ!)」
感心するタマモと胸を張るシロ。

「もう霊能全然関係ないな…あいつの能力」
更に的確な事をのたまう涼。


「もう大丈夫、片付いたっス」
「はぁ…なんとまた出鱈目な…つかコイツ何処まで強くなるのかしら…」
美神教授は、振り向いて笑う超人青年に溜息を吐いた。


横島の活躍(?)により、一応人間がヤタガラスに勝利したという形で花見は終わったのだった。

ついでに会場の平和も守られたのである。

「花見…誰かお花見ましたっけ?」
翔一が言う。

「そっか…花見だったんでちゅね…」
思わず途方に暮れる揚羽。

「何か花咲いてたっけ?」
横島の問いに答えられる者は誰もいなかったり。


そう、だ〜れも花なんて見た覚えが無かった。

みんな肉とヤタガラスと美神の大暴れしか見ていなかったのである。

……つくづく嫌な花見だ。

「ま〜いいわ…色々ぶっ放してストレス飛んだし、またやりたいわね〜」
さらっと恐ろしい事を言っている美神。

ミサイルとかの資金は別に気にならないらしい。

ストレス解消に金を惜しまないタイプか?

「シロ、タマモ、おいで…好きな食いモン買ってやるよ」
それを聞かなかった事にして、横島が二匹を呼ぶ。

「わぅ!(拙者やっぱり肉でござるよ!)」
「ケェェン!(油揚げ!これは譲れないわ!)」

先を争う様に走り出す二匹。


「はふ〜…最後はどうにか(ギリギリ)平和に終わりましたね…」
おキヌはほっとした顔で呟いた。

「うんうん、ですね」
小鳩も呼応して頷く。

「津上…何か忘れてないか?」
「そういえば…なんでしょう?」
考え込むアギト組二人。


その頃公園。


「……」

忘れ去られた氷川がマケタカの巣と化していた。


向こうで相変わらず草加も「真・マケタカ」にたかられてるのだが。


おまけ

ボロボロで住んでいるマンションに帰宅した草加雅人…

「くそ!酷い目に遭った…おのれ乾巧…!」
すっかりぶちぎれ状態の草加。

今回巧関係無いぞ?


そのままカードキーでロックを解除…ドアを開けた。

そこには…

部屋中から睨む沢山の目!!

散乱する黒い羽!!


「な…に……う…うわ…ぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜ッ!!!」


草加の絶叫が辺りの空気を引き裂く!

ガチャン。

彼の後ろで扉と鍵が閉まった。

て言うかオートロックなだけなんだが。


草加VSヤタガラス第二ラウンドの行方を知るものは、誰もいない。


〜次回に続く〜


前回書いた時「美神の攻撃力が低すぎるのでは?」という指摘を受けてからずっと書き直す機会を狙ってましたので満足です(おい)

…やりすぎ?


まあそれは兎も角。

某マイクロミサイルを某フォールディングバズーカから射出してますが、どうかご容赦を^^;


それでは前回のレス返しです。


煌鬼様>
どっちかと言えば、ゲッター2のドリル発射みたいな感じです。
なんだかワルキューレが引っ掻きまわしているので、少しベスパ救済ですw


片やマン様>
ああ、やっぱりそう思います?なんでこんなおポンチな展開になるのだろうと本人も首を傾げることしきり(おい)
ピート、ちゃんと適合出来るんでしょうかw


ATK51様>
バイクは…色々考えたのですが、森の中の高台のような場所のため…物理的にアメリカンバイクでは不可能と考えて断念致しました;

西条は…今回も草加の仲間かなとw

その代わり戦闘ではピート救済を行なってます。

一刀両断は、前回「横島が仮面ライダーに食われてる」という苦言を受けての救済策でありますが、自然と出てきたアイデアでもあるんですね。


ヒュウガ達…もしかしたら「そら」に飛ぶかも知れません…w


柳野雫様>
なんだかピートの場合、何処かでオチなきゃいかんみたいですw

ワルキューレのお陰で、話がどんどん変わっていきます…ありがたいのか悲しいのか微妙な所…


それでは次回、恐らく横島くん修行編でお逢いしましょ〜でわでわ〜〜

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