第4話 「美神令子倒れる」
「あら、揃っているわね。」
人工幽霊壱号に促されて入室してきた美智恵は壁に埋まっている横島を見ても特に感情を示さなかった。慣れというのは怖いものである。
彼女のかわりにその胸に抱かれたひのめが「あー」と言いながら壁に手を伸ばす。
どうやら横島が遊んでいると思ったのだろう。
「何の用なのママ?」
机を元の位置に戻しながら令子が聞いた。
その口調には警戒がある。百鬼抜きの折檻のことを根に持っているらしい。
もっとも87鬼のところでご赦免となったのだから文句を言う筋合いでもない。
そんな娘の心理を読み取ったか美智恵はニヤリと笑った。
その笑顔に令子の背中を冷たいものが伝わり落ちる。
「んー。いい話を持ってきてあげたのよ♪」
「いい話?」
楽しげな母親の様子に令子の予感はますます悪いほうに強まっていった。
「うふふ。横島君の学校での事件のことなんだけどね。あそこの地下で起きた霊障のことは知っているでしょ。」
黙って頷く令子をチラリと見て先を続ける。
「それでね。おそらくここに除霊の依頼が来ると思ったんだけど…。」
「来てないわよ。」
シラッと嘘を吐く娘に気の無い視線を向けておいてから、美智恵は大げさに息を吐く。
「そう。良かったわ〜。あなたが引き受けたらどうしようと思っていたのよ。」
「どういう意味?」
「だって娘に損させるわけにはいかないでしょ。」
抱いた次女をあやしながらの発言に驚く令子。とりあえず視線で先を促す。
「実はね。横島君の学校に大規模な霊障が起きるって信頼できる筋からタレコミがあってね。Gメンが捜査することになったのよ。当然、Gメンとは関係ない民間GSは立入禁止にしなきゃないじゃない。」
「ち、ちょっと!」
「何?令子?あなたまさか…」
「ち、違うわよ!」
「そうよね〜。もしあなたが引き受けていたら「契約日までの除霊完了が出来ない」ってなって莫大な違約金取られていたわよ。もしそういう契約内容だったらだけど…」
「まだ契約まで行ってないもん!…はっ!」
あっさりと引っかかって白状する娘をジトっとした目で見つめる美智恵。
令子の背中の汗はますます冷たくなっていく。
「ふーん…」
「あ、あはは…それでさママ!その横島君が戦った兵器ってそんなにヤバイ奴だったの?」
下手なごまかしではあるが美智恵はそれに乗ることにした。
というよりはそれこそが彼女の目的だったりする。
「兵器自体は横島君たちやめぐみさんの活躍で破壊できているから危険はないわ。でもそれに囚われていた霊たちを成仏させてあげるのが大変なのよ。」
「なるほど…除霊じゃなくて浄霊するとなれば時間はかかるわね。」
「そうなのよね〜。横島君の文珠かおキヌちゃんの力があればまだ楽なんだけど…」
美智恵の言葉に今度は令子がニヤリと笑う。彼女の頭の中ではそろばんがカチャカチャと計算を始めていた。
「それでうちに依頼に来たってわけね。んー。親子でも金銭はしっかりしないとね。でも他ならぬママの頼み…「あら。勘違いしないで。」…え?」
「さっきね。めぐみさんから電話貰ったのよ。それでね彼女が格安でやってくれるって話になったの。もちろんGメンも協力するけどね。」
「え゛っ?…な、何よそれっ!!だったらどうしておキヌちゃんや横島君が関係あるの?!!」
「調べてわかったんだけどね。囚われた霊たちって危険は無いのよ。皆成仏したがっているわ。兵隊さんたちは靖国にいけるって喜んでいるしね。だからめぐみさんが言うには「除霊部の実習にちょうどいいと思うので私たちでやりたい。責任は私がとります」ってことね。」
「あ…あのね〜。横島君はまだ見習いなのよ。」
「だから私たちもオブザーバーとして参加して、めぐみさんがコーチしての浄霊実習って形にするんじゃない。確かに霊能者にはいい勉強になるわよ。それにどうせ他のGSは捜査が終了するまで学校に入れないんだからちょうどいいでしょ。」
「う…で、でもおキヌちゃんは?」
美神令子最後の抵抗、このままでは自分とは関係ないままに話が進んでしまうと大慌てだ。
もっとも美智恵の言い分には矛盾がある。
他のGSの学校内への進入を制限しながら、内部で監督者がいるとは言え見習いが浄霊を行うなど奇妙な話だ。
だが色々と頭に血の上った令子はそこまで気がつかない。
先制打で「大損の可能性」と「魔鈴めぐみの存在」を示唆した美智恵の作戦勝ちだろう。
「そうなのよ。それでね。ネクロマンサーのおキヌちゃんにも見学のお誘いに来たの。まさか横島君がもう来ているってのは意外だったけどねー♪」
横島が来ているなど百も承知のタイミングでやってきたくせに、いけしゃあしゃあと言いますかこのオバハン…とは思っても口に出すほど愚かな令子ではない。かわりに固く握った拳が震える。だがまだ糸は切れていないと再反撃を試みた。
「でもね。私も雇用者としての責任があるわけよ。だからこれは美神令子除霊事務所の仕事として…「あら、それは駄目よ。」…え?」
「あくまで主体はめぐみさんが責任者となっての浄霊実習って部活動なわけ、だから参加できるのは除霊部の霊能者に限るのよね。そういう約束だし。もう決まっちゃったし」
「だったらおキヌちゃんは?!!」
「それはおキヌちゃん次第よ。ねえおキヌちゃん見学したい?」
「はいっ!」
「おキヌちゃん!!」
叫ぶ令子にペコリと頭を下げておキヌは壁に埋まっている(まだ埋まっていた)横島のそばにツツツと近寄る。どうやら先ほどの湯飲みのことといい、この間の一件以来積極的になったようだ。
ガビーンと効果音を貼り付けて硬直する令子に予想外の方向から駄目押しが加わる。
「美智恵殿!拙者もいいでござるか?!」
「わたしもいいわよね。」
意気込んで聞いてくるシロタマに美智恵は笑みをもって「見学ならいいわよ」とあっさり答えた。
「うーーーーー。」
唸る令子に美智恵は天使の笑みを向ける。ちょっと羽根が黒くて尻尾が尖っているけど…。
「令子も見学者として参加するなら出来るわよ。どうするの?」
「誰がっ!!」
「魔鈴の下で…」と言い切るより先に美智恵はアッサリと「あらそう。」と顔を背けた。振り上げた拳のやり場に困るものの、いつもこういう時にストレスを受け止めてくれる少年は壁に埋まったままだ。
腸が痛くなってくる令子である。
その時、机の上の電話が鳴った。
不機嫌さを隠しもせず受話器をとった令子の顔色がますます悪くなる。
電話の相手は先ほどの政府関係者らしいと漏れ聞こえる会話内容から推察してクスリと笑う美智恵。
「だから断るって言っているでしょ!まだ正式に契約してないし文句は無いでしょうが!嫌なら他のGS頼みなさい!!」
多分に八つ当たりなんだろうが乱暴に電話を切った令子の手がプルプルと震えている。
「…本当なら億単位の仕事なのに…ああっ…腸がねじ切れそう…」
「あなたねえ…」
自分の娘とはいえその守銭奴ぶりに呆れた声を出す美智恵の前でふいに令子がお腹を押さえて蹲まった。
「あ…あれ…ほ、本当にお腹が痛い…」
「「「え?」」」
本当に腸がねじ切れた?とシロタマやおキヌが驚く横を、光の速さで壁から飛び出した少年が駆け抜けた。
「大丈夫っすか美神さん!!」
「あう…横島君…お腹が痛いよう…」
戦いにおいては勇猛果敢な戦士である令子でも内側からの責めには脆いのか、涙目で横島を見上げる顔色はかなり悪い。
「こ、これは…陣痛っすか美神さん!!」
「「「え゛…」」」
「令子…あなたって娘は…いきなり私をお婆ちゃんにする気なのっ?!!」
横島の発言に息を飲むシロタマやおキヌとなにやら違う方向で驚く美智恵。
「誰が妊娠してるってのよっ!私はまだ処女だっ!!」
言ってしまってから真っ赤になる令子だがその顔色はすぐに青く変わった。まるで反応の早い押しボタン式信号機である。
「あんたが変なことを言うからっ!」
照れ隠しも混じった令子のパンチが横島の顎を抉るように打ち抜くが…
「…痛くない…って隊長!!美神さんのシバキに威力が無くなってますっ!!!」
「ほ、本当なの!!令子っしっかりしなさい!!死んじゃだめよぉぉぉ!!」
日頃の冷静さはどこへやら、すっかり取り乱す美智恵さん。
「シ、シロちゃん助産師さん呼んでっ!!」
まだ頭が出産から離れられないおキヌ。
「わ、わかったでござるっ!!…タマモ、119番って何番だったでござるか?!!」
「え?あ、救急車だから99番かな?…」
『ちなみに出産お祝い電報は115番ですっ!!』
錯乱中のシロタマと人工幽霊壱号。
シバキの威力で自分の健康を測られ、薄れゆく意識の中で令子は思った…。
(こいつら…あたしを何だと…)
ぐっすん…
痛みからではない涙が頬を伝う感触を最後に彼女の意識は闇に落ちた。
一方こちらはカッパ城地下牢。
カワ太郎がアリエスの元をまたまた尋ねている。
いつもと違うのはカワ太郎の後ろにもう一人、女官がいることだろうか。
彼女が押しているのは料理の乗ったワゴンである。実は夕飯は豪華なのかも知れない。
「姫様…」と声をかけてみれば牢の隅で膝を抱えて虚ろに笑っている主君の姿。
本格的に壊れたか?と一瞬思うが、この程度で壊れる神経だったら苦労は無いよなぁ…と思い直す。なんだかんだ言ってもアリエスのことを理解しているのだろう。
「姫様…」、「ほひ?」
「姫様」、「へけっ?」
なにやら珍妙な返答をするアリエスの顔面に握った拳を叩きつけたら一週間は心穏やかにすごせるだろうなぁ〜と思いつつカワ太郎は口調を変えた。
「実は大神官様が占いをなさいまして…横島殿の不吉が迫っていると…「何ですって!!!」…やはり演技でしたか…」
ホフッと息を吐くカワ太郎に掴みかからんばかりに真剣な表情でアリエスが突っ込んできた。
「どういうことですのっ!!(ガキィィィィィン)…うぎょっ!!」
どうやら鉄格子の存在を忘れていたらしい、顔に幾本もの縦線をつけてズルズルと崩れ落ちるアリエスだったが、途中で意識が戻ったのか鉄格子を握り締めてヨロヨロと立ち上る。
ヤレヤレと思いつつカワ太郎は口を開いた。
「姫様、「すたー・かっぱー」は?」
「役に立たないから実家に帰しましたわよっ!そんなことよりっ!!」
実家って何?とは思わないでもなかったが話を先に進める。
アリエスはカワ太郎の説明をいつもとは打って変わって真剣な表情で聞いていた。
「…なるほど…では「鉄の蛇」が忠夫様を狙うということしか…」
「はい」
「わかりましたカワ太郎。わたくし行きますわよ。」
「御意…」
カワ太郎はアリエスに一礼して牢の鍵を開けると後ろに控えていた女官に声をかける。
「海牛若丸。後は頼むぞ。」
「ウイ」
気取った返事とともに女官の体がグズリと揺らぎ、あちこちがボコボコと脈動していたがやがてアリエスそっくりの姿へと変わった。
どこから見てもアリエスに見える。違いがあるとすれば垂れ目気味のアリエスよりちょっとだけ目つきが鋭いということぐらいだろうが、ほとんど見分けられるものではない。
やがて完全に変身が終わった海牛若丸はアリエスに一礼して牢の中に入っていった。
それを確認してカワ太郎はアリエスに海牛若丸が押してきたワゴンの横にある扉を開けて見せる。
中から出てきたカツラだのメイド服だのを着たアリエスとカワ太郎がワゴンを押して地下牢から遠ざかる姿を海牛若丸は笑顔で見送っていた。
白井総合病院の検査室の前で検査中と点灯しているプレートを見守る美智恵と横島、そしておキヌ。
シロタマは良すぎる鼻が災いして病院に一歩入ったところで挫折した。
今は事務所に戻って留守番である。
「美神さん大丈夫でしょうか?」
心細げに呟くおキヌの肩を優しく抱く少年。
その温もりが彼女の不安な気持ちを和らげていく。
ひのめを抱いた美智恵も不安な表情を隠せないでいる。
相手が病気ということなら彼女にも打つ手は無い。ここは医師を信じるしかないのだ…とすっかり母親の顔になって見上げていたプレートの光が消え、ドアが開くと中から白井医師とストレッチャーに乗せられた令子が出てきた。
ナースに押されて病室に向かうストレッチャーにおキヌがついていく。
美智恵は深呼吸しつつ白井に聞いた。
「あの、先生…娘は…」
「ああ、お母さんですか?娘さんは盲腸ですよ。」
「盲腸?」
「ええ。間違いありません。娘さん盲腸やってないでしよ?」
「あ…えーと…私が居るときはやってませんでした…死んでいた時のことはちょっと…」
「は?」
「いいえ!なんでもないんです!!」
正確には死んだふりをしていた時だがそれを説明しても仕方が無い。
「盲腸っすか…良かった〜。なら大丈夫ですよね。」
「そんなこともないぞセクハラ少年。幸い今回は破裂してなかったからいいものの、一歩間違ってたら破裂して腹膜炎を起こすところだったんだ。」
「はあ…すんません。」
「しかしCTで見ても虫垂が化膿してパンパンですよ。白血球値も凄いですし、娘さんはよほど我慢強いんですなぁ〜。」
「あ、あはは…」
我慢強いだろうか?と先ほど涙目で横島にすがっていた姿を思い浮かべる。
我慢していたというより気づいていなかったという感じだ。
(もしかしてあの娘って色んな感覚が鈍い?)
安心したのか令子が聞いたら顔色を変えるようなことを考えて黙り込む美智恵に白井は「では後ほど術式の説明とかありますから…」と一礼して去っていった。
病室は結構豪華な個室であった。
確かに美神令子には大部屋は合わないだろう…って言うか他の患者の迷惑になる可能性が大である。
横島たちが病室に入ると令子はすでに目覚めていて起こしたベッドに座っている。
横ではおキヌが甲斐甲斐しく世話をしていた。といっても汗を拭くぐらいしか今はすることがない。
入室してきた横島を見た令子の顔が一瞬だけほころぶが、すぐにとってつけたような冷静な顔に変わった。
照れ隠しなのが見えみえである。
「美神さん。もう大丈夫っすか?」
「だ、大丈夫よ。」
心配されて頬を染める令子。言葉もどこか上ずっている。
やはり真剣に心配されて見れば嬉しいものなのだろう。けど…場の空気を読まない横島君はまたまた地雷を踏みました。
「で…剃ったんすか?」
「は?」
「いや…下の毛…「出て行けぇぇぇぇぇ!!!」…わぷっ!」
枕を投げつけられてほうほうの体で退散する横島。
興奮のあまり顔を真っ赤に染め肩でゼーゼーと息をしつつドアを睨みつける令子だったが…
「もう。横島さんたら…入院してすぐ剃るわけないじゃないですか…」
おキヌの台詞を聞いて毛布に突っ伏した。
毛布から漂う鼻をくすぐる消毒薬の匂いに何だか泣けてくる令子だった。
横島がアパートに帰ってみると自分の部屋に明かりがついている。
鍵をかけてないから愛子か小鳩が気を聞かしてくれているんだろう…と思って戸を開けた彼の鼻に良い香りが届いてきた。
「お、飯作っててくれたんか?」と靴を脱ごうと向けた背中に声がかかる。
「お帰りなさい。横島さん」
「え!ま、魔鈴さん!なんでここにっ?!」
「今日はお店お休みですし、部活の予定も急に無くなっちゃいましたから皆でご飯を食べようかと思いまして…」
そう言って魔鈴が示したちゃぶ台には色とりどりの料理が並んでいた。
「はぁ…小鳩ちゃんたちは?」
「花戸さんのお母さんと貧さんでしたか?彼は先に済ませました。愛子ちゃんたちは今、お風呂に行ってます。唯さんはまだお仕事らしいですね。」
「そっすか…」
なるほどと納得する。何か事件があれば唯の帰宅が深夜になることは今までも時々あった。そんな時はパトカーが送ってくるから心配は無い。
そんなことを考えながらいつもの習慣通り学生服を脱ごうとすると、いつの間にか後ろに回っていた魔鈴が手伝ってくれた。
「ところで横島さん?」
「は?なんすか?」
「先にご飯になさいますか?それともお風呂に行かれます?」
「はあ…飯に…って魔鈴さん?」
言葉の途中で振り返ってみれば横島の学生服を抱いたまま「いやんいやん」と体をくねらせる魔鈴の姿。
「あの…どうしたんすか?」
「え?あ、あはは…なんか新婚夫婦みたいだなぁ〜とか思っちゃったりしちゃったりなんかして〜♪」
自分の学生服を抱きながら頬を染めている彼女の姿に横島の頬にも朱がさす。
「あ、ごめんなさい!私みたいな年上の女と新婚なんて横島さんに失礼ですよね…。」
目の前で勝手にしょんぼりと肩を落とす彼女に何か言おうと横島が一歩進み出た時、足元には特になにも引っかかるものが無いはずなのに魔鈴が「きゃっ」と棒読みに悲鳴をあげて何かに躓いてよろけた。
思わず抱きとめる横島の腕の中で見上げる彼女の目がほんのりと潤んでいる。
「横島さん…」
「魔鈴さん…」
見詰め合う二人…やがて彼女の目が何かを期待するようにそっと閉じられ…たんだけど…。
「「待ったあぁぁぁぁぁぁ!!!!」」
息を切らして乱入してきた愛子と小鳩によって刹那の甘い空間は終わりを告げた。
「ぜーぜー」と息を切らしている二人の少女。一人は机付きでもう一人は巨乳つき。
よほど慌てて風呂から帰ってきたのか服装も乱れている。
愛子は薄手のトレーナーを後ろ前に着ているわ、小鳩は桃色のタンクトップから上乳が半分覗いているわと、もうなんていうか大騒ぎって感じだ。
風呂上りなのにそんなに汗をかいてていいんかい…と横島はぼんやりと思考する。
というか事態が全然飲み込めていない。
そんな彼をほっといて女性陣はなにやら口論を始めた。
「あ、あはは。お早いお帰りですね。」と引きつった笑いを浮かべる魔女。
「ぜーぜー…もしかしたらと貧ちゃんに見張りを頼んでおいてよかったです…」
そういう小鳩の後ろでは全力飛行で精根尽き果てた元貧乏神が手すりに引っかかっている。
「ぜーぜー…どういうことか説明してもらいましょうか…コーチさん…」
愛子の口調も冷たい。魔鈴のことをコーチと呼ぶのがその表れだ。
「えーと…横島さんのお部屋で待っていたら…なんかその…新婚ぼいなぁ〜とか思っちゃって…」
((魔鈴さんって実はシチュに弱い?))
アイコンタクトで通じ合う少女たちである。
「さ、さあ!それでは皆さんも揃ったことですしご飯にしましょう!」
その場を取り繕う彼女の台詞に皆も頷いた。
何となくこの場で色々と魔鈴を追求すれば藪から蛇をつつき出しそうな気がする。
本人が恋心を自覚するかしないかの危うい均衡の上に居るのだ。
何もこちらからつついてライバルを増やす必要はない。
これだけの情報伝達を目線だけで行うのだから愛子と小鳩のチームワークも中々のものであると言えよう。
「そうね…お腹すいたものね…横島君もでしょ?」と愛子がやっと少年の存在を思い出した。だが答えは返ってこない。
なぜなら…
「あの…花戸さん?」と遠慮がちな魔鈴の声。
「はい?」
「えーと…おっぱい片方出てますよ…」
肩で息をしているうちにずり落ちたタンクトップからこぼれた小鳩の豊満な胸を見た少年は自分の流した血の海に沈んでいたのだったから。
後書き
ども。犬雀です。
さて…今回は間のつなぎと言う話でして…いつになったら本筋に進めるのか。
何となく長くなりそうな今回の話…実は大まかなプロットだけで書き続けるってのは始めての試みなんです。
色々と穴があるとは思いますが宜しければ最後までお付き合い下さいませ。
美神令子さん…入院してもらいました。これでおキヌちゃんたちが一時的に事務所からフリーになりますです。どうも商売からみの話になると学校らしさがなくなるかなぁ…ってのが犬が美神さんを本筋に絡められない理由の一つでもあります。
でも、何とかなりそう…かな?
さて次回は魔鈴さんに壊れてもらいましょうか…(ニヤリ
では…
1>MAGIふぁ様
はいです。今回はお役所仕事との対決?なんて考えてますです。
2>オロチ様
ノーバストですか。ライバルのすたーかっぱーが実家に帰ってますんで…どうでしょ?出るかなぁ〜?
3>ヒロヒロ様
まあカワ太郎もストレスの多い職場に居ますので…
4>ザビンガ様
カワ太郎とアリエス戦…面白いかもですな。
5>ジェミナス様
実家に帰されちゃいました〜。ところで実家ってどこでしょ?
6>シシン様
お久しぶりであります。
アリエスは意外とあっさり出れました。実はラスボス戦で彼女のマヌケが必要な気がしまして…変わるかもですけど。
7>紫苑様
結局、下着の件は有耶無耶になってしまいました。
8>AC04アタッカー様
ごめんなさいです。中々物語が動きません。湯飲みに関しては実体験です。
9>炎様
さて…今回は誰が犠牲に…(クスクスクス
今のところは令子みたいです。
10>法師陰陽師様
結局、美智恵は釘刺しに来たんでしょうね。でも事態は違うほうに動いたみたいです。
11>通りすがり様
そうですねぇ〜。確かに美神を出すといきなり商売っぽくなる気がして躊躇してたんです。まあ…横島の影で暗躍する魔女の姿を知ってどうするか…あたりで彼女の登場回数も増えるかも。
12>なまけもの様
さすがに変態仮面まで話すと彼の命が…。とりあえずシロタマも北海道って言う秘密を持ってますし、おキヌちゃんも一つぐらいは秘密を…って皆知っている?
13>之様
萌える展開ですか…「まかせておけい!」と言えない犬が悲しい…。
マヌケな展開なら自信があるんですが…(マテ