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▽レス始

「妖物のお医者さんR 第12話(GS&動物のお医者さん)」

闇色の騎士 (2005-04-20 08:10/2005-04-20 08:15)
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〜第12話〜


3年生も終わりに近付き、横島達は所属の講座を決める事になった。


「何処にする?」
一番始めに口を開いたのは魔理だった。

「……どうしましょう?」
小首を傾げる小鳩。

「やはり講座の内容と適正を良く研究して…」
おキヌが常識論を述べる。

「………ニンニクを使わない講座希望ですね」
ピートは弱点のみが問題点らしい。


「横島さんは?」


「……除霊所にしようかと思う」


「!!」
全員の表情が凍り付く。


除霊所と言うと……


「美神教授の所ですか(か)?」
思わず横島に詰めよるピート達。

「私はあそこはパス、何か理不尽なメに遭いそうだしね」
魔理がばっさり斬って捨てた。

「私は…適正の問題でちょっと」
現在の所直接攻撃力の無い彼女は、即戦力が期待される除霊所には向かない。

「教授が個性的過ぎますよ」
これはピート。

お前もか。


「あの……私もそこにしますね、バイト先ですし」
小鳩がおずおずと告げる。

「ええええええええええええ!?」
その爆弾発言に皆最初は驚いたが、良く考えたらなんの事はない。


…彼女には霊能力が無いのだ。

そうすると、除霊所で実務(受け付け他色々)を更に突き詰めて修得した方が良いだろう。

「じゃあ一緒か、よろしく小鳩ちゃん」
横島がニコっと笑いかける。

「は…はい〜…頑張ります!」
真っ赤になりながら、無意味に力強い返事をかましてみせる小鳩。


「あ………(い〜な〜…小鳩さん…)」
適性の問題で横島と一緒の講座に行けないおキヌ…不敏だ。


…と言う風に殆どの人が除霊所を避けるので、横島と小鳩は無競争で講座へ進めそうな模様である。


これも美神教授の人徳(不徳?)と言えよう。


「教授、ありがとうございます」
「わうん?(拝むでござるか?)」
「私も〜」
二人と一匹は思わず拝んでしまうのだった。


「本当に除霊所でいいんですか?きっと凄く苦労しますよ」
ピートが信じられないという顔で言う。

「でもなピート、GSになるつもりだったら実際に除霊を体験しまくれる講座の方がいいんじゃないか?それよりお前の方が問題だ…ニンニクを扱わない講座は幾らでもあるぞ」
逆に横島に突っ込まれて焦るピート。

「ええと今…色々情報を集めている所なんですケド…」


一般の学生は、何処の講座で何の勉強をしたいという確たる展望を持っていないのが普通である。


何故なら適性が全てだからだ。

「私は霊的格闘講座で格闘の極意を極めて見せるぜ!」


……あ〜はいはい、魔理さんアンタは例外だって。

「私ネクロマンサーの資質とヒーリング以外殆ど能力無いんですが…?」

おキヌちゃん…ええと…取り敢えずキミも例外!

つかそれだけあれば十分であろう。


まあだからこそ、学生は不確かな情報に一喜一憂して右往左往するのである。


「××教授の講座はしょっちゅう懺悔させられるそうだ」
「やめやめ」

「○○教授の講座は良く破壊されるそうだ」
「そんなのばっかりかい」

「△△教授の講座は即座に丁稚奉公させられるそうだ」
「もういいって…」

……などなど。


そしてその年によって人気の講座というものがある。


年によって違いしかも基準がアイマイだが…


今年の人気は霊的格闘講座であるらしい。


運動会の活躍のせいかどーかは知らないが。


「どうするんだ、定員を大幅に超えてるぞ?」
第一希望講座の表を見て、ツンツン髪の青年が言った。

「そんな事言って葦原さんも原因のひとつじゃないですか?」
人の良さそうな青年が答える。

「翔一くんだってそうじゃない…」
高校生にしか見えない程童顔の少女が突っ込む。

「そりゃないよ真魚ちゃん…」
苦笑する翔一。

「大丈夫!(サムズアップ)俺、クウガですから!」
「五代さん…意味解らないですって…(汗)」
明るそうな青年の意味不明のセリフに、氷川誠が溜息を吐いた。


「……で、ピート…お前も除霊所に来る訳?」
「ええと、考えたんですけど…僕の能力ってどちらかと言えば攻撃向きなんですよね…だから実戦経験を積んでおいた方がいいかと思いまして」
もっともらしい理由を答えるピート。

本当にそうか?

「……結局除霊所が一番無難だと思うんです」
「後ろ向きっぽい決め方だなぁ…」
思わず大きな溜息を吐く横島であった。

「ええと〜〜おに〜さん〜おに〜さん〜」
何か間延びした、しかも棒読みの台詞が後ろから聞こえて来る。

「式神使い講座と〜〜契約しない〜〜?景品を付けるわよ〜〜何がいい〜〜?魔法発動体の携帯電話〜〜?それとも変身音叉〜?
…それは、何故か似合わぬサングラスをかけた冥子だった。


つーかあるんかいそんなモン。


「ま…魔法発動体のケータイ?そ、それにへ……変身音叉?ベルトじゃなくてですか?」
「……間にあってるッス(音叉は兎も角、携帯で魔法??マジか?)」
唖然とするピートと冷静に却下する横島。


「え〜〜〜そんなぁ〜〜いつもシロちゃんと〜遊んであげてるのに〜〜」
僕らの素敵暴走プリンセスが麗しくも憤慨している。


「わう……?(え…遊んで貰ったでござるか?)」
真面目に考え込むシロ。

「冥子はん、無理強いはもうやめよ…確かにお二人の才能は惜しいんやけど」
鬼道が深い深い溜息を吐いて言った。

「えええ〜!?諦めるの?それはないでちゅ〜!」
揚羽よ…お前も居たのか。


講座を決める事は3年生にとって人生の一大事であるが…

迎える講座だって将来の繁栄、没落がかかっている訳である。

直接の即戦力となる有能な新人が欲しい、これが講座側の偽らざる気持ちであるのだが…


「何?ウチの講座に2人しか希望者がいないですって?」
所変わって除霊所…美神教授は不機嫌そうに言った。

「十分です・ミス・美神、平均で2〜3人・ですから・しかも内一人は・あの・横島さんです」
少し変わった形の服を着た女性が答える。

「横島くんねぇ…いいのよ彼は、どうせここに来るに違いないって踏んでたし」
何となく照れ気味に美神教授がのたもーた。

「はあ…マリア・良く・解りません」
女性が曖昧な言葉を漏らす。

彼女の名はマリア。

カオス教授が作り上げた超高性能アンドロイドである。

ちなみに今は除霊所で美神の手伝いをしているのだが…

カオスに一体ナニがあったのだろうか。

まさか家賃滞納が祟って、マグロ漁船にでも売られたのか?

「でもまだ二次三次の調整をするんでしょ?これから減ったらどうするのよ?」
「もう一人は・ミス・小鳩ですが?」
「ええ〜い!とにかくもう少し増やすの!そうだ、宣伝をうちなさい!」
不敵な笑みを浮かべながら、美神教授が言い放った。

「スキー・旅行でも・付けますか?」
「真冬にスキーだの温泉だのって当たり前すぎない?去年やったあれよ!あれ!」
「あれ・ですか?」
マリアの表情がどことなく不安げに見える。


「そう……今新しいのは常夏の孤島よ!」
そう言って美神教授はニヤリと笑った。


「あの〜、聞きました?除霊所で「天国に一番近い島ツアー」とかいうものをやるそうですよ」
その情報を持ってきたのはおキヌだった。

「何それ?」
まず反応したのが魔理である。

場所は常夏(?)太平洋の島。

「う〜ん……良く解らないけどリゾート!って感じだな」
と魔理。

まあハワイも太平洋だしな。

青い海…青い空…白いモビ…じゃない砂浜、太陽はソーラレイ…じゃなくてさんさんと降り注ぐ。


いかにもな外国リゾート地のイメージが、聞く者の脳裏に展開した。


この島で行われる、美神教授のある調査作業の手伝いをすれば…

一週間の滞在の間の食費、住居費はタダ!

とどのつまり…渡航費用のみでこのパラダイスに行けるのだ。


寒い時期であっただけに、この話は学生達を魅了した。


「六人……定員オーバーだ、おいおい…」
ぎっちり名前が書き込まれた希望調査表を前にして、横島が呻く。

「競争になりますよ…これは」
ピートも心なしか不安そうである。


所変わって霊的格闘講座。


「おい教授、何人か除霊所に流れたぞ」
無愛想そうな青年ー乾巧が不機嫌そうに言った。

「慌てなくても大丈夫ですよ」
その「教授」と呼ばれた赤い髪の女性は、にっこりと自信ありげに笑った。

ちなみに頭の両脇に角が生えてたりする。

そう…ここの教授は今の所竜神族の剣の達人ー小竜姫が臨時で勤めていた。

ただ常勤で勤めるのは不可能なので…現在学校が代わりを探している途中だとか。

風の噂によると…

念の力を昇華させて悪霊を払う「念法」と言われる、不思議な技を使う青年にスカウトの手を伸ばしているという。


「あ、くれぐれも1月5日にあった事は伏せておいてね」

「………え?その日に来ていた人は皆知ってると思いますけど」
人あたりの良さそうな青年ー啓太郎が答える。

どうでもいい事だが…

啓太郎よ?この講座でお前は何を学んでいるのだ?


「………1月5日にあった事?」
たまたま近くを通りかかった横島達が、その会話を耳にしていた。

「わぉん(せんせ、早く帰るでござる)」
シロが立ち止まった横島とピートを見上げる。

「何でしょう?」
ピートも首を捻った。


「シロ〜〜おいで〜〜」
六道冥子お嬢様がにこやかにシロを手招きする。

「わう?(何でござるか?)」

がばっ。

「はぁ〜〜いい毛皮〜〜〜」
突然シロに抱きつきすりすりする冥子。

……遊んであげてるつもりらしい。

素敵スキル「突拍子も無い行動」と「勘違い」が同時発動!

「わぅ……(何かコワイでござるよ…)」
シロは困っている!


「所で冥子さん、1月5日って何の日だったっスか?」
横島がここぞとばかりに聞いた。

「う〜〜ん〜覚えてない〜〜」


……駄目だこりゃ。


「確か〜〜正月休みが〜終わってからの〜講座の初顔合わせの日だったと〜〜思うわ〜〜」
冥子と似たよーな間延びした声が、さりげなく横島の疑問に答える……


ってまさかこの声は?


「…………理事長(大汗)」
「おほほほほほ〜お久しぶりね〜〜」

そう、そこには…あの六道理事長が脳天気に存在していた。

暇なのか?


「…とにかく、その日何かあったっスか?」
何かヤケクソ気味に横島が質問する。

「そういえば〜特別修行コースの日じゃ〜無かったかしら〜?」
理事長がのんびり答えた。


「それだ!」

横島の頭に”びんごっ!”という文字が浮かんだ。


霊的格闘講座の学生にとって、特別修行コースの授業程厄介な事は無い。

なにしろ何時に入るか解らないからだ。

大体小竜姫は妙神山にくくられている神である。

そこそこ頻繁に来て教えてはいるものの…

パワーアップも兼ねた本格的な霊的戦闘訓練となると、色々準備がいるのだ。(妙神山と空間を繋げる事もある)


その為何時行われるか不確定になってしまっている様で……


新年の初顔合わせで盛り上がる講座の生徒達。


「じゃ、今日はこの辺で解散という事で…」
啓太郎が場をシメようとした時……

「あ、そうそう…準備出来たから特別修行コースに入りますね」
しれっと笑顔でのたまう小竜姫。

「………………………」

そう、霊的格闘講座に所属する以上、逃れられぬ運命であるこれが入ったら最後…

デートも飲み会もアルバイトも敵前逃亡も、み〜んな吹っ飛んでしまうのだ。


「ぐっはぁ〜〜〜!」(ベルトと一緒にブッ飛ばされている)


「草加ァァッ!貴様弛んどるぞ!この場にいて良いのは戦士のみだ!!」


………たまに学生も吹っ飛んで行くが。

どうやら今回の特別講師はアノ「戦乙女」の名を持つ魔族の女性だった様だ…


「何だ?弱いぞ?本当にあの「仮面ライダー」の名を冠するモノかアイツは?」
呆れているワルキューレ。

もしかして、力量をかの黒ずくめ基準で考えて無いか?


あれは人類の例外なので引き合いに出さないよーに。


兎にも角にも…

さよなら草加雅人…キミの事は忘れない。


「待てぇぇぇ!…俺はまだ死んでない!真理を(以下聞き苦しいので検閲削除)するまでは!!」

あらさいですか。

…削除された辺りが気にならなくも無いが。


「無駄口を叩くな!二等兵ッ!!卑猥な言動も禁止だ!!!」


「げはぁっ!?」


その弟様もいらっしゃったよーで。

完全に目を回した草加の背中にばっさばっさと謎の怪鳥(鷹に似ている)が舞い降りて巣作りを始める。

「何だろうな、あれは?」
「さあ?」
何だか良く解っていない姉弟。

魔界の軍人にも正体は解らないらしい。


「正月そうそうそれですか……酷いですね…」
「草加某は何時もの事だけどな」
二人の会話に、周りの三年生達も反応する。

「え、なになにその話」

「待て、ピートその話は一応伏せておけよ」
慌てて横島が言うが時すでに遅し…

「え?何でですか?」
ピートがキョトンとした顔で返す。

辺りでは………

「そうか、正月そうそうの修行は辛いな…」
「土日だって入るかも知れないしな〜」
「大丈夫!俺クウガですから!」
「五代さんは黙ってて下さい!」

などなど…すでに情報はリークされた後であった。


という訳で、希望調査表の除霊所の欄には…

名前が溢れかえる事となってしまったのである。


「あ……除霊所の倍率が上がってしまいました……」
ピートが呆然として呟く。

一体誰のせいだと思っている?

「…………………………」
横島は無言で溜息を吐く。

「横島さん……」
心配そうに見つめる小鳩。


さてはてどうなるのであろうか?


「どうするんだよ!何回希望を取ってもちっともまとまってこないじゃないか…」
魔理が途方に暮れた顔で言った。

「除霊所希望者をどうやって減らすかだな」
渋い表情で葦原涼が呟く。

「演説とかどうですか?「自分はどうして除霊所に入りたいか」を語るんですよ」
生真面目そうな青年ー二階堂…じゃない氷川誠が、やはり糞真面目な表情で意見を述べると…

「で…その辺を歩いている、何の関わりもない人にでも決めて貰うんですか氷川さん?迷惑すぎですよ幾らなんでも…」
はぁ〜っと溜息を吐いて津上翔一が首を振る。

その顔には

「駄目だなぁ氷川さんは」
と書いてあるよーに彼には見えた。

「じ、じゃあ津上さんはどうなんですか?」
憤慨しつつ逆襲に転じる氷川。

「園芸大会を開いて、野菜を育てるのがうまい人から希望講座に入れる……てのはどうです?」
本気なのか冗談なのか解りかねる表情で翔一が言った。

「え…園芸って……そんな!僕は花一本育てた事ないんですよ!それじゃ津上さんの一人勝ちじゃないですか!?」
「あ、ばれました?」
脳天気に翔一が笑う。

「か…からかわないでくださいよ!」
氷川が叫ぶ。

もうてんやわんやである。


「不幸比べをして一番不幸な奴が勝ち…というのはどうだ?」
ぼそっと涼が言った。

が、誰も聞いてはいなかった。


しかしそれをやると横島がブッちぎりで優勝するぞ?


最も…君は二位確実であろうが。


「横島さんと小鳩さんは最初から希望していたんですから、行かせてあげましょうよ」
責任を感じたのかピートが力説した。

「ならピートさん魔女学に行くか?」
魔理の言葉にピートの顔色が変わる。

「そんな!あそこは魔法薬調合の材料と称して、ニンニクをどっさり持っているんですよ!!」
タマシイの絶叫を放つピート。

脆いな友情。

だが…


「俺は出てもいいよ」
横島はあっさりとのたもーた。

「横島さん!?」
全員が驚いて横島を見た。


「お〜っほほほほほほ〜!20人近くもウチの講座を希望したそうよ!どう?この人気!ま〜当然だけど」
高笑いが止まらない美神教授。

だがあんた、横島くん逃してどーするよ?

「ミス・美神・これ以上ウソを続けるの・マリア・良くない・と・思います」
非難する様な目つきで、マリア嬢が訴えてくる。

「ウソ?どこが嘘だって言うのよ、ちょ〜〜〜〜〜〜っと誇大広告を出しただけじゃないの!何処の企業とかでもやってる事じゃない!!」
恐ろしい事を言い出す美神教授…

普通それは「詐欺」とイイマスハイ。


「20人・希望者・居ても・実際に取れるのは・ぜいぜい4人・です」
「う”……」
「それも・誰が来るかは・学生に・決定権が・ありますが?」
「そういえば………」
ピキッと表情をひきつらせる美神教授。

このアマ本気で何も考えて無かったな。

「もしも・凄く不幸な人・や・野菜を育てるのが・上手い人・などが・選ばれたら・どう・します?」
「あう……それは嫌かも」
頭を抱える美神。

あんたホント〜〜〜に教授ですか…?

というかマリアに諭されてどうする?


「マリアの言う通りよ」
何処からか違う声がした。

しかも美神教授には、とっても聞き馴染みのある声。

「ま……ママ!?」
「は〜い令子、元気?」
入り口に立っていたのは…

そう、赤ん坊を抱いた美神ママンー美神美智恵だった!

「でもどうしてここへ?」
「ちょっと理事長に用があってね…それより、話は聞いたわ」
「ヤマさんじゃないんだから…」
焦り顔で言う美神教授だが、美智恵は聞いちゃいねぇ。

「大体あなた…以前にもあったんでしょ?講座に入って直ぐ、話が違うとよその講座に逃げられた事が…」
この場合は勿論揚羽の事を指す。

「う〜〜〜………」
油汗を流しながら呻く美神教授。

「少しは学習しなさい令子!そんなんじゃ目を付けた彼にも逃げられるわよ!!」
ここぞとばかりにたたみかける美智恵。

「そんなんじゃ…ないけど…でも……」
考え込む娘を暖かく見守る母だった。


「ちょっと!横島さん…貴方はどーしてそう淡泊なんですか?出て何処に行くんです?」
「そうですよ!横島さん!」
ピートと小鳩が合体攻撃を仕掛ける!

「他にも一応訓練出来そうな場所はありそうだしな…霊的格闘とか霊視とか降霊術とか」

しかし横島には効かなかった!

「………………」

「だからピートは残って園芸競争をさせて貰えよ」
「横島さん!そんなの今温室でしか育ちませんって………」
更に何か言いかけたピートだが、言葉を切って考え込む。


「解りました、僕も出ます…一人では行かせません」
思い詰めた顔でピートが言った。

「ピート、お前なぁ…物事を決める時はもっと冷静に…」
横島が説教モードに入ろうとした矢先、後ろで歓声が上がる。

「よし!じゃんけんだ!」
「いや〜〜〜くじ引きにして〜〜〜」
「どれも甘いな!貴様らデュエルで勝負だ!」
「えっと…葉書で抽選…てのはどう?」

「おいおい…」
横島がいい加減突っ込もうかと思った時。


「待って・下さい・みなさん」
そこにマリアが現れた。

「天国に一番近い島ツアー」に・ついて・補足説明・あります」

一転、静かになる学生達。

「まず・場所・ですが・メジャー・観光地じゃ・絶対に・ありません」

ざわめく一同。

「確かに・その島には・青い海・空・砂浜・あります・でも・それ以上に・ジャングル・多いです」

「ええええええええ!?」
流石にこれには全員(横島除く)驚きの声をあげる。

「その上・ニンニク・の・特産地です」
「え”」
ピートがピキーンと凍り付く。


美神教授の調査と言うのが、昼と言わず夜と言わず毎日毎日ジャングルの中で失われた魔法アイテムを発掘するという…

それはそれは超ミラクルハードなものである。

ちなみに魔法薬用特製ニンニクの収穫のバイトもあったりして。


住む所はテント(安物、学生のみ)

「どひ〜〜〜………」

食事は自力調達の自炊!(勿論学生のみ)

「マジ!?」

海は何時も波が荒く、海の魔物がいるらしいという事で泳ぐ事も出来ず…

島のあちこちには凶暴な巨大生物(怪獣)巨大吸血植物がうようよしている。

日本に帰ろうとしても、貸切便な為期間が終わるまで船は来ない。

一週間の生活から解放された者は、みな一様にある種の悟りが開けると言う。

つか生きて帰れるのか?それって?


ちなみに島の何処かに「赤き王」の名を持つボス怪獣が存在しているとかしないとか。


「俺止めた」
「私も〜」
「どこかすいてる所行きましょうか葦原さん」
「そうだな」
「除霊所以外なら何処でもいいです…って待ってくださいよ」

ぞろぞろと学生達が散っていく。

そんな殺人島に行きたがる変人は一人もいない様だ。

「文字通り、天国(地獄?)に一番近い島か…」
やれやれと肩を竦める横島。

「ぼ…僕も…」
ニンニク塗れの自分を想像しないようにしながら、ピートも立ち去ろうとした。

「おいピート…」
後を追おうとした横島だったが………


「よ・こ・し・ま〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


がっし!

背後から、子供がトラウマになりそーな声がしたかと思うと…

美神教授が横島をがっちりホールドしていた。

「み……美神教授ゥゥ!?」
背中にあたる二つの柔らかい膨らみは、感じなかった事に(必死で)しつつ首を後ろに向ける横島。

「アンタは最初から除霊所を希望してたのよね…ぜ〜ったい逃がさないわよ〜〜!!」
なんかもーいっぱいいっぱいという感じの美神教授である。

「に……逃げませんからなんつーか即座に離れて欲しいっス!!」
珍しく横島クンが慌てている。

つーかそれって…逆セクハラだぞ美神教授。

「い〜や……入るって言わないとやめないわよ!」
美神教授らしからぬ瀬戸際攻撃が、なおも横島を襲う!

押し付けられる大きな二つの膨らみと、女性特有の良い香りが横島をさらに混乱させる。

(…うぁぁあ!つか落ち着け俺!どうする俺!…そうだ!一時凌ぎだがあれなら…)

横島は深呼吸を一つすると、師匠に教えられた精神集中を行なう。

(はっ!)

シュン!

一瞬だが、横島の眉間に霊気が集まり…頭から膨らみも香りも消えて行く。

(ふ〜…成功かぁ)

心の中でほっと一息吐く横島。

煩悩や焦り、惑いを一時的にだが消し去る集中法…使い道は多い。

そして…

「元々そのつもりだったんス、逃げゃしませんって」
なんか悟ったよーな笑みを浮かべる横島に、美神教授ははっとなり…

それから、今度は彼女が慌てて横島から離れる。


「…………………(真っ赤)」
自分のした事を思い出して自爆中の美神教授。

なんだかなぁ。

(助かった…つか、やっぱ女の人への耐性が落ちてる…)
微妙に落ち込んでたりする横島。

「ずるい…美神教授…私だって負けてないのに…」
小鳩が自分の胸を見ながら、見当違いの発言をかます。

常地獄の島は特に怖くないらしい。

伊達に地獄貧乏はしていない様だ。

「ああ!離して下さいマリアさん!ニンニクは嫌〜〜〜〜!!」
「マリア・離せません・ミス・美神・の・命令です」

…………ピートよお前もか。

バンパイアミストはすっかり忘れさられている模様。

いかに彼が錯乱していたがが解る。


結局、除霊所には横島達3人が行く事になった。

他の学生達も贅沢を言っている場合じゃないのを悟り、空いている講座に収まって行ったのである。


その後、新人歓迎コンパにて…。

「ハッキリさせておきたいんですけど、常地獄の島ツアーは希望者が行くんですよね?」
全員が聞きたい事をピートが代弁した。

その後ろでは横島が思案顔で立っている。

(巨大生物…うーん、修行になるかも知れねーし戦ってみたいかも)

実はとんでもない事を考えてたりして。

バトルマニア化したか?

「ううん、今年はやらない事にしたわ…お金もったいないし、やるとしても別に強制はしないわよ」
なんとなくまだ赤面中の美神教授が言った。

「ほ……本当ですね!!」
半泣きで訴えるピートをさらりと無視しつつ……

(どうせならもっとロマンチックな所に…って何考えてるのよ私!!)
照れ隠しにシロに食べ物をあげる美神教授。


「だから横島さん、小鳩が食べさせてあげますって」
「だぁ〜〜いいってもう(あせあせ)」
何だか今回は女難の横島クン。

原作横島クンが見たらそれこそ血涙流しそうな場面である。


何はともあれ、こうして各講座の新歓コンパの夜は更けて行くのであった。


「本当〜に本当ですね?」

ピート、まだ言うかお前?


〜次回に続く〜


今回はふつーの改訂でした。


オチの島はびみょーに変わってますがw


それでは前回のレス返しです。


casa様>
彼は覗かなくとも解るのですよ、何故なら…彼が”平衡の守護者”だから(魚雷か?)
ベルゼブルの合体…そもそも何で合体させたのかももう記憶があやふやでございます(おい)
勢いだけでやってしまった可能性大…


片やマン様>
ワル繋がりで思い出したのが何故かそれだったんですよ(汗)

実は鉄火男…殆ど見たことありまへん(おいおい)


ATK51様>
今回ベスパの技は新たに「スティンガーシリーズ」となって新生致しました、これでオリジナルバリエーションが作れますw

スーパー1の話は今でも一番熱いと思うのは私だけですかね?

第一話は別格ですよ、念のため?w


ワルキューレは…出番を増やしてやるって言ったら…ここまで図々しくのし上がってきちゃいました…(涙)

ちなみに、原作より何気に強いですワルキューレ。


煌鬼様>
横島と違うのは、女性陣がストレートすぎることですな(汗)
魔族恐るべし。

つか、ヒュウガの周囲には女傑しか集まらない法則でも存在しているのだろうか?と疑問を抱える作者でしたw


柳野雫様>
デミアンの辺りは開き直って不幸の雪だるま状態にしてしまいました(汗)

チンピラどもは…すっかり忘れ去られてますが、多分「雑魚キャラは消滅する」の法則に従って消えたんデスよ絶対(おい)

済みません、作者もすっかり忘れてマシタ(涙)

真面目に考えるなら、取り敢えず警察と救急に連絡して放置…しか無いかとは思います、オカGも出張ってくるでしょうが…


なまけもの様>
そうなんです、デミアンは相手さえ悪くなければかなり強いですから…デミアンのくだりは書いてて楽しかったですw


それでは次回13話(予定)でお逢いしましょ〜でわでわ〜〜

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