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「妖物のお医者さん〜黒き戦士の章〜第2斬(GS&オリキャラ)」

闇色の騎士 (2005-04-17 09:10/2005-04-17 13:44)
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〜第2斬〜


月が輝く夜、蜂神涼女はバイクをブッとばしていた。

向かう先は…いつもの峠である。


だが…どうも様子がおかしい。


「何だ?」

いつもより沢山のバイクが峠道の前に停車しているのだ。

「……まさかこいつらは…」
涼女には心当たりがあった。

彼女自身はいまいち自覚していないが、誰が見ても涼女は掛け値無しの美女である。

それ故異性を魅きつけるのは当然と言えるが、その中でも一番タチの悪い奴がいた。

暴走族あがりの走り屋集団を率いる、ある男なのだが……


バイクを止めた彼女の前に、かなりガタイの良い男が近付いて来る。

「よお、涼女…逢いたかったぜ」

「……私はアンタなんかと逢いたく無かったよ」
ため息を付きながら涼女はヘルメットを取った。

月明かりに照らされた彼女は…幻想的な程の美しさをもって男どもを魅了する。

本人が自覚ゼロなのがとても痛いのだが。

ついでに言えば初恋もまだらしい。


「なあ、これから二人でツーリングと洒落込まねーか?」
男が下卑た笑みを浮かべながら言った。

「お断りだね、大体アンタ他の走り屋連中をどうした!」
怒りの表情を隠しもせず涼女が怒鳴る。

「勿論お引取り願った、俺たちの逢い引きには無用の存在だからなぁ……」

「フン…随分古臭い言い回しをするね…私はあんたのそういう自分勝手な所が大嫌いなんだよ!」
容赦無く男を弾劾する涼女。

「ふむ…今日も俺の愛を受け入れてはくれんか」
男が妙に落ち着いたふうに言う。

「フ…今日も明日も、未来永劫アンタなんか受け入れないさ!」
涼女はフフンと鼻で笑った。

「まあ明日なんてもうどうでもいいんだがな」

「……何言ってるんだい?」

それには答えず、男は手で合図をする。

ブォオン!ブォオン!

バイクの群れが一斉に動き、涼女をそれこそあっという間に囲んでしまった。

「………何の真似さ?」
涼女はジロリと男を睨む。

「これ以上言葉は不要かな〜っと思ってね」
男のニヤニヤ笑いはまだ続いている。

「やっぱそう来るか、単細胞だね」
侮蔑の表情を隠そうともしない涼女。

「幾らお前が強いって言っても、この人数には太刀打ち出来ねぇだろう、うん?」
勝ち誇った表情で男が言う。

「フフ…手加減なんてしないよ」
涼女はバイクを降りると、不敵に笑った。

手をぽきぽきと鳴らしているあたりがかな〜り恐い。

男がこんなに人数を集めたのには訳がある。

それは、蜂神涼女の出鱈目に高い戦闘能力対策だった。

実は彼女、バイクの腕もプロ級なのだが…喧嘩にも天才的強さを示す恐るべき女なのである。

素手戦闘をやらせたら、恐らくこのシリーズ(本編含む)最強かも知れない。

最も、剣士であるヒュウガや横島は除いてであるが。

ちなみに喧嘩殺法の使い手で元レディース(らしい)一文字魔理とは面識は無いが、逢えば話が合いそうだ。


他にも家事全般の達人と言う面も持つ、意外と多芸な女であった。


「く………!?」
男も気圧されてしまい思わず二、三歩後に下がる。

が。

「やれ!囲んでボコればすぐに大人しくなる!」
精一杯の虚勢を張って男が叫んだ。

「私は機嫌が悪いんだ!運が悪かったと後悔しなッ!!」
涼女がまず男を叩きのめそうと動きかけた時、突然誰かが男の後ろに現れた。


「………少し尋ねたいのだがな」


それは…おかっぱ頭の少年だった。

しかも…恐ろしく目つきが悪い。

「なんだぁこのガキは、何処から入ってきた!?」
男も目を白黒させている。

「この峠で度々黒いバイクの男が目撃されていると聞いたんだがな…知らんか?」
少年はニヤリと笑いながら言った。

「黒騎士の事かい?」
それに最初に反応したのは涼女である。

「ふむ…奴はそう呼ばれているか、あちらでも奴は「黒き死の戦士」という異名を取っていたからな…妥当と言える」
淡々と喋る少年。


「何なんだこのクソガキ!邪魔するなら……」
「邪魔するなら……なんだ?」
少年の冷酷な眼つきに凍り付く男。

そう…人の命などゴミ同然にしか見ていない。

まさにそんな「眼」だった。

”こいつはヤバい!”
男の生存本能がそう叫んでいる。


だが…男はつまらないメンツを最優先にした。

「ふ…ふざけんな!」
男は微妙に震えながらも、隠し持っていた鉄パイプでいきなり少年を殴りつけた!


ぐにゃ………

「何!?」
流石の涼女も驚きの声を上げる。

何と鉄パイプは少年の体にめりこんでしまったのだ!

「………ば…化け物…」
男がかろうじて呟く。

「こちらが紳士的に対応してやったらこれか…やはり人間は度しがたい生き物だよ、もういい…消えろ」
少年の手がするりと伸びた。


ズシャッ!!


「が…は……な…んだ…?」
男は何が起こったか理解出来なかった。

少年の放った手が、すんなりと自分の腹を貫いているという恐るべき「事実」が。

「あ………」
涼女が絶句する。

それに続いて、周囲からも無数の悲鳴があがった!

「ウギャァッ!」
「がはっ!」
「た……助け……うぁ〜〜!?」

何か小さい物体が飛び回り、周囲のチンピラどもにまとわりついている!

「何……何が起こってるんだい!?」
ばたばたと倒れていく男達に、涼女が鋭い視線を飛ばす。

「何を遊んでいる、デミアン…こちらは全部片付けたぞ」
辺りを飛び回り、男どもをあっという間に片付けた”物体”の一つが声を出した。

「ベルゼブルか…余計な真似をするな…!」
男の体を放り捨てながら少年ーデミアンが言った。

「けっ…先にやったのはお前だろうがよ」
物体ー「蝿の王」ベルゼブルが言葉を吐き捨てる。

どうやらあまり仲が良くない様だ。


(……こいつら…人間じゃない!?つーかまさか)

(魔族!?)

涼女は驚きながらも冷静に状況を判断していた。

彼女の妹がかなりの「術者」なので、その影響か…

涼女自身もそれなりのオカルト知識を持っていたのだ。

……彼女は未だに「ちから」が現れてはいないのだが。


「まあいい、私の正体も知れただろうし…この女も始末するか、悪く思うなよ」
デミアンは不気味な笑いを浮かべながら言った。

「く……冗談じゃない!こんな所で殺られてたまるか!」
動揺を隠しつつ叫ぶ涼女、だが逃げ場所は無い。

ベルゼブルの群れが辺りを囲んでいる上に、連中のバイクが散乱している為バイクでの逃走も不可能に近かった。


その時。


ヴォンッ!!


遠くからバイクの音がした。


「ち…また邪魔が入るとはな」
デミアンが舌打ちする。

ヴォン!ヴォンッ!!

暗闇を目映いライトが引き裂く!

「あれは…………!」
振り返った涼女が見た光景、それは大ジャンプで囲みを飛び越える黒いオフロードバイク…


KLE500改「ダークブレイカー」の姿だった!


ヴォンッ!(どん!)キキィッ!!


漆黒のオフロードバイクは涼女の後ろで止まった。

「………今度こそ当たりか?」
デミアンが嬉しそうに言った。

バイクからやはり黒ずくめの男が降り立つ。

(…こいつが噂の黒騎士!?)
涼女はちらりと後ろを見る。

丁度長身の男がヘルメットを脱いだ所だった。

「…魔族反デタント派、暗殺部隊のデミアンにベルゼブルか」
男が淡々と喋る。

「ほう…流石黒き死の戦士、私を知っているとはな」
デミアンがニヤリと笑う。

「フン…魔界に踏み込んだ時…貴様とベルゼブル…そしてメドーサの姿が無かった、とすれば答は一つだろう」
男の目だけがはっきりと見える、それは涼女が初めて見るタイプの目であった。

(こいつ…何て目をしているんだ…!?)
この男の目を見ていると…凍てつく様な感覚に震えすら感じる。

そう、幾つもの生と死を見続けて…

絶望の淵に叩き込まれ、そして己の命すらもとうに捨て去って…

今はただ死に場所を求めて、戦場を彷徨い続ける悲しき孤高の戦士。

そんな”目”だった。


(く…なんというプレッシャーだ…この男本当に人間なのか?ボスを倒した人間なんてナンセンスだと思っていたが…コイツが…騎士王ヒュウガか!!)
デミアンは涼女を飛び越えて伝わって来る男ーヒュウガの圧力に気押されていた。

「何をびびっていやがる!やっちまえばいいんだよ!」
痺れを切らしたベルゼブルの数体が勝手に動き出す!

「や…やめろ馬鹿!迂闊に近付いたら…」
デミアンの制止をも振り切って、ヒュウガに殺到するベルゼブル

…まあ数は半分程ではあるが、人間一人抹殺するなどたやすいだろう。

だが。

それはあくまで普通レベルのGSだったらの話だ。


「フ…」


斬ッッッッ!!


それは一瞬。


だがデミアンは不幸にして見てしまった。

突っかかって行ったベルゼブル共が次々と「ひらき」にされていく光景を………

ちなみに太刀筋は全く見えなかったらしい。

「ぐはぁぁぁぁぁぁ!?」
ボトボトと落下していくベルゼブルの残骸。

ヒュウガはただ無数の斬撃を繰り出しただけで、技など出していない。

「くそ…ベルゼブルの馬鹿め!相手が「魔神殺し」の一人だと言う事を忘れやがって…!魔界に戻ったら奴の本体を絞め殺してやる…!!」
顔をひきつらせながらデミアンが叫ぶ!

「な…何だ?何が起こっているんだい?」
全く展開についていけてない涼女。

「一瞬だと!?馬鹿な…」
残りのベルゼブル達も驚愕を露にする。

「…貴様ら反デタント派全員を抹殺するまでは…この命、くれてやる訳にはいかん」
ヒュウガは無表情で言った。

「あ…あんたは…」
涼女が何か言おうとしたが…

「下がっていろ」
ヒュウガはボソッと呟き、涼女とデミアンの間に割って入る。

「…消えるがいい」
漆黒の戦士が手にした長刀がデミアンの首をはねた!


ドシュッ!!


「!?」
涼女が思わず息を飲む!

宙を舞うデミアンの首…

だがそれは煙の様に消えてしまう。

「ククク…無駄だよ」
デミアンは落ちた筈の顔で笑った。

「……本体では無いな…その体」
ヒュウガが相変わらず無表情でデミアンを見る。

「何だ…驚かないのか…?」
「下らん…貴様の様なタイプの魔族と、俺が戦った事が無いと思うか?」
冷笑を浮かべるヒュウガ。

「………!」
デミアンはぴきーんと顔をひきつらせた。

目の前の敵は強大…しかも自分の切り札をいきなり見破っている。

あまりにも相手を嘗め過ぎた事を、初めてデミアンは後悔した。

「逃げられると思うな、貴様の本体の在り処もすでに解っている」
「く……!」
デミアンは動けなかった、動けば即座に本体を真ッ二つにされる…

彼の本能がそう告げていた。

「納得いかん…私はどんな魔族にも神にもこんな目に遭わされた事は無いぞ……!!」
「…井の中の蛙大海を知らず…貴様に相応しい諺だな」

直も睨みあう二人。

といっても圧倒的にデミアンが不利なだけなのだが。

しかし、その空気を読まない愚か者が存在した。

「悪いが利用させて貰うぜ」
突然涼女の耳元で声が聞こえたかと思うと、その体は一瞬にして宙に浮いていた!

「な……!?」

「……」
無言でヒュウガはそちらに視線を飛ばす。

月明かりの中で、涼女が宙に止まっていた。

良く見ると、ベルゼブルの残りが彼女の体のあちこちに張り付いている。

「離せ!この変態!!
涼女が叫ぶが体はビクとも動かない。

「誰が変態だ!」
子供の様に言い返すベルゼブル。

「何の真似だ?」
ヒュウガの目つきが険しくなった。

「……おっと抵抗するなよ、少しでも動いてみろ…この女の腹をブチ抜くぜ!」
涼女のお腹の辺りにいる奴が嫌らしい笑いを浮かべる。

「ばばばばば馬鹿!?」
慌てたのはデミアンだった。

(ここで人質など取ってどうする!?ますますコイツを刺激した挙げ句私の死は確実ではないか!)
嫌な汗をだらだらと流すデミアン。

女が死ぬのはどーでもいいが、ブチ切れたヒュウガの剣によって全員容赦無く惨死。

つまりどう足掻いても、きっぱりさっぱりゲームオーバー。

リアルな未来図がデミアンの脳裏をよぎっていく。

(くう…奴の本体を絞め殺す前に私が殺られては話にならん!考えろデミアン!考えるんだ!!)

必死に脳細胞を振り絞って考えるデミアン。

名案は浮かぶのだろうか?


”ドクン”


(何…今の…!?)
涼女の中で何かが胎動した。

満月の光を浴び…恐ろしい程近くに魔族の力を感じ…

彼女に少しずつ謎の変化が起こりつつある!

”ドクン”

『目覚めよ』

(だ…誰だ…!?何処かで聞いた事がある声…遥か昔に…)

”ドクン”

『目覚めよ!』


「あ…ああ……あ…熱い…体が…熱い…」


シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……

突然!

涼女の体から何かが立ち上り始める。

それは………魔力!

「何ッ!?」
デミアンがその気配に上を振り仰いだ!

「コイツ…なんだ?人間じゃねぇのか?」
ベルゼブルも驚きで硬直している。

「……あの女…まさか…いや…」
ヒュウガは、魔力をユラユラと放っている涼女を見上げて呟く。

「く…うううううぅぁぁぁぁぁぁ!?」
先に動いたのはベルゼブルだった!

あまりにも可笑しな状況に、耐え切れなくなったらしい。


ドシュッ!!


「か……はっ…」

「馬鹿止めろベルゼブル!!!」

デミアンの切迫した叫びと涼女の呻きが同時にあがった。

そう、ベルゼブルの一撃は涼女の腹部を貫通していたのだ。

弾ける様に吹き出す鮮血!


「貴様………!」

ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォ!!!

ヒュウガの体から恐ろしい程の”理力”が放たれる!

黄金のそれは、かってアシュタロスすら恐怖したモノであった。

「………終わった…何もかも…」
真っ白に燃え尽きるデミアン。

ちなみに名案は浮かばなかったらしい。

その日、彼はついていなかった。

無数のベルゼブルに飯を横取りされるいやーんな夢のせいで、目覚めは最悪。

「ベルゼブル…絞め殺してから行くべきか…」

ここできっちりベルゼブルを絞め殺して行けば、まだ救いがあったかも知れない。

出掛けに近所の魔神殿(無論アシュタロスを祭っている)で引いた御魔籤(おまくじと読む様だ)が「超大凶」

「ぬぉ!?ちぃっ…引くんじゃなかった…」
とぼとぼと魔神殿を後にして…(地上の様に木に結んで厄を払うという習慣は無い様だ)

入口を開き、地上に出てきたは良いが…落下点が道頓堀並みに汚いドブ川だった。


「え?」

ひゅぅぅぅぅ…どっぼーん!

「かはっ!?ごぼごぼっ!?ななな何だこの臭い川は!?つか私の本体がドブ川に沈むぅぅ!?」

ぶくぶく…

ド汚い川で潜水し、本体を探す羽目になるデミアン。

怒り心頭に達しつつ、地上で調達したスニーカーの紐はいきなりぶちぶちぶちっと全部切れる。

「うぬぅぅぅぅ…」

果てしなく不吉でついていなかった。

(…こんな任務、受けるのではなかった…明日にすればよかった…つかヌルめ!図ったな)
自分の運命を呪うデミアンだが、大体任務が「黒き死の戦士」の抹殺なのだから全く意味が無い。

きっぱりヌル(反デタント派参謀)に騙された(?)様だ。

それともヌル自身もヒュウガを嘗めていたのか?

今の所それは不明である。


「ひ…ひゃははははぁ…殺った…殺ったぞぉ…殺せ!さあ俺を殺せコロシテみろぉぉ黒き死の戦士ィィィィ!!」
完全に錯乱状態のベルゼブル。

「ごほっ…かはっ…」
ベルゼブルの手から解き放たれ…墜ちて行く涼女。

(私は…死ぬのか?)

ごぶっ…

喉の奥から血が次から次へと溢れてくる。

(……嫌だ!こんな所で死ぬなんて…揚羽との約束だって果たして無いし!蛍にもまだ逢って無い!それに…黒騎士…あいつともまだ話すらしてないんだ…)

”ドクン!!”


『目覚めよ!』


(死ねない!)


”ドクン!ドクン!”


『目覚めよベスパ!我が娘よ!』


(ベ…ス…パ…?)

「……私は…私は……!」


「!?」
その場の全員が我が目を疑った!

地面に墜ちる寸前!涼女の体が目映い光に包まれたからだ!

「………この光…何が起こっている!?」
ヒュウガにも、光の正体は皆目見当が付かなかった。

”アギト”と呼ばれる者達が変身の時放つ光にも似ているが…

何かが決定的に違う。

そう、彼は感じていた。


(何だい…これは…)

輝きの中で涼女は様々な光景を見た。

騎士王家襲撃……生き残った、否…生き残らされた子供。

その忌むべき力…

地獄の様な現実を見…そして近しい者が非業の死を遂げる度に強化されていく「呪われた」彼の特殊能力……

更に、この世界を守護する為に存在している”平衡の守護者”

保持する力の最高ポテンシャルは神魔の最高指導者をも凌ぐという、その恐るべき能力。

そして…騎士王の秘められた力を利用して「自らの消滅」を企んだ

「魔神アシュタロス」

全てを無惨に踏みにじる事でその望みを達成した非情の魔神。

自分はその”娘”の一人として創造された存在…

残る二人の”娘”…「蛍」「揚羽」もまた…同じ。

すなわち「魔族」

(……馬鹿な…私達が…!?)

しかし”平衡の守護者”の手によって…人として転生せし者。

(人?魔族?私は………誰だ!?)

ドクン……!

(いや……私は…私だ!)

ドクン!ドクン!

(アイツの足手まといにならない力を…私に!)

ドクン!!!


「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


ガカァァッ!!


「うぁっ……」
真昼の様な目映い輝きに呻くデミアン。

「………何かが生まれた…」

敵か?味方か?

ヒュウガは油断無く”理力”を練り上げて行く、その必要があれば迷わず究極奥義を放つつもりでいる。

「魔神」すら滅ぼすあの技を。

「うわぁぁぁぁ…なんなんだよぉぉぉぉ!?」
相変わらず錯乱状態のベルゼブル。


バン!!!


光が一瞬で消え去り、月を背に…空中にたたずむ女性の優美なシルエット!

長い髪が風になびいていた。

「!?」

その姿が露になる!

ブロンドの長髪は変わらないが…

頭頂部に生えた二本の触覚…まるで蜂を思わせる様な感じのモノである。

美しい顔もそんなに変化は無いが、目の下にくまどりの様な模様が浮き出ていた。

すらりとした…美麗にして色香漂う肢体を覆う、黒い外骨格の如きスーツは相当な防御能力を備えていると思われる。

「そんな……こんな現象見た事ないぞ!?」
流石のデミアンも呆然として叫ぶ。

「魔族か……」
長刀…その名を忌み名として隠された、今は無銘の愛刀を構えるヒュウガ。

そのスペックは定かではない。

神聖剣に匹敵する能力はあるものと思われるが…

秀麗な顔にはすでに無表情が戻って来ている。

「な………なんだお前はぁぁぁぁッ!!」
ベルゼブルが喚いた。


「私か……私の名は……」


「………」
無言で見上げるヒュウガ。


「ベスパ!!」


「……ベスパ…だと?」
呻くデミアン。


「そう…悪を砕く必殺の魔女王!!ベスパさ!!!」


月明かりの中に立つ美女は確かに、高らかな声でそう名乗った。

「………フッ」
ヒュウガは微笑すると、刀をデミアンに向ける。

「く……この魔力!上級魔族である私より上だと!?」
驚きっぱなしのデミアン。

「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!」
ベルゼブルの一体が涼女ーベスパに向かって攻撃を仕掛けた!

「お腹をブチ抜いてくれたお礼…受け取りな!!」

ブンッ!!

ベスパの拳が無造作に、だが恐ろしく鋭く振るわれる!

グシャッ!!!

「ぎゃふぅっ!?」

殆ど原型を留めぬくらいぐしゃぐしゃに潰れたベルゼブルが、ひょろひょろと墜落していく。

「……ほう」
ヒュウガが感心したふうな声を漏らす。


「その程度じゃ私には勝てないよ!奥の手でも出しな!」
ふふんっと笑うベスパ。

「……貴様ぁ!!」
ベルゼブルは吠えると、一ヶ所に集合し始めた!

「吠え面かくなよ!ちょ〜〜〜魔族合体ッ!!

しゅごごごごごごご…

ベルゼブルがみるみるうちに一つの巨大蝿にと変化していく!

がきゅぃん!がきゅぃん!がきゅぃん!!

何故か金属が組み合わさる様な音を立てている。

何処かからテーマソングまで聞こえそうなノリで…


「完成!キィィィング!ベルゼブルゥゥゥゥッ!!」

10m程の大きさになったベルゼブル。


略してキンベル。


…は悠然と夜空に浮かんでいる。

きっぱりただ大きくなっただけであった。

「……ベタなネーミングだねぇ」
ちょっと呆れているベスパ。

「ベスパとやら…そいつは任せた」
ヒュウガは刀をデミアンに向けながら言う。

「あいよ!」
ベスパがサムズアップで答える。

「まあ…相手にもならんだろうがな」
ニヤリと笑うヒュウガ。

たまらないのはデミアンであった。

(ああああああああ…事態は際限無く悪化していくぅぅぅぅ…もう駄目だ!こんな事ならウチの霊蔵庫に残してきたとっておきの魔界名物サッちゃん饅頭…喰っておくんだった…)

もうナニが何だか。

「キングベルゼブルゥゥ!ビィィィィィムッ!!」

しゅびぃぃぃーむ!

キンベルの目から黒い光線が放たれる!

「遅い!」
ひらりとかわすベスパ。

「ええい…ちょこまかと…」
ビームを乱射するキンベルだがちこっとも当たりはしない。

攻撃方法までベタである。

「いい加減にしな!スティンガーミサイルッ!!
ベスパの髪から無数の針が…まさにミサイルの様に飛び出し、キンベルを襲う!

シャシャシャシャシャ!!!

「ぐ……ああああっ!?」
さくさく直撃を受けてもがき苦しむキンベル。

「続いてこれもあげるよ!スティンガービット!!!
ベスパはバッと両腕を広げた。

瞬間!

彼女の背中の方から耳障りな羽音を立てて、無数の輝く蜂が射出される!

「いけ!アイツに蜂の一刺しをプレゼントしてあげな!!」
ベスパの魔力で作られたそれは、あっと言う間にベルゼブルを包囲した。

「うげげ!?囲まれた!?」

ぶぅぅぅぅん!!

一斉にベルゼブルにたかる蜂ども!

「ぐぁぁぁぁ!?マジで痛い痛い痛いぃぃぃぃ!!!!」
泣きそうな声で絶叫するどでかいハエ。

分離した方が良いのではと思わなくも無い。

まあ…恐らく分離した所で勝てはしないだろうが…

その知恵すらも最早湧かない様だ。


「そろそろ終わりにしようか?ハァッ!!」
ベスパの肢体が満月をバックに、文字通り月面宙返り(ムーンサルト)する!

「貴様………やめろ……やめてくれぇ〜〜!!」
キンベルは滅ぼされる恐怖に絶叫した!


「喰らえ!魔貫滅ッ殺!!スティンガァァクラァァッシュ!!!!」


その叫びと共に、キックの体勢で一直線にキンベル目掛けて突き進むベスパ!


グシャァァァァァァッ!!!


「ぐぎぇぇぇぇぇ〜〜〜〜馬鹿なぁぁぁぁぁぁ!?」
キンベルはベスパに貫通され、断末魔の悲鳴を走らせる!

「ジ・エンド…さ」
ベスパは髪をかきあげて微笑む。


バシュウウウウウン!!


キンベルは粉々になって消滅した!


「デミアンとやら……言え!メドーサは何を企んでいる!」
刀を突き付けながらヒュウガが詰問する。

「く……今頃奴は特殊な魂を集める為に動いている…いい事を教えてやろうか?」
デミアンはひきつった笑いを浮かべた。

「………?」

「あの邪神復活…仕掛けたのはメドーサさ、貴様らへの嫌がらせだと言ってたがな」

「!?」
ヒュウガの表情が一変する。

「嫌がらせだと……?そんな事の為に…あの悲劇が起きたと言うのかッ!!」
怒りの表情を露にして叫ぶヒュウガ。

彼がこの場で初めて見せた感情の爆発だった。

「……悲劇?」
ベスパには話の内容が良く解らない。

だが…もしもその「悲劇」で犠牲になったのが自分の姉だと知ったら…

デミアンは瞬時に八つ裂きにされていただろう。


「ふふ…魂を集めてボスを蘇らせるんだとさ…私は信じてないがな…そんな与太話、私を含む反デタント派の宿願は…」
デミアンがヒュウガに指を突き付ける。

「黒き死の戦士!貴様と”平衡の守護者”!奴を抹殺する事!それだけだ!」


「……奇遇だな…俺の宿願は貴様ら反デタント派を根絶やしにする事、根源は同じにして正反対だ」
ヒュウガがまた無表情に戻っていた。

「く…!」
それが何故だかデミアンには何倍にも恐ろしく感じる。

「ベスパとか言ったな…貴様も魔族なら…神魔の優越をひっくり返して魔族が統べる世界にしたいとは思わんのか!」
恐怖を振り切る様に、今度はベスパに叫ぶデミアン。

「そうだね……だが私は魔族である前に人間「蜂神涼女」として生まれた、馬鹿親父が犯した”罪”を償う為にこの力を得た…」
ベスパは淡々と語る。

「お前………」
ヒュウガが少し驚いた顔で呟く。

「この拳……この命は…その為のものさ!!」
言い放つベスパ!

その顔に迷いは微塵も無い。

「貴様ァァァァァッ!!そう言う奴から死ぬんだよ!!」
激高したデミアンが触手を伸ばそうとする!

だが……

「忘れたか?貴様の相手は俺だ」
ヒュウガが長刀を振り上げた!

「し…しまっ……」


「天空覇王!閃空断ッ!!!」


ザンッッッッ!!!


「か……は………」

ヒュウガの一撃は、デミアンを本体ごと両断していた!


「や……やはりこーなる運命か……悔やみ切れない程無念…」


バシュバシュゥゥゥゥン!


デミアンの体が消滅する!


「……片付いたのかい?」
ゆっくりと降りてくるベスパ。

「まあな」
刀を次元の保管場所に送還しながらヒュウガが言う。

しゅぉぉん!

ベスパの姿が涼女に戻った。

「……原理は”アギト”に近いのかもな」

その時。

シュッ!

小さな音を立てて誰かが転移して来る。

「む?」

「また敵かい?」
二人は身構えた。

「ヒュウガ!無事か!」
それは…

「……ワルキューレか?」
魔族軍大尉、”戦乙女”ワルキューレだった。

「すまん、遅くなった!奴らの情報は掴んでたんだが…って……もう終わったのか?」
ポカーンとするワルキューレ。


(しまった…ポイントを稼ぎ損ねたか!?)


遅すぎ。


「……そうか…大体の事情は解った」
話を聞いた彼女は、涼女の扱いについて魔界に連絡を取った。

「こちらワルキューレだ、実は………(何だか悔やみ切れない程無念な気分だ…)」

お話モードに入った落ち込みワルキューレをさておき、向かい合う二人。


「お前……」

「蜂神涼女だ、涼女でいいよ」
涼女は笑って言った。

「…見たのか?”記憶”を」
ヒュウガが真剣な表情で聞く。

(麟…何でこんなにプロテクトを甘くした?)
心の中で、親友の意図を掴みかねている模様である。

「まあね」
あっさり答える涼女。

「お前が背負うべき罪など何処にもありはしない、だからそんな事の為に危険を犯して戦う必要は無い」
ヒュウガは悲しみの色濃い瞳を向けた。


「私は自分の意思で決めたんだ、幸せを踏みにじる奴らと戦うってね」
一歩も退く気配の無い涼女。

「………いつかは死ぬ…」
ヒュウガは散っていった人々の事を思い出していた。

(俺の両親、それにミュウ…みな強力な力を持つ者達だ、だが…)

戦いは犠牲無しに終わる事はない。

ヒュウガにとって、減らすべきもの。

それが「犠牲」そのものである以上…

涼女だって…いやワルキューレにしてもその範囲を出る事は無いのだ。

死者の戦列に彼女達や、関わりのない人々が加わらない様…


彼は名を捨て。

安らぎを捨て。

人としての幸せを捨て。

還る場所を捨て。

我が命さえも捨てて戦って来た。


これからも戦い続けるだろう。


それを無意味な事にしたくは無いから……


「ヒュウガ」
ワルキューレが戻ってきた。

「どうだ?」

「それが……最高指導者が言うには…ベスパ…蜂神涼女は危険な程の力を持っていると、それこそ魔神クラスに近い…な」
「それほどのものなのか…」
ワルキューレの言葉に頷くヒュウガ。

「その代わり、しもべを操る力は弱体化したらしいがな…」
「しもべ?」
「ああ、転生前のお前には…どうやら妖蜂と呼ばれる眷族を使役する力があったらしいのだ」
「ふーん、でも似たような事が出来るからいいさ」
涼女は大して気にしていない様だ。


「ほう…危険な程の力…それで?抹殺するとでも言うのか?」
ヒュウガの目つきが険しくなる。

「いや…決定事項を伝えるが…「ベスパ」は保護観察処分として、守護者の一人「騎士王ヒュウガ」預かりとする!

「何だと?」
黒き死の戦士が意味を理解しかねて聞き返す。

「…つまり、監視と制御を行なうために…常に一緒に行動せよという事だ」
「……何!?」
意味を悟ったヒュウガが似合わぬ素っ頓狂な声を上げる。

「後日私も参上する、それまでさらばだ!」

シュン!

速攻でワルキューレの姿が消えた。

後日参上とはどういう意味であろうか?

兎にも角にも。

「…………………(ぼーぜん)」
後には途方に暮れるヒュウガと……

「預かり…?」
さっぱり意味が解ってない涼女が残される。


数分経過。


「………どういう意味なんだい?」
涼女が聞く。

「つまり…魔族の力を持つお前に対して、魔族デタント派が出した結論だ…まあ簡単に言えば俺にお前を管理しろって事だ…全く勝手な事を…!」
ヒュウガがワルキューレの消えた後を苦々しげに睨みつける。

「ふーん、ま…私は構わないけど」

「そう…奴らはお前の意志なんてこれっぽっちも汲んでいない!大体見ず知らずの男が年頃の女を管理するなどど…当然嫌がるに決まってるだろう!ふざけるのも大概に…」

「だから…私は構わないよ?」

「しろと俺は……って………」
黒き死の戦士の言葉が凍った。


目の前にはニコニコ笑っている美女。


更に数分経過。


「な…何だと!?」


ここまで感情を露にしたのは本当〜〜〜〜〜に久しぶりなのだが、本人は全く気付いていない。


涼女は黙ってヒュウガを見上げていた。

「…………な、何故?」
ようやく言葉を絞り出すヒュウガ。

「アンタに興味があるからさ、峠破りの「黒騎士」さん」
そう言って涼女はふふっと笑った。

「………!?」
どうやら騎士王ヒュウガにとって(ある意味)人生最大のピンチが到来した様である。

それが強力な敵ではなく、味方(?)からもたらされる事になろうとは…

神ならぬ彼に分かる筈も無い。

いや、その神(というか元神)を滅ぼした様な気もしないでもないが。

彼が途方に暮れるのも無理は無かった。

いままで孤高の戦いを続けていた意味が、根底からえいやっとひっくり返された様なモンであるからして。

「………(アイツら…何を企んでる…!)」
ヒュウガには、密談をしながらクスクス小悪魔のよーに笑っている神魔の最高指導者達が目に見える様であった。

「という訳で〜宜しく、ヒュウガ…でいいのかい?」
にこにこと笑いながら涼女が手を差し出して来る。

「く………仕方無いか…(深〜い溜息)」
ヒュウガはためらいながらも、ぎこちなく涼女と握手した。

「…じゃ、これから私がアンタのパートナーって事だね」
「……………そうなるな」
嬉しそうな涼女と、状況に納得しきれていないヒュウガ。

明暗がはっきり分かれているのがまたアレだが。

「一つ…約束しろ」
「ん?」


「死ぬな………それだけだ」
ヒュウガは真剣な表情で言った。

「ふふん…安心しな、私はしぶといよ」
ニヤリと笑う涼女。

「俺は今まで一人で戦ってきた…誰も巻き込まない為に、もしかして死に場所を探していたのかも知れない」
ヒュウガは淡々と語る。

「………ヒュウガ…」
涼女が優しいまなざしでヒュウガの言葉を受け止めた。

「お前が傷付いたりしたら、それが全て無意味になる…だから……絶対に無茶はするな」
「アンタもね、アンタが傷付いたら私が…泣くぞ」
今度は涼女が真剣な顔で言う。

「フ……それは困るな」
ヒュウガの口元に笑みが浮かぶ。

そんな二人を夜空の月だけが見下ろしていた。


魔界、ワルキューレの部屋。


「…これはチャンスだぞ…」
ぼーっと机に肘を乗せて考えている戦乙女。

彼女がヒュウガに逢ったのは、”平衡の守護者”によるモノだった。

人間とは思えぬ霊力を持った戦士、だがその目は魔族に対する憎悪で満ちている。


「…こいつは…!?」

彼女は何故か彼にいたく興味をそそられた。

今考えれば「一目惚れ」という奴だったのかも知れない。

憎悪のオーラを撒き散らしている奴に対してそういう感情を持ってしまうのは、魔族の血故か…?

しかもそれだけではない、彼の存在がアシュタロス討伐の成否をも左右するのだ。

あの時行方不明だった騎士王の子供。

是が非でも協力して貰わねばならなかった。

デタント派に許された戦力は、アシュ軍に比べればあまりにも貧弱だった事もあるが…

だが、このままでは近付く事すらおぼつかない。

彼女の軍人気質の性格では、彼の頑なな心を開く事も難しいだろう。

そこで、ワルキューレは自分の部下の中でも一番腕が立ち…なおかつ人間臭い者。

「ミュウ アルカディア」に白羽の矢を立てたのだ。


彼女の末路に関しては、ワルキューレも激しく心を痛めていた。

結果的にせよ、またヒュウガに消えない心の傷を付けてしまったという罪悪感。

大切な部下を失った喪失感。

暫くは仕事にならないくらい彼女は落ち込んでいた。

何日もそんな日々が続いたが…

ある朝…彼女はある決心を胸に立ち上がる。


罪滅ぼしも含めて、全力でヒュウガをサポートしようと。


そうと決めれば彼女の行動は素早かった。

速攻で地上常勤許可(普通はまず許可されない)を取り付け、いざ行こうとした時…


ベスパが覚醒したのであった。


「おかしなライバルが出現したが、戦乙女の名に賭けて…負けん!」
ワルキューレはある手続きを済ますために部屋を飛び出して行く。


数日後。


「ここだ」
ワルキューレ人間バージョン、人間名「春桐魔奈美」が二人を案内してきた場所。


「……」
「ふーん、いいとこじゃないか?」
無言のヒュウガと、周りを品定めしながら呟く涼女。

そう、ここは売り出し中のマンションの一部屋である。

3LDKの広々とした間取りで、家族用と思われた。


「……で?」
ぎぎぃっとヒュウガが魔奈美を振り返る。

「で?とは?」
「…この部屋は解った、で…どうしろと?」
無表情で聞くヒュウガ、心なしかその秀麗な顔に血の気が無い。

「部屋は住むものだぞ?」
魔奈美が真面目に応える。

「誰が?」
更に聞き返すヒュウガ、その背中に冷たい汗が伝い始めていた。

魔神との戦闘前に感じた予感よりさらに悪い予感を感じていたからだが。

「決まっているだろう?私と、お前と、(ついでに)蜂神涼女だ


「……は?

ヒュウガの間抜けな声が静かな部屋に響いた。


「ふーん、ということは…アンタ、ワルダスターとか言ったかい?」
悪党星団か私は!私の名はワ・ル・キュー・レ!!だ!!!」
涼女のボケに全力で突っ込む魔奈美。

「ああそうだったね、よろしく…春桐魔奈美」
涼女はしれっと人間名フルネームを言う。

「…わざとボケたな?」
「まあね♪」

バチバチッ!

二人の女傑の間で火花が散った様に見えたが?


「………」
立ったまま茫然自失している「黒き死の戦士」がそれに気付く由も無かった。


兎にも角にも、二人の美女といきなり同棲(?)する羽目になってしまった騎士王ヒュウガ。


ある意味孤高の時より更に不幸になったのかも知れない。

どうでもいいが、よくよく魔族に縁がある男である。

「という訳でこっちが私とヒュウガの巣だ、お前はこっちの部屋で寝ろ」
「ほぉ?そんな戯言をほざくのかいアンタ?」

ばちばちばちっ!

更に飛び散る火花。

「………何でこうなるのだ?」

全然というかまるっきり、女性に耐性の無い哀れな男の(言われ無き)試練が今始まろうとしていた。


「表へ出ろ!勝負だ!」
「面白い!叩きのめしてやるよ!!」
どかどかと出て行く女性陣。

それを茫然と見送るヒュウガ。

(…助けてくれ、麟)

どんな辛い時でも、弱音一つ吐いた事の無い彼だったのだが。

流石にこの状況は…


一発で駄目だったらしい。


南無阿弥陀仏。


ちなみに、二人の対決は通りがかりの”平衡の守護者”に止められたと言う。


「一応助けたぞ、友よ」

律儀な男である。


〜次回に続く〜


…うぁぁぁあ…ワルキューレが暴走したぁぁぁ(大泣)


幾ら前回出番が少ないからってここまで乙女的暴走せんでも…(涙)


うぅぅ…この先どーなるんでしょう?

え?お前が聞くな?


…ごもっともでございまするですはい(某植物口調)


本来は横島修行編が先に来てたのですが、話の流れ上こっちの方が先に来た方が普通かと考えましてこうなりました。


それでは前回のレス返しです。


片やマン様>
マケタカ…一発限りのキャラのはずだったんですけどね…(遠い目)
鬼ライダー…確かに凄く使い難いです、それとGSのクロスで一本書けるよーな気がするので(汗)
そう、実は全く狙ってなかったのですが…そういう因縁の日だったんですねぇ…(笑)


WEED様>
お久しぶりですw以前はそれのネタでしたけど、息吹鬼が丁度いいモノを使用していますので…ネタを一新してみました。


ぬーくりあ様>
慌てて修正させて頂きました、今までその突っ込みが入らなかったのが不思議なくらい恥ずかしい間違いをナチュラルにかましてました〜済みませぇぇぇん(平身低頭)


casa様>
ワンピの奴は…コミックス持ってるのに思い出せませんでした(汗)

横島夫妻、原作でもっと出番があっても良さげなモノですけどねぇ。
残念。


柳野雫様>
実はピートの秘密ネタ、R以前でも没ネタとして残ってたんですが…あまりにもヘタレが多いせいで差別化を図るためにも今回採用されました。

横島夫妻は思ったよりも良い感じに書けて満足です(笑)


桜葉 愛様>
あう…良く見たら確かに誤解を生じさせる様な書き方になってますね(泣)
という訳で速攻修正しました、申し訳ありませぇぇん(ぺこぺこ)


ATK51様>
確かに鍛えてますね…横島クン(笑)

そうなんです、あのトランペット…あまり耳に残らないんですよね…

R以前の大樹は一体何しに出てきたのかサッパリでしたので、今回はそこをきっちり掘り下げてみました。

ちなみに今そのバトルを改訂中ですが、もしかしたらライダーが一人出番削られるかも…(大汗)


それでは次回本編12話でお逢いしましょ〜でわでわ〜〜

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