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▽レス始

「タイガーの挑戦  〜GS試験後〜(GS)」

MAGIふぁ (2005-04-16 23:20)
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 キィコ…キィコ…

 GS試験に失格した後、タイガーは事務所にまっすぐ帰ることも出来ず、ふと目に入った小さな公園に立ち寄り、ブランコに座ってたそがれていた。
 大男が窮屈そうにブランコにすわり、小さく前後に揺らしながらうつむいているその光景は、誰が見ても寂しそうだった。
 そんな近寄りがたい彼に、声をかける人物がいた。

「なにやってんだ?タイガー」
「魔理さん…」

 一文字魔理。名前からして、親もヤンキーだったんだろうなぁ…と何となく連想させる女性で、現在六道女学園霊能科に通う女子高生である。

「ワッシは…今度こそ、今度こそ…強くなれたと思ったんですがノー…」

 どこか遠くを見ながらそう呟くタイガー。その視線の先にあるのは、友人か上司か。
 彼にしてみれば、考えうる全ての手段を取り、作戦も立て、本当に命をかけた修行をして………そして、それでも勝てなかったのだ。ヘコみもするだろう。
 自分には、ムリなのでは?GSに向いていないのでは?
 そんな事すらも考えていた。
 だが、そんなうじうじしている彼を魔理は許せないと感じた。

「試合、見てたよ。タイガー、あんたは強くなってたよ!」
「ジャが負けてしもーて…」
「ああ、負けたさ!でもそれは仕方が無いだろう!?時の運ってやつじゃないのかい?負けたんなら、次にもっと強くなってチャレンジすればいいじゃないか!!」

 叱咤する魔理。しかし、今の傷付いたタイガーにその言葉はすぐには受け入れられない。
 出番、じゃなかった光溢れる場所に届かなかったタイガーに、そのあまりに前向きな言葉はまぶしすぎる。

「修行なら、もうこれ以上はない。というものをやりましたジャー…その結果が固有○界。ジャがそれすら、幻覚をその場に作り出す事で誰にでも強制的に見せる、というだけのシロモノ…霊力を消費する割には使えんですケェ」
「う…、で、でもさ!MD!そう、MDはいいアイディアだったじゃないか!壊されないように気を付ければイケるって!」

 一瞬タイガーのもつ宿命に引きそうになったが、持ちこたえて説得を続行する魔理。流石にいい根性である。

「ジャが、それも今回のよーに全方位に攻撃できるヤツと当たったらそれまでですケン。そしてわっしは………………そんなヤツと絶対に当たる自信がありますジャ……
「タ、タイガー…」

 情けなさになのか、同情なのか、溢れてきた涙をぬぐって、それでも魔理はタイガーを叱咤し続けた。
 彼に、このまま引き下がって欲しくなかった。このまま、いじけたままでいて欲しくは無かった。
 自分が見込んだ男に、そんなヤツになって欲しくはなかったのだ。
 しかしそれでもタイガーはうつむいたままだった。

「………ぅ…ぅぅ……」
「…?魔理さん?」

 そんな彼の頭を上げさせたのは、彼女の泣き声。

「な、ちょ……魔理しゃん!?お、落ち着いてツカサイ!」

 それまでの落ち込みはどこへやら、オロオロしてあたふたと手を意味も無く振り回し、魔理を泣き止ませようと必死になるタイガー。
 その甲斐あってか、ほどなくして魔理は泣き止んでくれた。

「ご、ごめん…なんか、泣いちゃって…」
「い、いいいいいやいや、悪いのはワッシですケン!スマンかったですじゃ!この通り!」

 何か普段の雰囲気と違ってしおらしい魔理にどぎまぎしつつも、泣かした罪悪感から土下座での謝罪を敢行するタイガー。
 そして続けて、力強く宣言する。

「ワッシは…!ワッシはもう!立ち止まりませんケエ!!負けても!なにがあっても!前へ進みますケン!!
「…そっか…ガンバレよ、タイガー」
「はい!見ていてツカサイ、魔理さんっ!!」

 タイガーも、魔理も、爽やかな笑みを浮かべていた。


 そして、その笑みを凍らせる使者がやってくる。


「あ〜、いたいた。君、タイガー寅吉くん?」

 そう言って公園に入ってきたのは、さきほどGS試験会場で審判をしていた男。

「そーですが、何かありましたカイノー?」
「うん、あのね?きみさっき試合で固○結界を使っただろう?」
「え、ええ、使いましたが…」
「そっかー。…あのね?固有○界ってさー、色んな意味で危ないから封印指定なんだよ」
「は?」
「ほら、良く見て。ずっと伏字になってるだろ?○有結界ってさ。そういうわけで、今後は使っちゃダメだよー?

 じゃあ。そういうことで。
 そう言い残して、審判は去っていった。
 取り残された2人が、しばらくの間思考を停止して立ち止まっていたのは、言うまでも無い。


 <完>

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