第2話 「馬鹿者の罠」
「もう!何やっているのかしらね。」
何度目かの西条への電話の後、着信はしているようだが電話には出ない彼に対して憤懣やるかたないと言った顔で窓の外を見る。
いかに有能な美神美智恵とはいえ、西条が肉の壁に挟まれて学校保健室で意識を喪失しているとまでは予測できないだろう。
ていうかはっきり言って常識人には無理ですけど。
横島たちに対する伝言が伝わったかどうかも定かではなく、かといって自分が出向くわけにもいかず困惑する美智恵のデスクの上の内線が電子音を鳴らした。
受付嬢から告げられた内容に一瞬驚いた表情を浮かべるものの、すぐに通すように伝えると美智恵は神経を指揮官のそれに戻した。
やがて入ってきたのは以前にもここに来たことのある男、城南署署長の坂上である。
相変わらずの貧相な風体に、お土産なんだろう白い袋を提げていた。
ペコペコとお辞儀を繰り返す彼にソファーを勧めて、美智恵もその向かいに腰を下ろした。部下がコーヒーを置いて去るまでは両者とも口を利かない。
ただ穏やかに笑みを浮かべているだけだ。
正直言って美智恵には坂上の来訪の意図がつかめないのだが前回が前回である警戒するのは仕方ない。
それに気になることもあった。
このまま世間話を続けて彼のペースになるよりはと、会話の主導権を握るべく正面から問いかけた。
「で、今日はどういったご用件ですか?」
言外に「私は忙しい」とのニュアンスを匂わせた美智恵の言葉は一種の偵察。
このまま本題に入らないなら彼はこちらの出方を伺っているととれる、本題に入るならそれもよし、目の前の油断ならない貧相な男にこちらの無用な情報を与えずにすむ。
一瞬の間に脳内で坂上の反応を数パターン想定し、それに対する対処を考えるあたり彼女が彼をいかに警戒しているかわかるというものだ。
だが彼女の読みはあっさりとかわされた。
「実はですな。近々、唯ちゃんの学校に大規模な霊障のようなものがある…とタレコミがありまして…」
「え?」
出てもいない額の汗をハンカチで拭きながら恐縮した口調での坂上のとんでもない発言は流石に美智恵の想定を超えていた。
一瞬の自失の後で目まぐるしく脳内を活性化させる。
(大規模霊障?…もしかして霊を蓄えていたというあの兵器の本質のこと?いえ、それは無いわね。そこまでは警察署長に知らされるはずはない…)
坂上なら知っているかも…と思わないでもないが、目の前の小男にはそんなそぶりは無い。
そもそも日本政府は「大戦中の兵器が稼動状態で住宅地の近くに存在していた」と言うことは内密に処理したがっている。
それゆえにICPOの直轄であるGメンには早めに手を引いて欲しいのである。
おそらく政府は口止めもかねた高い報酬を提示して民間のGSを依頼するだろう。
だが政府の高官と話した美智恵にははっきりわかっている。
(彼らは浄霊じゃなくて除霊をするでしょうね。その方が経費も安く済むし…)
西条ら部下たちの調査と横島たちからの聞き取りであの兵器に囚われていた霊たちは悪霊のたぐいではないことは判明している。
だから横島は言ったのだ。
「浄霊してください…」と。
美智恵も被害者とも言える霊たちを無理矢理消去するようなやり方はしたくなかった。
だが自発的に成仏を促す浄霊は、吸引して処分するという除霊よりも時間がかかる。
そして進まない浄霊に情報漏れの危機感を抱いた政府が「これは霊的事件ではなく日本の国内問題でありICPOを煩わせるにあたらず」と言ってくるのは時間の問題だった。
だから西条をわざわざ学校に行かせたのだ。
その場で横島から文珠を譲り受け、それを使って政府が介入してくる前に文珠の力を借りて浄霊する。
それが美智恵の考えたプランである。
美神令子、いや、娘経由で…とも考えたが、一個時価数億の文珠を譲ってくれなんて言ったらどんな交換条件を出されるか知れたものではない。
こと金銭に関しては今ひとつ…いや五つぐらい娘を信用してない美智恵であった。
それに横島の優しさにつけこむようで彼女自身もこれが妙手とは思っていない。
だが他に手が思い浮かばないのも事実である。
自分や女性Gメンが行けば横島は嫌な顔をしないだろうが、それはさすがにフェアーじゃない気がして、断られても少年が気にやむことが無いようにと西条に行かせたのだ。
(まったく…西条君は何を!)
西条の知らないところでおしおきのレベルが一段階上がったらしい。
だが、それにしても「近々霊障がある」と言う坂上の真意がわからない。
下手に考えれば向こうの思惑に乗りかねないと判断して美智恵は素直に彼に聞いてみることにする。
「それはどのようなものですか?」
「それが私にはとんとわからんのです…それでですな。貴方のお知恵をお借りしようと思いまして…」
「はあ…」
「タレコミの内容ですが『魂を喰らう鉄の蛇があの学校を襲う。正しい道を示さねば多くが失われる』と言ったものらしくてですな、悪戯かとも思ったんですが…」
「悪戯ではないと判断された?」
「だってですよ!!もし万が一本当のことで可愛い唯ちゃんやそのお友達になんかあったら大変でしょうがっ!!」
「え…ええ…」
ジジ馬鹿全開の坂上の言葉に一歩引く美智恵に構わず彼はますますヒートアップしていった。
「もうね、そんなこと考えると私はもう心配で心配で仕事も手につかないんですわ!けどですな私にはどうすることも出来んのです。そこで何とかならんものかとっ!!」
「ですが、その程度の情報で私たちが動くことは…」
情報と言うよりは占いや予言のようなものだ。
そのようなあやふやなものでGメンを動かすのは確かに難しいだろう。
だが坂上はニヤリと笑って口調を変えた。
「しかし警察署長からの通報ということでしたら、少なくとも予備捜査は出来るようになるでしょうな。」
坂上の真意を察し、しばしの沈黙を経て美智恵が口を開く。
「そうですわね。そして別口の捜査であってもGメンが学校に出入りすれば…」
「政府もやりづらいでしょうなぁ…」
やりづらいどころではない。
炎式の解体は不発弾処理という名目でマスコミをシャットアウトして行ったものの、霊を処理するのは秘密裏に行うしかない。
だが確たる対霊組織の無い日本政府では「大規模霊障の恐れがある」とされればGメンに発生した捜査権を否定することは不可能だ。
つまり坂上はGメンに時間稼ぎの方法を提示しにきたのである。
「でもそのような不確かな情報を流して坂上さんは大丈夫なんですか?」
「別にデマではありませんよ。そのような情報提供があったのは事実ですからな。」
「それはどこから…」と言いかけて美智恵は言葉を止める。返ってこない質問をするのはエネルギーの無駄というものだ。
しかしかわりに口から出た質問もやはり答えが返ってくるはずもないもの。
「あなたはいったい何者ですか?」
「お調べになったのでは?」
調べていたと指摘されたことより、答えが返ってきたことに驚きの表情を浮かべる美智恵に人の悪い笑みを向けて坂上は続ける。
「昔は色々とやんちゃしましたがね。今はただの道楽公務員ですよ。」
「かって警視総監に最も近いと言われていた方がやんちゃですか?」
「ははは。それは買いかぶりでしょう。さてさて長居してしまいましたな。お忙しいのに失礼しました。」
にこやかに笑いながら、ふと思い出したかのように手にしていた紙袋を美智恵に渡すと坂上は席を立ち、ペコリと一つお辞儀してドアに向かった。
ドアの外まで見送ろうと立ち上がる美智恵に振り向いて坂上はまたペコリと頭を下げる。
「それは花野屋のみたらし団子です。お好きだそうですな。」
「ええ…好物ですわね。」
実は最近の美智恵のマイブームだったりする。誰にも、娘にさえもまだ言ってないはずだがこの男ならその程度の芸当は造作も無いことだろう。
だから美智恵は特に驚かなかった。
美智恵が驚いたのは彼がドアの向こうに消える前にポツリと呟いた言葉。
「昔の私のあだ名ですけどね。こういうのもありましたよ。『どうたぬき』っていうんですがね…」
「え?」
「狸なんて私にふさわしいと思いませんか?」
言葉を失う美智恵の前でドアが静かに閉じた。
体育の授業で見た白い人影は横島たちにしか見えず、特に問題もなさそうだっので彼らはそれを他人に話すことは無かった。
白い人影は生徒たちに混じって白球を追い、授業が終わると消えていったのだ。
「アレはなんだったんだろう?」と話し合う時間も無いままに次の授業が始まる。
着替えまで含めれば学生の休み時間は短いものだ。
次の授業は物理。
眠そうな顔で黒板に数式を書く教師にやはり眠そうな顔の生徒たち。
勿論、横島や唯が起きていられるはずも無く「くかー」と寝こけている。
さすがにクラスの三分の一が眠りの世界に引きこまれるのを見てまずいと思ったか、教師が授業から脱線を始めた。
とは言っても「物理」に関する話題である。
「まあ重力って奴を考えなきゃ物理なんてのは簡単だ。特にこの鉛直方向に投げ上げた…」
あまり余談になっていないのはこの教師の真面目さと言ったところだろう。
だが劣等生って奴は微妙に変わる空気を読むのも上手いもので、熟睡していたはずの劣等生たちも起き始めた。横島まで起きたのだから教師の目論みは成功したと言える。
唯?…もちろんこんなことで起きるはずはない。
もう慣れたのか愛子もチラっと見るだけで注意はしない。
寝起きの唯は結構凶暴なのだ。
ワサビとか電撃とか一撃必殺で起こさないととばっちりが来る。
殺してどうする…って気もするが…。
「…というわけでな。重力を考えなきゃロケットを打ち上げるのは簡単かもしれんが帰ってくるのは大変なんだ。何しろこっちは重力まかせだからな。」と摩擦熱だとか突入角度とか図解しながら説明する教師に横島が質問する。
これにはクラスの一同も天変地異の前触れかと驚いた。
「先生。俺、生身で大気圏突入したことあるんすけど…」
物理教師は一瞬だけ驚愕の表情を浮かべたが生ぬるく笑うと頭を振った。
「お前は物理常識の外に居る生命体だし…」
「なんやそれはっ!」と抗議する横島の横ではタイガーやピートがウンウンと頭を振っている。
どっちに同意しているかは明白だろう。
「だってなぁ…お前なら生身で大気圏はおろか音速とか超えそうだしなぁ…」
「あ、俺超えたことあるっす…あれってすっげー痛いんですよね。」
「衝撃波くらって痛いですむあたりが不思議生命体だろうが…」
「う…」
横島の話が嘘だと思っていないのだから、彼の評価もある意味ではスゴイと言えるだろう。けど異星人扱いはちょっとだけ納得いかないのか反論しようとした横島はふと再びの違和感に気がついた。
一番前の席、今日は欠席している同級生の席に白衣を来た見慣れない男が座っている。
その男は何か教師に質問があるのか手を上げているのだが教師は気にもしていない。
(見えてない?)
ピートにも確認しようともう一度目を凝らす横島の前で白衣の男は手を下ろすと静かに消えていった。
昼休み、食事を終えた一同が保健室に集まっている。
西条は朝の悪夢からやっと生還したようだった。
それでもまだその頭髪に白い筋が残っているあたり、朝の恐怖が凄まじいものであったことを表していた。
いつものようにからかってやろうと思ったが、その哀れな様子にどうにも横島も戦意が湧かない。
「大丈夫か?西条…」
「あ、ああ…横島君か…僕はいったいどうしたんだ?」
(((記憶が無い?!)))
あれほどの恐怖を味わった後なのだからむしろ当然かも知れない。
そんな西条にとりあえず軽めのジャブを放つ横島。
だが事態は彼が考えるより深刻だった。
「プリキュ○」
「いやあぁぁぁぁぁ。!!嘘っ?!!ボ、ボクはなにもしてないよ!!ボクはもうお家に帰りゅ!フミさぁぁあん!!」
「お、落ち着け西条!!」
「イヤだぁ!ビクビクする胸なんか嫌いだぁ!!おっぱいはおっぱいは柔らかいのがいいんだぁ!!」
「ほら!柔らかそうなオッパイならここに!!」
「えうっ!!」
自分のしでかしたこととは言え、すっかり幼児退行しちゃった西条のあまりの錯乱振りに横島は振りむきもせずに手を伸ばして後ろに居た少女を捕まえると彼の前に差し出した。
「あれ?小鳩ちゃんじゃない?」
「むか…」
てっきり自分の後ろが小鳩だと思っていた横島君の大失態。
前に差し出した唯の影からこっそりと西条を見れば、焦点の合わない眼で唯の顔を見つめていた西条の視線が徐々に下がり彼女の胸でピタリと止まると一言。
「固そうだし…」
「えうっ!」
いつもの西条なら絶対に口に出さない類の台詞が氷の刃となって唯の薄い胸を貫く。
グラリとよろめいた唯は両手で皆から目を隠すように顔を覆うとプルプルと震えだした。
「唯ちゃん?」と声をかける愛子に答えるように顔を上げる唯の目には大粒の涙が光っている。
流石に錯乱中とはいえ少女の涙を見て正気の光を宿し始めた西条に向けて唯は泣き声をあげた。
「固くないもん!!西条さんの馬鹿あぁぁぁ!みんなに言いふらしてやるからぁ!」
「あ、ごめん…って言いふらすって何を?!!」
答えずに唯は「うえぇぇぇぇぇぇん。西条さんの髪の毛は一つの毛穴からいっぱい生えているぅぅぅ!!」と泣きながら保健室を飛び出した。
「待ちたまえっ!!誰が植毛してるっていうんだっ!!」
はからずもショック療法となったか完璧に正気に戻った西条の言葉は空しくも開け放たれた保健室のドアの向こうに消えていった。
呆然とする西条に横島たちが「あ〜あ、泣かせた」と言わんばかりの視線を向ける中で愛子だけは唯が落としていったものに気がついた。
彼女が拾い上げたそれを横島も覗き込む。
「目薬?」
「やっぱりねぇ…嘘泣きよ。」
「へ?何で?」
「ピート君、午後の授業って何だったかしら?」
「英語と数学じゃなかったですか?」
「そうね…唯ちゃん英語をサボる気よ…。」
「でもそれが唯ちゃんの目薬と決まった…」と言いかけた横島に愛子は手にしていた目薬を渡した。
よくよく見ればそれにはマジックで「あまのゆい・嘘泣き用」と書かれていたりして…真面目なんだか不真面目何なんだか微妙である。
「本当にあの娘は英語が嫌いなんだら…」
がっくりと肩を落とす唯の家庭教師も兼ねてる机少女に苦笑しながらも、授業をサボる口実ついでに悪質なデマを流されてすっかり背中が煤けてしまっているGメンの青年にピートが話しかける。
「それで西条さんはなぜ学校に来たんですか?」
「地下の除霊の件ですかいノー?」
タイガーの言葉に弱々しく首を横に振る西条の口から気の抜けた声が出る。
「本当は横島君にちょっとした用事があったんだが…さっき先生から連絡が来てね。それはもう必要無くなった。詳しい話はまた先生と打ち合わせしてからということになる。」
「んじゃお前って…ただ…」
「言わないでくれたまえ…」
その哀れな様子に流石の横島も「骨折り損」とは言えなかった。
気まずい沈黙の後、すっかり煤けた西条に「お大事に…」と適切なのかマヌケなのか今ひとつ判断が難しい挨拶を残して横島たちは保健室を出た。
あたりを見回すが当然のごとく唯はいない。
どうやらとこかに隠れて授業をサボるつもりのようだ。
何となく中庭に出たところで愛子の口から漏れる不気味な笑い声。
「ふっふっふっ…唯ちゃん…この私が居る限りサボらせないわよ…横島君!」
「は、はっ!」
暗い含み笑いを漏らしていた愛子に突然指名されて思わず敬礼を返す横島にずいっと手が差し出される。
「文珠貸して…霊力が足りないなら協力するから…」
「ああ…いいけど何をするんだ?」と嫌な予感に苛まれながらも文珠を手渡すと、ニヤリと邪笑を浮かべた愛子はピートとタイガーを呼んでその耳元になにやら囁いた。
一瞬、驚いたように顔を見合わせる二人だったが愛子の目の光に「本気」の文字を認めてカクカクと壊れた人形のように頷くと走って消える。
その姿を確認した愛子が文珠を発動させて中庭にでっけー穴を掘る。
何をするつもりやらと小鳩と横島が見つめる中、タイガーとピートがそれぞれの獲物を持って帰って来る。
受け取ったビニールシートとかを手早く広げて穴を隠し土をかぶせた愛子はタイガーに向き直った。
「タイガー君、なんか唯ちゃんが欲しがるようなものの幻覚をあの落とし穴の上にお願いできる?」
疑問形に見せた命令形に気の弱いタイガーが逆らえるはずもない。
「いいですけんど、どんな幻影かノー」
「唯さんが欲しがるって言ったらやっぱり胸ですか?」とピートのどっかズレた台詞に小鳩が異議を唱える。
「オッパイだけ出しても気持ち悪いだけだと思うんですけど…」
「ふむ…ならばこれでどうジャー!!」
気合の声とともに落とし穴の上に現れるわ「ボッキュッボン」とメリハリの利いた肢体を持つ金髪お姉さん。
「まああれなら…「お姉さん!ボクはもー!!」…え?」
スボン!
「あああ…幻覚と解っていたはずなのにぃぃぃぃ!!俺のバカあぁぁぁぁぁ!!!!」
「あなたが落ちてどうするのよぉぉぉぉ!!」
結構深いのか先細りになっていく横島の悲鳴に愛子が突っ込むがもはや彼の耳には届かないだろう。やがて穴の底から「ベチャッ」と水風船がはぜるような音が聞こえてきたけど…うん!きっと大丈夫!!成層圏からよりは高さが無いし…。
「よ、横島さんらしいですノー」
「あ、あはは…確かに…って小鳩さん何を?」
「え?あ、私も罠を設置してみました!」
「えっへん」と胸を揺らす小鳩に愛子もビックリ目。
「あれ?…小鳩ちゃんってそんなこと出来るの?」
「ええ、実はちょっとでも皆さんのお役に立てないかとコーチさんに相談して、一つだけ魔法を頂いたんです。大地系の魔法ということなんですが…」
小鳩が指さしたところに置かれているのはお皿の乗ったシュークリームである。
「さあ、皆さん。その影に隠れて見てましょう!」
なにやら張り切っている小鳩に促されて木の影に隠れる除霊部員たち。
穴に落ちた横島はそのまま見捨てられたらしい。
隠れながらピートは小鳩に聞く。確か魔法ってそんな簡単に習得できないはずだよなぁ〜と思ったし、何より「頂いた」とはどういう意味か?…嫌な予感がしまくりである。
「で、どんな魔法ですか?」
「えーと…踏んだら爆発するって魔法です。」
(((それは地雷だぁ!!)))
心の中で激しく突っ込む一同。
愛子が口を開こうとして小鳩に「シッ!」と制止された。
見ればどこからか現れた唯が四つんばいになってシュークリームの周りをグルグル回っている。
「なんですかいノー…アレは…」
「まるでネコね…」
「警戒してるんでしょうか?」
「うーん。意外と知能は高いですねぇ…地雷に気づいたのかな?」
(((今、地雷って言った。間違いなく!!)))
知能云々もそうだが、それより凶悪な単語を聞かされて小鳩を見る目が変わりはじめる除霊部員たち。
その前で唯は皿に近寄ったり、シパッと離れたりを繰り返している。
やがて唯は皿に近づくとフンフンと鼻を動かして匂いを嗅ぎはじめた。
ゴクリと唾を飲み込む一同の前で、今度は前足?を使ってシュークリームをツンツンとつつき始めるが特に変化は無い。
それでやっと安心したのか唯は「にゃふっ!」と皿に飛びつくとそれを持ち上げた。
チュドーン!!
「みぎゃぁぁぁぁぁ!!!」
地面からの爆発に巻き込まれて宙を舞う唯。
それでも口にしっかりとシュークリームを咥えているあたりはさすがである。
単に意地汚いだけなんだろうけど。
ボテリと軽い音を立てて地に落ち痙攣する唯に愛子とタイガーがロープを持って駆け寄った。
その後に続こうとしたピートはふとあることに気がつく。
「あれ?小鳩さん?」
「はい。なんですか?」
胸元で小さくガッツポーズかましている小鳩にちょっと汗をかきつつ…。
「今、お皿を持ち上げた時に爆発しませんでしたか?」
「あ、それはですね。信管のところをグッて押してトリガーが上がらないようにお皿で押さえつけたんですよ。で、お皿を持ち上げるとそのまま雷管が発火だそうです…くすくすくす…」
罠が成功したのが嬉しいのか「くすくす」笑う小鳩にピートの額に汗が滲んだ。
何となくこれ以上この部にいない方が彼女のためかも…と思わないでもなかったが…。
「魔鈴さんはそんな技術まで教えてくれたんですか…」
「いいえ?教えてくれたのはあの人です。」
小鳩が示したところでピートが見たのは、優しい目をした髭面の日本兵が敬礼しながら消えていく姿だった。
後書き
ども。犬雀です。
ていうわけで第二話目。
さてさて今後どうなりますやら。
えー。地雷は踏んだだけでは爆発しない足を上げた時に爆発するってのを読んだ気がしましてこんな話に…。違っていたらごめんなさい。
では…
1>AC04アタッカー様
西条の目的は…結局無駄骨でした。
2>法師陰陽師様
さて…横島たちが何を見ているのかは次回以降となりますです。
犬は上手くまとめられるでしょうか?
3>アイギス様
リアルで喰らったことがあるんですか…犬、同情いたしますです。
4>ナイン様
犬はゲーセンでとった、たににんを持ってますです。
5>黒川様
カッパ族の内紛ですねぇ。面白そうですからもう少しまじめに考えてみますです。
6>オロチ様
うーむ…唯を姉御と呼ぶ亜鈍たち…面白そう。メモメモ
7>通りすがり様
ですねぇ…一応アリエスの話も考えてます。ただどの学校行事に絡めるかが決まってないですよね〜。
8>炎様
マッチョ西条も面白そうですね。氏神博士にマッチョに改造されるとか…メモメモと。
9>柳野雫様
あはは。犬、何となく伏線張りすぎて自縛してしまった気がしますです。
何とか回収できるといいなぁ〜。(他力本願)
10>ねぎうどん様
はじめましてです。
スベスベマンジュウガニは、犬が学生のころ出会ったカニでなんとなくお気に入りです。今はザリガニを飼育してますです。
11>ザビンガ様
わははは。筋肉で除霊するGSってのもいいかもですな。うむ…六女の生徒にすれば…わくわく。
12>シシン様
あはは。犬の話は時々こういうことがありますのでお食事中はご遠慮下さいませ。
13>なまけもの様
毎日、かわりばんこに新婚さんやらせてみようと思いますです。
あ、でも唯は無理です。起きれないですので…。
14>紫苑様
わはは。まあ西条も色々とありますから…。
15>小物様
なるほど「デュワ」でしたか。感謝であります。
今度、借りてきて見てみようっと…。
16>桜葉 愛様
はじめましてです。
アニ研はまだまだありますです。今のところ考えているのは…内緒です(笑