いつの間にかタマモの脳裏からは“拒絶”という言葉が消えていた。部屋が閉ざされた理由が他にあったから。しかしその分早く横島を目覚めさせなけれえばならないと足早に奥へと進んでいった。
Ｌｅｇｅｎｄ ｏｆ Ｄｅｖｉｌ Ｖｏｌ.７ Ａｗａｋｅｎｉｎｇ その５
『取り敢えずはそのまま真っ直ぐなのね〜』
「分かったわ」
その廊下に響き渡るヒャクメの声に従って横島の深層心理に向かうタマモはその中でかなり浮かない顔をしていた。
奥に進むにつれてその表情は更に剣幕になっていった。なぜなら自分自身が知っている女性の名前や知らない女性の名前が続く中自分自身（タマモ）の名前だけが何処にも見当たらないからだ。
「なんで私の部屋だけないのよ！」
『そ、それは分からないのね〜』
「あのパピリオの部屋まであったのよ！？ 私だってヨコシマのゾーンに入ってるはずじゃない！？ だいたいなんでみんな裸なのよ！？」
タマモの不満は募るばかりだった。部屋の中がどうなっているのかが気になり数人の部屋を除いてみたところ壁紙はそれぞれ違うようだった。相手に会わせてドピンクや薄紫、黄色そして水色などをベースにしておりとても様々だった。しかしそれでも部屋は少しぼろい造りで横島の感性がよく出ているようだ。そんな中、やはりというべきか中にいる女性は皆全裸だったのだ。さすがは横島！
『し、仕方ないのね〜、そこは横島さんの煩悩区域だからみんな裸なのね〜。でもパピリオまで入ってるなんて横島さんロリコンだったのね〜？』
「知らないわよ！！」
どんなに歩いても自分の部屋がないことに井桁マークを２、３個増やしてどかどかと歩いていくタマモ。
「あれ？ ・・・・・・・・・あの部屋なんだろう？」
『どうしたのね〜？』
「なんか一つだけ入れないように板で張り付けられてる部屋があるの」
その扉は異様な雰囲気を出していた。同じような部屋の扉が陳列する中でその扉は猛獣が爪で引っかき回したような傷が無数に付いていて、扉の上から板を打ち付けて開けられないようにしてあった。そしてこの扉だけが表札が掛けられていなかった。
カツ！
「なんだろこれ？」
扉に近づくとタマモのつま先に何かがあたる感触があった。それはボロボロの木の板でそこには・・・・・・・・・
「わ、わたし？」
それは“タマモ”と書かれた表札だった。表には扉と同じような傷が付いていて、太いマジックで書いたのか大きなバツが無造作に書かれていた。
「そ、そんな・・・・・・なんで？」
『どうしたのね〜？』
「私の・・・・・・部屋が」
“拒絶”。タマモの頭の中に一瞬浮かび上がった言葉だった。
『え？』
「私の部屋が入れないようになってるの！ ねぇどうして！？」
『落ち着いて、今サーチしてみるのね〜』
“拒絶”。はるか昔正体がばれて愛した男に拒絶されたことが脳裏に蘇る。そして思い出されるのは暗く光一つない殺生石の中・・・・・・・・・。
（ヨコシマがそんなことをするはずがない。 でも・・・ヨコシマに拒絶されたら私はこの世界で独りぼっちだ。 イヤだ！ 独りには戻りたくない！）
『・・・・・・・・・その部屋には入らない方が良いのね〜』
「え？ ど、どういう事？」
タマモの脳裏で“拒絶”という言葉が更に大きくのしかかる。
『どうやら横島さんが心を閉ざした理由はここにもあるみたい。 タマモちゃんを自分の手で殺してしまったと思ってるみたいなのね〜。 部屋の中のタマモちゃんは・・・・・・・・・』
「そんな！ 私は生きてるわ！ ヨコシマのお陰で生きてるわ！！」
『そうなのね〜。 だから一刻も早く横島さんの深層心理に行って横島さんにタマモちゃんが無事なことを伝えないと戻って来れなくなるのね〜』
「わ、分かったわ！！」
いつの間にかタマモの脳裏からは“拒絶”という言葉が消えていた。部屋が閉ざされた理由が他にあったから。しかしその分早く横島を目覚めさせなけれえばならないと足早に奥へと進んでいった。
ヒャクメが見たタマモの部屋は返り血で真っ赤になり、中にいるはずの人物は既に生き物の形をしていなかったそうだ。
つづく
レス返しです
＞sirius様
＞よくよく見てみると”タマモ”が見当たりませんが・・・。
そうです、タマモがいなかったんです。 タマモがいなかった理由こんな感じでどうでしょうか？ 次作は深層心理まで行ってもらおうと思っとります。