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「Legend of Devil Vol.7 Awakening その4(GS)」

鱧天 (2005-03-20 23:33)
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 何処から聞こえてくるのかヒャクメの声に頷き歩き出すタマモ。しかし、何かに気付いたのか急に立ち止まり天井に向かって話しかけるタマモ。微妙に米噛みに井桁マークが浮かんでるように見える。


 Legend of Devil Vol.7 Awakening その4


 妙神山修行場居住区画の一室。
 そこには斉天大聖、小竜姫、ヒャクメ、タマモ、そして眠り続けたままの横島の姿があった。

 「そうか、横島の中の“魔”が目覚め始めたか」
 「はい」
 「ねぇ、ヨ、ヨコシマはどうなるの!?」

 メドーサ達との戦いやその時横島の身に起こったことについての説明を受けた斉天大聖の顔色は思わしくなかった。そしてこれで何度目になるだろうか、同じ質問を繰り返すタマモ。

 「うむ、すぐに魔族に取り込まれてしまうということはない筈じゃ」

 斉天大聖の言葉に一瞬表情が明るくなるタマモ。

 「じゃが・・・・・・・・・」
 「え?」
 「これは厄介なことになったの。 すぐにということはないが、確実に魔族化への期間は短くなったと言って良いじゃろう。 遅くとも2年、早ければ1年に満たないじゃろう」
 「そ、そんな」

 斉天大聖の言葉は大凡横島の現状について把握していた小竜姫とヒャクメの顔をも曇らせ、タマモの白い顔が青を通り越して更に白くなるほど驚愕させた。

 「それじゃヨコシマは魔族に取り込まれちゃうって事!!? ねぇ! 何とかなんないの!!?」
 「う〜む・・・・・・・・・策がない訳ではないが」
 「ほ、ホント!?」
 「うむ、例の修行のレベルを上げればあるいは・・・・・・・・・しかし」

 そこまで言うと斉天大聖は硬く口を閉ざしてしまった。俯きかなり険しい表情になっている。

 「な、なにかあるの?」
 「・・・・・・・・・人間のみで耐えられるかどうか」
 「そんなに厳しいのですか?」
 「・・・・・・恐らく、かなりの確実で死ぬ事になるじゃろう」

 顔面蒼白。話しを聞いていた3人を一言で説明するならばこの言葉が一番当てはまっているだろう。どちらに転んでも横島が死ぬという宣告を承けたようなモノだったのだから。

 「で、でもヨコシマだったら」
 「そうです! あの横島さんです! 確率は決してゼロではないのでしょう!?」
 「うむ」(横島であればおよそ0.24%程じゃがな)

 心の読めるヒャクメはその数値にかなり青ざめていた。生死を賭けたモノとしてはその確率は低すぎたのだ。約5百分の1、それは10組のトランプの中からたった一枚を引き抜けと言われているようなモノだったのだから。

 「しかし、昏睡状態が長く続くようであればその確率もまた低くなっていく一方じゃ」
 「それでは」
 「うむ、早急に横島を目覚めさせねばなるまい。 準備は良いな?」(ヒャクメ、先程のことは他言無用じゃぞ?)

 斉天大聖の言葉に深く頷くタマモとヒャクメ。ヒャクメはどちらに頷いたのだろうか、おそらくは両方だったのだろう。確率のことを話せば小竜姫もタマモも止めるだろう。いくら横島といえどもこの数値は“危険”という言葉の域ではない。
 小竜姫もタマモも他の策を模索させようと、あるいは模索するだろう。しかし、それを模索するだけの時間はない。横島自身に与えられた時間はあまりにも短かったのだ。

 「それじゃタマモちゃん用意は良いのね〜?」

 コクリと頷くタマモ。それを確認するとヒャクメはトランク(コンピュータ?)から伸ばした端子の両端をタマモの額と横島の額に張り付け、更に自分専用の端子を自分の両の米噛みに張り付けた。

 「じゃ、いくのね〜」

 その言葉と一緒にヒャクメがトランク(コンピュータ?)のキーを叩いた。するとタマモの意識はそのまま深い闇に落ちていく感覚に包まれ横島の意識へと精神沈降(サイコダイブ)した。

 「う、う〜ん・・・・・・・・・あれ? ここは? ・・・・・・・・・そっか、私ヨコシマの中にサイコダイブしたんだ」

 タマモが目覚めるとそこは沢山の扉が連なった広い廊下だった。壁や天井は桃色で床には多少汚れた赤い絨毯が敷いてあった。そんな中無数の扉は木製でかなりミスマッチだった。

 『タマモちゃん聞こえる〜?』

 周りを珍しそうに眺めていると間延びした声がどこからともなく聞こえてきた。

 「ヒャクメ? 聞こえるわよ」
 『OKなのね〜。 深層心理まで私がナビするからそのまま進んで欲しいのね〜』
 「うん分かったわ」

 何処から聞こえてくるのかヒャクメの声に頷き歩き出すタマモ。しかし、何かに気付いたのか急に立ち止まり天井に向かって話しかけるタマモ。微妙に米噛みに井桁マークが浮かんでるように見える。

 「ねぇ、この扉って何なの? って言うかここって(ヨコシマの心理の)どこら辺?」
 『え〜と・・・・・・・・・出来るだけ深層心理に近いところに飛ばそうと思ったらその区域が一番近かったのね〜。 取り敢えずそこは横島さんの霊力の源がある区域みたいなのね〜』

 そう言って扉に目を向けるタマモ。扉には人(?)の名前の表札が付けられていた。1つの扉に1人づつの表札が付けられており、それらには“美神さん”“おキヌちゃん”“シロ”“小竜姫様”“ヒャクメ”“ワルキューレ”“小鳩ちゃん”“魔鈴さん”“美衣さん”“ベスパ”“パピリオ”“マリア”“冥子ちゃん”“六道さん”“美智恵さん”“氷雅さん”など一部危険な名前が混じっているようだったが女の子の名前が掛けられた扉がならんでいたのだった。

 「つまり、煩悩区域ってことね!」

 タマモは大きな溜め息を吐いた。


つづく

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