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▽レス始

「横島の道、美神の道 その3(GS)」

小町の国から (2005-03-29 00:37/2005-03-29 12:22)
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事務所の椅子に腰掛けた美神令子は、一人静かに怒っていた。
予想外に時間が掛かった共同作戦をようやく終えて昨日戻ったばかり。
昨日こそ所員全員に出迎えられていくらか笑顔を浮かべたものの、一人になって落ち着き共同作戦での出来事を思い出した途端不機嫌になった。


最初の集合した所から最悪な作戦だった。頼りにしていた横島は帰され、指揮を執るのは勢い込んだ日本政府から全権を委任された作戦指揮など素人の外務省の事務次官と関連省庁職員達。
派遣された各国代表との会議ではどの国が主導権を取るかで意見が分かれ、合同の作戦本部も作られず連携方法の取り決めもされない。
それでも何とか現地でチームに分かれローテーションに沿って“その国で言うところの悪魔”(以降、悪魔)を捜索するも空振りが1週間も続いた。
何しろ悪魔だけでなくゲリラによる襲撃や自爆テロに警戒しながらの作戦である。しかも日本仕様の見鬼くんは砂塵に弱く成果はなかなか上がらない。
その間もその国の国民や各国駐留軍人に被害が出続ける。その度にGメン職員を派遣し警察や駐留軍と共同でテロ等によるものか悪魔によるものかを現場検証(霊視等)により分析しなくてはならない。
被害も減わず悪魔も発見できない事からメンバーのサポートに就く駐留軍との関係も徐々に悪くなってくる。
その結果、国連及び最大勢力を投入している合衆国政府から日本政府に苦情が舞い込む。
外務大臣から苦言を呈された事務次官は焦ってローテーションも無視し、各チームがバックアップすらできないような広範囲にメンバーを分散し悪魔の捜索を行わせる。
オカルトGメン隊長の美神美智恵とオブザーバーの唐巣神父は作戦の誤りを訂正しようと意見するが、「政府から全権を委任されたのは我々だ。」と言わんばかりの傍若無人ぶり。
美智恵はGメンの部下に指示を出すが、人員の大半を本部要員と霊視等による分析要員に投入している為、動ける人員は少なく何ら効果的な手は打てない。
それから4日、何とか悪魔を発見したものの、そのチームは直ぐに全滅。更に焦った事務次官は現場に到着するチームを逐次投入するという愚かな戦術をとる。
投入される各チームのメンバーも疲労により本来の実力を発揮できず、次々に倒れていく。
美智恵と唐巣が他国との連携を進言するも、自国のメンツに拘る事務次官は頑として聞き入れない。その為他国のGSとの連携も出来ないまま時間が過ぎていく。
何とか令子・エミ・西条・ピートらの奮闘で悪魔を逃がさないでいるものの、彼女らにも疲労の色が濃く他のメンバーへの被害は拡大していく。

あまりの被害の多さに愕然とした日本政府は遂にオカルトGメン隊長の美智恵に指揮権を委譲した。
直ぐに美智恵は作戦の立て直しに掛かる。負傷者への治療や休養をとらせる為にも他国の代表に連絡を取り主導権を明け渡す。
事務次官と関連省庁職員達は猛然と抗議をするが、美智恵は無視して唐巣やGメン職員と共に作戦本部を出ていく。
目指すは令子らが一時退避してきた駐留軍施設。今となっては本部にいても仕方ないと美智恵は判断したのだ。
目的地に到着すると休憩や治療の合間を縫ってメンバーらから情報を集める。その後他国のGSらの戦況を報告させる。それによると彼らの戦況も決して良くはなかった。
それを聞き美智恵はもはや相手を倒すのは不可能と判断し、結界に再び封じ込める作戦をとる。
作戦が決まると美智恵の動きは速かった。直ぐに各国本部と連絡を取り責任者に作戦を伝える。各国責任者も苦戦しているのは確かなので渋々ながらも賛同の意を示す。
直ぐに人選を行い悪魔を結界へと誘い込む要員、結界を造り封じ込める要員の二組に分ける。もはやどの国にも予備要員を準備できるような余裕は無かったのだ。
日本側の結界へと誘い込む要員の主力は令子・西条・ピートら、対して結界を造り封じ込める要員にはエミそして何と美智恵や唐巣までもが参加した。唐巣は美智恵に「指揮官までが実戦に出ることはない。」と忠告したが美智恵は聞き入れなかった。
各国誘導要員らの必死の努力で何とか結界の場所まで誘い込み、結界が発動する。封印には唐巣・エミの聖魔の力に他国の陰陽術などを用いた多重結界を張り巡らし、とどめには美智恵が令子から預かった切り札“文珠”を使用する。怪我の治療等の為文珠の数は減っていたが全てを使い切ったところで封印に成功する。
しかし人員の損害は甚大で、日本の参加者だけを見ても人員の4割が死亡し重傷者を合わせると7割にも達した。無傷の者など作戦本部で働いていた者達くらいである。
何とか日本に戻ってくると例の事務次官や関連省庁職員達はそそくさと引き上げ、参加者らはあまりの事に言葉もない。
作戦時には非情に徹する美智恵の後ろ姿も怒りに震えていた。


まったく最低ー! 素人が出しゃばるなってーの! あいつら今度会ったらただじゃおかないわ。
こんなことならウチ(美神除霊事務所)と親しいメンバー達だけで依頼を受けた方がましだった。

それが偽らざる今の美神令子の心境だった。


その頃美神除霊事務所の台所では、

「美神殿・・・、どうしたらいいのでござろう?」
「うーん、どうしよう。」
「今の美神・・・・・怖い。」
「あー、うー。」

少し開いたドアから令子を窺い、おキヌ・シロ・タマモの三人は途方に暮れ、一人ひのめだけがご機嫌でいる。
令子の怒りの原因が分からず、どう対応して良いものかさっぱり分からない。

「「「うーん。」」」「あー、だぁー。」

悩む三人、一人悩まないひのめ。
三人の苦悩の時間は続く。


もしまた今度のような依頼があったら・・・・・・断る?・・・・・・・だめ! 報酬が良いこともあるけど相手は政府、依頼という名の強制をされたら断れない。
ならどうすれば・・・・・・・いつもママが指揮を執れるとは限らないし・・・・・・・・せめて横島君が・・・・・・・横島君?!!
そう横島君よ!・・・・・・彼が隣にいてくれたら・・・・・・そのためにはどうすればいい?・・・・・・素人達にも認めさせるような何か?・・・・・・・・・・・・・ライセンス!!
横島君のランクが上がればもう今回のようないざこざは無くなる・・・・・・そう! そうよ!!
待って! でもそうしたら彼は丁稚じゃなくなってしまう・・・・・・給料も上げないといけなくなるだろうし・・・・・・将来独立なんかされでもしたら・・・・・・なら正規の職員にすれば・・・・・・・それって私のパートナーって事?・・・・・・・ちょっと良いかも(ポッ)
いやいや! あいつはまだまだ未熟よ、正規の職員扱いなんてとんでもない!・・・・・・・せめてもう少し包容力があったら・・・(ポポッ)
違う違う! 何を考えているんだ私は、今は今回のような依頼への対処方法を・・・・・・・横島君が・・・・・パートナー・・・(ポポポッ)
だー! 違うでしょ!! 落ち着きなさい美神令子!!・・・・・・冷静に、常に冷静に・・・・・包容力・じゃなくて実力が・・・・・・・あいつ、背中けっこう広いし・・・・・・じゃないってば・・・・・・・思ったより力もある・・・・・・・(ポッ)って? ちっがーーーーーう!!!・・・・・・うーん・・・・・・


一方こちらは台所

「ど、どうしたのでござろう? 美神殿の様子が変になってきたでござる。」
「美神さんにやけたり赤くなったり、かと思えば急に髪を掻きむしったり・・・」
「今の美神・・・・・変・・・・・病気?」
「あー、うー。」

令子の態度の変化に驚く三人、一人笑顔のひのめ。

「ここはやはり一時避難した方が良いのではござらんか?」
「まさか悪霊にでも取り憑かれたんじゃ・・・なら私の笛で。」
「やっぱり救急車を呼んだ方がいいんじゃない?」
「うぁっ? だぁー(ぺチッ、ぺチッ)。」

令子のあまりの態度の変化に変な勘違いをする三人、令子の百面相(?)に一人喜び拍手をするひのめ。


「あー! 考えるの止め止め。おキヌちゃん、何か気持ちの落ち着く飲み物をお願い!!」


(ビクッ)「はっ、はい! 直ぐに!!」(ドタドタ)

突然令子に声を掛けられたおキヌは慌ててお茶の準備を始める。

「びっくりしたでごさる。」
「あー驚いた。」
「だぁー。」

シロタマは胸を手で押さえ、ひのめは変わらずに喜んでいる。


全員でお茶にし、ようやく落ち着いた空気の流れる事務所内。そこへ、

「おっはよーっす! 横島忠夫出勤しましたー。」

明るい声を上げた横島が入ってくる。

「おはようございます横島さん。」
「せんせぇー! おはようでござる。」
「おはよ、横島。」
「あー、にぃー。」

四人は明るく挨拶を返すが、

「おっ・・・おはよぅ・・・・横島・・君。」

先程までの妄想により、どうも冷静になれない令子。

「どっ、どうしたんですか美神さん! 疲れ? 怪我の後遺症? 早く病院に!・・・・いやいやここは俺が添い寝を!」

令子の対応に慌てた横島が突っ走り始める。

「さあ美神さん早く寝室へ「なんでそうなる!(ブァキッ)」ぐぁー!」

横島が手を握り椅子から立たせたところで我に返った令子は直ぐに迎撃をする。

「なっ何故(ガク)。」

ちょっぴりシリアスモードだった横島は復活にいつもより30秒余計に掛かることになる。

「「「・・・・・・・・・・・」」」
「あぅー、きゃはっ(ぺチッ、ぺチッ)。」

あまりの状況変化に固まる三人と一人はしゃぐひのめがいた。


「ひどいっすよ美神さん、俺は心配して。」

「あーもういい! 私は大丈夫! 問題なし!」

「でも美神さ(ギロッ)・・いえ、何でもありません。」

令子の一睨みで何も意見できなくなる横島。

「まーまー美神さんも横島さんも、お茶でも飲んで気を落ち着けて下さい。」

おキヌの仲裁によりやっと平和になる事務所内、その後は横島の失敗談等楽しい話題に花を咲かせる。


「おキヌちゃん、お茶ごちそうさま。じゃあ私は書類を作るんで少し静かにしてね。」

「分かりました美神さん。」
「はいでござる。」
「・・分かった。」
「りょーかいっす。じゃーひのめちゃんあっちの部屋へ行こうねー。」
「だぁー、にぃー。」

美神の仕事のじゃまをしないようにみんなが出て行く。


「さてと。」

美神は机に向かいパソコンを立ち上げる。


さっきはちょっと思考が暴走しちゃったけど、冷静に今後のことを考えればやっぱり横島君のランク上げは必要よね。
実力だけならランクAでも充分やっていけるけど知識等を含めて考えるとBかな?
でもBだと独立して事務所を経営しても問題ないレベル、ちょっと高すぎるか。
やはりCに・・・・・いやいや今回の作戦の死亡者はランクCの人が多かった、その教訓を元に政府がB以上で人員を選抜することも考えられる。
あのバッッッッカで実力を見抜けない連中だもの、ランクで判断するしかできないわよね。きっとママの助言も聞かないに違いない。
そうなるとBよね。それなら何も言わせないことができる。・・・・・・・ランクBか、そうするとそれなりの金額を与えないと税務署の審査で問題に・・・・・うーん、ちょっとちょーっとちょーーーーっとだけお金は惜しいけど命あっての物種よね。・・・・・うぅお金お金お金・・・
でも! 株でも大きな配当を得る為にはそれに見合った投資をしないと。
そう先行投資! 給料を上げるかわりに今以上にきっちり働かせれば。そしてあいつの実力が伸びていけば今以上の儲けも可能・・・・・よね・・・・たぶん。
しっ仕方ない、決めた!!


「よし! Bで!」
「何がBなの令子?」
「うひゃーー?!」

独り言に突っ込まれ驚く令子が慌てて振り向くと、かなり疲労の色を浮かべた美智恵が立っている。

「マッ、ママ!! いつの間に?!」

「あなたが考え事をしている時からよ。あらっ? これは横島君の」

その時ドアが開き、

「どうしました美神さん?! あっ、隊長さん。こんにちは。」

「こんにちはおキヌちゃん、ひのめは元気?」

「はい、今は横島さんがお相手をしています。呼びましょうか?」

「そうね、お願いするわ。」

「おキヌちゃん、お茶の用意もお願い。」

「はい分かりました。」

おキヌが部屋を出て行く。

「まあ横島君の話は後にして少し休ませてね。もうくったくったよー。」

そう言いながらソファーに腰掛ける美智恵。座った後で手足を伸ばす。

「うぅーーーん、はぁー。」

「だいぶ疲れているみたいねママ。」

「ええ、何せあれ程の被害を出した作戦だったでしょう。報告書やら何やらが山のようにあるわ。幸い西条君が軽傷だったんでひのめの顔を見るって事にして抜け出して来ちゃった。」

「・・・お兄ちゃんもかわいそうに。」

「まああまり根を詰め過ぎないように言っておいたわ。」

「・・・ホントかわいそう。」

そんな会話をしているとドアがノックされ、返事をするとお茶を持ったおキヌとひのめを抱いた横島が入ってくる。

「失礼します。お茶を持ってきました。」
「隊長お久しぶりです、ほーらひのめちゃんママだよー。」
「あぅ、まぁー! まぁー!」

「ええ久しぶりね横島君、ひのめー元気だったー? 良い子にしてたー?」

おキヌがお茶を配っている間に横島からひのめを受け取った美智恵は、

「ありがとう横島君、ひのめの面倒を見てくれて。
 それと、出発の時は不愉快な思いをさせてごめんなさいね。」

と頭を下げる。

「いえいえ、気にしないで下さい。それにあの時は俺に実力が無かっただけですから、美神さん達が無事に戻ってきてくれてほっとしたっす。」

笑顔で横島がそう返す。令子は少し表情を曇らせてから、

「じゃあ悪いんだけど横島君におキヌちゃん、私ちょっとママと話があるから。」

そう二人に告げる。

「はい、分かりました美神さん。それじゃ行こっかおキヌちゃん。」
「はい横島さん。それでは失礼します。」

二人はそう言い部屋を出て行く。


「ふーん、だいぶいい男になってきたわね。」

令子の方を見ながら美智恵がからかうように言う。

「まっ、まあね。私から見ればまだまだだけど。」

「でもこの間の件でも、例の令子の報告内容に文句が有るわけでもなさそうだったし、彼って謙虚なのね。」

「そっ、そんなこと無いわよ。あれはただ何も考えていないだけ。」

「ふーん、顔赤いわよ令子(クスッ)。」

「うっさいわね!」

ここで美智恵の雰囲気がガラリと変わり、

「でもさっきの横島君の除霊報告書とライセンスの上申書。今回の作戦がきっかけなんじゃない?」

「もちろんよ・・・・・実際ウチ(美神除霊事務所)やいつものメンバーだけで依頼を受けた方がまだましだとも思ったわ。」

「事実そうだったでしょうね。その方が被害も出なかった。」

「ええ、最低の指揮・連携の取れないチーム。あんなのはもうごめんよ。」

「あのクソ事務次官達には相応の処分を与えるし、遺族への補償の件も・・・・まあこれは私の仕事ね。」

「ついでに生きてる私達への特別報酬もよろしく。」

「ホントがめついわねあんたは、でもまあいいでしょ・・・・・国が出すんだし
 で話を戻すけど、それで横島君のランクを上げることにしたわけ?」

「ええ、横島君がいれば私はもっと力を出せる。もっと思い通りに動ける。今回のような苦戦はしない!」

「なるほど。でもランクBとは思い切ったわね。」

「そのくらいでないと人選の段階で落とされるかもしれないと思ったから。」

「そうね、ランクCの人材を投入するにはかなり厳しく選抜しないと。私も懲りたわ。ホント最高の人材を投入できたアシュタロス事件の時の方が遙かに良かった・・・・・・。
 でもあの事件が契機になって今回のような依頼が来たとも言えるのよね。」

「ええ、あの時はアシュタロスと正面切って戦ったのは日本のGS達だけだったけど、これからは世界中の霊能力者が組織として戦う機会も増えると思う。」

「それで令子としてはその時の為にも最も信頼する横島君に隣にいて欲しいのね。」

「表現がちょっと引っかかるけど・・・・まあそういうことよ、ママ。」

「いくらか素直になったじゃない「なっ、わたしは!」まあまあ落ち着いて令子。
 でも実際のところ今回の作戦には私も横島君に来てもらいたかったわ。別に文珠や合体をあてにしただけじゃなく、彼の機転や常識にとらわれない発想、そして彼の持つ雰囲気によって周りの雰囲気まで明るくするところが必要だったの。特に長期戦が予想されるミッションではね。みんなプロとは言え、緊張なんてそう長く持続できるものじゃないから。」

「分かるわママ、その雰囲気に私も何度か救われたから。
 ホントやる事為す事まるでびっくり箱のような奴。でも・・・・・最後は期待を裏切らない奴」

「うん、そこまで判っているなら上等! じゃあ私は帰るわ。あっそうそうタクシー呼んでくれるかしら。疲れてたんで車を本部に置いてきたのよ。」

「それなら送っていくわよママ。」

「いいから、あなたは書類の作成があるでしょ。こういうのは思い立った時にやらないと。」

美智恵は笑顔でそう言う。

「分かった。人工幽霊一号おキヌちゃんを呼んで。」

『分かりましたオーナー。』

程なくおキヌが現れ、

「なんでしょう美神さん?」

「おキヌちゃん、ママが帰るからタクシーを呼んでちょうだい。」

「えっ! もう帰っちゃうんですか? 夕食を食べてからでも・・・」

「ごめんなさいねおキヌちゃん、今日はちょっと疲れているんで帰るわ。長い間ひのめの面倒を見てくれてありがとうね。」

「いえひのめちゃんの面倒は主に横島さんが見てくれましたから。それじゃあ電話を掛けてきます。」

おキヌが出て行くと美智恵は、

「ふーん横島君って子守りも上手なのね、さすが実の姉よりひのめに好かれているわけだ。」

「何よママ、私だっ「良いパパになるかもねー。」うっ・・・」

“良いパパ”のところに反応してしまい黙ってしまう令子。美智恵は笑っている。

「彼の隣に立つのは誰になるのかしらね。どう思う令子?」

「くっ!」

美智恵の問いに令子は返せず無言のまま数分が過ぎ、おキヌのタクシーが来たとの報告で美智恵は立ち上がる。

「それじゃあ帰るわ令子、おキヌちゃんもありがとう。みんなにもよろしくね。」

「えっ、今みんなを呼びますから。」

「いいって、それじゃあね。」

そう言って美智恵はひのめを抱き事務所を出て行く。

「行っちゃいましたね美神さん、美神さん? どうかしましたか?」

「何でもないわおキヌちゃん、じゃあ私続きをするから。」

「?? 分かりました、それじゃ。」

「ええ、ありがと。」

再び令子は机に向かい、書類を作成する。

除霊件数報告書の修正書、GS見習い期間の終了報告書、GSライセンス(ランクB)への上申書、除霊件数報告の修正に伴う収入関係の帳簿類の訂正等々・・・・・

途中夕食等の休憩を挟みながらも作業は深夜まで続いた。


あたしだって投資する時は惜しまないでどーんと行くわよ。

そのかわり・・・・・

これからはどこへだって一緒に行ってもらうからね横島君。


『あとがき』
どうも「小町の国から」です。
その2の感想どうもありがとうございます。

ここまでの話のコンセプトは『どういう状況になれば美神令子は横島忠夫を認めるのか?』でした。
素直じゃない彼女の事ですので、『仕事で痛い目にでも遭ったら横島の重要性を認識するんじゃ?』と思ったのです。
よって“ある国”での作戦はただ流れを書くだけにしました。『横島の重要性を認識させる』為だけにオリキャラを大量に出して長々書いてもしょうがないかなと思いまして。
“ある国”での美神の活躍を期待していた方々には本当に申し訳ありません。

何か3までは乗りに乗って一気に書いたのですが、4は少し時間が掛かるかもしれません。
どうか気長にお待ち下さい。


それでは。

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