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!警告!壊れキャラ有り

「除霊部員と秘密の部屋  第10話  (GS+色々)」

犬雀 (2005-03-25 01:14)
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第10話    「秘密の部屋」


除霊部員たちが立ち入り禁止のロープが張られた旧校舎跡地に着いてみれば、ロープで囲まれた真ん中あたりにポッカリと2メートル程度の穴が開いているのが見えた。
どうやら何かの拍子に崩れたようだ。
不気味に口を開けた穴から時々、夕日を反射させてキラキラと光る小さな物体がフラフラと舞い上がっては穴に戻っていくを繰り返していた。

その光景を不思議に思いつつも辺りを見回して見れば水瀬先生の姿はどこにも見えない。
(もしや落ちた?)と注意深く穴へ向かって近寄ろうとする横島たち。

その時突然、近くの木の上から女性の叫び声が聞こえた。
振り返った横島たちの目に木の上で猫を抱きながら涙と鼻水をダクダクと流し「助けて欲しいんだお〜」と泣く女性教師の姿が見える。
おそらく彼女が水瀬先生なのだろう。
どうやら猫を助けようとして木に登ったものの猫と一緒に下りられなくなったらしい。

「矢吹殿、校務員室から脚立を借りてきてはくれぬか。」と苦笑いしながら頼む加藤に摩耶は大きく「はいっ!」と頷くと校舎に向けて走り出した。
見送った加藤がとりあえず水瀬を安心させようと木に近づく。

他の部員たちは大事に至らなかったことに胸を撫で下ろしつつ、口を開けた穴の周りで乱舞する金色の物体を確かめようと注意深く穴へと近寄っていった。

「あれは何ですかいノー?」

「こっからじゃよく解らんな。なんか金属にも生き物にも見えるし、もう少し寄ってみるか?」

「横島さん気をつけてくださいね。」

彼の後ろを歩く魔鈴から心配気な注意が飛ぶ。

「そうよ。ここは危険だから立ち入り禁止なんだからね。」
そう言いつつ自分もロープを乗り越えてくる愛子。
なにやらワクワクした様子のアリエスが続き、最後に唯がロープを越えたとき、やってくれましたトラブルメーカー。

夕日をまともに見たのか「ぺくちん!」とクシャミを一つ。

たいして大きな音でもなかったが、それが引き金となったか横島たちの足元がグラリと揺れるとボッコリと陥没した。

「ドリフかぁぁぁぁぁ!!!」

突っ込みつつ落ちていく横島と、悲鳴を上げながらそれに付き合う除霊部員たちを呆然と見詰めるしか出来ない加藤であった。


落下の瞬間咄嗟に横島が発動させた『護』の文珠で全員を包み込んだため15メートルほども落下したのに怪我人はいないようだった。

落ちたところはコンクリートで囲まれた地下室のような場所。
上を見上げれば分厚いコンクリートの天井にぽっかりと穴が開き、時折土砂とかコンクリ塊がドズンと重い音を立てて降ってきては文珠の結界に弾かれて横に落ちる。

「うおっ!危ね!!」

「よ、横島君、とりあえず穴から離れましょ!」

愛子の提案に頷いて大急ぎで危険な場所から離れる。
彼らが離れると同時に一際大きなコンクリ塊が横島たちのいた場所に砂塵をあげて落下した。

「危機一髪でしたぁ…」と薄い胸を撫で下ろす唯にアリエスがヤレヤレと肩をすくめる。

「唯様がくしゃみなんかなさるから…」

「えうぅぅ。ごめんなさいですぅ…」と小さくなるトラブルの元に「まあ、悪気があってのことではないですし。」と魔鈴も苦笑いだ。

「それにしてもここは何なんですかいノー」

「何かの施設跡って感じですね。」

「施設っすか?」

魔鈴の言葉に横島が聞き返すが、彼女にもここがどんな目的で使われていたかまではわからない。
ただここが施設の一部であろうということは壁の一箇所に鉄製のドアがあることからうかがい知れる。

そのドアの前に先ほど横島たちの興味を引いた金色の小さな物体が、まるでドアを塞ぐかのようにうず高く小山を作って積みあがっている。
と、そのうちの一個が山の天辺からコロリと転がると、チャリーンと澄んだ音を立てて横島たちの方に転がってきた。

「へう?これはなんでしょう?」と唯が拾ってみたものは、一枚の金色の硬貨のようなもの。
だが横島たちはそんな硬貨に見覚えが無い。
唯から渡されたそれをしげしげと観察する魔鈴も、それが昔の硬貨であること以外はわからなかった。

「うーん…二十円って書いてあるから日本の硬貨だと思うんですけど…」

「魔鈴さん。見せてくれますか?」と愛子が魔鈴から受け取った硬貨を見つめる。
その顔にはどこか懐かしさの色が漂う。

「これは戦前の二十円金貨よ。もう戦後のどさくさで日本には残っていないはずなのに…古銭マニアなんかが見たら涎を流すわね…けど…」

「「「お宝?!」」」

愛子の言葉に反応する横島、タイガー…そしてアリエス?
物欲取り付かれて金貨の山へとわれ先に突進した。

「わはは。新作ビデオのレンタルし放題やぁ!」
失ったAVを取り戻したい煩悩少年。

「牛丼特盛食い放題ジャー!!」
食生活が改善されてないトラ男。

「ひじき以外のおかずぅぅぅぅ!!」
なんか虐められている気もするけど自業自得な女王様

「待ちなさいよ!…痛っ!」

すっかり物欲に取り付かれた三人を止めようとした愛子が小さな悲鳴を上げる。

「う?愛子ちゃんどうしまし…ええええ!愛子ちゃんの手にお金が噛み付いてるぅ!!」

確かに愛子の細い指先に先ほどの金貨が横に裂けて、小さな口を開けて齧りついていた。

「「「え?」」」と立ち止まった横島たちの目の前で金貨の山は、はじけるように空中に舞い上がると口を開け、「チーチー」と鳴きながら一斉に飛び掛ってきた。

「なんやコレはぁぁ!!」

「これは…もしかしてクリーピング・コイン!!」

「それは何ですかいノー!!」

「お金のふりをして人を襲う妖魔です!!」

背中に装備していた魔法の箒をかざす魔鈴はすでに戦闘態勢である。

「おのれ!若者の純情をもて遊ぶとは卑怯な奴!」
「まったくジャー(ですわ)!!」

「物欲だったくせにぃ…」と呆れながらも愛子の指にかじりつくクリーピング・コインをつまむ唯。
妖魔といってもそれほど強くないのか、それはアッサリと唯に摘まれて「チーチー」と鳴く。

「だから…100枚ちょっとしか作れらて無いのにって言おうとしたのに…」

赤くなった指先を眺めながら呆れ顔の愛子の呟きにかぶさるように魔鈴の警告が放たれた。

「気をつけてください!クリーピング・コインはブレスを使います!!」

「ブレスって言うとドラゴンとかが吐く『炎の息』という奴ですわね!」

「ええ!炎とは限りませんが!」

霊波刀で自分の周りを飛ぶコインたちを切り払いながら、アリエスを庇う横島。
一振りで10匹ほどが切られ、または霊波の余波を受けて焼かれて落ちていく。
ブレスさえ気をつけていればそれほど強敵ではないようだが、いかんせん数が多すぎる。

「フン!」とタイガーが霊波を込めた両腕を振り回せば、直撃を受けなくてもやはり余波を受けてヨロヨロと落ちていくコインたち。

唯は愛子を背後に庇いつつ、いつの間にかちゃっかり変身してコインを捕まえようとしている。
変身してやっと人並みの彼女の運動能力でもコインはあっさり捕まえることができた。「チーチー」とか細く鳴くそれを叩きつけて踏み踏み。結構、ムゴイ。

箒で飛び回るコインを叩き落した魔鈴は手馴れた様子でそれを片隅に掃き集める。
浄化され掃き集められて動かなくなるコインたちで瓦礫の脇に金色の山が出来始めた。

だが、どれほど叩き落してもコインの数は一向に減らない。
さしものタイガーも息切れし始めてくる。

「横島さん。文珠で一気に行けませんかノー!!」

「すまん。あと一個しかない!!アリエスちゃん魔法でなんとか?!」

「ここではわたくしの攻撃系の術はちょっと無理ですわ!!魔鈴様何かございませんか?!」

「一応、火球とか爆裂の魔法なら用意してありますけど…密閉されたこの場所ではちょびっと危険です!」

「とにかく一箇所に集まるんだ!!」との横島の声と同時に転がるようにコインの攻撃を避けながら走り出す三人。

残ったコインたちは体勢を立て直すつもりか再び戸口の前に集まり出した。
それを見た愛子の声がわずかに震えた。

「ねえ。なんかさっきよりも増えてない?」

「そういえば!」と何かを思い出したのか魔鈴が小さく叫んだ。

「クリーピング・コインはぶつかった相手から精気を吸い取って増えるんです!」

「くそっ!」

言われて見れば物理的なダメージは無いに等しいが、疲労度は六女との対抗戦を終えた後であるとしても酷い気がする。

(ここはやはり文珠を使うか…何となく後一個くらいは即席で作れそうな気もするし…)

ポケットの中のレースのお宝を思い出す横島、同時に嫌なことも思い出してぐっすんと涙目。

少年がこっそり涙を拭おうとした時、唯の叫びが現代の魔女に向けられた。

「魔鈴さん!髪の毛にコインがたかっていますぅ!!」

「え?!」と魔鈴が髪の毛を払うより先にコインは彼女の肩口に降り立つと、桜貝のように可憐なたたずまいの耳へ目掛けて必殺のブレスを放つ!

フッ…

「へにやぁぁぁぁぁ!」

ブレスを受けてガクガクと腰を落とす魔鈴にコインは容赦なく第二、第三のブレスを放つ!

フッ…フッ…

「はにゃぁぁぁ。み、耳はダメえぇぇ!!」

どうみても耳に息を吹きかけられているだけのようなんだが、弱い人はとことん弱いものだし…。

その色っぽい声に何を想像したか少年の煩悩が高まる。確かに目を閉じて聞いていればソレっぽい声に聞こえなくも無い。

「魔鈴さんて耳が弱点なのね…」とどう対処してよいやらと汗を流しつつ愛子が呟けば

「わたくしはお皿ですわねぇ…」と聞いちゃいないのに頬を染めてアリエスがニッコリと笑った。

「私は先っちょですかねぇ…愛子ちゃんは?」どこの先っちょかでこの話の表記が変わるぞ天野唯。以後、気をつけるように。

「わ、私?…足…かな?」顔を染めて真面目に答えちゃう愛子ちゃん。本体にも足はあると思うけど、それは浪漫が無いのでどっちのとは気にしないことにしよう。

少年二人が素知らぬ顔で聞き耳立てているし。何気にタイガーの霊力も上がっているあたり似たもの同士ということだろう。

とにかく魔鈴をこのまま「はにゃ」らしておくわけにもいかないので、アリエスが彼女の耳に向けて「フッ…フッ…」と必殺のブレスを吐き続けるコインをつまんでペチっと床に叩きつけた。

「ぜーぜー」とほんのり上気した顔で荒い息を吐いていた魔鈴がキッと顔を上げる。
その口から「ふっふっふっ…」と暗い笑い声が漏れ出て、思わず逃げ腰になる横島たち。

「よくも…よくも…乙女の貞操にこんな仕打ちを…」

色々と突っ込みどころのある台詞とともにユラリと立ち上がると、スカートをパシッと捲り上げる。
白い艶のある太股が露になり、その太股の上の方に黒いガーターベルトが装着されているという大人の女性のお色気に横島君の煩悩全開!
超加速?とも見まがうスピードでシッカリと脳裏に彼女の艶かしい太股を刻もうと魔鈴の前に体育座りして奇妙な違和感に気がついた。

ガーターベルトに魔鈴のしなやかな手が伸びる。
それだけなら萌える光景だが、問題はベルトに装着されているブツにある。
なんか金属で出来た投げて使うっぽい丸い玉。

魔女の手が手馴れた様子で玉をベルトから取り外し、すかさずそれを口に運んで安全ピンを外すとそれをプッと吐き出した。
映画で見たような光景に横島の脳内で煩悩よりも生存本能が警鐘を鳴らす。
合わせるかのように魔鈴の澄んだ声が呪文?を紡ぎだす。

「爆炎よ!我が敵を滅ぼせ!!…えいっ!」

ゴトンとクリーピング・コインの群れの真ん中に落ちたそれは…わかっていたけどやっぱり手榴弾以外のものには見えない。

「みんな伏せてっ!魔法の余波が来ますっ!!」

叫んで身を伏せる魔鈴に慌てて皆が続く。
だけど最近は突っ込みキャラと化している横島の血がこの土壇場でも突っ込みをさせてしまった。

「魔法じゃないわぁぁぁ!!!」

折角の少年の突っ込みは爆裂音にかき消されれ、狭い室内で炸裂した爆発のエネルギーはその前に群れていたクリーピング・コインごと鉄製のドアをふっ飛ばした。

「やりました!!」と起き上がるなりガッツポーズを見せる魔女に畏怖の念を隠しきれない一同。
ヨロヨロと立ち上がった横島が「魔鈴さん…」となんとなくギリギリの表情で声を絞り出した。

「はい?」とニッコリ、今の出来事が夢かと思えるその笑顔に一瞬だけだまされそうになるが

「火力に頼るのは魔法と言いません。」

「えー。でも、美神さんもロケットランチャーとか使ってますよ。私も前にライフルで狙撃されかかったような気が…」

無邪気にとんでもない告発をかます魔鈴に少年も言葉に詰まった。
「知ってたんすか…」と大汗かきながら認めるあたり、精神的に追い詰められたのがはっきりわかる。
そんな少年に対して天女の笑みを向けながら魔女は彼の手をつと握った。

「それに魔法でアレンジしてますから、爆発の位置はある程度コントロールできますし。」

「はあ、それならいいんすけど…」となんとなく腑に落ちないものを感じつつも頷く少年に「手榴弾ってそういうもんだろ…」とは口を挟めない他のメンバーである。
というか、口を挟む余裕は無いというのが正解だろう。

なぜなら、先ほどの爆発の余波で天井がミシミシと本格的に崩れそうな感じだし。

「へう!…と、とにかくみんな怪我もないようですしぃ。ここから出ませんかぁ?!」

「「賛成!」」と叫んでドアの跡、ぽっかり開いた入り口に殺到する除霊部員たち。

「私たちも行きましょ!」と魔鈴に手を引かれて横島が部屋を出ると同時に轟音とともに大量の土砂とガレキが降り注ぎ、部屋は完全に土に埋まった。

「あ、危なかった…」と砂煙の中で呆然とたつ彼らの前に入り口の上についていた木のプレートがカランと音を立てて落ちてくる。

「これはなんでしょうか?」とアリエスが手に取ったそれには『キ号計画第壱廃棄物保管庫』と古めかしい書体で書かれていた。

「なんですかいノー」

「うーん。わからんなぁ。でも相当古いぞ。」

「やはり何かの施設の一部ってことですね…そしてここはその廊下かしら。」

魔鈴が言うとおり、一本道の通路にはどこから電力の供給を受けているかはわからないが、裸電球が金属のネットで囲まれて薄暗い光を放っており、所々に今、彼らが吹っ飛ばしたような鉄製のドアが見える。

「ここが何かの施設の跡ってことならどこかに上に通じる出口があるはずよ。」

「そうですね。でもさっきみたいな妖魔がいると困るからちゃんと調べて進みましょう。」

愛子の提案に魔鈴も同意する。
隣で頷いていたアリエスがポンと手を打った。

「待って下さいまし。こういうところは通路に罠が仕掛けてあるのが定番ですわ。」

「あ、だったら私が物さんに色々と聞いて見ましょうか?」

「頼めるか?」

「らじゃですっ!」

横島に向けてニパッと笑顔を向けると、さっそくアリエスの手にある木のプレートに額をつける唯。
しばらくブツブツ言っていたが、必要なことは聞けたのかゆっくりと顔を上げる。

「特に罠はないみたいですが、守っているものがいるそうですぅ。」

「ふーん。じゃあやっぱり注意して進まないとな。俺とタイガーが前衛で真ん中に愛子とアリエスちゃん。んで最後尾は魔鈴さんでいいっすか?」

「私ならいいですよ。まだ火球の魔法も残ってますし。」と物騒なことを言う魔女に、(まだアレを魔法と言いますか…)と心の中で呟きつつ精彩の無い突っ込みしか出来ない横島である。

「なるべく使わんで下さい…」

そんな少年の精神的疲労を知ってか知らずか、緊迫感の無いアリエスの台詞。

「なんだかダンジョンRPGっぽくなってきましたわね。」

「そうかノー?」

「ええ、忠夫様が魔法剣士。タイガー様が武闘家。魔鈴様が魔法使い。わたくしが傷を治せますから僧侶。唯様が罠とか発見できますのでシーフ。」

「シーフって何ですかぁ?」

?マークを飛ばしながら首を傾げる唯に魔鈴が優しく教えてあげた。

「盗賊ですね。」

「ぬすっと?!」

「いいえ。ダンジョンでは必要不可欠な役目ですわよ。罠とかでパーティ全滅ってこともありますし。」

「私は…?」

「え…愛子様ですか…んーと…」

悩むアリエス。愛子はとことん戦闘向きではないのだから仕方ない。
中に引きずり込めば最強レベルだろうけど、こういう場面での彼女の活躍は期待できないだろう。
言葉を選んでいるアリエスの様子を察して愛子がしょんぼりと肩を落とした。

「ぐす…もしかして役立たず?」

「そ、そんなことございませんわ!あ、愛子様は…そうマッパーになられればよろしいんです…ぐえええぇぇぇぇ」

言葉半ばで愛子ちゃんに襟首持たれて釣り上げられるカッパの女王。
いいところをキメられたか顔色が見る見る紫色になっていく。

「おしりだけじゃなく、今度はマッパになれと…」

「チョーク!チョーク!!ち、違いますわっ!!真っ裸のマッパじゃなくてマッパー!!地図を描く人ですわぁぁ…」

殺す笑みを浮かべつつ自分を宙吊りにする愛子の腕を必死にタップする。
落ちるのも時間の問題だと思われたが、何とか説得に成功したか愛子の力が緩むとボテっと下に落とされた。

「へ?」

「ゲホゲホ…こういうダンジョンで道に迷ったら危険ですから地図を作るのは大切なお役目なんですわ。」

「あ、そうなの?ん。わかった。私それやるわ。」

喉を押さえて咳き込むアリエスに照れ笑いを浮かべつつ愛子は本体からいそいそと筆記具を取り出した。
唯ちゃんパーツと違って標準装備のようだ。

「んじゃ兎に角一つずつ調べていくか」と横島の提案に頷く一同。
とりあえず一番近くにあるドアに周囲を警戒しつつ歩き出した。

『教導室』と書かれた木製のプレートが掲げられた部屋のドアに額をつけてドアと会話した唯がホッとした表情で振り返る。

「罠はないみたいですぅ。でも鍵がかかってますねぇ。」

「何か手がかりがあるかも知れないわね。」とノートに地図を書く愛子に横島が頷いた。

「調べてみるか…でも鍵はどうする?」

「まーかーせて下さい。鍵開けは得意ですぅ。」と言うなり再びドアに額をつけながら、どこからか取り出したヘアピンで鍵穴をカチャカチャ。
やがてカチリと音がして鍵が開いた。

「ふふふ…いつかタダオくんの部屋に忍び込もうと五郎さんに教えてもらった技が役に立つとは…」

「それって犯罪だからやめような…」

自分の隣に恐いことを考えている少女がいたことに慄くも、見られて困るものはないことに気がついて瞳を潤ませる少年。
だって…煩悩の源はほとんどが使用不能にされちゃったし…とかつての相棒の冥福をこっそり祈る。

「とにかく開けて見ますかいノー」

「ああ。」とタイガーに返事をし、ゆっくりとドアを開ける横島。
そーっと中を覗き込むも室内は暗くてよく見えないが中で何かが動くような気配も感じなかった。

「明かりが必要だな。」

「あ、それでしたら私が…」と魔鈴が進み出ると箒に向かって呪文を唱えた。
詠唱が終わると同時に淡く輝く魔法の箒。
光源としては充分である。

「今度は本当の魔法ですから。」

(((本当?!)))

気を取り直して警戒しながらも部屋に入ると、薄明かりの中で散乱する古い机と壁にかけられた黒板が見えた。
黒板の横は窪みになっているらしく魔鈴の作り出した光ではその中を照らすことまでは出来なかった。

慎重に気配を探りながら「なんか学校みたいだな…」と横島が呟く。

「そうね…忘れられた机たち…可哀想だわ。」

いつの間にか後ろにいた愛子のしんみりとした口調に頷きかけた横島の耳にカチリと言う金属音が聞こえた。
咄嗟に振り返ると黒板の横の光の届かなかったくぼみからこちらに向けて突き出されている剣をつけた銃口が見えた。

「愛子っ!!」と庇おうとした横島の足に、放置されていたイスがぶつかり飛び出すタイミングが一瞬遅れる。
彼らに向けられた殺意にとってその一瞬は充分な時間だった。

「え?」

バン!

くぐもった銃声が室内に響き、放たれた銃弾は生きた机の足を簡単に吹き飛ばした…。


「炎中佐…」

闇の中で生気の無い声が壁に向かって敬礼しつつ施設内への侵入者を告げる。
報告を終え動きを止めた人型の前。
壁の一部がガリガリと耳障りな音を立て動き出す。

ギンと炎のような赤い光が壁にともり地獄の亡者を思わせる声が室内に響いた。

「排除せよ…」


後書き
ども。犬雀です。
やっと秘密の部屋に到着であります。と言ってもまだまだ部屋はいっぱいありますので、ここから先はダンジョン探検みたいな感じで。

最終的には出口を目指します。(当たり前)

で、ラスボスは以前に登場を約束いたしました炎様に務めていただきますです。
古いゲームネタですが、ファミコンのアレであります。
とはいっても犬はやったことないんでモンスターを借りただけですけど。
以前、どこかのHPで見たモンスターでその説明にダメージ0のブレスとあったので、それって息を吐くだけじゃん!と突っ込んでから何となく犬のお気に入りなものですから。
お金が襲ってくる…犬なら間違いなく引っかかりますです。

では…

1>咆牙紫苑様
変態仮面ですねえ。犬、自分でも馬鹿だと思いますです。

2>TAME様
お茶ごめんなさいです。
シリアスですか。そうですね。後半シリアス展開になるかも。
昔の事件はもう少しネタを張ってからと思ってます。
最終回あたりで。

3>nacky様
こういうのに縁があるのが犬の横島君…不幸であります。

4>wata様
申し訳ないです。あの場で神父と霊能戦やると横島君ぶっちぎりになりそうだったんで…。
後半は制約がかかりますから原作に近い能力で霊能を使った戦いに出来るかな?かな?

5>AC04アタッカー様
ご自愛下さいませ。

追伸 らじゃであります。

6>法師陰陽師様
旧校舎跡地地下にあったのは何かの妖しい施設でありました。

7>ガパソン様
「お稲荷さん…」実は犬の好物なもので…というかお昼ごはんだったんですよ。
8個までならいっぺんにいけますです。

8>紫苑様
名雪とかあゆとか出しましたけど便利屋扱いです。
あまり本編には絡まないと思いますが、タマモ暴走面白そうですね。

9>MAGIふぁ様
はいです。犬も六女戦だけで終わらせちゃうところでしたw
危ない危ない。

10>ATS様
>しかし、あのマヌケ空間を見せ付けられた上でそこまで考えられる人が何人いるでしょーか…

うーん。いないかも…(汗

11>咆牙紫苑様
解説多謝であります。
全員ではないつもりであります。色々とかぶりますのでw

12>なまけもの様
>あとオリキャラ(霧香さん)は大切にしましょうね。(手の中の雀の羽を毟りつつめっちゃ笑顔で)

残念!その雀はいぬのふぐりであります。可憐ですので毟らんでやってください。

13>ncro様
ZORKって知らないんで検索しましたです。
アドベンチャーゲームまではわかったんですが…時代的には近いかも。

14>ザビンガ様
正直、犬もこんなに変態仮面を知っている方がいるとは思いませんでした。

15>通りすがり様
理事長の語る事件に関してはまだまだ先の展開になりますです。
20年前に何があったか…プロットはありますがもう少し煮てからにしますです。

16>柳野雫様
霊能ではないですねぇ…。でも煩悩をエネルギーにしているのは一緒ということで広義の霊能…ダメ?(両拳を口元にあてつつ

17>シシン様
今話でいちばん貧乏くじを引いたのは神父であります。
でも横島君と戦わなくても彼の学校で病院送りにする予定でしたので、結局どっちに転んでも不幸でありました。

18>shin様
ガラスの…ゲフンゲフン。
ノーパンですねぇきっと。まあ彼女のスカートの丈なら大丈夫でしょう。
体操服もありますし。

19>ミーティア様
北海道での技は自然神の力によるものですので、地下の密室だと使うのは難しいです。残り少ない文珠と霊波刀と剣技でどう切り抜けますか…。

20>ジェミナス様
唯だとお子様パンツ。アリエスだと有り難味が。愛子だと気の毒すぎ。魔鈴さんは脱ぐのに手間が。んで、おキヌちゃんだったら効果も抜群だろうと。
実際、横島君お持ち帰りしましたしw

21>炎様
今回はさわりだけです。中佐殿。(敬礼)

22>ジヤーグラー様
不滅ですか。うーん。確かにアレを超えるキャラは最近では…V様かなぁ。
犬的に…w

ではおやすみなさいです。

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